JP4412623B2 - 化粧シート及び化粧板 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物の内装、建具の表面化粧、車両内装の表面化粧等に利用可能であり、装飾性に優れた化粧シート及び化粧板に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、建築物の内装剤等の用途には塩化ビニルシート等の基材シートの表面に木目等の絵柄を設け、該絵柄の表面に保護層として、透明塩化ビニルシート等の熱可塑性樹脂を積層して構成されたシートや、木目等の立体感を出す為に、前記保護層の表面に木目柄に対応した凹凸模様等のエンボス加工を施したシートが化粧シートとして使用されてきた。
【0003】
近年、上記化粧シートに代わるものとして、高密度ポリエチレン、熱可塑性エラストマー、着色剤、及び無機充填剤を含む材料から構成される着色シート上に直接又は他の層を介して電離放射線硬化型樹脂が保護層として形成されたシートが化粧シートとして提案された(特開平10−45926号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記電離放射線硬化型樹脂が保護層として形成された化粧シートは、熱成形性、エンボス加工性、耐熱性、透明性にはすぐれているが、基材シートと保護層の密着性が必ずしも十分ではなく、特に実際に使用されて紫外線の照射を受けると剥離し易くなるという問題があった。この問題は、基材シートの表面に易接着性樹脂を塗布したり、コロナ放電処理をする等という従来から公知の方法では解決することができなかった。
【0005】
本発明は上記従来技術の欠点を解決するためのものである。即ち、オレフィン系樹脂からなる基材シート上に印刷層を形成し、その印刷層上に電離放射線硬化型樹脂から構成される保護層を積層してなる化粧シートであって、該基材シートと保護層の密着性に優れ、且つ熱成形性、透明性、耐光性に優れた化粧シートを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の化粧シートは、オレフィン系樹脂からなる基材シートの表面上に印刷層を形成し、その印刷層上に、電離放射線硬化型樹脂より構成される保護層を積層してなる化粧シートにおいて、基材シートが、ポリエチレンとエラストマーの混合物又はポリプロピレンとエラストマーの混合物からなるオレフィン系樹脂より構成され、保護層が、2種類以上の分子量の異なるウレタンアクリレートオリゴマーの混合物からなる電離放射線硬化型樹脂を硬化させて形成された層からなり電離放射線硬化型樹脂を硬化させて保護層を形成した後において、印刷層が形成された基材シート保護層の長手方向における加熱収縮率の差が±1%以内、及び巾方向における加熱収縮率の差が±1%以内であることを要旨とする。
【0007】
本発明の化粧シートは、保護層の表面にエンボス加工を施すことが好ましく、該エンボス凹部に着色層を施すことが更に好ましい。又、本発明の化粧板は、前記各種の化粧シートが化粧板基材に貼着されて構成される。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に基づき詳細に説明する。図1は、本発明の化粧シート1の基本的構成を示す縦断面図である。図1において、2はオレフィン系樹脂からなる基材シートであって、該基材シート2の表面には印刷層3が設けられ、該印刷層3の表面には電離放射線硬化性樹脂からなる保護層4が形成されている。
【0009】
基材シート2は、オレフィン系樹脂であればよいが、▲1▼主原料がハードセグメントとしての高密度ポリエチレン又はポリプロピレンのいずれかからなり、これにソフトセグメントとしてのエラストマー及び無機充填剤を添加してなる混合物が挙げられる。また、▲2▼特開平9−111055号公報、特開平5−77371号公報、特開平7−316358号公報等に記載されるエチレン−プロピレン−ブテン共重合体を基材シート2に用いることもでき、▲3▼特公平6−23278号公報記載のハードセグメントであるアイソタクチックポリプロピレンとソフトセグメントとしてのアタクチックポリプロピレンとの混合物を基材シート2に用いることもできる。
【0010】
前記▲1▼のオレフィン系樹脂におけるハードセグメントとしての高密度ポリエチレンとしては、好ましくは、比重が0.94〜0.96のポリエチレンであって、低圧法で得られる結晶化度が高く、分子に枝分かれ構造の少ない高分子である高密度ポリエチレンが用いられる。また、ハードセグメントとしてのポリプロピレンとしては、好ましくは、アイソタクチックポリプロピレンが用いられる。
【0011】
