JPH1116657A - スパークプラグ - Google Patents

スパークプラグ

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JPH1116657A
JPH1116657A JP18456897A JP18456897A JPH1116657A JP H1116657 A JPH1116657 A JP H1116657A JP 18456897 A JP18456897 A JP 18456897A JP 18456897 A JP18456897 A JP 18456897A JP H1116657 A JPH1116657 A JP H1116657A
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JP
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inorganic compound
metal
center electrode
spark plug
weight
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JP18456897A
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English (en)
Inventor
Tomosato Katou
友聡 加藤
Katsu Oshima
克 大嶋
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Niterra Co Ltd
Original Assignee
NGK Spark Plug Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電極形状やギャップ幅によらず火花放電電圧
を本質的に低くすることが可能であり、電極の耐消耗性
や着火性を損なうことなく、比較的低電圧でエネルギー
密度の高い火花を発生させることができるスパークプラ
グを提供する。 【解決手段】 スパークプラグ100は、中心電極3
と、その中心電極3の外側に設けられた絶縁体2と、絶
縁体2の外側に設けられた主体金具1と、中心電極3と
対向するように配置された接地電極4とを備える。中心
電極3と接地電極4との少なくとも一方に発火部31な
いし32が設けられ、火花放電ギャップgが形成され
る。そして、該発火部31ないし32は、母材金属に対
し、その母材金属よりも熱電子放出性の優れた無機化合
物を混在させた金属−無機化合物複合材料により構成さ
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はガソリンエンジンや
ガスヒートポンプ等の内燃機関に使用されるスパークプ
ラグに関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、自動車用その他のガソリンエン
ジンあるいはLPガスエンジン、さらにはガスヒートポ
ンプ等の内燃機関には、その着火源としてスパークプラ
グが使用されている。例えば自動車用ガソリンエンジン
の場合、主として燃費向上のため近年は混合気の圧縮比
が高く設定されることが多くなってきている。この場
合、混合気の圧縮比が高くなると、シリンダ内空間の単
位体積当りの燃料混合気の量が増大するので、スパーク
プラグに印加される放電電圧も高くなることが多くなっ
てきている。また、LPガスエンジンやガスヒートポン
プの場合は、火花放電のためのブレークダウン電圧が本
質的に高いLPガスや都市ガス(例えば天然ガス等)を
使用するため、スパークプラグの放電電圧も必然的に高
くなる。
【0003】ここで、スパークプラグの放電電圧を低減
する手法としては、例えば電極間の対向面積を小さくし
て電界を集中させることが考えられる。具体的には、電
極の径を小さくしたり、あるいは電極の先端部を縮径す
る、ないしは凹凸や溝を形成する等の方法が講じられて
いる。また、電極間の対向面積を小さくする代わりに、
電極間のギャップを狭くする方法もある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、放電電
圧を高めるための上記従来の方法のうち、電極径を小さ
くする方法の場合は、繰返し放電に対する電極の耐消耗
性が悪化し、スパークプラグの寿命が短くなってしまう
欠点がある。また、電極の先端部を縮径したり、あるい
は凹凸や溝を形成する方法では、電極の先端形状が複雑
化して製造が困難となり、スパークプラグのコストアッ
プを招いてしまう問題がある。一方、電極間のギャップ
を狭くする方法では、スパークプラグの着火性が低下し
やすい欠点がある。
【0005】本発明の課題は、電極形状やギャップ幅に
よらず火花放電電圧を本質的に低くすることが可能であ
り、ひいては電極の耐消耗性や着火性を損なうことな
く、比較的低電圧でエネルギー密度の高い火花を発生さ
せることができるスパークプラグを提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】本発明
は、中心電極と、その中心電極の外側に設けられた絶縁
体と、絶縁体の外側に設けられた主体金具と、中心電極
と対向するように配置された接地電極と、それら中心電
極と接地電極との間で火花放電ギャップを形成する発火
部とを備えたスパークプラグに係るものである。そし
て、上述の課題を解決するためにその第一の構成は、母
材金属に対し、該母材金属よりも仕事関数の値が2.2
eV以上小さい無機化合物を混在させた金属−無機化合
物複合材料により、上記発火部の少なくとも一方が構成
されることを特徴とする。すなわち、母材金属の仕事関
数をφA、無機化合物の仕事関数をφBとしたときに、φ
A−φBが2.2eV以上とされる。
【0007】なお、上記金属−無機化合物複合材料で構
成される発火部を接地電極及び/又は中心電極に形成す
る方法としては、該金属−無機化合物複合材料からなる
チップを接地電極及び/又は中心電極に対し溶接により
接合する方法を例示できる。この場合、発火部は、接合
されたチップのうち、溶接による組成変動の影響を受け
ていない部分(例えば、溶接により接地電極ないし中心
電極の材料と合金化した部分を除く残余の部分)を指す
ものとする。一方、接地電極及び/又は中心電極の全体
を上記金属−無機化合物複合材料により構成することも
可能であり、この場合は、その接地電極ないし中心電極
