JPH10174453A - インバータ制御装置 - Google Patents

インバータ制御装置

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JPH10174453A
JPH10174453A JP8333278A JP33327896A JPH10174453A JP H10174453 A JPH10174453 A JP H10174453A JP 8333278 A JP8333278 A JP 8333278A JP 33327896 A JP33327896 A JP 33327896A JP H10174453 A JPH10174453 A JP H10174453A
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signal
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    • H02M7/53871Conversion of dc power input into ac power output without possibility of reversal by static converters using discharge tubes with control electrode or semiconductor devices with control electrode using devices of a triode or transistor type requiring continuous application of a control signal using semiconductor devices only, e.g. single switched pulse inverters in a bridge configuration with automatic control of output voltage or current
    • H02M7/53875Conversion of dc power input into ac power output without possibility of reversal by static converters using discharge tubes with control electrode or semiconductor devices with control electrode using devices of a triode or transistor type requiring continuous application of a control signal using semiconductor devices only, e.g. single switched pulse inverters in a bridge configuration with automatic control of output voltage or current with analogue control of three-phase output

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 逆起電力ベクトルの位置情報なしで高調波抑
制可能かつ高速な電流制御応答可能なPWM信号を得る
こと及びスイッチング周波数が大幅に変動することのな
いPWM信号を得る。 【解決手段】 電流指令と出力電流との偏差を演算する
偏差演算回路11と、この偏差演算回路11からの偏差
に基づいて偏差電流ベクトルの角度を演算するベクトル
角演算回路12と、このベクトル角演算回路12からの
偏差電流ベクトルの角度と自身の出力中のスイッチング
信号とに基づいて、或いは上記偏差電流ベクトルの角度
と自身の出力中のスイッチング信号及び以前に出力して
いたスイッチング信号とに基づいて、スイッチング信号
を選択するスイッチングシーケンス論理回路13を有
し、スイッチングシーケンス論理回路13の出力するス
イッチング信号に基づいて自己消弧形スイッチング素子
を制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自己消弧形スイッ
チング素子を有するインバータを制御するインバータ制
御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】交流電動機の可変速制御装置の性能は、
電流制御の性能によるところが大きく、高性能が要求さ
れる場合には、外部の速度制御系、トルク制御系等から
与えられる電流指令値にインバータ出力電流が高速に応
答することが求められる。
【0003】PWMインバータでそのような高速な電流
応答の得られる制御方法として電流ヒステリシスバンド
によるPWM制御法がある。図35にその制御構成を示
す。
【0004】図35において、1は直流電源、2はコン
デンサ、3はインバータで自己消弧形スイッチング素子
SUP,SVP,SWP,SUN,SVN,SWNとそ
れぞれの素子に逆並列に接続されたダイオードDUP,
DVP,DWP,DUN,DVN,DWNから構成され
る。4は交流電動機、5U,5V,5WはホールCT、
6は電流検出器、7U,7V,7Wはそれぞれ交流電動
機に流すべき相電流指令値iu* ,iv* ,iw* と電
流検出器6から出力される交流電動機の相電流の検出値
iu,iv,iwとを入力し、偏差Δiu,Δiv,Δ
iwを出力する減算器、8U,8V,8Wは電流偏差Δ
iu,Δiv,Δiwを入力して、その値が設定された
ヒステリシス幅(hys/2)を超えていたら出力を論
理値“1”に変更し、(−hys/2)を下回っていた
ら出力を論理値“0”に変更するヒステリシスコンパレ
ータである。ヒステリシスコンパレータ8U,8V,8
Wの出力は、インバータ3の各相のPWM信号Uo,V
o,Woであり、論理回路9に出力される。論理回路9
はPWM信号Uo,Vo,Woを入力して、Uo,V
o,Wo及びその論理反転信号に、所定のオンディレイ
タイム処理を行って、インバータ3を構成する6個の自
己消弧形スイッチング素子への駆動信号を出力する。論
理回路9の出力はゲート回路10を介してインバータ3
の相当する自己消弧形スイッチング素子のゲートヘ与え
られる。
【0005】このような回路の動作は単純には図36で
説明できる。図36において、一点鎖線で示した正弦波
の電流指令値iu* の上下に点線で示した各hys/2
のヒステリシス幅を有している。電流iuが正方向へ変
化して電流指令値(iu* +hys/2)に達すると、
ヒステリシスコンパレータの出力が論理値“0”となっ
てインバータの負側のスイッチをオンして電動機巻線に
−Ed/2の負電圧を印加して、電流をiu負方向へ変
化せしめ、電流iuが負方向へ変化して電流指令値(i
* −hys/2)に達すると、インバータの正側のス
イッチをオンして電動機巻線に+Ed/2の正電圧を印
加して電流iuを正方向へ変化せしめることにより、電
流iuを電流基準iu* の±hys/2のヒステリシス
幅内に収めるように制御する。コンパレータのゲインは
ほぼ無限大といってよいから、超高速の電流制御応答が
得られる。但し、同じくコンパレータのゲインがほぼ無
限大ということから、スイッチング周波数を制限するた
めのヒステリシス幅が必要である。最大のスイッチング
周波数は巻線のもれインピーダンス、インバータ直流電
圧、自己消弧形スイッチング素子のスイッチング速度等
とヒステリシス幅によって定まる。
【0006】1相だけを考えると以上の説明で良いので
あるが、実際の3相インバータによる交流電動機駆動に
おいては、図36のように理想的なPWM波形を得るこ
とはできない。
【0007】図37に3相インバータによる交流電動機
駆動にヒステリシスバンドPWM制御を用いた場合の波
形例を示す。上からヒステリシスバンドPWM制御によ
る電流波形iu,iv,iwと電動機相電圧Vu,V
v,Vwおよび線間電圧Vu−vの波形である。電流波
形iu,iv,iwにはヒステリシスバンドも示してい
る。図より明らかにスイッチング周波数が変化してい
る。T1で示した期間はスイッチング周波数が低く、T
2で示した期間はスイッチング周波数が高い。このよう
な現象は回転数が低いときや、電流指令値が小さいとき
に生じる。
【0008】T1において、スイッチング周波数が低い
のは、3相とも電圧が+Ed/2で線間電圧としてはす
べて“0”で、電流が逆起電力のみにより変化する期間
があり、回転数が低いと逆起電力が小さいのでその間の
電流変化がゆるやかになるためである。尚、3相の電圧
がすべて同電位であり、線間電圧がすべて“0”になる
ような電圧の組合わせで作られるベクトルは大きさが
“0”であるので、以後“ゼロ電圧ベクトル”という。
【0009】逆に、T2において、スイッチング周波数
が高いのは、この間においては3相の電圧が等しくなる
期間がなく、電動機の線間電圧Vu−v,Vv−w,V
w−uのうちの二つは“0”でないため、電流変化が急
速なためである。期間T2におけるスイッチング周波数
に対する電流リップルの比率は、期間T1に比べ著しく
悪いといえる。尚、ゼロ電圧ベクトルでない電圧ベクト
ルを、以後は総称して“非ゼロ電圧ベクトル”という。
【0010】T2のようにスイッチング周波数が高くな
る現象は電流基準の大きさが小さい場合に生じやすく、
T1のようにスイッチング周波数が低くなる現象は電動
機の回転数が低く逆起電力が小さい場合に生じやすい。
低回転数かつ電流基準が小さい場合には双方によって、
非常に大きな変調周波数変動を生じる。
【0011】電流制御応答が非常に高速であるという長
所を有するにもかかわらず、ヒステリシスバンドPWM
制御が最近好まれなくなった理由として、 (1)図37のT1とT2のようにスイッチング周波数
が大きく変化する。
【0012】(2)図37のT2の期間では三角波比較
PWM制御など他のPWM制御に比べ、同一スイッチン
グ周波数での電流リップルが著しく大きい。 等がある。変調周波数が変化すると、騒音・ラジオノイ
ズ対策が困難となる。また、変換器の設計は最高変調周
波数に合わせねばならないので、変調周波数が変動する
ことは装置の大型化を意味する。最高変調周波数を下げ
るためにヒステリシスバンドを大きくすると、電流リッ
プルが大きくなる。三角波比較等のPWM制御に比べも
ともと電流リップルは大きいから、スイッチング素子の
電流定格に大きなマージンを持たせねばならず、非常に
不利である。図37に示すように、回転数、3相電流基
準の振幅、ヒステリシスバンドをすべて一定としている
が、それでもスイッチング周波数は変化してしまう。
【0013】これらを解決するものとして、「高調波抑
制と高速電流応答を可能にした電流制御形PWMインバ
ータ」小笠原悟司、西村倫明、赤本葉文、難波江章(電
気学会論文誌B,昭和61年2月号)が発表されてい
る。この方式は、従来のヒステリシスバンドPWM制御
のほかに、高調波抑制可能なスイッチング方式をもち、
電流基準のステップ変化時のように電流偏差が大きい場
合には従来のヒステリシスバンドPWM制御を用い、定
常状態のように電流偏差が小さい場合には高調波抑制可
能なスイッチング方式を用いるというように電流偏差の
大きさに応じて双方を切り替えて使うというものであ
る。
【0014】定常状態におけるスイッチング方式は、交
流電動機の逆起電力ベクトルの角度を検出し、逆起電力
ベクトルをはさんで存在する(最も近い角度を持つ)二
つの非ゼロ電圧ベクトルとゼロ電圧ベクトルとのみを用
いてスイッチング制御する方式で、確かに電流変化率の
小さな電圧ベクトルが選択されることになり高調波抑制
に効果的であると思われる。但し、電動機の回転数が高
くなり、インダクタンスによる電圧降下が大きくなって
くると、定常状態でも所望電流を流すためには逆起電力
ベクトルとの角度差の大きな電圧ベクトルを用いる必要
性が出てくる。そのような場合、本方式では電流偏差が
大きくなり、従来のヒステリシスバンドPWM制御に切
り換えられる。
【0015】逆起電力ベクトル検出の方法としては、偏
差電流の微分を用いる方法、永久磁石電動機については
逆起電力を計算で求める方法が紹介されている。しかし
ながら、上記文献中でも述べられているように、偏差電
流の微分を用いる方法はノイズに弱いし、永久磁石電動
機についての逆起電力を計算で求める方法は定常状態を
仮定しているため、過渡状態で誤差を生じる恐れがあ
る。このスイッチング方式は、逆起電力ベクトルの方向
を基準としてスイッチング信号を定めるから、逆起電力
ベクトルの誤検出は、そのまま不正なスイッチング信号
を出力することにつながる。
【0016】以上のように、この方式は従来のヒステリ
シスバンドPWM制御との併用が必須である。高速応答
が必要でなければ高調波抑制可能なスイッチング方式だ
けで良いというわけではない。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ヒステ
リシスバンドPWM制御は高調波が大きいことと、変調
周波数変動とが非常に重大な問題で、特殊な用途以外に
は用いられなくなった。また、逆起電力ベクトル検出に
基づく方法は、逆起電力検出を行なうこと自体が問題で
ある。逆起電力の不明な負荷の場合には偏差電流の微分
を用いて逆起電力を推定することになり、ノイズに弱い
システムとなってしまう。
【0018】そこで、本発明は、上記問題点を鑑み、逆
起電力ベクトルの位置情報なしで高調波抑制可能かつ高
速な電流制御応答可能なPWM信号を得ること及びスイ
ッチング周波数が大幅に変動することのないPWM信号
を得ることが可能なインバータ制御装置を提供すること
を目的としている。
【0019】
【課題を解決するための手段】インバータの出力電圧ベ
クトルは、ゼロ電圧ベクトルと非ゼロ電圧ベクトルに大
別できる。ゼロ電圧ベクトル出力期間の電流は逆起電力
のみにより変化するから、上記方式のように逆起電力の
位置情報がない限り、電流変化方向を制御するためにゼ
ロ電圧ベクトルを用いることはできない。電流変化方向
を制御できるのは非ゼロ電圧ベクトルである。かといっ
