JP3791717B2 - 化粧シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物の内装、建具の表面化粧、車両内装等に用いる表面に意匠を賦与したり表面を保護する目的で用いられる化粧シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、かかる用途に用いる化粧シートとしては、主に下記の3種の化粧シートが知られている。
【0003】
(1)ポリ塩化ビニルシートに印刷やエンボス加工等で装飾を施したもの(特公昭28−5036号、特公昭58−14312号公報)。
(2)ポリ塩化ビニルに代えて、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系シートを使用したもの(特開昭54−62255号公報)。
【0004】
(3)極性官能基をグラフト重合させたオレフィン系樹脂に、オレフィン系熱可塑性エラストマーを混合したり(特開平6−210808、特表平4−504384号公報)、オレフィン系樹脂に相溶化剤を用いてポリウレタン樹脂を混合したり(特開平7−26038号公報)することで、(1)の化粧シートの欠点や、(2)の化粧シートの下記の▲4▼、▲5▼、▲6▼、▲7▼の欠点を解決しようとしたもの。
等である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
(1)のようなポリ塩化ビニルシートを用いた化粧シートにあっては、耐熱性が不足するとか、可塑剤のブリード(滲出)により、表面の耐汚染性が悪いという問題点があった。
【0006】
また、(2)のような従来の化粧シートにあっては、上記ポリ塩化ビニルを用いた化粧シートの欠点は改善し得るものの、▲1▼透明性が不足する。▲2▼耐熱性が不足する。▲3▼耐候性が悪い。▲4▼柔軟性がない。▲5▼印刷やラミネート時のインキ、接着剤等との接着力が不足する。▲6▼耐衝撃性が弱く、化粧シートを表面に積層した化粧材裏面に、断面V字状やU字状の溝を形成した後、化粧材を折り曲げ加工を施した際に(V字状やU字状の溝を形成して化粧材を折り曲げる加工のことを、以下、単にVカット加工と呼ぶ。)に、化粧シートが亀裂破断する。特に、加熱軟化〜エンボス版押圧〜冷却というエンボス加工時の熱履歴により、結晶化が進行してシートが脆弱化し、この傾向が強まる。また、▲7▼結晶化度が高いため、エンボス加工条件が非常に狭い。等の種々の問題点があった。更にまた、▲8▼異形断面部を有する基材に化粧シートをラッピングする際に、化粧シートに亀裂が生じる(ラッピング適性が低い)という問題もあった。
更にまた(3)のような化粧シートにあっても、依然、前記(2)のシートの欠点▲1▼、▲2▼、▲3▼に関しては解決されているとは言い難いものであった。
【0007】
更に本発明者は、オレフィン系樹脂のシート基材にアクリル系樹脂の保護シートを積層した構造の化粧シートについて検討した。しかしながら、アクリル系樹脂の保護シートを有する化粧シートは、該シートを積層した化粧材にVカット加工を施すと、アクリル系樹脂の保護シートに亀裂が生じたり、保護シートが白化したりするという問題があった。
【0008】
本発明の化粧シートは、保護シートを構成するアクリル系樹脂として特定のものを用いることにより、オレフィン系樹脂のシート基材表面にアクリル系樹脂からなる保護シートを積層した構成の化粧シートの上記欠点を解消し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
【課題を解決するための手段】
即ち本発明の化粧シートは、オレフィン系樹脂のシート基材にアクリル系樹脂の保護シートを積層してなる化粧シートにおいて、上記保護シートが、25℃における破断点伸度が130%以上150%以下のアクリル系熱可塑性エラストマーのシートであり、該アクリル系熱可塑性エラストマーが、ブチルアクリレート及び/又はブチルメタクリレート10〜90重量部と、メチルアクリレート及び/又はメチルメタクリレート90〜10重量部とのグラフト共重合体であることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面も含めてより詳細に説明する。
図1は、本発明の化粧シート1の一実施例を示し、図中、2はオレフィン系樹脂のシート基材、3は保護シートである。
【0011】
本発明の化粧シート1において、シート基材2はオレフィン系樹脂よりなる。オレフィン系樹脂としては、例えばポリエチレン、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/ブテン−1共重合体、ポリプロピレン、プロピレン/ブテン−1共重合体、ポリブテン−1、ブテン−1/プロピレン/エチレン三元共重合体、ブテン−1/ヘキセン−1/オクテン−1三元共重合体、ポリメチルペンテン、エチレン/ビニルアルコール共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。また、特開平6−16832号公報、特公平6−23278号公報、特公昭53−21021号公報、特公昭53−34210号公報、特公昭56−15741号公報、特開平2−139232号公報等に記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー等や、これらの熱可塑性エラストマーを上記ポリオレフィン系樹脂に混合したもの等も用いることができる。なかでも、高密度ポリエチレンに上記熱可塑性エラストマーを混合したものが好ましい。高密度ポリエチレンとは、比重が0.94〜0.96のポリエチレンで、低圧法で得られる、結晶化度が高く分子の枝分かれ構造の少ないポリエチレンである。
