JPH10157031A - 抗菌性化粧シート - Google Patents

抗菌性化粧シート

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JPH10157031A
JPH10157031A JP33300996A JP33300996A JPH10157031A JP H10157031 A JPH10157031 A JP H10157031A JP 33300996 A JP33300996 A JP 33300996A JP 33300996 A JP33300996 A JP 33300996A JP H10157031 A JPH10157031 A JP H10157031A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 衛生的環境を必要とする場所での各種備品に
用いられる抗菌性化粧シートの中で、ポリ塩化ビニルシ
ートの代わりに、ポリオレフィン系樹脂シートを使用し
た化粧シートは、折り曲げ加工適性に問題がある。 【解決手段】 着色POシート11に、模様12、接着層13
及び透明PPシート14を積層した化粧シートにおいて、
該着色POシート11が主原料が高密度ポリエチレン、熱
可塑性エラストマー、着色剤及び無機充填剤からなり、
該透明PPシート14がアイソタクティックポリプロピレ
ンとアタクティックポリプロピレンの混合系からなる複
合立体構造を有する軟質ポリプロピレンであり、該化粧
シートの表面に抗菌剤16を含有する抗菌性塗膜15を形成
して抗菌性化粧シート1 とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラスチック、
紙、木材、金属板、無機系素材等あらゆる基材に抗菌性
能を付与するために使用される化粧シートに関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来、室内水回り関係(台所、浴室、洗
面所等)や高温多湿の場所及び病院その他の衛生的な環
境を必要とする場所での各種備品(電気製品、各種器具
等)については、カビや細菌等の発生を防止できる製品
が要望されている。そのため、これらに使用される化粧
紙や化粧板等に防カビ性又は抗菌性を付与する方法とし
て、防カビ剤又は抗菌剤を該当素材中に練り込む方法、
又は後工程にて抗菌剤を含有する塗料を塗装する方法等
が行われていた(特公昭63ー54013号公報、特公
平4ー28646号公報に開示)。また、防カビ性及び
抗菌性を有する壁紙や化粧シートを用いて、上記備品等
に抗菌性を付与しようとする試みもなされている(特開
平1ー313533号公報に開示)。そして、防カビ性
及び抗菌性を有する化粧シートは、そのシートにポリ塩
化ビニルシートが多く使用されている。
【0003】一方、従来、建築物の壁、天井等の内装、
家具、キャビネット等の表面装飾材として用いられる化
粧シートは、そのシートにポリ塩化ビニルシートが多く
使用されているが、近年、ポリ塩化ビニルシートに代わ
るものとして、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリ
オレフィン系シートを使用した化粧シートが提案されて
いる(特開昭54ー62255号公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、ポリオレフィ
ン系樹脂シートを使用した化粧シートは、被着体に接着
して、Vカット加工やラッピング加工したとき、化粧シ
ートの加工適性に問題があった。その他、ポリ塩化ビニ
ル並の熱成形性が不足する、耐クリープ変形が不足す
る、耐有機溶剤性が不足する、透明性が不足する、耐候
性が不足する、耐熱性が不足する、印刷、ラミネート時
のインキ、接着剤等との接着力が不足する、結晶化度が
高いため、エンボス加工条件が非常に狭いという問題が
あった。そのため、本発明は、着色基材シートと透明な
表面シートを積層して抗菌性化粧シートを作製する際
に、ポリ塩化ビニルの代わりに、着色基材シートとし
て、高密度ポリエチレン、熱可塑性エラストマー、着色
剤、及び無機充填剤からなるポリオレフィン系樹脂を用
い、また、透明な表面シートとして、アイソタクティッ
クポリプロピレンとアタクティックポリプロピレンの混
合系からなる複合立体構造を有する軟質ポリプロピレン
系樹脂を用い、その透明な表面シートに抗菌処理を施す
ことにより、上記問題点を解決したものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記問題を解決するため
に、化粧シートの構成を以下のようにした。着色ポリオ
レフィン系樹脂よりなる基材シートに、無色又は着色透
明な軟質ポリプロピレン系樹脂よりなる表面シートを積
層し、該基材シート又は該表面シートのいずれか又は両
方に装飾処理を施してなる化粧シートにおいて、該着色
ポリオレフィン系樹脂が、主原料が高密度ポリエチレ
ン、熱可塑性エラストマー、着色剤、及び無機充填剤か
らなり、該軟質ポリプロピレン系樹脂が、アイソタクテ
ィックポリプロピレンとアタクティックポリプロピレン
の混合系からなる複合立体構造を有し、該表面シートに
抗菌処理を施したことを特徴とする抗菌性化粧シートと
した。
【0006】そして、化粧シートに抗菌性を付与する方
法を以下のようにした。 上記化粧シートの最表面に抗菌剤を添加した抗菌性塗
膜を塗布、形成する方法。 上記化粧シートの表面シートとなる透明ポリプロピレ
ン系樹脂に抗菌剤を添加する方法。但し最表面の樹脂シ
ートの最表面側には印刷インキ層、金属薄膜等表面を被
覆する層は設けずシート最表面が空中に露出するように
する。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に、図面を参照にしながら本
発明を詳細に説明する。図1は本発明の抗菌性化粧シー
トの一例を示した模式断面図である。図2は本発明の抗
