JP3776554B2 - 高鮮映化粧シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物の内装、建具の表面化粧、車両の内装等に用いられる化粧シートに関するもので、特に、意匠性の付与及び表面保護の目的で設けられる化粧シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリ塩化ビニル層、ポリエチレンテレフタレート層及びハードコート層が順次積層されている化粧シートとして、塗装感、耐擦傷性及びVカット加工性を有する化粧シートが知られている(特公平8ー22586号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ポリ塩化ビニルフィルムを用いた化粧シートは、廃棄して焼却処理したとき、塩化水素ガスを発生して環境汚染を引き起こす等の問題があり、塩化ビニル系樹脂は環境保護上好ましくないものとされている。
本発明は、ポリ塩化ビニルフィルムの代わりにポリオレフィンフィルムを使用することにより、焼却時にも塩化水素ガスを発生しない化粧シートとすることができ、焼却時の環境汚染問題を解決した。
また、従来の化粧シートでは、十分な鮮映性が得られなかったので、表面に使用するポリエステルフィルムのヘイズ度及び可視光線の透過率を一定範囲に限定することにより、この問題の解決を図った。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するため、化粧シートを以下のような構成とした。ポリオレフィンフィルム、絵柄印刷層、及びヘイズ度が1〜8%の範囲にあり、且つ光線透過率が波長400nm〜700nmの範囲で70%以上であり表面層となる透明なポリエステルフィルムを順次積層してなることを特徴とする高鮮映化粧シートとした。しかも、前記ポリオレフィンフィルムが、ポリエチレンとゴム類(水素添加ジエン系ゴム)のブレンド物でヤング率が1〜200kgf/mm2である高鮮映化粧シートとした。
【0005】
即ち、本発明の化粧シートは、ポリオレフィンフィルム(又はシート)の上に、絵柄印刷層を形成し、これに、ヘイズ度が1〜8%の範囲で、且つ可視光線の透過率が70%以上であり表面層となるポリエステルフィルムを積層し、ポリエステルフィルムの表面を鏡面状態にしたものである。そして、ポリオレフィンフィルムとして、ポリエチレンとゴム類(水素添加ジエン系ゴム)のブレンド物からなりヤング率が1〜200kgf/mm2のフィルムを使用したものである。なお、ヘイズ度は好ましくは3〜6%である。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照にしながら本発明を詳細に説明する。
図1は本発明の高鮮映化粧シートの一例を示す模式断面図である。
図2は本発明の高鮮映化粧シートの別の例を示す模式断面図である。
図3は実施例1により作製した化粧シートの模式断面図である。
図4は実施例2により作製した化粧シートの模式断面図である。
図5は本発明の高鮮映化粧シートを作製するときの説明図である。
【0007】
本発明の高鮮映化粧シートは、図1に示すように、基本的には、ポリオレフィンフィルム11の上に、絵柄印刷層12を設けた印刷シートと、ヘイズ度が1〜8%で、且つ可視光線の透過率が70%以上の透明なポリエステルフィルムを熱融着等により積層して化粧シート1としたものである。
また、図2に示すように、前記絵柄印刷層12を設けたポリオレフィンフィルム11と前記透明なポリエステルフィルム13が熱融着できない場合は、接着剤層14を介して貼り合わせて化粧シート1としたものである。
更に、透明なポリエステルフィルム13の表面は熱ラミネートの際、鏡面板に接するようにして、鏡面状態にして化粧シートの鮮映性を高めたものである。
【0008】
以下に、本発明の高鮮映化粧シートの製造方法の一例を説明する。
先ず、図5(a)に示すように、着色ポリエチレンフィルム(以下着色PEフィルムとする)11aに表面にプライマー層15を形成し、そのプライマー層15の上に、印刷により絵柄印刷層12を設ける。
更に、着色PEフィルム11aの裏面にもプライマー層15を形成しておく。
一方、図5(b)に示すように、透明なポリエステルフィルムで、ヘイズ度が1〜8%で、波長400nm〜700nmの光線の透過率が70%以上のポリエチレンテレフタレートフィルム(以下PETフィルムとする)13aを用いて、このPETフィルムの裏面に接着剤を塗布して接着剤層14を形成する。
【0009】
次に、図5(c)に示すように、前記印刷した着色PEフィルム11aの絵柄印刷層12面と、接着剤層14を形成したPETフィルム13aを、ドライラミネーション法により貼り合わせて積層シート2を作製する。
更に、図3に示すように、前記積層シート2の裏面に、接着剤層15を形成した着色PEフィルム11aをドライラミネーション法により貼り合わせて、高鮮映化粧シート1を作製する。