前記▲1▼のソフトセグメントとしてのエラストマーとしては、ジエン系ゴム、水素添加ジエン系ゴム、オレフィンエラストマー等が用いられる。水素添加ジエン系ゴムは、ジエン系ゴム分子の二重結合の少なくとも一部分に水素原子を付加させてなるもので、ポリオレフィン系樹脂の結晶化を抑えて、その柔軟性を向上させる。ジエン系ゴムとしては、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、プロピレン・ブタジエンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、アクリロニトリル・イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム等がある。オレフィンエラストマーとしては、2種類又は3種類以上のオレフィンと共重合しうるポリエンを少なくとも1種類加えた弾性共重合体であり、オレフィンとしてはエチレン、プロピレン、α−オレフィン等が使用され、ポリエンとしては、1,4ヘキサジエン、環状ジエン、ノルボルネン等が使用される。好ましいオレフィンエラストマーとしては、例えばエチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエンゴム、エチレン−ブタジエン共重合体ゴム等のオレフィンを主成分とする弾性共重合体が挙げられる。なお、これらのエラストマーは、必要に応じて有機過酸化物、硫黄等の架橋剤を用いて、過重架橋させても良い。
【0012】
これらエラストマーの添加量としては、10〜60重量%、好ましくは30重量%程度である。10重量%より低いと一定荷重伸度の変化が急峻になり過ぎ、また、破断時伸度、耐衝撃性、易接着性の低下が生じ、60重量%より高いと透明性、耐候性および耐クリープ性の低下が生ずる。
【0013】
又、前記▲1▼の無機充填剤としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、タルク等の平均粒径0.1〜10ミクロン程度の粉末が用いられる。添加量としては、1〜60重量%程度、好ましくは5〜30重量%程度である。1重量%未満では耐クリープ変形性及び易接着性の低下が生じ、60重量%を超えると破断時伸度及び耐衝撃性の低下が生じる。
【0014】
前記▲2▼のオレフィン系樹脂としては、エチレン・プロピレン・ブテン共重合体樹脂からなる熱可塑性エラストマーが用いられる。ここで、ブテンとしては、1ブテン、2ブテン、イソブチレンの3種の構造異性体のいずれも用いることができる。共重合体としては、ランダム共重合体であって、非晶質の部分を一部含む。
【0015】
上記エチレン・プロピレン・ブテン共重合体樹脂の好ましい具体例としては、次の(i)〜(iii)が挙げられる。
【0016】
(i)特開平9−111055号公報に記載されるエチレン、プロピレン及びブテンの3元共重合体によるランダム共重合体。単量体成分の重量比率はプロピレンが90重量%以上である。メルトフローレートは、230°C、2.16kgの条件下で1〜50g/10分であることが好ましい。このような3元ランダム共重合体100重量部に対して、上記ランダム共重合体は、燐酸アリールエステル化合物を主成分とする透明造核剤を0.01〜50重量部、炭素数を12〜22の脂肪酸アミド0.003〜0.3重量部を溶融混練してなるものである。
【0017】
(ii)特開平5−77371号公報に記載されるエチレン、プロピレン及びブテンの3元共重合体であって、プロピレン重量比率が50重量%以上の非晶質重合体20〜100重量%に、結晶質ポリプロピレンを80〜0重量%添加してなるエチレン・プロピレン・ブテン共重合体。
【0018】
(iii)特開平7−316358号公報に記載されるエチレン、プロピレン、1ブテンの3元共重合体であって、プロピレン及び/又は1ブテン含有率が50重量%以上の低結晶質重合体20〜100重量%に、アイソタクチックポリプロピレン等の結晶性ポリオレフィン80〜0重量%を混合した組成物に対して、Nアシルアミノ酸アミン塩、Nアシルアミノ酸エステル等の油ゲル化剤を0.5重量%添加したエチレン・プロピレン・ブテン共重合体。
【0019】
上記(i)〜(iii)のエチレン・プロピレン・ブテン共重合体樹脂は、単独で用いても良いし、該エチレン・プロピレン・ブテン共重合体樹脂に必要に応じて更に他のポリオレフィン樹脂を混合して用いても良い。
【0020】
前記▲3▼のオレフィン系樹脂としては、特公平6−23278号公報記載の(A)ソフトセグメントとして数平均分子量Mnが25000以上、且つ重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比Mw/Mn≦7の沸騰ヘプタンに可溶なアタクチックポリプロピレン10〜90重量%と、(B)ハードセグメントとしてのメルトインデックスが0.1〜4g/10分の沸騰ヘプタン不溶性のアイソタクチックポリプロピレン90〜10重量%との混合物からなる軟質ポリプロピレンが挙げられる。
【0021】