のうち、火花放電ギャップを構成する部分が発火部とし
て機能することとなる。
【0008】上記構成のスパークプラグにおいては、そ
の発火部が、母材金属と、母材金属よりも熱電子放出性
の優れた無機化合物を混在させた金属−無機化合物複合
材料で構成されていることから、電極形状やギャップ幅
によらずスパークプラグの火花放電電圧を本質的に低く
することが可能となる。これにより、電極の耐消耗性や
着火性を損なうことなく、比較的低電圧でエネルギー密
度の高い火花を発生させることができるスパークプラグ
が実現される。
【0009】本発明の構成により、スパークプラグの火
花放電電圧を本質的に低くできる理由は以下のように推
考される。すなわち、混合気中での火花放電は、一般に
は、電極への印加電圧が該電極からの電子放出密度が一
定以上となる値に到達したときに、その電子放出をトリ
ガとして混合気中の特定分子(例えば燃料分子)が連鎖
的にイオン化する、いわゆる電子なだれの機構に基づい
て生ずると考えられる。そして、母材金属に対してそれ
よりも熱電子放出性の優れた無機化合物を混在させれば
発火部全体の熱電子放出性が高められ、上記電子なだれ
を生ずるために必要な電子放出密度も比較的低い印加電
圧レベルで確保できるようになり、結果としてスパーク
プラグの火花放電電圧を低くすることが可能になるもの
と考えられる。
【0010】ところで、物質の熱電子放出性を反映した
一つの指標として仕事関数がある。仕事関数は、物質の
結晶表面から1個の電子を表面のすぐ外側に取り出すの
に必要な最小のエネルギーとして定義され、電子放出が
熱励起過程で起こると考えた場合、仕事関数の小さい物
質ほど電子1個を放出するために必要な熱エネルギーは
少なくて済み、結果として同一温度でより多くの熱電子
を放出できるということになる。従って、母材金属に対
し混在させる無機化合物は、熱電子放出性を向上させる
観点においては、該母材金属よりも仕事関数の値が小さ
い物質を採用することが望ましいといえる。
【0011】ここで、φA−φBが2.2eV未満になる
と、無機化合物混合による熱電子放出特性向上の効果が
十分に達成されなくなり、ひいてはスパークプラグの放
電電圧を下げる効果を十分に期待できなくなる場合があ
る。なお、発火部を構成する金属−無機化合物複合材料
は、母材金属に対し、仕事関数の値(φB)が3.0e
V以下である無機化合物を混在させたものとすればさら
によい。すなわち、仕事関数が上記値以下の無機化合物
を使用することにより、得られる金属−無機化合物複合
材料の熱電子放出性をさらに顕著に高めることができ、
ひいてはスパークプラグの放電電圧をより効果的に下げ
ることが可能となる。
【0012】上記スパークプラグの構成においては、金
属−無機化合物複合材料中の無機化合物として、融点が
1900℃以上のものを使用することが望ましい。融点
が1900℃以上の無機化合物を使用することで、少な
くとも無機化合物配合による発火部の耐熱性低下といっ
た問題が生ずる恐れがなく、母材金属の材質によっては
発火部の耐熱性向上の効果が期待できる場合もある。な
お、使用する無機化合物は、その融点がより望ましくは
2000℃以上のものを使用するのがよい。
【0013】なお、本発明のスパークプラグの第二の構
成は、前述の発火部の少なくとも一方が、仕事関数の値
(φB)が3.0eV以下であり、かつ融点が2000
℃以上の無機化合物を母材金属に対し混在させた金属−
無機化合物複合材料で構成されていることを特徴とす
る。また、第三の構成は、母材金属に対し、該母材金属
よりも仕事関数の値が2.2eV以上小さく(すなわ
ち、前述のφA−φBの値が2.2eV以上である)、か
つ融点が2000℃以上である無機化合物を混在させた
金属−無機化合物複合材料で発火部が構成されているこ
とを特徴とする。なお、上記第二の構成においては、φ
Bが3.0eV以下であって、かつφA−φBの値が2.
2eV以上となっていれば、スパークプラグの放電電圧
を下げる上でさらによい。
【0014】また、金属−無機化合物複合材料は、母材
金属の原料粉末に対し無機化合物の原料粉末を混合し
て、これを成形・焼結する粉末冶金法により製造でき
る。また、母材金属の原料を溶解させつつ無機化合物の
原料粉末をこれに分散させる溶解法により製造すること
もできる。なお、金属−無機化合物複合材料中の無機化
合物粒子の平均粒径は0.1〜20μmの範囲で調整す
るのがよい。平均粒径が0.1μm未満になると無機化
合物粒子を母材金属中に均一分散させることが困難にな
り、複合材料が脆弱化してその加工性が悪化する場合が
ある。一方、平均粒径が20μmを超えると、粗大な無
機化合物粒子の影響により、同様に複合材料が脆弱化し
て加工が困難になる場合がある。
【0015】次に、上記金属−無機化合物複合材料に使
用される無機化合物としては、例えばLaB6を主体と
するものを好適に使用することができる。これら各物質
は、いずれも仕事関数の値が3.1eV以下で熱電子放
出性に優れており、スパークプラグの放電電圧を下げる
効果がとりわけ顕著である。また、LaB6は融点が約
2720℃と高く、発火部の耐熱性も十分に確保でき
る。なお、本発明のスパークプラグの第三の構成は、母
材金属に対し、LaB6を主体とする無機化合物を混在
させた金属−無機化合物複合材料で発火部が構成される
ことを特徴とする。
【0016】以上、本発明のスパークプラグの第一〜第
三の構成において、金属−無機化合物複合材料を構成す
る母材金属は、Ir、Pt及びWの少なくともいずれか
を主体に構成することができる。これらの材質からなる
母材金属は耐熱性と耐腐食性に優れるので、発火部の主
要成分として本発明に好適に使用できる。
【0017】また、本発明のスパークプラグの第四の構
成は、Irを主体とする母材金属に対しBaOを主体と
する無機化合物を混在させた金属−無機化合物複合材料
により、発火部の少なくとも一方が構成されていること
を特徴とする。BaOは、融点が1920℃とLaB6
と比較すれば低いが、Irを主体とする母材金属は高融
点であり、発火部の耐熱性を十分に確保できる。
【0018】なお、本発明において使用可能な各種物質
の仕事関数の値は、下記表1に示すものを採用するもの
とする。
【0019】
【表1】
【0020】表1の仕事関数のデータの出典は、次の文
献である。 D. A. Wright, Proc. I.E.E., Part II, 100 (1953),
p.125-139.
