JP3248942B2 - 冷却ロール、永久磁石材料の製造方法、永久磁石材料および永久磁石材料粉末 - Google Patents

冷却ロール、永久磁石材料の製造方法、永久磁石材料および永久磁石材料粉末

Info

Publication number
JP3248942B2
JP3248942B2 JP09702392A JP9702392A JP3248942B2 JP 3248942 B2 JP3248942 B2 JP 3248942B2 JP 09702392 A JP09702392 A JP 09702392A JP 9702392 A JP9702392 A JP 9702392A JP 3248942 B2 JP3248942 B2 JP 3248942B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cooling roll
permanent magnet
cooling
magnet material
roll
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP09702392A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH05269549A (ja
Inventor
亮 福野
英樹 中村
哲人 米山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TDK Corp filed Critical TDK Corp
Priority to JP09702392A priority Critical patent/JP3248942B2/ja
Priority to US07/878,523 priority patent/US5665177A/en
Publication of JPH05269549A publication Critical patent/JPH05269549A/ja
Priority to US08/835,814 priority patent/US5993939A/en
Application granted granted Critical
Publication of JP3248942B2 publication Critical patent/JP3248942B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B22CASTING; POWDER METALLURGY
    • B22DCASTING OF METALS; CASTING OF OTHER SUBSTANCES BY THE SAME PROCESSES OR DEVICES
    • B22D11/00Continuous casting of metals, i.e. casting in indefinite lengths
    • B22D11/06Continuous casting of metals, i.e. casting in indefinite lengths into moulds with travelling walls, e.g. with rolls, plates, belts, caterpillars
    • B22D11/0611Continuous casting of metals, i.e. casting in indefinite lengths into moulds with travelling walls, e.g. with rolls, plates, belts, caterpillars formed by a single casting wheel, e.g. for casting amorphous metal strips or wires
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F1/00Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties
    • H01F1/01Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
    • H01F1/03Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity
    • H01F1/032Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of hard-magnetic materials
    • H01F1/04Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of hard-magnetic materials metals or alloys
    • H01F1/047Alloys characterised by their composition
    • H01F1/053Alloys characterised by their composition containing rare earth metals
    • H01F1/055Alloys characterised by their composition containing rare earth metals and magnetic transition metals, e.g. SmCo5
    • H01F1/057Alloys characterised by their composition containing rare earth metals and magnetic transition metals, e.g. SmCo5 and IIIa elements, e.g. Nd2Fe14B
    • H01F1/0571Alloys characterised by their composition containing rare earth metals and magnetic transition metals, e.g. SmCo5 and IIIa elements, e.g. Nd2Fe14B in the form of particles, e.g. rapid quenched powders or ribbon flakes
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC
    • Y10STECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10S428/00Stock material or miscellaneous articles
    • Y10S428/90Magnetic feature
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC
    • Y10TTECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER US CLASSIFICATION
    • Y10T428/00Stock material or miscellaneous articles
    • Y10T428/24Structurally defined web or sheet [e.g., overall dimension, etc.]
    • Y10T428/24479Structurally defined web or sheet [e.g., overall dimension, etc.] including variation in thickness
    • Y10T428/2457Parallel ribs and/or grooves
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC
    • Y10TTECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER US CLASSIFICATION
    • Y10T428/00Stock material or miscellaneous articles
    • Y10T428/31Surface property or characteristic of web, sheet or block

