JP3779338B2 - 磁性材料粉末の製造方法およびボンド磁石の製造方法 - Google Patents

磁性材料粉末の製造方法およびボンド磁石の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、磁性材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、高性能希土類永久磁石としては、Sm−Co系磁石、Nd−Fe−B系磁石などが知られおり、量産化が進められている。これらの磁石には、FeまたはCoが多量に含まれ、飽和磁束密度の増大に寄与している。また、これらの磁石にはNd、Smなどの希土類元素が含まれており、希土類元素は結晶場中における4f電子の挙動に由来する非常に大きな磁気異方性をもたらす。これにより保磁力の増大化が図られ、高性能の磁石が実現されている。このような高性能磁石は、主としてスピーカ、モータ、計測器などの電気機器に使用されている。
【0003】
最近、永久磁石のさらなる高性能化のために、磁石素材中における主相の結晶格子間にN、C、P等の侵入型元素を導入することにより、主相のキュリー温度、飽和磁束密度、磁気異方性が大きく改善されることがわかった。
【0004】
しかしながら、従来の主相中に侵入型元素を導入した永久磁石においては、主相の温度安定性が低いという問題があった。例えば、R2 Fe17窒化物は600℃よりα−Feと希土類窒化物(RN)への分解が始まる。また、ThMn12構造を持つRFe11Ti1 窒化物では500℃で分解する。その結果、前記分解温度以上に昇温してポットプレスを行ったり、焼結したりすることにより緻密な磁石素体を形成することができず、磁気特性を向上させることができないという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、TbCu7 型結晶構造を有する相を主相とし、組成中にH、N、C、Pのうちの1種以上の侵入型元素を含有させることにより主相の磁気特性を向上し、かつ熱安定性の優れた磁性材料を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る磁性材料粉末の製造方法は、
下記一般式(I)にて表される磁性材料粉末の製造方法において、
下記一般式(I)におけるR1、R2、Co、Fe元素からなる合金溶湯の急冷、粉砕により合金粉末を得る工程、
前記合金粉末を0.001〜10気圧の窒素ガス雰囲気中または窒素化合物ガス雰囲気中300〜800℃で0.1〜100時間の熱処理により窒素を含有させる工程により得られ、主相がTbCu7型結晶構造を有し、かつ主相の単位胞の体積が0.276nm3以上であることを特徴とするものである。
R1xR2yzCouFe100-u-y-z (I)
ここで、R1はYを含む希土類元素から選ばれる少なくとも1種の元素で、その元素中にSm、Nd、Prが総量で50%以上含む、R2はZr、HfおよびScの群から選ばれる少なくとも1種の元素、AはN単独、x、y、zおよびuは原子%でそれぞれ2≦x、0<y、4≦x+y≦20、0.01≦z≦20、0≦uを示す。
また、本発明に係る磁性材料粉末の製造方法は、
下記一般式( II )にて表される磁性材料粉末の製造方法において、
下記一般式( II )におけるR1、R2、Co、Fe元素からなる合金溶湯の急冷、粉砕により合金粉末を得る工程、
前記合金粉末を0.001〜10気圧の窒素ガス雰囲気中または窒素化合物ガス雰囲気中300〜800℃で0.1〜100時間の熱処理により窒素を含有させる工程により得られ、主相がTbCu7 型結晶構造を有し、TbCu7 型結晶構造の格子定数比c/aが0.862以上で、かつ主相の単位胞の体積が0.270〜0.276nm3 であることを特徴とするものである。
R1x R2y z Cou Fe100-u-y-z (II)
ここで、R1はYを含む希土類元素から選ばれる少なくとも1種の元素で、その元素中にSm、Nd、Prが総量で50%以上含む、R2はZr、HfおよびScの群から選ばれる少なくとも1種の元素、AはN単独、x、y、zおよびuは原子%でそれぞれ2≦x、0<y、4≦x+y≦20、0.01≦z≦20、0≦uを示す。
