JP6930327B2 - 防食端子材とその製造方法、及び防食端子並びに電線端末部構造 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、アルミニウム合金からなる自動車ワイヤーハーネス用アルミ電線が開示されている。
特許文献2には、第1の金属材料で構成された地金部と、第1の金属材料よりも標準電極電位の値が小さい第2の金属材料で構成され、地金部の表面の少なくとも一部にめっきで薄く設けられた中間層と、第2の金属材料よりも標準電極電位の値が小さい第3の金属材料で構成され、中間層の表面の少なくとも一部にめっきで薄く設けられた表面層とを有する端子が開示されている。第1の金属材料として銅又はこの合金、第2の金属材料として鉛又はこの合金、あるいは錫又はこの合金、ニッケル又はこの合金、亜鉛又はこの合金が記載されており、第3の金属材料としてはアルミニウム又はこの合金が記載されている。
また、コネクタ等の接点材料として接触抵抗の低減が求められるため、表面に錫層を形成すると良いが、錫ウィスカーの発生も防止する必要がある。
銅又は銅合金からなる基材と、該基材の上に形成された接点特性皮膜と、該接点特性皮膜の一部の上に形成された防食皮膜とを有し、
前記接点特性皮膜は、表面にリフロー処理された錫又は錫合金からなる第一錫層が形成されており、
前記防食皮膜は、前記接点特性皮膜の上に、亜鉛及びニッケルを含有する亜鉛ニッケル合金層と、該亜鉛ニッケル合金層の上に形成された錫又は錫合金からなる第二錫層と、該第二錫層の上に形成された金属亜鉛層とがこの順に積層されており、前記第一錫層と前記防食皮膜との間にニッケル錫合金が介在している。
防食皮膜においては、金属亜鉛層が形成されており、この金属亜鉛の腐食電位がアルミニウムと近いので、アルミニウム製心線と接触した場合の電食の発生を抑えることができる。しかも、第二錫層の下に亜鉛ニッケル合金層を有しており、その亜鉛が第二錫層の表面に拡散してくるので、金属亜鉛層が高濃度に維持される。万一、摩耗等により金属亜鉛層や第二錫層の全部又は一部が消失した場合でも、その下の亜鉛ニッケル合金層により電食の発生を抑えることができる。
一方で、金属亜鉛層が錫層の表面に存在すると、高温高湿や腐食性ガスなどの腐食環境下において接続信頼性が損なわれることがある。このため、防食皮膜が形成されていない部分については、リフロー処理された第一錫層を表面に有する接点特性皮膜とし、腐食環境に曝された際も接触抵抗の上昇を抑えることが可能となった。
また、リフロー処理を施さない錫層を接点予定部の表面に用いると、腐食環境下および摺動時に錫ウィスカーが生じ、接続信頼性を損ねることがある。このため、接点特性皮膜の最表面は無光沢錫でなく、無光沢錫をリフロー処理したリフロー錫層(第一錫層)とした。
まず、前記金属亜鉛層は端子として成形された後の表面に対する被覆率が30%以上80%以下であるとよい。
本実施形態の防食端子材1は、図2に全体を示したように、複数の端子を成形するための帯板状に形成されたフープ材であり、その両側部に長さ方向に沿って形成されたキャリア部21の間に、端子として成形すべき複数の端子用部材22がキャリア部21の長さ方向に間隔をおいて配置され、各端子用部材22が細幅の連結部23を介してキャリア部21に連結されている。各端子用部材22は例えば図3に示すような端子の形状に成形され、連結部23から切断されることにより、防食端子10として完成する。
図4は電線12に防食端子10をかしめた端末部構造を示しており、心線圧着部13の付近が電線12の心線12aに直接接触することになる。
この場合、接点予定部25は、実施形態のメス端子においては、角筒状に形成される接続部11の内面と、その接続部11内に折り込まれているばね片11aとの対向面に形成される。接続部11を展開した状態においては、接続部11の両側部の表面、ばね片11aの裏面が接点予定部25となる。