【0012】
上記熱可塑性エラストマーとして、ジエン系ゴム、水素添加ジエン系ゴム等も用いることができるが、これらのうち水素添加ジエン系ゴムが好ましい。水素添加ジエン系ゴムは、ジエン系ゴム分子の二重結合の少なくとも一部分に水素原子を付加させてなるもので、高密度ポリエチレンの結晶化を抑え、柔軟性、透明性を向上させる役割がある。一般にオレフィン系樹脂にジエン系ゴムを添加するとジエン系ゴムの二重結合のため、耐候性、耐熱性はジエン系ゴム無添加のオレフィン系樹脂より低下するが、ジエン系ゴムの二重結合を水素で飽和させることにより、オレフィン系樹脂の耐候性、耐熱性に低下をきたす虞れがなくなる。
【0013】
上記ジエン系ゴムとしては、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、プロピレン・ブタジエンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、アクリロニトリル・イソプレンゴム、スチレン・ブタジエンゴム等がある。本発明の目的からは特にスチレン・ブタジエンゴムが好ましい。
【0014】
熱可塑性エラストマーの添加量は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対し、1〜90重量部程度が好ましい。1重量部未満だと、シート基材2の弾性、伸び率、耐衝撃性が不足し、化粧材にVカット加工や、絞り加工等の折り曲げ加工を施した際に、保護シート3に亀裂や割れが生じる虞れがある。また、90重量部を超えると、シート基材2の弾性、及び伸び率が大きくなりすぎ、シート基材2に印刷等によって装飾層4を形成する際に、模様層4を形成する位置の位置合わせが困難となるため好ましくない。特にシート基材2が高密度ポリエチレンと熱可塑性エラストマーと無機充填剤を含有するオレフィン系樹脂からなる場合、高密度ポリエチレンと熱可塑性エラストマーと無機充填剤の混合物中の熱可塑性エラストマーの含有量は、10〜60重量%程度が好ましい。
【0015】
シート基材2の熱寸法収縮率と、化粧材のVカット加工時の化粧シート1の耐亀裂・耐破断性との間には相関関係があり、100℃雰囲気中で30分間加熱した後の寸法収縮率(加熱前を基準として)が、シート長手方向(長尺に押出成形されたシートの長手方向)で−2〜+7%、シート幅方向(長手方向と直行する方向)で−7〜+2%の範囲のものが好ましい。寸法収縮率がこの範囲から逸脱するとVカット加工時に亀裂を生じ易くなる。
尚、上記加熱寸法収縮率の許容値がシート長手方向と幅方向とで別々になるのは、シート製造時のシートの材料力学的な履歴、及びシート加工時の衝撃力の加わり方が長手方向と幅方向とで異なる為である。
この加熱寸法収縮率は、主にシート基材2の延伸と大きな相関がある。無延伸であれば、シート基材2の加熱寸法収縮率は前記の範囲に収まり、また、3倍以上延伸すると大体の場合、前記の範囲を外れる。従って延伸する場合は、加熱寸法収縮率が前記範囲に収まるように延伸倍率を抑制することが好ましい。
【0016】
更に、Vカット加工時の化粧シート1の耐亀裂・耐破断性を向上するためには、シート基材2を構成する樹脂中には充填剤が含有されていることが好ましい。充填剤としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、タルク等の粉末が用いられる。特にシート基材2が高密度ポリエチレンと熱可塑性エラストマーと無機充填剤とからなる場合は、充填剤は高密度ポリエチレンと熱可塑性エラストマーと無機充填剤の混合物に対し、5〜60重量%、特に30重量%程度が好ましい。また前記熱可塑性エラストマーは、充填剤との合計で70重量%以下となるようにすることが好ましい。
【0017】
本発明の化粧シート1における保護シート3は、25℃における破断点伸度が100%以上のアクリル系熱可塑性エラストマーからなるシートである。保護シート3の25℃における引張伸度が100%未満の場合には、Vカット加工によって保護シート3に亀裂が生じたり、白化したりする。破断点伸度は、特に130%以上であることが好ましく、アクリル系熱可塑性エラストマーからなるシートの破断点伸度が130%以上の場合には、ラッピング適性が向上する効果がある。尚、破断点伸度とはJIS K6734法に準じて測定される。引張伸度が100%以上となるような保護シート3を形成し得るアクリル系熱可塑性エラストマーとしては、例えばブチルアクリレート及び/又はブチルメタクリレートと、メチルアクリレート及び/又はメチルメタクリレートとのグラフト共重合体が挙げられるが、ブチルアクリレートとメチルメタクリレートとのグラフト共重合体がより好ましい。このアクリル系熱可塑性エラストマーは、ゴム弾性乃至非晶質性を有する軟質なソフトセグメント部分と、結晶性乃至は熱可塑性を有する硬質のハードセグメント部分とを有するものと考えられる。また破断点伸度が130%以上となるような保護シート3を形成し得るアクリル系熱可塑性エラストマーは、マトリックスを形成するソフトセグメント部分のガラス転移点(Tg)を低くすることにより得られるが、低くし過ぎるとブロッキングが生じるため、60℃付近に低くすることが好ましい。