て非ゼロ電圧ベクトルだけを用いて電流制御すると、従
来のヒステリシスバンドPWM制御のように高調波を多
量に発生する。従って、ゼロ電圧ベクトルと非ゼロ電圧
ベクトルを適切に使い分けることが必要である。
【0020】もしそのような電流制御が成り立っている
とすると、電流偏差が十分に小さくなった電流制御の定
常状態では、「ゼロ電圧ベクトル出力中の逆起電力によ
る電流変化を補うように非ゼロ電圧ベクトルを用いて制
御する」というように使い分けられているはずである。
【0021】本発明では、ゼロ電圧ベクトル出力中の電
流変化を知るために電流偏差そのものを使用する。電流
偏差を可能な限り小さくなるよう非ゼロ電圧ベクトルを
用いて電流制御して、理想的には電流偏差がゼロとなっ
た時点でゼロ電圧ベクトルに移行させる。
【0022】ゼロ電圧ベクトル出力中の電流変化は逆起
電力次第で、電流ベクトルとしてはどのように変化する
か不明である。しかし電流偏差がゼロになった時点でゼ
ロベクトルに移行させたのだから、電流偏差ベクトルと
しては確実に大きくなるはずである。しかもゼロ電圧ベ
クトル出力中の電流変化は電流偏差ベクトルにそのまま
現れている。したがって、電流偏差をふたたび可能な限
り小さくなるよう、非ゼロ電庄ベクトルを用いて電流制
御すれば定常状能を継続することができる。しかも電流
偏差を小さくするよう制御するという動作は電流制御の
通常の動作そのままである。電流基準のステップ変化等
の過渡状熊においても同一ロジックで電流制御が成立す
ることになる。
【0023】従来の電流制御においては、電流が平均的
に電流基準と等しくなるように制御していたのに対し、
本発明の方式では平均的に等しくは制御されない。ゼロ
電圧ベクトル出力中の逆起電力による変化分のおよそ1
/2だけ平均値としては基準からずれることになる。
【0024】以上の原理により、定常状態におけるゼロ
電圧から非ゼロ電圧への移行時には電流偏差ベクトルが
逆起電力による変化分を示すようにできる。あとは電流
偏差ベクトルを“0”に制御するためには非ゼロ電圧ベ
クトルをいかに選択すれば良いかである。
【0025】本発明では、電流偏差ベクトルをはさむ二
つの非ゼロ電圧ベクトル間によるスイッチングを行なわ
せる。二つの非ゼロ電圧ベクトルのいずれかを選択する
かは後段で述べる。一旦非ゼロ電圧ベクトルによる制御
に入った後は、「二つの隣接する非ゼロ電圧ベクトルの
うち、電流偏差ベクトルと角度差のより少ない非ゼロ電
圧ベクトルを選択する」という論理を組む。選択された
非ゼロ電圧ベクトルにより電流は変化し当然電流偏差ベ
クトルも変化する。定常状態で電流偏差が小さくなる過
程においては、この論理により2つの非ゼロ電圧ベクト
ル間で自動的にスイッチングが行われる。過渡状態では
偏差ベクトルの変化が定常状態とは異なるため、選択さ
れる非ゼロ電圧ベクトルが隣接するベクトルヘ次々に移
行してゆく場合があるが、定常状態では同一の2つの非
ゼロ電圧ベクトルが繰り返し選択される。
【0026】定常状態では隣接する2つの非ゼロ電圧ベ
クトルとゼロ電圧ベクトルとの組合わせでスイッチング
制御されることになる。この結果として出力される平均
電圧は、隣接する2つの非ゼロ電圧ベクトルに挟まれた
領域に含まれる。ある平均電圧とそれを出力するために
用いられる電圧ベクトルの組合わせが、高調波の発生が
少ないため現在よく用いられている三角波比較PWM制
御と同じ組合わせとなる。逆起電力ベクトルは、結果と
して出力される平均電圧の近くに存在する場合が多く、
この場合、電流リップルを最も小さく制御できる電圧ベ
クトルのみを用いて制御していることになる。
【0027】電流偏差がゼロになるまで非ゼロ電圧ベク
トルを用いて電流制御するということは現実的には不可
能である。しかしながら、「それ以上非ゼロ電圧ベクト
ルによるスイッチングを重ねても電流偏差を小さくする
ことができない」という時点は、出力中の非ゼロ電圧ベ
クトルと電流偏差ベクトルとの角度差から検出でき、こ
の時点でゼロ電圧ベクトルに移行する。
【0028】本発明では以上の原理に基づいて、スイッ
チング制御を行ない、定常状態では高調波の少ないPW
M制御、過渡状態では高速な電流制御を可能とするPW
M制御を実現するものである。
【0029】従って、本発明は、以下の構成を有する。
まず、請求項1記載の本発明は、自己消弧形スイッチン
グ素子を有するインバータの出力電流が電流指令に追従
するよう制御するインバータ制御装置において、上記電
流指令と上記出力電流との偏差を演算する偏差演算回路
と、この偏差演算回路からの偏差に基づいて偏差電流ベ
クトルの角度を演算するベクトル角演算回路と、このベ
クトル角演算回路で演算された偏差電流ベクトルの角度
と自身の出力中のスイッチング信号とに基づいて、或い
は上記偏差電流ベクトルの角度と自身の出力中のスイッ
チング信号及び以前に出力していたスイッチング信号と
に基づいてスイッチング信号を選択するようにスイッチ
ングシーケンスを生成するスイッチングシーケンス論理
回路を有し、スイッチングシーケンス論理回路の出力す
るスイッチング信号に基づいて上記自己消弧形スイッチ
ング素子を制御することを特徴とする。
【0030】次に、請求項2記載の本発明は、インバー
タの出力電圧がゼロベクトルとなるスイッチング信号か
ら非ゼロベクトルとなるスイッチング信号への移行にお
いては、出力電圧ベクトルの角度が偏差電流ベクトルの
角度に最も近い角度となるスイッチング信号を選択し、
上記インバータの出力電圧が非ゼロベクトルとなるスイ
ッチング信号からの移行時は、電流偏差ベクトルと最も
近い角度をもつ非ゼロベクトルが出力中の非ゼロベクト
ルであれば出力中のスイッチング信号を維持し、電流偏
差ベクトルと最も近い角度をもつ非ゼロ電圧ベクトルが
出力中の非ゼロベクトルに隣接する非ゼロベクトルであ
れば、該隣接する非ゼロベクトルとするスイッチング信
号に移行し、電流偏差ベクトルと最も近い角度をもつ非
ゼロベクトルが出力中の非ゼロベクトル、出力中の非ゼ
ロベクトルに隣接する非ゼロベクトルのいずれでもなけ
れば、ゼロベクトルとなるスイッチング信号に移行する
ようにスイッチングシーケンスを生成するスイッチング
シーケンス論理回路を有し、このスイッチングシーケン
ス論理回路の出力するスイッチング信号に基づいて自己
消弧形スイッチング素子を制御することを特徴とする。
【0031】また、請求項3記載の本発明は、インバー
タの出力電圧がゼロベクトルとなるスイッチング信号か
ら上記インバータの出力電圧が非ゼロベクトルとなるス
イッチング信号への移行においては、出力中のスイッチ
ング信号のうちの1相だけのスイッチングによって移行
できる非ゼロベクトルのうち電流偏差ベクトルの角度と
最も近い角度をもつ非ゼロベクトルとなるスイッチング
信号に移行し、上記インバータの出力電圧が非ゼロベク
トルとなるスイッチング信号からの移行時は、電流偏差
ベクトルと最も近い角度をもつ非ゼロベクトルが出力中
の非ゼロベクトルであれば出力中のスイッチング信号を
維持し、電流偏差ベクトルと最も近い角度をもつ非ゼロ
ベクトルが出力中の非ゼロベクトルに隣接する非ゼロベ
クトルであれば、該隣接する非ゼロベクトルとするスイ
ッチング信号に移行し、電流偏差ベクトルと最も近い角
度をもつ非ゼロベクトルが出力中の非ゼロベクトル、出
力中の非ゼロベクトルに隣接する非ゼロベクトルのいず
れでもなければ、出力中の非ゼロベクトルへの移行前の
ベクトルから出力中の非ゼロベクトルへの移行のために
いずれかの相で行ったスイッチングが正側素子オンから
負側素子オンへのスイッチングであれば、すベての相を
負側素子オンとするスイッチング信号に移行し、負側素
子オンから正側素子オンへのスイッチングであればすベ
ての相を正側素子オンとするスイッチング信号に移行す
るようにスイッチングシーケンスを生成するスイッチン
グシーケンス論理回路を有し、このスイッチングシーケ
ンス論理回路の出力するスイッチング信号に基づいて自
己消弧形スイッチング素子を制御することを特徴とす
る。
【0032】更に、請求項4記載の本発明は、自己消弧
形スイッチング素子を有するインバータの出力電流が電
流指令に追従するよう制御するインバータ制御装置にお
いて、上記電流指令と上記出力電流との偏差を演算する
偏差演算回路と、この偏差演算回路からの偏差に基づい
て偏差電流ベクトルの角度を演算するベクトル角演算回
路と、このベクトル角演算回路で演算された偏差電流ベ
クトルの角度と自身の出力中のスイッチング信号とに基
づいて、或いは上記偏差電流ベクトルの角度と自身の出
力中のスイッチング信号及び以前に出力していたスイッ
チング信号とに基づいてスイッチング信号を選択し、前
記自己消弧形スイッチング素子を制御するよう一連のス
イッチングシーケンスを発生するスイッチングシーケン
ス論理回路と、このスイッチングシーケンス論理回路に
対して、偏差電流ベクトルの角度以外の条件でシーケン
ス起動信号を発生するシーケンス起動回路とを備え、上
記スイッチングシーケンス論理回路の出力するスイッチ
ング信号に基づいて上記自己消弧形スイッチング素子を
制御することを特徴とする。
【0033】また、請求項5記載の本発明は、シーケン
ス起動信号を与えられると、インバータ出力電圧が偏差
電流ベクトルの角度に最も近い角度の非ゼロベクトルと
なるスイッチング信号を選択して出力し、偏差電流ベク
トルの角度が出力中のスイッチング信号によるインバー
タ出力電圧ベクトル、該電圧ベクトルに隣接した出力可
能な電圧ベクトルのいずれでもない出力可能な電圧ベク
トルに最も近くなると、シ一ケンス起動信号が与えられ
でいなくても出力電圧ベクトルの大きさをゼロとするス
イッチング信号に移行するようにスイッチングシーケン
スを生成するスイッチングシーケンス論理回路と、イン
バータ出力電流と電流基準との偏差の大きさ及び出力中
のスイッチング信号に基づいてシーケンス起動信号を発
生するシーケンス起動回路とを有し、上記スイッチング
シーケンス論理回路の出力するスイッチング信号に基づ
いて自己消弧形スイッチング素子を制御することを特徴
とする。
【0034】また更に、請求項6記載の本発明は、出力
電圧がゼロベクトルとなるスイッチング信号の出力中に
シーケンス起動信号を与えられると、1相のみのスイッ
チングによって移行できるスイッチング信号のなかでそ
のスイッチング信号による出力電圧ベクトルの角度が電
流偏差ベクトルの角度に最も近くなるスイッチング信号
に移行し、出力電圧が非ゼロベクトルとなるスイッチン
グ信号の出力中は、電流偏差ベクトルの角度と最も近い
角度を持つ出力電圧ベクトルが、出力中のスイッチング
信号による出力電圧ベクトルであればそのスイッチング
信号を維持し、出力中のスイッチング信号による出力電
圧ベクトルに隣接する電圧ベクトルであれば、シーケン
ス起動信号が与えられるか、或いは出力中のスイッチン
グ信号に移行する前に出力していたスイッチング信号が
ゼロ電圧ベクトルとなるスイッチング信号であったかの
いずれかの条件が成立したときにのみ、該隣接する電圧
ベクトルを生み出すスイッチング信号に移行し、電流偏
差ベクトルの角度と最も近い角度を持つ出力電圧ベクト
ルが出力中のスイッチング信号による出力電圧ベクトル
でも出力中のスイッチング信号による出力電圧ベクトル
に隣接する電圧ベクトルでもなければ、無条件に出力電
圧がゼロベクトルとなるスイッチング信号に移行し、そ
の際に出力中の非ゼロベクトルへの移行前のベクトルか
ら出力中の非ゼロベクトルへの移行のためにいずれかの
相で行ったスイッチングが正側素子オンから負側素子オ
ンへのスイッチングであれば、すべての相を負側素子オ
ンとして出力電圧にゼロベクトルを得るスイッチング信
号を選択し、負側素子オンから正側素子オンへのスイッ
チングであればすベての相を正側素子オンとして出力電
圧にゼロベクトルを得るスイッチング信号を選択するよ
うにスイッチングシーケンスを生成するスイッチングシ
ーケンス論理回路と、前記インバータの出力電流と電流
基準との偏差の大きさ及び出力中のスイッチング信号に
基づいてシーケンス起動信号を発生するシーケンス起動
回路とを有し、上記スイッチングシーケンス論理回路の
出力するスイッチング信号に基づいて自己消弧形スイッ
チング素子を制御することを特徴とする。
【0035】また、請求項7記載の本発明は、出力電圧
がゼロベクトルとなるスイッチング信号の出力中にシー
ケンス起動信号を与えられると、1相のみのスイッチン
グによって移行できるスイッチング信号のなかでそのス
イッチング信号による出力電圧ベクトルの角度が電流偏
差ベクトルの角度に最も近くなるスイッチング信号に移
行し、出力電圧が非ゼロベクトルとなるスイッチング信
号の出力中は、電流偏差ベクトルの角度と最も近い角度
を持つ出力電圧ベクトルが、出力中のスイッチング信号
による出力電圧ベクトルであればそのスイッチング信号
を維持し、出力中のスイッチング信号による出力電圧ベ
クトルに隣接する電圧ベクトルであれば、シーケンス起
動信号が与えられるか、或いは出力中のスイッチング信
号に移行する前に出力していたスイッチング信号がゼロ
電圧ベクトルとなるスイッチング信号であったかのいず
れかの条件が成立したときにのみ、該隣接する電圧ベク
トルを生み出すスイッチング信号に移行し、電流偏差ベ
クトルの角度と最も近い角度を持つ出力電圧ベクトルが
出力中のスイッチング信号による出力電圧ベクトルでも
出力中のスイッチング信号による出力電圧ベクトルに隣
接する電圧ベクトルでもなければ、無条件に出力電圧が
ゼロベクトルとなるスイッチング信号に移行し、その際
に出力中の非ゼロベクトルへの移行前のベクトルから出
力中の非ゼロベクトルへの移行のためにいずれかの相で
行ったスイッチングが正側素子オンから負側素子オンへ
のスイッチングであれば、すベての相を負側素子オンと
して出力電圧にゼロベクトルを得るスイッチング信号を
選択し、負側素子オンから正側素子オンへのスイッチン
グであればすべての相を正側素子オンとして出力電圧に
ゼロベクトルを得るスイッチング信号を選択するように
スイッチングシーケンスを生成するスイッチングシーケ
ンス論理回路と、このスイッチングシーケンス論理回路
の出力するスイッチング信号がゼロベクトルから非ゼロ
ベクトルに変化した時点からの時間を測定し、時間が所