なお、(3)の場合、中間合金層32がFIB等による観察では層としてまでは認識できず、接点特性皮膜用下地層31の上に直接第一錫層33が形成されているように認識される場合がある。
また、第一錫層33の表面には薄く酸化物層34が形成される。
この金属亜鉛層44は、防食端子10として成形された後の表面(端子用部材22の表面)の30%以上80%以下の被覆率で存在するのが望ましい。
以下、接点特性皮膜30及び防食皮膜40のそれぞれについて、層ごとに説明する。
接点特性皮膜用下地層31を設ける場合は、基材2から中間合金層32や第一錫層33への銅の拡散を防止する機能があり、耐熱性の向上に寄与する。例えば、平均厚みが0.1μm以上5.0μm以下で、ニッケル含有率は80質量%以上が好ましい。その平均厚みが0.1μm未満では銅の拡散防止効果に乏しく、5.0μmを超えるとプレス加工時に割れが生じ易い。この接点特性皮膜用下地層31の平均厚みは、0.3μm以上2.0μm以下の厚さとするのがより好ましい。
また、そのニッケル含有率が80質量%未満では銅の拡散防止効果が小さい。このニッケル含有率は90質量%以上とするのがより好ましい。
(1)の場合は、基材2の上に、銅めっき層、錫めっき層を順に形成して、リフロー処理することにより得られた層であり、Cu6Sn5やCu3Sn等を主成分とする銅錫(Cu−Sn)金属間化合物層からなる。(2)の場合は、基材2の上にニッケルめっき層を形成し、その上に銅めっき層、錫めっき層を順に形成して、リフロー処理することにより得られた層であり、Ni3Sn4を主成分とするニッケル錫(Ni−Sn)金属間化合物を有するニッケル層と、Cu6Sn5やCu3Sn等を主成分とする銅錫(Cu−Sn)金属間化合物層との積層構造からなる。(3)の場合は、基材2の上にニッケルめっき層を形成し、その上に錫めっき層を形成して、リフロー処理することにより得られた層であり、Ni3Sn4を主成分とするニッケル錫(Ni−Sn)金属間化合物を有するニッケル層からなる。
この中間合金層32は、(1)又は(2)の場合の平均厚みは0.1μm以上3.0μm以下が好ましい。この場合、リフロー処理により第一錫層33の内部歪みが解放されることで、均一な中間合金層32が形成されるため、錫ウィスカーが発生し難くなる。なお、リフロー処理が不足して中間合金層32の平均厚みが薄くなりすぎると、第一錫層33の内部歪みが解放しきれず、錫ウィスカーが発生し易くなる。一方、中間合金層32の平均厚みが厚過ぎると、加工時に割れが発生しやすくなる。
中間合金層32が(3)の場合は、錫ウィスカーの原因である経時変化によって生成する不均一な錫銅合金が生成しないため、錫ウィスカーが発生し難い。またその平均厚みは0.01μm以上2.0μm以下が好ましい。リフロー処理が不足して平均厚みが薄くなりすぎると、第一錫層33の内部歪みが解放しきれず、錫ウィスカーが発生し易くなる。一方、平均厚みが厚過ぎると、加工時に割れが発生しやすくなる。
防食皮膜用下地層41は、接点特性皮膜30からの成分(特に基材2からの銅成分)拡散を防止するバリアとして機能し、耐熱性向上に寄与する。接点特性皮膜用下地層31と同じ組成のものを用いることができるが、接点特性皮膜用下地層31を設け、かつ中間合金層32に銅が存在しない(3)の場合、表面側に銅が存在しなくなるため、防食皮膜40への銅の拡散が防止できている。よって銅の拡散防止効果はすでに得られているため、防食皮膜用下地層41を形成してもしなくなくてもよい。なお、使用環境等によっては防食皮膜用下地層41は必ずしも必要ではない。
この亜鉛ニッケル合金層42の平均厚みが0.1μm未満では表面の腐食電位を卑化させる効果が乏しく、5.0μmを超えると防食端子10へのプレス加工時に割れが発生するおそれがある。亜鉛ニッケル合金層42の平均厚みは、0.3μm以上2.0μm以下がより好ましい。
