JPH1024429A - 表皮付き多層異硬度座席およびその製造方法 - Google Patents

表皮付き多層異硬度座席およびその製造方法

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JPH1024429A
JPH1024429A JP8200947A JP20094796A JPH1024429A JP H1024429 A JPH1024429 A JP H1024429A JP 8200947 A JP8200947 A JP 8200947A JP 20094796 A JP20094796 A JP 20094796A JP H1024429 A JPH1024429 A JP H1024429A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 通気性があり、表面感触がよく、さらに座る
者の体重を支持できる硬さをもつ表皮付き多層異硬度座
席を提供する。 【解決手段】 座席1は、通気性をもつ表皮材2により
被覆され、基部をなす第1の発泡体10と、その上に一
体的となる第2の発泡体6とから成る。第1の発泡体1
0の表面には、吸引成形部に対応するところに隆起部1
2、13を有する。その第1の発泡体10の上に、吸引
成形部では薄く、他の部分では厚くなるように液状発泡
性混合物を投入、積層し、その投入、積層された混合物
15を、それがガス反応は終了しているがまだ流動状態
にあるときに、第1の発泡体10と、液状発泡性混合物
の上にある表皮材の上に位置する、座席の天井部分の形
状を有し、吸引孔が設けられた加圧型とで、吸引孔を通
して吸引を行いつつ、加圧圧縮する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車用をはじめ
とした、フォークリフトやトラクター等の各種産業車輌
用の座席、事務用あるいは家具用の椅子の座席に関に
し、特に座席の表皮材が発泡体と一体となり、発泡体が
種々の硬度をもつ座席およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】異硬度をもち、通気性のある表皮材が一
体となる発泡体から成る座席を製造する従来の方法が図
5-6に示されている(この方法は、本出願と同一の出願
人により平成8年7月1日に出願された出願に説明されて
いる)。この製造方法は以下のように実施される。
【0003】まず、図5に示されているように、予め成
形された、基部をなす第1の発泡体51上にポリウレタン
フォーム等の液状発泡性混合物52を投入、積層する。そ
のとき、積層された液状発泡性混合物52の積層厚さは、
第1の発泡体51の平坦部51'上においてほぼ均一であ
る。そして、天井表皮部分55とその両側に縫合された側
面表皮部分56、56'とから成る通気性のある表皮材54
を、天井表皮部分55が積層された混合物52の上に、さら
に側面表皮部分56、56'が第1の発泡体51の両側面に位
置するように配置する。
【0004】このとき、発泡体51'の表面に接する混合
液52の一部は、発泡体51'の表面から含浸し、含浸層を
形成する。
【0005】次に、加圧型60を表皮材の上方に位置する
(図6を参照)。この加圧型60は中空であり、その成形
表面60'上の隆起したところの近傍に吸引孔61、62が複
数個設けられている。この隆起しているところは、成形
後に座席に溝を形成するところに対応する。加圧型60を
その内部内を排気しながら下降させ、加圧型60と第1の
発泡体51とで、表皮材54とともに積層された液状発泡性
混合物52を、混合液がガス反応は終了してはいるが、ま
だ粘弾性流動状態である反応過程で加圧圧縮する。
【0006】前記したように積層した混合物52と発泡体
51との間に通気性の低い含浸層が形成され、全体として
通気性の低い複合材料となることから、加圧圧縮の際、
加圧型60内が排気されると、その吸引力が、空気の透過
性が低くなった複合材料に作用し、複合材料内と吸引側
の間に大きな圧力差が生じる。そのため、図6に示され
ているように、加圧型の成形表面が複雑な形状をもって
いても、流動状態の液状発泡性混合液は表皮材と一体と
なって吸引側に引き寄せられ、さらに加圧圧縮により生
ずる反作用と相まって、表皮材54を加圧型へと押し付け
て、加圧型60の成形表面60'に沿わせることができる。
このように表皮材とともに液状発泡性混合物を吸引する
ことにより型にしたがった所望の形状を成形するところ
を吸引成形部という。
【0007】そして、液状発泡性混合物52を固体状態
(樹脂状)に移行させると(硬化させると)、所望の弾
力性をもつ第2の発泡体51が形成されるとともに、その
上側に表皮材54の裏面が、その下側に第1の発泡体が一
体となって固着する。
【0008】ここで、第1の発泡体、第2の発泡体の硬
度を変えることにより、また第2の発泡体の圧縮成形時
に、圧縮率等を変えることにより、表皮付きの多層異硬
度座席が製造される。
【0009】上述のように、この従来方法に従うこと
で、下型を必要とせず、第1と第2の発泡体同士とが一
体となり、さらに加圧型の成形表面が複雑な形状をもっ
ていても、その成形表面にそった形状をもつとともに第
2の発泡体と一体となった、通気性のある表皮材付きの
座席が製造できる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、投入、積層さ
れた粘弾性流動状にある液状発泡性混合物は、積層厚が
一様なことから一様に樹脂化(硬化)し、そのために一
様に圧縮されやすく、また既に説明したように、含浸層
の形成により混合物52および第1の発泡体51が全体とし
て空気の透過性の低い複合材料となることから、吸引の
際に生じた圧力差により、第1の発泡体51全体が加圧型
60へと押し付けられる。そのため、図6において破線に
より示されているように、第1の発泡体51は混合物52に
向かってもち上がり、混合物52は全体として潰され、そ
の厚さが薄くなり、そして硬くなると、座席としての表
面感触が悪化する場合がある。
【0011】このようなもち上がりを回避するために、
吸引力を下げると、混合物を吸引成形が不十分となる。
【0012】また、複雑な形状、深い溝をもつ座席を製
造する場合、加圧型の成形表面は複雑な形状をもち、そ
の加圧型を利用して座席を製造するとき、十分な吸引成
形を行うために吸引を強くする必要があるが、そのと
き、より強く第1の発泡体51が混合物52に向かってもち