菌性化粧シートの別の態様で、表面の透明なポリプロピ
レンシートに抗菌剤を添加して抗菌性を付与した抗菌性
化粧シートの模式断面図である。図3は本発明において
抗菌剤を含有する抗菌性塗膜を形成して抗菌性化粧シー
トを作製するときの説明図である。図4は実施例1によ
り本発明の化粧シートを作製するときの説明図である。
図5は実施例2により本発明の化粧シートを作製すると
きの説明図である。図6は実施例3により本発明の化粧
シートを作製するときの説明図である。図7は実施例4
により本発明の化粧シートを作製するときの説明図であ
る。
【0008】本発明の抗菌性能を有する化粧シート(以
下単に抗菌性化粧シートとする)は、図1に示すよう
に、着色ポリオレフィン系樹脂シート11(以下着色P
Oシートとする)、模様12、接着層13、透明な軟質
ポリプロピレン系樹脂シート(以下透明PPシートとす
る)、抗菌剤16を含有する抗菌性塗膜15から構成さ
れる。尚、模様12は装飾処理を施してできたものであ
る。また、図2に示すように、抗菌剤16を含有する透
明PPシート14を表面層とし、これに模様12を設け
た着色POシート11を接着剤13を介して積層して、
抗菌性化粧シート1としたものである。
【0009】以下に、本発明の抗菌性化粧シートの製造
方法について説明する。先ず、図3(a)に示すよう
に、着色POシート11として高密度ポリエチレン、熱
可塑性エラストマー、着色剤及び無機充填剤からなる樹
脂シートを用い、これに木目柄等を印刷して模様12を
形成する。一方、図3(b)に示すように、透明PPシ
ート14としてアイソタクティックポリプロピレンとア
タクティッククポリプロピレンの混合系からなる複合構
造を有する無色又は着色透明な軟質ポリプロピレン系樹
脂シートを用いて、これに接着剤を塗布して接着層13
を形成する。
【0010】次に、前記模様を設けた着色POシート1
1と接着層13を形成した透明PPシート14をドライ
ラミネーション法等により貼り合わせて、図3(c)に
示すような積層シート2を作製する。この積層シート2
の透明PPシート14面に、図3(d)に示すように、
抗菌剤を添加した樹脂組成物を塗布、乾燥し、抗菌性塗
膜15を形成する。抗菌性塗膜15の乾燥樹脂固形分は
抗菌剤16を0.1〜10重量%含有することが好まし
く、2〜10μmの厚さで形成することが好ましい。
【0011】尚、上記抗菌性化粧シートの作製方法とし
て、着色POシート11に、模様12、接着層13を形
成して、これに透明PPシート14をラミネートし、そ
の上に抗菌剤を含有する抗菌性塗膜を形成して抗菌性化
粧シート1とすることもできる。また、着色POシート
11に、模様12、接着層13を形成し、透明PPシー
ト14には抗菌剤16を含有する抗菌性塗膜15を形成
した後、着色POシート11と透明PPシート14をラ
ミネートして抗菌性化粧シート1を作製することもでき
る。
【0012】更に、本発明の別の態様として、前記と同
様に、着色POシート11に木目柄等を印刷して模様1
2を形成する。一方、前記透明なPP樹脂に抗菌剤を添
加し、これを押出機等を用いてシート化し、抗菌剤を含
有する透明なPPシートを作製する。抗菌剤の好ましい
含有量は1〜10重量%である。次に、印刷した着色P
Oシートの印刷側に接着剤を塗布し、これに抗菌剤を含
有する透明なPPシートをドライラミネーション法等で
ラミネートし、図3に示すような抗菌性化粧シート1を
作製する。
【0013】尚、図2に示すような抗菌性化粧シート1
の表面に、抗菌剤を含有する抗菌性塗膜を形成して抗菌
性化粧シートとすることもある。この場合は、抗菌性能
を有する層が二重になり、透明なPPシートに添加され
た抗菌剤は抗菌作用を十分発揮できなくなり、抗菌剤の
有効利用方法としては問題がある。しかし、化粧シート
を被着体に接着してVカットやラッピング加工した際
に、折り曲げ加工等で、抗菌剤を含有する抗菌性塗膜に
亀裂が生じた場合、その下の透明なPPシートに抗菌剤
が添加されていれば、その亀裂部分でも抗菌作用を発揮
するので、細菌の汚染防止を完全にすることができる。
【0014】本発明に用いられる着色ポリオレフィン系
樹脂シート(着色POシート)としては、高密度ポリエ
チレン(以下HDPEとする)、熱可塑性エラストマ
ー、着色剤及び無機充填剤からなる樹脂組成物をシート
化したものが使用される。HDPEに熱可塑性エラスト
マーを添加することにより、HDPEの結晶化が抑制さ
れ、エンボス加工適性及び曲げ加工適性の向上を図るこ
とができた。更に、無機充填剤を添加することにより耐
クリープ変形が良好となり、化粧シート基材として、ポ
リ塩化ビニルシートに匹敵する物性を得ることができ
た。
【0015】本発明に使用される高密度ポリエチレンと
しては、好ましくは、比重が0.94〜0.96の高密
度ポリエチレンであって、低圧法で製造されて結晶化度
が高く、分子に枝分かれの少ない分子構造のものが用い
られる。
【0016】本発明における熱可塑性エラストマーとし
ては、ジエン系ゴム、水素添加ジエン系ゴム、ポリオレ
フィンエラストマー等が用いられる。水素添加ジエン系
ゴムは、ジエン系ゴム分子の二重結合の少なくとも一部
に水素原子を付加させてなるもので、ポリオレフィン系
樹脂(本発明においては高密度ポリエチレン)の結晶化
を抑え、柔軟性をアップさせるものである。
【0017】上記ジエン系ゴムとしては、イソプレンゴ
ム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、プロピレン・ブタジ
エンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、アクリ
ロニトリル・イソプレンゴム、スチレン・ブタジエンゴ
ム等がある。ポリオレフィンエラストマーとしては、2
種類又は3種以上のオレフィンと共重合しうるポリエン
を少なくとも1種加えた弾性共重合体であり、オレフィ