亜鉛ニッケル合金層42のニッケル含有率が5質量%未満では、第二錫層43を形成するための後述する錫めっき時に置換反応が発生し、錫めっき(第二錫層43)の密着性が低下する。亜鉛ニッケル合金層42中のニッケル含有率が35質量%を超えると表面の腐食電位を卑化させる効果が少ない。このニッケル含有率は7質量%以上20質量%以下とするのがより好ましい。亜鉛ニッケル合金層42は少なくとも心線接触予定部26に形成され、表面への亜鉛拡散による接点不良を防ぐために、接点予定部25には存在しない。
一方、金属亜鉛層44のSiO2換算厚みが1nm未満では腐食電位を卑化する効果が乏しく、10nmを超えると接触抵抗が悪化するおそれがある。このSiO2換算厚みは1.25nm以上3nm以下がより好ましい。
なお、金属亜鉛層44の表面には、亜鉛や錫の酸化物層45が薄く形成される。
基材2として、銅又は銅合金からなる板材を用意し、この板材に脱脂、酸洗等の処理をすることによって表面を清浄にする。
接点特性皮膜30については、前述した各めっき層を形成した後、リフロー処理する。リフロー処理は、基材2の表面温度が240℃以上360℃以下になるまで昇温後、当該温度に1秒以上12秒以下の時間保持した後、急冷することにより行われる。
なお、接点特性被膜30を形成した基材2を裁断、加工することなく、脱脂、酸洗等の表面清浄化処理をした後に、マスクして部分的に防食皮膜40を形成し、その後に裁断、加工してフープ材に成形してもよい。
防食端子10へのプレス曲げ性と銅に対するバリア性を勘案すると、スルファミン酸浴から得られる純ニッケルめっきが望ましい。
また、ニッケルストライクめっきは、次工程の防食皮膜40の下地層41を形成するためのニッケル又はニッケル合金めっきあるいは亜鉛ニッケル合金層42を形成するための亜鉛ニッケル合金めっきの密着性を上げることができるのであれば特に限定されず、公知のウッド浴などを用いて電気めっきにより形成することができる。なお、このニッケルストライクめっきは水素を多く含むため、長時間とならないように薄く形成するのが好ましい。
この熱処理は、素材の表面温度が30℃以上190℃以下となる温度で加熱する。この熱処理により、接点予定部25以外の部分では、亜鉛ニッケル合金めっき層中の亜鉛が錫めっき層内および錫めっき層上に拡散し、表面に薄く金属亜鉛層44を形成する。亜鉛の拡散は速やかに起こるため、30℃以上の温度に24時間以上晒すことで金属亜鉛層44を短時間で確実に形成することができる。ただし、亜鉛ニッケル合金は溶融錫をはじき、第二錫層43に錫はじき箇所を形成するため、190℃を超える温度には加熱しない。
ただし、時間経過によって、接点予定部25以外の部分では、亜鉛ニッケル合金めっき層中の亜鉛が錫めっき層内に拡散して第二錫層43を形成し、さらに第二錫層43上に拡散し、表面に薄く金属亜鉛層44を形成する。そのため、めっき処理直後に本端子を使用する場合を除いて、本熱処理工程は必須ではない。
図4は電線12に防食端子10をかしめた端末部構造を示しており、心線かしめ部13付近が電線12の心線12aに直接接触することになる。
しかも、第二錫層43の下に亜鉛ニッケル合金層42が形成されており、その亜鉛が第二錫層43の表面部分に拡散してくるので、摩耗等による金属亜鉛層44の消失を抑制し、金属亜鉛層44が高濃度に維持される。また、万一、摩耗等により第二錫層43の全部又は一部が消失した場合でも、その下の亜鉛ニッケル合金層42はアルミニウムと腐食電位が近いので、電食の発生を抑えることができる。
また、錫ウィスカーの原因の大きな要因として、錫めっきの粒界に沿って発生する銅錫合金による内部応力があるが、リフロー処理によって、銅錫合金が初期から均一に生成しているため、錫ウィスカーが生じにくい。
