JP2020191191A - スパークプラグの製造方法 - Google Patents

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貴大 三田
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一輝 小池
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裕則 上垣
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Abstract

【課題】アルカリ性のメッキ浴によるメッキ処理を行うスパークプラグの製造方法において、簡便な方法で接地電極へのメッキ密着性の低下を抑えることのできる方法を提供する。【解決手段】スパークプラグは、筒状の主体金具と、ニッケルを主成分とする接地電極とを備えている。このスパークプラグの製造方法は、準備工程と、脱脂工程と、酸処理工程と、メッキ処理工程とを含む。酸処理工程では、酸性溶液中に金具組立体の主体金具と接地電極とを浸漬させる。メッキ処理工程では、アルカリ性のメッキ浴中で、金具組立体の主体金具と接地電極との表面にメッキ層を形成する。そして、酸処理工程からメッキ処理工程の開始までの期間、金具組立体の表面をpH7以下の状態に維持する。【選択図】図3

Description

本発明は、内燃機関に用いられるスパークプラグの製造方法に関する。
自動車用エンジンなどの内燃機関の着火手段として、スパークプラグが用いられている。スパークプラグは、軸状の中心電極と、その中心電極を内側に保持する円筒状の絶縁体と、その絶縁体を内側に保持する主体金具とを有している。主体金具には、中心電極との間に火花放電ギャップを形成するように、略L字状の接地電極が溶接などによって取り付けられている。主体金具は、一般に、炭素鋼などの鉄系材料で構成され、その表面には防食のためのメッキ処理が施されている。
メッキ処理は、例えば、亜鉛などの金属材料を含有するアルカリ性のメッキ浴中で行われる。このメッキ処理は、例えば、特許文献1および2に開示されているスパークプラグの製造方法のように、主体金具に接地電極を溶接した後に行われることが多い。これは、接地電極の取り付けを主体金具へのメッキ処理後に行うと、亜鉛系メッキ層の介在により溶接不良を起こしやすいためである。また、溶接部において亜鉛系メッキ層の破損が生じ、耐食性が低下するためである。
主体金具に接地電極を溶接した後にメッキ処理を行う場合、主体金具と接地電極とを一括してメッキ処理する方法が簡便である。この場合、接地電極にもメッキ層が形成される。また、上述したようなアルカリメッキ浴によるメッキ処理では、メッキ処理工程の前処理として行われる脱脂工程と酸処理工程とが行われた後に、アルカリ性の薬剤へ被メッキ物を投入して、その表面のpHをアルカリ側に調整するのが一般的である。これは、被メッキ物をメッキ浴に投入したときの、メッキ浴のpH変動を抑制するためである。
特開2001−68250号公報 特開2001−110545号公報
しかし、メッキ処理工程の前処理工程において、被メッキ物がアルカリ性の薬剤に投入されることによって、ニッケル、クロムなどの金属材料で形成されている接地電極の表面には、酸化皮膜(不動態膜)が形成される。この酸化皮膜の形成によって、その後のメッキ処理工程において接地電極の表面に形成されるメッキ層の密着性は不十分となり得る。接地電極に対するメッキ層の密着性が弱いと、例えば、その後の接地電極の曲げ加工時にメッキ層の剥離が生じやすくなる。この結果、剥離したメッキ層が中心電極と接地電極とをブリッジする等の不良が生じる。