定の時間を超えた時点から、次回スイッチング信号がゼ
ロベクトルから非ゼロベクトルに変化する時点までの
間、シーケンス起動信号を出力するシーケンス起動回路
とを有し、上記スイッチングシーケンス論理回路の出力
するスイッチング信号に基づいて自己消弧形スイッチン
グ素子を制御することを特徴とする。
【0036】また、請求項8記載の本発明は、出力電圧
がゼロベクトルとなるスイッチング信号の出力中にシー
ケンス起動信号を与えられると、1相のみのスイッチン
グによって移行できるスイッチング信号のなかでそのス
イッチング信号による出力電圧ベクトルの角度が電流偏
差ベクトルの角度に最も近くなるスイッチング信号に移
行し、出力電圧が非ゼロベクトルとなるスイッチング信
号の出力中は、電流偏差ベクトルの角度と最も近い角度
を持つ出力電圧ベクトルが、出力中のスイッチング信号
による出力電圧ベクトルであればそのスイッチング信号
を維持し、出力中のスイッチング信号による出力電圧ベ
クトルに隣接する電圧ベクトルであれば、シーケンス起
動信号が与えられるか、或いは出力中のスイッチング信
号に移行する前に出力していたスイッチング信号がゼロ
電圧ベクトルとなるスイッチング信号であったかのいず
れかの条件が成立したときにのみ、該隣接する電圧ベク
トルを生み出すスイッチング信号に移行し、電流偏差ベ
クトルの角度と最も近い角度を持つ出力電圧ベクトルが
出力中のスイッチング信号による出力電圧ベクトルでも
出力中のスイッチング信号による出力電圧ベクトルに隣
接する電圧ベクトルでもなければ、無条件に出力電圧が
ゼロベクトルとなるスイッチング信号に移行し、その際
に出力中の非ゼロベクトルへの移行前のベクトルから出
力中の非ゼロベクトルへの移行のためにいずれかの相で
行ったスイッチングが正側素子オンから負側素子オンへ
のスイッチングであれば、すべての相を負側素子オンと
して出力電圧にゼロベクトルを得るスイッチング信号を
選択し、負側素子オンから正側素子オンへのスイッチン
グであればすべての相を正側素子オンとして出力電圧に
ゼロベクトルを得るスイッチング信号を選択するように
スイッチングシーケンスを生成するスイッチングシーケ
ンス論理回路と、上記インバータの出力電流と電流基準
との偏差の大きさ及び出力中のスイッチング信号に基づ
いてシーケンス起動信号を発生する第1のシーケンス起
動回路と、上記スイッチングシーケンス論理回路の出力
するスイッチング信号がゼロベクトルから非ゼロベクト
ルに変化した時点からの時間を測定し、時間が所定の時
間を超えた時点から、次回スイッチング信号がゼロベク
トルから非ゼロベクトルに変化する時点までの間、シー
ケンス起動信号を出力する第2のシーケンス起動回路と
を有し、上記第1及び第2のシーケンス起動回路の出力
するシーケンス起動信号のオア条件で上記スイッチング
シーケンス論理回路にシーケンス起動信号を与え、上記
スイッチングシーケンス論理回路の出力するスイッチン
グ信号に基づいて自己消弧形スイッチング素子を制御す
ることを特徴とする。
【0037】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)図1に本発明の第1の実施の形態
のインバータ制御装置のブロック構成図を示す。
【0038】図1において、1〜6、9、10は図35
と同一構成要素であり、その説明は省略する。また、i
* ,i,Δi,sw(k)はそれぞれ電流基準、電流、
電流偏差、PWM信号をベクトルとして示しているが、
それぞれのベクトルは3相のベクトル成分から成り立っ
ている。11は、電流基準ベクトルi* と電流検出ベク
トルiとの偏差ベクトルΔiを求めるベクトル減算器で
ある。
【0039】ベクトル減算器11の内部構成は、電流基
準ベクトルや電流検出ベクトルの与え方の形態によって
決まるのであり、これらが従来のように、U,V,Wの
3相の成分で与えられるのであれば、図35中の減算器
7U、7V、7Wを一組のセットとしたものと考えて良
い。12は偏差ベクトルΔiからその角度θΔiを求め
るベクトル角検出器である。ベクトル角検出器12で
は、偏差ベクトルの3相のUVW座標成分Δiu,Δi
v,Δiwを下式(1)(2)に従い3相2相変換によ
り直交2相のXY座標の成分Δix,Δiyに変換す
る。
【0040】
【数1】 Δix=(2Δiu−Δiv−Δiw)/3 ……… (1) Δiy=(Δiv−Δiw)/√3 ……… (2) 更に、ベクトルにおける直交座標と極座標との間の関係
式及びΔix,Δiyの符号から下式(3)(4)に従
い、偏差ベクトルの角度θΔiを求める。
【0041】
【数2】 |Δi| = √((Δix)2 +(Δiy)2 ) ……… (3) cosθΔi = Δix/|Δi| ……… (4) XY座標のY軸とUVW座標のU軸とを一致させると、
偏差ベクトルがU軸の正方向を向いているとき、「θΔ
i=0」である。13はスイッチングシーケンス論理回
路、14はシーケンス起動回路である。
【0042】スイッチングシーケンス論理回路13は電
流偏差ベクトルの角度Δθとシーケンス起動回路14の
出力するシーケンス起動信号とに基づいて動作し、スイ
ッチング指令ベクトルswc=sw(k)を出力する。
スイッチング指令ベクトルsw(k)は3相のスイッチ
ング指令swu,swv,swwを成分とするベクトル
で、成分で書き表すときは(swu,swv,sww)
を用いることにする。すなわちsw(k)=(swu,
swv,sww)である。
【0043】スイッチング指令swu,swv,sww
は、2進数で“0”または“1”の値をとる。スイッチ
ング指令swu=1は、インバータU相の正側素子SU
Pをオン(負側素子SUNはオフ)、swu=0はイン
バータU相の負側素子SUNをオン(正側素子SUPは
オフ)という指令信号である。
【0044】スイッチング指令ベクトルsw(k)のk
は、(swu,swv,sww)の各相スイッチング指
令の値をそのまま書き並べて得られる2進数を、10進
数に変換した値である。たとえば、(swu,swv,
sww)=(1,0,0)のとき、各スイッチング信号
の値をそのまま書き並べると2進数“100”であり、
これを10進数に変換すると“4”である。従って、sw
(4)=(1,0,0)はU相のみ正側素子をオン、他
相は負側素子をオンするスイッチング指令を表す。kの
値は0〜7の間の値を取り得、スイッチング信号ベクト
ルsw(0)〜sw(7)が存在する。スイッチング指
令sw(k)でインバータの素子のオンオフが制御され
るときインバータが出力する電圧の空間ベクトルをv
(k)で書き表すことにする。電圧ベクトルv(k)は
インバータの直流電圧Edの時、表1に示すような値を
とる。スイッチング指令ベクトルsw(0)、およびs
w(7)の時にはインバータの3相出力電圧のすべてが
同電位となり、どの線間をとっても線間電圧の大きさが
“0”となる。
【0045】このときの電圧ベクトルを“ゼロ電圧ベク
トル”と総称する。それ以外のスイッチング指令ベクト
ルsw(1)〜sw(6)の時の電圧ベクトルは、大き
さが直流電圧Edに等しく、方向が60度ずつずれたベ
クトルで大きさを持つので“非ゼロ電圧ベクトル”と総
称する。
【0046】電圧ベクトルを図2に示す。スイッチング
指令ベクトルsw(k)と電圧ベクトルv(k)は1対
1に対応するのでゼロ電圧ベクトルv(0),v(7)
に対応するスイッチング信号sw(0),sw(7)を
“ゼロベクトル”、他のスイッチング信号を“非ゼロベ
クトル”と呼ぶことにする。
【0047】
【表1】
【0048】スイッチングシーケンス論理回路13の詳
細図を図3に示す。図3において、21は電流偏差ベク
トル角ベクトルθΔi、PWM信号として出力中のスイ
ッチング指令ベクトルswc及びswcに変更前にPW
M信号として用いていたスイッチング指令ベクトルsw
oを入力し、次回出力変更時に選択すべきスイッチング
信号swnを出力するスイッチング指令ベクトル選択テ
ーブルである。スイッチング指令ベクトル選択テーブル
21の内容を表2および表3に示す。表2はPWM信号
として出力中のスイッチング指令がゼロベクトルのとき
に、表3は非ゼロベクトルのときに用いられるテーブル
である。
【0049】
【表2】
【0050】表2はPWM信号として出力中のスイッチ
ング指令swcがゼロベクトルであれば、それがsw
(0),sw(7)のいずれであるか、また前回のスイ
ッチング指令swoがどのようなベクトルであったかに
かかわらず、電流偏差ベクトルの角度のみによってスイ
ッチング指令swnが選択されることを示している。電
流偏差ベクトルの角度θMが「−π/6〜π/6」であ
れば、sw(4)が選択されswnとして出力される。
先の表1からわかるようにv(4)の角度は“0”であ
り、「出力中のスイッチング指令がゼロベクトルのとき
には、電流偏差ベクトルの角度に最も近い角度をもつ電
圧ベクトルを生じるようなスイッチング指令を選択す
る」という論理をテーブル化したのが表2である。
【0051】
【表3】
【0052】一方、PWM信号として出力中のスイッチ
ング指令swcが非ゼロベクトルの場合には、出力中の
スイッチング指令swcによって、また前回出力してい
たスイッチング指令swoによって選択テーブルが出力
すべきスイッチング指令swnは変わってくる。
【0053】表3を言葉で説明すると、次のようにな
る。 (1)電流偏差ベクトルとPWM信号として出力中のス
イッチング指令swcによる非ゼ口電圧ベクトルとの角
度差が±30度以内であれば出力中のスイッチング指令
swcと同じスイッチング信号を選択する。
【0054】(2)電流偏差ベクトルと出力中のスイッ
チング指令swcによる非ゼロ電圧ベクトルとの角度差
が±30度以上±60度以内であれば、電流偏差ベクト
ルと最も近い角度の非ゼ口電圧ベクトルは出力中の非ゼ
ロ電圧ベクトルの隣のベクトルに移っている。電流偏差
ベクトルと最も近い角度の非ゼロ電圧ベクトルを生じる
スイッチング指令を選択する。
【0055】(3)電流偏差ベクトルとPWM信号とし
て出力中のスイッチング指令による非ゼロ電圧ベクトル
との角度差が±90度以上であれば、ゼロベクトルを選
択する。ゼロ電圧ベクトルを生じるスイッチング指令に
はsw(0),sw(7)の二種類があるがそのいずれ
を選択するかは、前回PWM信号として出力していたス
イッチング指令swoによって決める。
【0056】以上が表3のベクトル選択論理である。ベ
クトル選択テーブル21には表2、表3の内容が一括し
て納められている。22は不一致検出回路であり、ベク
トル選択テーブル21の出力swnとラッチ回路23の
出力swcとを比較し、一致していれば論理値“0”、
不一致のときに論理値“1”を出力する。
【0057】24はアンド回路で、シーケンス起動回路
14の出力するシーケンス起動指令と不一致検出回路2
2の出力する不一致信号とのアンドを取って出力する。
25はオア回路でアンド回路24の出力とゼロベクトル
検出回路26とのオアを取って出力する。
【0058】ゼロベクトル検出回路26はベクトル選択
テーブルの出力swnがsw(0)、sw(7)のいず
れかであれば論理値“1”を、さもなくば論理値“0”
を出力する。27は図示しないクロック発生器より与え
られる制御サンプリングを決定するクロック信号とオア
回路25の出力信号とのアンドをとるアンド回路であ
る。アンド回路27の出力はラッチ回路23、ラッチ回
路28ヘラッチタイミング信号として与えられる。ラッ
チ回路23のデータ入力としてはベクトル選択テーブル
21の出力swnが与えられており、ラッチタイミング
信号の立ち上がりでデータ入力信号をラッチしswcと
して出力する。28もラッチ回路でデータ入力としては
ラッチ回路23の出力swcが与えられており、ラッチ
タイミング信号によってデータ入力信号をラッチしsw
oとして出力する。
【0059】シーケンス起動回路14の一例を図4に示
す。図4において、30UP,30UN,30VP,3
0VN,30WP,30WNはコンパレータである。こ
のうちコンパレータ30UP,30VP,30WPは入
力信号が正の所定値を越える値であれば論理値“1”
を、さもなくば論理値“0”を出力する。
【0060】コンパレータ30UN,30VN,30W
Nは、入力信号が負の所定値よりもさらに負側にあれば
論理値“1”を、さもなくば論理値“0”を出力する。
コンパレータ30UP,30UNには電流偏差ベクトル
ΔiのU相成分Δiu、コンパレータ30VP,30V
NにはV相成分Δiv、コンパレータ30WP,30W
NにはW相成分Δiwが与えられている。
【0061】31U,31V,31WはNOT回路であ
り、入力信号の否定論理を取って出力する。NOT回路
31Uには、スイッチングシーケンス論理回路13が出
力するスイッチング指令swcのU相成分swuが、N
OT回路31Vには同じくV相成分swvが、NOT回
路31Wには同じくw相成分swwが与えられる。
【0062】32UP,32UN,32VP,32V
N,32WP,32WNはアンド回路である。アンド回
路32UP,32VP,32WPにはそれぞれスイッチ
ング指令swcのU相成分swu,V相成分swvが、
W相成分swwが一方の入力として与えられ、コンパレ
ータ30UP,30VP,30WPの出力が他方人力と
して与えられ、それぞれアンドを取って出力する。アン
ド回路32UN,32VN,32WNにはそれぞれ否定
論理回路31U,31V,31Wの出力が一方の入力と
して与えられ、コンパレータ30UN,30VN,30
WNの出力が他方入力として与えられ、それぞれアンド
を取って出力する。オア回路33はアンド回路32U
P,32UN,32VP,32VN,32WP,32W
Nの出力のすべてのオアをとって、シーケンス起動信号
として出力する。
【0063】次に、図4に示したシーケンス起動回路1
4の作用について説明する。コンパレータ30UP,3
0UNには電流偏差ベクトルΔiのU相成分Δiu=i
u*−iuが与えられている。コンパレータの比較レベ
ルの大きさを“H”とすると、
【0064】
【数3】|Δiu| < H であれば、コンパレータ30UP,30UNの出力はい
ずれも“0”である。アンド回路32UP,32UNの