ンはエチレン、プロピレン、α−オレフィン等が使用さ
れ、ポリエンとしては、1,4ヘキサジエン、環状ジエ
ン、ノルボルネン等が使用される。好ましいオレフィン
系共重合体としては、例えば、エチレンープロピレン共
重合体ゴム、エチレンープロピレンー非共役ジエンゴ
ム、エチレンーブタジエン共重合体ゴム等のオレフィン
を主成分とする弾性共重合体が挙げられる。
【0018】熱可塑性エラストマーの添加量としては、
基材中に10〜60重量%、好ましくは30重量%程度
である。10重量%未満では、一定荷重時伸度の変化が
急峻になり過ぎ、また破断時伸度、耐衝撃性の低下が生
じる。添加量が60重量%を超えると透明性、耐候性及
び耐クリープ性が低下する。
【0019】HDPEに添加する無機充填剤としては、
炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、タルク等の粉
末が用いられる。添加量としては、基材シート中に5〜
60重量%、好ましくは30重量%程度である。5重量
%未満では耐クリープ変形性及び易接着性が低下し、6
0重量%を超えると破断時伸度、耐衝撃性の低下が生じ
る。
【0020】前記着色POシートは、有機系又は無機系
の着色顔料や染料により任意の色に着色することができ
る。本発明のポリオレフィン系樹脂に添加する着色剤と
しては、チタン白、亜鉛華、弁柄、朱、群青、コバルト
ブルー、チタン黄、カーボンブラック等の無機顔料、イ
ソインドリノン、ハンザイエローA、キナクリドン、パ
ーマネントレッド4R、フタロシアニンブルー等の有機
顔料或いは染料、アルミニウム、真鍮等の金属顔料、二
酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸亜鉛等の箔粉からなる
真珠光沢顔料等が用いられる。着色は透明着色、不透明
(隠蔽)着色いずれでも可能であるが、一般的には、被
着体を隠蔽するために不透明着色が好ましい。
【0021】HDPEに、熱可塑性エラストマー、無機
充填剤、着色剤を添加した樹脂混合物は、カレンダー法
等の公知の方法に従って製膜して、不透明な着色シート
を作製する。着色POシートの厚さは50〜200μm
の範囲が好ましく、より好ましくは100μm程度であ
る。
【0022】本発明に用いられる上記着色POシートの
表面には、コロナ放電処理、プラズマ処理、易接着層の
形成等の易接着性処理が施される。易接着層(プライマ
ー層或いはアンカー層ともいう)としては、アクリル系
樹脂、ウレタン系樹脂、塩化ビニルー酢酸ビニル共重合
体系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩素
化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の樹脂を溶媒
に溶解した塗工液を使用されるが、特にポリウレタン樹
脂が望ましい。上記樹脂を溶媒に溶解した塗工液を、公
知の方法で塗布、乾燥して易接着層とすることにより、
着色POシートと模様や接着層との接着力を強力なもの
にできる。
【0023】一方、本発明に用いられる透明PPシート
としては、アイソタクティックポリプロピレンとアタク
ティックポリプロピレンの混合系からなる複合構造を有
する無色又は着色透明な軟質ポリプロピレン系樹脂が使
用される。そして、該以下透明PPシートは、破断伸び
(TB )が400%以上、好ましくは500〜700
%、100%伸長後の残留伸び(PS100 )が80%以
下、好ましくは50〜75%、及び破断時応力(MB
と降伏時応力(MY )との比MB /MY が1.0以上、
好ましくは1.5〜3.5の範囲にあることが重要であ
る。これらの力学的特性が前記範囲を逸脱すると本発明
の目的が十分に達成されなくなる。
【0024】前記アイソタクティックポリプロピレンと
アタクティックポリプロピレンの混合系からなる透明P
Pシートの樹脂成分として、アタクティックポリプロピ
レンは、沸騰ヘプタンに可溶性であり、数平均分子量
(Mn)が25,000以上、好ましくは30,000
〜60,000の範囲にあり、且つ重量平均分子量(M
w)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が7
以下、好ましくは2〜6の範囲のものが用いられる。ア
タクティックポリプロピレンの数平均分子量(Mn)が
25,000未満のものやMw/Mn比が7を超えるも
のは、該アタクティックポリプロピレンの力学的特性が
十分発揮されず、得られたPPシートの破断時応力(M
B )と降伏時応力(MY )との比MB /MY が1.0未
満となり、100%伸長後の残留伸び(PS100 )が8
0%を超えたりして、本発明の目的が達成されない。
【0025】上記アタクティックポリプロピレンは、プ
ロピレンの単独重合体であってもよく、プロピレンの単
量体と40重量%以下の他の炭素数2〜30のα−オレ
フィン単位とを含有するプロピレン共重合体であっても
よい。また、アタクティックポリプロピレンは1種用い
てもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
【0026】アタクティックポリプロピレンは、公知の
方法(特開昭63ー243106号公報)によって製造
することができる。具体的には、(イ)マグネシウム、
チタン、ハロゲン原子及び電子供与体を必須成分として
含有する固体触媒成分、(ロ)有機アルミニウム化合
物、及び(ハ)下記の一般式
【化1】 (式中のR1 は炭素数1〜20のアルキル基、R2 は1
〜10の炭化水素基、水酸基又はニトロ基、mは1〜6
の整数、nは0又は1〜(6−m)の整数である)で表
されるアルコキシ基含有芳香族化合物の組み合わせから
なる触媒の存在下で、プロピレンを重合させることによ
り、所望のアタクティックポリプロピレンを得ることが
できる。
【0027】前記透明なPPシートの樹脂成分として、
アイソタクティックポリプロピレンは、メルトフローレ
