JP3841894B2 - 化粧シート - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物の内装、建具の表面化粧、車輛内装等に用いる表面化粧シートとして利用が可能である。
【0002】
【従来の技術】
従来の斯かる用途に用いる化粧シートとしては、従来から、
ポリ塩化ビニルフイルムを使用して、これに印刷、エンボス加工等で装飾を施した化粧シート。(特公昭28−5036、特公昭58−14312号公報)が用いられていたが、近年これに代わるものとして、
(1)ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフイン系フイルムを使用した化粧シートが登場して来た。(特開昭54−62255号公報)
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
(1)のような従来の化粧シートは、工業的に量産し、建築物の内装材等に使用するにあたって、
▲1▼可撓性、曲げ加工適性が劣り、耐衝撃性も弱く、Vカット加工時に亀裂破断する。特に、加熱軟化〜エンボス版押圧〜冷却というエンボス加工時の熱履歴により、結晶化が進行し、シートが脆弱化し、この傾向が強まる。
▲2▼結晶化度が高い為、エンボス加工条件が非常に狭い。
という問題点があった。
さらに、(1)のような化粧シートにあっては、使用後不要となる化粧シートは、焼却する手間がかかること、また、廃棄物として、埋め立て処分しても、分解しないという問題点があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
生分解性又は光分解性を有するプラスチックシートは、一般のポリオレフィン系樹脂フィルムよりも、可撓性、曲げ加工適性が優れている。従って、耐衝撃性も強く、Vカット加工時に亀裂破断することがない。また、エンボス適性にも優れている。
本発明においては、化粧シートの材料に主として、生分解性又は光分解性を有するプラスチックやこれらのシートを用いることにした。そして、これにより、使用後不要となる化粧シートを焼却することなく、光や土の中の微生物によって、高分子から低分子に分解させることができる。これによって、ゴミ処理、環境汚染等の公害問題を解決できる。
【0005】
上記の問題点を解決するために、本発明においては、凹凸立体物に貼り合わせ用として、生分解性又は光分解性を有するシートに、装飾処理することを特徴とする化粧シートおよびこのような化粧シートの表面に、生分解性又は光分解性を有する透明シートを積層してなることを特徴とする化粧シートを開発したのである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面も含めてより詳細に説明する。
図1は、本発明による化粧シートのうち1層構成からなる例を示す断面図である。
図2は、本発明による化粧シートのうち2層積層構成からなる請求項1又は請求項2に記載の化粧シートの例を示す断面図である。
図3は、本発明による化粧シートの応用例を示す断面図である。
図4は、本発明による化粧材の一例を示す断面図である。
【0007】
本発明における生分解性又は光分解性を有するシート(基材シート、表面シートとも)とは、以下に記載の生分解性プラスチック又は光分解性プラスチックをシート化したものを意味する。
【0008】
まず、生分解性を有するシートとしては、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート・ポリエチレンサクシネート、ポリ−L−ラクチド(ポリ−L−乳酸)などの脂肪族ポリエステル、ポリビニルアルコールを化学合成したシート、セルロース、キトサン、リグニン、澱粉、水分、グラフト澱粉等の天然物を基に作製したシート、3−ヒドロキシブチレート−3−ヒドロキシバレレート共重合体、プルラン、バクテリアセルロース等のように、微生物が作りだす高分子を活用して作製したシート、アミノ酸、糖、ポリエステルなどを発酵技術により原料化した高分子材料を基に作製したシート等が使用される。これらは、通常透明である。
【0009】
次に、光分解性を有するシートとしては、ポリエチレンと炭酸カルシウムとの混合物からなるシート、光増感剤、芳香族ケトン、鉄−アセチルアセトンとの錯体およびNi−ジブチル−ジオカルバートとの錯体などの金属錯体等の低分子光分解用添加剤を混入することからなるフィルムまたはシート、一酸化炭素の共重合体、ビニルケトン類の共重合体、不飽和結合をもつポリマーなどの光吸収性のあるモノマーより合成した材料を基に作製したフィルムまたはシート等が使用される。
【0010】
