JP3720933B2 - 抗菌性化粧シート - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラスチック、紙、木材、金属板、無機系素材等あらゆる基材に抗菌性能を付与するために使用される化粧シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、室内水回り関係(台所、浴室、洗面所等)や高温多湿の場所及び病院その他の衛生的な環境を必要とする場所での各種備品(電気製品、各種器具等)については、カビや細菌等の発生を防止できる製品が要望されている。
そのため、これらに使用される化粧紙や化粧板等に防カビ性又は抗菌性を付与する方法として、防カビ剤又は抗菌剤を該当素材中に練り込む方法、又は後工程にて抗菌剤を含有する塗料を塗装する方法等が行われていた(特公昭63ー54013号公報、特公平4ー28646号公報に開示)。
また、防カビ性及び抗菌性を有する壁紙や化粧シートを用いて、上記備品等に抗菌性を付与しようとする試みもなされている(特開平1ー313533号公報に開示)。そして、防カビ性及び抗菌性を有する化粧シートは、そのシートにポリ塩化ビニルシートが多く使用されている。
【0003】
一方、従来、建築物の壁、天井等の内装、家具、キャビネット等の表面装飾材として用いられる化粧シートは、そのシートにポリ塩化ビニルシートが多く使用されているが、近年、ポリ塩化ビニルシートに代わるものとして、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系シートを使用した化粧シートが提案されている(特開昭54ー62255号公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ポリオレフィン系樹脂シートを使用した化粧シートは、被着体に接着して、Vカット加工やラッピング加工したとき、化粧シートの加工適性に問題があった。
その他、ポリ塩化ビニル並の熱成形性が不足する、耐クリープ変形が不足する、耐有機溶剤性が不足する、透明性が不足する、耐候性が不足する、耐熱性が不足する、印刷、ラミネート時のインキ、接着剤等との接着力が不足する、結晶化度が高いため、エンボス加工条件が非常に狭いという問題があった。
そのため、本発明は、着色基材シートと透明な表面シートを積層して抗菌性化粧シートを作製する際に、ポリ塩化ビニルの代わりに、着色基材シートとして、高密度ポリエチレン、熱可塑性エラストマー、着色剤、及び無機充填剤からなるポリオレフィン系樹脂を用い、また、透明な表面シートとして、アイソタクティックポリプロピレンとアタクティックポリプロピレンの混合系からなる複合立体構造を有する軟質ポリプロピレン系樹脂を用い、その透明な表面シートに抗菌処理を施すことにより、上記問題点を解決したものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するために、化粧シートの構成を以下のようにした。着色ポリオレフィン系樹脂よりなる基材シートに、無色又は着色透明な軟質ポリプロピレン系樹脂よりなる表面シートを積層し、該基材シート又は該表面シートのいずれか又は両方に装飾処理を施してなる化粧シートにおいて、該着色ポリオレフィン系樹脂が、主原料が高密度ポリエチレン、熱可塑性エラストマー、着色剤、及び無機充填剤からなり、該軟質ポリプロピレン系樹脂が、アイソタクティックポリプロピレンとアタクティックポリプロピレンの混合系からなる複合立体構造を有し、該表面シートに抗菌剤を0.1〜10重量%含有する厚さ2〜10μmの透明な抗菌性塗膜を形成することで抗菌処理を施したことを特徴とする抗菌性化粧シートとした。
【0006】
そして、化粧シートに抗菌性を付与する方法を以下のようにした。
(1)上記化粧シートの最表面に抗菌剤を添加した抗菌性塗膜を塗布、形成する方法。