例えば、接点予定部25以外の部分において、表面の金属亜鉛層44を亜鉛ニッケル合金層42からの拡散によって形成したが、第二錫層43の表面に亜鉛めっきにより金属亜鉛層44を直接形成してもよい。この亜鉛めっきは公知の方法により行うことができるが、例えばジンケート浴、硫酸塩浴、塩化亜鉛浴、シアン浴を用いて電気めっきすることができる。
・めっき浴組成
スルファミン酸ニッケル:300g/L
塩化ニッケル:5g/L
ホウ酸:30g/L
・浴温:45℃
・電流密度:5A/dm2
・めっき浴組成
硫酸銅五水和物:200g/L
硫酸:50g/L
・浴温:45℃
・電流密度:5A/dm2
・めっき浴組成
メタンスルホン酸錫:200g/L
メタンスルホン酸:100g/L
光沢剤
・浴温:25℃
・電流密度:5A/dm2
活性化処理としては、5%濃度の水酸化ナトリウム水溶液を用いて試料を20秒間洗浄した。
ニッケルストライクめっきは、後述のめっき条件で40秒間めっきした。
これら三つの処理の間には水洗処理を施した。
また、比較のため、アルカリ電解脱脂処理、活性化処理の後、ニッケルストライクめっきを施さなかったものも作製した。
なお、ニッケルストライクめっきの前処理である脱脂処理及び活性化処理を過剰に行った場合、表層の錫が溶解して中間合金層の一部が露出し、そこにニッケルが異常析出して密着性を悪化させる場合がある。そのため、脱脂処理及び活性化処理は中間合金層を露出させない条件で行う必要がある。図6は、中間合金層を露出させた上でニッケルストライクめっきを施したことにより、ニッケルめっきが異常析出した例であり、その異常析出部の電子顕微鏡像である。
接点特性皮膜30として、接点特性皮膜用下地層31を介して、ニッケルと錫との金属間化合物を有するニッケル層からなる中間合金層32を形成したもの(前述の(3))とし、その接点特性皮膜30に、同様にアルカリ電解脱脂、アルカリ活性化処理して、ニッケルストライクめっきを施した後、防食皮膜40を形成した端子材も作製した(試料12)。
試料15は、試料10,11と同じ接点特性用皮膜30の上に防食皮膜用下地層を形成しないで、亜鉛ニッケル合金層42、第二錫層43、金属亜鉛層44からなる防食皮膜40を形成した。また、試料16は、試料12と同じ接点特性用皮膜30の上に防食皮膜用下地層を形成しないで、亜鉛ニッケル合金層42、第二錫層43、金属亜鉛層44からなる防食皮膜40を形成した。
・めっき浴組成
塩化ニッケル:300g/L
塩酸:100ml/L
・浴温:25℃
・電流密度:5A/dm2
・めっき浴組成
スルファミン酸ニッケル:300g/L
塩化ニッケル:5g/L
ホウ酸:30g/L
・浴温:45℃
・電流密度:5A/dm2
・めっき浴組成
硫酸亜鉛七水和物:75g/L
硫酸ニッケル六水和物:180g/L
硫酸ナトリウム:140g/L
・pH=2.0
・浴温:45℃
・電流密度:5A/dm2
・めっき浴組成
メタンスルホン酸錫:200g/L
メタンスルホン酸:100g/L
光沢剤
・浴温:25℃
・電流密度:5A/dm2
断面観察は、セイコーインスツル株式会社製の集束イオンビーム装置:FIB(型番:SMI3050TB)を用いてめっきの断面加工を行った後、SIM像の測定を行った。
ニッケル錫合金の有無およびその同定は、セイコーインスツル株式会社製の集束イオンビーム装置:FIB(型番:SMI3050TB)を用いて、試料を100nm以下に薄化した断面の試料を作製し、この試料をFEI社製の走査透過型電子顕微鏡:STEM(型番:Titan G2 ChemiSTEM)を用いて、加速電圧200kVで観察を行い、STEMに付属するエネルギー分散型X線分析装置:EDSを用いて測定した。
第二錫層43中の亜鉛濃度は日本電子株式会社製の電子線マイクロアナライザー:EPMA(型番JXA−8530F)を用いて、加速電圧6.5V、ビーム径φ30μmとし、試料表面を測定した。