生分解性又は光分解性を有するシートの厚さは50〜500μm程度で、延伸シート、未延伸シートのいづれも使用可能であるが、Vカット加工等の成形適性上は、未延伸シートの方が良好である。
【0011】
この生分解性又は光分解性を有するシートには、必要に応じ、顔料、染料、充填剤、発泡剤、難燃剤、紫外線吸収剤等を添加する。
【0012】
本発明で用いる生分解性又は光分解性を有するシートは、曲げ弾性率が3000kg/cm2 前後である。曲げ弾性率の測定法は、JIS K 7203に基づく。
【0013】
また、本発明の基材シートや表面シートで用いる生分解性又は光分解性を有するシートは、その加熱寸法収縮率とVカット加工等の曲げ加工時の耐亀裂・破断性とに相関関係が有り、100°C雰囲気中で30分間加熱した後の寸法収縮率(加熱前を基準として)が、長尺帯状シートの場合、シート長手方向が−2〜+7%、シート幅方向が−7〜+2%の範囲が好ましい。寸法収縮率が此の範囲から逸脱するとVカット加工時に亀裂を生じ易くなり好ましくない。
尚、加熱寸法収縮率の許容値がシート長手方向と幅方向とで別々になるのは、シート製造時のシートの材料力学的な履歴、及びシート加工時の衝撃力の加わり方が長手方向と幅方向とで異なる為である。
【0014】
此の加熱寸法収縮率は、主に生分解性又は光分解性を有するシートの延伸と大きな相関が有る。無延伸であれば、此の範囲に前記加熱寸法収縮率は収まり、又3倍以上延伸すると大体の場合、加熱寸法収縮率は此の範囲をはずれる。従って延伸する場合は、加熱寸法収縮率が前記範囲に収まる様に延伸倍率を抑制する。
【0015】
生分解性又は光分解性を有するシート自体に直接模様を印刷したり、接着剤を塗布することも可能であるが、インキや接着剤と生分解性又は光分解性を有するシートとの接着力を、より強固なものにする必要がある場合には、生分解性又は光分解性を有するシート表面に易接着層の塗布、コロナ放電処理、プラズマ処理等の易接着処理を施す。
【0016】
本発明の化粧シートにおいて、易接着層(プライマー層、或いはアンカー層とも云う)としては、前記した生分解性又は光分解性を有するプラスチック、アクリル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、ポリウレタン、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレンが使用されるが、特に、表面シートや基材シートと同種の生分解性又は光分解性を有するプラスチックが望ましい。
【0017】
易接着層を形成した1例として、生分解性又は光分解性を有するシート1と模様層5との間に易接着層4を設けた場合を図1(B)に示す。又、化粧シート自体では被着体と接着しない場合は、適当な易接着層及び接着剤層を介して図3(A)のように積層する。
【0018】
アクリルとしては、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸プロピル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル・(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、(メタ)アクリル酸エチル・(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体、スチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体等の(メタ)アクリル酸エステルを含む単独又は共重合体からなるアクリル樹脂(但し、此処で(メタ)アクリルとはアクリル又はメタアクリルを意味するものとし以下同様である)。
【0019】
ポリウレタンとはポリオール(多価アルコール)を主剤とし、イソシアネートを架橋剤(硬化剤)とするポリウレタンである。
【0020】
ポリオールとしては、分子中に2個以上の水酸基を有するもので、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等が用いられる。
【0021】
又、イソシアネートとしては、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネートが用いられる。例えば、2−4トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、4−4ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、或いはヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネートが用いられる。
【0022】