【0010】
本発明におけるポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテンー1共重合体、プロピレン・ブテンー1共重合体、ポリブテンー1、ブテンー1・プロピレン・エチレンの3共重合体、ブテンー1・ヘキセンー1・オクテンー1の3共重合体、ポリメチルペンテン、或いは特開平6ー16832号公報等に記載のオレフィン系エラストマー等が使用される。
そして、使用されるフィルムの厚さは、50〜200μmの範囲で、好ましくは100μm前後であり、延伸フィルム又は未延伸フィルムのいずれも使用可能であるが、Vカット加工等の加工適性上は未延伸フィルムの方が良好である。
【0011】
上記ポリオレフィン樹脂は、それ自体単体でも使用可能であるが、ポリオレフィン樹脂に柔軟性、耐衝撃性、易接着性を付与するために、各種のゴム類を添加して、ポリオレフィンとゴムのブレンド物として使用される。
ゴム類としては、ジエン系ゴム、水素添加ジエン系ゴム、オレフィンエラストマー等が使用されるが、中でも、水素添加ジエン系ゴムが好ましい。
水素添加ジエン系ゴムは、ジエン系ゴム分子の二重結合の少なくとも一部分に水素原子を付加させたもので、本発明においては、ポリオレフィン樹脂の改質剤として使用されが、ポリオレフィン樹脂の結晶化を抑制し、柔軟性、透明性を向上させる働きがある。
また、一般に、ポリオレフィン樹脂にジエン系ゴムを添加するとジエン系ゴムの二重結合のために、耐候性、耐熱性はジエン系ゴムを添加しないポリオレフィン樹脂より低下するが、本発明では、ジエン系ゴムの二重結合を水素原子で飽和させるため、ポリオレフィン樹脂の耐候性、耐熱性の低下が防止されて良好なものとなる。
【0012】
上記ジエン系ゴムとしては、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、プロピレン・ブタジエンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、アクリロニトリル・イソプレンゴム、スチレン・ブタジエンゴム等がある。
本発明の目的には、特にスチレン・ブタジエンゴムが好ましい。
ジエン系ゴムの添加量としては、ポリオレフィン樹脂100重量部に対して1〜90重量部の範囲が使用可能であり、添加量が1重量部未満では、弾性、伸び率、耐衝撃性が不足し、Vカット加工、折り曲げ加工時に、亀裂や割れが生じ易くなる。
また、添加量が90重量部では、弾性、伸び率が大きすぎて、印刷時の見当合わせが困難となり、印刷基材として好ましくない。
【0013】
また、本発明に使用されるポリプロピレン樹脂としては、アイソタクティクポリプロピレンとアタクティクポリプロピレンの混合系からなる複合立体構造を有する軟質ポリプロピレン系樹脂を使用することが好ましい。
【0014】
本発明においてポリオレフィンフィルムに着色する場合には、上記ポリオレフィン樹脂に、顔料、染料等の着色剤を分散することにより着色される。
更に、着色ポリオレフィン樹脂には、充填剤、発砲剤、難燃剤、紫外線吸収剤等が添加されてもよい。充填剤としては、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等を用いることができる。また、平均粒径が5μm以下の充填剤を用いることが好ましい。
この充填剤、顔料及び/又は染料により、着色ポリオレフィンフィルムを不透明にすることができる。
【0015】
本発明に用いられるポリオレフィンフィルムは、ヤング率が1〜200kgf/mm2 範囲が好ましい。ヤング率が200kgf/mm2 を超えるとVカット加工時に亀裂が生じ易くなり好ましくない。また、ヤング率が1kgf/mm2 未満では印刷時の見当不良となる。
【0016】
本発明で用いるポリオレフィンフィルムは、その加熱収縮率とVカット加工における曲げ加工時の亀裂・破断性とに相関関係があり、100℃雰囲気中で30分加熱した後のフィルムの寸法収縮率(加熱前を基準として)が、長尺帯状フィルムの場合、フィルム長手方向が−2〜+7%、フィルム幅方向が−7〜+2%の範囲が好ましい。
寸法収縮率がこの範囲から逸脱するとVカット加工時に亀裂が生じて好ましくない。
尚、加熱時の寸法収縮率の許容範囲がフィルムの長手方向と幅方向とで異なるのは、フィルム製造時の力学的履歴、及びフィルム加工時の衝撃力の加わり方が長手方向と幅方向で異なるためである。
この加熱による寸法収縮率は、主にポリオレフィンフィルムの延伸と大きな相関がある。無延伸であれば、加熱による寸法収縮率は前記範囲に収まり、また、3倍以上延伸した場合は、加熱による寸法収縮率は殆どの場合前記範囲を外れることになる。
従って、延伸する場合は、加熱による寸法収縮率が前記範囲内に収まるように延伸倍率を抑制する必要がある。
【0017】
本発明に使用されるポリエステルフィルムの樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、エチレン・テレフタレート・イソフタレート共重合体等に代表されるポリエステル樹脂がある。