亜鉛ニッケル合金層42のニッケル含有率は、第二錫層43のみを形成せず、最表面が亜鉛ニッケル合金層42であるサンプルに日本電子株式会社製の電子線マイクロアナライザー:EPMA(型番JXA−8530F)を用いて、加速電圧6.5V、ビーム径φ30μmとし、試料表面を測定した。
X線源:Standard MgKα 350W
パスエネルギー:187.85eV(Survey)、58.70eV(Narrow)
測定間隔:0.8eV/step(Survey)、0.125eV(Narrow
)
試料面に対する光電子取り出し角:45deg
分析エリア:約800μmφ
SiO2のエッチングレートの算出方法は、20nmの厚みであるSiO2膜を2.8×3.5mmの長方形領域でアルゴンイオンでエッチングを行い20nmをエッチングするのに要した時間で割ることによって算出した。上記分析装置の場合には8分要したためエッチングレートは2.5nm/minである。XPSは深さ分解能が約0.5nmと優れるが、Arイオンビームでエッチングされる時間は各材料により異なるため、膜厚そのものの数値を得るためには、膜厚が既知かつ平坦な試料を調達し、エッチングレートを算出しなければならない。上記は容易でないため、膜厚が既知であるSiO2膜にて算出したエッチングレートで規定し、エッチングに要した時間から算出される「SiO2換算膜厚」を利用した。このため「SiO2換算膜厚」は実際の酸化物の膜厚と異なる点に注意が必要である。SiO2換算エッチングレートで膜厚を規定すると、実際の膜厚は不明であっても、一義的であるため定量的に膜厚を評価することができる。
なお、このSiO2換算膜厚は金属亜鉛濃度が所定値以上となっている部分の膜厚であり、金属亜鉛の濃度を部分的に測定できる場合でも、その層が極めて薄く分散している場合にはSiO2換算膜厚としては測定できない場合がある。
これらの測定結果を表1に示す。表1中、金属亜鉛層44のSiO2換算膜厚が「−」とされている試料1〜3は、膜厚としては測定できなかったことを示している。また、試料17,18は、クロスカット試験で剥離が生じたため、防食皮膜についての測定は実施しなかった。
試料19〜21は基材の接点特性用皮膜30の上に防食皮膜を形成していないため、また、試料22は接点特性皮膜を形成せずに防食皮膜40のみを形成したため、クロスカット試験を実施しなかった。
また、JEITA RC−5241「電子機器コネクタのウィスカ試験方法」の荷重試験に準拠し、球圧子法で、荷重を2N、試験時間を120時間としてウィスカーの有無を観察した。ウィスカーが認められたものを「×」、認められなかったものを「〇」とした。
<高温高湿環境試験>
純アルミニウム線をかしめた090型のメス端子を85℃、85%RHに96時間放置した。その後、アルミニウム線と端子間の接触抵抗を四端子法により測定した。電流値は10mAとした。
純アルミニウム線をかしめた090型のメス端子を23℃の5%塩化ナトリウム水溶液(塩水)に24時間浸漬後、85℃、85%RHの高温高湿環境下に24時間放置し、その後、アルミニウム線と端子間の接触抵抗を四端子法により測定した。電流値は10mAとした。
<高熱環境放置試験>
純アルミニウム線をかしめた端子を150℃に500時間放置した。その後、090型の錫めっきを実施したオス端子を嵌合し端子間の接触抵抗を四端子法により測定した。
これらの結果を表2に示す。
また、アルミニウム製心線が接触する防食皮膜40の部分には、表面に金属亜鉛層が形成されていることで、優れた防食性を有することがわかる。そのうち、金属亜鉛層の亜鉛濃度が5at%以上40at%以下でSiO2換算厚みが1nm以上10nm以下である試料4〜16は、いずれも腐食環境(塩水)放置試験後の接触抵抗が試料1〜3よりも低かった。