【0021】なお、本発明のスパークプラグに使用され
る金属−無機化合物複合材料は、その無機化合物の材質
として2種以上の無機化合物を混合ないし複合させた無
機化合物混合物あるいは複合物とすることができる。本
発明においては、その混合物あるいは複合物の仕事関数
の値は、個々の無機化合物の仕事関数の値を、そのモル
配合比を用いて平均化した値を採用するものとする。例
えばn種類の無機化合物を混合ないし複合させる場合、
配合する無機化合物の各仕事関数値をφk(k=1,‥
‥,n)、各配合モル分率をNk(k=1,‥‥,n、
N1+‥‥+Nn=1)として、その平均化された仕事
関数値φcは、下記数1に基づいて計算されたものを採
用するものとする。
【0022】
【数1】
【0023】次に、上記本発明のスパークプラグの第一
〜第四の構成において、金属−無機化合物複合材料は、
その無機化合物の一部を、元素周期律表の3A族(いわ
ゆる希土類元素)及び4A族(Ti、Zr、Hf)に属
する金属元素の酸化物で構成することができる。これに
より、Ir成分の酸化・揮発による消耗がさらに効果的
に抑制される。この場合、上記金属元素酸化物の配合量
は、無機化合物の全体の含有量に対する重量比率が0.
1〜50重量%となるように調整するのがよい。該金属
元素酸化物の重量比率が0.1重量%未満になると、該
酸化物添加によるIr成分の酸化・揮発抑制効果が顕著
でなくなる。一方、重量比率が50重量%を超えると、
放電電圧低下の効果が十分に達成されなくなる場合があ
る。上記重量比率はより望ましくは0.5〜30重量%
の範囲で調整するのがよい。なお、上記金属元素酸化物
としては、Y23が好適に使用されるが、このほかにも
LaO3、ThO2、ZrO2等を好ましく使用すること
ができる。
【0024】例えば、LaB6を70重量%に対しY2
3を30重量%混在させたものを無機化合物として使用
する場合の、上記仕事関数φcの計算例は以下の通りで
ある。 LaB6:式量203.8、仕事関数φ=2.
66eV(表1より) Y23:式量225.8、仕事関数φ=3.16eV
(表1より) φc=(0.7×203.8×2.66+0.3×22
5.8×3.16)÷(0.7×203.8+0.3×
225.8)=2.82eV
【0025】また、金属−無機化合物複合材料は、無機
化合物の混合比率が1〜20体積%の範囲で調整されて
いることが望ましい。無機化合物の混合比率が1体積%
未満になると、無機化合物混合による放電電圧低下の効
果が不十分となる場合がある。一方、無機化合物の混合
比率が20体積%を超えると、発火部を形成するための
前述のチップが脆弱化して加工が困難となり、ひいては
スパークプラグの製造に支障を来たすこともありうる。
なお、上記無機化合物の混合比率は、より望ましくは1
〜10体積%の範囲で調整するのがよい。
【0026】次に、母材金属は単体金属の他に、合金を
使用することが可能である。本発明においては、その合
金の仕事関数の値は、個々の合金構成成分の個別の仕事
関数の値を、そのモル配合比を用いて平均化した値を採
用するものとする。例えばm種類の合金成分からなる合
金の場合、配合する合金成分の各仕事関数値をφj(j
=1,‥‥,m)、各配合モル分率をNj(j=1,‥
‥,n、N1+‥‥+Nm=1)として、その平均化さ
れた仕事関数値φmは、下記数2に基づいて計算された
ものを採用するものとする。
【0027】
【数2】
【0028】例えば、Irに対しRhを20重量%含有
させた合金を母材金属として使用する場合の、上記仕事
関数φmの計算例は以下の通りである。 Ir:原子量192.2、仕事関数φ=5.3eV(表
1より) Rh:原子量102.9、仕事関数φ=4.8eV(表
1より) φm=(0.8×192.2×5.3+0.2×10
2.9×4.8)÷(0.8×192.2+0.2×1
02.9)=5.24eV
【0029】例えば、従来スパークプラグとして、耐火
花消耗性向上のために電極の先端にPt(白金)合金の
チップを溶接して発火部を形成したものが使用されてい
るが、白金は高価であるためチップ材料として安価なI
r(イリジウム)を使用する提案がなされている。しか
しながら、母材金属をIrで構成した場合、Irは90
0〜1000℃の高温域において酸化・揮発しやすい性
質を有しているため、そのまま発火部に使用すると、火
花消耗よりも酸化・揮発による消耗が問題となる欠点が
ある。従って、市街地走行のような温度の低い条件であ
れば耐久性はよいが、高速連続運転の場合には、耐久性
が極端に低下してしまう問題がある。そこで、Irを主
体とする母材金属を使用する場合、下記のようなIr合
金を使用することが望ましい。
【0030】(1)Irを主体としてRhを1〜50重
量%(ただし50重量%は含まない)の範囲で含有する
合金を使用する。該合金の使用により、高温でのIr成
分の酸化・揮発による発火部の消耗が効果的に抑制さ
れ、ひいては耐久性に優れたスパークプラグが実現され
る。
【0031】上記合金中のRhの含有量が3重量%未満
になるとIrの酸化・揮発の抑制効果が不十分となり、
発火部が消耗しやすくなるためプラグの耐久性が低下す
る。一方、Rhの含有量が50重量%以上になると合金
の融点が著しく低下し、プラグの耐久性が同様に低下す
る。以上のことから、Rhの含有量は前述の範囲で調整
するのがよく、望ましくは7〜30重量%、より望まし
くは15〜25重量%、最も望ましくは18〜22重量
%の範囲で調整するのがよい。
【0032】(2)Irを主体としてRhを1〜49.