ここで、前記主相とは化合物中の各結晶相および非結晶相のうちで最大の体積占有率を有する相を意味するものである。
【0007】
以下、本発明の磁性材料を構成する各成分ついて詳細に説明する。
(1)R1元素
R1元素である希土類元素としては、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Yが挙げられ、これらは1種または2種以上の混合物で使用される。このようなR1元素は、前記磁性材料に大きな磁気異方性をもたらし、高い保磁力を付与する。
【0008】
前記R1元素を2原子%未満にすると、多量のα−Feを生成して大きな保磁力が得られなくなる。一方、前記R1元素が20原子%を超えると、飽和磁束密度が著しく低下する。より好ましいR1元素の量は、2〜16原子%の範囲である。特に、前記R1元素中にSm、Nd、Prが総量で50%以上占めることが望ましい。このような量のR1元素を用いることによって、前記磁性材料の磁気異方性および飽和磁束密度をより向上することが可能になる。
【0009】
(2)R2元素
R2元素としては、Zr、HfおよびScの群から選ばれる少なくとも1種の元素を用いることができる。このようなR2元素は、主として前記R1の希土類サイトに占有して前記希土類サイトの平均原子半径を小さくする等の作用により前記主相中のFeおよびCoの濃度を高めることが可能になる。
【0010】
前記R1元素およびR2元素の合計量を4〜20原子%の範囲に規定することにより、より優れた磁気特性を有する磁性材料を得ることが可能になる。より好ましい前記R1元素およびR2元素の合計量は、6〜16原子%の範囲である。
【0011】
(3)A元素
A元素は、主としてTbCu7 型結晶構造のインタースティシャル位置に存在し、A元素を含まない場合と比較して結晶格子を拡大させたり、電子帯構造変化をさせることによりキュリー温度、飽和磁束密度、磁気異方性を向上させる働きを有する。前記A元素の配合量を0.01原子%未満にするとその配合効果を十分に達成できず、一方前記A元素が20原子%を越えるとTbCu7 相の生成が困難となる。より好ましい前記A成分の配合量は0.01〜10原子%の範囲である。
【0012】
(4)Co
Coは、主相中のFeおよびCoの濃度を増大させる効果があり、これによってCoを含まない場合に比較して飽和磁束密度をより向上させることが可能になる。また、Coは主相の熱安定性を向上させる働きを有する。Coを多く配合すると磁束密度がかえって低下することがあるため、その配合上限は70原子%にすることが好ましい。Coの配合量は、4〜60原子%、さらに好ましくは10〜40原子%の範囲にすることが望ましい。
【0013】
(5)Fe
Feは、前記磁性材料の飽和磁束密度を増大させる働きを有する。特に、Feを50原子%以上配合することにより前記効果がより顕著に現れる。
【0014】
本発明に係わる磁性材料は、前記CoおよびFeの一部をM元素(MはSi、Ti、Al、Ge、V、Ta、Mo、Nb、Cr、W、Mn、Cu、AgおよびNiの群から選ばれる1種以上の元素)で置換することを許容する。
【0015】
前記CoおよびFeの一部を前記M元素で置換することにより、前記磁性材料中のTbCu7 相の割合を増大することが可能になる。また、TbCu7 相中のCoおよびFeサイトの数を増大させることが可能になる。さらに、前記M元素の置換によってTbCu7 型結晶構造の単位胞体積を拡大させることも可能になる。ただし、前記M元素で前記CoおよびFeの大部分を置換すると飽和磁束密度の低下を招く。このため、前記M元素の置換量はCoおよびFeの総量中、20原子%以下にすることが望ましい。
【0016】
本発明に係わる磁性材料は、酸化物等の不可避的不純物を含有することを許容する。
前記主相の単位胞の体積は、0.276nm3 以上であることが磁性材料の熱安定性を高める点で必要である。より好ましい主相の単位胞の体積は0.277〜0.280nm3 である。
【0017】
本発明に係わる一般式(I) で表される磁性材料は、例えば次のような方法により製造される。