ポリエステル樹脂は、酸成分として、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸と、アルコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、ヘイサンジオール等の脂肪族ジオールとのエステル化合物して得られた共重合体である。
【0018】
本発明に使用される透明なポリエステルフィルムは、絵柄印刷層の絵柄を鮮映に浮き立たせる作用をなすと共に、該絵柄印刷層を保護する作用をなすものである。
高い鮮映性を実現するために、該透明なポリエステルフィルムは、ヘイズ度が1〜8%の範囲に収め、好ましくは3〜6%の範囲にすることが重要である。
ヘイズ度が1%以下の場合は、印刷面に少しの傷があっても非常に目立って、化粧シートとしての意匠性が低下する。又、ヘイズ度が8%以上になると、内部の絵柄が散乱して見え、鮮映性が不十分となる。
【0019】
また、透明なポリエステルフィルムは、ヘイズ度が上記範囲に規定されると共に、光線透過率が波長400〜700nmの範囲で70%以上にする必要がある。
光線透過率が70%以下では、絵柄の鮮映性が十分得られず、高い意匠効果が得られなくなる。
従って、本発明の高鮮映化粧シートを得るためには、透明なポリエステルフィルムは、ヘイズ度を1〜8%の範囲にし、且つ光線透過率を波長400〜700nmの範囲で70%以上にすることが、重要なポイントである。
【0020】
本発明において絵柄印刷層は、上記ポリオレフィンフィルムの表面(ポリエステルフィルムと接する面)又は上記ポリエステルフィルムの裏面のいずれに設けてもよく、又両方のフィルムに設けてもよい。但し、絵柄印刷層はポリオレフィンフィルムとポリエステルフィルムの層間に設ける必要がある。
絵柄印刷層を形成する方法としては、グラビア印刷、凹版印刷、オフセット印刷、活版印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷、静電印刷、インクジェット印刷等が挙げられる。もしくは、別に離型性シート上に一旦絵柄模様を形成して転写シートを作成し、得られた転写シートからの転写印刷方式によって絵柄印刷層を形成してもよい。
【0021】
絵柄模様としては、木目模様、石目模様、布目模様、皮絞模様、幾何学図形、文字、記号、各種抽象模様、或いは全面ベタ印刷等がある。
【0022】
絵柄印刷のインキとしては、種々のものが使用することができ、結着剤、着色剤、体質顔料、硬化剤、添加剤、溶剤等からなる組成物を使用することができる。
結着剤としては、特に制限はないが、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル、酢酸ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂、等の熱可塑性樹脂、ポリウレタン等の常温硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂、又は、アクリル系等の電離放射線硬化性樹脂等が使用できる。
【0023】
ポリオレフィンフィルムに直接印刷する場合は、結着剤として塩素化ポリオレフィン、ポリウレタン等が接着性の点で好ましいが、易接着プライマーを適当に選択して形成すれば、その他の結着剤を用いても十分な接着性をえることができる。
【0024】
上記ポリエステルフィルムには、耐候性(耐光性)を向上させるために、紫外線吸収剤、及び/又は光安定剤を添加することがある。
その添加量は、紫外線吸収剤、光安定剤とも、通常、0.5〜10重量%程度であるが、一般的には、紫外線吸収剤と光安定剤を併用することが好ましい。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、サリチル酸エステル等の有機物、又は、0.2μm以下の微粒子状の酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化チタン等の無機物を用いることもできる。
安定剤としては、ビス−(2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート等のヒンダードアミン系ラジカル補足剤、ピペリジン系ラジカル捕捉剤等のラジカル捕捉剤を用いることができる。
【0025】
上記ポリオレフィンフィルムには、上記外線吸収剤や光安定剤の他に、充填剤として、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、タルク等の粉末を添加してもよい。その添加量は用途に応じて適宜決定される。
また、ポリオレフィンフィルムには、難燃剤として、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の粉末を添加することがある。