5重量%の範囲で含有し、さらにWを0.5〜12重量
%の範囲で含有した合金を使用する。該合金を使用する
ことで、高温でのIr成分の酸化・揮発による発火部の
消耗が効果的に抑制されるとともに、合金がさらに上記
範囲のWを含有することにより、その加工性が劇的に改
善される。これにより、耐久性(特に高速走行時の耐久
性)と量産性の双方に優れたスパークプラグを実現する
ことができる。
【0033】合金中のWの含有量が0.5重量%未満に
なると、合金の加工性改善効果が十分に達成できなくな
り、例えば加工中に割れやクラックなどが生じやすくな
って、発火部となるべきチップを製造する際の材料歩留
まりの低下につながる。また、熱間打抜き加工等により
チップを製造する場合は、打抜き刃等の工具の消耗ある
いは損傷が生じやすくなり、製造効率が低下する。一
方、12重量%を越えると加工性は却って悪化し、同様
に材料歩留まりの低下や製造効率の悪化につながる。そ
れ故、Rhの含有量は前述の範囲で調整するのがよく、
望ましくは2〜9重量%の範囲で調整するのがよい。な
お、最適のW含有量はRhの含有量によって変化し、R
h含有量が18重量%未満ではW含有量は1.5〜9.
5重量%とするのがよく、また、Rh含有量が18〜2
3重量%ではW含有量は0.5〜9.5重量%とするの
がよく、さらにRh含有量が23重量%以上の場合はW
含有量は0.5〜12重量%とするのがよい。
【0034】(3)Irを主体としてPdを1〜30重
量%の範囲で含有する合金を使用する。該合金の使用に
より、高温でのIr成分の酸化・揮発による発火部の消
耗が効果的に抑制され、ひいては耐久性に優れたスパー
クプラグが実現される。合金中のPdの含有量が1重量
%未満になるとIrの酸化・揮発の抑制効果が不十分と
なり、発火部が消耗しやすくなるためプラグの耐久性が
低下する。一方、Pdの含有量が30重量%以上になる
と合金の融点が低下し、プラグの耐久性が同様に低下す
る。以上のことから、Pdの含有量は前述の範囲で調整
するのがよく、望ましくは1.5〜18重量%、より望
ましくは2〜15重量%の範囲で調整するのがよい。な
お、合金中のPdの含有量が5重量%を超えると、材料
が脆くなって加工性が悪くなり、材料歩留まりと製造能
率が低下することにつながるので、Pdの含有量を5重
量%以下、望ましくは3重量%以下の範囲で調整するの
がよい。
【0035】(4)Irを主体としてPt、Re及びP
dの少なくともいずれかを合計で1〜30重量%の範囲
で含有し、さらにRhを1〜49重量%の範囲で含有し
た合金を使用する。該合金の使用により、高温でのIr
成分の酸化・揮発による消耗が効果的に抑制されるとと
もに、合金がさらに上記範囲のRhを含有することによ
り、その加工性が劇的に改善される。これにより、耐久
性(特に高速走行時の耐久性)と量産性の双方に優れた
スパークプラグを実現することができる。
【0036】Rhの含有量が1重量%未満になると、合
金の加工性改善効果が十分に達成できなくなり、例えば
加工中に割れやクラックなどが生じやすくなって、発火
部となるべきチップを製造する際の材料歩留まりの低下
につながる。また、熱間打抜き加工等によりチップを製
造する場合は、打抜き刃等の工具の消耗あるいは損傷が
生じやすくなり、製造効率が低下する。一方、49重量
%を越えると合金の融点が低下し、プラグの耐久性低下
を招く。それ故、Rhの含有量は前述の範囲で調整する
のがよく、望ましくは2〜20重量%の範囲で調整する
のがよい。特に、PdないしPtの合計含有量が5重量
%以上である場合には合金がさらに脆くなり、所定量以
上のRhを添加しないと、加工によるチップ製造が極め
て困難となる。この場合、Rhは2重量%以上、望まし
くは5重量%以上、さらに望ましくは10重量%以上添
加するのがよい。なお、Rhの含有量が3重量%以上で
ある場合には、Rhは加工性の改善だけでなく、高温で
のIr成分の酸化・揮発の抑制に対しても効果を生ずる
場合がある。
【0037】PtないしPdの合計含有量が1重量%未
満になるとIrの酸化・揮発の抑制効果が不十分とな
り、発火部が消耗しやすくなるためプラグの耐久性が低
下する。一方、含有量が30重量%以上になると合金の
融点が低下し、プラグの耐久性が同様に低下したり(例
えばPd単独添加の場合)、あるいは高価なPtないし
Pdの含有量が増大して、チップの材料コストが増大す
る割には、発火部の消耗抑制効果がそれほど期待できな