イト(MFR)が0.1〜4g/10分で、沸騰ヘプタ
ンに不溶性であるものが使用される。アイソタクティッ
クポリプロピレンのMFRが0.1未満では溶融特性が
低く、シート成形が困難になる。また、MFRが4g/
10分を超えると機械的強度が不十分となってVカット
加工適性が低下する。
【0028】アイソタクティックポリプロピレンは、立
体規則性を有するプロピレンの単独重合体であってもよ
く、該立体規則性を有するプロピレンと他のα−オレフ
ィンとの共重合体であってもよい。また、この共重合体
に用いられる他のα−オレフィンとしては、例えば、エ
チレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘ
プテン−1、オクテン−1等が好ましく、中でも、エチ
レン及びブテン−1が好適である。また、共重合体とし
ては、前記の他のα−オレフィン単位を通常40重量%
以下、好ましくは30重量%以下含有するブロック共重
合体やランダム共重合体が用いられる。
【0029】アイソタクティックポリプロピレンの好ま
しいものとしては、プロピレン単独重合体、及びエチレ
ン単位1〜30重量%、好ましくは3〜25重量%を含
有するプロピレンとエチレンとのランダム共重合体又は
ブロック共重合体が挙げられる。このようなアイソタク
ティックポリプロピレンの製造方法については特に制限
はなく、従来、結晶性ポリプロピレンの製造に慣用され
ている方法の中から任意の方法を選択して用いることが
できる。
【0030】本発明に使用される透明なPPシートにお
いて、アイソタクティックポリプロピレンとアタクティ
ックポリプロピレンの混合割合は、アタクティックポリ
プロピレンが10〜90重量%、好ましくは25〜80
重量%であり、これに対してアイソクタティクポリプロ
ピレンは90〜10重量%、好ましくは75〜20重量
%である。(詳細には、例えば、特公平6ー23278
号公報に記載されている。) アタクティックポリプロ
ピレンが10重量%未満では、樹脂の降伏時応力
(MY )が大きくなり過ぎて、破断時応力(MB )と降
伏時応力(MY )との比MB /MY が1.0未満とな
り、且つ100%伸長後の残留伸び(PS100 )も80
%より大きくなって、本発明の目的が達成されない。ま
た、一方、アタクティックポリプロピレンが90重量%
を超えると、破断時応力(MB )が小さくなり過ぎて、
破断時応力(MB )と降伏時応力(MY )との比MB
Y が1.0未満となり、且つ機械的強度が低下し、や
はり本発明の目的が達成されない。
【0031】アタクティックポリプロピレンとアイソタ
クティックポリプロピレンとの特に好ましい混合比率は
は1:1であり、アイソタクティックポリプロピレン成
分の比率が高くすると、得られる軟質ポリプロピレンの
ヤング率が高くなる。このブレンドポリプロピレンに
は、化粧シートの表面層として求められる機能を補強す
るために、各種添加剤、補強材、充填剤、例えば、紫外
線吸収剤、光安定剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、帯電防
止剤、難燃剤等が添加される。
【0032】紫外線吸収剤、光安定剤は、樹脂により耐
候性(耐光性)を付与するためのものであり、その添加
量は紫外線吸収剤、光安定剤共に、0.5〜10重量%
程度である。一般的には、紫外線吸収剤と光安定剤とを
併用するのが好ましい。紫外線吸収剤としては、ベンゾ
トリアゾール、ベンゾフェノン、サリチル酸エステル等
の有機物、又は、0.2μm以下の微粒子状の酸化亜
鉛、酸化セリウム、酸化チタン等の無機物を用いること
もできる。安定剤としては、ビス−(2,2,6,6,
−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート等のヒ
ンダードアミン系ラジカル補足剤、ピペリジン系ラジカ
ル捕捉剤等のラジカル捕捉剤を用いることができる。
【0033】上記アイソタクティックポリプロピレンと
アタクティックポリプロピレンの混合系からなる軟質ポ
リプロピレンに紫外線吸収剤、光安定剤等各種添加剤を
添加した混合物をカレンダー法等の公知の方法に従って
製膜して、無色又は着色透明な軟質ポリプロピレンシー
トを作製する。シートの厚さは、50〜200μmのも
のが好ましく、より好ましくは100μm程度である。
この透明PPシートの着色POシート(基材シート)と
の接触面には、好ましくは、着色POシートの場合と同
様に、コロナ放電処理、プラズマ処理、易接着層の形成
等の易接着性処理が施される。
【0034】装飾処理としては、模様の印刷、エンボス
加工(加熱プレス)、ヘアライン加工等による凹凸模様
賦型等であってよく、更に凹凸模様の凹部に公知のワイ
ピング法によって着色インキを充填することもできる。
模様印刷の模様としては、木目柄、石目柄、布目柄、皮
絞模様、幾何学図形、文字、記号、各種抽象模様、或い
は全面ベタ印刷等がある。全面ベタ印刷の隠蔽層は化粧
シートを貼付する被着体の表面状態によって省略される
ことがある。
【0035】模様印刷のインキとしては、印刷基材(着
色POシートと又は透明PPシート)の材質や形態によ
って異なるが、一般的には、硝化綿、酢酸セルロース、
塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラー
ル、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等
の単独重合体、又は他のモノマーとの重合体をビヒクル
とし、これと通常の顔料、染料等の着色剤、体質顔料、
硬化剤、添加剤、溶剤等からなるインキが使用される。
特に、本発明の化粧シートには、耐熱性、耐候性に優れ
たインキが、用途に応じて適宜選定される。
【0036】模様印刷としては、グラビア印刷、凹版印
刷、オフセット印刷、活版印刷、フレキソ印刷、シルク
スクリーン印刷、静電印刷、インクジェット印刷等通常