まず、所定量のR1、R2、CoおよびFeの各元素および必要に応じて前記CoおよびFeの一部を置換するM元素を含む材料を、アーク溶解または高周波溶解によりインゴットを調製する。つづいて、前記インゴットを高速で回転する単ロールまたは双ロールに噴射する単ロール法または双ロール法により急冷する。前記急冷プロセスは、前記合金溶湯を回転ディスク上に噴射して急冷する回転ディスク法、前記合金溶湯をHeのような不活性ガス中に噴射して急冷するガスアトマイズ法が採用される。なお、前記合金溶湯の急冷工程はAr、Heなどの不活性ガス雰囲気で行うことが望ましい。このような雰囲気で前記合金溶湯を急冷することによって酸化による磁気特性の劣化が防止される。
【0018】
また、前記一般式(I) の磁性材料の他の製造方法としては所定量のR1、R2、C0およびFeの各元素および必要に応じて前記CoおよびFeの一部を置換するM元素を含む各元素粉末からなる混合体に機械的エネルギーを付与して合金化させるメカニカルアロイイング法またはメカニカルグラインディング法を採用することができる。これらの方法は、前記混合体を固相反応させることにより合金化する方法である。前記固相反応を起こさせる具体的な方法としては、例えば遊星ボールミル、回転式ボールミル、アトライタ、振動ボールミル、スクリュー式ボールミル等に前記混合体を投入し、前記各粉末に機械的な衝撃を与える方法が採用される。
【0019】
前記方法で得られた合金材料は、ボールミル、ブラウンミル、スタンプミル等によって粉砕することにより磁性材料粉末が製造される。ただし、前記メカニカルアロイイング法またはメカニカルグラインディング法で得られた磁性材料は、粉末状態であるため、前記粉砕工程を省略することが可能である。
【0020】
一方、前記各磁性材料の組成中、A元素として窒素を含有させる場合は、前記合金粉末を0.001〜10気圧の窒素ガス雰囲気中で0.1〜100時間、300〜800℃の温度下で熱処理することが望ましい。
【0021】
前記熱処理の雰囲気は、窒素ガスに代えてアンモニア等の窒素化合物ガスを用いてもよい。前記窒素もしくは窒素化合物ガスまたはその混合ガスの分圧は、0.001〜10気圧の範囲にすることが好ましい。また、前記窒化処理は次に説明する保磁力の改善ための熱処理の後に行うことが可能である。さらに、窒化処理においては窒素もしくは窒素化合物ガスの他に窒素を含まない別のガスを混合することが可能であるが、酸素を混合する場合には熱処理中の酸化物生成による磁気特性の劣化を避けるために、酸素分圧を0.02気圧以下にすることが望ましい。
【0022】
また、前記合金粉末の調製過程においてRN等の窒素化合物を原料として用い、固相反応により調製することによってA元素として窒素を含有させることも可能である。得られたA元素として窒素を含有する合金粉末は、300〜1000℃の不活性ガス雰囲気また真空中で0.1〜100時間熱処理することにより保磁力を大幅に改善することが可能である。ただし、前述したように合金粉末を予め窒化するために熱処理を施す場合には前記保磁力が同様に改善される。また、次に述べるホットプレスや熱間塑性変形加工を行う場合にも、前記熱処理を省略することができる。
【0023】
次に、前述した方法により製造された本発明に係わる磁性材料粉末から永久磁石を製造する方法を説明する。
前記磁性材料粉末をホットプレスまたは熱間静水圧プレス(HIP)により高密度の成形体として一体化することにより永久磁石を製造する。前記加圧時に磁場を印加して結晶方位を揃えることにより高磁束密度を有する永久磁石を製造できる。また、前記加圧後に300〜700℃の温度下で加圧しながら塑性変形加工を施すことにより磁化容易軸方向にに磁気的な配向がなされた永久磁石を製造することが可能になる。
【0024】
また、前記永久磁石は前記合金粉末を焼結することによっても製造される。
さらに、永久磁石の一つであるボンド磁石は前記合金粉末をエポキシ樹脂、ナイロン系などの樹脂と混合した後、成形する方法が採用される。成形法としては、樹脂がエポキシ樹脂系熱硬化性樹脂である場合には、圧縮成形の後に100〜200℃の温度でキュア処理を施し、ナイロン系の熱可塑性樹脂の場合には、射出成形を用いればよい。この他、低融点金属または低融点合金をバインダとしてメタルボンド磁石を製造することも可能である。