くなる問題が生ずる。以上のことから、PtないしPd
の合計含有量は前述の範囲で調整するのがよく、望まし
くは3〜20重量%の範囲で調整するのがよい。
【0038】なお、Pt、ReないしPdはそれぞれ単
独で合金に含有させることができ、この場合は、その含
有量を下記のように調整することが望ましい。 Ptを使用する場合は、その含有量を1〜20重量%
の範囲で設定するのがよい。合金中のPtの含有量が1
重量%未満になるとIrの酸化・揮発の抑制効果が不十
分となり、発火部が消耗しやすくなるためプラグの耐久
性が低下する。一方、Ptの含有量が20重量%を超え
ると、高価なPtの含有量が増大して発火部の材料コス
トが増大する割には、発火部の消耗抑制効果がそれほど
期待できなくなる。
【0039】Pdを使用する場合は、その含有量を1
〜30重量%の範囲で設定するのがよい。合金中のPd
の含有量が1重量%未満になるとIrの酸化・揮発の抑
制効果が不十分となり、発火部が消耗しやすくなるため
プラグの耐久性が低下する。一方、Pdの含有量が30
重量%以上になると合金の融点が低下し、プラグの耐久
性が同様に低下する。以上のことから、Pdの含有量は
前述の範囲で調整するのがよく、望ましくは1.5〜1
8重量%、より望ましくは2〜15重量%の範囲で調整
するのがよい。
【0040】また、Pt、Re及びPdは、2種以上の
ものを組み合わせて含有させることもできる。
【0041】(5)Irを主成分とし、Mo、Nb、R
u及びReの1種又は2種以上を合計で0.5重量%以
上含有する合金を使用する。該合金を使用することによ
り、高温でのIr成分の酸化・揮発による消耗が効果的
に抑制され、ひいては耐久性に優れたスパークプラグが
実現される。合金中のMo、Nb、Ru及びReの合計
含有量が0.5重量%未満になるとIrの酸化・揮発の
抑制効果が不十分となり、プラグの耐久性が低下する。
なお、該合計含有量は、望ましくは1重量%以上、さら
に望ましくは5重量%以上とするのがよい。
【0042】MoないしNbを使用する場合、さらに望
ましくは、MoないしNbをIrに対する固溶限以下の
範囲で含有する合金を使用するのがよい。MoないしN
bがIrに対する固溶限を超えて含有された場合、Ir
3MoやIr3Nb等の脆弱な金属間化合物が形成され、
発火部の耐久性や耐衝撃性に問題を生ずる場合がある。
例えば、室温におけるMoのIrに対する固溶限は約1
2重量%であり、同じくNbのIrに対する固溶限は約
6重量%であることから、NbないしMoを単独含有さ
せる場合には、それぞれ上記値よりも小さい含有量に設
定することが望ましいといえる。ただし、上記金属間化
合物の形成量が一定以下で、発火部の耐久性等に及ぼす
影響が小さい場合には、MoないしNbの含有量が上記
固溶限を多少超えた値となっていても差しつかえない。
以上から、例えばMoを単独で含有させる場合、その含
有量は13重量%以下、望ましくは12重量%以下とす
るのがよい。同様にNbについては、その含有量を7重
量%以下、望ましくは6重量%以下とするのがよい。
【0043】なお、上記合金中には、Mo及びNbの双
方を含有させることも可能である。この場合、その含有
量は、Ir−Mo−Nb3元系におけるIrへのMo及
びNbの固溶限以下の範囲で設定することが望ましい。
【0044】(6)Irを主体としてRhを0.1〜3
0重量%の範囲で含有し、さらにRu及びReの少なく
ともいずれかを合計で0.1〜17重量%の範囲で含有
する合金を使用する。これにより、高温でのIr成分の
酸化・揮発による発火部の消耗がさらに効果的に抑制さ
れ、ひいてはより耐久性に優れたスパークプラグが実現
される。Rhの含有量が0.1重量%未満になるとIr
の酸化・揮発の抑制効果が不十分となり、発火部が消耗
しやすくなるためプラグの耐消耗性が確保できなくな
る。一方、Rhの含有量が30重量%を超えると、Re
ないしRuを含有する合金の融点が低下して耐火花消耗
性が損なわれ、プラグの耐久性が同様に確保できなくな
る。それ故、Rhの含有量は上記範囲で調整される。
【0045】一方、RuないしReの合計含有量が0.
1重量%未満になると、これら元素の添加によるIrの
酸化・揮発による消耗を抑制する効果が不十分となる。
また、RuないしReの合計含有量が17重量%を超え
ると、発火部が却って火花消耗しやすくなり、プラグの
十分な耐久性が確保できなくなる。それ故、Ru及びR
eの合計含有量は上記範囲で調整され、望ましくは0.
