JPH10163056A - 磁石の製造方法 - Google Patents
磁石の製造方法Info
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Abstract
エネルギー積の磁石を提供する。 【解決手段】 R(希土類元素の1種以上で、Sm必
須)、T(Fe必須)、NおよびM(Zr必須)を含有
し、Rを4〜8原子%、Nを10〜20原子%、Mを2
〜10原子%含有し、硬質磁性相(TbCu7 型結晶
相)と、軟質磁性相(bcc構造T相からなり、平均結
晶粒径が5〜60nmであり、全体の10〜60体積%を
占める)とを有し、硬質磁性相中における原子比(R+
M)/(R+T+M)が12.5%を超える磁石を、単
ロール法を利用して製造する。単ロール法では、冷却ロ
ールの周速度を50m/s 以上とし、合金溶湯の吐出圧力
を0.3〜2kgf/cm2 とする。冷却後、急冷合金を60
0〜800℃で熱処理し、さらに窒化処理する。
Description
ディッド磁石としてモータ等に適用される希土類窒化磁
石を製造する方法に関する。
系磁石やNd−Fe−B系磁石が実用化されているが、
近年、新規な希土類磁石の開発が盛んに行なわれてい
る。
固溶したSm−Fe−N系の希土類窒化磁石が提案され
ており、Sm2 Fe17N2.3 付近の組成で、4πIs =
15.4kG、Tc =470℃、HA =14Tの基本物性
が得られること、Znをバインダとするメタルボンディ
ッド磁石として10.5MGOeの(BH)max が得られるこ
と、また、Sm2 Fe17金属間化合物へのNの導入によ
り、キュリー温度が大幅に向上して熱安定性が改良され
たことが報告されている(Paper No.S1.3 at theSixth
International Symposium on Magnetic Anisotropy and
Coercivity inRare Earth-Transition Metal Alloys,P
ittsburgh,PA,October 25,1990.(Proceedings Book:Car
negie Mellon University,Mellon Institute,Pittsburg
h,PA 15213,USA) )。
磁石)は、理論的にはNd−Fe−B系磁石を超える特
性が期待されるため、様々な提案がなされている。Sm
−Fe−N系磁石の高性能化、特に高い磁化を得るため
には、磁石中のα−Fe相の比率を高くすることが有効
である。α−Fe相を増加させるためには、磁石全体の
希土類元素量を減らせばよく、希土類元素の使用量を減
らせばコスト的にも有利である。しかし、希土類元素量
を減らしてα−Fe相を単に増加させただけでは、保磁
力の低下を招き、磁石特性はかえって低くなってしま
う。このため、以下に示すような提案がなされている。
1号において、R(Smを主体とする希土類元素)を4
〜8原子%、Nを10〜20原子%、M(Zrを必須と
する添加元素)を2〜10原子%含有し、残部が実質的
にT(Fe等の遷移元素)であって、TbCu7 型硬質
磁性相と、α−Fe相等のbcc構造T相からなる軟質
磁性相とを有し、軟質磁性相の平均結晶粒径が5〜60
nmであり、軟質磁性相の割合が10〜60体積%である
Sm−Fe−N系磁石を提案している。この磁石は、Z
rを必須とし、かつ軟質磁性相の平均結晶粒径および磁
石中における軟質磁性相の割合を限定したことを特徴と
するものである。これらの限定により、希土類元素の比
率を8原子%以下と少なくして高磁化を達成したにもか
かわらず、比較的高い保磁力が得られている。
1 x R2 yT100-x-y-z-vMz Nv (R1 は希土類元素の1
種以上、R2 はZr、HfおよびScの1種以上、Tは
FeおよびCoの1種以上、MはTi、V、Nb、T
a、Cr、Mo、W、Mn、Ni、Ru、Rh、Pd、
Cu、Ag、Zn、Cd、Al、Ga、In、Si、G
e、SnおよびSbの1種以上。x、y、z、vは原子
%でそれぞれ2≦x≦20、0≦y≦15、2≦x+y
≦20、0≦z≦20、0.01≦v≦20を示す)で
表される組成であって、TbCu7 型結晶構造を有する
相を主相とし、この主相中に前記T元素が90原子%以
上含まれる磁石材料が記載されている。同公報では、主
相中にT元素を90%以上含ませることにより、主相の
飽和磁束密度を向上させることができるとしている。そ
して、α−Fe相については、その析出を防止すること
を目的としている。
Fe−B系磁石より高い特性も得られているが、保磁力
および後述する角形比については、さらに高いことが望
ましい。上記では、コンピュータのハードディスク駆
動装置用のスピンドルモータに用いるには不十分な特性
しか得られていない。
で、しかも高保磁力、高角形比、高最大エネルギー積の
磁石を提供することである。
(1)〜(4)のいずれかの構成により達成される。 (1)R(Rは希土類元素の1種以上であり、R中のS
m比率は50原子%以上である)、T(TはFe、また
はFeおよびCoである)、NおよびM(Mは、Zrで
あるか、Zrの一部をTi、V、Cr、Nb、Hf、T
a、Mo、W、Al、CおよびPから選択される少なく
とも1種の元素で置換したものである)を含有し、Rを
4〜8原子%、Nを10〜20原子%、Mを2〜10原
子%含有し、残部が実質的にTであり、硬質磁性相と軟
質磁性相とを有し、硬質磁性相が、R、TおよびNを主
体とし、TbCu7 型結晶相を含み、軟質磁性相が、b
cc構造のT相からなり、軟質磁性相の平均結晶粒径が
5〜60nmであり、軟質磁性相の割合が10〜60体積
%であって、硬質磁性相中における原子比(R+M)/
(R+T+M)が12.5%を超える磁石を製造する方
法であり、ノズルから合金溶湯を吐出して冷却ロール周
面に衝突させることにより急冷する単ロール法を用い
て、TbCu7 型結晶相とアモルファス相とを含む薄帯
状の急冷合金を得る急冷工程と、真空中または不活性ガ
ス雰囲気中において前記急冷合金に結晶化のための熱処
理を施す熱処理工程と、熱処理後の急冷合金に窒化処理
を施す窒化工程とを有し、前記急冷工程における冷却ロ
ールの周速度が50m/s 以上であり、合金溶湯の吐出圧
力が0.3〜2kgf/cm2 であり、前記熱処理工程におけ
る処理温度が600〜800℃である磁石の製造方法。 (2)Cu−Kα線を用いたX線回折における前記急冷
合金のTbCu7 型結晶相の最大ピークの半値幅が0.