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、R(RはYを含む希土
類元素である。以下同じ。)と、FeまたはFeおよび
Coと、Bとを含むR−Fe−B系の永久磁石材料を、
急冷法により製造するための冷却ロールと、この冷却ロ
ールを用いて永久磁石材料を製造する方法と、永久磁石
材料と、永久磁石材料粉末とに関する。
【0002】
【従来の技術】高性能を有する希土類磁石としては、粉
末冶金法によるSm−Co系磁石でエネルギー積32MG
Oeのものが量産されている。しかし、このものはSm、
Coの原料価格が高いという欠点を有する。希土類元素
の中では原子量の小さい元素、例えば、セリウムやプラ
セオジム、ネオジムは、サマリウムよりも豊富にあり価
格が安い。また、FeはCoに比べ安価である。そこ
で、近年、Nd−Fe−B等のR−Fe−B系磁石が開
発され、特開昭60−9852号公報では高速急冷法に
よるものが開示されている。
【0003】高速急冷法は、金属の溶湯を冷却基体表面
に衝突させて急冷し、薄帯状、薄片状、粉末状などの金
属を得る方法であり、冷却基体の種類により、片ロール
法、双ロール法、ディスク法等に分類される。これらの
高速急冷法のうち、片ロール法では冷却基体として1個
の冷却ロールを用いる。そして、溶湯状の合金をノズル
から射出し、ノズルに対して回転している冷却ロールの
周面に衝突させ、冷却ロール周面と接触させることによ
り合金を一方向から冷却し、通常、薄帯状の急冷合金を
得る。合金の冷却速度は、通常、冷却ロールの周速度に
より制御される。片ロール法は、機械的に制御する部分
が少なく安定性が高く、経済的であり、また、保守も容
易であるため汎用されている。双ロール法は、一対の冷
却ロールを用い、これらの冷却ロール間に溶湯状の合金
を挟んで対向する二方向から冷却する方法である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】片ロール法では、一般
に、冷却ロール表面に接触する側(以下、ロール面側と
いう。)の冷却速度を最適範囲に設定すると、その反対
側(以下、フリー面側という。)の冷却速度が不十分と
なり、ロール面側では好ましい結晶粒径となるが、フリ
ー面側では粗大粒となって高い保磁力が得られなくな
る。
【0005】一方、フリー面側の結晶粒径が好ましい範
囲となるように冷却すると、ロール面側の冷却速度が極
端に大きくなり、ロール面側は殆どアモルファス状態と
なって高い磁気特性が得られなくなる。
【0006】このため、従来は急冷合金全体として好ま
しい粒径の結晶粒が最も多くなるように冷却ロールの周
速度を設定し、これを最適周速度としている。
【0007】しかし、上記のようにして決定された最適
周速度は極めて狭い範囲となり、合金の組成や冷却ロー
ルの材質によっても異なるが、例えば25m/s を中心と
して±0.5〜2m/s 程度である。このため、周速度を
厳密に制御しなければならず、低コストにて量産するこ
とが困難である。
【0008】ところで、好ましい結晶粒径の領域の範囲
(冷却方向の厚さ)はほぼ一定であり、薄帯の厚さにあ
まり依存しないため、薄帯の厚さを薄くしたほうが薄帯
全体としての磁気特性は向上する。合金溶湯のノズルか
らの射出量が一定である場合、薄帯の厚さは冷却ロール
の周速度に依存するため、周速度を速くすれば薄い薄帯
が得られるが、上記したように合金の組成により最適周
速度が決まっているので、周速度を速くして薄帯の厚さ
を減少させるためには冷却ロール自体を換える必要があ
り、実用的ではない。
【0009】一方、合金溶湯の射出量を少なくすれば薄
帯の厚さは減少するが、R−Fe−B系合金の溶湯はノ
ズル構成材料と反応し易いため、連続使用したときにノ
ズルが閉塞し易い。このため、工業的に量産する場合、
ノズル径をむやみに細くすることはできない。
【0010】さらに、上記の最適周速度で冷却を行なっ
た場合でも、ロール面側とフリー面側とでは結晶粒径に
10倍程度前後の差が生じ、好ましい結晶粒径が得られ
る領域が極めて狭くなってしまい、急冷合金の冷却方向
で各種磁気特性が不均一となってしまう。
【0011】このため、急冷合金を粉砕したとき、得ら
れる磁石粉末中には高磁気特性の磁石粒子と低磁気特性
の磁石粒子とが混在することになり、この磁石粉末を樹
脂バインダ中に分散しボンディッド磁石とした場合、磁
石全体として高磁気特性が得られない。
【0012】一方、双ロール法ではフリー面が存在しな
いので、薄帯の対向する表面での結晶粒径はほぼ同等と
なる。しかし、ロール面と薄帯中央付近では冷却速度が
違うため、片ロール法と同様に結晶粒径の違いが問題と
なる。
【0013】このような事情から、本発明者らは特願平
2−131492号において、磁気特性の周速度依存性
を低くするための冷却ロールとして、周面の中心線平均
粗さRa を所定範囲に設定した冷却ロールを提案してい
る。
【0014】また、特願平2−163355号では、ロ
ール面側の冷却速度とフリー面側の冷却速度との差を小
さくするために、銅や銅合金等の冷却ロールにCr等か
らなる表面層を設けて、合金溶湯冷却の際の冷却ロール
における熱移動を制御し、さらに、表面層の厚さを最適
範囲に設定することを提案している。
【0015】本発明は、上記各提案をさらに改良し、よ
り均一な結晶粒径のR−Fe−B系永久磁石材料を製造
できる手段を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(12)の本発明により達成される。 (1) R(ただし、RはYを含む希土類元素の1種以
上である。)と、FeまたはFeおよびCoと、Bとを
含有する合金溶湯を冷却して永久磁石材料を製造するた
めの冷却ロールであって、基材と、この基材周面の少な
くとも合金溶湯の接触する領域に形成されたCr表面層
とを有し、前記基材の熱伝導度が前記Cr表面層の熱伝
導度より高く、周方向に延びる溝を周面に有し、軸を含
む任意の断面において、少なくとも合金溶湯が接触する
領域での隣り合う溝同士の距離の平均が100〜300
μm であり、かつ軸を含む断面における溝の断面形成の
凸部と凹部とが滑らかにつながっており、前記基材の周
面に前記溝を形成した後、前記Cr表面層を形成したも
のであり、片ロール法に用いられ、製造される永久磁石
材料の厚さが10〜60μm であり、少なくとも合金溶
湯が接触する領域における周面の中心線平均粗さ(Ra
)が0.07〜5μm であり、少なくとも合金溶湯が
接触する領域での前記溝の深さの平均が1〜50μm で
ある冷却ロール。 (2) 軸を含む断面における溝の断面形状がサインカ
ーブ状である上記(1)の冷却ロール。 (3) 前記溝が螺旋状に形成されている上記(1)ま
たは(2)に記載の冷却ロール。 (4) 前記Cr表面層の厚さが、10〜100μm で
ある上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の冷却ロ
ール。 (5) 上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の冷
却ロールの周面に、ノズルから合金溶湯を吐出して冷却
する工程を有することを特徴とする永久磁石材料の製造
方法。 (6) 前記冷却ロールをその軸がほぼ水平となるよう
に配設し、片ロール法により前記合金溶湯を冷却する方
法であって、ノズルの中心および冷却ロールの軸を含む
平面の冷却ロール回転方向先側に合金溶湯を吐出し、合
金溶湯が冷却ロール周面に衝突する位置をA、ノズルの
中心をBとしたとき、Aにおける周面の接面と直線AB
とがなす角度φを45〜78°とし、Bを通る鉛直線と
冷却ロール周面との交わる位置をCとしたとき、直線B
Cの長さを1〜7mmとし、冷却時の雰囲気圧力を90To
rr以下とし、ノズル内における合金溶湯の上面と下面と
の圧力差を0.1〜0.5kgf/cm2として合金溶湯の冷
却を行なう上記(5)に記載の永久磁石材料の製造方
法。 (7) 上記(5)または(6)に記載の永久磁石材料
の製造方法によって得られた、長さ方向に延びる凸条を
少なくとも一方の主面に有し、隣り合う凸条同士の距離
の平均が100〜300μm である永久磁石材料。 (8) 前記凸条を有する主面の中心線平均粗さ(Ra
)が0.05〜4.5μm である上記(7)に記載の
永久磁石材料。 (9) 前記凸条の高さの平均が0.7〜30μm であ
る上記(7)または(8)に記載の永久磁石材料。 (10) 任意の位置で測定された厚さの標準偏差が4
μm 以下である上記(7)ないし(9)のいずれかに記
載の永久磁石材料。 (11) 上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の
冷却ロールを用い製造された上記(7)ないし(10)
のいずれかに記載の永久磁石材料。 (12) 上記(7)ないし(11)のいずれかに記載
の永久磁石材料を粉砕して製造されたことを特徴とする
永久磁石材料粉末。
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【作用および効果】片ロール法および双ロール法では、
冷却ロールの周速度が速くなるほど合金の冷却速度は増
加する。これは、周速度が速くなると、単位時間あたり
に供給される冷却ロール表面積が増加するためである。
一方、冷却ロール周面に凹凸が存在すると、冷却ロール
周面と接触した合金溶湯は、冷却ロール周面の凸部とは
密着するが凹部との密着性が低く、周速度が速くなるほ
ど凹部との密着性はさらに低下する。このため、周速度
が速いほど冷却ロール周面と合金との接触面積が小さく
なり、周面が平滑な冷却ロールに比べ冷却速度は低下す
る。
【0031】従って、合金溶湯の冷却速度は、供給され
る冷却ロール表面積の増大による冷却速度増加と、冷却
ロール周面の表面粗さに依存する冷却速度低下とが総合
された結果となるので、冷却ロール周面の表面粗さが異
なると、周速度が一定であっても冷却速度が変わること
になる。
【0032】本発明の冷却ロールは、周方向に延びる溝