その添加量はポリオレフィン樹脂100重量部に対して10〜150重量部の範囲が好ましい。
【0026】
ポリオレフィンフィルムを細胞状(スポンジ状)発砲体として使用したい場合は、ポリオレフィン樹脂中に発砲剤を添加し、フィルム成膜時に加熱により発砲剤を発砲させて内部に気泡を有するフィルムとする。
発砲剤としては、アゾジカーボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、N−N′−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジン、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、等の熱分解型、又は、アクリロニトリル等の樹脂球殻中にヘキサン、イソブタン等の熱膨張性気体を封入したマイクロカプセル型を用いる。
発砲剤の添加量は、通常、ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、1〜10重量部である。
【0027】
ポリオレフィンフィルムとポリエステルフィルムを積層する方法としては、溶融押し出し法(エクストルージョン法)、熱プレスによる熱融着法、或いは、2液硬化型ポリウレタン樹脂やポリエステル樹脂の接着剤を用いたドライラミネーション法等がある。
熱プレスによる熱融着法としては、少なくとも、ポリエステルフィルムの表面となる面を鏡面体に接するように重ね合わせ、温度120℃〜160℃、圧力5〜100kg/cm2 、時間2〜10分の条件で、加熱加圧した後、加圧した状態で常温まで冷却してからプレス機から取り出す方法が用いられる。
プレス機としは、平プレス、ロールプレス、ベルトプレス等汎用のプレス機を用いることができる。
【0028】
本発明においてポリオレフィンフィルムやポリエステルフィルム、又は絵柄印刷層の上に、接着性向上のために、易接着処理を行うことがある。
易接着処理としては、コロナ放電処理、プラズマ処理、又は、易接着層(プライマー層或いはアンカー層ともいう)を形成する方法がある。
易接着層の形成方法としては、アクリル樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の樹脂を溶媒に溶解したインキを用いて、公知の方法で塗布、乾燥して易接着層とする。
ポリオレフィンフィルム自体には、直接絵柄模様を印刷したり、接着剤を塗布することも可能であるが、易接着層を設けることにより、絵柄印刷層や接着剤とポリオレフィンフィルムとの接着力を強力なものにできる。
【0029】
易接着層に使用されるアクリル樹脂としては、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸プロピル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル・(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、(メタ)アクリル酸エチル・(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体、スチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体等の(メタ)アクリル酸エステルを含む単独又は共重合体からなるアクリル樹脂が挙げられる。(但し、(メタ)アクリル酸メチルは、アクリル酸メチル又はメタアクリル酸メチルを意味し、以下(メタ)は同様の意味を示すものとする。)
【0030】
上記易接着層に使用されるポリウレタン樹脂としては、ポリオール化合物(多価アルコール)を主剤として、イソシアネート化合物を架橋剤(硬化剤)とする組成物である。
ポリオール化合物としては、分子中に2個以上の水酸基を有するもので、基本的には、単量体のジオール、トリオール、及びこれらにアルキレン単位からなる鎖状化合物を結合した重合体のジオールやトリオールを含むものである。
典型的な重合体ポリオールは、末端がヒドロキシ基で、これにアルキレン単位が繰り返し結合し、直鎖又は分岐鎖状の化合物となったもので、好ましくは、1分子中に2,3,4,又はそれ以上のヒドロキシ基を有する化合物である。
【0031】
例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,6,−ヘキサントリオール、ブテンジオール、シュークロース、グルコース、ソルビトール、ペタエリスリトール、マンニトール、トリエタノールアミン、n−メチルジメタノールアミン、並びに、環式芳香族及び脂肪族のポリオール等が挙げられる。
更に、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等が使用される。
【0032】