【0025】
また、本発明に係わる別の磁性材料は一般式
R1x R2yz Cou Fe100-u-y-z (II)
(ここで、R1はYを含む希土類元素から選ばれる少なくとも1種の元素、R2はZr、HfおよびScの群から選ばれる少なくとも1種の元素、AはH、N、CおよびPの群から選ばれる少なくとも1種の元素、x、y、zおよびuは原子%でそれぞれ2≦x、0≦y、4≦x+y≦20、0.01≦z≦20、0≦uを示す)にて表され、主相がTbCu7 型結晶構造を有し、TbCu7 型結晶構造の格子定数比c/aが0.862以上で、かつ主相の単位胞の体積が0.270nm3 以上であることを特徴とするものである。
【0026】
前記一般式(II)の磁性材料を構成する各成分の働きおよび各成分の配合量を規定した理由は、前記一般式(I) の磁性材料と同様である。
本発明に係わる別の磁性材料は、前記CoおよびFeの一部をM元素(MはSi、Ti、Al、Ge、V、Ta、Mo、Nb、Cr、W、Mn、Cu、AgおよびNiの群から選ばれる1種以上の元素)で置換することを許容する。
【0027】
TbCu7 型結晶構造を有する相中のCoおよびFe濃度は、その相の飽和磁束密度を増大させ、その結果優れた磁気特性を持つ磁性材料が得られる。このような効果は、前記格子定数c/aが0.862以上の場合に著しい。前記格子定数c/aが0.862以上である場合、その主相の単位胞の体積が0.270nm3 以上にすることにより化合物の熱分解が抑制される。特に、主相の単位胞の体積は0.276nm3 以上であることが好ましい。
本発明に係わる別の磁性材料は、前述した一般式(II)の磁性材料で説明したのと同様な方法により製造される。
【0028】
【作用】
従来、Th2 Zn17型結晶構造、Th2 Ni17型結晶構造、ThMn12型結晶構造およびTbCu7 型結晶構造を有する相を主相とする化合物に窒素等の侵入型元素を導入すると、導入前に比較して結晶格子が拡大し、磁性原子間の距離の増大や電子帯構造変化等によって磁気的相互作用が強められることが知られている。また、侵入型元素の導入によって、希土類の4f電子軌道の形状が変化し、そのため希土類元素を適当に選ぶことによって磁気異方性の増大が得られることが知られている。しかしながら、これまでに知られている侵入型元素含有ThMn12相、TbCu7 相は、高温度にすると前記相が分解し、α−Feを大量に析出し、磁気特性が著しく劣化する。前記分解が開始する温度は、Th2 Zn17相窒化物を例に挙げると、Sm2 Fe17窒化物で約500℃、ThMn12相窒化物の場合、RFe11Ti1 窒化物(R;Pr、Nd、Sm)で約450℃、RFe10Mo2 窒化物で550℃である。
【0029】
このような分解の原因の一つとして、侵入型元素含有化合物の単位胞体積があげられる。希土類遷移金属化合物は、元来、希土類元素−希土類元素、遷移金属−遷移金属、希土類元素−遷移金属等の原子間結合にそれぞれ最適距離が存在し、結晶全体でのエネルギー的バランスの上で安定構造を実現している。これに対し、侵入型元素を含有する化合物の場合には、例えば結晶相を有する化合物に窒化処理を施すと、窒素原子が同結晶構造のネットワーク形成に部分的に寄与するが、同時に希土類元素−希土類元素、遷移金属−遷移金属、希土類元素−遷移金属等の原子間距離を拡大させ、それに伴うエネルギー損が生じる。その結果、窒化物の温度安定性が窒化前に比較して著しく劣化するということが起こる。
【0030】
窒素のような侵入型元素を結晶格子中に侵入させた場合、侵入させる前の単位胞体積が小さいと、侵入に伴う体積膨張率が大きくなる。このような体積膨脹率が大きい場合、結晶全体に大きなエネルギー変化を誘発し、その結果窒化物の熱安定性が著しく劣化する。
【0031】
本発明者らは、TbCu7 型結晶構造を有する相を主相とし、侵入型元素を含有する化合物の熱分解温度と単位胞体積との関係を調べた。その結果を図1に示す。図1から明らかなように単位胞体積が0.270nm3 付近を境に単位胞体積の増大に伴い熱分解温度が上昇し、その効果は0.276nm3 以上の時に顕著である。すなわち、侵入型元素を含有する化合物の単位胞体積が0.276nm3 以上の時、侵入型元素の侵入に伴う体積膨脹率が小さく、その結果侵入型元素含有化合物の熱安定性が著しく改善される。