95°以上である上記(1)の磁石の製造方法。 (3)前記冷却ロールの周速度をVs(m/s )とし、前
記急冷合金の厚さをt(μm )としたとき、t×Vsが
800〜1300である上記(1)または(2)の磁石
の製造方法。 (4)前記原子比(R+M)/(R+T+M)が25%
以下である上記(1)〜(3)のいずれかの磁石の製造
方法。
硬質磁性相として有し、α−Fe相等のbcc構造T相
が分散されたSm−Fe−N系磁石において、希土類元
素Rの含有量を8原子%以下と少なくした上で、硬質磁
性相中における原子比(R+M)/(R+T+M)が1
2.5%を超えるように製造条件を選択する。
のキュリー温度測定を行うと、希土類元素Rおよび元素
MはTbCu7 型結晶相中では主としてTbサイトに存
在し、元素TはCuサイトに存在することがわかる。ま
た、化学量論組成におけるR+Mの原子比は12.5%
である。すなわち、本発明では、硬質磁性相中における
R+Mの比率を化学量論組成よりも高くする。TbCu
7 型結晶相では、遷移元素の比率が化学量論比よりも低
いほうが、すなわちR+Mの比率が高いほうが磁気異方
性の面では好ましく、その結果、高い保磁力が得られ
る。本発明により製造される磁石では、磁石全体のR含
有量が少ないにもかかわらず硬質磁性相中の希土類元素
の比率が化学量論組成より高いため、単に希土類元素含
有量が少ない従来の磁石、あるいは主相中のT量を多く
することにより比較的高い磁化を得ている従来の磁石と
は異なり、高保磁力が得られる。しかも、磁石中のbc
c構造T相の比率が高いため、磁化が高くなり、磁石と
して好ましい。
形比が高く、このため最大エネルギー積が高い。この場
合の角形比とは、Hk/HcJを意味する。なお、HcJは
保磁力であり、Hkは、磁気ヒステリシスループの第2
象限において磁束密度が残留磁束密度の90%になると
きの外部磁界強度である。Hkが低いと高い最大エネル
ギー積が得られない。Hk/HcJは、磁石性能の指標と
なるものであり、磁気ヒステリシスループの第2象限に
おける角張りの度合いを表わす。HcJが同等であっても
Hk/HcJが大きいほど磁石中のミクロ的な保磁力の分
布がシャープとなるため、着磁が容易となり、かつ着磁
ばらつきも少なくなり、また、最大エネルギー積が高く
なる。そして、磁石使用時の外部からの減磁界や自己減
磁界の変化に対する磁化の安定性が良好となり、磁石を
含む磁気回路の性能が安定したものとなる。本発明の磁
石ではHk/HcJとして15%以上が容易に得られ、1
8%以上、さらには20%以上とすることもできる。な
お、Hk/HcJは、通常、45%程度以下である。ま
た、Hkとしては、1kOe 以上が容易に得られ、1.5
kOe 以上、さらには2kOe 以上とすることもできる。な
お、Hkは、通常、4kOe 程度以下である。また、ボン
ディッド磁石とした場合には粉体の状態よりも磁石粒子
間の距離が小さくなるので、ボンディッド磁石では磁石
粉末よりも20〜50%程度高いHk/HcJを得ること
が可能である。
の使用量を減らした上で高保磁力、高角形比および高い
最大エネルギー積を得ることができるので、低価格で高
性能な磁石が実現する。
が少ないにもかかわらず硬質磁性相中のR+Mの比率を
高くすることができるのは、急冷工程における条件を上
記のように制御するからである。
冷却ロールの周速度を高くすると共に合金溶湯の吐出圧
力を高くする。冷却ロールの周速度を高速にすることに
より、薄帯状の急冷合金は薄くなって冷却速度が高くな
