JP4901517B2 - 交流電動機制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電力・産業・交通など諸分野で広く用いられている電圧形インバータを制御する交流電動機制御装置に関する。
電圧形インバータの電流制御方式としては、dq軸電流の比例積分制御が一般的である。図2はそのような電流制御を用いた交流電動機制御装置の従来の一例を示す構成図である。図2において、電圧形のインバータ3は、直流電源1からの直流電圧を平滑コンデンサ2で平滑した電圧を入力し、直流電源1からの直流電力を3相交流電力に変換して電動機4に駆動パワーを供給する。電動機4の電動機電流は、ホールCT5U、5V、5Wで検出され電流検出回路13に入力される。電流検出回路13はホールCT5U、5V、5Wの出力信号を制御回路内のスケーリングに合わせ電流検出信号iu、iv、iwとして座標変換回路14に出力する。また、電動機4の回転子位置は回転センサ6で検出され、回転検出回路7に入力される。回転検出回路7は回転センサ6の出力信号から回転子の位置に応じた電気角信号θr、速度ωrを求めて出力するものである。
回転検出器7で検出された速度ωrは、減算器8で速度基準ωr*との偏差が求められ、その速度偏差は速度制御回路9に入力される。速度制御回路9は、減算器8が出力する速度偏差を増幅して速度ωrが速度基準ωr*に追従するようトルク指令Trq*を調節する。
一方、磁束弱め関数発生器10は強め磁束基準Φ**と速度ωrとを入力し、所定速度以下では強め磁束基準Φ**をそのまま出力し、所定速度以上では強め磁束基準Φ**を速度に反比例して弱め磁束基準Φ*として出力する。ベクトル演算回路11は、磁束基準Φ*とトルク基準Trq**とからトルク分電流基準iq*、磁束分電流基準id*、すべり角θsを演算して出力する。加算器12は、回転検出回路7からの回転子位置信号θrとベクトル演算回路11からのすべり角θsとを加算して磁束位置信号θoを座標変換回路14、17に出力する。座標変換回路14は、加算器12からの磁束位置信号θoを用いて、電流検出回路13からの電流検出信号iu、iv、iwを電動機4の磁束に同期したdq軸座標上の磁束分電流検出id、トルク分電流検出iqに変換する。
次に、減算器15dは、ベクトル演算回路11からのd軸の電流基準id*と座標変換器14からの磁束分電流検出idとの偏差を演算し、減算器15qは、ベクトル演算回路11からのq軸のiq*と座標変換器14からのトルク分電流検出iqとの偏差を演算し、ぞれぞれ電流制御回路16d、16qに出力する。電流制御回路16d、16qは、減算器15d、15qが出力する電流偏差を比例積分し増幅して電圧指令vd*、vq*として座標変換回路17に出力する。座標変換回路17は、磁束位置信号θoを用いて電圧指令vd*、vq*を固定子静止座標系の電圧指令vu*、vv*、vw*に変換し、PWM制御回路18に出力する。PWM制御回路18は電圧指令vu*、vv*、vw*それぞれの大きさに応じてデューティが変化するパルス列を出力するインバータ3に出力する。
図2に示した交流電動機制御装置では、検出した三相交流電流iu、iv、iwを座標変換器14で電動機の磁束位相を基準とするdq軸座標上の直流量id、iqに変換し、それぞれの電流基準との偏差(id*−id)、 (iq*−iq)を比例積分形の電流制御回路16d、16qで増幅する。そして、増幅した量に基づいて電圧指令vd*、vq*を求め、座標変換回路17で磁束位置信号θoを用いて固定子静止座標系の電圧指令vu*、vv*、vw*に変換し、電圧基準として三角波比較PWMなどのPWM制御回路18に与え、PWM制御回路18が出力するPWM信号でインバータ制御している。すなわち、電流をdq軸座標上の直流量に変換して比例積分制御しているので、数百ヘルツに及ぶような高い周波数の交流電流でも定常偏差なく制御できる。