【0018】
アクリル系熱可塑性エラストマーが、ブチルアクリレート及び/又はブチルメタクリレートと、メチルアクリレート及び/又はメチルメタクリレートとのグラフト共重合体の場合、ブチルアクリレート及び/又はブチルメタクリレートの共重合比の高い分子の集合域や、側鎖の数が多い分子の集合域乃至は分子量の高い分子の集合域、或いはブチルアクリレート及び/又はブチルメタクリレートの部分がソフトセグメント部分を形成していると考えられる。一方、メチルアクリレート及び/又はメチルメタクリレートの共重合比の高い分子の集合域や、側鎖の数の少ない分子の集合域乃至は分子量の低い分子の集合域、或いはメチルアクリレート及び/又はメチルメタクリレートの部分がハードセグメント部分を形成していると考えられる。
【0019】
アクリル系熱可塑性エラストマーは、上記ソフトセグメント部分がマトリックスとなり、このマトリックス中にハードセグメント部分が島のように分散している構造と考えられる。アクリル系熱可塑性エラストマーが、ブチルアクリレート及び/又はブチルメタクリレートと、メチルアクリレート及び/又はメチルメタクリレートとのグラフト共重合体の場合、共重合比は重量比で、ブチルアクリレート及び/又はブチルメタクリレート:メチルアクリレート及び/又はメチルメタクリレート=10:90〜90:10が好ましく、より好ましくは50:50〜90:10である。本発明の所期の効果をより高めるためには、一般にソフトセグメントのマトリックス中に分散しているハードセグメントは、粒径小さい方が好ましく、またマトリックスを形成するソフトセグメント部分のガラス転移点(Tg)は低い程効果的である。
【0020】
アクリル系熱可塑性エラストマー中に、可塑剤を添加すると更に効果的である。可塑剤としては、高分子量ポリエチレングリコール等が挙げられる。アクリル系熱可塑性エラストマーからなる保護シート3は、一般に厚い方が好ましいが、磨耗性、化粧シート1の柔軟性、コスト等を考慮すると25〜100μm程度が好ましい。
【0021】
本発明において保護シート3は、60°鏡面光沢度が80以下のものが好ましい。60°鏡面光沢度は、JIS Z−8741に準じて測定される光沢度である。保護シート3の表面を、60°鏡面光沢度が80以下とする方法としては、保護シート3中にシリカ等の無機系艶消剤や、プラスチックビーズ等の有機系艶消剤を添加したり、保護シート3を構成するアクリル系熱可塑性エラストマーの流動性を阻害する物質を添加してシート化する際に表面荒れを生じさせる等の方法が挙げられる。上記艶消剤や流動性を阻害する物質の添加による艶消し効果は、アクリル系熱可塑性エラストマーとの相溶性の違い、アクリル系熱可塑性エラストマーの流動性の違い等によって異なるため、艶消剤や流動性を阻害する物質の添加量は、これらの物質の種類の違い、エラストマーの流動性等の違い等に応じて考慮する必要がある。保護シート3の60°鏡面光沢度が85以下とすることが好ましい理由は、保護シート3の表面にエンボスを施した化粧シートとして使用する場合、エンボスを施した化粧シートが保護シート3の加熱軟化温度以上の雰囲気下におかれた時に、エンボスの凹凸が消失する(戻り)虞れがあるが保護シート3の60°鏡面光沢度が85以下としておくと、このような戻りを防止できる効果がある。
【0022】
シート基材2と保護シート3とを積層する方法としては、溶融押し出し塗工(エクストルージョンコート)、熱プレスによる融着、或いは2液硬化型ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等の接着剤を用いたドライラミネート等が挙げられる。
【0023】
シート基材2表面に後述するような装飾模様等を直接印刷したり、上記保護シート3を接着するための接着剤を直接塗布することもできるが、印刷インキや接着剤とシート基材2との接着力をより強力なものにする必要がある場合には、シート基材2表面にコロナ放電処理やプラズマ処理等の易接着処理を施したり、易接着層(プライマー層、或いは、アンカー層とも云う)を設けることが好ましい。図1〜3は、シート基材2の裏面側に易接着層5を設けた例を示す。
【0024】
易接着層5の形成用には、アクリル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、ポリウレタン、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン等が使用されるが、特に塩素化ポリプロピレンが望ましい。
【0025】