る。このため、急冷合金中のTbCu7 型微結晶のTb
サイトにR+Mを過剰に存在させることができ、保磁力
を高くできる。そして、合金溶湯の吐出圧力を上記した
所定範囲とすることにより、保磁力をより高くでき、角
形比を著しく高くすることができる。吐出圧力を高くし
たとき、単位時間当たりの吐出量は増えるが、その増加
分は、以下に述べる効果により急冷合金の厚さを増加さ
せるには至らない。合金溶湯を単ロール法により冷却す
る際には、冷却雰囲気中のガスの巻き込み、冷却ロール
周面との密着性の悪さ、冷却ロールの軸ぶれによるノズ
ルと冷却ロールとの間の距離の変化等に起因して、急冷
合金に凹部が形成されてしまい、急冷合金は厚くなる。
これに対し、合金溶湯の吐出圧力を高くすれば、ガス巻
き込みが減少し、密着性が改善され、冷却ロールの軸ぶ
れの影響が軽減される。また、吐出圧力を高くするにし
たがって、急冷合金の幅が広くなる。これらの結果とし
て、急冷合金は薄くなり、冷却速度が向上することにな
る。具体的には、冷却ロールの周速度Vs(m/s )と急
冷合金の厚さt(μm )との関係が t×Vs=800〜1300 となる。したがって、TbCu7 型結晶中でのR+Mの
比率をより高くできる。また、吐出圧力を高くすること
によって、合金溶湯と冷却ロール周面との密着性が向上
するため、急冷合金の厚さ方向での均質度が向上する。
このため、冷却ロールの周速度が同じ場合でも、吐出圧
力を高くすることにより保磁力はさらに向上し、角形比
は著しく向上する。
1号)には、本発明と同様に冷却ロールの周速度を50
m/s 以上として製造された磁石が記載されている。しか
し、同出願の実施例では、周速度50m/s で急冷合金の
厚さが約30μm なので、上記t×Vsは約1500と
なり、本発明範囲を上回る。すなわち、急冷合金の厚さ
が本発明範囲より厚くなっている。これは、合金溶湯の
吐出圧力が本発明範囲を下回るからである。このため、
周速度を50m/s から高くしていくと、保磁力HcJは向
上するもののその上昇は緩やかとなる。また、同出願で
は、角形比Hk/HcJは周速度が高くなるしたがってか
えって低下する傾向を示しており、これも合金溶湯の吐
出圧力が低いからである。これに対し本発明では、冷却
ロールの周速度を高くすることに加え、吐出圧力を高く
しているので、冷却ロールの周速度を単に高くした場合
に比べ急冷合金は薄くなると共に均質度が高くなり、高
特性が得られる。また、本発明では従来と同等の周速度
でより薄い急冷合金が得られるため、装置コストが低減
でき、工業上有利である。
るため結晶性が悪く、TbCu7 型微結晶相は機械的歪
みを含んでいる。このため、Cu−Kα線を用いたX線
回折において、急冷合金のTbCu7 型結晶相の最大ピ
ークの半値幅は0.95°以上と大きくなる。
は、一般式R1x R2y Az Cou Fe100-x-y-z-u
(ただし、R1は希土類元素から選ばれる少なくとも1
種の元素、R2はZr、HfおよびScから選ばれる少
なくとも1種の元素、Aは、C、NおよびPから選ばれ
る少なくとも1種の元素を示し、x、y、z、uは原子
%でそれぞれ2≦x、4≦x+y≦20、0≦z≦2
0、0≦u≦70を示す)にて表され、主相がTbCu
7 型結晶構造を有し、かつCu−Kα線を用いたX線回
折パターン(角分解能0.02°以下)におけるTbC
u7 型相の主反射強度をIp とし、α−Fe相の主反射
強度をIFeとしたとき、TbCu7 型相の主反射強度の
半値幅が0.8°以下で、IFe/(IFe+Ip )が0.