電動機の電流制御方式として、電流リップルの大きさをより均一でかつ小さくし、逆パルスを従来よりも少なくし、高回転・少パルス時のパルス数切り換わり時の電圧変化を従来よりも低減するようにした電圧形インバータの制御装置がある(例えば、特許文献1参照)。また、スイッチング制御を行い、定常状態では高調波の少ないPWM制御、過渡状態では高速な電流制御を可能とするPWM制御を実現したインバータ制御装置がある(例えば、特許文献2参照)。ここで、特許文献2のように電流検出が電流基準に従うように、直接PWM信号を生成する電流追従型のPWM方式を、以下電流追従型PWMと呼ぶこととする。
図3は、電流制御を用いた交流電動機制御装置の従来の他の一例を示す構成図である。図3のものは、図2のもののdq軸電流制御部分とPWM制御回路18とを電流追従形PWMに置き換えたものである。図3において、ベクトル演算回路11から出力されるトルク分電流基準iq*、磁束分電流基準id*を座標変換回路19にて固定子静止座標の3相電流基準iu*、iv*、iw*に変換し、減算器20U、20V、20Wにて3相電流検出iu、iv、iwのそれぞれと差を取り電流追従形PWM制御回路21に与える。
電流追従形PWM制御回路21では電流検出iu、iv、iwが電流基準iu*、iv*、iw*に追従するようなPWM信号を生成し、このPWM信号でインバータ3の構成スイッチング素子をオンオフ制御する。この方式は搬送波を使用せず、電流が指令値に追従するようなPWM信号を直接生成するので電流応答が極めて速い。
特開2003−235270号公報 特許第3267524号公報
ところが、図2に示した従来例では、後段のPWM制御の変調周波数によって電流制御応答が影響を受ける。また、q軸側の積分器出力が実際に出力可能なq軸電圧相当レベルを超えると電流制御不能に陥るので、高速領域で早めに磁束を弱める必要があり、電動機の出力容量が限られ運転効率も低下する。
また、PWM制御回路18は、電動機の運転周波数によってPWM制御の方式を切り換えていく必要がある。すなわち、電動機の運転周波数が低い範囲では、変調周波数一定の三角搬送波と電圧基準正弦波とを比較してPWM信号を生成する非同期式PWMを行い、運転周波数が高くなって電圧基準正弦波と三角搬送波との周波数が近づくと、PWM信号に含まれる基本波成分の変動が大きくなるので、電圧基準正弦波に対し三角搬送波の周波数を整数倍に保って電圧変動をなくす同期式PWMを行う。さらに運転周波数が高くなり、運転周波数の1周期に含まれるPWM信号のパルス数が5パルス、3パルスのようにごく少ないパルス数で運転する領域になると、電動機の効率に影響の大きい5次や7次などの低次高調波を集中的に除去するパルスパターンに基づくPWMを行う。
ここで、dq軸電流制御とPWM制御との組合わせ制御では、電流制御が遅いためPWM制御に起因する低次高調波電圧、搬送波と電圧基準との周波数差に起因する電圧変動を電流制御で抑え込むことができない。このため、PWM制御回路18が望ましくない高調波電圧や電圧変動をもたらすPWM信号を出力することがないように、PWM制御の切り換えを行う必要がある。
ところが、PWM制御方法の切り換え時には出力電圧が変化し、この電圧変化の電流急変によってトルク変動が生じ、甚だしい場合は過電流保護が動作する。そこで、電流急変を生じないように位相を選んで切り換えることになるが、この切り換え時には電流基準を絞るなどの過渡的な切り換え制御が必要となる。その電流基準を絞る調整は厄介であり電流基準を絞る切り換え方式は用途によっては採用できない場合がある。
図3に示した従来例では、電流応答が極めて速く、図2の方式のように変調周波数で電流制御応答が制限されない。また運転周波数によってPWM波形が自動的、連続的に切り換わっていくので意図的なPWM制御切換も必要ない。さらに高速領域で制御不能に陥ることもなく連続して1パルス運転まで移行できる。