上記▲3▼のオレフィン系熱可塑性エラストマーの中でも、アイソタクチックポリプロピレンとアタクチックポリプロピレンの混合物からなり、且つアタクチックポリプロピレンの重量比率が5〜50重量%のものが好ましく、アタクチックポリプロピレンの重量比率が20〜40重量%のものが特に好ましい。アタクチックポリプロピレンの重量比率が5重量%未満ではエンボス加工をしたり、3次元形状や凹凸形状の物品に成形加工する際にネッキングによる不均一なシートの変形や、その結果としての皺、絵柄の歪み等が生ずる。一方、アタクチックポリプロピレンの重量比率が50重量%を超えると、シート自体が変形し易くなり、シートを印刷機に通した時にシートが変形し、絵柄の歪み、多色刷の場合に見当が合わなくなる等の不良が発生しやすくなり、成形時においてはシートが破れ易くなる。
【0022】
前記基材シート2のオレフィン系樹脂中には必要に応じて、着色剤、熱安定剤、難燃剤、紫外線吸収剤、ラジカル捕捉剤等が添加される。着色剤としては、チタン白、亜鉛華、べんがら、朱、群青、コバルトブルー、チタン黄、黄鉛、カーボンブラック等の無機顔料、イソインドリノン、ハンザイエローA、キナクリドン、パーマネントレッド4R、フタロシアニンブルー等の有機顔料あるいは染料、アルミニウム、真鍮等の箔粉からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸亜鉛等の箔粉からなる真珠光沢顔料等が用いられる。着色剤は、基材シートに化粧シートとして必要な色彩を持たせるために添加され、透明着色と不透明(隠蔽)着色のいずれでも構わないが、一般的には被着体を隠蔽するために不透明着色が好ましい。
【0023】
又、熱安定剤としては、フェノール系、サルファイト系、フェニルアルカン系、フィスファイト系、アミン系等公知のものが使用でき、熱加工時の熱変色等の劣化の防止の向上を図る場合に用いられる。難燃剤は、難燃性を付与する場合に添加され、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの粉末が用いられる。
【0024】
紫外線吸収剤は、樹脂により良好な耐候性(耐光性)を付与するためのものであり、ベンゾトリアソール、ベンゾフェノン、サリチル酸エステル等の有機物、又は、0.2μm径以下の微粒子状の酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化チタン等の無機物が用いられる。その他に、ベンゾトリアゾール骨格にアクリロイル基又はメタクリロイル基を導入した反応型紫外線吸収剤も用いられる。尚、これらの紫外線吸収剤の添加量は、通常0.5〜10重量%程度である
【0025】
紫外線による劣化を更に防止し、耐候性を向上させるためには、ラジカル捕捉剤を添加することが好ましい。ラジカル捕捉剤としては、ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ビペリジニル)セバケート、ビス−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ビペリジニル)セバケート、その他、例えば特公平4−82625号公報に開示されている化合物等のヒンダード系ラジカル捕捉剤、ビペリジニル系ラジカル捕捉剤等が使用される。
【0026】
基材シート2は、これらの前記材料をブレンドしたものをカレンダー加工等の常用の方法により製膜して得ることができる。基材シートの厚みは40〜200μm、好ましくは100μm程度である。
【0027】
基材シート2の表面には、易接着層の塗布、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理等の易接着処理を施すことが好ましい。易接着層(プライマー層、或いはアンカー層ともいう)としては、アクリル樹脂、塩化ビニルー酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、塩素化ポリプロピレン、塩化ポリエチレンを使用することができるが、ウレタン樹脂が特に好ましい。
【0028】
易接着層に使用できる上記ポリウレタン樹脂は、ポリオ−ル(多価アルコ−ル)を主剤とし、イソシアネ−トを架橋剤(硬化剤)とするポリウレタンである。上記ポリオ−ルとしては、分子中に2個以上の水酸基を有するもので、例えばポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、アクリルポリオ−ル、ポリエステルポリオ−ル、ポリエーテルポリオール等を使用できる。上記イソシアネ−トとしては、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、或いはヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族(または脂環族)イソシアネートが用いられる。或いは、これらのイソシアネートの付加体又は多量体を用いることもできる。
【0029】