を所定のピッチで有するため、供給される冷却ロール表
面積の増大による冷却速度増加と、冷却ロール周面の表
面粗さに依存する冷却速度低下とがほぼ釣り合うので、
周速度が変化しても合金の冷却速度は殆ど変わらず、し
かも、位置による冷却速度のバラツキも殆どない。
【0033】このため、本発明により得られる永久磁石
材料は、冷却ロールの周速度が変動しても結晶粒径が殆
ど変化せず、磁気特性の周速度依存性が極めて低い。ま
た、溝間距離が揃っているため、主面内における結晶粒
径のバラツキが極めて小さい。従って、冷却ロールの周
速度管理を厳密にする必要がなく、また装置の実用的な
寿命も伸び、特性バラツキの小さい永久磁石材料を低コ
ストで安定して量産することができる。
【0034】さらに、広範囲の周速度にてほぼ一定の冷
却速度が得られるため、周速度変更により永久磁石材料
の厚さ変更を自在に行なうことができ、このときの磁気
特性変動が極めて小さい。従って、合金溶湯射出ノズル
径を細くすることなく薄い永久磁石材料が得られ、好ま
しい粒径の結晶粒の含有率が高い永久磁石材料を、量産
性高く製造することができる。
【0035】また、最適周速度にて同じ厚さの永久磁石
材料を製造する場合でも、本発明の冷却ロールを用いる
ことにより高い磁気特性が得られる。
【0036】
【具体的構成】以下、本発明の具体的構成について詳細
に説明する。
【0037】本発明では、R(ただし、RはYを含む希
土類元素の1種以上である。)と、FeまたはFeおよ
びCoと、Bとを含有する溶湯状の合金をノズルから射
出し、ノズルに対して回転している冷却ロールの周面と
接触させることにより前記合金を冷却して永久磁石材料
を製造する。すなわち、本発明では、合金溶湯の急冷に
片ロール法または双ロール法を用いる。
【0038】<冷却ロール周面の溝>図1に示されるよ
うに、本発明の冷却ロール13は周面に溝を有する。周
面の溝は周方向に延びており、冷却ロールの軸を含む任
意の断面において、少なくとも合金溶湯が接触する領域
での隣り合う溝同士の距離Diの平均が100〜300
μm である。距離Diの平均が前記範囲未満であると、
溝内に合金溶湯が侵入しにくくなる。このため、合金溶
湯が均一に冷却されなくなり、また、冷却速度の変動を
抑制する効果が著しく低下する。距離Diが前記範囲を
超えている場合、周速度が高くなっても溝部での密着性
が低下しないため、やはり冷却速度制御効果が低くな
る。なお、全ての溝について距離Diが前記範囲である
ことが好ましく、全ての溝について距離Diが同一であ
ることがより好ましい。
【0039】本明細書において溝が周方向に延びている
とは、溝の方向と周方向とが一致している場合に限ら
ず、これらが交わっていてもよい。例えば、冷却ロール
周面の幅方向にバイトを移動させながら冷却ロールを回
転させて切削加工した場合、螺旋状の溝が形成され、溝
の方向と周方向とは一致しない。溝の方向と周方向との
なす角度は、好ましくは30°以下とする。上記した方
法で螺旋状の溝を形成した場合、前記角度は、通常、3
°以下となる。
【0040】また、上記した切削加工では、連続した1
本の溝が所定のピッチで周面に形成されるが、本発明で
は複数本の溝が形成されていてもよく、また、周面を1
周する連続溝ではなく断続した溝であってもよく、ま
た、溝が蛇行していてもよい。
【0041】合金溶湯が接触する領域の溝の深さDdの
平均は、1〜50μm であることが好ましい。深さDd
の平均が前記範囲を外れる場合、特に前記範囲を超える
深さとした場合には、冷却速度制御効果が不十分とな
る。なお、全ての溝について深さDdが前記範囲である
ことが好ましく、全ての溝について深さDdが実質的に
等しいことがより好ましい。
【0042】冷却ロールの軸を含む断面における溝の断
面形状は特に限定されないが、合金溶湯の密着性制御効
果が良好なのは、断面形状がサインカーブ状である場
合、すなわち、凸部と凹部とが矩形状ではなく滑らかに
つながっている場合である。なお、溝の断面形状は、触
針式表面粗さ計などにより確認することができる。
【0043】冷却ロールに溝を形成する方法は特に限定
されず、各種の機械加工法や、化学エッチング法などか
ら適宜選択すればよいが、機械加工としては、溝間距離
の精度を高くできることから上記したような切削加工が
好ましい。
【0044】<冷却ロール周面の表面粗さ>冷却ロール
の合金溶湯と接触する周面の中心線平均粗さ(Ra )
は、0.07〜5μm 、特に0.15〜4μm であるこ
とが好ましい。冷却ロール周面のRaが前記範囲未満で
あると、周速度を増加させても冷却ロール周面と合金と
の密着性が低下せず、冷却速度の周速度依存性が高くな
ってしまう。冷却ロールのRaが前記範囲を超えると、
永久磁石材料の厚さに対して冷却ロール周面の表面粗さ
が無視できない程大きくなり、厚さが不均一になる傾向
にある。なお、中心線平均粗さ(Ra )は、JIS B 0601
に規定されている。
【0045】<冷却ロール表面層> 永久磁石材料の結晶粒径のバラツキをより小さくするた
めには、冷却ロールを、基材の表面にCr表面層を形成
した構成とする。この場合、Cr表面層の熱伝導度が基
材の熱伝導度より低くなるように基材を選択する。Cr
表面層の熱伝導度は、通常、0.6J/(cm・s・K)以下、
特に0.45J/(cm・s・K)以下である。なお、本明細書に
おける熱伝導度は、常温、常圧での値である。
【0046】Cr表面層のビッカース硬度Hv は、好ま
しくは500以上、より好ましくは600以上とする。
Hv が500未満であると、合金溶湯冷却時のCr表面
層の摩耗量が多くなってRa が変化してしまうため、ロ
ット間で磁気特性のバラツキが生じる。また、Cr表面
層のHv は、好ましくは1200以下、より好ましくは
1050以下とする。Hv が1200を超えると、合金
溶湯の冷却を繰り返し行なった場合に熱衝撃によりCr
表面層の割れや剥離が生じ、合金溶湯の冷却が実質的に
不可能になることがある。
【0047】Cr表面層の厚さは、10〜100μm 、
特に20〜50μm であることが好ましい。Cr表面層
の厚さが前記範囲内であれば、基材への熱移動が速やか
に行なわれ、その結果、主としてRプア相から構成され
る粒界相の析出が良好となり、高い残留磁束密度が得ら
れる。Cr表面層の厚さが前記範囲を外れると、このよ
うな効果は得られない。なお、前記範囲内における具体
的厚さの決定は、冷却ロールの寸法、冷却ロールと合金
溶湯との相対速度などの種々の条件を考慮して行なえば
よい。
【0048】Cr表面層の形成方法に特に制限はなく、
液相めっき、気相めっき、溶射等の種々の方法から選択
することができるが、ビッカース硬度の制御が容易であ
ることから、電気めっき法により形成することが好まし
い。電気めっき法においてCr表面層のビッカース硬度
を制御するためには、電流密度、めっき浴のCr源濃
度、めっき浴温度等の各種条件を制御すればよい。な
お、Cr表面層形成後、必要に応じてその表面を研磨し
てもよい。
【0049】このような表面層を有する冷却ロールを用
いて得られた永久磁石材料のロール面近傍は、Crを含
むことがある。このCrは高速急冷時に冷却ロール周面
から拡散されたものである。この場合、Cr含有量は、
ロール面から厚さ方向に20nm以下の範囲で、10〜5
00ppm 程度である。
【0050】冷却ロールの基材は、上記のような熱伝導
度の関係を満たす材質から構成されれば、その他特に制
限はなく選択することができる。例えば、銅、銅系合
金、銀、銀系合金等を用いることができ、融点の低い合
金の高速急冷に用いる場合にはアルミニウム、アルミニ
ウム系合金も用いることができるが、熱伝導度が高いこ
と、安価であることなどから、銅または銅系合金を用い
ることが好ましい。銅系合金としては、銅ベリリウム合
金等が好ましい。基材の熱伝導度は、1.4J/(cm・s・K)
以上であることが好ましく、より好ましくは2J/(cm・s・
K)以上、さらに好ましくは2.5J/(cm・s・K)以上であ
る。
【0051】なお、均一な厚さのCr表面層を得るため
には、基材の周面に溝を形成した後、液相めっきや気相
めっき、溶射等によりCr表面層を形成する。
【0052】<永久磁石材料>上述した冷却ロールによ
り冷却されて得られる永久磁石材料は、長さ方向に延び
る凸条を少なくとも一方の主面に有する。そして、隣り
合う凸条同士の距離の平均は、通常、100〜300μ
m となる。また、凸状の高さの平均は、溝の深さの平均
が前記範囲だった場合、通常、0.7〜30μm 程度と
なる。また、永久磁石材料のロール面のRa は、通常、
冷却ロール周面のRa 以下となる。これは、上記したよ
うに冷却ロールの周速度が増加するほど合金と冷却ロー
ルとの密着性が低下するためである。冷却ロール周面の
Ra が前記範囲だった場合、永久磁石材料のロール面の
Ra は冷却ロール周面のRa に対応して、0.05〜
4.5μm 、好ましくは0.13〜3.7μm となる。
【0053】なお、急冷後の永久磁石材料は、粒子径3
0〜700μm 程度まで粉砕されてボンディッド磁石な
どに適用される。粉末化した後でも、粒子のロール面を
観察することにより上記凸状を確認することができる。
【0054】上記した冷却ロールを用いて得られる永久
磁石材料では、高速急冷時に冷却ロールに接触した面
(ロール面)から永久磁石材料の厚さ方向に最も遠い領
域をDとし、ロール面の近傍領域をPとしたとき、Dに
おける平均結晶粒径dと、Pにおける平均結晶粒径pと
の関係を、d/p≦10、特にd/p≦4、さらにはd
/p≦2.5とすることができる。なお、d/pの下限
は通常1であるが、前述した冷却ロールを用いた場合、
特にCr表面層を有する冷却ロールを用いた場合には、
1.5≦d/p≦2程度の良好な値を容易に得ることが
できる。
【0055】これらの各領域における平均結晶粒径は、
以下のようにして算出する。永久磁石材料は、通常、薄
帯状、薄片状あるいは扁平粒子状として得られ、片ロー
ル法ではロール面およびそれと対向する面(フリー面)