上がり、混合物52はより潰れることになる。
【0013】さらに、第1の発泡体がもち上がった状態
で混合物が硬化すると、成形後に第1の発泡体のもつ弾
性力により、第1の発泡体がもとの形状にもどろうとす
ると、第2の発泡体の平坦部であるべきところが深く落
ち込み、所望の形状をもった座席を製造できない。
【0014】このように、混合物52は、座席の形状を成
形する上で、第1の発泡体のもち上がりにより圧縮され
るべきではない(以下、このようなところの混合物を、
圧縮されるべきでないところという)。
【0015】本発明は上記課題を解決するためになされ
たものであり、その目的は、成形型の成形表面にそった
表面形状をもつ、表皮材と発泡体とが一体となった、表
面感触の良い座席およびその製造方法を提供することで
ある。
【0016】本発明の他の目的は、通気性のある表皮材
を利用できる上記座席およびその製造方法を提供するこ
とである。
【0017】さらに、本発明の他の目的は、座る人が接
する表面層の硬さがソフトで、人の体重を支持する下層
の硬さが硬い上記座席およびその製造方法を提供するこ
とである。
【0018】さらに、本発明の目的は、表面層の硬さが
部分的に異なる上記座席およびその製造方法を提供する
ことである。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の座席は、通気性をもつ表皮材により被覆され、当該
座席の略外形形状を有する発泡体から成る座席であっ
て、その発泡体が、当該発泡体の基部をなす第1の発泡
体と、第1の発泡体の表面上に投入、積層された液状発
泡性混合物を、その混合物がガス反応は終了しているが
まだ流動状態にあるときに、第1の発泡体と、液状発泡
性混合物の上にある表皮材の上に位置する、成形表面を
有し、吸引孔が設けられた加圧型とで、吸引孔を通して
吸引を行いつつ加圧圧縮することにより、表皮材の裏面
と一体になり、かつ第1の発泡体の表面と一体となる第
2の発泡体と、から成る。
【0020】ここで、第1の発泡体の表面上に投入、積
層された、加圧圧縮前の前記液状発泡性混合物の、吸引
成形部を形成すべきところの部分の厚さは、実質的に圧
縮されるべきでないところの部分の厚さより薄い。吸引
成形部を形成すべきところの部分の液状発泡体混合物の
厚さは当該部分に、実質的に圧縮されるべきでないとこ
ろの部分より薄く液状発泡性混合物を投入、積層するこ
とで薄くしてもよい。また、吸引成形部に対応するとこ
ろに隆起部を有する第1の発泡体の表面上に、その表面
の平坦面にそって水平に液状発泡性混合物を投入、積層
することで当該部分の厚さを薄くしてもよい。
【0021】本発明の、通気性をもつ表皮材と一体とな
る発泡体から成り、該発泡体が当該座席の略外形形状を
有し、かつ互いに上下に一体に構成された、基部をなす
第1の発泡体と、第2の発泡体とから成る座席を製造す
る方法は、第1の発泡体の表面上に第2の発泡体を形成
する液状発泡性混合物を投入、積層する工程と、第1の
発泡体の上に表皮材を配置する工程と、積層された液状
発泡性混合物がガス反応は終了しているがまだ流動状態
にあるときに、積層された液状発泡性混合物を、第1の
発泡体と、表皮材の上に位置し、成形表面を有する、吸
引孔が設けられた加圧型とで、該加圧型の吸引孔を通し
て吸引を行いつつ、加圧圧縮する工程と、から成る。
【0022】ここで、液状発泡性混合物を投入、積層す
る工程により、投入、積層された液状発泡性混合物の、
吸引成形部を形成すべきところの部分の厚さは、実質的
に圧縮されるべきでないところの部分の厚さより薄い。
吸引成形部を形成すべきところの部分の液状発泡体混合
物の厚さは当該部分に、実質的に加圧圧縮されるべきと
ころの部分より薄く液状発泡性混合物を投入、積層する
ことで薄くしてもよい。また、吸引成形部を成形すべき
ところに隆起部を有する第1の発泡体の表面上に、その
表面の平坦面にそって水平に液状発泡性混合物を投入、
積層することで当該部分の厚さを薄くしてもよい。
【0023】本発明において使用する加圧型の吸引孔
は、形成されるべき第2の発泡体の吸引成形部に対応す
る位置に、少なくともある。
【0024】ここで、この吸引成形部とは、表皮材とと
もに液状発泡性混合物を吸引することにより加圧型の成
形表面にしたがった所望の形状に成形するところをい
う。
【0025】加圧型内への吸引は吸引孔の一部を通して
行い、吸引孔の他の部分では、加圧型の内外の通気を自
由にするようにしてもよい。また、吸引孔を複数個と
し、その一部を第2の発泡体の吸引成形部に対応する位
置に設けて吸引を行い、他の吸引孔では加圧型の内外の
通気を自由にするようにしてもよい。
【0026】液状発泡性混合物の投入、積層は、表皮材
を配置する前に行ってもよく、後に行ってもよい。
【0027】第2の発泡体の硬さを部分的に変えるとき
は、加圧圧縮する際に、液状発泡性混合物がガス反応は
終了しているがまだ流動状態にあるとき、液状発泡性混
合液に対する加圧圧縮率を部分的に変えることが望まし
い。その圧縮率は、加圧型と第1の発泡体との間の間隔
を部分的に変え、液状発泡性混合物を第1の発泡体上に
同厚に投入、積層し、加圧圧縮することにより行うこと
が望ましい。
【0028】第1および第2の発泡体のそれぞれの硬さ
は、異なることが望ましい。第1および第2の発泡体は
ポリウレタンフォームまたはポリユレヤフォームの反応
性発泡樹脂から成形されるが望ましい。
【0029】表皮材は、通気性をもつ織物組織の繊維
材、編物組織の繊維材が使用でき、表皮材の裏面にスラ
ブウレタンフォームの板材を付設することができる。
【0030】
【作用】第2の発泡体を形成する液状発泡性混合物は、
その混合物の積層高さによってその硬化時間(樹脂化時
間)が異なり、薄く積層したところでは硬化(樹脂化)
が遅く、積層高さが高いところでは硬化が早いという特
性をもつ。
【0031】この第2の発泡体を形成する際に、吸引成
形部に対応するところは、薄く、他のところは厚く第1
の発泡体の上に液状発泡性混合物を投入、積層すると、
薄いところでは硬化が遅く、厚いところでは硬化が早く
なる。その混合物を、ガス反応は終了しているがまだ流
動状態にあるときに、第1の発泡体と、成形表面の、吸
引成形部に対応するところに吸引孔を有する加圧型と
で、吸引を行いながら、加圧する。そのとき、混合物の
厚い部分では硬化が進んでいるために、吸引により第1
の発泡体の吸引側へのもち上がりを抑制し、一方混合物
の薄い部分、すなわち吸引成形部はまだ流動性があるた