易接着層に使用できる上記アクリル樹脂としては、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸プロピル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル・(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、(メタ)アクリル酸エチル・(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体、スチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体等の(メタ)アクリル酸エステルを含む単独又は共重合体からなるアクリル樹脂(但し、ここで(メタ)アクリルとはアクリル又はメタアクリルを意味するものとし、以下同様である。)が用いられる。
【0030】
印刷層3は、絵柄印刷、着色印刷等により形成される。印刷層は、具体的には顔料添加による着色(透明又は不透明)の模様又はベタ印刷等からなり、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、転写シートからの転写印刷等の公知の印刷法を用い、インキ(或いは塗料)にて形成する。印刷層3の模様としては、木目模様、石目模様、布目模様、皮絞模様、幾何学図形、文字、記号等がある。印刷層3に用いられるインキは、バインダーとして、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル、酢酸ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂等を用い、1種又は2種以上混合して用いる。またこれに顔料等を添加したものでもよい。
【0031】
印刷層3は基材シート2表面の全面に設けても部分的に設けても何れでもよい。又、印刷層3は図1に示すように、基材シート2の表面全面に設けたべ夕印刷層31と、該印刷層の表面に部分的に設けた模様印刷層32とから構成してもよい。更に、印刷層3は保護層4の表面に設けることもできる。
【0032】
印刷層3として金属膜を形成することもできる。例えば、アルミニウム、クロム、金、銀、銅等の金属を真空蒸着、スパッタリング等の方法で金属薄膜として製膜して設けることができ、或いはこれらの組み合わせとして設けることもできる。該金属膜も全面に設けることもでき、部分的に設けることもできる。
【0033】
保護層4は、化粧シートに耐汚染性、耐擦傷性、エンボス加工性、及び耐熱性を付与するために設けるものであって、電離放射線硬化型樹脂を主成分とする。保護層4の加熱収縮率は、基材シート2の加熱収縮率との差が長手方向においては1%以内、巾方向においても1%以内になるように調節する必要がある。上記各々の方向における加熱収縮率の差が1%を超えると、保護層4と基材シート2との層間密着性が低下する。特に紫外線の照射を受けて、化粧シート1の温度が上昇すると、保護層4と基材シート2との間に過剰な剪断力が働き上記層間の接着性が悪くなる。
【0034】
保護層4の長手方向、巾方向の加熱収縮率を調節する手法としては、加熱収縮率の異なる複数の電離放射線硬化型樹脂を混合して用いる方法が挙げられる。具体的には、例えば、分子量が大きい軟質ウレタンアクリレートオリゴマーと分子量が小さい硬質ウレタンアクリレートオリゴマーの混合物を電離放射線硬化型樹脂として用いれば、保護層4の加熱収縮率を調節することができる。即ち、分子量が大きい軟質ウレタンアクリレートオリゴマーは加熱収縮率が小さいが、分子量が小さい硬質ウレタンアクリレートオリゴマーは加熱収縮率が大きいので、これらを配合する割合を適宜変化することによって保護層4の加熱収縮率を調節することができる。
【0035】
本発明において用いる電離放射線硬化型樹脂は、上記ウレタンアクリレートオリゴマーに限定されず、分子中に重合性不飽和結合または、エポキシ基を有するプレポリマー、オリゴマー、及び/又はモノマーを適宜混合した、電離放射線により硬化可能な組成物であって、且つ加熱収縮率が異なる電離放射線硬化型樹脂であれば、適宜選択して用いることができる。又、用いる電離放射線硬化型樹脂の数も二種類には限定されることはなく、複数であっても構わない。尚、ここで電離放射線とは、電磁波または荷電粒子線のうち分子を重合或いは架橋し得るエネルギー量子を育するものを意味し、通常紫外線または電子線等を意味する。
【0036】
電離放射線硬化型樹脂を硬化させるのに紫外線、更には可視光線を用いる場合は、電離放射線硬化型樹脂に光重合開始剤を添加する。光重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミノキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイド、チオキサントン類、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、メタロセン、等が挙げられる。又、光重合促進剤(増感剤)としてn−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等を、更に混合して用いることができる。光重合開始剤の添加量は、1〜10重量%の範囲が、硬化性が良好であることから好ましい。また光重合開始剤の種類としては、ベンゾフェノン系が硬化性が良好であることから好ましい。