1〜13重量%、さらに望ましくは0.5〜10重量%
の範囲で調整するのがよい。なお、Ru及びReはいず
れか一方のみを単独で添加しても、両者を複合して添加
してもいずれでもよい。
【0046】RuないしReが合金中に含有されること
により発火部の耐消耗性が改善される原因の一つとし
て、例えばこれら成分の添加により、合金表面に高温で
安定かつ緻密な酸化物皮膜が形成され、単体の酸化物で
は揮発性が非常に高かったIrが、該酸化物皮膜中に固
定されることが推測される。そして、この酸化物皮膜が
一種の不動態皮膜として作用し、Ir成分の酸化進行を
抑制するものと考えられる。また、Rhを添加しない状
態では、RuないしReを添加しても合金の高温での耐
酸化揮発性はそれほど改善されないことから、上記酸化
物皮膜はIr−(Ru,Re)−Rh系等の複合酸化物
であり、これが緻密性ないし合金表面に対する密着性に
おいてIr−(Ru,Re)系の酸化物皮膜より優れた
ものとなっていることも考えられる。
【0047】なお、RuないしReの合計含有量が増え
過ぎると、Ir酸化物の揮発よりはむしろ下記のような
機構により火花消耗が進行するようになるものと推測さ
れる。すなわち、形成される酸化物皮膜の緻密性あるい
は合金表面に対する密着力が低下し、該合計含有量が1
7重量%を超えると特にその影響が顕著となる。そし
て、スパークプラグの火花放電の衝撃が繰返し加わる
と、形成されている酸化物皮膜が剥がれ落ちやすくな
り、それによって新たな金属面が露出して火花消耗が進
行しやすくなるものと考えられる。
【0048】また、Ru及び/又はReの添加により、
さらに次のような重要な効果を達成することができる。
すなわち、Ru及び/又はReを合金中に含有させるこ
とにより、Ir−Rh二元合金を使用する場合と比較し
て、Rh含有量を大幅に削減しても耐消耗性を十分に確
保でき、ひいては高性能のスパークプラグをより安価に
構成できるようになる。この場合、Rhの含有量は0.
1〜3重量%、より望ましくは0.1〜1重量%となっ
ているのがよい。
【0049】
【発明の実施の形態】以下、本発明のいくつかの実施の
形態を図面を用いて説明する。図1に示す本発明の一例
たるスパークプラグ100は、筒状の主体金具1、先端
部21が突出するようにその主体金具1の内側に嵌め込
まれた絶縁体2、先端に形成された発火部31を突出さ
せた状態で絶縁体2の内側に設けられた中心電極3、及
び主体金具1に一端が溶接等により結合されるとともに
他端側が側方に曲げ返されて、その側面が中心電極3の
先端部と対向するように配置された接地電極4等を備え
ている。また、接地電極4には上記発火部31に対向す
る発火部32が形成されており、それら発火部31と、
対向する発火部32との間の隙間が火花放電ギャップg
とされている。
【0050】絶縁体2は、例えばアルミナあるいは窒化
アルミニウム等のセラミック焼結体により構成され、そ
の内部には自身の軸方向に沿って中心電極3を嵌め込む
ための孔部6を有している。また、主体金具1は、低炭
素鋼等の金属により円筒状に形成されており、スパーク
プラグ100のハウジングを構成するとともに、その外
周面には、プラグ100を図示しないエンジンブロック
に取り付けるためのねじ部7が形成されている。
【0051】次に、中心電極3及び接地電極4の本体部
3a及び4aはNi合金等で構成されている。一方、上
記発火部31及び対向する発火部32は、母材金属に対
しそれよりも熱電子放出性に優れた無機化合物を混在さ
せた金属−無機化合物複合材料で構成されている。具体
的には、Ir、PtあるいはWのいずれかを主体とする
金属母材に対し、例えばLaB6、ThO2、ThS2
びBaOの少なくともいずれかを主体とする無機化合物
粒子を1〜20体積%の範囲で分散させた、金属−無機
化合物複合材料で構成することができる。この場合、母
材金属の仕事関数をφA、無機化合物の仕事関数をφBと
すれば、φA−φBが2.2eV以上とされる。また、無
機化合物は、望ましくはφBの値が3.1eV以下のも
のが採用される。
【0052】例えば、母材金属がIrに対しRhを20
重量%含有させた合金で構成されている場合、表1及び
数2に基づき計算されるその仕事関数φAは5.24e
Vである。一方、無機化合物としてLaB6とY23
を用いた場合(ただし、LaB6:Y23=70重量
%:30重量%)は、その仕事関数φBは、表1及び数
1より2.82eVである。従って、この場合の金属−
無機化合物複合材料は、φA−φBが2.42eVと2.