上述のようなメッキ層の剥離の問題を回避するために、接地電極にメッキ層が形成されないようにすることも可能である。接地電極にメッキ層が形成されないようにするための手法として、溶接後の主体金具のうち、接地電極の所望の部分をチューブなどによってマスキングする手法がある(例えば、特許文献1および2参照)。この方法では、マスキングすることによって接地電極の所望の部分にメッキが付着することはなくなる一方で、マスキングの脱着を行う手間が生じる。また、マスキングに付着した汚れによって、主体金具に形成されたメッキ層の品質低下が起きる可能性がある。
そこで、本発明では、アルカリ性のメッキ浴によるメッキ処理を行うスパークプラグの製造方法において、簡便な方法で接地電極へのメッキ密着性の低下を抑えることのできるスパークプラグの製造方法を提供する。
本発明の一局面にかかるスパークプラグの製造方法では、筒状の主体金具と、前記主体金具に接合され、ニッケルを主成分とする接地電極とを備えているスパークプラグが製造される。この製造方法は、前記主体金具に前記接地電極が接合された金具組立体を準備する準備工程と、前記金具組立体の前記主体金具と前記接地電極との表面を脱脂する脱脂工程と、前記脱脂工程の後に、酸性溶液中に前記金具組立体の前記主体金具と前記接地電極とを浸漬させる酸処理工程と、前記酸処理工程の後に、アルカリ性のメッキ浴中で、前記金具組立体の前記主体金具と前記接地電極との表面にメッキ層を形成するメッキ処理工程とを含む。そして、前記酸処理工程から前記メッキ処理工程の開始までの期間、前記金具組立体の表面をpH7以下の状態に維持する。
上記の製造方法によれば、酸処理工程からその後のメッキ処理工程が開始されるまでの間、金具組立体の表面はpH7以下の状態に維持される。すなわち、酸処理工程からメッキ処理工程が開始されるまでの間において、金具組立体の表面がアルカリ性にならないように保持される。これにより、酸処理工程において除去された酸化皮膜が、その後にアルカリ性の環境下に曝されることによって再度形成され、メッキ処理工程の開始前の段階において金具組立体の表面に酸化皮膜が付着していることを回避することができる。そのため、酸化皮膜の影響による金具組立体の表面に対するメッキ密着性の低下を抑制することができる。したがって、本発明の一局面にかかるスパークプラグの製造方法よれば、酸処理工程からメッキ処理工程が開始されるまでの間のpHを適切に維持するという簡便な方法で、接地電極へのメッキ密着性の低下を抑えることができる。
上記の本発明の一局面にかかるスパークプラグの製造方法は、前記酸処理工程と前記メッキ処理工程との間に、水または前記金具組立体の表面をpH7以下に保つことができる強さのアルカリ性溶液で前記金具組立体を洗浄する洗浄工程をさらに含んでもよい。
上記の製造方法によれば、酸処理工程とメッキ処理工程との間に行われる洗浄工程において、金具組立体の表面がpH7以下の状態に維持されることで、金具組立体の表面に酸化皮膜が形成されることが抑制される。これにより、メッキ処理工程において、金具組立体の表面に対する密着性のより高いメッキ層を形成することができる。
また、上記の本発明の一局面にかかるスパークプラグの製造方法において、前記脱脂工程は、通電されていない液体中に前記金具組立体を浸漬させることによって行うことが好ましい。
通電された液体中で脱脂工程が行われると、例えば、金具組立体が陽極になったときに表面(特に、接地電極の表面)に酸化皮膜が形成される。この酸化皮膜は、後に行われる酸処理工程において除去されるが、完全には除去されないおそれがある。よって、メッキ処理工程において、メッキの密着性を低下させる要因となる。一方、通電された液体中での脱脂工程において、金具組立体が陰極となった場合には、金具組立体において水素ガスが発生し、水素脆化が起こり得る可能性がある。したがって、通電されていない液体中に金具組立体を浸漬させることによって脱脂工程を行うことで、金具組立体の表面に酸化皮膜が形成されることを抑制できるとともに、金具組立体の水素脆化を回避することができる。
上記の本発明の一局面にかかるスパークプラグの製造方法において、前記メッキ処理工程では、亜鉛を主成分とするメッキ層を形成することが好ましい。