【0037】
本発明においては、球状粒子を分散混合することによっても保護層4の加熱収縮率を微調節することができる。球状粒子を分散混合することは、耐擦傷性を付加することができる点でも好ましい。球状粒子の材質は加熱収縮率を調節することができれば、無機粒子及び有機樹脂粒子のいずれも用いることができるが、耐摩耗性、硬度も付与することができる点で、無機粒子が推奨される。
【0038】
球状粒子の材質は、具体的には、シリカ、α−アルミナ、酸化クロム、酸化鉄、ダイヤモンド、黒鉛などの無機粒子、および架橋アクリルなどの合成樹脂ビーズ等の有機樹脂粒子が挙げられる。特に,好ましい球状粒子は、シリカである。
【0039】
電離放射線硬化型樹脂からなる保護層4には、加熱収縮率の調節が可能であるという条件下において、電離放射線非硬化型樹脂を添加することができる。該電離放射線非硬化型樹脂としてはウレタン系、繊維素系、ポリエステル系、アクリル系、ブチラール系、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等の熱可塑性樹脂が用いられ、特に繊維素系、ウレタン系、ブチラール系は、可撓性の点から好ましい。
【0040】
保護層4には、必要に応じて着色剤、熱安定剤、難燃剤、紫外線吸収剤、ラジカル捕捉剤等を添加することができる。但し、紫外線吸収剤、ラジカル捕捉剤を添加した場合は、電子線で硬化させることが好ましい。
【0041】
保護層4を形成するための塗工組成物には、粘度を調整するために、樹脂の成分を溶解可能であり、常圧における沸点が70℃〜150℃の溶剤を、組成物中に60重量%以下の範囲で用いることができる。溶剤の添加量が60重量%以下の範囲であれば、乾燥がスムーズであり、生産スピードの大きな低下がない。
【0042】
上記の溶剤としては、塗料、インキ等に通常使用されるものが使用でき、具体例としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、アセトン、メチルエチルケトンメチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミルなどの酢酸エステル類、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0043】
保護層4を形成するには以下の方法を用いことができる。
▲1▼基材シートの表面に塗工組成物を直接塗工する直接コーティング法、又は、▲2▼剥離性の基材表面に電離放射線硬化型樹脂からなる保護層4を予め形成した後、該層を基材シートの表面に転写する、転写コーティング法が用いられる。
【0044】
上記▲1▼の直接コーティング法としては、グラビアコート、グラビアリバースコート、グラビアオフセットコート、スピンナーコート、ロールコート、リバースロールコート、キスコート、ホイラーコート、ディップコート、シルクスクリーンによるベタコート、ワイヤーバーコート、フローコート、コンマコート、かけ流しコート、刷毛塗り、スプレーコート等を用いることができるが、好ましいのはグラビアコートである。
【0045】
上記▲2▼の転写コーティング法は、下記の(a)〜(d)に示す、一旦薄いシート(フィルム)基材に塗膜を形成し架橋硬化せしめ、しかる後基材の表面に被覆する方法や、塗工組成物の塗膜を基材と共に立体物に接着するラミネート法(a,b)、一旦離型性支持体シート上に塗膜と必要に応じて接着剤層を形成し塗膜を架橋硬化させてなる転写シートを、その塗膜側を立体物に接着後、支持体シートのみ剥離する転写法(c)等の手段を利用することができる。即ち、(a)特公平2−42080号公報、特公平4−19924号公報等に開示されるような射出成形同時転写法或いは特公昭50−19132号公報に開示されるような射出成形同時ラミネート法や、(b)特開平4−288214号公報、特開平5−57786号公報に開示されるような真空成形同時転写法或いは特公昭56−45768号公報に開示されるような真空成形同時ラミネート法や、(c)特公昭59−51900号公報、特公昭61ー5895号公報、特公平3−2666号公報等に開示されるように、ラッピング同時転写法、又はラッピング同時ラミネート法や、(d)実公大15−31122号公報等に開示されているVカット加工同時ラミネート法或いは特公昭56−7866号公報等に開示されているVカット加工同時転写法などが挙げられる。尚、薄いシート基材に、樹脂層を形成する方法は上記の直接コーティング法と同じ各種のコーティング手段を用いることができる。