易接着層5を形成するためのアクリル系樹脂としては、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸プロピル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル・(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、(メタ)アクリル酸エチル・(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体、スチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体等の(メタ)アクリル酸エステルを含む単独又は共重合体からなるアクリル系樹脂が挙げられる(但し、ここで(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタアクリルを意味する。)。
【0026】
ポリウレタンとは、ポリオール(多価アルコール)を主剤とし、イソシアネート化合物を架橋剤(硬化剤)とする組成物である。ポリオールとしては、分子中に2個以上の水酸基を有するもので、基本的には、単量体ジオール、トリオール等、及びその分子量に主に寄与するアルキレン繰返し単位の鎖を包含する重合体ジオール、トリオールを含む。典型的な重合体ポリオールは、ヒドロキシ基で停止した上記繰返し単位の直鎖もしくは分岐鎖のいづれかから実質的になり、好ましくは、2、3、4またはそれ以上のヒドロキシ基を有する単量体ポリオールを含む。たとえば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、ブテンジオール、シュークロース、グルコース、ソルビトール、ペンタエリスリトール、マンニトール、トリエタノールアミン、n−メチルジメタノールアミン、ならびに環式芳香族および脂肪族およびトリオールを含む。さらに、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等が用いられる。
【0027】
一方、イソシアネート化合物としては、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネート化合物が用いられる。例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4´- ジイソシアネート、クルードMDIと称されるポリフェニルメタンポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4´- ジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等の脂肪族、脂環族または芳香族のジまたはトリイソシアネート化合物、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、或いはポリイソシアネート化合物と低分子量グリコールまたはトリオール、例えば、ジプロピレングリコール、1,6-ヘキサンジオール、1,2,6-ヘキサントリオール、トリメチロールプロパンと反応させて得られる、イソシアネート末端低分子量付加体等が使用できる。
【0028】
本発明の化粧シート1に装飾を施す方法として、上記シート基材2に染料、顔料を添加して透明着色又は不透明着色を施す方法が挙げられる。添加する顔料としては、チタン白、亜鉛華、弁柄、朱、群青、コバルトブルー、チタン黄、黄鉛、カーボンブラック等の無機顔料、イソインドリノン、ハンザイエローA、キナクリドン、パーマネントレッド4R、フタロシアニンブルー、インダスレンブルーRS、アニリンブラック等の有機顔料(或いは染料も含む)、アルミニウム、真鍮、等の金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の箔粉からなる真珠光沢(パール)顔料等が挙げられる。これらは、粉末、或いは鱗片状箔片としてシート基材2を構成する樹脂中に添加、分散させることができる。
【0029】
また本発明化粧シート1に装飾を施す他の方法としては、図1に示すようにシート基材2と保護シート3との間に装飾層4を設ける方法が挙げられる。装飾層4は印刷や、金属薄膜を積層することにより形成することができる。印刷法としては、グラビア印刷、凹版印刷、オフセット印刷、活版印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷、静電印刷、インクジェット印刷等の印刷法や、別に離型性シート上に一旦絵柄模様を形成して、転写シートを作成し、得られた転写シートを用いて転写印刷法等が挙げられる。
【0030】
装飾層4を印刷により形成する場合、印刷用のインキとしては種々のものを用いることができ、着色剤、体質顔料、結着剤、硬化剤、添加剤、溶剤等からなる組成物を使用することができる。なお、結着剤としては、特に、制限はなく、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、酢酸ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂、等の熱可塑性樹脂、ポリウレタン等の常温又は熱硬化性樹脂、またはアクリル系等の電離放射線硬化型樹脂など通常のものが使用できる。シート基材2に直接印刷する場合には、結着剤として塩素化ポリオレフィンポリウレタン等を用いることが接着性のうえで好ましいが、前記したように易接着層5を適当に選択すれば、他の結着剤を用いても十分な接着性を得ることができる。