(2)上記化粧シートの表面シートとなる透明ポリプロピレン系樹脂に抗菌剤を添加する方法。但し最表面の樹脂シートの最表面側には印刷インキ層、金属薄膜等表面を被覆する層は設けずシート最表面が空中に露出するようにする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照にしながら本発明を詳細に説明する。図1は本発明の抗菌性化粧シートの一例を示した模式断面図である。図2は参考例の抗菌性化粧シートの態様で、表面の透明なポリプロピレンシートに抗菌剤を添加して抗菌性を付与した抗菌性化粧シートの模式断面図である。図3は本発明において抗菌剤を含有する抗菌性塗膜を形成して抗菌性化粧シートを作製するときの説明図である。図4は実施例1により本発明の化粧シートを作製するときの説明図である。図5は実施例2により本発明の化粧シートを作製するときの説明図である。図6は参考例1により化粧シートを作製するときの説明図である。図7は実施例により本発明の化粧シートを作製するときの説明図である。
【0008】
本発明の抗菌性能を有する化粧シート(以下単に抗菌性化粧シートとする)は、図1に示すように、着色ポリオレフィン系樹脂シート11(以下着色POシートとする)、模様12、接着層13、透明な軟質ポリプロピレン系樹脂シート(以下透明PPシートとする)、抗菌剤16を含有する抗菌性塗膜15から構成される。尚、模様12は装飾処理を施してできたものである。一方、図2、抗菌剤16を含有する透明PPシート14を表面層とし、これに模様12を設けた着色POシート11を接着剤13を介して積層して、抗菌性化粧シート1とした参考例である。
【0009】
以下に、本発明の抗菌性化粧シートの製造方法について説明する。
先ず、図3(a)に示すように、着色POシート11として高密度ポリエチレン、熱可塑性エラストマー、着色剤及び無機充填剤からなる樹脂シートを用い、これに木目柄等を印刷して模様12を形成する。
一方、図3(b)に示すように、透明PPシート14としてアイソタクティックポリプロピレンとアタクティッククポリプロピレンの混合系からなる複合構造を有する無色又は着色透明な軟質ポリプロピレン系樹脂シートを用いて、これに接着剤を塗布して接着層13を形成する。
【0010】
次に、前記模様を設けた着色POシート11と接着層13を形成した透明PPシート14をドライラミネーション法等により貼り合わせて、図3(c)に示すような積層シート2を作製する。
この積層シート2の透明PPシート14面に、図3(d)に示すように、抗菌剤を添加した樹脂組成物を塗布、乾燥し、抗菌性塗膜15を形成する。抗菌性塗膜15の乾燥樹脂固形分は抗菌剤16を0.1〜10重量%含有することが好ましく、2〜10μmの厚さで形成することが好ましい。
【0011】
尚、上記抗菌性化粧シートの作製方法として、着色POシート11に、模様12、接着層13を形成して、これに透明PPシート14をラミネートし、その上に抗菌剤を含有する抗菌性塗膜を形成して抗菌性化粧シート1とすることもできる。
また、着色POシート11に、模様12、接着層13を形成し、透明PPシート14には抗菌剤16を含有する抗菌性塗膜15を形成した後、着色POシート11と透明PPシート14をラミネートして抗菌性化粧シート1を作製することもできる。
【0012】
更に、本発明の別の態様として、前記と同様に、着色POシート11に木目柄等を印刷して模様12を形成する。
一方、前記透明なPP樹脂に抗菌剤を添加し、これを押出機等を用いてシート化し、抗菌剤を含有する透明なPPシートを作製する。抗菌剤の好ましい含有量は1〜10重量%である。
次に、印刷した着色POシートの印刷側に接着剤を塗布し、これに抗菌剤を含有する透明なPPシートをドライラミネーション法等でラミネートし、図3に示すような抗菌性化粧シート1を作製する。
【0013】
尚、図2に示すような抗菌性化粧シート1の表面に、抗菌剤を含有する抗菌性塗膜を形成して抗菌性化粧シートとすることもある。
この場合は、抗菌性能を有する層が二重になり、透明なPPシートに添加された抗菌剤は抗菌作用を十分発揮できなくなり、抗菌剤の有効利用方法としては問題がある。
しかし、化粧シートを被着体に接着してVカットやラッピング加工した際に、折り曲げ加工等で、抗菌剤を含有する抗菌性塗膜に亀裂が生じた場合、その下の透明なPPシートに抗菌剤が添加されていれば、その亀裂部分でも抗菌作用を発揮するので、細菌の汚染防止を完全にすることができる。
【0014】
本発明に用いられる着色ポリオレフィン系樹脂シート(着色POシート)としては、高密度ポリエチレン(以下HDPEとする)、熱可塑性エラストマー、着色剤及び無機充填剤からなる樹脂組成物をシート化したものが使用される。
HDPEに熱可塑性エラストマーを添加することにより、HDPEの結晶化が抑制され、エンボス加工適性及び曲げ加工適性の向上を図ることができた。