が主面となり、双ロール法では対向する両ロール面が主
面となる。本明細書において永久磁石材料の厚さ方向と
は、この主面の法線方向を意味する。そして上記した領
域Dは、片ロール法ではフリー面近傍領域となり、双ロ
ール法では厚さ方向(冷却方向)中央付近となる。ま
た、領域Pはロール面近傍領域となる。この場合、領域
Dおよび領域Pの磁石厚さ方向の幅は、いずれも磁石厚
さの1/5とする。
【0056】上記した領域Dにおける平均結晶粒径d
は、0.01〜2μm 、特に0.02〜1.0μm であ
ることが好ましく、領域Pにおける平均結晶粒径pは、
0.005〜1μm 、特に0.01〜0.75μm であ
ることが好ましい。平均粒径がこの範囲未満であるとエ
ネルギー積が低下し、この範囲を超えると高い保磁力が
得られない。これらの領域中における平均結晶粒径の測
定は、走査型電子顕微鏡によって行なうことが好まし
い。
【0057】また、結晶粒界の幅は、領域Dにおいて
0.001〜0.1μm 、特に0.002〜0.05μ
m であることが好ましく、領域Pにおいて0.001〜
0.05μm 、特に0.002〜0.025μm である
ことが好ましい。結晶粒界の幅がこの範囲未満であると
高い保磁力が得られず、この範囲を超えると飽和磁束密
度が低下する。
【0058】なお、永久磁石材料の厚さは、10μm 以
上とすることが好ましい。厚さが10μm 未満となる
と、ボンディッド磁石にする際の粉末化工程およびその
ハンドリングにおいて不必要に表面積が増大し、酸化し
やすくなるからである。
【0059】片ロール法を用いる場合、永久磁石材料の
厚さは60μm 以下とすることが好ましい。このような
厚さとすることにより、ロール面側とフリー面側との平
均結晶粒径の差を小さくすることができる。また、上記
した冷却ロールを用いれば広い周速度範囲においてほぼ
一定の冷却速度が得られるため、合金溶湯の射出ノズル
の径を絞ることなく45μm 以下の厚さの薄帯状永久磁
石材料を得ることができる。
【0060】なお、永久磁石材料は、任意の位置で測定
された厚さの標準偏差が4μm 以下であることが好まし
い。厚さのバラツキが小さければ結晶粒径のバラツキも
小さくなるので、粉砕したときに、特性の揃った磁石粒
子からなる磁石粉末が得られる。また、厚さの均一な永
久磁石材料は粉砕効率が高いので、粒度分布の鋭い磁石
粉末が得られる。このため、高保磁力かつ高残留磁束密
度のボンディッド磁石が実現する。厚さの変動要因とし
ては、雰囲気ガスの巻き込みやノズルから合金溶湯を吐
出する際の圧力不足など、合金溶湯と冷却ロール周面と
の密着性の低下が挙げられるが、上記した溝を有する冷
却ロールを用いれば、合金溶湯と冷却ロール周面との接
触面積が増大して密着性が向上し、厚さの標準偏差が4
μm 以下の永久磁石材料が容易に得られる。
【0061】本発明の冷却ロールで冷却される合金溶湯
は、R(ただし、RはYを含む希土類元素の1種以上で
ある。)と、FeまたはFeおよびCoと、Bとを含有
するものであれば組成に特に制限はなく、どのような組
成であっても本発明の効果は実現する。そして、冷却に
より得られる永久磁石材料は、実質的に正方晶系の結晶
構造の主相のみを有するか、このような主相と、非晶質
および/または結晶質の副相とを有するものである。R
−T−B化合物(TはFeおよび/またはCo)として
安定な正方晶化合物はR214B(R=11.76原子
%、T=82.36原子%、B=5.88原子%)であ
り、主相は実質的にこの化合物から形成される。また、
副相は、主相の結晶粒界として存在する。
【0062】<製造方法>本発明の冷却ロールを、常圧
程度の比較的高い圧力の雰囲気下で片ロール法に適用す
る場合の好ましい構成例を、図3に示す。
【0063】風防 冷却ロール13およびノズル12は不活性ガス雰囲気中
にあり、冷却ロール13は矢印方向に回転している。冷
却ロール13近傍の不活性ガスはその粘性により冷却ロ
ール回転方向の速度をもつガス流となっている。合金溶
湯11は、ノズル12から射出されて冷却ロール13の
周面に接触し、冷却されて薄帯状永久磁石材料112と
なり、冷却ロール13の回転方向に飛び去る。図中にお
いてノズル12の右側(回転方向の手前側)の冷却ロー
ル周面近傍には、風防2が設けられている。風防2は、
冷却ロール13周面に添って流れる前記した不活性ガス
流の少なくとも一部を遮断し、パドル(ノズル12先端
部と冷却ロール13周面との間に存在する合金溶湯の溜
り)113に前記ガス流が当たることを抑える。これに
より、冷却ロール周面と射出された合金溶湯との間に巻
き込まれる不活性ガス量を低減できる。
【0064】合金溶湯の冷却時に特に減圧をしない場合
には、このようにノズル12の手前に風防2を設け、合
金溶湯11から構成されるパドル113付近に前記ガス
流が当たることを防ぐことが好ましい。このような構成
により、合金と冷却ロール周面との間に不活性ガスが巻
き込まれることが著しく抑えられ、合金と冷却ロール周
面との密着性が向上してロール面の冷却速度の位置的な
ばらつきが減少し、また、フリー面側の結晶粒径のばら
つきも減少するので、微細で均一な結晶粒組織が得ら
れ、高い磁気特性を有する永久磁石が実現する。
【0065】風防2は、パドル113に達する前記ガス
流の少なくとも一部を遮断できるものであればその構成
に特に制限はないが、製造が容易でガス流遮断効果が高
いことから、板状体を用い、例えば図3に示されるよう
に形状加工して風防2とすることが好ましい。図3に示
される風防2は屈曲部を2箇所有し3つの平板部から構
成されている。板状の風防2が弾性を有する場合、最も
冷却ロールに近い平板部は、冷却ロール回転に伴なうガ
ス流を受けて風防2の少なくとも下部を冷却ロール周面
から浮上させる作用を有する。この平板部と冷却ロール
周面とのなす角度やこの平板部の面積を調整することに
より、浮上量、すなわち風防と冷却ロール周面との距離
を制御することが可能である。ただし、剛性の高い風防
を用いて、冷却ロールの回転によらず風防と冷却ロール
との距離を一定に保つ構成としてもよい。
【0066】また、図3に示される構成の風防の他、以
下に示すような構成の風防が好ましい。例えば、図3に
示される構成の風防の幅方向端部に冷却ロール側面の少
なくとも一部を覆うような側板を設け、好ましくはパド
ル113近傍の冷却ロール側面までこの側板で覆い、パ
ドル側面付近から流入するガス流の少なくとも一部を遮
断する構成としてもよい。また、縦方向や横方向に湾曲
した風防、例えば断面U字形の風防をパドルを取り囲む
ように設けてガス流を整流し、パドル付近へのガス流の
巻き込みを抑える構成としてもよい。
【0067】風防2と冷却ロール周面との距離は特に限
定されず、風防の位置や冷却ロール13の周速度などに
応じて適宜設定すればよいが、冷却ロール回転に伴なっ
て発生するガス流の速度は冷却ロール周面で最も高く、
周面から離れるに従って急激に減少するので、前記ガス
流を効果的に遮断するためには、冷却ロール回転時にお
ける前記距離を5mm以下、特に3mm以下とすることが好
ましい。また、前記距離の下限は特にないが、冷却ロー
ル周面の凹凸や冷却ロールの偏心などによって冷却ロー
ル回転時に風防と冷却ロール周面とが接触することがあ
るので、これを避けるために、前記距離は0.1mm以
上、特に0.2mm以上とすることが好ましい。なお、前
記距離は風防の幅方向に亙って一定とすることが好まし
いが、前記範囲内であれば、場所によって異なっていて
もよい。
【0068】また、風防の幅(冷却ロール周面の幅方向
における風防の端部間距離)は特に限定されないが、冷
却ロール周面の幅以上とすることが好ましく、特に冷却
ロール周面の幅よりも10%程度長くすることが好まし
い。
【0069】風防の高さにも特に制限はない。すなわ
ち、遮断すべきガス流の様相は冷却ロールの周速度など
により異なるので、必要に応じて高さを適宜設定すれば
よい。また、合金溶湯を収容したノズルも前記ガス流に
さらされるので、冷却され易いノズルを用いる場合に
は、ノズルに当たるガス流が遮断できるように風防の高
さを設定することが好ましい。ノズルの冷却を防止する
ことにより、溶湯温度を安定させてノズルからの溶湯吐
出量を安定させることができるので、長さ方向に均質な
永久磁石材料を得ることができ、また、ロット間での特
性差も少なくすることができる。
【0070】ノズルに対する風防の位置は特に限定され
ず、ガス流巻き込みを効果的に防止できるように冷却ロ
ールの寸法や周速度などに応じて適宜位置を設定すれば
よいが、通常、ノズル中心位置と風防との距離は、冷却
ロール周面に添って測った場合に150mm以下、特に7
0mm以下程度とすることが好ましい。
【0071】風防の材質は特に限定されない。すなわ
ち、各種金属や樹脂など、ガス流を遮断可能なものから
適宜選択すればよい。
【0072】吸気手段 本発明では、風防2とパドル113との間の冷却ロール
13周面近傍に、吸気手段を設けてもよい。吸気手段
は、パドル付近の雰囲気ガスを吸気して部分的に減圧す
る作用を果たし、合金溶湯と冷却ロール周面との間に巻
き込まれる雰囲気ガスの量をさらに低減させる。
【0073】吸気手段の構成は特に限定されないが、長
手方向が冷却ロール周面の幅方向であるようなスリット
状の吸気口を有するものを用いることが好ましい。この
ような吸気手段としては、例えば図3および図4に示さ
れる構成の吸気部材200を用いることが好ましい。図
4に示される吸気部材200は、円筒状の周壁201
と、この周壁201を貫通するスリット状吸気口202
とを有する。スリット状吸気口202の長手方向は吸気
部材の軸、すなわち円筒状の周壁201の軸とほぼ平行
である。円筒状の周壁201の一方の端部(図示例で
は、紙面の表側に存在する。)は閉塞されており、他方
の端部には、連通孔203を介して周壁201内に連通
するガス管204が接続され、このガス管204の他端
には図示しないポンプが接続されている。ポンプの駆動
により雰囲気ガスはスリット状吸気口202から吸入さ
れ、スリット状吸気口202の近傍は減圧される。