4以下である磁性合金を含む永久磁石が記載されてい
る。同公報記載の永久磁石は、TbCu7型の主相およ
びα−Fe相を有する点では本発明の磁石に類似する。
である実施例が複数存在するが、N量が本発明範囲を下
回っており、また、冷却ロールの周速度(周速度40m/
s )が本発明範囲を下回っていることから、前述した角
形比Hk/HcJが低くなり、そのため最大エネルギー積
が低くなると考えられる。また、同公報のこれらの実施
例では、本発明の実施例に比べ残留磁束密度が低くなっ
ている。
ための高温(700℃)熱処理の前に、この高温熱処理
での磁気特性劣化を抑えるためとして、低温(400
℃)で4時間の熱処理を施している。この低温熱処理
は、磁性材料の機械的歪みを取り除くための歪み取り熱
処理であり、その結果、TbCu7 型相の主反射強度の
半値幅が0.8°以下となっている。しかし、本願明細
書に比較例として記載してあるように、歪み取り熱処理
を施すと硬質磁性相の(R+M)/(R+T+M)が本
発明範囲を下回ってしまい、その結果、HcJが低くな
り、角形比も著しく低くなってしまう。
e相の比率の記載はない。同公報に記載されたX線回折
における主反射強度の比IFe/(IFe+Ip )からは、
両相の体積比率を求めることはできない。
R、T、NおよびMを含み、主相である硬質磁性相と微
細な軟質磁性相とを含む複合組織を有する。
六方晶系のTbCu7 型結晶構造をもち、この結晶構造
に窒素が侵入した構造である。Rは主としてTbサイト
に、Tは主としてCuサイトに存在する。Mは、元素に
よっても異なるが、主としてTbサイトに存在し、Cu
サイトに存在する場合もある。また、Mは、軟質磁性相
であるbcc構造T相に固溶することもあるが、MとT
とで別の化合物を形成することもある。
/(R+T+M)は、12.5%超であり、好ましくは
13.5%以上である。(R+M)/(R+T+M)が
小さすぎると保磁力が低くなり、角形比Hk/HcJも低
くなってしまう。(R+M)/(R+T+M)の上限
は、好ましくは25%、より好ましくは20%である。
(R+M)/(R+T+M)が大きすぎるとTbCu7
型結晶構造が生成しにくくなってTh2 Zn17型結晶構
造が出現するようになり、高保磁力および高角形比は実
現しない。
質的にα−Fe相であるか、α−Fe相のFeの一部が
Co、M、R等で置換されたものであると考えられる。
結晶粒径は5〜60nmとする。磁石中には結晶磁気異方
性が高い硬質磁性相と飽和磁化が高い軟質磁性相とが存
在し、軟質磁性相が微細であるため両相の界面が多くな
って交換相互作用の効果が大きくなり、高保磁力が得ら
れると考えられる。軟質磁性相の平均結晶粒径が小さす
ぎると飽和磁化が低くなってしまい、大きすぎると保磁
力および角形性が低くなってしまう。なお、軟質磁性相
の平均結晶粒径は、好ましくは5〜40nmである。
とは透過型電子顕微鏡により確認することができる。軟
質磁性相の平均結晶粒径は、磁石断面の画像解析により
算出する。まず、磁石断面の測定対象領域中に含まれて
いる軟質磁性相について、結晶粒の数nおよび各結晶粒
の断面積の合計Sを、画像解析により算出する。そし
て、軟質磁性相の結晶粒1個あたりの平均断面積S/n
を算出し、面積がS/nである円の直径Dを平均結晶粒
径とする。すなわち、平均結晶粒径Dは、 式 π(D/2)2 =S/n から求める。なお、測定対象領域は、nが50以上とな
るように設定することが好ましい。
5〜500nm、より好ましくは5〜100nmである。硬
質磁性相の平均結晶粒径が小さすぎる場合には結晶性が
不十分であり、高保磁力が得られにくい。一方、硬質磁
性相の平均結晶粒径が大きすぎると、窒化処理に要する
時間が長くなる傾向がある。硬質磁性相の平均結晶粒径
は、軟質磁性相の平均結晶粒径と同様にして算出する。
〜60体積%、好ましくは10〜36体積%である。軟
質磁性相の割合が低すぎても高すぎても良好な磁石特性
が得られなくなり、特に最大エネルギー積が低くなる。
軟質磁性相の割合は、磁石断面の透過型電子顕微鏡写真
を用いて、いわゆる面積分析法により求める。この場
合、断面積比が体積比となる。
よび軟質磁性相以外の相が含まれていてもよい。Zr
は、硬質磁性相であるTbCu7 型相のTbサイトに存
在するが、Fe3 Zr等の別の化合物を生成することも
可能である。しかし、Fe3 Zr相等の異相は永久磁石
として好ましくないので、Zrを含む異相は磁石中の5
体積%以下であることが好ましい。
限定理由を説明する。
〜7原子%である。Nの含有量は10〜20原子%、好
ましくは12〜18原子%、より好ましくは15原子%
超18原子%以下、さらに好ましくは15.5〜18原
子%である。Mの含有量は2〜10原子%、好ましくは
2.5〜5原子%である。そして、残部が実質的にTで
ある。
なる。一方、Rの含有量が多すぎるとbcc構造T相の
量が少なくなって磁石特性が低くなり、また、高価なR
を多量に使用することになるため、安価な磁石が得られ
なくなる。Sm以外のRとしては、Y、La、Ce、P