【0032】
TbCu7 相の単位胞体積は、その相の格子定数をa、cとした時、a2 cに比例する。このため、前記格子定数比c/aが大きい場合、その単位胞体積は小さくなる。この場合も熱安定性の観点から、その主相の単位胞の体積が0.276nm3 以上であることが好ましいが、0.270〜0.276nm3 であっても0.270nm3 未満の場合に比べて熱安定性が大きく改善される。前記格子定数比c/aが0.862以上で、主相の単位胞の体積が0.270nm3 以上にすることによって、優れた磁気特性と優れた熱安定性を有する磁性材料を実現できる。
【0033】
以上のような本発明に係わる磁性材料は、TbCu7 相を主相とし、侵入型元素を含有することにより優れた磁気特性を有すると共に、優れた熱安定性を有する。したがって、前記熱安定性の改善により高温でのホットプレスを行うことが可能になるため、より緻密化された磁気特性の優れた永久磁石を得ることができる。また、前記熱安定性の改善は永久磁石の高保磁力化の観点からも有利である。
【0034】
【実施例】
以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
実施例1,2、参照例1
まず、高純度のLa、Nd、Sm、Zr、Mo、Nb、Fe、Coの粉末を所定量調合し、Ar雰囲気中でアーク溶解して各インゴットを調製した。つづいて、各インゴットをArガス雰囲気中で溶融し、これら溶融物を40m/sの周速で回転する直径300mmの銅ロールにそれぞれ噴射する単ロール法により合金薄帯を作製した。ひきつづき、前記各合金薄帯を400℃、1時間、真空中で熱処理を施した後、乳鉢を用いて平均粒径10〜30μmに粉砕した。次いで、これら粉末を成形金型に充填し、1気圧のArガス雰囲気中、250℃の温度下で2時間活性化した後、1気圧の窒素ガス雰囲気中、下記表1に示す温度で2時間熱処理を施した。前記熱処理後の各試料の組成を下記表1に示す。
【0035】
比較例1
まず、高純度のNd、Sm、Ti、Fe、Coの粉末を所定の割合で調合し、Ar雰囲気中でアーク溶解して各インゴットを調製した。つづいて、各インゴットを実施例1〜5と同様に粉砕した後、窒素ガス雰囲気中、下記表1に示す温度で2時間熱処理を行った。得られた各インゴットの組成を下記表1に示す。
【0036】
実施例1,2、参照例1および比較例1により得られた各試料の結晶構造をX線回折法により測定した。その結果、実施例1,2、参照例1および比較例1の試料はいずれもTbCu7型結晶構造が主相であることを確認した。また、実施例1,2、参照例1および比較例1のTbCu7相の単位胞体積および格子定数比c/aを測定した。さらに、前記各試料の熱分解温度を測定した。これらの結果を下記表2に示す。なお、熱分解温度は試料を真空中で1時間熱処理した場合、α−Feの析出量が50wt%を越えた時の温度として定義した。
【0037】
【表1】
Figure 0003779338
【0038】
【表2】
Figure 0003779338
【0039】
また、実施例1,2、参照例1の各試料粉末を温度620℃、圧力200MPaの条件でホットプレスを行うことにより3種の永久磁石をそれぞれ製造した。これらの永久磁石の保磁力、残留磁束密度および最大エネルギー積を測定した。その結果、いずれの磁石も保磁力が400〜570kA/m、残留磁束密度が0.6〜0.8T、最大エネルギー積が63〜78kJ/m3と優れた磁気特性を有することが確認された。
【0040】
実施例3および参照例2
まず、高純度のLa、Sm、Zr、Mo、Fe、Coの粉末を所定量調合し、Ar雰囲気中でアーク溶解した後、鋳型に注入して各インゴットを調製した。つづいて、これらインゴットから実施例1と同様な方法により合金薄帯を作製し、粉砕して粉末を得た。次いで、これら粉末を成形金型に充填し、1気圧のArガス雰囲気中、250℃の温度下で2時間活性化した後、1気圧の窒素ガス雰囲気中、下記表3に示す温度で2時間熱処理を施した。前記熱処理後の各試料の組成を下記表3に示す。