2eVより大きく、またφBは2.82eVと3.1e
Vよりも小さい値を有したものとなる。
【0053】図2に示すように、中心電極3の本体部3
aは先端側が縮径されるとともにその先端面が平坦に構
成され、ここに上記発火部を構成する合金組成からなる
円板状のチップを重ね合わせ、さらにその接合面外縁部
に沿ってレーザー溶接、電子ビーム溶接、抵抗溶接等に
より溶接部Wを形成してこれを固着することにより発火
部31が形成される。また、対向する発火部32は、発
火部31に対応する位置において接地電極4にチップを
位置合わせし、その接合面外縁部に沿って同様に溶接部
Wを形成してこれを固着することにより形成される。な
お、これらチップは、例えば表記組成となるように各合
金成分を配合・溶解することにより得られる溶解材、又
は所定比率で配合された原料粉末を成形・焼結すること
により得られる焼結材により構成することができる。
【0054】ここで、発火部31及び対向する発火部3
2のいずれか一方を省略する構成としてもよい。この場
合には、発火部31又は対向する発火部32及び接地電
極4又は中心電極3との間で火花放電ギャップgが形成
される。
【0055】以下、スパークプラグ100の作用につい
て説明する。すなわち、スパークプラグ100は、その
ねじ部7においてエンジンブロックに取り付けられ、燃
焼室に供給される混合気への着火源として使用される。
ここで、その火花放電ギャップgを形成する発火部31
及び対向する発火部32を前述の金属−無機化合物複合
材料で構成することで、電極形状やギャップ幅によらず
スパークプラグの火花放電電圧を本質的に低くすること
が可能となり、ひいては電極の耐消耗性や着火性を損な
うことなく、比較的低電圧でエネルギー密度の高い火花
を発生させることができるようになる。
【0056】
【実施例】
(実施例1)所定量のIr及びRhを配合・溶解するこ
とによりIrを主体としてRhを20重量%含有する母
材金属合金を作製し、これをボールミル粉砕により粉末
化した。これに、表2に示す各種無機材料粉末(平均粒
径1〜2μm)を混合した後、所定形状に成形して焼結
することにより、各種組成を有する金属−酸化物複合材
料のチップを作成した。
【0057】
【表2】
【0058】そして、このチップを用いて、図1に示す
スパークプラグ100の発火部31及び対向する発火部
32を形成した。なお、火花放電ギャップgの幅は0.
4mmに設定した。そして、これらプラグの性能試験を以
下の条件にて行った。すなわち、ガスエンジン(排気量
780cc)にそれらプラグを取り付け、エンジン回転
数1000rpm、4.7kgf・mにて連続運転した
ときのプラグの放電電圧を測定した。具体的には、中心
電極側にディストリビュータを接続し、昇圧しながら通
電したときの電圧−時間曲線をデジタルオシロスコープ
により記録して、その曲線に現われるブレークダウン電
圧を放電電圧として読み取った。なお、測定値は100
0回繰返し測定を行った場合の最大値で示している。結
果を表1にまとめて示す。
【0059】すなわち、金属−無機化合物複合材料を使
用した本発明の実施例のスパークプラグ(試料番号1〜
3)は、その母材金属のみで発火部を構成した比較例の
スパークプラグ(試料番号4)よりも放電電圧が低くな
っていることがわかる。
【0060】(実施例2)所定量のIrとRhを配合・
溶解することにより、Rhを0〜60重量%の各種比率
で含有し残部が実質的にIrで構成された合金(ただ
し、Rh=0及び60重量%は比較例)を用意し、これ
をボールミル粉砕により粉末化した。次に、これを母材
金属粉末として、無機材料粉末としてのLaB6粉末
(平均粒径1〜2μm)を混合した後、所定形状に成形
して焼結することにより各種組成を有する金属−無機化
合物複合材料のチップを作成した。なお、LaB6粉末
の混合量は、得られる焼結体中のLaB6の体積含有率
が10vol%となるように調整した。
【0061】そして、このチップを用いて図1に示すス
パークプラグ100の発火部31及び対向する発火部3
2を形成し(火花放電ギャップgの幅:1.1mm)、プ
ラグの性能試験を以下の条件にて行った。 条件A(連続高速運転を想定):6気筒ガソリンエンジ
ン(排気量3000cc)にそれらプラグを取り付け、ス
ロットル全開状態、エンジン回転数6000rpmにて
300時間連続運転し(中心電極温度約900℃)、運
転終了後のプラグの火花放電ギャップgの拡大量を測定
した。図3は、その結果を、合金中のRhの含有量と火
花放電ギャップ増加量との関係で示したものである。 条件B(市街地運転を想定):4気筒ガソリンエンジン
(排気量2000cc)にそれらプラグを取り付け、アイ
ドリング1分→エンジン回転数3500rpm、全開状
態で30分→エンジン回転数2000rpm、半開状態
で20分を1サイクルとして、1000時間運転し(中
心電極温度約780℃)、運転終了後のプラグの火花放
電ギャップgの拡大量を測定した。図4は、その結果
を、合金中のRhの含有量と火花放電ギャップ増加量と
の関係で示したものである。
【0062】条件Bにおいては、チップの合金組成が1
〜50重量%の範囲に属するプラグ(実施例)について
は、火花放電ギャップgの増加が小さいのに対し、比較
例(Rh60重量%)のプラグは火花放電ギャップが著
しく拡大していることがわかる。また、それよりも高負
荷の条件Aにおいては、実施例と比較例(Rh60重量
%、及びPt−Ir合金)との間における火花放電ギャ
ップ増加量の差がさらに顕著となっている。また、合金
のRhの含有量範囲が3〜50重量%から7〜30重量
%へ、さらには15〜25重量%へと変化するに伴い、
ギャップ増加量が段階的に減少しており、特に合金のR
h含有量が15〜25重量%であるチップを使用したプ
ラグにおいては、厳しい運転条件にも拘わらず、非常に
良好な耐久性を示していることがわかる。
【0063】(実施例3)所定量のIrとRhを配合・