装飾処理とは、図1(A)に示すような顔料添加による着色(透明又は不透明着色)、図1(B)に示すような模様の印刷、図1(C)に示すようなエンボス加工(加熱プレス)、ヘアライン加工等による凹凸模様賦形等のことである。
或いは、図2(A)〜図2(C)に示す如く、生分解性又は光分解性を有するシート1を基材シートとし、その表面に生分解性又は光分解性を有する透明シート15を積層し、これらの2層のいづれか1層又は両層に前記の装飾処理を施した構成であっても良い。
【0023】
顔料としては、チタン白、亜鉛華、弁柄、朱、群青、コバルトブルー、チタン黄、黄鉛、カーボンブラック等の無機顔料、イソインドリノン、ハンザイエローA、キナクリドン、パーマネントレッド4R、フタロシアニンブルー、インダスレンブリーRS、アニリンブラック等の有機顔料(或いは染料も含む)、アルミニウム、真鍮、等の金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の箔粉からなる真珠光沢(パール)顔料等である。これらは、粉末、或いは鱗片状箔片として添加、分散せしめられる。
【0024】
模様印刷としては、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、転写シートからの転写印刷等公知の印刷法を用いインキ(或いは塗料)にて模様を形成する。
【0025】
模様としては、木目模様、石目模様、布目模様、皮絞模様、幾何学図形、文字、記号、或いは全面ベタ等がある。模様はシートの表面、裏面、表裏両面、或いは層間に設ける。
【0026】
インキ(或いは)塗料としては、バインダーとして、前記した生分解性又は光分解性を有するプラスチック、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル、酢酸ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂、等を用い、一種又は二種以上混合して用いる。これに前記に列挙した様な公知の顔料を添加した物を用いる。
【0027】
生分解性又は光分解性を有するシートに直接印刷する場合は、バインダーとしてシートと同種類の生分解性又は光分解性を有するプラスチックが接着性の点で好ましいが、易接着プライマーを適当に選択して層形成すれば、其の他のバインダーを用いても十分な接着性を与える。
【0028】
エンボス加工としては、生分解性又は光分解性を有するプラスチックを加熱軟化させ、エンボス版で加圧、賦形し、冷却固定して形成するもので、公知の枚葉、或いは輪転式のエンボス機が用いられる。
【0029】
凹凸形状としては、木目板導管溝、石板表面凹凸(花崗岩劈開面等)、布表面テクスチュア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝等である。
【0030】
更に必要に応じて、凹凸模様の凹部に公知のワイピング法(特公昭58−14312号公報等参照)によって、着色インキを充填することもできる。着色インキは前記と同様の物が可能である。但し、耐磨耗性の点で、2液硬化型ウレタン樹脂をバインダーとする物が好ましい。
【0031】
次に、請求項2の化粧シートは、図2(A)に示す如く、生分解性又は光分解性を有するシート1の基材シートに、生分解性又は光分解性を有する透明シート15からなる表面シートを積層した構成からなる。
【0032】
〔紫外線吸収剤・光安定剤〕
樹脂により良好な耐候性(耐光性)を付与するために、紫外線吸収剤、及び/又は光安定剤を添加することができ、その添加量は紫外線吸収剤、光安定剤とも通常0.5〜10重量%程度であるが、一般的には紫外線吸収剤と光安定剤とを併用するのが好ましい。
【0033】
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、サリチル酸エステル等の有機物、又は0.2μm径以下の微粒子状の酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化チタン等の無機物を用いることができる。光安定剤としては、ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート等のヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤、ピペリジン系ラジカル捕捉剤等のラジカル捕捉剤を用いることができる。
【0034】
以上の紫外線吸収剤・光安定剤は軟質ポリプロピレン、アクリル、エチレン・ビニルアルコール共重合体、熱可塑性ポリエステル、ポリオレフィンとも共通である。
【0035】
充填剤としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、タルク等の粉末が用いられる。必要に応じて適量添加する。