【0046】
又、下記の(A)〜(D)の工程を順次行う方法を用いることもできる(特開平2−26673号公報等記載)。
(A)非吸収性且つ離型性の合成樹脂シートに、未硬化液状の電離放射線硬化型樹脂組成物を塗工する工程。
(B)前記電離放射線硬化型樹脂組成物の塗布面が基材と接するようにラミネートする工程。
(C)前記電離放射線硬化型樹脂組成物の塗膜に電離放射線を照射して架橋、硬化させる工程。
(D)合成樹脂シートを剥離除去する工程。
上記の工程において、電離放射線硬化型樹脂として溶剤で希釈されたものを使用する場合には、工程(A)と(B)との間に溶剤を乾燥する工程を設ける。
【0047】
図2は、本発明の具体的構成例を示す縦断面図である。
図2において、5は前記易接着層、6は保護層4の表面にエンボス加工により形成した凹凸模様のエンボス凹部、7は凹凸模様のエンボス凹部に形成した着色層である。
【0048】
前記凹凸模様は、例えば印刷層3を設けた部分に対応するように設けても、また、印刷層3を設けた部分の全面に設けてもいずれでもよい。凹凸模様のパターンは、例えば木目、石目、砂目等の天然物の凹凸形状を模写したもの、文字記号、万線、各種の抽象模様、各種艶消し表面、鏡面光沢等が挙げられる。
【0049】
前記凹凸模様のエンボス凹部6を保護層4の表面に設ける方法は、例えば上記の転写コーティング法の際に、賦形フィルムを用いた、キャスト同時賦形方法が用いられる。また、保護層を塗工して硬化させずに未硬化の状態であれば、平板プレス機、ロールエンボス機等公知の各種プレス、エンボス機等を用い、熱、圧力によりエンボス板の凹凸形状を賦形し、その後保護層を硬化させる方法等を用いることができる。
【0050】
前記凹凸模様6のエンボス凹部に形成した着色層7は、ワイピング法により形成することができる。ワイピング法としては、ドクターブレードコート法またはナイフコート法にてエンボス凹部を含む表面全面にインキを塗布した後、凹陥部以外の表面からインキを除去することにより、エンボス凹部のみにインキ層7を形成する方法を用いることができる。該着色インキとしては、有機顔料と無機顔料、光輝性顔料等の着色顔料と、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化型樹脂等の結着剤樹脂と、ベヒクルとからなるインキ、エマルジョン型の水系タイプインキを使用でき、通常は着色インキを使用するが、透明又は半透明のインキを使用することもできる。
【0051】
本発明にかかる化粧板は、図3に示すように、上記の基材シート2、印刷層3、電離放射線硬化型樹脂からなる保護層4が順次積層された化粧シート1を化粧板基材9に貼着してなるものである。図3に示すように化粧シート1の接着は、化粧板基材9の表面に接着剤8を塗布した後、化粧シート1を接着剤8と接するように化粧板基材9に積層して一体化することで、図3に示すように化粧板10が得られる。接着剤8は、化粧シート1側に塗布してもよい。
【0052】
前記化粧板基材9としては、木材単板、木材合板、パーチクルボード、MDF(中密度繊維板)等の木質板、石膏板、石膏スラグ板等の石膏系板、珪酸カルシウム板、石綿スレート板、軽量発泡コンクリート板、中空押出セメント板等のセメント板、パルプセメント板、石綿セメント板、木片セメント板等の繊維セメント板、陶器、磁器、せっ器、土器、硝子、琺瑯等のセラミックス板、鉄板、亜鉛メッキ鋼板、ポリ塩化ビニルゾル塗工鋼板、アルミニウム板、銅板等の金属板、ポリオレフィン樹脂板、アクリル樹脂板、ABS板、ポリカーボネート板等の熱可塑性樹脂板、フェノール樹脂板、尿素樹脂板、不飽和ポリエステル樹脂板、ポリウレタン樹脂板、エポキシ樹脂板、メラミン樹脂板等の熱硬化型樹脂板、フェノール樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂等の樹脂を、硝子繊維不織布、布吊、紙、その他の各種繊維質基材に含浸硬化して複合化したいわゆるFRP板等の樹脂板が挙げられる。また、化粧板基材は上記各種基材の2種以上を接着剤、熱融着等の公知の手段により積層した複合基材を用いてもよい。
【0053】
接着剤としては、化粧板基材9と化粧シート1が接着可能なものであればよく、例えば酢ビ系、尿素系等が挙げられる。
【0054】
次に具体的に実施例を挙げて本発明を更に説明する。
【実施例】
実施例1及び比較例1〜3において共通して使用する印刷層が形成された基材シートを以下に述べる方法で作製した。
ポリプロピレンとエラストマーの混合物を主成分とする三菱化学MKV株式会社製「SB006LBR−1」(厚み80μm)を基材シートとして使用し、該基材シートにコロナ放電処理を施してから、グラビア印刷法により株式会社昭和インク工業所製「AFSメジューム」(二液硬化型のウレタン系樹脂)を使用して塗工量1g/m2 の易接着層を形成した。次に、絵柄インキとして株式会社昭和インク工業所製「TMK」(アクリル/ウレタン系樹脂)を使用してグラビア印刷法により木目印刷を施こすとにより印刷層が形成された基材シートを得た(以下、「シートA」と略称する。)。