【0031】
装飾層4を金属薄膜によって形成する場合、金属薄膜を全面又は部分的にパターン状に積層する方法が挙げられる。この金属薄膜は、アルミニウム、クロム、金、銀、銅等の金属を用い、真空蒸着、スパッタリング等の方法で製膜し、エッチング法等によって部分的なパターンの金属薄膜とすることができる。
【0032】
装飾層4の模様としては、木目模様、石目模様、布目模様、皮絞模様、幾何学図形、文字、記号、線画、各種抽象模様等が挙げられるが、全面ベタ印刷等の装飾でも良い。装飾層4は、図1に示すようにシート基材2と保護シート3との間に設ける場合に限らず、シート基材2が透明な場合にはシート基材2の裏面側(図1に示す例では、易接着層5の上面)に設けることもできる。また図2に示すようにシート基材2を2枚(またはそれ以上)のオレフィン系樹脂シート2a、2bで構成し、シート2a、2bの間に装飾層4を設けることもできる。
【0033】
本発明化粧シート1に装飾を施す更に他の方法としては、図3に示すように保護シート3の表面に凹凸模様6を形成する方法が挙げられる。凹凸模様6を形成するには、例えば、加熱加圧によるエンボス加工法があり、このエンボス加工法は、保護シート3表面を加熱軟化させ、該表面をエンボス版で加圧してエンボス版の凹凸模様を賦形し、冷却して固定化するもので、公知の枚葉式、或いは輪転式のエンボス機を用いることができる。またヘアライン加工によって凹凸模様6を形成することもできる。
【0034】
凹凸模様6としては、例えば木目板導管溝、石板表面凹凸(花崗岩劈開面等)、布表面テクスチャア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝等が挙げられる。
【0035】
更に、上記の凹凸模様6の凹陥部にはワイピング法により、着色層7を形成してもよく、ワイピング法としては、ドクターブレードコート法またはナイフコート法にて凹陥部を含む表面全面に着色剤インキを塗布した後、凹陥部以外の表面から着色剤インキを除去することにより、凹陥部のみに着色層7を形成する方法を用いることができる。着色層7を形成するための着色剤インキとしては、有機顔料と無機顔料、光輝性顔料等の着色顔料と、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化型樹脂等の結着剤樹脂と、ベヒクルとからなるインキ、エマルジョン型の水系タイプインキを使用できる。
【0036】
上記凹凸模様6を形成した保護シート3の表面は、必要に応じて表面保護層8を被覆することができる。表面保護層8は塩素化ポリオレフィン、2液硬化型ポリウレタン、電離放射線硬化性樹脂により形成することが好ましい。
【0037】
電離放射線硬化性樹脂は、具体的には分子中に重合性不飽和結合又はカチオン重合性官能基を有するプレポリマー、ポリマー及び/又は単量体を適宜混合した、電離放射線により硬化可能な組成物が好ましく用いられる。尚、ここで電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられる。
【0038】
硬化塗膜を形成する電離放射線硬化性樹脂は、更に具体的には分子中に(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ等のラジカル重合性不飽和基、エポキシ基等のカチオン重合性官能基又はチオール基を2個以上有する単量体、プレポリマー又はポリマーからなる。これら単量体、プレポリマー又はポリマーは単独で用いるか、あるいは複数混合して用いる。尚、ここで例えば(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタアクリロイル基の意味で用いる。
【0039】
ラジカル重合性不飽和基を有するプレポリマーの例としては、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート等が使用でき、通常、分子量250〜10000程度のものが用いられる。ラジカル重合性不飽和基を有するポリマーとしては、上記プレポリマーの重合度を10000程度以上としたものが用いられる。
【0040】
カチオン重合性官能基を有するプレポリマーの例としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ系樹脂、脂肪族系ビニルエーテル、芳香族系ビニルエーテル等のビニルエーテル系樹脂等のプレポリマーが挙げられる。
【0041】
ラジカル重合性不飽和基を有する単量体としては、(メタ)アクリレート化合物等の単官能単量体、例えば、メチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等や、多官能単量体、例えばジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0042】