亜鉛を主成分とするメッキ層は、前処理によってメッキの密着性を高めることのできるニッケルを主成分とするメッキ層と比較して、メッキ密着性を確保することが難しい傾向にある。そこで、金具組立体に亜鉛メッキ層を形成する場合に、上記の製造方法を用いることで、金具組立体の表面に対する密着性のより高い亜鉛メッキ層を形成することができる。
上記の本発明の一局面にかかるスパークプラグの製造方法において、前記接地電極は、マンガン、クロム、アルミニウム、およびチタンより選択される少なくとも一つの元素を合計で20重量%以下の含有量で含んでいてもよい。
上記の構成を有する接地電極は、酸化されることで酸化皮膜を形成しやすいという性質を有する。そこで、このような接地電極を有するスパークプラグを上記の製造方法で製造することで、メッキ処理工程の前の段階で酸化皮膜の形成が抑制されるため、メッキ処理工程において、金具組立体の表面に対する密着性のより高いメッキ層を形成することができる。
上記の本発明の一局面にかかるスパークプラグの製造方法において、前記接地電極は、JIS G 4901に規格されるNCF材で形成されていてもよい。
上記の構成によれば、接地電極をNCF材で形成することで、耐酸化消耗性を向上させることができる。また、上記構成の接地電極を有するスパークプラグを上記の製造方法で製造することで、メッキ処理工程の前の段階で酸化皮膜の形成が抑制されるため、メッキ処理工程において、金具組立体の表面に対する密着性のより高いメッキ層を形成することができる。
以上のように、本発明の一局面にかかるスパークプラグの製造方法によれば、簡便な方法で接地電極へのメッキ密着性の低下を抑えることができる。
本発明の一実施形態にかかるスパークプラグの外観を示す側面図である。 本発明の一実施形態にかかるスパークプラグの金具組立体の外観を示す側面図である。 本発明の一実施形態にかかるスパークプラグの製造方法の工程を示すフローチャートである。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。本実施形態では、スパークプラグ1の製造方法を例に挙げて説明する。
(スパークプラグの構成)
先ず、スパークプラグ1の全体構成について、図1を参照しながら説明する。スパークプラグ1は、絶縁体50および主体金具30を備えている。図1では、紙面下側をスパークプラグ1の一方もしくは先端側、紙面上側をスパークプラグ1の他方もしくは後端側という。
絶縁体50は、スパークプラグ1の長手方向に延びる略円筒形状の部材である。絶縁体50は、絶縁性、耐熱性、および熱伝導性に優れた材料で形成されている。例えば、絶縁体50は、アルミナ系セラミックなどで形成されている。絶縁体50の一方の端部(先端部)51には、中心電極21が設けられている。また、絶縁体の他方の端部(後端部)には、端子金具52が取り付けられている。
中心電極21は、その先端部(電極先端部22)が絶縁体50の先端部51から突出した状態で、絶縁体50の軸孔に保持されている。中心電極21は略円柱形状を有しており、その先端部分は、電極先端部22へ向かってテーパ状に縮径している。電極先端部22は、縮径された中心電極21の先端部分と同径の略円柱形状を有している。
主体金具30は、内燃機関のネジ穴に固定される略円筒形状の部材である。主体金具30は、絶縁体50を部分的に覆うように設けられている。主体金具30は、導電性を有する金属材料で形成されている。このような金属材料としては、低炭素鋼、または鉄を主成分とする金属材料などが挙げられる。主体金具30は、主に、加締め部31、工具係合部32、湾曲部33、座部34、および胴部36などを有している。