更に、無機充填剤を添加することにより耐クリープ変形が良好となり、化粧シート基材として、ポリ塩化ビニルシートに匹敵する物性を得ることができた。
【0015】
本発明に使用される高密度ポリエチレンとしては、好ましくは、比重が0.94〜0.96の高密度ポリエチレンであって、低圧法で製造されて結晶化度が高く、分子に枝分かれの少ない分子構造のものが用いられる。
【0016】
本発明における熱可塑性エラストマーとしては、ジエン系ゴム、水素添加ジエン系ゴム、ポリオレフィンエラストマー等が用いられる。
水素添加ジエン系ゴムは、ジエン系ゴム分子の二重結合の少なくとも一部に水素原子を付加させてなるもので、ポリオレフィン系樹脂(本発明においては高密度ポリエチレン)の結晶化を抑え、柔軟性をアップさせるものである。
【0017】
上記ジエン系ゴムとしては、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、プロピレン・ブタジエンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、アクリロニトリル・イソプレンゴム、スチレン・ブタジエンゴム等がある。
ポリオレフィンエラストマーとしては、2種類又は3種以上のオレフィンと共重合しうるポリエンを少なくとも1種加えた弾性共重合体であり、オレフィンはエチレン、プロピレン、α−オレフィン等が使用され、ポリエンとしては、1,4ヘキサジエン、環状ジエン、ノルボルネン等が使用される。
好ましいオレフィン系共重合体としては、例えば、エチレンープロピレン共重合体ゴム、エチレンープロピレンー非共役ジエンゴム、エチレンーブタジエン共重合体ゴム等のオレフィンを主成分とする弾性共重合体が挙げられる。
【0018】
熱可塑性エラストマーの添加量としては、基材中に10〜60重量%、好ましくは30重量%程度である。10重量%未満では、一定荷重時伸度の変化が急峻になり過ぎ、また破断時伸度、耐衝撃性の低下が生じる。添加量が60重量%を超えると透明性、耐候性及び耐クリープ性が低下する。
【0019】
HDPEに添加する無機充填剤としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、タルク等の粉末が用いられる。
添加量としては、基材シート中に5〜60重量%、好ましくは30重量%程度である。5重量%未満では耐クリープ変形性及び易接着性が低下し、60重量%を超えると破断時伸度、耐衝撃性の低下が生じる。
【0020】
前記着色POシートは、有機系又は無機系の着色顔料や染料により任意の色に着色することができる。
本発明のポリオレフィン系樹脂に添加する着色剤としては、チタン白、亜鉛華、弁柄、朱、群青、コバルトブルー、チタン黄、カーボンブラック等の無機顔料、イソインドリノン、ハンザイエローA、キナクリドン、パーマネントレッド4R、フタロシアニンブルー等の有機顔料或いは染料、アルミニウム、真鍮等の金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸亜鉛等の箔粉からなる真珠光沢顔料等が用いられる。
着色は透明着色、不透明(隠蔽)着色いずれでも可能であるが、一般的には、被着体を隠蔽するために不透明着色が好ましい。
【0021】
HDPEに、熱可塑性エラストマー、無機充填剤、着色剤を添加した樹脂混合物は、カレンダー法等の公知の方法に従って製膜して、不透明な着色シートを作製する。
着色POシートの厚さは50〜200μmの範囲が好ましく、より好ましくは100μm程度である。
【0022】
本発明に用いられる上記着色POシートの表面には、コロナ放電処理、プラズマ処理、易接着層の形成等の易接着性処理が施される。
易接着層(プライマー層或いはアンカー層ともいう)としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩化ビニルー酢酸ビニル共重合体系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の樹脂を溶媒に溶解した塗工液を使用されるが、特にポリウレタン樹脂が望ましい。
上記樹脂を溶媒に溶解した塗工液を、公知の方法で塗布、乾燥して易接着層とすることにより、着色POシートと模様や接着層との接着力を強力なものにできる。
【0023】