難燃剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の粉末が用いられ、これらは、難燃性を付与する必要がある場合に添加する。
添加量は各樹脂100重量部に対して10〜150重量部程度である。
【0036】
もし、生分解性又は光分解性を有するシートを細胞状(スポンジ状)発泡体として使用したい場合は、生分解性又は光分解性を有するプラスチック中に、発泡剤を添加したシートを加熱し、発泡剤を発泡させる。発泡剤としては、アゾジカーボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、N−N′−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、等の熱分解型、又はアクリロニトリル等の樹脂球殻中にヘキサン、イソブタン等の熱膨張性気体を封入したマイクロカプセル型を用いる。その添加量は通常生分解性又は光分解性を有するプラスチック100重量部に対し、1〜10重量部である。
【0037】
請求項1の化粧シート表面に、更に、生分解性又は光分解性を有する透明シートを積層する方法としては、インフレーション、熔融押し出し塗工(エクストルージョンコート)、熱プレスによる融着、或いは、2液硬化型ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等の接着剤を用いたドライラミネート等による。
【0038】
化粧シートは、装飾処理を施した物の単層(図1)、生分解性又は光分解性を有するシートと生分解性又は光分解性を有する透明シートを積層したもの(図2)、三層以上積層した物(図示略)いずれも可能である。
【0039】
又本発明の化粧シートを他の被着体(裏打材)に積層することもできる。
積層は、被着体に化粧シート自体が(熱融点等で)接着可能な場合は、接着剤層は省いても良い〔図3(B)〕、又、化粧シート自体では被着体と接着しない場合は、適当な接着剤にて積層する〔図3(A)〕。
【0040】
被着体が最終製品であり、その表面化粧の為に化粧シートを積層する場合も有れば、必要に応じ化粧シートの力学的強度の補強、或いは隠蔽性の付与の為化粧シート裏面に被着体を積層する場合も有る。
【0041】
被着体としては各種素材の平板、曲面板等の板材〔図3(A)〕、立体形状物品〔成形品、図3(B)〕、シート(或いはフィルム)等の各種形状の物品が対象となる。板材、立体形状物品、或いはシート(フィルム)のいづれにも用いられる素材としては、木材単板、木材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)等の木材板、木質繊維板等の木質板、鉄、アルミニウム等の金属、アクリル、ポリカーボネート、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレンビニルアセテート、ポリエステル、ポリスチレン、ポリオレフイン、ABS、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル、セルロース系樹脂、ゴム等の樹脂、専ら板材、或いは立体形状物品として用いられる素材としては、硝子、陶磁器、等のセラミックス、ALC(発泡軽量コンクリート)等のセメント、硅酸カルシウム、石膏等の非セメント窯業系材料、専らシート(或いはフィルム)として用いられる素材としては、上質紙、和紙等の紙、炭素、石綿、チタン酸カリウム、硝子、合成樹脂等の繊維からなる不織布又は織布等がある。
【0042】
これら各種被着体への積層方法としては、例えば▲1▼接着剤層を間に介して板状基材に加圧ローラーで加圧して積層する方法、▲2▼特公昭50−19132号公報、特公昭43−27488号公報等に記載される様に、化粧シートを射出成形の雌雄両金型間に挿入して、両金型を閉じ、雄型のゲートから熔融樹脂を射出充填して後、冷却して樹脂成形品の成形と同時にその表面に化粧シートを接着積層する、所謂射出成形同時ラミネート方法、▲3▼特公昭56−45768号公報、特公昭60−58014号公報等に記載される様に、成形品の表面に化粧シートを間に接着剤層を介して対向乃至は載置し、成形品側からの真空吸引による圧力差により化粧シートを成形品表面に積層する、所謂真空プレス積層方法、▲4▼特公昭61−5895号公報、特公平3−2666号公報等に記載される様に、円柱、多角柱等の柱状基材の長軸方向に、化粧シートを間に接着剤層を介して供給しつつ、複数の向きの異なるローラーにより、柱状体を構成する複数の側面に順次化粧シートを加圧接着して積層してゆく、所謂ラッピング加工方法、▲5▼実公大15−31122号公報、特開昭48−47972号公報等に記載される様に、先ず化粧シートを板状基材に接着剤層を介して積層し、次いで板状基材の化粧シートとは反対側の面に、化粧シートと板状基材との界面に到達する、断面がV字状、又はU字状溝を切削し、次いで該溝内に接着剤を塗布した上で、該溝を折り曲げ箱体又は柱状体を成形する所謂、Vカット又はUカット加工方法、等がある。