の印刷方式が使用できる。もしくは、別に離型性シート
上に一旦絵柄模様を形成して転写シートを作成し、得ら
れた転写シートからの転写印刷方式によって模様印刷を
転写して設けてもよい。また、模様印刷に代えて、アル
ミニウム、クロム等の金属薄膜をシート又はフィルムの
全面又は部分的に形成して装飾処理とすることもでき
る。
【0037】上記の着色POシートと透明PPシート
は、一般的には、ドライラミネーション法により接着剤
によって積層される。ドライラミネーション法による代
表的な接着剤としては、イソシアネートを硬化剤とする
二液硬化型ウレタン樹脂やポリエステル樹脂が使用され
るが、その他に、ゴム系樹脂やポリエステル樹脂等も使
用される。また、溶融押し出し法(エクストルージョン
法)や熱プレスによる熱融着法等によりラミネートする
こともできる。装飾処理が着色POシートに設けられた
場合は、表面の透明PPシート側から接着層を通して装
飾処理層が見える必要があり、接着層に透明性が要求さ
れる。しかし、装飾処理が透明PPシートの裏面に設け
られた場合は、接着層は透明でも、不透明でもどちらで
もよい。
【0038】エンボス加工は、従来公知のエンボス加工
法がすべて利用できるが、例えば、通常の熱プレス方式
の枚葉又は輪転式エンボス機が用いられる。また、印刷
した着色POシートと透明PPシートを熱ラミネートす
るときに、エンボス版を用いて同時に表面の透明PPシ
ートにエンボス加工を施す、所謂ダブリングエンボス方
式により凹凸を形成することもできる。エンボス凹部の
深さは、エンボスによって表現される模様等によって異
なるが、化粧シート表面に良好な凹凸感を表現するに
は、30〜80μm程度が好ましい。
【0039】エンボス模様は木目の導管溝、浮造木目板
の年輪凹凸等の木材表面のテクスチュアーを表現したも
の、塗装板の艶状態を再現したもの、又はそれらを組み
合わせたもの、その他、ヘアライン、砂地、梨地、抽象
パターンや、御影石板等の石材板表面のテクスチュアー
を表現する石目パターン、布帛の表面テクスチュアーを
表現する布目パターン、皮革面のテクスチュアーを表現
する皮絞パターン等を用いることができる。
【0040】前記エンボス凹部に充填されるワイピング
インキとして使用される着色インキは、ウレタン樹脂、
アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、その他常用のインキ
のビヒクルに、通常の顔料、染料等の着色剤、体質顔
料、硬化剤、添加剤、溶剤等からなるインキの中から、
用途に応じて選定されるが、二液硬化型のインキが密着
性、耐溶剤性の点で好ましい。また、ワイピング法は、
ドクターブレード法、ロールコート法等、従来から使用
されている公知のワイピング法のいずれによってもよ
い。
【0041】更に、表面シートの表面に、エンボス加工
を施し、該エンボス凹部にワイピングインキを充填させ
る場合は、該ワイピングインキ中に抗菌剤を添加するこ
とがきる。ワイピングインキ中の抗菌剤の含有量は、乾
物として0.1〜10重量%が好ましい。本発明にあっ
ては、更に、前記ワイピング加工した化粧シートに抗菌
性能を有する抗菌性塗膜を設けて、化粧シートに抗菌性
能を付与する。但し、ワイピングインキ及び透明PPシ
ートに抗菌剤を含ませている場合は設けなくてよい。
【0042】抗菌性能を有する抗菌性塗膜は以下のよう
にして形成される。抗菌性能を有する抗菌性塗膜は、抗
菌剤を添加した樹脂組成物を用いて、公知のコート法に
より抗菌性の樹脂層を形成したものである。抗菌性塗膜
の厚さは2〜10μmが好ましい。抗菌性塗膜に用いら
れる樹脂としては、抗菌剤に悪影響を与える物質が含ま
れないことが必要であり、また、抗菌剤と反応して着色
したり、熱、光、電離放射線等で変色したりするものは
使用できない。特に熱硬化性樹脂の硬化に用いる酸触媒
や抗菌剤の金属イオンを還元する性質を有する化合物等
は添加しないようにする。
【0043】上記条件を満足する熱可塑性樹脂として
は、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニルー酢酸ビニル共重合
体、ポリ塩化ビニル等のビニル樹脂系、ポリ(メタ)ア
クリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ
(メタ)アクリル酸ブチル、等の(メタ)アクリル酸エ
ステルの単独又は共重合体等のアクリル樹脂系、セルロ
ース系樹脂、熱可塑性ポリエステル、塩素化ポリオレフ
ィン等がある。但し、上記ポリ(メタ)アクリル酸メチ
ルとはポリアクリル酸メチル又はポリメタアクリル酸メ
チルを意味するものとし、以下(メタ)は同じ意味に使
用する。
【0044】熱硬化性樹脂としては、二液硬化型のポリ
ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂系、エポキシ樹
脂系、アミノアルキッド樹脂系、メラミン樹脂、グアナ
ミン樹脂、尿素樹脂、熱硬化型アクリル樹脂等がある。
【0045】電離放射線硬化性樹脂としては、分子中に
(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ
基等の重合性不飽和基、エポキシ基、チオール基等を含
む単量体及び/又はプレポリマーから成る組成物を電離
放射線で重合(架橋反応、附加反応等)硬化させてなる
物であり、電離放射線としては、電子線、紫外線等が用
いられる。これらのプレポリマー例としては、ウレタン
(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレ
ート、エポキシ(メタ)アクリレート等の(メタ)アク
リレート、不飽和ポリエステル等が挙げられる。単量体
の例としては、スチレン、αーメチルスチレン等のスチ
レン系単量体、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)ア