加締め部31は、主体金具30の後端側において絶縁体50側に屈曲する部位である。工具係合部32は、加締め部31の先端側に接続され内燃機関(シリンダヘッド)のネジ穴に主体金具30を取り付けるときに使用されるレンチなどの工具を係合させる部位である。座部34は、工具係合部32より先端側に位置し、主体金具30の径方向外側に張り出している。湾曲部33は、工具係合部32と座部34とを接続する薄肉の部位である。胴部36は、座部34の先端側に位置し、外周にネジ部が形成されている。座部34と胴部36のネジ部との間には、環状のガスケットが配置される。スパークプラグ1が内燃機関に取り付けられる際には、胴部36の外周に形成されたネジ溝(図示せず)が内燃機関のネジ穴に螺合される。このとき、座部34とシリンダヘッドとで環状のガスケットが挟まれることにより、ネジ穴における気密性が確保される。
また、主体金具30には、接地電極11が接合されている。接地電極11は、全体として略L字形に屈曲した形状をなす。接地電極11の基端部は、主体金具30の胴部36の先端面に接合されている。接地電極11の先端部は、中心電極21の電極先端部22に対向する。そして、接地電極11の先端部には、中心電極21側に向かって突出する凸部12が形成されている。
中心電極21および接地電極11は、例えば、Ni(ニッケル)を主成分として含むNi基合金等の金属材料を母材として形成される。Ni基合金に添加される合金元素としては、Al(アルミニウム)等が挙げられる。中心電極21および接地電極11は、その内部に、熱伝導性に優れた金属、例えば、Cu(銅)又はCu合金等の金属材料等からなる芯材を有していてもよい。
また、接地電極11は、Ni以外の成分として、Mn(マンガン)、Cr(クロム)、Al(アルミニウム)、およびTi(チタン)より選択される少なくとも一つの元素を含んでいてもよい。この場合、Mn、Cr、Al、およびTiより選択される少なくとも一つの元素の含有量は、合計で20重量%以下とすることができる。より具体的には、接地電極11は、JIS G 4901に規格されるNCF材で形成することができる。このようなNCF材は、耐酸化消耗性を有している。
中心電極21の電極先端部22は、例えば、円柱状に成形された貴金属チップにて構成することができ、溶接等により中心電極21の先端に接合される。貴金属チップは、例えば、Pt、Rh、Ir、およびRuから選ばれる1種の貴金属を50wt%以上の含有割合で含む。
接地電極11の凸部12は、中心電極21の電極先端部22と同様の貴金属チップにて構成することができる。凸部12は、例えば、レーザ溶接によって接地電極11に設けられる。
接地電極11は、溶接などによって主体金具30に接合されている。本実施形態では、接地電極11に主体金具30が接合された状態のものを金具組立体40と呼ぶ。図2には、金具組立体40の外観構成を示す。図2では、接地電極11の本体部11aに対して曲げ加工が施される前の金具組立体40を示す。本実施形態では、この状態の金具組立体40に対してメッキ処理が施される。
メッキ処理後の金具組立体40の主体金具30および接地電極11の表面には、メッキ層が形成される。表面にメッキ層が形成されることで、主体金具30および接地電極11の腐食を抑えることができる。メッキ層には、Zn(亜鉛)、Ni(ニッケル)、Sn(スズ)、およびCr(クロム)などが含まれている。より具体的には、メッキ層には、Znが主成分として含まれている。後述するように、金具組立体40へのメッキ処理は、アルカリ性のメッキ浴を用いて行われる。
(スパークプラグの製造方法)
続いて、スパークプラグ1の製造方法について説明する。図3には、スパークプラグ1の製造方法に含まれる工程を順に示す。
先ず、主体金具30に接地電極11が接合された金具組立体40が準備される。この工程を、準備工程(ステップS11)と呼ぶ。準備工程における金具組立体40には、メッキ層は形成されていない。また、本実施形態の準備工程では、図2に示すように、接地電極11の本体部11aは、L字状に屈曲されていない。この工程で準備される金具組立体40は、従来公知の製造工程を経て製造される。準備された金具組立体40の表面には、防錆油などの有機物が付着している。