カチオン重合性官能基を有する単量体としては、上記カチオン重合性官能基を有するプレポリマーの単量体が利用できる。またチオール基を有する単量体としては、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等が挙げられる。
【0043】
紫外線又は可視光線にて硬化させる場合には、電離放射線硬化性樹脂中に光重合開始剤を添加する。ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合は、光重合開始剤として、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等を単独又は混合物として用いることができる。また、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、光重合開始剤として、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタセロン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等を単独又は混合物として用いることができる。尚、これらの光重合開始剤の添加量は、電離放射線硬化性樹脂100重量部当たりに対し、0.1〜10重量部程度である。
【0044】
また表面保護層8を艶消しにする場合には、艶消剤(光拡散剤)を添加する。艶消剤としては、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、硫酸バリウム、ウレタン樹脂ビーズ、ポリカーボネート樹脂ビーズ等の、粒径1〜30μm程度の微粒子が有効である。表面保護層8の厚みは1〜100μm程度が好ましい。
【0045】
本発明において、上記した各装飾付与方法は、1種のみならず2種以上を適宜組み合わせて採用することもできる。
【0046】
本発明の化粧シート1において、より良好な耐候(光)性を樹脂に付与するために、必要に応じてシート基材2や保護シート3中に、紫外線吸収剤、光安定剤を添加することができる。
【0047】
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、サリチル酸エステル等の有機物、または0.2μm径以下の微粒子状の酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化チタン等の無機物を用いることができる。光安定剤としては、ビス−(2,2,6,6- テトラメチル-4- ピペリジニル)セバケート等のヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤、ピペリジン系ラジカル捕捉剤等のラジカル捕捉剤等を用いることができる。紫外線吸収剤、光安定剤とも、通常、0.5〜10重量%程度となるように添加するが、一般的には紫外線吸収剤と光安定剤とを併用するのが好ましい。
【0048】
また化粧シート1に難燃性を付与するために、シート基材2や保護シート3中に、難燃剤を添加することができる。難燃剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の粉末が用いられる。難燃剤の添加量は、オレフィン系樹脂100重量部に対し、10〜150重量部程度が好ましい。
【0049】
更に、シート基材2として細胞状(スポンジ状)発泡体を使用することもでき、この場合は、シート基材2を構成する樹脂中に発泡剤を添加し、加熱して発泡剤を発泡させる。発泡剤としては、アゾジカーボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、N−N´−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、等の熱分解型、又はアクリロニトリル等の樹脂球殻中にヘキサン、イソブタン等の熱膨張性気体を封入したマイクロカプセル型が用いられる。発泡剤の添加量はシート基材2を構成する基材樹脂100重量部に対し、1〜10重量部程度である。
【0050】
本発明の化粧シート1は他の被着体(裏打材)に積層して用いることができる。図4は被着体が立体形状物品9の場合を、図5は被着体が平板状又は曲面状の板材10の場合を示す。化粧シート1と被着体との積層は、被着体に化粧シート1自体が(熱融着等で)接着可能な場合は、接着剤を用いずに行うことができるが、化粧シート1自体が被着体と接着しない場合には、適当な接着剤を用いて積層する。本発明の化粧シート1は、被着体に積層することによって化粧材のような最終製品を得る場合もあれば、化粧シート1の力学的強度の補強、或いは隠蔽性を付与するために被着体に積層する場合もある。
【0051】