出力も“0”となる。
【0065】
【数4】 |Δiv| < H |Δiw| < H も成り立っていれば、アンド回路32UP,32UN,
32VP,32VN,32WP,32WNの出力のすベ
てが“0”となるので、オア回路33の出力はスイッチ
ング指令の値にかかわらず、“0”となる。
【0066】すなわち、電流偏差の大きさがコンパレー
タの比較レベルの大きさ“H”で定まる誤差領域の範囲
内であれば、シーケンス起動回路の出力は“0”であ
る。もしも
【0067】
【数5】|Δiu| > H となれば、コンパレータ30UP,30UNのいずれか
の出力が“1”となる。このとき、コンパレータ30U
Pの出力が“1”でかつswu=1の時にのみアンド回
路32UPの出力は“1”となり、オア回路33を介し
てシーケンス起動回路10は論理値“1”を出力する。
コンパレータ30UPの出力が“1”であってもswu
=0であればアンド回路32UPの出力は“0”であ
る。
【0068】すなわち、インバータの正側の素子をオン
している相で、その相電流が基準をH以上上回った時、
シーケンス起動回路14は論理値“1”を出力すること
になる。同様に負側の素子をオンしている相でその相電
流が基準をH以上下回った時シーケンス起動回路14は
論理値“1”を出力する。U相の場合、これはコンパレ
ータ30UN、否定論理回路31U、アンド回路32U
N、オア回路33によってなされる。V相、W相も同様
である。
【0069】以上により、シーケンス起動回路14は、
電流が所定の誤差以上となり、かつ所定のスイッチ条件
が成立したときにのみ論理値“1”を出力してスイッチ
ングシーケンス論理回路13を起動する。
【0070】次に、図4のシーケンス起動回路14の許
容誤差領域を図5に示す。図5には二つの三角形が描か
れている。UVW座標において、U軸、V軸、W軸の成
分が、それぞれ順番にu,v,wのとき(u,v,w)
と表すことにすると、先に説明したコンパレータの比較
レベルHを用いて、第1の三角形の頂点は(2H,−
H,−H),(−H,2H,−H),(−H,−H,2
H)、第2の三角形の頂点は(−2H,H,H),
(H,−2H,H),(H,H,−2H)で表される。
【0071】電流偏差ベクトルの先端が第1の三角形と
第2の三角形の双方に含まれる六角形の領域内にあれ
ば、図4のコンパレータの30UP〜30WNのすべて
が出力が“0”であるので、オア回路33の出力も
“0”である。上記二つの三角形のいずれかのみに含ま
れ、上記六角形には含まれない6個の小三角形領域の場
合には、スイッチ条件によってオア回路33の出力は異
なる。
【0072】例えば、(2H,−H,−H),(H,
0,−H),(H,−H,0)を頂点とする小三角形内
の領域では、電流偏差のU相成分は“H”を超えている
ので、コンパレータ30UPの出力は“1”である。こ
のとき、スイッチング信号swu=1であれば、アンド
回路32UPの出力は“1”となるが、信号swu=0
であれば、アンド回路32UPの出力は“0”で、他の
アンド回路の出力もすべて“0”である。
【0073】従って、スイッチング信号swu=1な
ら、小三角形領域は許容誤差範囲外とみなされ、シーケ
ンス起動回路は論理値“1”を出力するが、スイッチン
グ信号swu=0なら、小三角形領域は許容誤差範囲内
とみなされ、シーケンス起動回路14は論理値“0”を
出力する。
【0074】このように許容誤差領域の大きさをスイッ
チング信号により変化させることにより、同一素子があ
まりにも高速にオンオフを繰り返すことを防ぐことがで
きる。
【0075】図1に示した第1の実施の形態の全体とし
ての動作を図3、図6を参照して説明する。図6は、ス
イッチングシーケンス論理回路13の各部動作波形図で
ある。
【0076】図6において、(a)はアンド回路27に
与えられるクロック信号、(b)はシーケンス起動回路
14より与えられるシーケンス起動指令、(c)は不一
致検出回路22の出力する不一致検出信号、(d)はア
ンド回路24の出力、(e)はゼロベクトル検出器26
の出力するゼロベクトル検出信号、(f)はオア回路2
5の出力信号、(g)はアンド回路27の出力信号、
(i)はベクトル選択テープル21の出力するスイッチ
ング信号swn,(j)はラッチ回路23が出力するス
イッチング信号swcで最終的にPWM信号として論理
回路9へ出力される信号、(k)はラッチ回路28の出
力するスイッチング信号swo,(u)(v)(w)は
スイッチング指令のそれぞれU相、V相、W相成分であ
る。さて、図1でPWMインバータの負荷である誘導電
動機の電圧方程式は、
【0077】
【数6】 但し、k=0,1,・・・,7 である。この式で巻線抵抗Rを無視すると、
【0078】
【数7】 と変形できる。左辺が電流微分di/dtであるから、
この式は電流がおおよそベクトル(v(k)−e)の角
度方向に変化し、その変化速度が|(v(k)−e)|
であることを示している。
【0079】図6において、時刻t1までの間、ラッチ
回路23は図6(j)のようにスイッチング指令swc
=sw(0)を出力している。従って、図1のインバー
タ3の下側のスイッチング素子SUN,SVN,SWN
がオンし、出力電圧ベクトルv(0)=0である。この
とき、電流微分
【0080】
【数8】 であるから、電流は逆起電力のみによって変化してい
る。このときのベクトル関係が、図7の通りであるとす
る。図7において、左側の六角形は図2で示したインバ
ータの出力可能な電圧ベクトルである。点線の矢印で示
しているのは逆起電力ベクトルeである。右側には図5
の許容誤差領域の星形を描いている。電流基準および電
流のベクトルも電圧ベクトルと原点を合わせて描いてい
る。電流基準i* の先端は当然星形の中心にある。この
とき電流iが図のようなベクトルであるとする。電流偏
差Nは電流ベクトルの先端から電流基準ベクトルの先端
に向かうベクトルなので、図7で電流偏差ベクトルの角
度に最も近い角度を持つ電圧ベクトルはv(4)であ
る。
【0081】従って、図3のベクトル選択テーブルは表
2に基づき、swnとしてv(4)を選択し出力する。
電流変化は(5)式によるので、図7において逆起電力
ベクトルと同じ大きさで、逆起電力ベクトルの先端から
原点にむかう方向を持つ白矢印により電流は変化する。
電流ベクトルの先端から出るよう同一の白矢印を描いて
いる。電圧ベクトルv(0)をインバータが出力すると
この白矢印方向に電流は変化することを(5)式は示し
ている。従って、時間が経過すると、電流ベクトルは図
8のように変化し、
【0082】
【数9】Δiu < −H が成立するようになる。これにより、図4でコンパレー
タ30UNの出力が“1”、swu=0なのでアンド回
路32UNの出力も“1”となり、図1のスイッチシー
ケンス起動回路14は“1”を出力する。図6でシーケ
ンス起動回路14の出力は(b)で示しており、このタ
イミングをt1で示している。
【0083】スイッチング信号swn=sw(4),s
wc=sw(0)であるので、不一致検出回路22の出
力はこれまでも論理値“1”だったので、シーケンス起
動回路14の出力は“0”から“1”に変化したこの時
点t1でアンド回路24の出力(d)は“1”となる。
【0084】ベクトル選択テーブル21の出力はswn
=sw(4)なので、ゼロベクトル検出器26の出力は
“0”であるが、アンド回路24の出力(d)が“1”
となったことによりオア回路25の出力(f)も“1”
となる。
【0085】時刻t2にて、クロック(a)が立ち上が
り、アンド回路27の出力(g)が“1”となり、ラッ
チ回路23およびラッチ回路28はその時のデータ入力
をラッチする。ラッチ回路23の出力(j)はsw
(0)からsw(4)へ、ラッチ回路28の出力(k)
はsw(4)からsw(0)へ変化する。このとき、電
流偏差ベクトルΔiは図8の通りで「−π/6<θΔi
<π/6」である。表3から、ベクトル選択テーブル2
1は、図6中(i)に示すように、sw(4)を出力し
続ける。これにより、不一致検出回路22の出力が
“1”から“0”に変化し、アンド回路24、オア回路
25、アンド回路27の出力はすべて“0”となる。
【0086】時点t2において、スイッチング信号sw
cがsw(0)からsw(4)に切り替わった後の、ベ
クトル図を図9に示す。インバータ出力電圧がv(4)
なので電流の変化方向は、白矢印で示す電圧v(4)−
eの方向である。電流が許容誤差範囲に入るように変化
するので、スイッチシーケンス起動回路14の出力
(b)は時刻t2の後、しばらくすると“1”から
“0”に変化する。
【0087】図9の白矢印方向に電流が変化すると、電
流偏差ベクトルNは時計回りに回転する。従って、角度
θΔiは「−π/6<θΔi<π/6」の領域からやが
て−π/6(=11π/6)を超え、「3π/2<θΔ
i<11π/6」の領域に入る。θΔiが「3π/2<
θΔi<11π/6」の領域に入った時点t3におい
て、ベクトル選択テーブル21は表3に基づき、スイッ
チング信号sw(5)を出力するようになる。
【0088】この時点のベクトル図を図10に示す。電
流ベクトルの先端が一点鎖線上を動いていき、許容誤差
領域においてW軸成分がゼロの点線で示したラインを超
えると、「θΔi<11π/6」となる。これにより、
図6中(c)に示すように、不一致検出回路22の出力
は“1”となる。
【0089】しかしながら、図10からわかるように、
偏差ベクトルNの大きさが許容誤差領域の範囲内で、シ
ーケンス起動回路14の出力(b)が“0”なので、ア
ンド回路24の出力(d)は“0”のままである。ま
た、ベクトル選択テーブル21の出力はswn=sw
(5)であるから、ゼロベクトル検出器26の出力も
“0”なので、オア回路25の出力(f)も“0”であ
る。従って、ラッチ回路23の出力swc、すなわちP
WM信号出力はsw(4)が保たれ、電流ベクトルの先
端は図10の一点鎖線上を進み、やがてU軸成分がゼロ
の点線で示したラインを超える。
【0090】この時点のベクトル図を図11に示す。電
流ベクトルの先端がU軸成分がゼロの点線で示したライ
ンを超えたため電流偏差ベクトルの角度は、「7π/6
<θΔi<3π/2」の領域に入っている。この時点t
4にて、ベクトル選択テーブル21の出力swnは、表
3に従いsw(5)からsw(7)に変化する。ゼロベ
クトルへの移行の場合、表3では、出力中のswcの値
ばかりでなく、そのswcの値に変化する前に出力して
いたswcの値をも用いてベクトルsw(0),sw
(7)のいずれを選択するかを決定している。出力中の
swcの値はラッチ回路23から、そのswcの値に変
化する前に出力していたswcの値はラッチ回路28か
ら与えられる。
【0091】このようにゼロベクトルの選択に以前のs
wcの値を用いるのは、基本的にスイッチング信号の移
行を三角波比較PWMの移行順序に近づけるためであ
る。表3のゼロベクトルの選択論理を言葉で表すと、
「インバータの正側の素子が二つ以上オンしている状態
から、一つだけオンした状態に移行していたら、次にゼ
ロベクトルに移行する場合には、正側の素子はすべてオ
フし、負側の素子をすべてオンする信号を選択する。す
なわちsw(0)を選択する。逆に、インバータの負側
の素子が二つ以上オンしている状態から、一つだけオン
した状態に移行していたら、次にゼロベクトルに移行す
る場合には、負側の素子はすべてオフし、正側の素子を
すべてオンする信号を選択する。すなわちsw(7)を
選択する。」という論理である。但し、ありえない移行
は表3では除いている。表3では、sw(5)、sw
(6)、sw(7)のいずれかからsw(4)に移行し
た場合、次にゼロベクトルに移行する場合にはsw
(0)が選択される。sw(4)はインバータの正側の
素子をーつだけオンするスイッチング信号であり、sw
(5),sw(6),sw(7)はインバータの正側の
素子を二つ以上オンするスイッチング信号である。イン
バータの正側の素子を二つ以上オンするスイッチング信
号には他にsw(3)が存在するにもかかわらず、表3
でsw(4)以前のswcの値としてsw(3)を省略
したのは、sw(3)からsw(4)へ移行することが
表3の論理で有り得ないからである。表3によれば、s
w(3)から移行可能なスイッチング信号はsw
(1),sw(2)およびゼロベクトルのみである。も
ちろんsw(3)を付け加え、sw(3),sw(5)
sw(6),sw(7)のいずれかからsw(4)に移
行した場合、次にゼロベクトルに移行する場合にはsw
(0)が選択される、という論理にしてもかまわない。
【0092】sw(3)からsw(4)への移行がない
ので、「sw(3)→sw(4)→sw(0)」のよう
な選択がなされることもありえない。以上により、時刻
t4にてベクトル選択テーブル21の出力swnがsw
(5)からsw(7)に変化し、ゼロベクトル検出回路
26の出力(e)が“0”から“1”に変化する。これ
により、アンド回路24の出力(d)に関わりなく、オ
ア回路25の出力(f)は“1”に変化する。従って、
次のクロック信号の立ち上がるタイミングt5にてアン
ド回路27の出力(g)も立ち上がり、ラッチ回路2
3,ラッチ回路28は入カデータをラッチする。ラッチ
回路23の出力(j)はsw(4)からsw(7)へ、
ラッチ回路28の出力(k)はsw(0)からsw
(4)へ変化する。スイッチングシーケンス論理回路9
の出力はラッチ回路23の出力信号だから、インバータ
は時点t5以降、スイッチング信号sw(7)により運
転される。
【0093】この時点t5におけるスイッチング信号の
移行が、シーケンス起動回路14からの要求なしに行わ
れることが重要な特徴である。スイッチング信号sw
(7)で運転され、インバータ3の出力電圧ベクトルが
v(7)になるので、電流は
【0094】
【数10】v(7)−e=−e により変化するようになる。図12に一点鎖線で示した
直線上を電流ベクトルiの先端は動いていく。ベクトル
選択テーブル21はごく短時間の間、sw(1)を出力
するが、電流偏差ベクトルが反時計回りに回転し、その
角度θΔiが時点t6にて「3π/2<θΔi<11π