しかし、電流追従形PWMに特有の短所として原理的に定常誤差が存在することがある。電流追従型のPWMは瞬時値を比較しその大小関係でPWM信号を発生するので、比例ゲインは無限大である。そのまま動作させるとPWM信号の周波数が高くなりすぎるのでヒステリシスによる不感帯やタイマによる遅延時間を設けるが、この不感帯や遅延時間により定常誤差が生じる。スイッチング周波数が高ければ定常誤差は小さいが、スイッチング周波数が低いと定常誤差が増えて電動機の性能への影響が大きくなる。
電流追従形PWMはスイッチング周波数に関らず高速応答が得られることが大きなメリットである。産業用の大型ドライブ、電車用主機ドライブなどは大電流のスイッチング素子を使用しているのでスイッチング損失が大きい。このため、スイッチング周波数を必要な電流応答が得られる最低限の周波数として、性能と効率との双方をほどほどに満足させている。これらの用途に電流追従形PWMを適用すればスイッチング周波数を上げることなく電流応答を高速化できるので性能を飛躍的に向上させることができる。積極的にスイッチング周波数を下げ、性能・効率双方を向上させることも考えられる。
次に、図4は制御方式によるインバータの出力可能電圧の違いとそれに伴う磁束弱め制御領域の変化を示す特性図である。図2のものでは、比例積分型の電流制御回路18の後段のPWM制御回路18で正弦波PWM制御を行う。電圧形のインバータ3が出力し得る線間電圧最大値(瞬時値)はインバータの直流電圧をEdcとした時、±Edcである。従って正弦波電圧としては|±Edc・sinθ|が最大となる。図4での曲線S0(正弦波PWM時理論限界)となり磁束指令は曲線S0’(正弦波PWM時理論限界)となる。
ところが、前述のように電流制御回路16qの出力(電圧指令)が出力可能電圧を超えると制御不能となる。このため、図4の上段で曲線S1(正弦波PWM時実用限界)のように電圧に余裕を見て電圧指令(電流制御器16qの飽和レベル)を例えば正弦波PWMで出力可能な電圧の95%として使用する。このときの磁束指令は、図4の下段の曲線S1’(正弦波PWM時実用限界)となる。
ここで、PWMインバータの出力電圧が正弦波でなくてもよいからとにかく最大にしたいという場合には、全くPWMを行わず電気角180度はインバータ3の正側素子をオン、残り180度は負側素子をオンすることによって出力される方形波電圧を出力する。このモードを以後1パルスということにする。このときの出力線間電圧の基本波成分の大きさは、±(2√3/π)・Edc・sinθで示され、振幅の大きさは1.103・Edcで正弦波の場合に比し10%程度大きい。
従って、従来の図2の方式の制御不能の問題を克服して1パルスモード相当の基本波電圧を出力できれば、従来、5%程度余裕を見ていたとして15%電圧を高くできることになる。この場合の電圧、磁束の曲線を図4では曲線S2、S2’(1パルス運転時)で示している。
電圧が高くなることにより、従来より15%高い回転数まで磁束一定領域を広げることができるから、全く同じ電動機・インバータで電動機出力容量を15%向上させることができる。また、磁束弱め領域での磁束の弱め方も少なくて済む。電動機の発生トルクはトルク電流と磁束分電流との積に比例するので磁束を弱めると電動機に流している電流対トルクの比率が下がってしまう。弱め方が少なくて済むということは同じトルクを発生するのに流す電流が少なくて済むことであり、効率を向上できるということである。
図2の方式では、正弦波PWMしかできないから1パルスは電流制御でなく位相制御など図示していない別の制御方式に切り換えて電流は間接的に制御することになる。このとき電圧の基本波・低次高調波に大きな飛躍があるので、単純に切り換えることはできず複雑な切り換え制御を行っている。また位相制御では電流制御のように高速に電流を制御することはできない。