溶解することにより、Rhを15、18、20、22及
び25重量%の各比率で含有し残部が実質的にIrで構
成された合金を作製し、これをボールミル粉砕により粉
末化した。次に、これを母材金属粉末として、無機材料
粉末としてのLaB6粉末(平均粒径1〜2μm)を混合
した後、所定形状に成形して焼結することにより各種組
成を有する金属−無機化合物複合材料のチップを作成し
た。なお、LaB6粉末の混合量は、得られる焼結体中
のLaB6の体積含有率が10vol%となるように調
整した。そして、このチップを用いて実施例2と同様の
プラグを作製し、実施例2の条件Aよりもさらに厳しい
下記条件Cにて性能試験を行った。 条件C:4気筒ガソリンエンジン(排気量1600cc)
にそれらプラグを取り付け、スロットル全開状態、エン
ジン回転数6250rpmにて300時間連続運転し
(中心電極温度約950℃)、運転終了後のプラグの火
花放電ギャップgの拡大量を測定した。図5は、その結
果を、合金中のRhの含有量と火花放電ギャップ増加量
との関係で示したものである。
【0064】該結果によれば、合金中のRhの含有量範
囲が18〜22重量%であるチップを使用したプラグに
おいては、合金中のRh含有量が該範囲外にあるチップ
を使用したものに比べて、条件Bよりも厳しい条件Cに
おいてもギャップ増加量が小さく、より良好な耐久性を
示していることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスパークプラグを示す正面部分断面
図。
【図2】その要部を示す拡大断面図。
【図3】発火部を構成する合金中のRh含有量と、火花
放電ギャップの拡大量との関係を示すグラフ(実施例
2:条件A)。
【図4】発火部を構成する合金中のRh含有量と、火花
放電ギャップの拡大量との関係を示すグラフ(実施例
2:条件B)。
【図5】発火部を構成する合金中のRh含有量と、火花
放電ギャップの拡大量との関係を示すグラフ(実施例
3:条件C)。
【符号の説明】
1 主体金具 2 絶縁体 3 中心電極 4 接地電極 31 発火部(チップ) 32 対向する発火部(チップ) g 火花放電ギャップ

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中心電極と、その中心電極の外側に設け
    られた絶縁体と、その絶縁体の外側に設けられた主体金
    具と、前記中心電極と対向するように配置された接地電
    極と、それら中心電極と接地電極との間で火花放電ギャ
    ップを形成する発火部とを備え、 その発火部の少なくとも一方が、母材金属に対し該母材
    金属よりも仕事関数の値が2.2eV以上小さい無機化
    合物を混在させた金属−無機化合物複合材料で構成され
    ていることを特徴とするスパークプラグ。
  2. 【請求項2】 前記金属−無機化合物複合材料は、前記
    母材金属に対し、仕事関数の値が3.0eV以下である
    無機化合物を混在させたものである請求項1記載のスパ
    ークプラグ。
  3. 【請求項3】 中心電極と、その中心電極の外側に設け
    られた絶縁体と、前記絶縁体の外側に設けられた主体金
    具と、前記中心電極と対向するように配置された接地電
    極と、それら中心電極と接地電極との間で火花放電ギャ
    ップを形成する発火部とを備え、 その発火部の少なくとも一方が、仕事関数の値が3.1
    eV以下であり、かつ融点が2000℃以上の無機化合
    物を母材金属に対し混在させた金属−無機化合物複合材
    料で構成されていることを特徴とするスパークプラグ。
  4. 【請求項4】 前記金属−無機化合物複合材料は、前記
    母材金属に対し、該母材金属よりも仕事関数の値が2.
    2eV以上小さく、かつ融点が2000℃以上の無機化
    合物を混在させたものである請求項3記載のスパークプ
    ラグ。
  5. 【請求項5】 前記無機化合物はLaB6を主体とする
    ものである請求項1ないし4のいずれかに記載のスパー
    クプラグ。
  6. 【請求項6】 中心電極と、その中心電極の外側に設け
    られた絶縁体と、前記絶縁体の外側に設けられた主体金
    具と、前記中心電極と対向するように配置された接地電
    極と、それら中心電極と接地電極との間で火花放電ギャ
    ップを形成する発火部とを備え、 その発火部の少なくとも一方が、母材金属に対しLaB
    6を主体とする無機化合物を混在させた金属−無機化合
    物複合材料で構成されていることを特徴とするスパーク
    プラグ。
  7. 【請求項7】 中心電極と、その中心電極の外側に設け
    られた絶縁体と、前記絶縁体の外側に設けられた主体金
    具と、前記中心電極と対向するように配置された接地電
    極と、それら中心電極と接地電極との間で火花放電ギャ
    ップを形成する発火部とを備え、 その発火部の少なくとも一方が、Irを主体とする母材
    金属に対しBaOを主体とする無機化合物を混在させた
    金属−無機化合物複合材料で構成されていることを特徴
    とするスパークプラグ。
  8. 【請求項8】 前記母材金属は、Ir、Pt及びWの少
    なくともいずれかを主体に構成されている請求項1ない
    し7のいずれかに記載のスパークプラグ。
  9. 【請求項9】 前記金属−無機化合物複合材料は、含有
    される前記無機化合物の一部が、元素周期律表の3A族
    及び4A族に属する金属元素の酸化物で構成されている
    請求項1ないし8のいずれかに記載のスパークプラグ。
  10. 【請求項10】 前記金属−無機化合物複合材料は、前
    記無機化合物の混合比率が1〜20体積%の範囲で調整
    されている請求項1ないし9のいずれかに記載のスパー
    クプラグ。
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