/6」の領域に再び入ることにより、sw(5)を出力
するようになる。ここまで不一致検出回路22の出力
(c)は“1”のままであるが、シーケンス起動指令
(b)が“0”なのでアンド回路24の出力は“0”で
あり、またゼロベクトル検出器26の出力も“0”なの
でラッチ回路23,28は動作しない。電流はさらに図
12の一点鎖線で示した直線上を動いてゆき、時点t7
にて示す電流ベクトルiに達する。この時点t7で、電
流iは許容誤差領域の「Δiv>H」のラインを超えて
いる。これにより、図4のコンパレータ30VPの出力
が“1”に変化する。
【0095】また、ここまでスイッチング信号sw
(7)で運転されていることから、図4のスイッチング
信号swvも“1”であり、アンド回路32VPが
“1”となり、オア回路33を介して、シーケンス起動
回路13はシーケンス起動指令(b)として“1”を出
力する。アンド回路24を介し、オア回路25の出力は
“1”となる。次のクロックパルス(a)の立ち上がり
t8にてラッチ回路23,28は入力データをラッチす
る。
【0096】ラッチ回路23の出力(j)はsw(7)
からsw(5)に、ラッチ回路28の出力(k)はsw
(4)からsw(7)に変化する。ベクトル選択テーブ
ルは表3からsw(5)をそのまま出力し続けるので、
不一致検出回路22の出力(c)は“1”から“0”に
変化する。インバータ3がsw(5)により運転される
ので、電流はv(5)−eで変化するようになり、電流
ベクトルの先端は図13の一点鎖線上を動いてゆく。こ
れにより電流偏差ベクトルは反時計回りに回転し、時刻
t9にてその角度θΔiは、「−π/6<θΔi<π/
6」の領域に再び入り、ベクトル選択テーブル21はs
w(4)を出力するようになる。
【0097】不一致検出回路22の出力(c)が“1”
に変化するが、シーケンス起動指令(b)が“0”なの
でアンド回路24の出力は“0”であり、またゼロベク
トル検出器26の出力も“0”なので、ラッチ回路2
3,28は動作しない。電流が更に一点鎖線上を動き、
図13に描いた位置まで達し、電流偏差ベクトルの角度
が「π/6<θΔi<π/2」の領域に入った時点t1
0にて、ベクトル選択テーブル21は、表3に基づきs
w(0)に出力(1)を変化させる。
【0098】ゼロベクトル検出器26の出力が“1”と
なり、オア回路25の出力も“1”となるので、次のク
ロックパルスの立ち上がりt11において、アンド回路
27の出力が“1”となり、ラッチ回路23,28はそ
の時点の入カデータをラッチする。ラッチ回路23の出
力はsw(5)からsw(0)へ、ラッチ回路28の出
力はsw(7)からsw(5)へと変化する。インバー
タ出力電圧がv(0)となるので、電流はv(0)−e
で変化し、図14の一点鎖線上を動いてゆく。ベクトル
選択テーブル21はsw(6)を出力するようになる。
【0099】しかしながら、電流偏差ベクトルの角度θ
Δiは、「π/6<θΔi」の領域に入ったばかりなの
で、その後の電流変化ですぐに「−π/6<θΔi<π
/6」の領域にもどり、ベクトル選択テーブル21はs
w(4)を出力するようになる。以上によりベクトル関
係は図6のt1以前の状態にもどる。電流が図14に描
いた位置まで変化すると、時刻t1で説明した変化が再
び生じることになる。
【0100】以上の過程での電流ベクトルの先端の軌跡
を図15に示す。本発明によれば、許容誤差領域のごく
一部を用いて電流制御されることがわかる。一旦図15
のような起電力と電流偏差の関係が成立すると、以後は
非ゼロ電圧ベクトルとしてはv(4)とv(5)のみが
選択されることになる。
【0101】ゼロ電圧ベクトル時の−eによる電流変化
を補うように電流制御するから、出力する非ゼロ電圧ベ
クトルの組合わせで逆起電力e相当の電圧ベクトルを出
しているはずである。図15においては、その非ゼロ電
圧ベクトルとしてもっともv(k)−eの大きさが小さ
い二つの電圧ベクトルv(4),v(5)が選択されて
いる。この二つの電圧ベクトルの組合せは電流変化速度
がもっともゆるやかで定常状態において望ましい組合わ
せである。
【0102】しかも本発明では逆起電カベクトルを検出
することなく、望ましい電圧ベクトルのみを選択するこ
とができる。図16は第1の実施の形態による誘導電動
機の電流制御の定常状態におけるシミュレーション結果
である。図16において、最上段には、電動機のU相、
V相、W相電流を、次段にはシーケンス起動回路のシー
ケンス起動指令信号を示している。
【0103】そして、その下の三つの信号はU相、V
相、W相のスイッチング信号swu,swv,swwで
ある。線間電圧相当の信号としてswu−swvを次の
段に示している。その下には、電流基準、電流、逆起電
力のU相成分をi* u,iu,euで示している。
【0104】最下段はトルクである。線間電圧相当の信
号swu−swvをみればわかるように、図16では逆
パルスが出ていない。制御サンプリングと、許容誤差領
域の設定値Hの値等によっては、逆パルスが出ることも
あるが、そのような場合、図6におけるクロックパルス
(a)の周波数を高くしてやれば、逆パルスは出にくく
なる。クロックパルス(a)の周波数を高くすると、出
力中の電圧ベクトルと電流偏差ベクトルとの角度差が±
90度以上である期間(図6におけるt4〜t5,t1
0〜t11の期間)が短くなる。すなわち行き過ぎ量が
少くなる。これにより戻りも速くなり、それぞれの期間
の直後のベクトル選択テーブルがsw(1)やsw
(6)を出力している期間が短くなる。結果としてsw
(1),sw(6)がラッチ回路23でラッチされる可
能性が小さくなる。
【0105】以上のように、本発明によれば、逆パルス
が出にくくなり、従来のヒステリシスバンドPWMで説
明した無駄なスイッチングが少なくなる。図17は第1
の実施の形態による誘導電動機の電流制御において、ト
ルクが絶対値として等しくその符号が正から負にステッ
プ的に変化するように、電流指令を急変させた場合のシ
ミュレーション波形である。このような過渡状態におい
ても、正常に電流制御がなされていることがわかる。
【0106】電流指令が急変するような過渡状態におい
ては、 (1)電流偏差の大きさが許容誤差領域に収まらなくな
る (2)電流偏差ベクトルの角度θΔiが急変する のいずれか、あるいは双方が生じて、電流を急速に指令
に追従させる。
【0107】第1の実施の形態においては、ベクトルを
表2、表3によって選択しており、図2に示す6個の非
ゼロ電圧ベクトル間の直接の移行については、隣接する
非ゼロ電圧ベクトルへの移行しか許さないという論理に
より、定常状態では線間電圧において逆パルスが出にく
くなることを実現している。過渡状態においてはそれま
で出力していた非ゼロ電圧ベクトルと隣り合っていな
い、遠く離れた非ゼロ電圧ベクトルが要求される場合が
ある。
【0108】このような場合、表3に示す論理によっ
て、いったんゼロベクトルヘ移行し、その後、表2に示
す論理によってあらためて非ゼロ電圧ベクトルを出力す
る。すなわち、ゼロベクトルを経由しさえすれば、出力
可能なすべての非ゼロ電圧ベクトル間の移行を許してお
り、これによって過渡状態における急速な電流制御を実
現しているのである。
【0109】図17において、トルクの値が正の値から
負の値へと直線的に変化しているが、この変化速度は電
圧と逆起電力とインダクタンスによって決まる速さであ
る。これにより変調周波数と無関係に、PI制御等では
実現できない超高速の応答が得られる。GTOのような
低速スイッチング素子では許容誤差領域の設定値Hを大
きくせねばならないので、定常状態における電流リップ
ルは大きくなるが、電流基準の急変、あるいは負荷外乱
による電流変化のような過渡時には高速スイッチング素
子を用いた場合と同等の高速応答が得られる。このよう
な高速応答は、従来のヒステリシスバンドPWM制御に
よっても実現できていた。
【0110】しかしながら、第1の実施の形態によれ
ば、高速応答を実現すると同時に、従来のヒステリシス
バンドPWM制御では不可能であった、定常時での高調
波を低減したPWM制御を過渡時と同一の制御論理で実
現可能とする。また、逆起電力情報が不要なので、ノイ
ズに強いスイッチング制御が実現可能となる。
【0111】(第2の実施の形態)第1の実施の形態で
は、定常状態において確かに望ましい電圧ベクトルのみ
が選択されているのではあるが、電圧ベクトルの移行時
のスイッチング回数に問題がある。
【0112】図6におけるスイッチング信号swcの移
り変わりをみると、 sw(0)→sw(4)→sw(7)→sw(5)→s
w(0) である。sw(4)からsw(7)への移行では、スイ
ッチング信号のV相、W相成分が同時に“0”から
“1”に変化しており、sw(5)からsw(0)への
移行では、スイッチング信号のV相、W相成分が同時に
“1”から“0”に変化している。すなわち、ベクトル
移行のために2相でスイッングが行われている。
【0113】三角波比較PWMであれば、 sw(0)→sw(4)→sw(5)→sw(7)→s
w(5)→sw(4)→sw(0) のように移行するようにスイッチング信号が生成され
る。このシーケンスがスイッチング回数あたりの高調波
低減効果に最も優れている。
【0114】図6(i)をみると、電圧ベクトル選択テ
ーブルからは、タイミングt3にてsw(5)のスイッ
チング信号が出力されており、この信号を出力に反映さ
せることができれば、 sw(0)→sw(4)→sw(5) というベクトル移行が可能となる。
【0115】これを実現するためのスイッチングシーケ
ンス論理回路13の変形例の構成を図18に示す。図1
8において、21〜24及び26〜28は図3に示した
回路と同一構成要素である。40はゼロベクトル検出回
路、41はアンド回路、25Aは3入力のオア回路であ
る。ゼロベクトル検出回路40は、ラッチ回路28の出
力がゼロベクトルであるか否かを検出し、ゼロベクトル
であれば論理値“1”さもなくば“0”を出力する。
【0116】アンド回路41にはゼロベクトル検出回路
40の出力と不一致検出回路22の出力が与えらてい
る。オア回路25Aは図3のオア回路25と同じ二つの
人力のほかに新たにアンド回路41の出力が与えられて
いる。
【0117】また、第1の実施の形態では、ゼロベクト
ルのスイッチング信号sw(0),sw(7)からのベ
クトル選択に表2を用いている。表2では、電流偏差ベ
クトルの角度だけでスイッチング信号が選択されるの
で、 sw(0)→sw(5) 或いは sw(7)→sw(4) のような、2相のスイッチングを要する移行も許されて
いた。
【0118】これを防ぐために次の表4を用いる。出力
中のスイッチング指令が、sw(0)であれば移行でき
るスイッチング指令は、1相だけのスイッチングですむ
sw(4),sw(2),sw(1)のいずれかであ
り、この三つのスイッチング信号のうちから、電流偏差
ベクトルとの角度差が最も小さい電圧ベクトルとなるス
イッチング信号が選択される。出力中のスイッチング指
令がsw(7)のときも同様に、1相だけのスイッチン
グですむsw(6),sw(3),sw(5)のなかか
ら選択される。ゼロベクトル以外からの移行については
第1の実施の形態と同様、表3が用いられる。
【0119】
【表4】
【0120】図18のスイッチングシーケンス論理回
路、及び表2の代わりに表4のベクトル選択論理を用い
た場合の動作を図19に基づいて説明する。図19は、
ゼロベクトル検出回路40の出力(m),アンド回路4
1の出力(n)を迫加し、(f)が2入力のオア回路2
5から3入力のオア回路25Aに変わっているだけで、
他は図6と同じである。
【0121】図19の左端における電圧電流のベクトル
関係が、図20に示すようであるとする。逆起電力によ
る電流が変化し、タイミングt1でのベクトル関係は図
21のようになる。表2の論理によれば、この時点まで
の電流偏差ベクトルと最も近い角度を持つ電圧ベクトル
がv(4)であることからsw(4)が選択されてい
た。第2の実施の形態の場合、結果的に同じであるが、
表4に基づきsw(4)を選択する。もしも電流偏差ベ
クトルと最も近い角度を持つ電圧ベクトルがv(4)で
なく、むしろv(5)の方であったとしても出力中のス
イッチング信号がsw(0)であることから、sw
(4)を選択するのである。時刻t1に至り、電流偏差
ベクトルの大きさが許容誤差範囲を越えると、シーケン
ス起動指令(b)が与えられる。
【0122】第1の実施の形態の場合と同様に、次のク
ロック(a)の立ち上がりのタイミングt2にて、アン
ド回路24、オア回路25A、アンド回路27を介し、
ラッチ回路23,28にラッチタイミング指令(g)が
与えられる。ラッチ回路23の出力(j)はsw(0)
からsw(4)に、ラッチ回路28の出力(k)はsw
(4)からsw(0)に変わる。t1直後の電流偏差ベ
クトルの角度は、t1直前と同じである。
【0123】図21の場合、明らかに、最も近い角度を
持つ電圧ベクトルはv(4)であり、ベクトル選択テー
ブル21は、表3によりsw(4)を出力しつづける
(i)。ラッチ回路23の出力swc、ベクトル選択テ
ーブル21の出力が等しいことから、不一致検出回路2
2の出力(C)は“0”となり、アンド回路24の出力
も“0”にもどる。一方、追加したゼロベクトル検出器
40の出力(m)も、このタイミングt2にて“1”と
なる。しかしながら、不一致検出回路22の出力が
“0”なので、アンド回路41の出力(n)も“0”で
ある。
【0124】従って、オア回路25A、アンド回路27
の出力も“0”である。電圧ベクトルv(4)と逆起電
力eによって、電流が図22の1点鎖線上を矢印方向に
変化するから、電流偏差ベクトルは時計方向に回転す
る。θΔiが「−π/6〜π/6」の領域から、「3π
/2〜11π/6」の領域に移るタイミングt3にて、
ベクトル選択テーブル21は表3に基づいてsw(5)
を出力する。
【0125】これにより、不一致検出回路22の出力
(c)が“1”に変化する。追加したゼロベクトル検出
器40の出力はタイミングt2以降“1”になっている
ので、アンド回路41の出力(n)、オア回路25Aの
出力(f)も“1”になる。