め表皮体と一体となって吸引側に引き寄せられ、これを
固体状態に移行させると、表皮材および第1の発泡体と
一体となり、さらに加圧型の成形表面の形状をもつ座席
が製造される。
【0032】このように製造された本発明の座席は、表
皮材と発泡体とが一体となっているため、座っていた者
が立つことにより体重が開放されたとき、表皮材が発泡
体の弾性により元に復元される。また、表皮材が通気性
をもつ、さらに発泡体が加圧圧縮の際に潰されないこと
から弾力性に富み、またよい感触を与える。
【0033】さらに、加圧型と第1の発泡体との間の間
隔を部分的に変え、加圧圧縮することで、第2の発泡体
の硬さが部分的に変わる。硬くするところを座席のワキ
部に形成すると、座る部分はソフトに保たれたまま、座
席のホールド性が向上する。第1の発泡体の硬さは第2
の発泡体と独立に選択できることから、第1の発泡体に
座る者の体重を支持できる硬さをもたらせられる。
【0034】
【発明の実施の形態】図面を参照して本発明の実施の形
態を説明する。
【0035】図1(a)は本発明の方法により製造された
座席の斜視図、図1(b)はその座席の断面図である。座
席1は、表皮材2、基部をなす第1の発泡体10、およびそ
の上に位置する第2の発泡体6から構成され全体で座席
の外形をなしている。
【0036】表皮材2は、第2の発泡体6を被覆する天井
表皮部分3(座席の天井部分を形成する)とその両側に
続く、第2の発泡体を被覆する側面表皮部分4、5とから
成り、天井表皮部分3の裏面は第2の発泡体6と、第2の
発泡体6の下面は第1の発泡体10と一体となっている。
【0037】図1に示された座席では、天井表皮部分3
と側面表皮部分4、5とは別々に、素材から裁断され、縫
合されて一体となったものであるが、それらを一体とし
て裁断されたものも利用することができる。
【0038】ここで使用する表皮材2は特に限定される
ものではなが、座席の表皮材として一般的に使用される
通気性のあるもので、たとえば織物組織や編物組織など
の各種繊維材である。
【0039】第1の発泡体10は座席の概略形状をもち座
席の基部をなすもので、図1(a)に示された座席の溝Aお
よびBの下方付近に隆起部12および13がそれぞれ設けら
れている。この第1の発泡体10は以下で説明する製造方
法により第2の発泡体6と上下に一体的となっている。
【0040】第1の発泡体10は、ポリウレタンフォーム
の反応性樹脂から形成される発泡体であるが、このほか
ポリユレヤフォームの反応性樹脂からも形成できる。な
お、ポリウレタンフォーム、ポリユレヤフォームと同等
以上に高反応配合でも形成でき、これらを総称してウレ
タンフォーム、ポリユレヤフォームなどの反応性樹脂と
いう。
【0041】第2の発泡体6は、ほぼ一様な厚さの本体
部7を有するが、前記したように、第1の発泡体10は隆
起部12および13をその表面11上に有することから、その
隆起部12、13付近の本体部7の厚さは薄くなる。さら
に、第2の発泡体6は本体部7に両側に次第に厚さが薄く
なる土手部8、9を有する。
【0042】この第2の発泡体6はウレタンフォーム、
ポリユレヤフォームなどの反応性樹脂あるが、具体的な
配合は以下で示す表1に示す。
【0043】第2の発泡体6の硬さは、その発泡体6の全
体に対して一様にしてもよいが、座る者のホールド性を
高め、座席の外形を保持できるように、以下で説明する
第2の発泡体の製造方法に従い、土手部8、9の硬さを本
体部7よりも硬くすることがより望ましい。
【0044】各発泡体の硬さは、第2の発泡体6をソフ
トに第1の発泡体10をそれよりも硬くすることが望まし
い。第2の発泡体をソフトにすることで座り心地がよ
く、第1の発泡体を硬くすることで座る者の体重を支持
でき、かつホールド性をよくし、座席の外形を保持でき
るからである。しかし、逆に発泡体性が必要な場合に
は、第1の発泡体の方をさらにソフトにしてもよい。
【0045】図1に示されているように、本発明の座席
1には、比較的深い溝A、Bが形成されているが、本発明
の製造方法にしたがうことで、座席の表面感覚が損なわ
れることなく、このような溝のほか、さらに詳細な凹凸
を有す座席を製造することができる。
【0046】以下、本発明の座席の製造方法を説明す
る。
【0047】座席の基部をなす第1の発泡体10を成形す
るために、まず、図(a)2において縦端面図で示された、
第2の発泡体10を成形する上型21および下型22とから成
る発泡型が用意される。上型21の内面23は第2の発泡体
10の底面形状に相当する形状に形作られ、下型22の内面
24の両側に凹部25、26を有するように形作られている。
上型21と下型22とを閉じると、その中に形成される空間
形状27は、第2の発泡体10の立体形状に相当する。
【0048】この下型22にポリウレタンフォームの液状
発泡性混合物を投入し、上型21を閉じて発泡成形させ、
図2(b)に示されるように、第1の発泡体10の成形が完
了する。この第1の発泡体10は以下で説明するように、
第1の発泡体6を形成するための下型として機能する。
【0049】図2(b)に良く示されているように、発泡
型22の内面24に設けた凹所25、26により、成形された第
1の発泡体10の上面11の両側に隆起部12、13が形成され
る。
【0050】次に、図3に示されているように、第1の
発泡体10上の全領域に、たとえばスプレー方式により、
表1に例示されるような液状発泡性混合物15を投入、積
層する。
【0051】
【表1】 表1(重量部) ポリプロピレングリコール 100.0 水 3.2 有機錫触媒 0.3 第三級アミン触媒 0.8 ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート 68.0
【0052】このとき、第1の発泡体10の上面11上の混
合物15の表面はほぼ水平になるように積層する。すなわ
ち、第1の発泡体10の上面11には隆起部12、13が設けら
れているので、混合物15はそれら隆起部付近では薄く、
中央の部分(圧縮されるべきでないところ)は一様に投
入、積層する。
【0053】投入、積層された混合物15の、発泡体10の
表面に接する一部は、発泡体10の表面11から含浸し、含
浸層を形成する。
【0054】そして、天井表皮部分3とその両側に縫合
された側面表皮部分4、5とから成る表皮材2を、天井表
皮部分3が積層された混合液15の上に、さらに側面表皮
部分4、5が第1の発泡体10の両側面に位置するように配
置する。
【0055】次に、加圧型30を表皮材の上方に位置す