【0043】
特に、本発明化粧シートを凹凸立体物に貼り合わせる方法としては、前記方法のうち、(a)ラッピング加工法、(b)Vカット加工法、(c)射出成形同時ラミネート法、(d)真空成形同時ラミネート法等が好ましい。
【0044】
本発明の化粧シートは各種被着体に積層し、所定の成形加工等を施して、各種用途に用いる。例えば、壁、天井、床等建築物の内装、窓枠、扉、手摺等の建具の表面化粧、家具又は弱電・OA機器のキャビネットの表面化粧、自動車、電車等の車輛内装、航空機内装、窓硝子の化粧等である。
【0045】
【実施例】
以下、本発明の実施例について詳細に説明する。
【0046】
実施例1
基材シートとして、脂肪族ポリエステルフィルム50μm(昭和電工株式会社製 商品名『ビオノーレ♯3020』)を用意した。そして、脂肪族ポリエステル系の易接着層用組成物をメチルエチルケトンとトルエンの混合溶剤に溶解希釈してから、該基材シートの表面に塗布し、60℃、1分間の乾燥で混合溶剤を揮発、除去して厚さ3μmの易接着層を得た。
【0047】
次に、脂肪族ポリエステル系の装飾層用組成物に顔料を添加したものを前記と同じ混合溶剤に溶解希釈して、該易接着層上に、木目をグラビア印刷して、乾燥して装飾層(絵柄層)を得た。
次に、この装飾層上に表面シートとして、透明な脂肪族ポリエステルフィルム50μm(昭和電工株式会社製 商品名『ビオノーレ♯3020』)を接着剤層を介して積層し、本発明の化粧シートを得た。
この化粧シートを土の中へ廃棄したところ、3か月後には、ほぼ分解していた。
【0048】
実施例2
ポリビニルアルコール100重量部をベースにベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を2重量部添加した厚さ80μmの未延伸シート(曲げ弾性率が3000kg/cm2 )を表面シートとした。この表面シートの片面に、コロナ処理を施し、ポリビニルアルコールをバインダーとし、これに顔料を添加したインキで欅板目柄をグラビア印刷を施し、さらに、ポリビニルアルコール系プライマーで、膜厚3μmの易接着プライマー層をグラビアコート法で設けた。
次に、厚さ80μmのポリビニルアルコールフィルムを基材シートとした。
【0049】
先に得られた化粧された表面シートのプライマー面が前記の基材シート側となる様にして、両シートを重ねて、輪転式の熱プレスエンボス機を用い、両シートを積層接着した。その際ラミネート(ニップ)ロールのうち、表面シート側に来るロールを金属ロールとし、表面に欅木目導管溝の凹凸を形成してなるエンボスロールとして、両シートを積層、接着すると同時に表面シートの表面に凹凸模様をエンボス加工して、本発明の化粧シートを製造した。
エンボス条件は、エンボス時シート加熱温度・・・165°C
シート送り速度・・・15m/分
エンボス版面温度・・・40°C
であった。
この化粧シートを土の中へ廃棄したところ、3か月後には、ほぼ分解していた。
【0050】
実施例3
顔料として弁柄、チタン白、黄鉛を添加して黄褐色に着色してなるプルランのシート(曲げ弾性率が3000kg/cm2 )を基材シートとする。この基材シートの表面に、コロナ放電処理を施した上に、プルランをバインダーとしこれに顔料を添加した着色インキを用いて、全面ベタ印刷及び杉柾目模様をグラビア印刷した。その上に、ヘキサメチレンジイソシアネートを硬化剤とし、アクリルポリオールを主剤とする2液硬化型ポリウレタン接着剤を10g/m2 (乾燥時)塗布して希釈溶剤を乾燥させ、その上に表面シートとしてベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤を2重量%添加した、厚さ50μmのプルランからなる透明シートを積層、加圧し、40°C雰囲気中で4日間養生して該印刷インキ及び接着剤を架橋硬化させて、化粧シートを得た。
この化粧シートを土の中へ廃棄したところ、3か月後には、ほぼ分解していた。
【0051】
実施例4
セルロースアセテート100重量部をベースにベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を2重量部添加した厚さ80μmの未延伸シート(曲げ弾性率が3000kg/cm2 )を基材シートとした。この基材シートの片面に、コロナ処理を施し、セルロースアセテートをバインダーとし、これに顔料を添加したインキで欅板目柄をグラビア印刷を施して、本発明の化粧シートを製造した。