【0126】従って、次のクロック(a)の立ち上がり
t4にてアンド回路27の出力(g)が“1”となっ
て、ラッチ回路23,28が動作する。ラッチ回路23
の出力はsw(4)からsw(5)へ、ラッチ回路28
の出力はsw(0)からsw(4)へと変化する。ラッ
チ回路23の出力とベクトル選択テーブル21の出力が
どちらもsw(5)となったので、不一致検出回路22
の出力(c)が“0”となり、オア回路25Aの出力
(f)、アンド回路27の出力(g)も“0”にもど
る。ラッチ回路28の出力がsw(4)となったことか
ら、ゼロベクトル検出器40の出力(m)も“0”にも
どる。
【0127】タイミングt4以降、電流は図24の1点
鎖線上を変化するから、電流偏差ベクトルは反時計方向
に回転する。タイミングt5にてθΔiが「3π/2〜
11π/6」の領域から、「−π/6〜π/6」の領域
に移るとベクトル選択テーブル21は表3に基づいてs
w(4)を出力する。
【0128】θΔiが「−π/6〜π/6」の領域か
ら、「3π/2〜11π/6」の領域に移ったタイミン
グt3と、それがPWM信号に反映されたタイミングt
4との間はクロック(a)の1周期以内のわずかな期間
である。従って、タイミングt4とθΔiが「3π/2
〜11π/6」の領域から「−π/6〜π/6」の領域
にもどるタイミングt5の期間も、やはりわずかな期間
となる。図19ではクロックの1周期以内でもどるよう
に描いているが、実際には主回路の動作速度の遅れの分
の時間はかかる。
【0129】しかしながら、図19におけるPWMの1
周期t1からt17までの期間に比較すると、t3から
t5までの期間はやはり非常に短いといえる。タイミン
グt5でベクトル選択テーブル21はsw(4)を出力
し、不一致検出回路22の出力(c)は“1”となる。
しかしながら、ラッチ回路28の出力がsw(4)なの
で、ゼロベクトル検出器40の出力は“0”であり、アン
ド回路41、オア回路25A、アンド回路27の出力は
“0”のままである。
【0130】従って、インバータは、sw(5)に基づ
くPWM信号で運転され続け、タイミングt6にて、図
25に示すようなベクトル関係となる。θΔiが「−π
/6〜π/6」の領域から「π/6〜π/2」の領域に
移る。ラッチ回路23の出力(j)がsw(5)、ラッ
チ回路28の出力(k)がsw(4)なので表3からベ
クトル選択テーブル21はsw(7)を出力する。ゼロ
ベクトル検出器26の出力が“1”となるので、オア回
路25Aの出力も“1”となり、その次のクロックの立
ち上がりタイミングt7にてアンド回路27の出力
(g)が“1”となって、ラッチ回路23,28にラッ
チ指令を与える。ラッチ回路23の出力はsw(5)か
らsw(7)へ、ラッチ回路28の出力はsw(4)か
らsw(5)へと変化する。
【0131】ここで、ラッチ回路出力sw(7)がゼロ
ベクトルになったことから、ベクトル選択テーブル21
は表4に基づいてベクトルを選択するようになる。θΔ
i<π/6からθΔi>π/6になったところであるか
ら、表4の角度のわけかたではθΔiは「π/3〜0」
の領域に含まれており、出力中の信号がsw(7)であ
るところから、ベクトル選択テーブルの出力はsw
(6)となる。
【0132】ラッチ回路23の出力すなわちスイッチン
グシーケンス論理回路13の出力がゼロベクトルになる
と、スイッチングシーケンス論理回路13は外部から起
動指令(図12中(b))を与えられるまで、ゼロベク
トルを出力し続ける。図26に示すようなベクトル関係
となり、電流は一点鎖線上を動いてゆく。電流偏差ベク
トルは時計方向に回転し、その角度θΔiは「π/3〜
0」の領域から「5π/3〜2π」の領域にもどってく
る。
【0133】これにより表4から、ベクトル選択テーブ
ルの出力はsw(6)からsw(5)に変化する。図1
9ではそのタイミングをt8で示している。スイッチン
グシーケンス論理回路13の出力がsw(7)であるか
ら、図26の一点鎖線上を電流が動いていくとき誤差領
域の内側の六角形の辺を超えてもシーケンス起動回路1
4は動作しない。U相のスイッチング信号がすでに
“1”になっているからである。
【0134】従って、誤差領域の外側の逆三角形の辺を
超え、V相スイッチング信号が“1”であり、しかもV
相の偏差が正の設定値Hを超えた時点t9で起動信号1
を出力する。この時点のベクトル関係を図27に示す。
この次のクロックパルスの立ち上がりt10にてラッチ
回路23の出力はsw(7)からsw(5)へ、ラッチ
回路28の出力はsw(5)からsw(7)に変化す
る。
【0135】この時点t10以後t18までにおける動
作は時点t2〜t10における動作と類似であるので説
明を省略する。以上によって図19に示すように、 sw(0)→sw(4)→sw(5)→sw(7)→s
w(5)→sw(4)→sw(0) のベクトル移行が成り立つ。各相成分(u),(v),
(w)を見るとベクトル移行時に1回のスイッチングし
か行われていないことがわかる。
【0136】以上において時点t7〜t10間のベクト
ル移行とシーケンス起動回路13の動作は電流電圧のベ
クトル関係によって微妙に変わるので、 sw(0)→sw(4)→sw(5)→sw(7)→s
w(6)→sw(4)→sw(0) というシーケンスになる可能性もあるが、ベクトル移行
時に1回のスイッチングしか行われないことには変わり
がない。
【0137】第2の実施の形態によって図16と同一の
運転条件で誘導電動機を運転したときのシミュレーショ
ン波形を図28に示す。図16と比較して、各相のスイ
ッチング回数がほぼ同じであるのに、線間電圧として
は、パルス数が増加していることがわかる。これによ
り、高調波をより低減できる。
【0138】以上述べたように、第2の実施の態様によ
れば、定常状態で電流変化のゆるやかな電圧ベクトルを
選択するのみでなく、電圧ベクトルの移行順序をも規定
して、同一スイッチング回数で線間電圧のパルス数を増
加させており、高調波を更に低減することができる。
【0139】(第3の実施の形態)ここまで、電流偏差
が許容誤差を越えるとスイッチングシーケンスを起動す
るシーケンス起動回路13による実施の形態について説
明してきた。このように電流偏差を所定範囲に収めるP
WM制御では、電動機の回転数によってスイッチング周
波数が変化する。
【0140】図29は誘導電動機の運転周波数をゼロ周
波数から直線的に上昇させたときの、第2の実施の形態
による電流制御のシミュレーション波形である。許容誤
差の設定は図16と同じである。
【0141】図29において、スイッチング周波数が回
転数とともに上昇していることがわかる。回転数が低い
と逆起電力が小さくなるため、ゼロベクトルの期間が延
びてしまい、スイッチング周波数が低くなってしまうの
である。従って、本実施の形態によれば、従来のヒステ
リシスバンドPWM制御のように、スイッチング周波数
が異常に上昇するという現象は生じない。低回転数でス
イッチング周波数が低くなることで素子の責務はゆるや
かになるのであるが、騒音を考えると、スイッチング周
波数の大幅な変化はやはり好ましくない。
【0142】スイッチング周波数をほぼ一定のPWM制
御を行なうためのシーケンス起動回路の例を図30に示
す。図30において、50はカウンタ、51はコンパレ
ータ、52は周期設定値、53はアンド回路、54はゼ
ロベクトル検出回路である。
【0143】図31の動作説明図に基づいて、図30の
スイッチング起動回路の動作を説明する。カウンタ50
には図示しない外部のクロック発生器から高速のクロッ
ク信号が与えられ、カウントアップしてその値を出力す
る。図31中(a)の鋸歯状の波形はカウント値の増加
をアナログ的に示してたものである。カウンタ50の出
力はコンパレータ51にて周期設定値52と比較され
る。周期設定値も図31中(a)に示している。
【0144】コンパレータ51は、カウンタ50の出力
が周期設定値52の値と等しい値以上になると論理値
“1”を出力する。これを図31中(b)に示す。コン
パレータ出力(b)は、アンド回路53にてゼロベクト
ル検出器54の出力と比較される。ゼロベクトル検出器
54にはスイッチングシーケンス論理回路13から出力
されるスイッチング信号swcが入力され、その値がs
w(7)か、sw(0)であれば論理値“1”を出力す
る。
【0145】図31にはスイッチング信号swcの構成
要素、すなわち各相のスイッチング信号を(u),
(v),(w)で示している。スイッチング信号
(u),(v),(w)の全てが“0”であるか、ある
いは全てが“1”であれば、ゼロベクトル検出器54は
図31中(d)のように論理値“1”を出力する。図3
1中(e)はアンド回路53の出力である。アンド回路
53の出力はカウンタ50にカウント値のクリア信号と
して与えられる。
【0146】以上により、シーケンス起動回路は、原則
として一定周期毎に、シーケンス起動信号をスイッチン
グシーケンス論理回路13に与える。スイッチングシー
ケンス論理回路13は、起動信号を与えられると、ゼロ
ベクトルから非ゼロベクトルヘ移行し、さらに1回だけ
非ゼロベクトル間の移行を行ない、最後にはゼロベクト
ルヘ移行して一連のシーケンスを終了し、次回シーケン
ス起動信号を与えられるまで、ゼロベクトルを出力しつ
づける。1回だけ非ゼロベクトル間の移行を行なうの
は、図18に示したスイッチングシーケンス論理回路に
おいて、前回出力していたスイッチング信号swoがゼ
ロベクトルであり、出力中のスイッチング信号swcと
ベクトル選択テーブル21の出力swnとが異なる信号
であれば、外部からシーケンス起動信号が与えられなく
ても、ベクトル移行を行なう構成となっているからであ
る。
【0147】一方、シーケンス起動回路14は、ゼロベ
クトル検出回路54の出力とコンパレータ51の出力の
アンドをとって起動信号を作っているので、設定した周
期以上の時問が経過していても、スイッチングシーケン
ス論理回路13がゼロベクトルを出力するまで、すなわ
ち一連のスイッチングシーケンスが終了するまで、シー
ケンス起動信号を出力するのを待つ。
【0148】これによって、スイッチング周波数は設定
周期よりやや遅めとなり、また若干周波数が変動するこ
とになる。アンド回路53及びゼロベクトル検出回路5
4がなければ、完全に一定周期毎にスイッチング起動信
号を出力するが、一連のスイッチングシーケンス論理が
終了していないのに起動信号が与えられると、それによ
って非ゼロベクトル間の移行が行われてしまうので、か
えってスイッチング移行シーケンスが乱れてしまうこと
になる。また、設定した周期以上の時間が経過していて
も、スイッチングシーケンス論理回路13がゼロベクト
ルを出力するまで、すなわち一連のスイッチングシーケ
ンスが終了するまでシーケンス起動信号を出力するのを
待つことにより、シーケンス起動回路14の設定周期に
かかわらず、電流基準や外乱の急変時等には必要なだけ
の幅のパルスをスイッチングシーケンス論理回路が出力
することが可能となり、過渡応答を高速にすることがで
きる。
【0149】図31からわかるように、スイッチング周
波数は、ほぼ設定周期52の値を2倍して、その逆数を
とった周波数となる。以上により、図29と同一条件で
電動機を運転した場合のシミュレーション波形を図32
に示す。スイッチング周波数がほぼ一定に保たれてい
る。
【0150】以上述べたように、第3の実施の態様によ
れば、定常的には変調周波数一定のPWM制御を行って
いるので、高速スイッチング素子を用いたインバータで
は、スイッチング周波数が下がって人間の耳に感じやす
い周波数となることを避けることができると共に、低速
スイッチング素子を用いている場合にも人間にとって耳
障りな騒音の変化をなくすことができる。また、インバ
ータの主回路素子のスイッチング損失が把握しやすく、
設計が容易になる。しかもスイッチング周波数は周期測
定用カウンタのカウント値を比較するコンパレータの比
較レベルの設定により行なえるので、非常に容易に設定
できる。
【0151】(第4の実施の態様)第3の実施の態様に
よるシミュレーション波形(図32)をみると、電動機
の運転周波数の低い時のほうが電流リップルが小さく、
運転周波数が上昇するにつれて電流リップルが大きくな
っている。これまでにも、低運転周波数では非同期式の
PWMを行ない、運転周波数が高くなると同期式のPW
Mに切り換えて制御するということが行われていた。
【0152】変調周波数一定のPWMでは電動機の運転
周波数が高くなると、逆起電力が高くなりゼロ電圧ベク
トル出力中の逆起電力による電流変化が大きくなるた
め、電流リップルが増大するという現象があり、一方で
は運転周波数の1周期間のスイッチング回数が少なくな
るということがある。非同期式では電流波形が時々刻々
変化するため、逆起電力外乱が大きくなりしかも制御チ
ャンスが少なくなる高回転数では、電流波形の安定性が
著しく悪化する。このため同期式PWMに切り換えるの
である。同期式PWMで同一電圧波形が繰り返し出力さ
れれば、電流リップル増大はあるにしても電流波形の安
定性は確保される。しかしながら、従来の方式では、非
同期式PWMから同期式PWMに切り換えるときに電圧
の基本波や高調波成分の大きさが急変するため、過渡的
に大電流が流れるという問題があった。
【0153】第4の実施の態様は、第3の実施の態様に
よる非同期式PWMと第2の実施の態様による許容誤差
一定のPWMとの双方を可能とするものである。これ
は、第3の実施の態様で示したシーケンス起動回路と第
2の実施の態様で示したシーケンス起動回路との双方の
スイッチングシーケンス起動信号のオア条件でスイッチ
ングシーケンス論理回路に対してスイッチングシーケン
ス起動信号を与えることにより可能となる。回転数の低
い範囲では、第3の実施の態様の如く変調周波数一定の
PWMを行ない、これによる電流偏差は、許容誤差範囲
に入っている。回転数が上昇すると変調周波数一定では
電流偏差が大きくなっていく。電流偏差が許容誤差より
も大きくなろうとすると第2の実施の態様に基づいてP
WM制御が行なわれるようになる。
【0154】第4の実施の態様は、電流制御とPWM制
御を同時に行なうスイッチング制御なので、変調周波数