【0055】
実施例2、3及び比較例4、5において共通して使用するシートBを以下に述べる方法で作製した。
基材シートとして既に易接着層が形成されているポリエチレンとエラストマーの混合物を主成分とするタツノ化学株式会社製「F21SAW003」(厚み90μm)を使用し、実施例1と同様の絵柄インキを使用してグラビア印刷法による木目印刷を施こすとにより印刷層が形成された基材シートを得た(以下、「シートB」と略称する。)。
【0056】
実施例1
シートAの印刷層が形成された表面上に下記組成の大日精化工業株式会社製の電離放射線硬化型樹脂「EBS04」をロールコート方式で30g/m2 塗工した。次に、電子線を照射(照射線量5Mrad、加速電圧175KV、ラインスピード40m/min)し、電離放射線硬化型樹脂「EBS04」からなる層を硬化させて保護層を形成し(以下、該硬化した層を「保護層C」と略称する。」)、化粧シートを得た。
【0057】
電離放射線硬化型樹脂「EBS04」の組成
分子量が大きい軟質ウレタンアクリレートオリゴマー 80重量部
分子量が小さい硬質ウレタンアクリレートオリゴマー 20重量部
シリカ 10重量部
【0058】
実施例2
シートBの印刷層が形成された表面上に下記組成の大日精化工業株式会社製の電離放射線硬化型樹脂「EBS02マットK」をロールコート方式で30g/m2 塗工した。次に、実施例1と同様に電子線を照射し、電離放射線硬化型樹脂「EBS02マットK」からなる層を硬化させて保護層を形成し(以下、該硬化した層を「保護層D」と略称する。」)、化粧シートを得た。
【0059】
電離放射線硬化型樹脂「EBS02マットK」の組成
分子量が大きい軟質ウレタンアクリレートオリゴマー 70重量部
分子量が小さい硬質ウレタンアクリレートオリゴマー 30重量部
シリカ 10重量部
【0060】
実施例3
シートBの印刷層が形成された表面上に下記組成の大日精化工業株式会社製の電離放射線硬化型樹脂「EBS02(15M・S)」をロールコート方式で30g/m2 塗工した。次に、実施例1と同様に電子線を照射し、電離放射線硬化型樹脂「EBS02(15M・S)」を硬化させて保護層を形成し(以下、該硬化した層を「保護層E」と略称する。」)、化粧シートを得た。
【0061】
電離放射線硬化型樹脂「EBS02(15M・S)」の組成
分子量が大きい軟質ウレタンアクリレートオリゴマー 60重量部
分子量が小さい硬質ウレタンアクリレートオリゴマー 40重量部
シリカ 10重量部
【0062】
比較例1
シートAの印刷層が形成された表面上に実施例2と同様に大日精化工業株式会社製の電離放射線硬化型樹脂「EBS02マットK」をロールコート方式で30g/m2 塗工した。次に、実施例1と同様に電子線を照射し、電離放射線硬化型樹脂「EBS02マットK」を硬化させて保護層Dを形成し、化粧シートを得た。
【0063】
比較例2
シートAの印刷層が形成された表面上に実施例3と同様に大日精化工業株式会社製の電離放射線硬化型樹脂「EBS02(15M・S)」をロールコート方式で30g/m2 塗工した。次に、実施例1と同様に電子線を照射し、電離放射線硬化型樹脂「EBS02(15M・S)」を硬化させて保護層Eを形成し、化粧シートを得た。
【0064】
比較例3
シートAの印刷層が形成された表面上に下記組成の大日精化工業株式会社製の電離放射線硬化型樹脂「EBS03マットK」をロールコート方式で30g/m2 塗工した。次に、実施例1と同様に電子線を照射し、電離放射線硬化型樹脂「EBS03マットK」からなる層を硬化させて保護層を形成し(以下、該硬化した層を「保護層F」と略称する。」)、化粧シートを得た。
【0065】
電離放射線硬化型樹脂「EBS03マット」の組成
分子量が小さい硬質ウレタンアクリレートオリゴマー 100重量部
シリカ 10重量部
【0066】
比較例4
シートBの印刷層が形成された表面上に実施例1と同様に大日精化工業株式会社製の電離放射線硬化型樹脂「EBS04」をロールコート方式で30g/m2 塗工して保護層を形成した。次に、実施例1と同様に電子線を照射し、電離放射線硬化型樹脂「EBS04」を硬化させて保護層Cを形成し、化粧シートを得た。
【0067】
比較例5
シートBの印刷層が形成された表面上に比較例3と同様に大日精化工業株式会社製の電離放射線硬化型樹脂「EBS03マット」をロールコート方式で30g/m2 塗工した。次に、実施例1と同様に電子線を照射し、電離放射線硬化型樹脂「EBS03マットK」からなる層を硬化させて保護層Fを形成し、化粧シートを得た。
【0068】
実施例1〜3、比較例1〜5によって得られた化粧シートについて、環境試験を行った後、印刷層が形成された基材シートと保護層の密着性を碁盤目セロテープ密着試験により評価した結果を該基材シートと該保護層間の加熱収縮率の差と共に表1に示す。又、該基材シートA、Bの加熱収縮率を表2に、該保護層C、D、E、Fの加熱収縮率を表3に示す。