る。この加圧型30の外形は在来の加圧型の外形と同様
(図6を参照)であり、その成形表面31は、その成形表
面と第1の発泡体10の上面11とにより第2の発泡体6の
立体形状を画成するように形作られている。なお、上記
表皮材2の天井部分3は、加圧型30の成形表面31と整合す
るものである。
【0056】さらに、この加圧型30は中空であり、図1
に示されている座席1の溝A、Bの付近で、隆起している
部分に対応する場所に吸引孔32、33が複数個、その隆起
にそって設けられている。
【0057】図示の加圧型30は内部全体が中空である
が、もちろん吸引孔からの吸引が可能であれば、全体が
中空である必要はない。例えば、吸引孔の上部にのみ減
圧室を設けて、その減圧室を減圧することにより吸引を
行ってもよい。さらに、減圧室等を設けずに、吸引孔と
外部真空源とをパイプで連結する構造でもよい。
【0058】吸引孔は複数の穴が好適であるが、溝にそ
ったスリット状の孔でもよい。またこの例では左右にそ
れぞれ一列であるが、隆起形状、加圧圧縮時、座席の大
きさなどにより複数列を設けることもできる。また、穴
の大きさもこのような加圧成形条件にしたがって定める
ことができる。
【0059】加圧型30は、外部の真空源に連結され、適
宜内部が排気され得る。
【0060】上述した実施例では、加圧型30は、混合物
15の積層、表皮材2の配置後に位置づけたが、その順番
は本発明において本質ではなく、その逆の順番でもよ
い。
【0061】次に図4に示されているように、加圧型30
内を排気しながら、下降させ、加圧型30と第1の発泡体
10とで、表皮材2とともに積層された液状発泡性混合物1
5を、混合液がガス反応は終了してはいるが、まだ粘弾
性流動状態である反応過程で加圧圧縮する。
【0062】ここで使用する液状発泡性混合物は反応が
進み、発泡成形が完了すると安定した、弾性特性に優れ
た発泡体となり、これを加圧圧縮しても簡単に変形する
ことはない。
【0063】しかし、反応過程においては非常に不安定
な状態であり、ガス反応が終了した後一定時間内では、
まだ流動性が残り、また外力を作用させることで容易に
変形させることができる状態にある。そのため、この流
動性のあるときに、吸引するとその方向に引き寄せるこ
とができ、また別の発泡体、繊維などの素材と一体に加
圧すると、別の発泡体の中、繊維の組織の一部に入り込
み、その別の発泡体や素材が、混合物から形成された発
泡体上に固着し、一体的となる。さらに、混合物の加圧
圧縮率を変化させると、圧縮率の高いところでは硬く、
低いところではソフトな発泡体となる。
【0064】さらに、液状発泡性混合物(表1)は、図
7に示されているように、混合物の積層高さによってそ
の硬化時間(樹脂化時間)が異なるものである。すなわ
ち、積層高さの低いところは硬化(樹脂化)が遅く、積
層高さが高いところでは、硬化が早い。
【0065】表1に示す発泡性混合物の配合は、具体的
には図7に示すような特性(挙動)を示すが、その特性
は発泡性混合物の配合処方により変わる。
【0066】このように、硬化速度が積層厚さにより異
なるのは、このような発泡性混合物の反応は発熱反応で
あることから、厚く積層した部分は反応熱がその内部に
蓄熱され、反応が促進されて硬化が速くなり、一方薄く
積層した部分はその内部に蓄熱が少なく、また放熱しや
すいことから、硬化が遅くなることによると考えられ
る。
【0067】上で説明したように、第1の発泡体10の表
面11に隆起部12、13が設けられ、表面11上にはほぼ水平
に混合物15が投入、積層されることから、隆起部12、13
付近では混合物15の厚さは薄くなり、中央では厚くな
る。したがって、隆起部付近では、混合物の硬化は遅
く、中央部では早い。
【0068】また、前記したように積層した混合物15と
発泡体10との間に通気性の低い含浸層が形成され、全体
として通気性の低い複合材料となることから、加圧圧縮
の際、加圧型30内が排気されると、その吸引力が空気の
透過性が低くなった複合材料に作用し、複合材料内と吸
引側の間に大きな圧力差が生じさせる。
【0069】また、前記したように隆起部付近の混合物
の硬化は遅いために、依然としてその付近の混合物は流
動性が高い。
【0070】そのため、図4(b)によく示されているよ
うに、流動状態の液状発泡性混合物は表皮材と一体とな
って吸引側に引き寄せられ、さらに加圧圧縮により生ず
る反作用と相まって、表皮材2を加圧型の下面31へと押
し付けて、加圧型30の成形表面に沿わせる。
【0071】一方、中央の混合物は硬化が進み、加圧し
ても潰れにくい状態にある。
【0072】したがって、加圧型の吸引により、通気性
の低い含浸層が形成された第1の発泡体10が混合物15に
向かってもちち上がろうとしても、混合物15の中央、す
なわち、厚く積層された部分は加圧に対して潰れにくい
ことから、従来のように第1の発泡体10は立ち上がるこ
とがない(図6を参照)。そのため、吸引による第1の
発泡体のもち上がりで混合物15が潰れ、それにより表面
感覚の悪い第1の発泡体が形成されることを防止でき
る。
【0073】さらに、このような厚く積層された部分の
硬化により、吸引に対して吸引成形部の周囲を支える結
果となり、吸引による混合物の引き寄せがより効率的に
進行する。
【0074】第2の発泡体を形成する発泡性混合物15の
部分的な硬化の速度は、上述したように、混合部の配合
処方、および積層厚さにより変わるものであるから、混
合物15の配合、第1の発泡体の隆起部の隆起の程度、加
圧型のよる吸引強度は、上記製造工程において適宜決め
ることができる。たとえば、加圧型15による吸引が強い
場合は、混合物15の硬化の速度が速くなるように配合処
方し、隆起部を高くすることができない場合(第1の発
泡体が硬く隆起部を高くすると座り心地が悪くなる場
合)は、混合物15の硬化の速度が遅くなるように配合処
方する。また、所望の第2の発泡体を形成する発泡性混
合物の配合に即して、加圧型30の吸引力を変化させる。
【0075】液状発泡性混合液の吸引中に、液状発泡性
混合液15が第1の発泡体10から剥離することはない。前
述したように、第1の発泡体上に液状発泡性混合液を投
入、積層した際に第1の発泡体10の表面にその一部が含
浸し、含浸層が形成されているからである。ただし、吸
引中に、液状発泡性混合液15は、(表皮材が通気性をも
つことから)表皮材を通過しかねないが、混合液15を第
1の発泡体10上に投入、積層した後に、一定時間経過し