クリル酸ー2ーエチルヘキシル、ジペンタエリスリトー
ルヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトー
ルペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパ
ントリ(メタ)アクリレート等がある。
【0046】上記抗菌性塗膜、表面シート及びワイピン
グインキに添加する抗菌剤としては、一般に市販されて
いる工業用抗菌剤が使用できる。抗菌剤には有機系抗菌
剤と無機系抗菌剤があるが、下記の抗菌剤が使用でき
る。
【0047】 無機系抗菌剤として、特公昭63ー5
4013号公報、特開平4ー300975号公報、特許
第2529574号公報等に開示されているゼオライ
ト、アパタイト、ガラス、シリカゲル、リン酸塩、リン
酸ジルコニウム等のイオン交換可能なイオンの一部又は
全部を、銀、銅、亜鉛、錫、鉛、水銀、コバルト、アン
モニウム等のイオンで置換したイオン交換体がある。中
でも、ゼオライト、リン酸ジルコニウムのイオン交換可
能なイオンの一部を銀イオンで置換したものが、安全性
や実積面から望ましい。ゼオライト、リン酸ジルコニウ
ムに担持させた金属イオンの含有量としては、銀イオン
の場合は0.1〜15重量%、銅又は亜鉛イオンの場合
は0.1〜8重量%が好ましい。また、上記金属イオン
で置換したイオン交換体を更にアンモニウムイオンで置
換したものもある。(特公平4ー28646号公報、特
許第2529574号公報等に開示)
【0048】 抗菌性を有する有機化合物としては、
p−アミノベンゼンスルホンアミド、スルファチアゾー
ル、スルファピリジン、スルファピダイアジン等のスル
ファ剤、ジメチルジチオカルバメート、エチレンビスチ
オカルバメート、等のジチオカルバミン酸塩、2−(2
−フリル)−3−(5−ニトロ−2−フリル)アクリル
アミド等が挙げられる。
【0049】 抗菌性及び防黴性を有する化合物とし
ては、トリメトキシシリルプロピルオクタデシルアンモ
ニウムクロライド、10,10′−オキシビスフェノキ
シアルシン、2−(4−チアゾリル)−ベンズイミダゾ
ール、ビス(2−ピリジルチオ−1−オキシド)亜鉛、
2−N−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、
2,3,5,6,−チトクロロ−4−(メチルチオ)−
フタルイミド、N−(フルオロジクロロメチルチオ)フ
ロルイミド、グリセオフルビン、トリコマイシン、アン
ホテリシンB等がある。
【0050】 抗生物質としては、フェノキシメチル
ペニシリン、ジクロキサシリン等のペニシリン、セファ
ロチン、セファゾリン等のセファロスポリン、硫酸スト
レプトマイシン、パロモマイシン(硫酸塩)等のストレ
プトマイシン、エリスロマイシン、ジョサマイシン等の
エリスロマイシン、テトラサイクリン、硝酸ロリテトラ
サイクリン等のテトラサイクリン、クロランフェニコー
ル、チアンフェニコールアミン酢酸エステル塩酸塩等の
クロランフェニコール等がある。
【0051】尚、上記無機系抗菌剤の粒径としては、そ
の添加量が1〜10重量%、塗布厚(乾物として)が2
〜10μmに対しては、0.1〜10μmの範囲で適度
な粒度分布のものを用いると最小添加量で最大の抗菌作
用を与える上で好ましい。特に粒径2〜5μmが良好で
ある。
【0052】抗菌剤を添加した樹脂組成物は抗菌剤に悪
影響を与える成分は除去する必要があり、樹脂成分、溶
媒、抗菌剤の単純系が望ましい。前記樹脂組成物は塗膜
を形成したとき、多くは透明性であることが望まれるた
め、溶媒に溶解しない無機系抗菌剤を添加する場合、そ
の添加量は制限される。更に、銀、ニッケル等の金属は
有機化合物に対する変色、変質、劣化の原因となる場合
が多く、この点からも過剰の添加は好ましくない。
【0053】上記抗菌剤の場合、樹脂組成物が抗菌性塗
膜を形成したときの乾物量として、抗菌剤の含有量は
0.1〜10重量%の範囲が望ましく、抗菌性効果及び
透明性を重視した場合は2〜5重量%が好適である。抗
菌剤の含有量が10重量%を越える場合は、前記問題点
が無視できなくなり、又、0.1重量%未満では十分な
抗菌作用が得られない。
【0054】抗菌剤を添加した樹脂組成物を用いて、抗
菌性塗膜を形成する方法としては、グラビアコート、ロ
ールコート、エアナイフコート、キスコート、スプレー
コート、ホイラーコート、カーテンフローコート、刷毛
塗りもしくはグラビア印刷、グラビアオフセット印刷、
凹版印刷、シルクスクリーン印刷法等によって行うこと
ができる。
【0055】抗菌性塗膜は最小添加量で最大の抗菌効果
を発揮させるため、抗菌剤粒子の一部が塗膜の表面に露
出している必要があり、抗菌剤の添加量0.1〜10重
量%に対して塗膜の厚さは2〜10μm程度で、抗菌剤
粒子は好ましくは2〜5μm程度にする必要がある。塗
布方式により塗布量が足りない場合は、1回コートから
2回〜3回コート程度の重ね刷りを行う場合もある。し
かし、抗菌剤の粒径が大きい場合や添加量を多くした場
合は塗膜の厚さを10μm超過しても抗菌作用は発揮で
きるが、透明性は望まれない。又、塗膜内部に封入さ
れ、直接抗菌作用に寄与しない物の比率が増える。塗膜
を2μm未満にすると塗膜の十分な耐久性と前記粒径、
添加量の無機系抗菌剤を塗膜に膠着させる結合力とが不
十分となる。
【0056】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明を更に詳細
に説明する。 (実施例1)高密度ポリエチレンをベースにして、これ
に熱可塑性エラストマーとしてスチレン−ブタジエンゴ
ムを30重量%、無機充填剤として炭酸カルシウム10
重量%、着色顔料として弁柄とカーボンブラックを5重
量%、熱安定剤及びヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤
を5重量%、添加したブレンド物をカレンダー製膜法に