図3の方式では、高速領域で制御不能に陥ることなく1パルス運転まで移行できると述べたが、これは電流追従形PWMのPWM制御の側面だけに注目した言い方である。正弦波PWM可能領域では、電流偏差は許容誤差内に入っているが、正弦波PWM可能領域を外れると偏差が増加する。偏差が増加するから電圧波形が1パルスに近づく。正弦波PWMが不可能な高速領域では電流制御しているとは言いがたいほど電流偏差が大きくなってしまう。ただし制御不能ではなく電流基準の変化に応じて電流は変化する。
本発明の目的は、PWM制御の切り換えや位相制御への切り換えなどが不要で、定常偏差のない電流制御を実現できる交流電動機制御装置を提供することである。
本発明は、インバータ出力電流id、iqとPWM用電流基準id**、iq**との比較結果に基づいて電流id、iqが電流基準id**、iq**に追従するようなPWM信号を直接発生する電流追従型PWM制御回路を有し、電流基準id*、iq*があるとき電流基準iq*とiqとの偏差(iq*−iq)を増幅して得られる補正信号iqCと、もとの電流基準iq*とを加算したものをq軸側のPWM用電流基準iq**とし、d軸側についてはもとの電流基準d*をそのままPWM用電流基準id**として電流制御するインバータ制御装置と、補正信号iqCと所定リミット値との差を増幅する磁束弱め制御回路と、前記磁束弱め制御回路の出力が負にならないようリミットするリミッタとを有し、強め磁束基準からリミッタ出力を減算して得られる量を新たな磁束基準として用い、磁束基準とトルク基準とに基づいてベクトル制御演算し、磁束分電流基準id*、トルク分電流基準iq*、すべり角θsを演算することを特徴とする。
本発明によれば、PWM制御の切り換えや位相制御への切り換えなどが不要で、定常偏差のない電流制御を実現できる。
図1は、本発明の実施の形態に係わるインバータ制御装置を電動機の制御に適用した交流電動機制御装置の構成図である。 図1において、図2及び図3に示した要素と同一要素には同一符号を付し重複する説明は省略する。補正制御回路22d、22q、加算器23d、23q、減算器24、磁束弱め制御回路25、リミッタ26、減算器27、絶対値回路28が新たに設けられている。
補正制御回路22d、22qは定常偏差をなくすものであり、補正制御回路22dは減算器15dが出力する電流基準id*と電流idとの電流偏差(id*−id)を増幅して加算器23dに出力する。一方、補正制御回路22qは、減算器15qが出力する電流基準iq*と電流iqとの電流偏差(id*−id)を増幅して加算器23qに出力するとともに、絶対値回路28に出力する。加算器23dは、補正制御回路が出力する補正信号idC*に、もとの電流基準id*を加算し、d軸側のPWM用電流基準id**として座標変換回路19に出力する。加算器23qは、補正制御回路が出力する補正信号iqC*に、もとの電流基準iq*を加算し、q軸側のPWM用電流基準iq**として座標変換回路19に出力する。
絶対値回路28はq軸補正信号iqC*の絶対値をとるものであり、減算器24はq軸の補正信号iqC*の絶対値とそのリミット値iq*CLIMとの差を演算し、磁束弱め制御回路25に出力する。磁束弱め制御回路25は減算器24の出力を増幅し、リミッタ26に出力する。リミッタ26は磁束弱め制御回路25の出力の下限を0とするものである。リミッタ26の出力は減算器27に入力され、減算器27では強め磁束指令値Φ**から磁束弱め制御回路25からのリミッタ26を介した信号を減算して、電動機4の状態に応じた磁束指令Φ*を出力する。
次に、動作を説明する。電流検出器13から出力される電動機電流検出値iu、iv、iwは座標変換回路14にてdq軸座標上の量id、iqに変換され、減算器15d、15qにてベクトル演算回路11から出力される電流基準id*、iq*との偏差が求められる。dq軸それぞれの偏差は定常偏差の補正制御回路22d、22qにて増幅され、補正信号idC*、iqC*とされる。そして、加算器23d、 23qにて補正信号idC*、iqC*と電流基準id*、iq*とを加算したものを補正電流基準id**、iq**とする。補正電流基準id**、iq**は座標変換回路19にて固定子静止座標上の3相電流基準iu*、iv*、iw*とされる。3相電流基準iu*、iv*、iw*と3相電流検出iu、iv、iwとの差が電流追従形PWM制御回路21に入力される。