た後に(図示した通常の座席、上記発泡性混合液を使用
するときは、約50秒経過後に)上記吸引、加圧圧縮する
ことで、このような通過は生じない。また、表皮材の裏
面にスラブウレタンフォームの板材を貼り付けること
で、混合液が表皮材を通過することを防止できる。
【0076】そして、液状発泡性混合物15を固体状態に
移行させると、所望の弾力性および形状をもつ第2の発
泡体6が形成されるとともに、その上側に表皮材2の裏面
が、その下側に第1の発泡体10が一体となって固着す
る。かくして、本発明の座席が完了する。
【0077】上述してきた座席製造工程において、液状
発泡性混合物を第1の発泡体10の土手部に対応するとこ
ろも同厚になるように積層すると、そこの加圧圧縮率が
本体部に対応するところのものよりも高くなるため、土
手部の硬さはより硬くなるが本体部に対応するところで
は硬さが一定で、かつソフトなものとなる。
【0078】この実施例では、溝つきの座席の製造方法
を説明したが、溝に限らず、凹凸の形状、三次元の形状
を形成するときも同様にして所望の形状を形成できる。
【0079】また、この実施例において、積層された液
状発泡性混合物の厚さを、吸引成形部では薄く、吸引に
より加圧圧縮される部分では厚くするために、第1発泡
体上の吸引成形部に対応するところに隆起部を形成し、
発泡体上に混合物を水平に積層することにより行った。
【0080】しかし、液状発泡性混合液の厚さを、第1
の発泡体上に隆起部を設けることなく、平坦な第1発泡
体の表面上で、吸引成形部に対応するところには薄く、
加圧圧縮されるところには厚く、混合物を投入、積層す
ることによって変えることができる。
【0081】上述したように、座席に深い溝、複雑な凹
凸形状を形成するために、第1の発泡体に投入、積層さ
れた混合物を加圧型により加圧圧縮すると同時に吸引成
形した際に、第1の発泡体が混合物へと立ち上がること
により、混合物が潰れて、所望の形状、所望の表面感覚
を得ることができなかった座席も、本発明に従うことに
より、加圧型に忠実な形状をもつ、発泡体と一体となっ
た表皮材で被覆された座席を製造することができる。
【0082】図8は、本発明の他の実施例の座席を製造
する状態の縦端面図を示す。
【0083】ここで使用する加圧型80は、図示のよう
に、吸引成形部に対応する部分に吸引孔81、82が設けら
れ、その背後に減圧室83、84がそれぞれ設けられてい
る。減圧室を減圧することにより、吸引孔81、82を通し
て吸引が行われる。さらに、吸引孔81、82の近傍に、空
気取り入れ孔81'、82'がそれぞれ一列にして設けられて
いる。この空気取り入れ孔81'、82'は加圧型の内外の空
気の通気を自由にするものである。
【0084】吸引孔81、82は図4の加圧型の場合と同様
に、その数、形状を定めることができる。
【0085】図4の場合と同様に、第1の発泡体10の上
に液状発泡性混合物15を投入、積層し、その上を覆う表
皮材2の上から加圧型80を下降させる。その際、減圧室8
3、84内を減圧させ、吸引孔81、82を通して吸引を行
う。
【0086】加圧型20が混合物15に接して圧力差が生じ
ると、液状発泡性混合物15が表皮材2と一緒になって加
圧型80へと引き寄せられるが、同時にその圧力差に従っ
て第1の発泡体10の周囲の大気が第1の発泡体10を上に
持ち上げようとする。そのとき、その圧力差を解消する
ように、空気取り入れ孔81'、82'を通じて加圧型80の内
側(図では上側)から空気が加圧型80の外側(図面では
下側)へと自然供給される。この空気の供給により、第
1の発泡体10を持ち上げるだけの圧力差がなくなる。
【0087】また、前述したように、混合物15が中央部
では厚く積層されていることから、樹脂化が進み硬化
し、第1の発泡体10がもち上がろうとしても、混合物15
は潰れることがない。
【0088】かくして、液状発泡性混合物は、吸引成形
される一方、第1の発泡体10のもち上がりによる混合物
の圧縮が確実になくなる。
【0089】
【実施例】図8の加圧型を用いた具体的な実施例は以下
の通りである。
【0090】吸引孔81、82は直径が2mmで10mm間隔
に一列に形成され、真空室はバキュウムポンプ(図示せ
ず)に連結される。
【0091】空気取り入れ孔81’、82’は直径が1mm
で10mm間隔に二列にそれぞれ形成されている。
【0092】第1の発泡体10の上に、表1に示す第2の
発泡体を形成する発泡性混合液をスプレー方式(ISOTHE
RM社製 PSM-3000、No. 3ヘッド)にて、隆起部上に5m
mの厚さ、中央部を20mmの厚さになるように投入、積
層する。その終了後20秒経過後、表皮材で覆う。50秒後
に、加圧型80の減圧室83、84を減圧しつつ混合物15を加
圧型80と第1の発泡体で加圧圧縮した。
【0093】以上により、表皮材と第2の発泡体と、第
2の発泡体と第1の発泡体が一体的に固着され、かつ第
2の発泡体が不所望に潰されることなく表面が加圧型の
成形表面の形状に形作られ、さらに表面感触のよい通気
性のある座席が製造された。
【0094】
【効果】本発明に従った座席は、発泡体を通気性のある
表皮材で被覆することから、通気性のある、表面感触の
よいものとなる。
【0095】また、加圧型を用いて液体発泡性混合物を
加圧圧縮を行う際、吸引孔を通じて吸引し、混合物を不
必要に潰すことなく表皮材を加圧型の成形表面へと押し
つけて第2の発泡体を成形することから、座席は加圧型
の成形表面の形状にしたがった所望の表面形状をもつこ
とができる。
【0096】上記効果のほかに、表皮材が第2の発泡体
と、そして第2の発泡体が第1の発泡体と一体となるこ
とから、着座したとき発泡体のソフトな弾性力により良
い座り心地を与る。このとき、座る者の体重により表皮
材が伸ばされるが、体重が開放されたとき、表皮材は発
泡体の弾性力により元に復元され、シワが生じることが
ない。
【0097】さらに、座席の土手部を着座部分よりも硬
いものにすると、座る者の不快感を与えずに、座席の形
状が保持され、ホールド性も向上する。
【0098】また、発泡体は上下に一体的に積層される
二つの発泡体から成り、座る者に直接接しない下層の発
泡体の硬度を硬くすると、座る者に違和感を与えること
なく、座る者の体重を支持することができ、同時に座席
の形状も保持できる。
【0099】また、座る者に接する表皮材は、一つの表
皮材で成形されるため、種々の表皮部材のための裁断が
不必要となり、従って、部品構成、材料構成が簡素化さ
れ、さらに製造工程も簡素化されて、製造コスト全体が