【0074】このような吸気部材200は、吸気部材の
軸と前記冷却ロールの軸とがほぼ平行となるように冷却
ロール近傍に配置される。そして、吸気部材200を、
その軸がほぼ回転中心となるように回転させたり、吸気
部材200のパドル113に対する位置を変更したり、
雰囲気ガスの吸気量を変更したりすることにより、パド
ル付近の減圧度を制御することができる。
【0075】吸気手段の効果は、吸気口形状やその寸
法、単位時間当たりの吸気量等によって異なるので、ス
リット状吸気口の位置は特に限定されず、所望の効果が
得られるように実験的に決定すればよいが、通常、吸気
口とノズルとの距離は冷却ロール周面に添って測った場
合に5〜70mm程度とすることが好ましく、吸気口と冷
却ロール周面との距離は0.1〜15mm程度とすること
が好ましい。
【0076】なお、風防および吸気手段に関する具体的
構成は、製造した永久磁石材料のロール面の凹凸や結晶
粒径等を調査して実験的に決定すればよい。
【0077】不活性ガス吹き付け 本発明では、冷却ロール周面に向かう方向に不活性ガス
流を吹き付けることにより、冷却ロール周面付近に存在
する合金を冷却ロール側に押し付け、合金と冷却ロール
周面との接触時間を延長させることが好ましい。
【0078】片ロール法では、回転する冷却ロール周面
に衝突した合金溶湯は、冷却ロール周面に引きずられる
ようにして薄帯状となって冷却され、次いで冷却ロール
周面から離れる。このような片ロール法において、合金
が十分に長く冷却ロール周面と接触していれば、ロール
面側とフリー面側とは共に冷却ロールへの熱伝導により
比較的均一に冷却される。すなわち、結晶粒径の均一な
急冷合金を得るためには、合金のロール面側がほぼ凝固
していてフリー面側が溶融状態にあるときに、合金が冷
却ロール周面と十分に接触していることが必要とされ
る。
【0079】しかし、溶湯状のR−Fe−B系合金は冷
却ロール周面に衝突後、速やかにロール周面から離れる
ため、ロール面側では主として冷却ロールへの熱伝導に
より冷却されるが、フリー面側では主として雰囲気中へ
の放熱により冷却されることになり、ロール面側とフリ
ー面側とで冷却速度が極端に違ってしまう。
【0080】そこで、上記方法により合金と冷却ロール
周面との接触時間を延長させれば、フリー面側の冷却に
おいて冷却ロールへの熱伝導に依存する割合が増加し、
ロール面側とフリー面側との冷却速度の差が著しく小さ
くなる。また、不活性ガスはフリー面側に吹き付けられ
るので、フリー面側の冷却速度はさらに向上する。従っ
て、ロール面側とフリー面側とで冷却速度の差が小さく
なる。また、冷却効率が向上するため、必要とされる冷
却ロールの回転速度が例えば5〜15%程度低くなり、
冷却装置の負担が少なくなる。
【0081】図3に、不活性ガス流を吹き付ける構成を
具体的に示す。図3に示す片ロール法では、合金溶湯1
1をノズル12から射出し、ノズル12に対して回転し
ている冷却ロール13の周面に衝突させ、冷却ロール1
3周面付近に存在する合金111を冷却ロール13周面
と接触させることにより、合金111を一方向から冷却
する。なお、冷却ロール13は、前述した基材131と
表面層132とから構成される。
【0082】そして、冷却ロール13周面に向かう方向
に不活性ガス流を吹き付けることにより、冷却ロール1
3周面付近に存在する合金111と冷却ロール13周面
との接触時間を延長させる。不活性ガス流を吹き付けな
い場合、冷却ロール13に衝突後の合金は、図中点線で
示したように冷却ロール13周面から離れ、合金と冷却
ロール周面との接触時間は短くなってしまう。
【0083】なお、合金111は、ノズル12からの距
離にもよるが、凝固体ないしは溶融体、あるいはこれら
が共に存在する状態であり、通常、ロール面側において
凝固体の割合が多く、フリー面側において溶融体の割合
が多い薄帯状である。
【0084】不活性ガス流を吹き付ける方向は、合金1
11を挟んで冷却ロール13周面に向かう方向であれば
特に制限はないが、図3中に矢印で示すように、不活性
ガス流の吹き付け方向と、冷却により得られる薄帯状永
久磁石材料112の進行方向との成す角度が鈍角となる
ように吹き付けることが好ましい。この角度は、100
〜160°程度であることが好ましい。これは、吹き付
けられた不活性ガスがパドル113に直接あたることを
防ぎ、パドルを定常状態に保つためである。パドルに不
活性ガスが直接吹き付けられると、パドルの一部が冷却
され、その部分の粘度が高くなり、パドルの形状が変わ
ってしまうこともある。このため、均一な厚さの合金薄
帯が得られなくなってしまう。なお、薄帯状永久磁石材
料112の進行方向とは、合金111が冷却ロール13
周面から離れる場所での冷却ロール周面の接線方向とほ
ぼ等しい。
【0085】また、冷却ロールに衝突した直後の合金
は、フリー面からかなり深い部分まで溶融状態であり、
この状態の合金にガスを吹き付けると、ガス流によりフ
リー面が波打ち状態になって均一な厚さの合金薄帯が得
られず、また、合金内での熱移動に遅速を生じ、結晶粒
径にばらつきを生じる。このため、冷却ロールに衝突し
た直後の合金に不活性ガスを吹き付けることは避けるこ
とが好ましい。
【0086】具体的には、合金に不活性ガスを吹き付け
る位置は、合金溶湯が冷却ロールに衝突する位置を起点
としてノズル12の径の5倍以上離れた位置であること
が好ましい。
【0087】また、パドルから極端に離れた位置では合
金のフリー面側が完全に凝固しているため、不活性ガス
を吹き付けても上記した効果は得られない。従って、冷
却ロールの直径等、他の条件にもよるが、例えば、合金
に不活性ガスを吹き付ける位置は、合金溶湯が冷却ロー
ルに衝突する位置を起点としてノズル12の径の50倍
以下離れた位置とすることが好ましい。なお、この場合
の不活性ガスを吹き付ける位置とは、不活性ガス流の中
心ではなく、ガス流のノズル12に近い側の端部とす
る。また、ノズルがスリット状である場合のノズル径と
は、冷却ロール回転方向に測った径とする。このように
不活性ガスを吹き付ける位置をノズル径に関連させて定
めるのは、ノズル径の大小によりパドルの状態や冷却効
率が変わり、合金の溶融状態がこれらに従って変わるた
めである。
【0088】不活性ガスの吹き付け方向、流量、流速、
噴射圧力等の各種条件に特に制限はなく、ノズル径、合
金溶湯の射出量、冷却ロールの寸法、冷却時の雰囲気等
の各種条件を考慮し、さらには実験的に、合金のロール
面側とフリー面側とで好ましい結晶粒径が得られるよう
に設定すればよいが、例えば、1気圧程度の不活性ガス
雰囲気中にて0.3〜5mm径程度のノズルから合金溶湯
を射出する場合、不活性ガスは長手方向が合金薄帯の幅
方向であるようなスリットから噴射されることが好まし
い。この場合、スリット幅は0.2〜2mm程度、スリッ
ト長手方向の寸法は合金薄帯幅の3倍以上、スリットと
冷却ロール周面との距離は0.2〜15mm程度であるこ
とが好ましい。また、噴射圧力は1〜9kg/cm2程度であ
ることが好ましい。スリットと冷却ロール周面との距離
が前記範囲未満となるとスリットと冷却ロール周面上の
合金とが接触することがある。また、前記距離が前記範
囲を超えると噴射された不活性ガスが拡散し、所定の効
果が得られにくくなり、また、パドルが冷却され易くな
る。
【0089】不活性ガスを吹き付けるための手段に特に
制限はないが、本発明では、上記したようなスリット状
等の不活性ガス噴射口を有する噴射部材を用いることが
好ましい。また、噴射部材を回転または移動することに
より、不活性ガス流の吹き付け位置、すなわち、不活性
ガス流のノズルに近い側の端部が合金に接触する位置を
変更することができる構成とすることが好ましい。
【0090】具体的には、図5に示されるような噴射部
材を用いることが好ましい。図5に示される噴射部材1
00は、円筒状の周壁101と、この周壁101を貫通
するスリット状噴射口102とを有する。スリット状噴
射口102の長手方向は噴射部材の軸、すなわち円筒状
の周壁101の軸とほぼ平行である。円筒状の周壁10
1の一方の端部(図示例では、紙面の表側に存在す
る。)は閉塞されており、他方の端部には、連通孔10
3を介して周壁101内に連通するガス管104が接続
され、これにより不活性ガスが噴射部材100内部に送
り込まれるように構成されている。噴射部材100内に
充填された不活性ガスは、スリット状噴射口102から
方向性をもって噴射される。
【0091】このような噴射部材100は、噴射部材の
軸と前記冷却ロールの軸とがほぼ平行となるように冷却
ロール近傍に配置される。そして、噴射部材100を、
その軸がほぼ回転中心となるように回転させることによ
り、不活性ガス流の吹き付け方向を自在に変更すること
ができる。
【0092】この態様にて製造された永久磁石材料は、
冷却時に吹き付けた不活性ガスが、ロール面近傍よりも
フリー面近傍により多く含まれていることを検出するこ
とが可能である。例えば、吹き付ける不活性ガスとして
ArガスやN2 ガスを用いた場合、オージェ分析等によ
り容易に検出することができる。この場合、不活性ガス
の含有量は、フリー面から厚さ方向に50nm以下の範囲
で、例えば50〜500ppm 程度である。
【0093】なお、合金溶湯に吹き付ける不活性ガス
は、雰囲気ガスと同種のものを用いることが好ましい。
【0094】雰囲気 本発明を実施する際の雰囲気ガスである不活性ガスに特
に制限はなく、Arガス、Heガス、N2 ガス等の各種
不活性ガスから適宜選択すればよいが、Arガスを用い
ることが好ましい。また、雰囲気ガスの圧力にも特に制
限はなく、適宜決定すればよい。例えば、装置の構造を
簡素にするためには、0.1〜2気圧程度、通常、1気
圧の不活性ガス流中で行なえばよい。このような圧力の
ガス流中で合金溶湯の冷却を行なった場合でも、上記し
た風防あるいはさらに吸気手段を用いることにより、合
金溶湯と冷却ロールとの間への雰囲気ガス巻き込みを著
しく少なくすることができ、ロール面近傍での結晶粒径
の均一性を高くすることができる。例えば、ロール面近