次に、準備された金具組立体40に対し、脱脂処理が行われる。この工程を、脱脂工程(ステップS12)と呼ぶ。脱脂工程は、通電されていない脱脂浴中に金具組立体40を浸漬させること(すなわち、浸漬脱脂)によって行われる。この脱脂工程によって、金具組立体40の表面に付着する防錆油などの有機物が除去される。
脱脂浴には、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)などのアルカリ性薬剤の水溶液が含まれている。例えば、脱脂工程において使用する脱脂浴としては、従来公知のPR電解脱脂などで使用される脱脂浴と同じものが使用可能である。脱脂工程において、脱脂浴中の溶媒の温度は、例えば、50℃以上60℃以下の範囲内の温度に維持される。脱脂工程の処理時間(脱脂浴への浸漬時間)は、例えば、5分以上15分以下とすることができる。
PR電解脱脂などのように、脱脂浴を通電させた状態で脱脂を行うと、脱脂の効率を向上させることができる。しかし、PR電解脱脂では、金具組立体40の極性を陽極と陰極との間で交互に変えながら脱脂が行われるため、金具組立体40が陽極になったときに表面(特に、接地電極11の表面)に酸化皮膜が形成される。この酸化皮膜は、後に行われる酸処理工程において除去されるが、完全には除去されないおそれがある。よって、後に行われるメッキ処理工程において、メッキの密着性を低下させる要因となる。
これに対して、本実施形態のように、通電されていない脱脂浴中に金具組立体40を浸漬させるという方法で金具組立体40の脱脂を行うことで、酸化皮膜の形成を抑制しつつ、表面に付着した有機物を除去することができる。したがって、後に行われるメッキ処理工程において、酸化皮膜に起因したメッキ密着性の低下を回避することができる。
なお、金具組立体40を陰極に維持した状態で行われる陰極電解脱脂であれば、酸化皮膜の形成は抑制される。そのため、脱脂工程において、浸漬脱脂の代わりに陰極電解脱脂を行うことも可能である。但し、陰極電解脱脂では、陰極となる金具組立体40において水素ガスが発生し、水素脆化が起こり得る可能性がある。したがって、陰極電解脱脂よりも、通電されていない脱脂浴中に金具組立体40を浸漬させる浸漬脱脂がより好ましい。
脱脂工程によって防錆油などの有機物が除去された金具組立体40の表面には、金具組立体40が形成される際に付着した加工屑と金具組立体40に含まれるNi(ニッケル)、Cr(クロム)等の酸化物とを含む層(酸化皮膜とも呼ばれる)が、例えば、数十〜数百μm程度の厚みで形成されている。そこで、脱脂工程が行われた後に、金具組立体40を酸性溶液中に浸漬させる酸処理が行われる。この工程を、酸処理工程(ステップS13)と呼ぶ。この酸処理工程において、金具組立体40の表面に形成されている酸化皮膜が除去される。
酸処理工程において使用される酸性溶液は、例えば、硫酸、塩酸、および硝酸などから選択される少なくとも一つの酸性薬剤を含む水溶液である。酸処理工程に用いられる酸性溶液の温度は、例えば、20℃以上60℃以下の範囲内の温度に維持される。酸処理工程の処理時間(酸性溶液への浸漬時間)は、例えば、1分以上20分以下とすることができる。
次に、酸処理が行われた金具組立体40に対して、洗浄工程(ステップS14)が実施される。洗浄工程では、水、または金具組立体40の表面をpH7以下に保つことができる強さのアルカリ性溶液を用いて、金具組立体40の洗浄が行われる。このような水またはアルカリ性溶液を含む液体中に、金具組立体40を浸漬させるなどして、金具組立体40の表面が洗浄される。洗浄工程に使用される水は、蒸留水、脱イオン水、水道水などである。また、金具組立体の表面をpH7以下に保つことができる強さのアルカリ性溶液とは、要するに、酸処理工程を終えた段階で金具組立体40の表面に残留した酸性溶液と中和反応しても、金具組立体40の表面のpHがpH7以下に保たれる程度の弱アルカリ性溶液である。