安くなる。
【0100】さらにまた、各発泡体は一体化しているた
め、各発泡体を係合させるための吊り込み作業から開放
され、その負担がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は本発明の座席の斜視図、図1(b)は本
発明の座席の縦端面図を示す。
【図2】図2(a)は、隆起部を有する第1の発泡体を成
形するための成形型の縦端面図であり、図2(b)は図2
(a)の発泡型により成形された第1の発泡体の縦端面図
である。
【図3】第1の発泡体の上にほぼ水平に液状発泡性混合
物を投入、積層して、隆起部上の厚さは薄く、中央部は
厚くなるようにし、その上に表皮材で覆った状態の縦端
面図を示す。
【図4】図4(a)は、本発明にしたがって、加圧型の吸
引孔を通じて吸引しながら、第1の発泡体の上に投入、
積層された液状発泡性混合物を、その上を覆う表皮材と
ともに、第1の発泡体と加圧型とで加圧圧縮した状態の
縦端面図を示し、図4(b)は、吸引成形部を拡大した縦
端面図を示す。
【図5】従来の方法により、第1の発泡体上に第2の発
泡体を形成する液状発泡性混合物を投入、積層し、その
上に表皮材で覆った状態の縦端面図を示す。
【図6】従来の方法により、第1の発泡体の上に投入、
積層された液状発泡性混合物を、その上を覆う表皮材と
ともに、第1の発泡体と加圧型とで加圧圧縮したときの
状態の縦端面図を示す。
【図7】座席の発泡体を成形する液状発泡性混合物の積
層厚さと、硬化時間を示すグラフである。
【図8】他の加圧型を使用して、本発明の座席を製造す
る状態の縦端面図を示す。
【符号の説明】
1 座席 2 表皮材 3 天井表皮部分 4、5 側面表皮部分 6 第2の発泡体 7 本体部 8、9 土手部 10 第1の発泡体 12、13 隆起部 15 液状発泡性混合物 30 加圧型 31 成形表面 32、33 吸引孔
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成9年7月24日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項7
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項9
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項16
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項20
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正内容】
【0006】前記したように積層した混合物52と発泡
体51との間に通気性の低い含浸層が形成され、全体と
して通気性の低い複合材料となることから、加圧圧縮の
際、加圧型60内が排気されると、その吸引力が、空気
の透過性が低くなった複合材料に作用し、複合材料内と
吸引側の間に大きな圧力差が生じる。そのため、図6に
示されているように、加圧型の成形表面が複雑な形状を
もっていても、粘弾性流動状態の液状発泡性混合液は表
皮材と一体となって吸引側に引き寄せられ、さらに加圧
圧縮により生ずる反作用と相まって、表皮材54を加圧
型へと押し付けて、加圧型60の成形表面60’に沿わ
せることができる。このように表皮材とともに液状発泡
性混合物を吸引することにより型にしたがった所望の形
状を成形するところを吸引成形部という。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正内容】
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、投入、積層さ
れた粘弾性流動状にある液状発泡性混合物は、積層厚が
一様なことから一様に樹脂化(硬化)し、そのために一
様に圧縮されやすく、また既に説明したように、含浸層
の形成により混合物52および第1の発泡体51が全体
として空気の透過性の低い複合材料となることから、吸
引の際に生じた圧力差により、第1の発泡体51全体が
加圧型60へと押し付けられる。そのため、図6におい
て破線により示された位置から、第1の発泡体51は混
合物52に向かってもち上がり、混合物52は全体とし
て潰され、その厚さが薄くなり、そして硬くなると、座
席としての表面感触が悪化する場合がある。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正内容】
【0019】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の座席は、通気性をもつ表皮材により被覆され、当該
座席の略外形形状を有する発泡体から成る座席であっ
て、その発泡体が、当該発泡体の基部をなす第1の発泡
体と、第1の発泡体の表面上に投入、積層された液状発
泡性混合物を、その混合物がガス反応は終了しているが
まだ粘弾性流動状態にあるときに、第1の発泡体と、液
状発泡性混合物の上にある表皮材の上に位置する、成形
表面を有し、吸引孔が設けられた加圧型とで、吸引孔を
通して吸引を行いつつ加圧圧縮することにより、表皮材
の裏面と一体になり、かつ第1の発泡体の表面と一体と
なる第2の発泡体と、から成る。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正内容】
【0021】本発明の、通気性をもつ表皮材と一体とな
る発泡体から成り、該発泡体が当該座席の略外形形状を
有し、かつ互いに上下に一体に構成された、基部をなす
第1の発泡体と、第2の発泡体とから成る座席を製造す
る方法は、第1の発泡体の表面上に第2の発泡体を形成
する液状発泡性混合物を投入、積層する工程と、第1の
発泡体の上に表皮材を配置する工程と、積層された液状
発泡性混合物がガス反応は終了しているがまだ粘弾性流
動状態にあるときに、積層された液状発泡性混合物を、
第1の発泡体と、表皮材の上に位置し、成形表面を有す
る、吸引孔が設けられた加圧型とで、該加圧型の吸引孔
を通して吸引を行いつつ、加圧圧縮する工程と、から成
る。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正内容】
【0027】第2の発泡体の硬さを部分的に変えるとき
は、加圧圧縮する際に、液状発泡性混合物がガス反応は
終了しているがまだ粘弾性流動状態にあるとき、液状発
泡性混合液に対する加圧圧縮率を部分的に変えることが