r、Nd、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、T
m、Yb、Lu等の1種以上を用いることができる。本
発明の磁石の硬質磁性相はTbCu7 型の結晶構造に窒
素が侵入した構成であり、このような硬質磁性相ではR
がSmであるときに最も高い結晶磁気異方性を示す。S
mの比率が低いと結晶磁気異方性が低下し保磁力も低下
するため、R中のSm比率は50原子%以上、好ましく
は70原子%以上とする。
上昇、保磁力の向上、角形比の向上、飽和磁化の向上お
よび最大エネルギー積の向上が不十分となり、N含有量
が多すぎると、残留磁束密度が低下する傾向を示すと共
に角形比が低くなって最大エネルギー積も低くなる。N
含有量はガス分析法などにより測定することができる。
するために添加される。元素Mが含まれないと、合金製
造時に軟質磁性相の粗大な結晶粒が析出するため、最終
的に軟質磁性相の平均結晶粒径が比較的小さくなったと
しても、高保磁力が得られなくなる。Mの含有量が少な
すぎると、軟質磁性相の平均結晶粒径が小さい磁石が得
られにくくなる。一方、Mの含有量が多すぎると、飽和
磁化が低くなってしまう。Mは、Zrであるか、Zrの
一部をTi、V、Cr、Nb、Hf、Ta、Mo、W、
Al、CおよびPから選択される少なくとも1種の元素
で置換したものである。Zrを置換する元素としては、
Al、CおよびPの少なくとも1種が好ましく、特にA
lが好ましい。本発明においてZrを必須とするのは、
組織構造制御に特に有効であり、また、角形比向上に有
効だからである。また、Alは、急冷合金の窒化を容易
にする効果も示すため、Al添加により、窒化処理に要
する時間を短縮することができる。なお、磁石中のZr
含有量は、好ましくは2〜4.5原子%、より好ましく
は3〜4.5原子%である。これは、MとしてZrだけ
を用いる場合でも他の元素と併用する場合でも同様であ
る。Zr含有量が少ないと高保磁力と高角形比とが共に
は得られず、また、Zr含有量が多すぎると飽和磁化お
よび残留磁束密度が低くなってしまう。
る。Tは、Feであるか、あるいはFeおよびCoであ
る。Coの添加は特性を向上させるが、T中のCoの比
率は50原子%以下であることが好ましい。Coの比率
が50原子%を超えると残留磁束密度が低くなってしま
う。
酸素が含まれていてもよい。磁石は希土類−遷移金属間
化合物を基本とすることから、取り扱いの際や各工程に
おける処理の際に不可避的に酸化が生じ得る。例えば、
急冷や粉砕、後述する組織構造制御のための熱処理など
をAr雰囲気中で行った場合、雰囲気Ar中の1ppm程
度の酸素は不可避であり、その結果、磁石中には酸素が
6000ppm 程度以下含まれる。また、不可避的不純物
として、有機物由来の炭素が500ppm 程度以下含まれ
る。また、空気中の水分と磁石との反応により生成する
水酸化物に由来するHが100ppm 程度以下含まれる。
また、坩堝材質からのAl、Si、Mgなどが5000
ppm 程度以下含まれる。
折において、硬質磁性相であるTbCu7 型結晶相の最
大ピークの強度をIH 、軟質磁性相の最大ピークの強度
をIS としたとき、IS /IH は、好ましくは0.4〜
2.0、より好ましくは0.7〜1.8である。IS /
IH が0.4〜2.0であれば高い角形比を示し、IS
/IH が0.7〜1.8であればさらに高い角形比が得
られる。IS /IH が小さすぎても大きすぎても、最大
エネルギー積が低くなる傾向となる。
法を説明する。
合金を単ロール法により製造し、この急冷合金に組織構
造制御のための熱処理を施した後、窒化処理を施して磁
石化する。
出して冷却ロール周面に衝突させることにより、合金溶
湯を急速に冷却し、薄帯状の急冷合金を得る。単ロール
法は、他の液体急冷法に比べ、量産性が高く、急冷条件
の再現性が良好である。冷却ロールの材質は特に限定さ
れないが、通常、CuまたはCu合金を用いることが好
ましい。
m/s 以上、好ましくは60m/s 以上とする。ロール周速
をこのように高くすることにより、(R+M)/(R+
T+M)を上記のように大きくすることができる。ま
た、急冷合金がアモルファス相を含む微結晶状態となる
ため、その後の熱処理により任意の結晶粒径が実現可能
となり、窒化も容易となる。また、薄帯状急冷合金が薄
くなるため、より均質な急冷合金が得られる。したがっ
て、高保磁力、高残留磁束密度、高角形比、高最大エネ
ルギー積の磁石が得られる。なお、ロール周速は、通
常、120m/s 以下とすることが好ましい。ロール周速
が速すぎると、合金溶湯とロール周面との密着性が悪く
なって熱移動が効果的に行なわれなくなる。このため、
実効冷却速度が遅くなってしまう。
薄帯状急冷合金の厚さをt(μm )としたとき、t×V
sは、好ましくは800〜1300、より好ましくは8
50〜1200である。t×Vsが小さすぎる場合、急
冷合金を安定して製造することが困難であり、特性のば
らつきが生じてしまう。一方、t×Vsが大きすぎる薄
帯状急冷合金では、冷却ロールの周速度に見合った十分
な冷却速度を得ることが困難であるため、保磁力および
角形比の良好な磁石を製造することが困難となる。