一定の制御と、許容誤差一定の制御との切換時にも電流
偏差の大きさが制御されつつ切り換えられるので、従来
のように、切換時にショックを生じるといった問題は生
じない。実際、双方のオア条件で動作する回転数範囲を
持ち、従来のように、ある回転数で、突然切り替わるわ
けではない。
【0155】単純に第2、第3の実施の態様において
は、スイッチングシーケンス回路の出力のオア条件によ
ってスイッチングシーケンス起動信号を与える方式でも
切り換えは行われるが、双方のオア条件で動作する回転
数範囲でパルス数が増加してしまう。これを避けるため
には、第3の実施の態様のシーケンス起動回路に若干の
変更が必要である。これを考慮し、許容誤差一定の制御
とのオア条件で動作するシーケンス起動回路の例を図3
3に示す。
【0156】図33に示した非同期PWM用シーケンス
起動回路において、図30との違いは、立ち下がり検出
回路55が加わったこと、及びカウンタ50のクリア信
号として、立ち下がり検出回路55の出力が与えられる
ことである。立ち下がり検出回路55は、ゼロベクトル
検出回路54の出力が“1”から“0”に変化したとき
ワンショットパルスを発生する。従って、スイッチング
信号swcの値がsw(0),sw(7)のいずれかか
らこの二つ以外の値に変化したときにワンショットパル
スを発生してカウンタ50のカウント値を“0”とす
る。アンド回路53の出力信号はシーケンス起動回路1
4との論理和をオア回路56にてとられた後、スイッチ
ングシーケンス論理回路13に与えられる。
【0157】このようなシーケンス起動回路14の構成
によれば、許容誤差一定のスイッチング制御を行なうた
めの、シーケンス起動回路14により出力されるシーケ
ンス起動信号によってスイッチングシーケンス論理回路
13が動作し、スイッチング信号がゼロベクトルから非
ゼロベクトルヘ変化した場合にもカウンタのクリアが行
なわれる。従って、許容誤差一定の制御のためのシーケ
ンス起動、周波数一定の制御のためのシーケンス起動の
いずれかにかかわらず、前回ゼロベクトルから非ゼロベ
クトルヘ変化してからの時間がカウンタ50にて測定さ
れる。従って、双方のシーケンス起動によって、スイッ
チングシーケンス論理回路13が動作するような回転数
領域において、パルス数が増加するのを防ぐことができ
る。
【0158】以上によって、電動機の回転数が低い場合
には変調周波数ほぼ一定のPWM、電動機の回転数が高
い場合には、許容誤差一定のPWMが可能となる。許容
誤差一定のPWMによれば電動機の回転数が高くなり、
方形波モードにいたるまで連続して運転することが可能
である。
【0159】図34に方形波モードとなる回転数より若
干低い回転数におけるシミュレーション波形を示す。P
WM信号の波形があたかも同期式PWMであるかのよう
な波形になっている。本発明の第1、第2の実施の態様
のいずれでも許容誤差の大きさを小さくすれば、このよ
うな波形が得られる。従来のヒステリシスバンドPWM
制御においても、ヒステリシスバンドを小さくすればこ
のような波形を得ることができる。しかしながら、従来
のヒステリシスバンドPWM制御では、低回転数でスイ
ッチング周波数が異常に高くなってしまう問題があるの
で、方形波モード近辺の回転数において安定した電流波
形を得ることができるほどヒステリシスバンドを小さく
することが困難であった。
【0160】本発明の第4の実施の態様では、低回転数
では変調周波数一定の制御、高回転数では許容誤差一定
の制御と切り換えることによって、許容誤差の設定値を
小さくすることができ、同期式PWMライクの波形を得
ることができるのである。
【0161】このような方形波領域近辺の回転数では、
本発明によっても実電流を電流基準に等しく制御するこ
とはできない。しかし、最近よく用いられているdq軸
電流制御+三角波比較PWM制御でもこのような領域で
の電流制御はできない。インバータ直流電圧が電流制御
するに足る電圧に不足するから、電流が実電流に追従す
ることができなくなるのである。dq軸電流制御+三角
波比較PWM制御の場合、このような領域では電流制御
アンプが飽和してしまうから電流制御はもちろん、パル
ス幅の制御も不可能となってしまう。これに対し、本発
明では電流が電流基準から大きく遅れるようになり、等
しく制御することこそできなくなるものの、可能な限り
偏差を小さくしようとして電流制御は行われており、そ
の結果として、電流基準を変化させると電流波形もそれ
なりに変化し、方形波まで連続的にPWM制御が可能と
なっているのである。
【0162】第4の実施の態様は、電流制御可能な回転
数領域での電流制御応答において、第3の実施例のよう
に遅れ時間を持つことがない。電動機の低回転数で周波
数一定の制御を行なっていても、電流基準のステップ変
化時等には、許容誤差一定の制御のためのシーケンス起
動回路がただちに動作するからである。
【0163】従って、以上述べたように、第4の実施の
態様では、低回転数では変調周波数一定の制御、高回転
数では許容誤差一定の制御を行ない、インバータの広い
運転範囲を同一の制御論理に基づいて制御可能である。
許容誤差一定の制御は方形波領域まで連続にPWM制御
でき、しかも方形波領域に入る回転数よりわずかに低い
回転数では同期式PWM制御であるかのような電圧波形
を得ることができ、このような領域での安定な運転を可
能とする。変調周波数一定の制御領域と許容誤差一定の
制御領域との間も何らショックなく移行することができ
る。これによって、電卓・電気自動車等の運転周波数が
非常に広く、ゼロ回転から、方形波領域まで運転するよ
うな用途に適用可能である。
【0164】(その他の実施の態様)変調周波数の制御
には本発明の許容誤差一定のシーケンス起動回路の許容
誤差の値を電動機の運転条件に応じて変化させることに
よっても可能である。従来のヒステリシスバンドPWM
のように、変調周波数が急変することはないので許容誤
差設定値による変調周波数のコントロールも容易とな
る。
【0165】ここまで本発明を電動機負荷に対する制御
方法として説明してきたが、本発明はその他の負荷に対
しても適用可能である。例えばUPS(無停電電源装
置)のインバータの制御にも用いることができる。UP
Sの場合、インバータ出力に、LCフィルターが設けら
れるが、これまでの説明における逆起電力がUPSにお
いては、インバータ出力段のフィルターのコンデンサ電
圧に相当すると考えれば良い。
【0166】UPSでは整流器負荷時の急速な負荷外乱
による電圧変化が問題で、電圧の歪率を小さく制御する
ためには、電圧制御のマイナループとして高速な電流制
御が望ましい。本発明によれば超高速の電流応答が可能
となり電圧歪率の小さなUPSが可能となる。
【0167】従って、以上述べたように、本発明の実施
の形態によれば、以下のいずれかの効果を奏する。 (1)ヒステリシスバンドPWM制御並みの超高速電流
応答を可能とし、しかも定常状態では電流変化のゆるや
かな電圧ベクトルのみを選択することで高調波を低減す
ることができる。
【0168】(2)GTOのような低速スイッチング素
子を用いている場合にも高速の電流応答が可能である。
電流制御の高速化はACサーボ、鉄鋼用主圧延機用交流
可変速ドライブ等のトルク応答、速度応答の高速化に直
結し、それらの高性能化に寄与する。
【0169】(3)スイッチングシーケンス論理が電流
偏差ベクトルの角度のみに基づいて行われているので、
シーケンス起動回路の構成により変調周波数一定のPW
M制御、許容誤差一定のPWM制御など異なった態様の
PWM制御を同一のスイッチングシーケンス論理で実現
可能である。
【0170】(4)スイッチング制御に逆起電力情報を
必要とせず、電流偏差ベクトルの角度と自身のスイッチ
ング信号の履歴とに基づいてスイッチング制御を行なう
ので、逆起電力の不明な電動機はもちろん、UPS他の
電圧形PWMインバータ全般に用いることができる。
【0171】(5)dq軸電流制御+三角波比較PWM
制御の場合、逆起電力外乱の影響を避けるための逆起電
力補償制御、dq軸間の相互干渉を避けるための非干渉
制御、インバータのスイッチング素子の短絡故障を防ぐ
ためのオンディレイによるPWMの歪みを補正するため
のデッドタイム補償など、電流制御回路のPIゲインの
他にも様々な補償は一切不要となる。
【0172】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、逆
起電力ベクトルの位置情報なしで高調波抑制可能かつ高
速な電流制御応答可能なPWM信号を得ること及びスイ
ッチング周波数が大幅に変動することのないPWM信号
を得ることが可能なインバータ制御装置を提供すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の態様を示す概要構成
図。
【図2】 本発明の第1の実施の態様における電圧形
インバータの出力可能な電圧ベクトル図。
【図3】 本発明の第1の実施の態様におけるスイッ
チングシーケンス論理回路の詳細構成図。
【図4】 本発明の第1の実施の態様におけるシーケ
ンス起動回路の詳細構成図。
【図5】 図4に示したシーケンス起動回路の許容誤
差領域の説明図。
【図6】 図3に示したスイッチングシーケンス論理
回路の動作説明図。
【図7】 図6に示した時点t1までの電流電圧のベ
クトル関係図。
【図8】 図6に示した時点t1から時点t2までの
電流電圧のベクトル関係図。
【図9】 図6に示した時点t2での電流電圧のベク
トル関係図。
【図10】 図6に示した時点t3での電流電圧のベク
トル関係図。
【図11】 図6に示した時点t4での電流電圧のベク
トル関係図。
【図12】 図6に示した時点t4から時点t7までの
電流電圧のベクトル関係図。
【図13】 図6に示した時点t7から時点t9までの
電流電圧のベクトル関係図。
【図14】 図6に示した時点t11から時点t12ま
での電流電圧のベクトル関係図。
【図15】 図7乃至図14に示した電流が変化したと
きの電流ベクトルの先端の軌跡図。
【図16】 本発明の第1の実施の態様による誘導電動
機の電流制御のシミュレーション結果(定常状態)。
【図17】 本発明の第1の実施の態様による誘導電動
機の電流制御のシミュレーシヨン結果(電流指令急変
時)。
【図18】 本発明の第2の実施の態様におけるスイッ
チングシーケンス論理回路の詳細構成図。
【図19】 図18に示したスイッチングシーケンス論
理回路を用いた場合の動作説明図。
【図20】 図19に示した時点t1までの電流電圧の
ベクトル関係図。
【図21】 図19に示した時点t1での電流電圧のベ
クトル関係図。
【図22】 図19に示した時点t2での電流電圧のベ
クトル関係図。
【図23】 図19に示した時点t2から時点t4まで
の電流電圧のベクトル関係図。
【図24】 図19に示した時点t4から時点t6まで
の電流電圧のベクトル関係図。
【図25】 図19に示した時点t6での電流電圧のベ
クトル関係図。
【図26】 図19に示した時点t6から時点t9まで
の電流電圧のベクトル関係図。
【図27】 図19に示した時点t9での電流電圧のベ
クトル関係図。
【図28】 本発明の第2の実施の態様による誘導電動
機の電流制御のシミュレーション結果(定常状態)。
【図29】 本発明の第2の実施の態様による誘導電動
機の電流制御のシミュレーション結果(スイッチング周
波数の変化を示す)。
【図30】 本発明の第2の実施の態様によるシーケン
ス起動回路の詳細構成図。
【図31】 図30に示したのシーケンス起動回路の動
作説明図。
【図32】 本発明の第3の実施の態様による誘導電動
機の電流制御のシミュレーション結果(スイッチング周
波数一定で行われる際の変化を示す)。
【図33】 本発明の第4の実施の態様によるシーケン
ス起動回路の詳細構成図。
【図34】 本発明の第4の実施の態様による誘導電動
機の電流制御のシミュレーション結果。
【図35】 従来のヒステリシスバンドPWM制御回路
の概要構成図。
【図36】 ヒステリシスバンドPWM制御の動作原理
説明図。
【図37】 ヒステリシスバンドPWM制御の不具合点
の説明図。
【符号の説明】
3……インバータ、13……スイッチングシーケンス論
理回路、14……シーケンス起動回路、SUP,SV
P,SWP,SUN,SVN,SWN……自己消弧形ス
イッチング素子

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 自己消弧形スイッチング素子を有するイ
    ンバータの出力電流が電流指令に追従するよう制御する
    インバータ制御装置において、前記電流指令と前記出力
    電流との偏差を演算する偏差演算回路と、この偏差演算
    回路からの偏差に基づいて偏差電流ベクトルの角度を演
    算するベクトル角演算回路と、このベクトル角演算回路
    で演算された偏差電流ベクトルの角度と自身の出力中の
    スイッチング信号とに基づいて、或いは前記偏差電流ベ
    クトルの角度と自身の出力中のスイッチング信号及び以
    前に出力していたスイッチング信号とに基づいて、スイ
    ッチング信号を選択するようにスイッチングシーケンス
    を生成するスイッチングシーケンス論理回路とを具備
    し、前記スイッチングシーケンス論理回路から出力され
    るスイッチング信号に基づいて前記自己消弧形スイッチ
    ング素子を制御することを特徴とするインバータ制御装
    置。
  2. 【請求項2】 前記スイッチングシーケンス論理回路
    は、前記インバータの出力電圧がゼロベクトルとなるス
    イッチング信号から非ゼロベクトルとなるスイッチング
    信号への移行においては、出力電圧ベクトルの角度が偏
    差電流ベクトルの角度に最も近い角度となるスイッチン
    グ信号を選択し、前記インバータの出力電圧が非ゼロベ
    クトルとなるスイッチング信号からの移行時は、前記電
    流偏差ベクトルと最も近い角度をもつ非ゼロベクトルが
    出力中の非ゼロベクトルであれば出力中のスイッチング
    信号を維持し、前記電流偏差ベクトルと最も近い角度を