これによって、電動機3の中・低速領域においては、定常偏差のない電流制御が可能となる。もし、電流検出id、iqが電流基準id*、iq*より小さければ補正制御回路22d、22qは出力する補正信号idC、iqCの値を増やす。これにより、電流追従形PWM制御回補正電流基準id**、iq**が増加するので、電流追従型PWM制御回路21によって電動機電流id、iqが増加して、もとの電流基準id*、iq*との差が小さくなる。補正制御回路22d、22qが積分要素を持っていれば、減算器15d、15qが出力する偏差が微小なものであっても、それを積分して補正電流基準id**、iq**を修正していくので、d軸及びq軸いずれも定常偏差を0とすることができる。
電動機3の中・低速領域においては補正制御回路22qが出力する補正信号iqCが微小なので弱め制御回路25の出力信号は負となり、リミッタ26にて下限値0にリミットされる。このため、ベクトル演算回路11に与えられる磁束指令Φ*としては強め磁束指令Φ**がそのまま与えられている。
ここで、電動機3の内部で発生する誘起電圧は磁束と回転数との積に比例する。従って、磁束を一定に制御して電動機3の回転数を上げると、誘起電圧は回転数に比例して高くなる。電流制御は電動機端子電圧が誘起電圧に打ち勝って電流を流し込むことによって成立しているから、誘起電圧が高くなると電流を流し込めなくなる。電流検出id、iqが電流基準id*、iq*に追従できず、磁束・トルクのいずれも所望値とは異なる値になってしまう。
このため、所定回転数以上では磁束指令値を回転数に反比例して弱める磁束弱め制御を行う。誘起電圧は磁束と回転数との積に比例するから、磁束弱め制御によって所定回転数以上の誘起電圧は一定に制御される。これにより、電動機3の全回転数範囲について電流制御が可能となる。なお、前述したように、電流制御が飽和すると電流制御不能となるので出力電圧に余裕を見て早めに磁束弱めを開始する必要がある。
図1の交流電動機制御装置では、回転数が低い場合に定常偏差の補正制御回路22d、22qが出力する補正信号は、電流追従型PWM制御回路21の許容誤差(ヒステリシス)よりも小さな値である。電動機3の回転数が上がって電流を流せなくなると、定常偏差の補正制御回路22qが出力するq軸側の補正信号iqCが許容誤差よりも大きくなってくる。補正信号iqCが補正信号リミット値iq* CLIMを超えようとすると、減算器24の出力は正に転じ、弱め制御回路25の出力が増加し始める。これにより、ベクトル演算器11に入力される磁束指令Φ*は強め磁束指令Φ**から弱め制御回路25の出力を減じたものとなる。ベクトル演算回路11から出力されるid*が小さくなり電動機磁束Φは小さくなる。これによって、誘起電圧の増加が制限され、補正信号iqCの値はリミット値iq* CLIMに制御される。
このとき、電流追従型PWM制御回路21に入力する補正電流基準を本来値よりもiqCだけ大きく制御することで、電動機3に実際に流れているq軸電流はその指令値iq*に等しく制御されている。もし、指令値iq*よりも実際値が小さければiqCは増加し続けるはずだからである。もちろん、これは電流iqを指令値に等しく制御できるレベルまで磁束が弱められていることによる。電流iqを指令値に等しく制御できる最小限の弱め制御となっている。回転数が上昇するにつれて磁束をさらに弱めて電流iqを制御可能に維持する。