細結晶およびアモルファス相を含む複合組織であり、b
cc構造T相を含んでいてもよい。bcc構造T相は、
X線回折による同相のピークの存在や、熱分析において
α−Fe相のキュリー点に相当する温度で生じる磁化の
消滅により、その存在を確認できる。
急冷合金のTbCu7 型結晶相の最大ピークの半値幅
は、好ましくは0.95°以上、より好ましくは1.0
5°以上である。この半値幅が狭すぎると、硬質磁性相
中におけるR+Mの比率が低くなりすぎ、本発明の効果
が実現しない。この半値幅が広いことは結晶性の低さを
意味するため、本発明にとっては好ましい。しかし、熱
処理による結晶化の際には種結晶が必要であるため、半
値幅があまりに広いと、すなわち、結晶性があまりに低
いと好ましくない。このような理由から、上記半値幅
は、好ましくは1.50°以下である。
理を施す。この熱処理は、所定の平均結晶粒径を有する
bcc構造T相を析出させるためのものである。この熱
処理における処理温度は、好ましくは600〜800
℃、より好ましくは650〜775℃であり、処理時間
は処理温度にもよるが、通常、10分間〜4時間程度と
する。この熱処理は、Ar、He等の不活性雰囲気中や
真空中で行なうことが好ましい。この熱処理により、微
細なbcc構造T相が析出し、また、TbCu7型結晶
相がさらに析出することもある。熱処理温度が低すぎる
とbcc構造T相の析出量が不十分となり、熱処理温度
が高すぎると、MとTとが例えばFe3 Zrのような化
合物を生成し、特性低下の原因となる。
4以下、より好ましくは0.25以下、さらに好ましく
は、0.15以下である。上記したように、IH はTb
Cu7 型結晶相の最大ピークの強度であり 、IS は軟
質磁性相の最大ピークの強度である。このように、急冷
直後のIS /IH を小さくし、熱処理によりIS /IH
を増大させる、すなわち熱処理によりbcc構造T相の
析出を促す構成とすることにより、微細なbcc構造T
相を組織中に分散させることが容易となり、高い磁石特
性が容易に実現する。
15号公報に記載されている歪み取りのための独立した
熱処理工程を設ける必要はない。逆に、同公報に記載さ
れているように400℃程度の歪み取り熱処理を施した
場合には、上記したTbCu7 型結晶相の最大ピークの
半値幅が小さくなって好ましくない。具体的には、この
ような歪み取り熱処理を施すことにより、硬質磁性相で
あるTbCu7 型結晶の(R+M)/(R+T+M)が
12.5%以下となってしまう。このため、高保磁力お
よび高角形比が得られなくなる。
に窒化処理を施す。窒化処理では、窒素ガス雰囲気中で
急冷合金に熱処理を施す。この処理により、TbCu7
型結晶中に窒素原子が侵入して侵入型の固溶体が形成さ
れ、硬質磁性相となる。窒化処理の際の処理温度は、好
ましくは350〜700℃、より好ましくは350〜6
00℃であり、処理時間は、好ましくは0.1〜300
時間である。窒素ガスの圧力は、0.1気圧程度以上と
することが好ましい。なお、窒化処理に高圧窒素ガスを
用いたり、窒素ガス+水素ガスを用いたり、アンモニア
ガスを用いたりすることもできる。
状等のいずれであってもよい。ボンディッド磁石等の磁
石製品に適用する場合には、所定の粒径にまで粉砕して
磁石粒子とする。粉砕工程は、急冷後、組織構造制御の
ための熱処理後、窒化処理後のいずれに設けてもよく、
粉砕工程を複数段に分けて設けてもよい。
子の平均粒子径は、通常、10μm以上とすることが好
ましいが、十分な耐酸化性を得るためには、平均粒子径
を好ましくは30μm 以上、より好ましくは50μm 以
上、さらに好ましくは70μm 以上とすることがよい。
また、この程度の粒子径とすることにより、高密度のボ
ンディッド磁石とすることができる。平均粒子径の上限
は特にないが、通常、1000μm 程度以下であり、好
ましくは250μm 以下である。なお、この場合の平均
粒子径とは、篩別により求められた重量平均粒子径D50
を意味する。重量平均粒子径D50は、径の小さな粒子か
ら重量を加算していって、その合計重量が全粒子の合計
重量の50%となったときの粒子径である。
で結合して作製される。本発明の磁石は、プレス成形を
用いるコンプレッションボンディッド磁石、あるいは射
出成形を用いるインジェクションボンディッド磁石のい
ずれにも適用することができる。バインダとしては、各
種樹脂を用いることが好ましいが、金属バインダを用い
てメタルボンディッド磁石とすることもできる。樹脂バ
インダの種類は特に限定されず、エポキシ樹脂やナイロ
ン等の各種熱硬化性樹脂や各種熱可塑性樹脂から目的に
応じて適宜選択すればよい。金属バインダの種類も特に
限定されない。また、磁石粒子に対するバインダの含有
比率や成形時の圧力等の各種条件にも特に制限はなく、
通常の範囲から適当に選択すればよい。ただし、結晶粒
の粗大化を防ぐために、高温の熱処理が必要な方法は避
けることが好ましい。
をさらに詳細に説明する。
相の比率による比較 下記表1に示される磁石粉末を作製した。
し、各インゴットを小片に砕いた。得られた小片を石英