よって製膜し、厚さ100μmの不透明着色シート(以
下着色PEシート11aとする)を得た。次いで、図4
(a)に示すように、この着色PEシート11aの表面
に、ウレタン系2液硬化型プライマー液(昭和インク工
業(株)製「AFS メジューム」)を塗布してプライマー
層20を形成した後、ポリウレタン系2液硬化型白色イ
ンキ(昭和インク工業(株)製「UEベタホワイト着
色」) を用いて、白色のベタ印刷層12bを形成し、そ
の上に、塩化ビニルー酢酸ビニル系インキ(昭和インク
工業(株)製「化X 」) を用いて、柾目柄をグラビア印
刷して絵柄印刷層12aを設けた。
【0057】一方、アイソタクティックポリプロピレン
50重量%とアタクティックポリプロピレン50重量%
のブレンドポリプロピレンに、紫外線吸収剤としてベン
ゾトリアゾール系紫外線吸収剤を3000ppm、光安
定剤としてヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤を500
0ppmを添加し、このブレンドポリプロピレンを溶融
押し出し法によりシート化し、厚さ100μmの透明な
軟質ポリプロピレンシート(透明PPシート)を得た。
次いで、図4(b)に示すように、この透明PPシート
に、抗菌剤として粒径分布が2〜5μmで、銀含有量が
2.5重量%、亜鉛含有量14.5重量%である銀イオ
ン系ゼオライト抗菌剤を5重量%添加したウレタン系2
液硬化型インキ(昭和インク工業(株)製「OP-A4 コー
キン」)を用いて、グラビアロールコート方式により、
抗菌剤16を含有する抗菌性塗膜15を形成した。抗菌
性塗膜15は硬化後の厚さが3μmになるようにした。
【0058】次に、前記着色PEシートの印刷面にウレ
タン系接着剤(大日精化工業(株)製「E-288L」)を塗
布し、図4(c)に示すように、前記透明PPシートの
PP面をドライラミネートして抗菌性化粧シート1を作
製した。
【0059】(実施例2)実施例1と同様に、着色PE
シート11aに、プライマー層20、ベタ印刷層12
b、絵柄印刷層12aを形成した後、この着色PEシー
ト11aに、図5(a)に示すように、実施例1と同じ
透明PPシート14を、実施例1と同様にドライラミネ
ートして積層シート2を作製した。上記積層シート2の
透明PPシート14の表面に、図5(b)に示すよう
に、熱プレス方式のエンボス機を用いて、木目導管のエ
ンボス模様18を形成した。次いで、前記積層シートの
エンボス模様面にコロナ処理を行った後、図5(c)に
示すように、抗菌剤を添加しないウレタン系樹脂のワイ
ピングインキ17a(昭和インク工業(株)製「W-141
1」)を用いて、そのエンボス凹部にワイピングインキ
17aを充填した。更にその上に、図5(d)に示すよ
うに、実施例1と同様に、抗菌剤を添加したインキを用
いて、グラビアロールコート方式により、厚さ3μmの
抗菌性塗膜15を形成して、抗菌性化粧シート1を作製
した。
【0060】(実施例3)図6(a)に示すように、着
色PEシート11aに、プライマー層20、ベタ印刷層
12b、絵柄印刷層12aを形成した。一方、実施例1
で用いたブレンドポリプロピレンに、実施例1で用いた
抗菌剤を5重量%添加し、この抗菌剤を含有するブレン
ドポリプロピレンを溶融押出し法により、図6(b)に
示すように、厚さ100μmの抗菌剤含有透明なPPシ
ート14を作製した。次に、印刷した着色PEシート1
1aと抗菌剤16を含有する透明なPPシート14をド
ライラミネーションによってラミネートし、図6(c)
に示すような抗菌性化粧シート1を作製した。
【0061】(実施例4)図7(a)に示すように、実
施例1と同様に、抗菌性化粧シート1を作製した。次
に、この抗菌性化粧シート1の抗菌剤16を含有する抗
菌性塗膜15面に、実施例2と同様に、エンボス模様を
形成して、図7(b)に示すように、表面にエンボス模
様を有する抗菌性化粧シート1を作製した。
【0062】抗菌剤を添加しない化粧シートを、実施例
と同様に作製して、下記のような比較例1、2、3、4
の抗菌性能のない化粧シートを得た。 (比較例1)抗菌性塗膜に相当する最表面に抗菌剤を添
加しない以外は、実施例1と同様に化粧シートを作製し
て比較例1とした。 (比較例2)抗菌性塗膜に相当する最表面に抗菌剤を添
加しない以外は、実施例2と同様に化粧シートを作製し
て比較例2とした。 (比較例3)透明なPPシートに抗菌剤を添加しない以
外は、実施例3と同様に化粧シートを作製して比較例3
とした。 (比較例4)抗菌性塗膜に相当する最表面に抗菌剤を添
加しない以外は、実施例4と同様に化粧シートを作製し
て比較例4とした。
【0063】(抗菌性試験)上記実施例1、2、3、4
で作製した抗菌性化粧シート及び比較例1、2、3、4
で作製した化粧シートについて下記の方法で細菌に対す
る抑制効果を試験した。 試験菌株 ・エッシェリシア・コリ(Escherichia coli IFO 3301)
(大腸菌、以下 E.coliとする) ・メチシリン レジスタント スタフィロコッカス・ア
ウレウス(Methicillin Resistant Staphylococcus aur
eus )(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、以下 MRSA と
する) 試験菌液の調製 普通ブイヨン培地(栄研化学(株)製)で35℃、16
〜20時間振盪培養した試験菌の培養液を滅菌リン酸緩
衝液で20,000倍に希釈して菌液とした。また、菌
液は別途生菌数を測定した。 抗菌性試験 検体(抗菌性化粧シートと化粧シート)の抗菌性樹脂層
面に菌液1mlを滴下し、25℃で24時間保存後に菌
数を測定して、検体の抗菌性能を判定した。尚、対照試
料としてシャーレに菌液1ml滴下し、同様に試験し
た。 生菌数の測定 24時間保存した検体及び対照試料をSCDLP(Soy
Casein Digest Lecithin Polysorbate) 培地(日本製薬