次に、本発明の実施の形態で使用している電圧形のインバータ制御装置の制御方式では、電流偏差の増加段階に誘起電圧を使用しているから、定常偏差と誘起電圧との位置関係が固定されており、q軸電流は指令値よりも必ず小さくなる。従って、定常偏差の補正制御回路22qの出力は正方向にしか出ない。従って、絶対値回路28を省略することも可能である。なお、定常偏差の補正制御回路22qの出力が負になることはないのだから、絶対値回路28を挿入しておいても制御に害はない。反対に、予期しない何らかの原因で補正制御信号が逆の符号で出力された場合、絶対値回路28がないと磁束弱め制御が行われず電流偏差が増加してしまうので、安全のために絶対値回路28を入れておくことが望ましい。
また、d軸側の定常偏差の補正制御回路23dも省略可能である。前述したように定常偏差の大部分はq軸側に出る。補正制御回路23dを省略すれば若干の定常誤差が現れるが、PWM面だけを考えると1パルスまで可能な高速域での電流偏差の増加を補償して電流基準通りの電流を電動機に流すことが可能であるので、インバータ出力電圧が高くなることによって電動機の大幅な出力容量向上、弱め制御領域での運転効率の改善を達成できる。つまり、スイッチング周波数が高く、定常偏差がもともと小さい場合にはd軸側を省略してもよい。
本発明の実施の形態によれば、必要なPWM制御の切り換えや位相制御への切り換えなどが不要となる。また、電流基準id**、iq**と電流検出id、iqの偏差(id**−id)、 (iq**−iq)の定常分を補正制御回路22d、22qの積分要素で保持することにより、ベクトル演算回路11が出力するid*、iq*に等しい電流を流すことができる。これによって、電流応答に優れる電流追従型PWM制御を用いながら、高精度の電流制御が可能となり、精度・応答の双方に優れた高性能のベクトル制御を実現することができる。
また、電動機3の磁束をq軸電流を流すことができる最低限度だけ弱めることができる。従来のPI制御型のdq軸電流制御と三角波比較PWM制御との組合わせ方式では、q軸電流制御出力(電圧基準)が実際に出力可能なq軸電圧を超えることのないよう速めに弱めなければならなかったが、本発明の実施の形態では、電流制御により定常偏差が増加することを検知して、つまり電流制御のための電圧が不足してきたことを検知して、始めて磁束を弱めるので、ほぼ1パルスに近い基本波・低次高調波を有する電圧を出力できる。従って、正弦波電圧と1パルスとの電圧の差分で約10%、さらに従来の正弦波制御で見ている余裕分だけ出力電圧を高くすることができ、従来と全くおなじ電動機・インバータで出力容量を10%以上向上させることができ弱め領域での効率も改善できる。
また、本発明の実施の形態での定常偏差をなくすことの実現手段は、別に負荷が電動機3である場合に限らない。電流追従型PWM制御を用いる電圧形のインバータ全般に使用して、高精度・高速応答の電流制御とすることができる。
本発明の実施の形態に係わるインバータ制御装置を電動機の制御に適用した交流電動機制御装置の構成図。 電流制御を用いた交流電動機制御装置の従来の一例を示す構成図。 電流制御を用いた交流電動機制御装置の従来の他の一例を示す構成図。 制御方式によるインバータの出力可能電圧の違いとそれに伴う磁束弱め制御領域の変化を示す特性図。
符号の説明
1…直流電源、2…コンデンサ、3…インバータ、4…モータ、5U、5V、5W…ホールCT、6…回転センサ、7…回転検出回路、8…減算器、9…速度制御回路、10…磁束弱め関数発生器、11…ベクトル演算回路、12…加算器、13…電流検出器、14…座標変換回路、15d、15q…減算器、16d、16q…電流制御回路、17…座標変換回路、18…PWM制御回路、19…座標変換回路、20U、20V、20W…減算器、21…電流追従型PWM制御回路、22d、22q…補正制御回路、23d、23q…加算器、24…減算器、25…磁束弱め制御回路、26…リミッタ、27…減算器

Claims (4)