図7は試料10の断面の顕微鏡像であり、図8は試料13の断面の顕微鏡像である。
これに対して、比較例の試料22は、防食皮膜40のみからなり、表面に金属亜鉛層を有していたため、腐食環境放置試験で接触抵抗が増大した。また、試料1〜3は、全面が接点特性皮膜のリフロー錫(第一錫層)であり、表面金属亜鉛層を有していなかったため、腐食環境放置試験で激しい腐食が認められ、接触抵抗が著しく増加した。
2 基材
10 防食端子
11 接続部
12 電線
12a 心線(アルミニウム製心線)
12b 被覆部
13 心線圧着部
14 被覆圧着部
25 接点予定部
26 心線接触予定部
30 接点特性皮膜
31 接点特性皮膜用下地層
32 中間合金層
33 第一錫層
34 酸化物層
40 防食皮膜
41 防食皮膜用下地層
42 亜鉛ニッケル合金層
43 第二錫層
44 金属亜鉛層
45 酸化物層
Claims (10)
- 銅又は銅合金からなる基材と、該基材の上に形成された接点特性皮膜と、該接点特性皮膜の一部の上に形成された防食皮膜とを有し、
前記接点特性皮膜は、表面にリフロー処理された錫又は錫合金からなる第一錫層が形成されており、
前記防食皮膜は、前記接点特性皮膜の上に、亜鉛及びニッケルを含有する亜鉛ニッケル合金層と、該亜鉛ニッケル合金層の上に形成された錫又は錫合金からなる第二錫層と、該第二錫層の上に形成された金属亜鉛層とがこの順に積層されており、
前記第一錫層と前記防食皮膜との間にニッケル錫合金が介在していることを特徴とする防食端子材。 - 前記金属亜鉛層は端子として成形された後の表面に対する被覆率が30%以上80%以下であることを特徴とする請求項1記載の防食端子材。
- 前記金属亜鉛層は、亜鉛濃度が5at%以上40at%以下で厚みがSiO2換算で1nm以上10nm以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の防食端子材。
- 前記亜鉛ニッケル合金層は、ニッケル含有率が5質量%以上35質量%以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の防食端子材。
- 前記第二錫層は亜鉛を0.4質量%以上15質量%以下含有する錫合金からなることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の防食端子材。
- 前記基材と前記第一錫層との間、又は前記第一錫層と前記亜鉛ニッケル合金層との間の少なくともいずれかに、ニッケル又はニッケル合金からなる下地層が形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載の防食端子材。
- 帯板状に形成されるとともに、その長さ方向に沿うキャリア部に、前記防食皮膜及び前記接点特性皮膜を有する端子用部材が前記キャリア部の長さ方向に間隔をおいて複数連結されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項記載の防食端子材。
- 請求項1から7のいずれか一項記載の防食端子材からなることを特徴とする防食端子。
- 請求項8記載の防食端子がアルミニウム又はアルミニウム合金からなる電線の端末に圧着されていることを特徴とする電線端末部構造。
- 請求項1から5のいずれか一項に記載の防食端子材の製造方法であって、
前記基材の上に錫めっきを施した後に加熱して急冷するリフロー処理することにより、前記第一錫層を表面に有する前記接点特性皮膜を形成し、該接点特性皮膜の第一錫層の表面を脱脂及び活性化処理し、その後、該第一錫層の上にニッケルストライクめっきを施した後、前記防食皮膜を形成することを特徴とする防食端子材の製造方法。
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