【0041】
実施例3および参照例2により得られた各試料の結晶構造をX線回折法により測定した。その結果、実施例3および参照例2の試料はいずれもTbCu7型結晶構造が主相であることを確認した。また、実施例3および参照例2のTbCu7相の単位胞体積および格子定数比c/aを測定した。さらに、前記各試料の熱分解温度を測定した。これらの結果を下記表4に示す。
【0042】
【表3】
Figure 0003779338
【0043】
【表4】
Figure 0003779338
【0044】
また、実施例3および参照例2の各試料粉末を温度600℃、圧力250MPaの条件でホットプレスを行うことにより2種の永久磁石をそれぞれ製造した。これらの永久磁石の保磁力、残留磁束密度および最大エネルギー積を測定した。その結果、いずれの磁石も保磁力が450〜600kA/m、残留磁束密度が0.6〜0.8T、最大エネルギー積が65〜80kJ/m3と優れた磁気特性を有することが確認された。
【0045】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によればTbCu7 型結晶構造を有する相を主相とし、組成中にN、C、Pのうちの1種以上の侵入型元素を含有させることにより主相の磁気特性を向上し、かつ主相の単位胞体積を大きくすることにより熱安定性を改善でき、ひいてはホットプレス等が可能になり、一層緻密化された磁気特性の優れた永久磁石の素材等に有効な磁性材料を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】TbCu7 相の単位胞体積とそのTbCu7 相を主相とする磁性材料の熱分解温度の関係を示す特性図。

Claims (3)

  1. 下記一般式(I)にて表される磁性材料粉末の製造方法において、
    下記一般式(I)におけるR1、R2、Co、Fe元素からなる合金溶湯の急冷、粉砕により合金粉末を得る工程、
    前記合金粉末を0.001〜10気圧の窒素ガス雰囲気中または窒素化合物ガス雰囲気中300〜800℃で0.1〜100時間の熱処理により窒素を含有させる工程により得られ、主相がTbCu7型結晶構造を有し、かつ主相の単位胞の体積が0.276nm3以上であることを特徴とする磁性材料粉末の製造方法
    R1xR2yzCouFe100-u-y-z (I)
    ここで、R1はYを含む希土類元素から選ばれる少なくとも1種の元素で、その元素中にSm、Nd、Prが総量で50%以上含む、R2はZr、HfおよびScの群から選ばれる少なくとも1種の元素、AはN単独、x、y、zおよびuは原子%でそれぞれ2≦x、0<y、4≦x+y≦20、0.01≦z≦20、0≦uを示す。
  2. 下記一般式( II )にて表される磁性材料粉末の製造方法において、
    下記一般式( II )におけるR1、R2、Co、Fe元素からなる合金溶湯の急冷、粉砕により合金粉末を得る工程、
    前記合金粉末を0.001〜10気圧の窒素ガス雰囲気中または窒素化合物ガス雰囲気中300〜800℃で0.1〜100時間の熱処理により窒素を含有させる工程により得られ、主相がTbCu7 型結晶構造を有し、TbCu7 型結晶構造の格子定数比c/aが0.862以上で、かつ主相の単位胞の体積が0.270〜0.276nm3 であることを特徴とする磁性材料粉末の製造方法
    R1x R2y z Cou Fe100-u-y-z (II)
    ここで、R1はYを含む希土類元素から選ばれる少なくとも1種の元素で、その元素中にSm、Nd、Prが総量で50%以上含む、R2はZr、HfおよびScの群から選ばれる少なくとも1種の元素、AはN単独、x、y、zおよびuは原子%でそれぞれ2≦x、0<y、4≦x+y≦20、0.01≦z≦20、0≦uを示す。
  3. 請求項1または2記載の磁性材料粉末とバインダとを混合し、この混合物を所望形状に成形してなることを特徴とするボンド磁石の製造方法
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