上記イソシアネート化合物としては、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネート化合物が用いられる。
例えば、2,4トリレンジイソシアネート、2,6トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4ー4′−ジイソシアネート、クルードMDIと称されるポリフェニルメタンポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4ー4′−ジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等の脂肪族、脂環族又は芳香族のジ又はトリイソシアネート化合物、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、或いはポリイソシアネート化合物と低分子量グリコール又はトリオール、例えばジプロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールプロパンと反応させて得られるイソシアネート末端低分子量付加体等が使用できる。
【0033】
本発明の化粧シートを他の被着体(裏打材)に積層することもできる。
被着体に化粧シートが熱融着等で直接接着可能な場合は、接着剤は省いてもよいが、通常は、化粧シート自体では、被着体に接着しない場合が多いので、適当な接着剤を用いて積層する。
被着体が最終製品の場合は、化粧シートは被着体の表面化粧のために使用されまた、化粧シートの力学的強度の補強、或いは隠蔽性の付与のために、化粧シートの裏面に裏打ち材として被着体が積層される場合がある。
【0034】
被着体として、各種素材の平板、曲面板等の板材、立体形状物品(成形品)、シート(或いはフィルム)等の各種形状の物品が対象になる。
板材、立体形状物、シート(又はフィルム)のいずれにも用いられる素材としては、板材単体、木材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)等の木材板、木質繊維板等の木質板、鉄、アルミニウム等の金属、アクリル、ポリエステル、ポリカーボネート、エチレンー酢酸ビニル共重合体、エチレンビニルアセテート、ポリエステル、ポリスチレン、ポリオレフィン、ABS、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル、セルロース系樹脂、ゴム等がある。
また、専ら、板材、又は立体形状物として用いられる素材としては、ガラス、陶磁器、等のセラミックス、硅酸カルシウム、石膏等の非セメント窯業系材料があり、更に、シート又はフィルムとして用いられる素材としては、上質紙、和紙等の紙、炭素、石綿、チタン酸カリウム、ガラス、合成樹脂等の繊維からなる不織布又は織布等がある。
【0035】
これらの各種被着体への積層方法としては、例えば、▲1▼接着剤を間に介して板状基材に加圧ローラーで加圧して積層する方法、▲2▼特公昭50ー19132号公報、特公昭43ー27488号公報等に記載されているように、化粧シートを射出成形機の雄型金型又は雌型金型に挿入して型締め後、雄型金型のゲートから溶融樹脂を射出してキャビテイ内に樹脂を充填し、射出成形と同時に、成形品の表面に化粧シートを接着させる、所謂射出成形同時ラミネート方法、▲3▼特公昭56ー45768号公報、特公昭60ー58014号公報等に記載されているように、成形品の表面に接着剤を介して化粧シートを対向乃至は載置し、成形品の側から真空吸引して圧力差により化粧シートを成形品に積層する、所謂真空プレス積層方法、▲4▼特公昭61ー5895号公報、特公平3ー2666号公報等に記載されているように、円柱、多角柱等の柱状基材の長軸方向に、接着剤を介して化粧シートを供給しつつ、複数の向きの異なるローラーにより、柱状体を構成する複数の側面に順次化粧シートを加圧接着して積層してゆく、所謂ラッピング加工方法、▲5▼実公大15ー31122号公報、特開昭48ー47972号公報等に記載されているように、先ず、化粧シートを板状基材に接着剤を介して積層し、次いで、板状基材の化粧シートと反対側の面に、断面がV字状又はU字状の溝を切削し、該溝の深さが化粧シートと板状基材との界面に到達する程度までにし、その溝内に接着剤を塗布した上で、該溝を折り曲げて箱体又は柱状体を作製する、所謂Vカット又はUカット加工方法、等がある。
【0036】
特に、本発明の化粧シートを凹凸を有する立体物に貼り合わせる方法としては、前記方法のうち、(a)ラッピング加工方法、(b)Vカット加工方法、(c)射出成形同時ラミネート方法、(d)真空成形同時ラミネート方法等が好ましい。
【0037】
本発明の化粧シートは各種被着体に積層し、所定の成形加工等を施して、各種用途に使用される。
例えば、壁、天井、床等の建築物の内装、窓枠、扉、手摺等の建築物の表面化粧、家具又は弱電・OA機器のキャビネットの表面化粧、自動車、電車等の車両の内装、航空機の内装、窓硝子の化粧等に使用される。