ノズルに入れて高周波誘導加熱により溶解して合金溶湯
とし、単ロール法により急冷して、薄帯状の急冷合金と
した。冷却ロールにはBe−Cuロールを用い、合金溶
湯の吐出圧力は、0.6kgf/cm2 とした。急冷合金の厚
さt、冷却ロールの周速度Vsおよびt×Vsを、表1
に示す。X線回折および透過型電子顕微鏡による観察の
結果、急冷合金は、TbCu7 型結晶相とbcc構造α
−Fe相とを含む多結晶複合組織であり、さらにアモル
ファス相も含むものであることが確認された。各急冷合
金におけるTbCu7 型結晶の最大ピークの半値幅は、
0.95〜1.20°であり、いずれも本発明範囲内で
あった。
織構造制御のための熱処理を施した。熱処理は、700
℃にて1時間行なった。熱処理後にX線(Cu−Kα
線)回折および透過型電子顕微鏡による観察を行なった
ところ、TbCu7 型結晶相とbcc構造α−Fe相と
を含む多結晶複合組織となっており、アモルファス相は
実質的に消失していた。
の径まで粉砕し、1気圧の窒素ガス雰囲気中で425℃
にて窒化処理を施し、磁石粉末とした。各磁石粉末の窒
化処理時間は、20時間とした。
IH は0.03〜0.21であり、急冷合金に窒化処理
を施して磁石とした後のIS /IH は0.25〜1.2
であった。
よる部分組成分析(TEM−EDX)によりα−Fe相
の平均結晶粒径および磁石粉末中のα−Fe相の比率を
求めた。結果を表1に示す。
(R+M)/(R+T+M)、残留磁束密度(Br)、
保磁力(HcJ)、角形比(Hk/HcJ)を測定した。な
お、組成は蛍光X線分析により求めた。ただし、N量は
ガス分析により求めた。結果を表1に示す。
明らかである。すなわち、元素Mを含み、α−Fe相の
平均結晶粒径が所定範囲にある磁石粉末では、R含有量
が少なくても高保磁力が得られている。これに対し、M
を含まない磁石粉末No. 105では、(R+M)/(R
+T+M)が本発明範囲を外れると共にα−Fe相の粒
径が大きくなりすぎて、保磁力および角形比が著しく小
さくなっている。角形比Hk/HcJが15%を下回る
と、磁石使用時の外部からの減磁界や自己減磁界のわず
かな変化によって磁化が大きく変化してしまい、磁石を
含む磁気回路の性能が安定しなくなる。
るTbCu7 型結晶相の平均結晶粒径は、約10〜10
0nmであった。
よる比較 表2に示す組成の磁石粉末を作製した。作製条件は、合
金溶湯の吐出圧力を0.35kgf/cm2 とし、組織構造制
御のための熱処理を675〜725℃にて15分間〜2
時間行ない、熱処理後に約105μm 以下の径まで粉砕
し、窒化処理を25時間行なった以外は、実施例1の各
磁石粉末と同様とした。
晶の最大ピークの半値幅は、0.95〜1.20°であ
り、いずれも本発明範囲内であった。Cu−Kα線によ
るX線回折チャートの例として、磁石粉末No. 202製
造に用いた急冷合金のものと、これに熱処理を施した後
のものと、さらに窒化処理を施した後のものとを、図1
に示す。
様な測定を行なった。結果を表2に示す。
質磁性相の比率が10〜60体積%のとき、特に高い残
留磁束密度が得られ、角形比も高くなることがわかる。
また、これらは最大エネルギー積も高かった。
るTbCu7 型結晶相の平均結晶粒径は、約10〜10
0nmであった。
金溶湯の吐出圧力を0.7kgf/cm2 とした以外は実施例
2の各磁石粉末と同様とした。
晶の最大ピークの半値幅は、1.00〜1.10°であ
り、いずれも本発明範囲内であった。
様な測定を行なった。結果を表3に示す。
Sm比率が50原子%以上のとき、高特性が得られるこ
とがわかる。
るTbCu7 型結晶相の平均結晶粒径は、約10〜10
0nmであった。
金溶湯の吐出圧力を0.8kgf/cm2 とした以外は実施例
2の各磁石粉末と同様としたが、窒化処理条件は、処理
温度450〜480℃、処理時間1〜20時間の範囲内
において変更した。
晶の最大ピークの半値幅は、1.05〜1.10°であ
り、いずれも本発明範囲内であった。
様な測定を行なった。結果を表4に示す。
特に12〜18原子%、さらに15原子%超18原子%
以下のとき、高特性、特に高角形比が得られることがわ
かる。また、これらは最大エネルギー積も高かった。
るTbCu7 型結晶相の平均結晶粒径は、約10〜10
0nmであった。
1 表5に示す組成の磁石粉末を作製した。作製条件は、合
金溶湯の吐出圧力を表5に示す値とし、組織構造制御の
ための熱処理を750℃で1時間行ったほかは、実施例
1と同様とした。
晶の最大ピークの半値幅は、磁石粉末No. 501になっ
たものが0.85°で本発明範囲を下回っていたが、他
のものでは0.95〜1.10°であり、いずれも本発
明範囲内であった。
様な測定を行なった。結果を表5に示す。
囲を下回る磁石粉末No. 501では、急冷合金が厚くな
ってt×Vsが大きくなりすぎ、角形比Hk/HcJが低
くなることがわかる。
は、吐出圧力が高すぎるために合金溶湯が跳ね、吐出量
の約5%以下しか薄帯状にならず、実用性に問題があっ
た。
Cu7 型結晶相の平均結晶粒径は、約10〜100nmで
あった。
2 合金溶湯急冷時の吐出圧力と冷却ロール周速度とが磁石