このような弱アルカリ性溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)などのアルカリ性薬剤の水溶液が挙げられる。これらのアルカリ性薬剤の水溶液を、pH7に近い状態に調製することで、洗浄工程において洗浄用の溶媒として用いることができる。
この洗浄工程では、金具組立体40の表面をpH7以下の状態に維持しつつ、金具組立体40の表面に付着した酸性溶液が除去される。なお、本実施形態にかかる方法では、洗浄工程の前に酸処理を行っているため、弱アルカリ性溶液を用いて金具組立体40を洗浄した場合にも、金具組立体40の表面はpH7以下の状態に維持される。
より好ましくは、洗浄工程において、金具組立体40の表面はpH7.0以下の状態で維持される。
洗浄工程において、金具組立体40の表面のpHは、pH4.0以上pH7.0以下の範囲内に制御されることがより好ましい。金具組立体の表面がpH4.0以上であると、メッキ処理工程におけるアルカリ性のメッキ浴のpH変動が大きくなりにくいので、メッキ層の形成の品質が安定する。
次に、洗浄工程が行われた金具組立体40に対し、メッキ層を形成する。この工程を、メッキ処理工程(ステップS15)と呼ぶ。メッキ処理工程は、アルカリ性のメッキ浴中で行われる。アルカリ性のメッキ浴としては、例えば、シアン化アルカリ浴、シンジケート浴などが挙げられる。アルカリ性のメッキ浴を用いるメッキ処理は、酸性のメッキ浴を用いるメッキ処理に比べて、メッキ浴の成分が単純なので管理が容易であるという利点を有する。
メッキ処理工程が行なわれることで、金具組立体40の主体金具30と接地電極11との表面にメッキ層が形成される。本実施形態のようにアルカリ性のメッキ浴を用いてメッキ処理を行う場合には、亜鉛を主成分とするメッキ層を形成する亜鉛メッキが好適に行われる。亜鉛を主成分とするメッキ層(以下、亜鉛メッキ層とも呼ばれる)は、前処理によってメッキの密着性を高めることのできるニッケルを主成分とするメッキ層と比較して、メッキ密着性を確保することが難しい。本実施形態にかかる製造方法では、メッキ処理工程の前の段階で、金具組立体40の表面への酸化皮膜の形成が抑制可能であるため、金具組立体40の表面に形成される亜鉛メッキ層の密着性を高めることができる。
なお、メッキ処理の方法としては、例えば、従来公知の電解メッキ処理が用いられる。電解メッキ処理には、従来公知のバレルメッキ装置などが使用される。本実施形態のメッキ処理では、例えば、3〜10μm程度のメッキ層が形成される。メッキ処理条件としては、アルカリ浴中でのメッキ処理において一般的に利用される処理条件を利用可能である。また、メッキ処理後には、金具組立体40の表面にクロメート層を形成する電解クロメート処理を行ってもよい。
以上のようにして、主体金具30および接地電極11の表面にメッキ層(具体的には、亜鉛メッキ層)が形成された金具組立体40が製造される。その後、接地電極11に凸部12が設けられる。また、この金具組立体40には、中心電極21および端子金具52が固定された絶縁体50が挿入され、加締め部31が径方向内側に加締められる加締め工程が行われる。そして、加締め工程後、接地電極11には、曲げ加工が施される。これにより、図1に示すように、接地電極11は、先端部が中心電極21の電極先端部22と対向するように折り曲げられる。このような工程を経て、図1に示すスパークプラグ1が製造される。
以上のように、本実施形態にかかるスパークプラグ1の製造方法では、酸処理工程(ステップS13)とメッキ処理工程(S15)との間に行われる洗浄工程(ステップS14)において、水または弱アルカリ性溶液などで金具組立体40を洗浄する。これにより、酸処理工程の終了後からメッキ処理工程が開始されるまでの期間、金具組立体40の表面のpHがpH7以下の状態に維持される。