望ましい。その圧縮率は、加圧型と第1の発泡体との間
の間隔を部分的に変え、液状発泡性混合物を第1の発泡
体上に同厚に投入、積層し、加圧圧縮することにより行
うことが望ましい。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正内容】
【0031】この第2の発泡体を形成する際に、吸引成
形部に対応するところは、薄く、他のところは厚く第1
の発泡体の上に液状発泡性混合物を投入、積層すると、
薄いところでは硬化が遅く、厚いところでは硬化が早く
なる。その混合物を、ガス反応は終了しているがまだ粘
弾性流動状態にあるときに、第1の発泡体と、成形表面
の、吸引成形部に対応するところに吸引孔を有する加圧
型とで、吸引を行いながら、加圧する。そのとき、混合
物の厚い部分では硬化が進んでいるために、吸引により
第1の発泡体の吸引側へのもち上がりを抑制し、一方混
合物の薄い部分、すなわち吸引成形部はまだ流動性があ
るため表皮体と一体となって吸引側に引き寄せられ、こ
れを固体状態に移行させると、表皮材および第1の発泡
体と一体となり、さらに加圧型の成形表面の形状をもつ
座席が製造される。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正内容】
【0040】第1の発泡体10は、ポリウレタンフォー
ムの反応性樹脂から形成される発泡体であるが、このほ
かポリユレヤフォームの反応性樹脂からも形成できる。
なお、ポリウレタンフォーム、ポリユレヤフォームと同
等以上の高反応配合でも形成でき、これらを総称してウ
レタンフォーム、ポリユレヤフォームなどの反応性樹脂
という。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正内容】
【0044】各発泡体の硬さは、第2の発泡体6をソフ
トに第1の発泡体10をそれよりも硬くすることが望ま
しい。第2の発泡体をソフトにすることで座り心地がよ
く、第1の発泡体を硬くすることで座る者の体重を支持
でき、かつホールド性をよくし、座席の外形を保持でき
るからである。しかし、逆にクッション性が必要な場合
には、第1の発泡体の方をさらにソフトにしてもよい。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0063
【補正方法】変更
【補正内容】
【0063】しかし、反応過程においては非常に不安定
な状態であり、ガス反応が終了した後一定時間内では、
まだ流動性が残り、また外力を作用させることで容易に
変形させることができる状態(粘弾性流動状態)にあ
る。そのため、この流動性のあるときに、吸引するとそ
の方向に引き寄せることができ、また別の発泡体、繊維
などの素材と一体に加圧すると、別の発泡体の中、繊維
の組織の一部に入り込み、その別の発泡体や素材が、混
合物から形成された発泡体上に固着し、一体的となる。
さらに、混合物の加圧圧縮率を変化させると、圧縮率の
高いところでは硬く、低いところではソフトな発泡体と
なる。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0074
【補正方法】変更
【補正内容】
【0074】第2の発泡体を形成する発泡性混合物15
の部分的な硬化の速度は、上述したように、混合部の配
合処方、および積層厚さにより変わるものであるから、
混合物15の配合、第1の発泡体の隆起部の隆起の程
度、加圧型のよる吸引強度は、上記製造工程において適
宜決めることができる。たとえば、加圧型30による吸
引が強い場合は、混合物15の硬化の速度が速くなるよ
うに配合処方し、隆起部を高くすることができない場合
(第1の発泡体が硬く隆起部を高くすると座り心地が悪
くなる場合)は、混合物15の硬化の速度が遅くなるよ
うに配合処方する。また、所望の第2の発泡体を形成す
る発泡性混合物の配合に即して、加圧型30の吸引力を
変化させる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29L 31:58 (72)発明者 戸田 泰行 岡山県倉敷市児島小川8丁目3番8号 難 波プレス工業株式会社内

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 通気性をもつ表皮材により被覆され、当
    該座席の略外形形状を有する発泡体から成る座席であっ
    て、 前記発泡体が、 当該発泡体の基部をなす第1の発泡体と、 前記第1の発泡体の表面上に投入、積層された液状発泡
    性混合物を、その混合物がガス反応は終了しているがま
    だ流動状態にあるときに、前記第1の発泡体と、前記液
    状発泡性混合物の上にある表皮材の上に位置する、成形
    表面を有し、吸引孔が設けられた加圧型とで、前記吸引
    孔を通して吸引を行いつつ加圧圧縮することにより、前
    記表皮材の裏面と一体になり、かつ前記第1の発泡体の
    表面と一体となる第2の発泡体と、から成り、 前記加圧型の吸引孔が、形成されるべき前記2の発泡体
    の吸引成形部に対応する位置に、少なくともあり、 前記第1の発泡体の表面上に投入、積層された、加圧圧
    縮前の前記液状発泡性混合物の、前記吸引成形部を形成
    すべきところの部分の厚さが、実質的に圧縮されるべき
    でないところの部分の厚さより薄い、ところの座席。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の座席であって、 前記第1の発泡体の表面上に投入、積層された加圧圧縮
    前の液状発泡性混合物の、前記吸引成形部を形成すべき
    ところの部分の厚さが、薄く投入、積層することで、実
    質的に圧縮されるべきでないところの部分厚さより薄
    い、ことを特徴とする座席。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の座席であって、 前記第1の発泡体の表面上に投入、積層された加圧圧縮
    前の液状発泡性混合物の、前記吸引成形部を形成すべき
    ところの部分の厚さが、前記第1の発泡体が前記表面の
    前記吸引成形部に対応するところに隆起部を有すること
    で、実質的に圧縮されるべきでないところの部分の厚さ
    より薄い、ことを特徴とする座席。
  4. 【請求項4】 請求項1、2または3に記載の座席であ
    って、 前記表皮材が、通気性をもつ織物組織の繊維材または編