(株)製)10mlで洗い出し、この洗い出し液につい
て標準寒天培地(栄研化学(株)製)を用いた混釈平板
培養法(35℃、2日間培養)により生菌数を測定し、
検体及び対照試料当たりの菌数を算出した。
【0064】試験結果は表1に示すとおりで、実施例で
作製した検体はいずれも殺菌効果が優れており、本発明
の抗菌性能を有する化粧シートの抗菌性能が実証でき
た。即ち、実施例1、2、3、4で作製した抗菌性化粧
シートにより、24時間後には、E.coliでは、初
期菌数1.2×105 個から30個に、MRSAでは、
初期菌数2.4×105 個から10以下に減少してお
り、E.coli及びMRSAに対する抗菌性化粧シー
トの殺菌率は99.99%以上である。これに対して、
抗菌剤を添加しない比較例1、2、3、4では、E.c
oli及びMRSAの24時間後の残存菌数は、未だ、
104 〜105 個も残存していた。従って、本発明の抗
菌性化粧シートは、殺菌効果が優れており、病院その他
の衛生的な環境を必要とする場所での各種備品に利用す
れば、細菌汚染の防止に有効な手段となり得ることが期
待できる。
【0065】
【表1】 *E.coli:Escherichia coli IFO 3301 *MRSA:Methicillin Resistant Staphylococcus aureus
【0066】
【発明の効果】本発明の抗菌性化粧シートは、プラスチ
ック、紙、木材、金属板、無機系素材等あらゆる基材に
貼付することによりその表面に抗菌性能を付与すること
ができるので、室内水回り関係や高温多湿の場所及び病
院その他衛生的な環境を必要とする場所で使用される各
種備品(電気製品、キャビネット、各種器具等)に対
し、抗菌性能を付与するには非常に有効な手段である。
例えば、本発明の抗菌性化粧シートを用いて化粧鋼板を
作製し、この化粧鋼板を、病院の間仕切り、衝立、手摺
等に利用した場合は、付着した細菌に対して殺菌作用を
示すので、室内を清潔に維持できると共に、各種細菌の
院内感染を防止することもできる。また、本発明の抗菌
性化粧シートを、既存の電気製品、キャビネット、各種
器具等に貼付することにより、抗菌性能を付与すること
ができるので、細菌の汚染防止に経済的負担が少なくて
済む。更に、着色ポリオレフィン系樹脂よりなる基材シ
ートに、無色又は着色透明な軟質ポリプロピレン系樹脂
よりなる表面シートを積層した構造の化粧シートにおい
て、高密度ポリエチレンに熱可塑性エラストマー、着色
剤及び無機充填剤とを配合したポリオレフィン系樹脂に
より基材シートを構成し、アイソタクティックポリプロ
ピレンとアタクティックポリプロピレンの混合系からな
る複合立体構造を有する軟質ポリプロピレンにより表面
シートを構成し、その表面シートに抗菌処理を施すによ
り、本発明の抗菌性化粧シートは、従来の化粧シートの
欠点を解消でき、抗菌性化粧シートを積層した化粧材に
Vカット加工を施しても、表面シートに亀裂が生じた
り、白化したりする虞れがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による抗菌性化粧シートの一例を示す模
式断面図である。
【図2】本発明の抗菌性化粧シートの別の態様で、表面
の透明なPPシートに抗菌剤を添加して抗菌性を付与し
た抗菌性化粧シートの模式断面図である。
【図3】本発明の抗菌剤を含有する抗菌性塗膜を形成し
て抗菌性化粧シートを作製するときの説明図である。
【図4】実施例1により本発明の化粧シートを作製する
ときの説明図である。
【図5】実施例2により本発明の化粧シートを作製する
ときの説明図である。
【図6】実施例3により本発明の化粧シートを作製する
ときの説明図である。
【図7】実施例4により本発明の化粧シートを作製する
ときの説明図である。
【符号の説明】 1 抗菌性化粧シート 2 積層シート 11 着色POシート 11a 着色PEシート 12 模様 12a 絵柄印刷層 12b ベタ印刷層 13 接着層 14 透明PPシート 15 抗菌性塗膜 16 抗菌剤 17 ワイピングインキ(抗菌剤含有) 17a 抗菌剤なしのワイピングインキ 18 エンボス模様 19 エンボス凹部 20 プライマー層

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 着色ポリオレフィン系樹脂よりなる基材
    シートに、無色又は着色透明な軟質ポリプロピレン系樹
    脂よりなる表面シートを積層し、該基材シート又は該表
    面シートのいずれか又は両方に装飾処理を施してなる化
    粧シートにおいて、該着色ポリオレフィン系樹脂が、主
    原料が高密度ポリエチレン、熱可塑性エラストマー、着
    色剤、及び無機充填剤からなり、該軟質ポリプロピレン
    系樹脂が、アイソタクティックポリプロピレンとアタク
    ティックポリプロピレンの混合系からなる複合立体構造
    を有し、該表面シートに抗菌処理を施したことを特徴と
    する抗菌性化粧シート。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000301680A (ja) * 1999-04-19 2000-10-31 Dainippon Printing Co Ltd 化粧シート及びそれを用いた化粧材
JP2010082905A (ja) * 2008-09-30 2010-04-15 Dainippon Printing Co Ltd 化粧シート
JP2011236703A (ja) * 2010-05-13 2011-11-24 Lonseal Corp 壁装材用抗菌防汚フィルム及びそれを積層して成る壁装材
JP2019043089A (ja) * 2017-09-06 2019-03-22 Dicデコール株式会社 化粧板

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