    もつ非ゼロ電圧ベクトルが出力中の非ゼロベクトルに隣
    接する非ゼロベクトルであれば、該隣接する非ゼロベク
    トルとするスイッチング信号に移行し、前記電流偏差ベ
    クトルと最も近い角度をもつ非ゼロベクトルが出力中の
    非ゼロベクトル或いは出力中の非ゼロベクトルに隣接す
    る非ゼロベクトルのいずれでもなければ、ゼロベクトル
    となるスイッチング信号に移行するようにスイッチング
    シーケンスを生成することを特徴とする請求項1記載の
    インバータ制御装置。
  3. 【請求項3】 前記スイッチングシーケンス論理回路
    は、前記インバータの出力電圧がゼロベクトルとなるス
    イッチング信号から前記インバータの出力電圧が非ゼロ
    ベクトルとなるスイッチング信号への移行においては、
    出力中のスイッチング信号のうちの1相だけのスイッチ
    ングによって移行できる非ゼロベクトルのうち前記電流
    偏差ベクトルの角度と最も近い角度をもつ非ゼロベクト
    ルとなるスイッチング信号に移行し、前記インバータの
    出力電圧が非ゼロベクトルとなるスイッチング信号から
    の移行時は、前記電流偏差ベクトルと最も近い角度をも
    つ非ゼロベクトルが出力中の非ゼロベクトルであれば出
    力中のスイッチング信号を維持し、前記電流偏差ベクト
    ルと最も近い角度をもつ非ゼロベクトルが出力中の非ゼ
    ロベクトルに隣接する非ゼロベクトルであれば、該隣接
    する非ゼロベクトルとするスイッチング信号に移行し、
    前記電流偏差ベクトルと最も近い角度をもつ非ゼロベク
    トルが出力中の非ゼロベクトル或いは出力中の非ゼロベ
    クトルに隣接する非ゼロベクトルのいずれでもなけれ
    ば、出力中の非ゼロベクトルへの移行前のベクトルから
    出力中の非ゼロベクトルへの移行のためにいずれかの相
    で行ったスイッチングが正側の自己消弧形スイッチング
    素子オンから負側の自己消弧形スイッチング素子オンへ
    のスイッチングであれば、すベての相を負側の自己消弧
    形スイッチング素子オンとするスイッチング信号に移行
    し、負側の自己消弧形スイッチング素子オンから正側の
    自己消弧形スイッチング素子オンへのスイッチングであ
    ればすベての相を正側の自己消弧形スイッチング素子オ
    ンとするスイッチング信号に移行するようにスイッチン
    グシーケンスを生成することを特徴とする請求項1記載
    のインバータ制御装置。
  4. 【請求項4】 自己消弧形スイッチング素子を有するイ
    ンバータの出力電流が電流指令に追従するよう制御する
    インバータ制御装置において、前記電流指令と前記出力
    電流との偏差を演算する偏差演算回路と、この偏差演算
    回路からの偏差に基づいて偏差電流ベクトルの角度を演
    算するベクトル角演算回路と、このベクトル角演算回路
    で演算された偏差電流ベクトルの角度と自身の出力中の
    スイッチング信号とに基づいて、或いは前記偏差電流ベ
    クトルの角度と自身の出力中のスイッチング信号及び以
    前に出力していたスイッチング信号とに基づいて、スイ
    ッチング信号を選択し、前記自己消弧形スイッチング素
    子を制御するよう一連のスイッチングシーケンスを発生
    するスイッチングシーケンス論理回路と、このスイッチ
    ングシーケンス論理回路に対して、偏差電流ベクトルの
    角度以外の条件でシーケンス起動信号を発生するシーケ
    ンス起動回路とを具備し、前記スイッチングシーケンス
    論理回路の出力するスイッチング信号に基づいて前記自
    己消弧形スイッチング素子を制御することを特徴とする
    インバータ制御装置。
  5. 【請求項5】 請求項4記載のインバータ制御装置にお
    いて、シーケンス起動信号を与えられると、インバータ
    出力電圧が偏差電流ベクトルの角度に最も近い角度の非
    ゼロベクトルとなるスイッチング信号を選択して出力
    し、前記偏差電流ベクトルの角度が出力中のスイッチン
    グ信号によるインバータ出力電圧ベクトル或いは該電圧
    ベクトルに隣接した出力可能な電圧ベクトルのいずれで
    もない出力可能な電圧ベクトルに最も近くなると、前記
    シーケンス起動信号が与えられていなくても出力電圧ベ
    クトルの大きさをゼロとするスイッチング信号に移行す
    るようにスイッチングシーケンスを生成するスイッチン
    グシーケンス論理回路と、インバータ出力電流と電流基
    準との偏差の大きさ及び出力中のスイッチング信号に基
    づいてシーケンス起動信号を発生するシーケンス起動回
    路とを具備し、前記スイッチングシーケンス論理回路の
    出力するスイッチング信号に基づいて自己消弧形スイッ
    チング素子を制御することを特徴とするインバータ制御
    装置。
  6. 【請求項6】 請求項4記載のインバータ制御装置にお
    いて、出力電圧がゼロベクトルとなるスイッチング信号
    の出力中にシーケンス起動信号を与えられると、1相の
    みのスイッチングによって移行できるスイッチング信号
    のなかでそのスイッチング信号による出力電圧ベクトル
    の角度が電流偏差ベクトルの角度に最も近くなるスイッ
    チング信号に移行し、出力電圧が非ゼロベクトルとなる
    スイッチング信号の出力中は、電流偏差ベクトルの角度
    と最も近い角度を持つ出力電圧ベクトルが、出力中のス
    イッチング信号による出力電圧ベクトルであればそのス
    イッチング信号を維持し、出力中のスイッチング信号に
    よる出力電圧ベクトルに隣接する電圧ベクトルであれ
    ば、シーケンス起動信号が与えられるか、或いは出力中
    のスイッチング信号に移行する前に出力していたスイッ
    チング信号がゼロ電圧ベクトルとなるスイッチング信号
    であったかのいずれかの条件が成立したときにのみ、該
    隣接する電圧ベクトルを生み出すスイッチング信号に移
    行し、電流偏差ベクトルの角度と最も近い角度を持つ出
    力電圧ベクトルが出力中のスイッチング信号による出力
    電圧ベクトルでも出力中のスイッチング信号による出力
    電圧ベクトルに隣接する電圧ベクトルでもなければ、無
    条件に出力電圧がゼロベクトルとなるスイッチング信号
    に移行し、その際に出力中の非ゼロベクトルへの移行前
    のベクトルから出力中の非ゼロベクトルへの移行のため
    にいずれかの相で行ったスイッチングが正側の自己消弧
    形スイッチング素子オンから負側の自己消弧形スイッチ
    ング素子オンへのスイッチングであれば、すべての相を
    負側の自己消弧形スイッチング素子オンとして出力電圧
    にゼロベクトルを得るスイッチング信号を選択し、負側
    の自己消弧形スイッチング素子オンから正側の自己消弧
    形スイッチング素子オンへのスイッチングであればすベ
    ての相を正側の自己消弧形スイッチング素子オンとして
    出力電圧にゼロベクトルを得るスイッチング信号を選択
    するようにスイッチングシーケンスを生成するスイッチ
    ングシーケンス論理回路と、前記インバータの出力電流
    と電流基準との偏差の大きさ及び出力中のスイッチング
    信号に基づいてシーケンス起動信号を発生するシーケン
    ス起動回路とを具備し、前記スイッチングシーケンス論
    理回路の出力するスイッチング信号に基づいて前記自己
    消弧形スイッチング素子を制御することを特徴とするイ
    ンバータ制御装置。
  7. 【請求項7】 請求項4記載のインバータ制御装置にお
    いて、出力電圧がゼロベクトルとなるスイッチング信号
    の出力中にシーケンス起動信号を与えられると、1相の
    みのスイッチングによって移行できるスイッチング信号
    のなかでそのスイッチング信号による出力電圧ベクトル
    の角度が電流偏差ベクトルの角度に最も近くなるスイッ
    チング信号に移行し、出力電圧が非ゼロベクトルとなる
    スイッチング信号の出力中は、電流偏差ベクトルの角度
    と最も近い角度を持つ出力電圧ベクトルが、出力中のス
    イッチング信号による出力電圧ベクトルであればそのス
    イッチング信号を維持し、出力中のスイッチング信号に
    よる出力電圧ベクトルに隣接する電圧ベクトルであれ
    ば、シーケンス起動信号が与えられるか、或いは出力中
    のスイッチング信号に移行する前に出力していたスイッ
    チング信号がゼロ電圧ベクトルとなるスイッチング信号
    であったかのいずれかの条件が成立したときにのみ、該
    隣接する電圧ベクトルを生み出すスイッチング信号に移
    行し、電流偏差ベクトルの角度と最も近い角度を持つ出
    力電圧ベクトルが出力中のスイッチング信号による出力
    電圧ベクトルでも出力中のスイッチング信号による出力
    電圧ベクトルに隣接する電圧ベクトルでもなければ、無
    条件に出力電圧がゼロベクトルとなるスイッチング信号
    に移行し、その際に出力中の非ゼロベクトルへの移行前
    のベクトルから出力中の非ゼロベクトルへの移行のため
    にいずれかの相で行ったスイッチングが正側の自己消弧
    形スイッチング素子オンから負側の自己消弧形スイッチ
    ング素子オンへのスイッチングであれば、すベての相を
    負側の自己消弧形スイッチング素子オンとして出力電圧
    にゼロベクトルを得るスイッチング信号を選択し、負側
    の自己消弧形スイッチング素子オンから正側の自己消弧
    形スイッチング素子オンへのスイッチングであればすべ
    ての相を正側の自己消弧形スイッチング素子オンとして
    出力電圧にゼロベクトルを得るスイッチング信号を選択
    するようにスイッチングシーケンスを生成するスイッチ
    ングシーケンス論理回路と、このスイッチングシーケン
    ス論理回路の出力するスイッチング信号がゼロベクトル
    から非ゼロベクトルに変化した時点からの時間を測定
    し、時間が所定の時間を超えた時点から、次回スイッチ
    ング信号がゼロベクトルから非ゼロベクトルに変化する
    時点までの間、シーケンス起動信号を出力するシーケン
    ス起動回路とを具備し、前記スイッチングシーケンス論
    理回路の出力するスイッチング信号に基づいて前記自己
    消弧形スイッチング素子を制御することを特徴とするイ
    ンバータ制御装置。
  8. 【請求項8】 請求項4記載のインバータ制御装置にお
    いて、出力電圧がゼロベクトルとなるスイッチング信号
    の出力中にシーケンス起動信号を与えられると、1相の
    みのスイッチングによって移行できるスイッチング信号
    のなかでそのスイッチング信号による出力電圧ベクトル
    の角度が電流偏差ベクトルの角度に最も近くなるスイッ
    チング信号に移行し、出力電圧が非ゼロベクトルとなる
    スイッチング信号の出力中は、電流偏差ベクトルの角度
    と最も近い角度を持つ出力電圧ベクトルが、出力中のス
    イッチング信号による出力電圧ベクトルであればそのス
    イッチング信号を維持し、出力中のスイッチング信号に
    よる出力電圧ベクトルに隣接する電圧ベクトルであれ
    ば、シーケンス起動信号が与えられるか、或いは出力中
    のスイッチング信号に移行する前に出力していたスイッ
    チング信号がゼロ電圧ベクトルとなるスイッチング信号
    であったかのいずれかの条件が成立したときにのみ、該
    隣接する電圧ベクトルを生み出すスイッチング信号に移
    行し、電流偏差ベクトルの角度と最も近い角度を持つ出
    力電圧ベクトルが出力中のスイッチング信号による出力
    電圧ベクトルでも出力中のスイッチング信号による出力
    電圧ベクトルに隣接する電圧ベクトルでもなければ、無
    条件に出力電圧がゼロベクトルとなるスイッチング信号
    に移行し、その際に出力中の非ゼロベクトルへの移行前
    のベクトルから出力中の非ゼロベクトルへの移行のため
    にいずれかの相で行ったスイッチングが正側の自己消弧
    形スイッチング素子オンから負側の自己消弧形スイッチ
    ング素子素子オンへのスイッチングであれば、すべての
    相を負側の自己消弧形スイッチング素子オンとして出力
    電圧にゼロベクトルを得るスイッチング信号を選択し、
    負側の自己消弧形スイッチング素子オンから正側の自己
    消弧形スイッチング素子オンへのスイッチングであれば
    すべての相を正側の自己消弧形スイッチング素子オンと
    して出力電圧にゼロベクトルを得るスイッチング信号を
    選択するようにスイッチングシーケンスを生成するスイ
    ッチングシーケンス論理回路と、前記インバータの出力
    電流と電流基準との偏差の大きさ及び出力中のスイッチ
    ング信号に基づいてシーケンス起動信号を発生する第1
    のシーケンス起動回路と、前記スイッチングシーケンス
    論理回路の出力するスイッチング信号がゼロベクトルか
    ら非ゼロベクトルに変化した時点からの時間を測定し、
    時間が所定の時間を超えた時点から、次回スイッチング
    信号がゼロベクトルから非ゼロベクトルに変化する時点
    までの間、シーケンス起動信号を出力する第2のシーケ
    ンス起動回路とを具備し、前記第1及び第2のシーケン
    ス起動回路の出力するシーケンス起動信号のオア条件で
    前記スイッチングシーケンス論理回路にシーケンス起動
    信号を与え、前記スイッチングシーケンス論理回路の出
    力するスイッチング信号に基づいて前記自己消弧形スイ
    ッチング素子を制御することを特徴とするインバータ制
    御装置。
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