被着体としては図4に示すような立体形状の成形品や、図5に示すような平板状、曲面状等の板材、シート(或いはフィルム)等の各種形状の物品が対象となる。板材、立体形状物品、或いはシート(フィルム)のいずれにも用いられる素材としては、木材単板、木材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)等の木材板、木質繊維板等の木質板、鉄、アルミニウム等の金属、アクリル、ポリエステル、ポリスチレン、ポリオレフィン、ABS、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル、セルロース系樹脂、ゴム等の樹脂、専ら板材、或いは立体形状物品として用いられる素材としては、硝子、陶磁器、等のセラミックス、石膏等の非セメント窯業系材料、専らシート(或いはフィルム)として用いられる素材としては、上質紙、和紙、等の紙、炭素、石綿、チタン酸カリウム、硝子、合成樹脂等の繊維からなる不織布又は織布等がある。
【0052】
これらの各種被着体への積層方法しては、例えば▲1▼接着剤を間に介して板状基材に加圧ローラーで加圧して積層する方法、▲2▼特公昭50−19132号公報、特公昭43−27488号公報等に記載されるように、化粧シートを射出成形の雌雄両金型間に挿入して、両金型を閉じ、雄型のゲートから溶融樹脂を射出充填して後、冷却して樹脂成型品の成形と同時にその表面に化粧シートを接着積層する、所謂射出成形同時ラミネート方法、▲3▼特公昭56−45768号公報、特公昭60−58014号公報等に記載されるように、成形品の表面に化粧シートを間に接着剤を介して対向乃至は載置し、成形品側からの真空吸引による圧力差により化粧シートを成形品表面に積層する、所謂真空プレス積層方法、▲4▼特公昭61−5895号公報、特公平3−2666号公報等に記載されるように、円柱、多角柱等の柱状基材の長軸方向に、化粧シートを間に接着剤層を介して供給しつつ、複数の向きの異なるローラーにより、柱状体を構成する複数の側面に順次化粧シートを加圧接着して積層してゆく、所謂ラッピング加工方法等が挙げられる。本発明の化粧シート1を表面化粧層として有する立体物品を得るには、上記ラッピング加工法、射出成形同時ラミネート法、真空成形同時ラミネート法等が好ましい。
【0053】
また化粧シート1を板材10に接着剤を介して積層し、次いで板材10の化粧シート1を積層した面とは反対側の面に、化粧シート1と板状基材との界面に到達する、断面がV字状またはU字状の条溝11を切削し、次いで該条溝11内に接着剤層を塗布した上で、図6に示すように条溝11で折り曲げて、箱体や柱状体に形成する所謂、Vカット加工方法等によっても本発明の化粧シート1を表面化粧層として有する凹凸立体物品を得ることができる。本発明の化粧シート1は、図6に示したようなVカット加工を施した際にも、保護シート3に亀裂が生じたり、白化したりする虞れがない。
【0054】
本発明の化粧シート1は各種被着体に積層し、所定の成形加工等を施して、各種装飾用等として用いることができる。例えば、壁、天井、床等建築物の内装、窓枠、扉、手摺等の建具の表面化粧、家具又は弱電・OA機器のキャビネットの表面化粧、自動車、電車等の車輌内装、航空機内装、窓硝子の化粧用等の用途が挙げられる。
【0055】
【実施例】
以下、本発明の実施例について詳細に説明する。
【0056】
実施例1
高密度ポリエチレン60重量部、熱可塑性エラストマー(スチレン−ブタジエンゴム)30重量部、無機充填剤(炭酸カルシウム)10重量部及び着色顔料、熱安定剤、光安定剤を微量添加した配合物を、カレンダー法により製膜して厚み100μのシート基材を得た。このシート基材の表裏面にコロナ処理を施した後、表面側にウレタン系プライマー(昭和インク製:AFS)により易接着層を形成し、この上に木目柄印刷(昭和インク製:化Xインキ使用)を施した。一方、シート基材の裏面にはウレタン系プライマー(昭和インク製:AFS)により易接着層を形成した。
【0057】
一方、メチルメタクリレートとブチルアクリレートのグラフト共重合体100重量部に、艶消剤10重量部、ポリエチレングリコール重量部、及び加工助剤、光吸収剤を微量添加した配合物を用い、Tダイ法により厚み50μの透明艶消アクリル系樹脂シートを得た。このシートは、25℃における破断伸度が150%であり、60°鏡面光沢度は20であった。
【0058】
前記木目柄を印刷したシート基材の印刷面に、上記透明艶消アクリル系樹脂シートを保護シートとして熱ラミネートし、更に保護シート表面にエンボス加工を行って木目導管の凹凸模様を形成した。更に凹凸模様の凹部にワイピングインキ(昭和インク製:PW−12)を充填した後、凹凸模様の上に艶消オーバーコート(昭和インク製:OP−A12使用)を施して化粧シートとした。
【0059】
この化粧シートのシート基材側(裏面側)を、エチレン/酢酸ビニル共重合体エマルジョンの接着剤を用いて厚さ10mmの合板に接着積層した後、合板の化粧シート側とは反対側の面に合板と化粧シートとの界面に迄達する断面V字状の条溝を切削加工し、この溝内にエチレン/酢酸ビニル共重合体エマルジョンの接着剤を塗布し、この溝を閉じるように合板を折り曲げた(Vカット加工)。加工時の雰囲気温度は10℃であった。Vカット加工を行った後の化粧シートには亀裂や破断、白化は認められなかった。またエチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン系接着剤を用い、化粧シートの基材シート側と、異形断面部のR面及びL90面が貼り合わさるように、通常のラッピング貼り合わせ機によりラッピング加工を行い、ラッピング適性を試験したところ、全く問題はなかった。