【0038】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳しく説明する。
(実施例1)
図5(a)に示すように、ヤング率55kgf/mm2 で厚さ150μmの着色PEフィルム11a(タツノ化学(株)製「F-21」)に、2液硬化型のウレタン系プライマー液(昭和インク工業(株)製「AFS メジウム」)を塗布してプライマー層15を形成後、その上にグラビアインキ(昭和インク工業(株)製「AFS 」を用いて、絵柄印刷層12を形成した。
また、前記着色PEフィルム12には、図5(a)に示すように、前記と同様に、その裏面にもプライマー層15形成した。
【0039】
一方、図5(b)に示すように、厚さ150μmで、ヘイズ度3%、可視光線の透過率80%の透明PETフィルム13aに、接着剤(大日精化工業(株)製「E-295 」)を塗布、乾燥して、接着剤層14を形成した。
次に、図5(c)に示すように、前記絵柄印刷層12を設けた着色PEフィルム11aと接着剤層14を設けた透明PETフィルム13aを、ドライラミネーション法によりラミネートして、積層シート2を作製した。
更に、図3に示すように、前記積層シートの着色PEフィルム11aのプライマー層15の面に、厚さ300μmの着色PEフィルム11aを、前記と同じ接着剤を用いて、ドライラミネーション法によりラミネートして化粧シート1を作製した。
得られた化粧シートは高鮮映で意匠性の優れたものであった。
【0040】
(実施例2)
図5(a)における着色PEフィルム11aの代わりに、ヤング率45kgf/mm2 で厚さ150μmの着色軟質PPフィルム(出光石油化学(株)製「F-2900」)を用いて、実施例1と同様に、プライマー層15及び絵柄印刷層12を形成した。
次に、図4に示すように、この絵柄印刷層12を設けた着色軟質PPフィルム11bと実施例1と同じ透明PETフィルム13aを、実施例1と同様に積層し、更に、この積層シートの着色軟質PPフィルム11b面に、実施例1と同様に、前記着色軟質PPフィルム11bを接着剤層14を介して積層し、ポリオレフィンフィルムとして着色軟質PPフィルムを使用した高鮮映化粧シート1を作製した。
得られた化粧シートは高鮮映で意匠性の優れたものであった。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、化粧シートの構成を、ポリオレフィンフィルム、絵柄印刷層、及び透明なポリエステルフィルムを順次積層する構成とし、ポリ塩化ビニルの代わりにポリオレフィンフィルムを使用することにより、焼却処理された場合でも、塩化水素ガスが発生しないので、焼却時の環境汚染問題を解決することができる。
また、従来の化粧シートでは十分な鮮映性が得られなかったが、表面に使用する透明なポリエステルフィルムを、ヘイズ度が1〜8%、且つ波長400nm〜700nmの光線透過率を70%以上に限定することにより、高鮮映で意匠性の高い化粧シートを得ることができる。
更に、ポリオレフィンフィルムとして、ポリエチレンとゴム類のブレンド物、又はアイソタクティクポリプロピレンとアタクティクポリプロピレンの混合系からなる軟質ポリプロピレン系樹脂を使用することにより、化粧シートを被着体に接着後、被着体をVカット加工等を行った場合でも、加工適性のよい化粧シートとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高鮮映化粧シートの一例を示す模式断面図である。
【図2】本発明の高鮮映化粧シートの別の例を示す模式断面図である。
【図3】実施例1により作製した化粧シートの模式断面図である。
【図4】実施例2により作製した化粧シートの模式断面図である。
【図5】本発明の高鮮映化粧シートを作製するときの説明図で、(a) 着色PEフィルムにプライマー層と絵柄印刷層を設けた図である。
(b) 透明PETフィルムに接着剤層を形成した図である。
(c) (a)図の絵柄印刷層の上に、接着剤層を介して透明なPETフィルムを積層した図である。
【符号の説明】
1 高鮮映化粧シート
2 積層シート
11 ポリオレフィンフィルム
11a 着色PEフィルム
11b 着色軟質PPフィルム
12 絵柄印刷層
13 透明ポリエステルフィルム
13a 透明PETフィルム
14 接着剤層
15 プライマー層
Claims (2)
- ポリエチレンと水素添加ジエン系ゴムのブレンド物からなりヤング率が1〜200kgf/mm2のポリオレフィンフィルム、絵柄印刷層、及びヘイズ度が1〜8%の範囲にあり、且つ光線透過率が波長400nm〜700nmの範囲で70%以上であり表面層となる透明なポリエステルフィルムを順次積層してなることを特徴とする高鮮映化粧シート。
- ヘイズ度が3〜6%の範囲にあることを特徴とする請求項1記載の高鮮映化粧シート。
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