特性に与える影響を調べた。合金組成は表1の磁石粉末
No. 104と同じものとし、吐出圧力を0.2kgf/cm2
または0.75kgf/cm2 とし、冷却ロールの周速度を図
2に示すように変えて急冷合金を作製し、以降の工程は
前記した特願平7−197001号記載の実施例11と
同様にして磁石粉末を製造した。これらの磁石粉末につ
いて、Br、HcJ、Hk/HcJを測定した。結果を図2
に示す。図2では、実線で結んである磁気特性値が吐出
圧力を0.2kgf/cm2 としたものであり、破線で結んで
あるものが吐出圧力を0.75kgf/cm2 としたものであ
る。
磁石粉末では、吐出圧力を本発明範囲よりも低くした磁
石粉末に比べ、ほぼ全般的に磁気特性が上回っている。
特に、HcJおよびHk/HcJの向上が大きく、冷却ロー
ル周速度が50m/s 以上となると向上率が著しく高くな
っている。この結果から、冷却ロール周速度の高速化に
合金溶湯吐出圧力の最適化を組み合わせた本発明の効果
が明らかである。
取り熱処理 表2の磁石粉末No. 203を製造する際に使用した急冷
合金に対し、特開平7−118815号公報記載の歪み
取り熱処理と同様な熱処理を施した。処理温度は400
℃、処理時間は30分間とした。この熱処理後のTbC
u7 型相の主ピークの半値幅は、0.45°であった。
その後、組織構造制御のための熱処理を700℃で1時
間施してα−Fe相を析出させ、さらに磁石粉末No. 2
03と同様な窒化処理を施して、磁石粉末No. 203−
2とした。磁石粉末No. 203とNo. 203−2との比
較を、表6に示す。
3−2では、歪み取り熱処理のために硬質磁性相の(R
+M)/(R+T+M)が本発明範囲を下回ってしまっ
ている。その結果、HcJが低くなり、角形比も著しく低
くなっている。
(ボンディッド磁石) 表7に示す組成の磁石粉末を含有するボンディッド磁石
をエポキシ樹脂と混合した後、プレス成形し、さらに硬
化のための熱処理を施してコンプレッションボンディッ
ド磁石とした。エポキシ樹脂は磁石粉末100重量部に
対し2〜3重量部とした。プレス成形時の圧力保持時間
は10秒間とし、印加圧力は10000kgf/cm2 とし
た。樹脂硬化のための熱処理は、150℃にて1時間行
なった。
度を表7に示す値とし、合金溶湯の吐出圧力を0.5kg
f/cm2 とした以外は実施例2の各磁石粉末と同様とし
た。
例1と同様な測定を行なった。結果を表7に示す。ま
た、各急冷合金におけるTbCu7 型結晶の最大ピーク
の半値幅を、表7に示す。
囲を下回ると、TbCu7 型相の主ピークの半値幅が本
発明範囲を下回り、その結果、TbCu7 型相中のR+
Mの比率が化学量論組成よりも低くなってしまい、HcJ
が著しく低くなることがわかる。
るTbCu7 型結晶相の平均結晶粒径は、約10〜10
0nmであった。
である。
と、さらに窒化処理を施した後のものとについてのX線
回折チャートである。
グラフである。
Claims (4)
- 【請求項1】 R(Rは希土類元素の1種以上であり、
R中のSm比率は50原子%以上である)、T(TはF
e、またはFeおよびCoである)、NおよびM(M
は、Zrであるか、Zrの一部をTi、V、Cr、N
b、Hf、Ta、Mo、W、Al、CおよびPから選択
される少なくとも1種の元素で置換したものである)を
含有し、Rを4〜8原子%、Nを10〜20原子%、M
を2〜10原子%含有し、残部が実質的にTであり、硬
質磁性相と軟質磁性相とを有し、硬質磁性相が、R、T
およびNを主体とし、TbCu7 型結晶相を含み、軟質
磁性相が、bcc構造のT相からなり、軟質磁性相の平
均結晶粒径が5〜60nmであり、軟質磁性相の割合が1
0〜60体積%であって、硬質磁性相中における原子比
(R+M)/(R+T+M)が12.5%を超える磁石
を製造する方法であり、 ノズルから合金溶湯を吐出して冷却ロール周面に衝突さ
せることにより急冷する単ロール法を用いて、TbCu
7 型結晶相とアモルファス相とを含む薄帯状の急冷合金
を得る急冷工程と、真空中または不活性ガス雰囲気中に
おいて前記急冷合金に結晶化のための熱処理を施す熱処
理工程と、熱処理後の急冷合金に窒化処理を施す窒化工
程とを有し、 前記急冷工程における冷却ロールの周速度が50m/s 以
上であり、合金溶湯の吐出圧力が0.3〜2kgf/cm2 で
あり、前記熱処理工程における処理温度が600〜80
0℃である磁石の製造方法。 - 【請求項2】 Cu−Kα線を用いたX線回折における
前記急冷合金のTbCu7 型結晶相の最大ピークの半値
幅が0.95°以上である請求項1の磁石の製造方法。 - 【請求項3】 前記冷却ロールの周速度をVs(m/s )
とし、前記急冷合金の厚さをt(μm )としたとき、t
×Vsが800〜1300である請求項1または2の磁
石の製造方法。 - 【請求項4】 前記原子比(R+M)/(R+T+M)
が25%以下である請求項1〜3のいずれかの磁石の製
造方法。
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