傍領域における結晶粒径の標準偏差を、13nm以下、特
に10nm以下とすることが容易にできる。この場合のロ
ール面近傍領域とは、前述した領域Pと同一であり、ロ
ール面から磁石厚さの1/5までの領域である。
【0095】この領域における結晶粒径の標準偏差は、
下記のようにして算出することが好ましい。まず、上記
領域中において、透過型電子顕微鏡により視野中に結晶
粒が約100個以上入る写真を撮影する。この写真を上
記領域中において無作為に30枚以上、好ましくは50
枚以上撮影し、画像解析等により各視野中での平均粒径
を測定する。この場合の平均粒径は、通常、結晶粒を円
に換算したときの平均直径となる。次いで、これらの平
均粒径の標準偏差を求める。
【0096】片ロール法において上記した風防を設けな
い場合、および双ロール法を用いる場合には、合金溶湯
が衝突する冷却ロール周面付近を90Torr以下、特に1
0Torr以下の不活性ガス雰囲気に保って合金の冷却を行
なうことが好ましい。冷却をこのような減圧雰囲気中で
行なえば、合金と冷却ロール周面との間に不活性ガスが
巻き込まれることがなくなり、合金と冷却ロール周面と
の密着性が向上してロール面の冷却速度の部分的なばら
つきがなくなり、微細で均一な結晶粒組織が得られ、高
い磁気特性を有する永久磁石が実現する。
【0097】また、R含有量の比較的少ない組成の合
金、例えば、R含有量が6〜9.2原子%程度の合金を
冷却する場合には、雰囲気ガスによる過冷却を避けるた
めにも上記範囲の減圧雰囲気中で冷却を行なうことが好
ましい。
【0098】なお、雰囲気圧力の下限は特にないが、合
金を溶湯化するために高周波誘導加熱法を用いる場合、
雰囲気圧力が10-3Torr未満、特に10-4Torr未満とな
ると高周波誘導加熱用コイルと冷却ロールとの間などで
放電が生じ易くなるため、コイルの絶縁を厳重にするこ
とが好ましい。
【0099】このような減圧雰囲気中で製造された永久
磁石材料は、ロール面側に雰囲気ガス巻き込みに起因す
る凹部が殆どみられず、また、ロール面近傍での結晶粒
径の均一性が高い。例えば、ロール面近傍領域における
結晶粒径の標準偏差を、10nm以下、特に7nm以下とす
ることが容易にできる。
【0100】なお、減圧雰囲気中で冷却する場合にも、
上記した不活性ガス流の吹き付けは有効である。
【0101】冷却条件 本発明で用いる冷却ロールの寸法に特に制限はなく、目
的に応じて適当な寸法とすればよいが、通常、直径15
0〜1500mm、幅20〜100mm程度である。また、
冷却ロール中心には、水冷用の孔が設けられていてもよ
い。
【0102】冷却ロールの周速度は、合金溶湯の組成、
目的とする永久磁石材料の組織構造、熱処理の有無等の
各種条件によっても異なるが、好ましくは1〜50m/s
、特に5〜35m/s とすることが好ましい。周速度が
上記範囲未満であると、得られる永久磁石材料の大部分
の結晶粒が大きくなりすぎる。また、周速度が上記範囲
を超えると、大部分が非晶質となり磁気特性が低下す
る。
【0103】なお、通常、冷却ロールはその軸がほぼ水
平となるように設置される。この場合、図3に示される
ようにノズルは冷却ロールの軸を通る鉛直線上に設けて
もよいが、必要に応じて前記鉛直線の冷却ロール回転方
向手前側(図中右側)または回転方向先側(図中左側)
に設けてもよい。冷却ロール回転方向先側に設けた例を
図2に示す。このような場合、前記鉛直線および冷却ロ
ールの軸を含む平面と、ノズルの中心(合金溶湯吐出口
の中心)Bおよび冷却ロールの軸を含む平面とがなす角
度θを45°以下とすることが好ましい。
【0104】また、図3に示されるように、冷却ロール
の周面にほぼ垂直な方向から合金溶湯が衝突する構成と
してもよいが、好ましくは図2に示されるように冷却ロ
ール周面に対し斜め方向から合金溶湯を衝突させること
が好ましい。すなわち、ノズルの中心Bおよび冷却ロー
ルの軸を含む平面の冷却ロール回転方向先側(図中左
側)に合金溶湯を吐出することが好ましい。具体的に
は、冷却ロール周面に衝突する合金溶湯の中心位置をA
としたとき、Aにおける冷却ロール周面の接面と直線A
Bとがなす角度φを45〜78°とすることが好まし
い。このように冷却ロール周面に対し斜め方向から合金
溶湯を衝突させることにより、合金溶湯が冷却ロール周
面に衝突するときの合金溶湯の跳ねが抑えられ、合金溶
湯と冷却ロールとの密着性が良好となる。角度φが前記
範囲を超えるとこのような効果が不十分となり、前記範
囲未満となると合金溶湯が冷却ロール周面を滑る傾向が
現われ、合金溶湯と冷却ロール周面との密着性が低下し
てしまう。
【0105】位置Bを通る鉛直線と冷却ロール周面との
交わる位置をCとしたとき、直線BCの長さNgは1〜
7mmであることが好ましい。合金溶湯の冷却により冷却
ロールは熱膨張し、また、冷却ロールは50μm 程度の
偏心が不可避であるため、距離Ngが前記範囲未満とな
るとこれらによる冷却条件の変動が問題となってくる。
距離Ngが前記範囲を超えると、吐出された合金溶湯が
冷却ロール周面付近で広がってしまったり液滴状となっ
たりして、均質な永久磁石材料が得られにくくなる。
【0106】ノズル内における合金溶湯の上面と下面と
の圧力差(差圧)は、0.1〜0.5kgf/cm2 の範囲内
とし、合金溶湯吐出中はほぼ一定に保つことが好まし
い。この範囲内において差圧をほぼ一定に保って合金溶
湯を吐出すれば、吐出量が安定し、特性のバラツキの小
さい永久磁石材料が得られる。差圧は、ノズル内の合金
溶湯の静水圧や、ノズル内の合金溶湯の上面の雰囲気圧
力と下面の雰囲気圧力との差などにより発生する。合金
溶湯の吐出に伴なう差圧の減少を補償して上記範囲の差
圧を保つためには、ノズル内への合金溶湯の供給量を制
御すればよく、あるいは、冷却ロール側の雰囲気とノズ
ル内の合金溶湯上面側の雰囲気とを遮断して、冷却ロー
ル側を減圧したり合金溶湯上面側を加圧して差圧を制御
すればよい。
【0107】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明
をさらに詳細に説明する。
【0108】銅ベリリウム合金製の円筒状基材の周面の
幅方向にバイトを移動させながら基材を回転させて、切
削加工により基材の周面に螺旋状の連続溝を形成した。
次いで基材の周面に一般的なサージェント浴を用いた電
気めっき法によりCr表面層を形成し、冷却ロールとし
た。基材の熱伝導度は3.6J/(cm・s・K)、Cr表面層の
熱伝導度は0.43J/(cm・s・K)であり、Cr表面層のビ
ッカース硬度Hv は950であった。切削加工の際のバ
イトの移動速度やバイトと基材との距離を変更して、下
記表1に示される冷却ロールを作製した。なお、基材の
外径は400mmとし、Cr表面層の厚さは35μm とし
た。Cr表面層は、図1に示されるようにほぼ一定の厚
さに形成されていた。これらの冷却ロールの溝は、冷却
ロールの軸を含む断面における断面形状が図1に示され
るようなサインカーブ状であった。
【0109】これらの冷却ロールを片ロール法に適用
し、下記のようにして薄帯状の永久磁石材料を製造し
た。
【0110】まず、9.5Nd−2.5Zr−8.0B
−80Feの組成(数値は原子百分率を表わす)を有す
る合金インゴットをアーク溶解により作製した。得られ
た合金インゴットを石英ノズルに入れ、高周波誘導加熱
により溶湯状とした。この合金溶湯をノズルから吐出し
て冷却ロールにより高速急冷し、幅2mm、厚さ45μm
の薄帯状永久磁石材料を得た。冷却ロールは、その軸が
ほぼ水平となるように設置し、ノズルは、その吐出口が
冷却ロールの軸を通る鉛直線上に位置するように配置し
た。また、角度φは35°とし、距離Ngは5mmとし、
冷却時の雰囲気は15TorrのArガスとした。また、合
金溶湯の吐出に伴なってノズル内に合金溶湯を注入し、
差圧を0.22〜0.28kgf/cm2 に保った。
【0111】冷却ロールの周速度を28m/s としたとき
の永久磁石材料の保磁力( iHc )および最大エネルギ
ー積((BH)max )と、 iHc がその最大値の80%以上
となる周速度の幅V80とを調べた。V80の値が大きいほ
ど磁気特性の周速度依存性は低いことになる。これらの
結果を表1に示す。また、冷却ロール周面の溝に対応す
る永久磁石材料のロール面の凸条の様子を表1に示す。
【0112】
【表1】
【0113】表1に示される結果から本発明の効果が明
らかである。
【0114】なお、各永久磁石材料のロール面から20
nm以下のCr含有量は、約100ppm であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】冷却ロールの断面図である。
【図2】合金溶湯吐出用ノズルと冷却ロールとの位置関
係を示す側面図である。
【図3】永久磁石材料製造装置の好適構成例を示す断面
図である。
【図4】不活性ガスの吸気部材の好適例を示す断面図で
ある。
【図5】不活性ガスの噴射部材の好適例を示す断面図で
ある。
【符号の説明】
11 合金溶湯 111 合金 112 薄帯状永久磁石材料 113 パドル 12 ノズル 13 冷却ロール 131 基材 132 表面層 100 噴射部材 101 側壁 102 スリット状噴射口 103 連通孔 104 ガス管 200 吸気部材 201 側壁 202 スリット状吸気口 203 連通孔 204 ガス管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H01F 41/02 H01F 1/04 H (56)参考文献 特開 平4−55042(JP,A) 特開 平2−165849(JP,A) 特開 平4−28458(JP,A) 特開 平2−232347(JP,A) 特開 昭59−183957(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22D 11/06 330 B22D 11/06 370 B22F 1/00 B22F 3/00 H01F 1/053 H01F 41/02