この化粧シートを土の中へ廃棄したところ、3か月後には、ほぼ分解していた。
【0052】
比較例1
実施例1の基材シート、表面シートとして、厚さ80μm、延伸倍率3倍の2軸延伸ポリプロピレンシート(曲げ弾性率が9000kg/cm2 )を用いた。その他は実施例1と同じとした。
この化粧シートを土の中へ廃棄したところ、3か月以上経過しても分解する様子はなかった。
【0053】
比較例2
実施例2の基材シート、表面シートとして、厚さ80μm、延伸倍率3倍の2軸延伸ポリプロピレンシート(曲げ弾性率が9000kg/cm2 )を用いた。その他は実施例2と同じとした。
この化粧シートを土の中へ廃棄したところ、3か月以上経過しても分解する様子はなかった。
【0054】
比較例3
実施例3の基材シート、表面シートとして、厚さ80μm、延伸倍率3倍の2軸延伸ポリプロピレンシート(曲げ弾性率が9000kg/cm2 )を用いた。その他は実施例3と同じとした。
この化粧シートを土の中へ廃棄したところ、3か月以上経過しても分解する様子はなかった。
【0055】
比較例4
実施例4の基材シートとして、厚さ80μm、延伸倍率3倍の2軸延伸ポリプロピレンシート(曲げ弾性率が9000kg/cm2 )を用いた。その他は実施例4と同じとした。
この化粧シートを土の中へ廃棄したところ、3か月以上経過しても分解する様子はなかった。
【0056】
〔性能評価試験〕
実施例1〜4の化粧シートと比較例1〜4の化粧シートとをVカット適性において比較した結果を表1に示す。
【0057】
〔試験法〕
1.Vカット時のシート破断・亀裂
化粧シートの基材シート側を、エチレン・酢酸ビニル共重合体エマルジョンの接着剤を用い、厚さ10mmのラワン合板に接着、積層し、該合板の化粧シート側と反対側に、合板と接着剤層との界面に迄達する断面V字型の条溝を切削し、該条溝内にエチレン・酢酸ビニル共重合体エマルジョンの接着剤を塗布し、該条溝を閉じる様にして合板を折り曲げて合板をL字型(断面)に折り曲げた。
加工時の雰囲気温度は10°Cであった。
【0058】
【表1】
Figure 0003841894
【0059】
【発明の効果】
本発明の化粧シートは、
▲1▼Vカット加工可能な耐衝撃性、可撓性、曲げ加工適性を有しており、印刷を施すことにより、意匠性もアップするという効果を奏する。
▲2▼一般のオレフィン系フィルムに比べて、エンボス加工適性に優れている。
▲3▼使用後不要となる化粧シートは、焼却せずに、廃棄物として、埋め立て処分しても、分解するので自然環境に優しい。
▲4▼従来のポリ塩化ビニルのように、焼却しても有害な塩素系ガスを発生しないという効果を奏する。
▲5▼化粧材としても、Vカット加工その他の曲げ加工後も亀裂や破断が無く、耐久性、外観、環境面(エコロジー)の全てにわたり優れた効果を有する化粧材である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による化粧シートのうち1層構成からなる例を示す断面図である。
【図2】本発明による化粧シートのうち2層積層構成からなる請求項1又は請求項2に記載の化粧シートの例を示す断面図である。
【図3】本発明による化粧シートの別の応用例を示す断面図である。
【図4】本発明による化粧材の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 生分解性又は光分解性を有するシート
2 顔料
3 化粧シート
4 易接着層(プライマー層)
5 模様
6 化粧シート
7 凹凸模様
9 化粧シート
10 模様
11 着色インキワイピング充填
12 化粧シート
15 透明シート
21 化粧シート
22 化粧シート
23 化粧シート
30 接着剤層
31 被着体(平板)
32 化粧シート
33 被着体(凹凸立体物)
40 Vカット加工

Claims (2)

  1. 生分解性又は光分解性を有するシートに、装飾処理がなされ、且つ前記生分解性又は光分解性を有するシートの加熱寸法収縮率が、100°C雰囲気中で30分間加熱した後の寸法収縮率(加熱前を基準として)が、長尺帯状シートの場合、シート長手方向が−2〜+7%、シート幅方向が−7〜+2%の範囲であることを特徴とする、凹凸立体物に貼り合わせ用の化粧シート。
  2. 請求項1記載の化粧シートの表面に、生分解性又は光分解性を有する透明シートを積層してなることを特徴とする、凹凸立体物に貼り合わせ用の化粧シート。
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