  1. インバータ出力電流id、iqとPWM用電流基準id**、iq**との比較結果に基づいて電流id、iqが電流基準id**、iq**に追従するようなPWM信号を直接発生する電流追従型PWM制御回路を有し、電流基準id*、iq*があるとき電流基準iq*とiqとの偏差(iq*−iq)を増幅して得られる補正信号iqCと、もとの電流基準iq*とを加算したものをq軸側のPWM用電流基準iq**とし、d軸側についてはもとの電流基準d*をそのままPWM用電流基準id**として電流制御するインバータ制御装置と、補正信号iqCと所定リミット値との差を増幅する磁束弱め制御回路と、前記磁束弱め制御回路の出力が負にならないようリミットするリミッタとを有し、強め磁束基準からリミッタ出力を減算して得られる量を新たな磁束基準として用い、磁束基準とトルク基準とに基づいてベクトル制御演算し、磁束分電流基準id*、トルク分電流基準iq*、すべり角θsを演算することを特徴とする交流電動機制御装置。
  2. インバータ出力電流id、iqとPWM用電流基準id**、iq**との比較結果に基づいて電流id、iqが電流基準id**、iq**に追従するようなPWM信号を直接発生する電流追従型PWM制御回路を有し、電流基準id*、iq*があるとき電流基準iq*とiqとの偏差(iq*−iq)を増幅して得られる補正信号iqCと、もとの電流基準iq*とを加算したものをq軸側のPWM用電流基準iq**とし、d軸側についてはもとの電流基準d*をそのままPWM用電流基準id**として電流制御するインバータ制御装置と、
    補正信号iqCの絶対値と所定リミット値との差を増幅する磁束弱め制御回路と、前記磁束弱め制御回路の出力が負にならないようリミットするリミッタとを有し、強め磁束基準からリミッタ出力を減算して得られる量を新たな磁束基準として用い、磁束基準とトルク基準とに基づいてベクトル制御演算し、磁束分電流基準id*、 トルク分電流基準iq*、すべり角θsを演算することを特徴とする交流電動機制御装置。
  3. インバータ出力電流id、iqとPWM用電流基準id**、iq**との比較結果に基づいて電流id、iqが電流基準id**、iq**に追従するようなPWM信号を直接発生する電流追従型PWM制御回路を有し、電流基準id*、iq*と電流id、iqについてそれぞれの偏差(id*−id)、 (iq*−iq)を増幅して得られる補正信号idC、iqCと、もとの電流基準id*、iq*とを加算したものをPWM用電流基準id**、iq**として電流制御するインバータ制御装置と、
    補正信号iqCと所定リミット値との差を増幅する磁束弱め制御回路と、前記磁束弱め制御回路の出力が負にならないようリミットするリミッタとを備え、強め磁束基準からリミッタ出力を減算して得られる量を新たな磁束基準として用い、磁束基準とトルク基準とに基づいてベクトル制御演算し、磁束分電流基準id*、トルク分電流基準iq*、すべり角θsを演算することを特徴とする交流電動機制御装置。
  4. インバータ出力電流id、iqとPWM用電流基準id**、iq**との比較結果に基づいて電流id、iqが電流基準id**、iq**に追従するようなPWM信号を直接発生する電流追従型PWM制御回路を有し、電流基準id*、iq*と電流id、iqについてそれぞれの偏差(id*−id)、 (iq*−iq)を増幅して得られる補正信号idC、iqCと、もとの電流基準id*、iq*とを加算したものをPWM用電流基準id**、iq**として電流制御するインバータ制御装置と、補正信号iqCの絶対値と所定リミット値との差を増幅する磁束弱め制御回路と、前記磁束弱め制御回路の出力が負にならないようリミットするリミッタとを備え、強め磁束基準からリミッタ出力を減算して得られる量を新たな磁束基準として用い、磁束基準とトルク基準とに基づいてベクトル制御演算し、磁束分電流基準id*、 トルク分電流基準iq*、すべり角θsを演算することを特徴とする交流電動機制御装置。
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