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 R(ただし、RはYを含む希土類元素の
    1種以上である。)と、FeまたはFeおよびCoと、
    Bとを含有する合金溶湯を冷却して永久磁石材料を製造
    するための冷却ロールであって、 基材と、この基材周面の少なくとも合金溶湯の接触する
    領域に形成されたCr表面層とを有し、前記基材の熱伝
    導度が前記Cr表面層の熱伝導度より高く、 周方向に延びる溝を周面に有し、軸を含む任意の断面に
    おいて、少なくとも合金溶湯が接触する領域での隣り合
    う溝同士の距離の平均が100〜300μm であり、か
    つ軸を含む断面における溝の断面形成の凸部と凹部とが
    滑らかにつながっており、 前記基材の周面に前記溝を形成した後、前記Cr表面層
    を形成したものであり、 片ロール法に用いられ、製造される永久磁石材料の厚さ
    が10〜60μm であり、 少なくとも合金溶湯が接触する領域における周面の中心
    線平均粗さ(Ra )が0.07〜5μm であり、 少なくとも合金溶湯が接触する領域での前記溝の深さの
    平均が1〜50μm である冷却ロール。
  2. 【請求項2】 軸を含む断面における溝の断面形状がサ
    インカーブ状である請求項1の冷却ロール。
  3. 【請求項3】 前記溝が螺旋状に形成されている請求項
    1または2に記載の冷却ロール。
  4. 【請求項4】 前記Cr表面層の厚さが、10〜100
    μm である請求項1ないし3のいずれかに記載の冷却ロ
    ール。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかに記載の冷
    却ロールの周面に、ノズルから合金溶湯を吐出して冷却
    する工程を有することを特徴とする永久磁石材料の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 前記冷却ロールをその軸がほぼ水平とな
    るように配設し、片ロール法により前記合金溶湯を冷却
    する方法であって、 ノズルの中心および冷却ロールの軸を含む平面の冷却ロ
    ール回転方向先側に合金溶湯を吐出し、 合金溶湯が冷却ロール周面に衝突する位置をA、ノズル
    の中心をBとしたとき、Aにおける周面の接面と直線A
    Bとがなす角度φを45〜78°とし、 Bを通る鉛直線と冷却ロール周面との交わる位置をCと
    したとき、直線BCの長さを1〜7mmとし、 冷却時の雰囲気圧力を90Torr以下とし、 ノズル内における合金溶湯の上面と下面との圧力差を
    0.1〜0.5kgf/cm2として合金溶湯の冷却を行なう
    請求項5に記載の永久磁石材料の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項5または6に記載の永久磁石材料
    の製造方法によって得られた、長さ方向に延びる凸条を
    少なくとも一方の主面に有し、隣り合う凸条同士の距離
    の平均が100〜300μm である永久磁石材料。
  8. 【請求項8】 前記凸条を有する主面の中心線平均粗さ
    (Ra )が0.05〜4.5μm である請求項7に記載
    の永久磁石材料。
  9. 【請求項9】 前記凸条の高さの平均が0.7〜30μ
    m である請求項7または8に記載の永久磁石材料。
  10. 【請求項10】 任意の位置で測定された厚さの標準偏
    差が4μm 以下である請求項7ないし9のいずれかに記
    載の永久磁石材料。
  11. 【請求項11】 請求項1ないし4のいずれかに記載の
    冷却ロールを用いて製造された請求項7ないし10のい
    ずれかに記載の永久磁石材料。
  12. 【請求項12】 請求項7ないし11のいずれかに記載
    の永久磁石材料を粉砕して製造されたことを特徴とする
    永久磁石材料粉末。
JP09702392A 1992-03-24 1992-03-24 冷却ロール、永久磁石材料の製造方法、永久磁石材料および永久磁石材料粉末 Expired - Lifetime JP3248942B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP09702392A JP3248942B2 (ja) 1992-03-24 1992-03-24 冷却ロール、永久磁石材料の製造方法、永久磁石材料および永久磁石材料粉末
US07/878,523 US5665177A (en) 1992-03-24 1992-05-05 Method for preparing permanent magnet material, chill roll, permanent magnet material, and permanent magnet material powder
US08/835,814 US5993939A (en) 1992-03-24 1997-04-16 Method for preparing permanent magnet material, chill roll, permanent magnet material, and permanent magnet material powder