【0069】
【表1】
Figure 0004412623
【0070】
【表2】
Figure 0004412623
注 符号「−」は、測定試料が収縮したことを表わす。
【0071】
【表3】
Figure 0004412623
注 符号「−」は、測定試料が収縮したことを表わす。
【0072】
環境試験は、化粧シートを−20℃の雰囲気における12時間の放置、及び60℃の雰囲気における12時間の放置を順次4回繰り返すことにより行った。
【0073】
碁盤目セロテープ密着試験は、化粧シートを表面を2ミリ間隔の縦横10区分の碁盤目状にカッターで切り、粘着性テープを貼った後に剥がす作業をセロテープを取り替えながら10回繰り返した後、何枚の枡目が剥がれずに残っているかを数えることにより行った。
【0074】
基材シートの加熱収縮率は、基材シートから12cm角の試験片を10枚切り取り、各試験片に十字の標線を入れてから、恒温槽を使用して空気中80℃の雰囲気に24時間放置し、24時間経過後に取り出し、室温まで冷却してから試験片の標線の寸法を測り、各試験片の加熱収縮率を次式により算出し、試験片10枚の各測定値を平均して求めた。尚、加熱収縮率は収縮方向を負の方向として表わす。
【0075】
【数1】
加熱収縮率(%)=〔(加熱後の標線の寸法−加熱前の標線の寸法)÷加熱前の標線の寸法〕×100
【0076】
印刷層が形成された基材シートと保護層の加熱収縮率の差は次式により算出した。
【0077】
【数2】
加熱収縮率の差(%)=保護層の加熱収縮率(%)−印刷層が形成された基材シートの加熱収縮率(%)
【0078】
保護層の加熱収縮率の測定用の試験片は、表面易接着処理が施されていない東レ株式会社製PETシート「50E−20」(厚み50μm)に電離放射線硬化型樹脂をロールコート方式で30g/m2 塗工し、次に、電子線を照射(照射線量5Mrad、加速電圧175KV、ラインスピード40m/min)して電離放射線硬化型樹脂を硬化させた後、該硬化した電離放射線硬化型樹脂シートをPET層から剥離することによって作製した。
【0079】
表1から明かなようにオレフィン樹脂からなる基材シートと電離放射線硬化型樹脂からなる保護層との長手方向及び巾方向における加熱収縮率の差が、共に±1%以内であれば、上記両層間の密着性が良く、環境試験を行った後の碁盤目セロテープ密着試験において保護層の剥離は全く起きないが、長手方向又は巾方向のどちらかにおける加熱収縮率の差が±1%を超えると層間密着性が悪くなり、保護層の剥離が起きるようになる。
【0080】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明により得られたオレフィン系樹脂の基材シートと電離放射線硬化型樹脂の保護層からなる化粧シート及び該化粧シートを貼付してなる化粧板は、基材シートと保護層の層間密着性が従来の化粧シート等に比較して優れており、紫外線の照射後においても上記両層間の剥離が起きにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明化粧シートの基本的構成を示す縦断面図である。
【図2】本発明化粧シートの具体的構成を示す縦断面図である。
【図3】本発明化粧板の1例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 化粧シート
2 基材シート
3 印刷層
4 保護層
5 易接着層
6 エンボス凹部
7 着色層
8 接着剤
9 化粧板の基材
10 化粧板

Claims (4)

  1. オレフィン系樹脂からなる基材シートの表面上に印刷層を形成し、その印刷層上に、電離放射線硬化型樹脂より構成される保護層を積層してなる化粧シートにおいて、
    基材シートが、ポリエチレンとエラストマーの混合物又はポリプロピレンとエラストマーの混合物からなるオレフィン系樹脂より構成され、
    保護層が、2種類以上の分子量の異なるウレタンアクリレートオリゴマーの混合物からなる電離放射線硬化型樹脂を硬化させて形成された層からなり
    電離放射線硬化型樹脂を硬化させて保護層を形成した後において、印刷層が形成された基材シートと保護層の長手方向における加熱収縮率の差が±1%以内、及び巾方向における加熱収縮率の差が±1%以内であることを特徴とする化粧シート。
  2. 保護層の表面にエンボス加工を施したことを特徴とする請求項1記載の化粧シート。
  3. 保護層の表面にエンボス加工を施し、エンボス凹部に着色層を施したことを特徴とする請求項1記載の化粧シート。
  4. 請求項1記載の化粧シートを化粧板基材に貼着してなることを特徴とする化粧板。
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