【0060】
比較例1
上記実施例1におけるアクリル系樹脂エマルジョンのシートの代わりに、ポリメタクリル酸メチルのシート(25℃における破断伸度90%)を保護シートとして用いた他は、実施例1と同様の加工を施して化粧シートを得た。得られた化粧シートを用いて実施例1と同様のVカット加工試験を行ったところ、折曲部において化粧シートに亀裂や破断が認められた。また実施例1と同様にしてラッピング適性を試験したところ、シートに亀裂が発生した。
【0061】
実施例2
表面側にコロナ放電処理が施され、裏面側にプライマー処理が施されている厚さ100μタフパー(タツノ化学製のポリエチレン系シート基材:TKPS ADIS)の表面側にベタ柄印刷を施した後(昭和インク製:化Xインキ使用)、印刷面に厚さ75μのアクリル系樹脂フィルム(三菱レーヨン製:HBE−028、25℃における破断伸度130%)を、エンボス圧20kg/cm2 、ドラム温度120℃の条件で積層するとともにエンボスを施して化粧シートを得た。この化粧シートを用いて実施例1と同様のVカット加工試験を行ったところ、Vカット加工を行った後の化粧シートには亀裂や破断、白化は認められなかった。またこの化粧シートのラッピング適性の試験を行ったところ、全く問題はなかった。
【0062】
比較例2
破断伸度が90%であるアクリル系樹脂フィルム(三菱レーヨン製:HBS−027、厚さ75μ)を用いた他は、実施例2と同様にして化粧シートを得た。この化粧シートを用いて実施例1と同様のVカット加工試験を行ったところ、折曲部において化粧シートに亀裂や破断が認められた。また、ラッピング適性の試験を行ったところ、シートに亀裂が生じた。
【0063】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の化粧シートは、オレフィン系樹脂シート基材の上に、25℃における破断点伸度が130%以上150%以下のアクリル系熱可塑性エラストマーのシートからなる保護シートを積層した構成とし、該アクリル系熱可塑性エラストマーが、ブチルアクリレート及び/又はブチルメタクリレート10〜90重量部と、メチルアクリレート及び/又はメチルメタクリレート90〜10重量部とのグラフト共重合体であることにより、本発明の化粧シートによれば従来の化粧シートの欠点を解消でき、化粧シートを積層した化粧材にVカット加工を施しても、保護シートに亀裂や破断が生じたり、白化したりする等の虞れがない優れた特性を有し、さらに、ラッピング適性が向上する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化粧シートの一実施態様の縦断面図である。
【図2】本発明の化粧シートの他の実施態様の縦断面図である。
【図3】本発明の化粧シートの更に他の実施態様の縦断面図である。
【図4】本発明化粧シートを被着材に積層した立体物品の縦断面図である。
【図5】本発明化粧シートを被着材に積層した板状体の縦断面図である。
【図6】図5の板状体を折り曲げ加工した状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 化粧シート
2 シート基材
3 保護シート
4 装飾層
5 易接着層
6 凹凸模様
7 着色層
8 表面保護層
Claims (8)
- オレフィン系樹脂のシート基材にアクリル系樹脂の保護シートを積層してなる化粧シートにおいて、上記保護シートが、25℃における破断点伸度が130%以上150%以下のアクリル系熱可塑性エラストマーのシートであり、該アクリル系熱可塑性エラストマーが、ブチルアクリレート及び/又はブチルメタクリレート10〜90重量部と、メチルアクリレート及び/又はメチルメタクリレート90〜10重量部とのグラフト共重合体であることを特徴とする化粧シート。
- 保護シートの60°鏡面光沢度が85以下であることを特徴とする請求項1に記載の化粧シート。
- シート基材が高密度ポリエチレンと熱可塑性エラストマーと無機充填剤を含有するオレフィン系樹脂シートよりなることを特徴とする請求項1または2に記載の化粧シート。
- シート基材に印刷層を形成し、該シート基材の印刷層形成面に保護シートを積層したことを特徴とする請求項1〜3のいずかに記載の化粧シート。
- シート基材裏面に易接着処理を施したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の化粧シート。
- 保護シート表面にエンボス加工を施したことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の化粧シート。
- エンボス凹部に着色層を設けたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の化粧シート。
- 保護シート表面に表面保護層を設けたことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の化粧シート。
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