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP09702392A JP3248942B2 (ja) 1992-03-24 1992-03-24 冷却ロール、永久磁石材料の製造方法、永久磁石材料および永久磁石材料粉末

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05269549A JPH05269549A (ja) 1993-10-19
JP3248942B2 true JP3248942B2 (ja) 2002-01-21

Family

ID=14180823

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP09702392A Expired - Lifetime JP3248942B2 (ja) 1992-03-24 1992-03-24 冷却ロール、永久磁石材料の製造方法、永久磁石材料および永久磁石材料粉末

Country Status (2)

Country Link
US (2) US5665177A (ja)
JP (1) JP3248942B2 (ja)

Families Citing this family (33)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3248942B2 (ja) * 1992-03-24 2002-01-21 ティーディーケイ株式会社 冷却ロール、永久磁石材料の製造方法、永久磁石材料および永久磁石材料粉末
JPH10125518A (ja) * 1996-10-18 1998-05-15 Sumitomo Special Metals Co Ltd 微細結晶組織を有する薄板磁石
JP3317646B2 (ja) * 1996-12-04 2002-08-26 ティーディーケイ株式会社 磁石の製造方法
JPH1154306A (ja) * 1997-07-31 1999-02-26 Seiko Epson Corp 磁石合金薄帯および樹脂結合ボンド磁石
AUPP515198A0 (en) * 1998-08-07 1998-09-03 Bhp Steel (Jla) Pty Limited Casting steel strip
US6302939B1 (en) 1999-02-01 2001-10-16 Magnequench International, Inc. Rare earth permanent magnet and method for making same
JP2001052911A (ja) * 1999-08-11 2001-02-23 Seiko Epson Corp 磁石材料の製造方法、薄帯状磁石材料、磁石粉末およびボンド磁石
TW514938B (en) 1999-11-04 2002-12-21 Seiko Epson Corp Cooling roll, production method for magnet material, thin-band-like magnet material, magnet powder and bond magnet
DE60041245D1 (de) * 1999-11-09 2009-02-12 Ihi Corp Vorrichtung zur herstellung von metallflocken
JP4195767B2 (ja) * 2000-03-08 2008-12-10 徹一 茂木 鋳造方法、鋳造設備、金属素材の製造方法および金属素材の製造装置
JP3611107B2 (ja) 2000-04-12 2005-01-19 セイコーエプソン株式会社 冷却ロール
JP3728396B2 (ja) 2000-04-12 2005-12-21 セイコーエプソン株式会社 磁石材料の製造方法
JP3277932B2 (ja) 2000-04-24 2002-04-22 セイコーエプソン株式会社 磁石粉末、ボンド磁石の製造方法およびボンド磁石
JP3277933B2 (ja) * 2000-04-24 2002-04-22 セイコーエプソン株式会社 磁石粉末、ボンド磁石の製造方法およびボンド磁石
KR100562681B1 (ko) 2000-05-24 2006-03-23 가부시키가이샤 네오맥스 복수의 강자성상을 포함하는 영구자석 및 그 제조방법
US6383406B1 (en) 2000-05-25 2002-05-07 Chemat Technology, Inc. Method for preparing high cure temperature rare earth iron compound magnetic material
JP2002057016A (ja) 2000-05-30 2002-02-22 Seiko Epson Corp 磁石材料の製造方法、薄帯状磁石材料、粉末状磁石材料およびボンド磁石
JP3611108B2 (ja) * 2000-05-30 2005-01-19 セイコーエプソン株式会社 冷却ロールおよび薄帯状磁石材料
JP3587140B2 (ja) 2000-07-31 2004-11-10 セイコーエプソン株式会社 磁石粉末の製造方法、磁石粉末およびボンド磁石
US7217328B2 (en) 2000-11-13 2007-05-15 Neomax Co., Ltd. Compound for rare-earth bonded magnet and bonded magnet using the compound
KR100535943B1 (ko) 2001-05-15 2005-12-12 가부시키가이샤 네오맥스 철 기재의 희토류합금 자석 및 그 제조방법
US7507302B2 (en) 2001-07-31 2009-03-24 Hitachi Metals, Ltd. Method for producing nanocomposite magnet using atomizing method
JP4754739B2 (ja) * 2001-09-03 2011-08-24 昭和電工株式会社 希土類磁石用合金塊、その製造方法および焼結磁石
ATE335280T1 (de) 2001-11-22 2006-08-15 Neomax Co Ltd Nanozusammensetzungsmagnet
WO2003076593A2 (en) * 2002-03-07 2003-09-18 The Johns Hopkins University School Of Medicine Genomic screen for epigenetically silenced genes associated with cancer
US7722726B2 (en) 2004-03-31 2010-05-25 Santoku Corporation Process for producing alloy slab for rare-earth sintered magnet, alloy slab for rare-earth sintered magnet and rare-earth sintered magnet
US8821650B2 (en) * 2009-08-04 2014-09-02 The Boeing Company Mechanical improvement of rare earth permanent magnets
JP5626956B2 (ja) * 2009-10-22 2014-11-19 日本碍子株式会社 析出硬化型合金薄帯の製造装置、冷却ロール及び析出硬化型合金薄帯の製造方法
JP6042602B2 (ja) * 2011-08-17 2016-12-14 ミネベア株式会社 α−Fe/R2TM14B系ナノコンポジット磁石の製造方法
JP5705141B2 (ja) * 2012-01-24 2015-04-22 中央電気工業株式会社 希土類系合金片の製造方法
WO2020049343A1 (en) 2018-09-07 2020-03-12 Arcelormittal Magnetic cooling roll
JP7400578B2 (ja) * 2020-03-24 2023-12-19 Tdk株式会社 合金薄帯および磁性コア
CN112164571B (zh) * 2020-08-17 2022-02-11 包头韵升强磁材料有限公司 一种烧结稀土永磁材料的制备方法

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE3379131D1 (en) * 1982-09-03 1989-03-09 Gen Motors Corp Re-tm-b alloys, method for their production and permanent magnets containing such alloys
JPS609852A (ja) * 1983-06-24 1985-01-18 ゼネラル・モ−タ−ズ・コ−ポレ−シヨン 高エネルギ−積の稀土類−鉄磁石合金
US4705095A (en) * 1986-01-09 1987-11-10 Ribbon Technology Corporation Textured substrate and method for the direct, continuous casting of metal sheet exhibiting improved uniformity
JPH0246527A (ja) * 1988-08-06 1990-02-15 Toshiro Takahashi 磁気ディスク基板とその製造方法
JP3077995B2 (ja) * 1990-05-22 2000-08-21 ティーディーケイ株式会社 永久磁石材料、永久磁石材料製造用冷却ロールおよび永久磁石材料の製造方法
JP3502107B2 (ja) * 1991-08-29 2004-03-02 Tdk株式会社 永久磁石材料の製造方法
JP3248942B2 (ja) * 1992-03-24 2002-01-21 ティーディーケイ株式会社 冷却ロール、永久磁石材料の製造方法、永久磁石材料および永久磁石材料粉末
US5641363A (en) * 1993-12-27 1997-06-24 Tdk Corporation Sintered magnet and method for making

Also Published As

Publication number Publication date
US5665177A (en) 1997-09-09
US5993939A (en) 1999-11-30
JPH05269549A (ja) 1993-10-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3248942B2 (ja) 冷却ロール、永久磁石材料の製造方法、永久磁石材料および永久磁石材料粉末
JP3502107B2 (ja) 永久磁石材料の製造方法
EP1647343B1 (en) Apparatus and Method of making rapidly solidified alloy for magnet
EP1738377B1 (en) Alloy lump for r-t-b type sintered magnet, producing method thereof, and magnet
EP1160807B1 (en) Cooling roll, ribbon-shaped magnetic materials and method for manufacturing thereof
KR100458345B1 (ko) 자석 합금 벨트 및 수지 결합 본드 자석
EP1146525B1 (en) Cooling roll
JP4879503B2 (ja) R−t−b系焼結磁石用合金塊、その製造法および磁石
US8105446B2 (en) Process for producing alloy slab for rare-earth sintered magnet, alloy slab for rare-earth sintered magnet and rare-earth sintered magnet
EP1160802B1 (en) Ribbon-shaped magnetic material and magnetic powder obtained from the material
JPH05135919A (ja) 永久磁石材料製造用冷却ロールおよび永久磁石材料の製造方法
US4408653A (en) Method for making serrated metal ribbon
EP1146524A1 (en) Method of manufacturing magnetic materials, and ribbon-shaped magnetic materials, powdered magnetic materials and bonded magnets
JP3025693B2 (ja) 永久磁石材料の製造方法
JPS626413B2 (ja)
JPH0455042A (ja) 永久磁石材料の製造方法
EP0148306A2 (en) Method for producing a metal alloy strip
EP1178503B1 (en) Method of manufacturing magnetic powder, magnetic powder and bonded magnets
US4648437A (en) Method for producing a metal alloy strip
JPH0616928B2 (ja) 単ロ−ル式急冷薄帯製造用の注湯ノズル
JP2002035899A (ja) 冷却ロール、薄帯状磁石材料、磁石粉末およびボンド磁石

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20010220

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20011023

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071109

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081109

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091109

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101109

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111109

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121109

Year of fee payment: 11

EXPY Cancellation because of completion of term
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121109

Year of fee payment: 11