    物組織の繊維材であることを特徴とする座席。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の座席であって、 前記表皮材の裏面にスラブウレタンフォームの板材が付
    設されることを特徴とする座席。
  6. 【請求項6】 請求項1、2または3に記載の座席であ
    って、 前記第1および第2の発泡体のそれぞれの硬さが、異な
    ることを特徴とする座席。
  7. 【請求項7】 請求項1、2または3に記載の座席であ
    って、 前記第2の発泡体を形成する液状発泡性混合物は、ガス
    反応は終了しているがまだ流動状態にあるときに、加圧
    圧縮率を変えて成形することにより前記第2の発泡体の
    硬さが部分的に異なることを特徴とする座席。
  8. 【請求項8】 請求項1、2または3に記載の座席であ
    って、 前記第1および第2の発泡体がポリウレタンフォーム、
    ポリユレヤフォームなどの反応性発泡樹脂から成形され
    ることを特徴とする座席。
  9. 【請求項9】 通気性をもつ表皮材と一体となる発泡体
    から成り、該発泡体が当該座席の略外形形状を有し、か
    つ互いに上下に一体に構成された、基部をなす第1の発
    泡体と、第2の発泡体とから成る座席を製造する方法で
    あって、 前記第1の発泡体の表面上に第2の発泡体を形成する液
    状発泡性混合物を投入、積層する工程と、 前記第1の発泡体の上に表皮材を配置する工程と、 前記積層された液状発泡性混合物がガス反応は終了して
    いるがまだ流動状態にあるときに、前記積層された液状
    発泡性混合物を、前記第1の発泡体と、前記表皮材の上
    に位置し、成形表面を有する、吸引孔が設けられた加圧
    型とで、該加圧型の吸引孔を通して吸引を行いつつ、加
    圧圧縮する工程と、から成り、 前記加圧型の吸引孔は、形成されるべき前記第2の発泡
    体の吸引成形部に対応する位置に、少なくともあり、 前記液状発泡性混合物を投入、積層する前記工程によ
    り、投入、積層された加圧圧縮前の液状発泡性混合物
    の、前記吸引成形部を形成すべきところの部分の厚さ
    が、実質的に圧縮されるべきでないところの部分より薄
    い、ところの方法。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載の方法であって、 前記第1の発泡体の表面上の、前記吸引成形部を形成す
    べきところに薄く投入、積層することにより、その部分
    の厚さが実質的に圧縮されるべきでないところの部分の
    厚さより薄くなる、ことを特徴とする方法。
  11. 【請求項11】 請求項9に記載の方法であって、 前記吸引成形部に対応するところに隆起部が形成された
    前記第1の発泡体の表面上に、前記液状発泡性混合物を
    投入、積層することにより、その部分の厚さが実質的に
    圧縮されるべきでないところの部分の厚さより薄くな
    る、ことを特徴とする方法。
  12. 【請求項12】 請求項9、10または11に記載の方
    法であって、 前記加圧型内への吸引が前記吸引孔の一部を通して行
    い、吸引孔の他の部分については、前記加圧型の内外の
    通気が自由となる、ことを特徴とする方法。
  13. 【請求項13】 請求項12に記載の方法であって、 前記吸引孔が複数あり、その一部が前記第2の発泡体の
    吸引成形部に対応する位置にあり、その吸引孔を通して
    吸引が行われ、 他の吸引孔では前記加圧型の内外の通気が自由となる、
    ことを特徴とする方法。
  14. 【請求項14】 請求項9、10または11に記載の方
    法であって、 前記液状発泡性混合物を投入、積層する工程が、前記表
    皮材を配置する工程の前に行うことを特徴とする方法。
  15. 【請求項15】 請求項9、10または11に記載の方
    法であって、 前記表皮材を配置する工程が、前記積層された液状発泡
    性混合物を間にして、前記表皮材で前記積層された液状
    発泡性混合物を被覆することであることを特徴とする方
    法。
  16. 【請求項16】 請求項9、10または11に記載の方
    法であって、 当該座席の土手部を形成する前記第1の発泡体の硬さを
    部分的に変えるときは、前記加圧圧縮する工程におい
    て、前記液状発泡性混合物がガス反応は終了しているが
    まだ流動状態にあるとき、前記液状発泡性混合液に対す
    る加圧圧縮率を部分的に変える、ところの方法。
  17. 【請求項17】 請求項16に記載の方法であって、 前記加圧型と前記第1の発泡体との間の間隔を部分的に
    変え、前記液状発泡性混合物を前記第1の発泡体上に同
    厚に投入、積層し、加圧圧縮することで、前記加圧圧縮
    率を部分的に変えることを特徴とする方法。
  18. 【請求項18】 請求項9、10または11に記載の方
    法であって、 前記表皮材が、通気性のある天井表皮部分と、それに続
    く側面表皮部分から成り、前記天井表皮部分が前記第2
    の発泡体と一体化し、前記側面表皮部分が前記第1の発
    泡体の側面を被覆することを特徴とする方法。
  19. 【請求項19】 請求項9、10または11に記載の方
    法であって、 前記第1および第2の発泡体のそれぞれの硬さが、異な
    ることを特徴とする方法。
  20. 【請求項20】 請求項9、10または11に記載の方
    法であって、 前記第1および第2の発泡体がポリウレタンフォーム、
    ユレヤフォームなどの反応性発泡樹脂から成形されるこ
    とを特徴とする方法。
  21. 【請求項21】 請求項9、10または11に記載の方
    法であって、 前記表皮材が、通気性をもつ織物組織の繊維材または編
    物組織の繊維材であることを特徴とする方法。
  22. 【請求項22】 請求項9、10または11に記載の方
    法であって、 前記表皮材の裏面にスラブウレタンフォームの板材が付
    設されることを特徴とする方法。
  23. 【請求項23】 請求項12または13に記載の方法で
    あって、 前記吸引孔の前記一部の裏側に減圧室が設けられ、その
    減圧室を減圧することで吸引を行う、ことを特徴とする
    方法。
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