洗浄工程において、金具組立体40の表面がpH7よりも上昇する(すなわち、酸性度がアルカリ性側に傾く)と、金具組立体40の表面に酸化皮膜が形成される。この酸化皮膜は、その後のメッキ処理工程において、金具組立体40の表面にメッキ層が付着するのを阻害する。そこで、上述のように、酸処理工程とメッキ処理工程との間に行われる洗浄工程において、金具組立体40の表面がpH7以下の状態に維持されることで、金具組立体40の表面に酸化皮膜が形成されることが抑制される。これにより、メッキ処理工程において、金具組立体40の表面に対する密着性のより高いメッキ層を形成することができる。
本発明の別の実施態様では、洗浄工程は含まれていなくてもよい。なお、洗浄工程を含まない製造方法の場合であっても、酸処理工程(ステップS13)の終了後からその後のメッキ処理工程(ステップS15)が開始されるまでの間、金具組立体40の表面はpH7以下の状態に維持される。すなわち、酸処理工程(ステップS13)の終了後からメッキ処理工程(ステップS15)が開始されるまでの間において、金具組立体40の表面がアルカリ性にならないようにする。これにより、メッキ処理工程の開始時において、酸処理工程において除去された酸化皮膜が、洗浄工程などを経ることによって再度形成されることを回避することができる。したがって、メッキ処理工程において、酸化皮膜の影響によって金具組立体40の表面に対するメッキ密着性が低下することを抑制することができる。
本発明の別の実施態様では、脱脂工程(ステップS12)は脱脂浴を通電させた状態で行う通電脱脂であってもよい。通電脱脂を行う場合には、脱脂工程(ステップS12)の後の酸処理工程(ステップS13)において十分に酸化皮膜を除去すればよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、本明細書で説明した異なる実施形態の構成を互いに組み合わせて得られる構成についても、本発明の範疇に含まれる。
1 :スパークプラグ
11 :接地電極
21 :中心電極
30 :主体金具
40 :金具組立体
50 :絶縁体

Claims (6)

  1. 筒状の主体金具と、
    前記主体金具に接合され、ニッケルを主成分とする接地電極と
    を備えているスパークプラグの製造方法であって、
    前記主体金具に前記接地電極が接合された金具組立体を準備する準備工程と、
    前記金具組立体の前記主体金具と前記接地電極との表面を脱脂する脱脂工程と、
    前記脱脂工程の後に、酸性溶液中に前記金具組立体の前記主体金具と前記接地電極とを浸漬させる酸処理工程と、
    前記酸処理工程の後に、アルカリ性のメッキ浴中で、前記金具組立体の前記主体金具と前記接地電極との表面にメッキ層を形成するメッキ処理工程と
    を含み、
    前記酸処理工程から前記メッキ処理工程の開始までの期間、前記金具組立体の表面をpH7以下の状態に維持する、
    スパークプラグの製造方法。
  2. 前記酸処理工程と前記メッキ処理工程との間に、
    水または前記金具組立体の表面をpH7以下に保つことができる強さのアルカリ性溶液で前記金具組立体を洗浄する洗浄工程
    をさらに含む、請求項1に記載のスパークプラグの製造方法。
  3. 前記脱脂工程は、通電されていない液体中に前記金具組立体を浸漬させることによって行われる、請求項1または2に記載のスパークプラグの製造方法。
  4. 前記メッキ処理工程では、亜鉛を主成分とするメッキ層を形成する、請求項1から3の何れか1項に記載のスパークプラグの製造方法。
  5. 前記接地電極は、マンガン、クロム、アルミニウム、およびチタンより選択される少なくとも一つの元素を合計で20重量%以下の含有量で含んでいる、請求項1から4の何れか1項に記載のスパークプラグの製造方法。
  6. 前記接地電極は、JIS G 4901に規格されるNCF材で形成されている、請求項1から5の何れか1項に記載のスパークプラグの製造方法。
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