一方、本発明に用いられる透明PPシートとしては、アイソタクティックポリプロピレンとアタクティックポリプロピレンの混合系からなる複合構造を有する無色又は着色透明な軟質ポリプロピレン系樹脂が使用される。
そして、該以下透明PPシートは、破断伸び(TB )が400%以上、好ましくは500〜700%、100%伸長後の残留伸び(PS100 )が80%以下、好ましくは50〜75%、及び破断時応力(MB )と降伏時応力(MY )との比MB /MY が1.0以上、好ましくは1.5〜3.5の範囲にあることが重要である。
これらの力学的特性が前記範囲を逸脱すると本発明の目的が十分に達成されなくなる。
【0024】
前記アイソタクティックポリプロピレンとアタクティックポリプロピレンの混合系からなる透明PPシートの樹脂成分として、アタクティックポリプロピレンは、沸騰ヘプタンに可溶性であり、数平均分子量(Mn)が25,000以上、好ましくは30,000〜60,000の範囲にあり、且つ重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が7以下、好ましくは2〜6の範囲のものが用いられる。
アタクティックポリプロピレンの数平均分子量(Mn)が25,000未満のものやMw/Mn比が7を超えるものは、該アタクティックポリプロピレンの力学的特性が十分発揮されず、得られたPPシートの破断時応力(MB )と降伏時応力(MY )との比MB /MY が1.0未満となり、100%伸長後の残留伸び(PS100 )が80%を超えたりして、本発明の目的が達成されない。
【0025】
上記アタクティックポリプロピレンは、プロピレンの単独重合体であってもよく、プロピレンの単量体と40重量%以下の他の炭素数2〜30のα−オレフィン単位とを含有するプロピレン共重合体であってもよい。
また、アタクティックポリプロピレンは1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
【0026】
アタクティックポリプロピレンは、公知の方法(特開昭63ー243106号公報)によって製造することができる。
具体的には、(イ)マグネシウム、チタン、ハロゲン原子及び電子供与体を必須成分として含有する固体触媒成分、(ロ)有機アルミニウム化合物、及び(ハ)下記の一般式
【化1】
Figure 0003720933
(式中のR1 は炭素数1〜20のアルキル基、R2 は1〜10の炭化水素基、水酸基又はニトロ基、mは1〜6の整数、nは0又は1〜(6−m)の整数である)で表されるアルコキシ基含有芳香族化合物の組み合わせからなる触媒の存在下で、プロピレンを重合させることにより、所望のアタクティックポリプロピレンを得ることができる。
【0027】
前記透明なPPシートの樹脂成分として、アイソタクティックポリプロピレンは、メルトフローレイト(MFR)が0.1〜4g/10分で、沸騰ヘプタンに不溶性であるものが使用される。
アイソタクティックポリプロピレンのMFRが0.1未満では溶融特性が低く、シート成形が困難になる。また、MFRが4g/10分を超えると機械的強度が不十分となってVカット加工適性が低下する。
【0028】
アイソタクティックポリプロピレンは、立体規則性を有するプロピレンの単独重合体であってもよく、該立体規則性を有するプロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体であってもよい。
また、この共重合体に用いられる他のα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1等が好ましく、中でも、エチレン及びブテン−1が好適である。
また、共重合体としては、前記の他のα−オレフィン単位を通常40重量%以下、好ましくは30重量%以下含有するブロック共重合体やランダム共重合体が用いられる。
【0029】
アイソタクティックポリプロピレンの好ましいものとしては、プロピレン単独重合体、及びエチレン単位1〜30重量%、好ましくは3〜25重量%を含有するプロピレンとエチレンとのランダム共重合体又はブロック共重合体が挙げられる。
このようなアイソタクティックポリプロピレンの製造方法については特に制限はなく、従来、結晶性ポリプロピレンの製造に慣用されている方法の中から任意の方法を選択して用いることができる。
【0030】
本発明に使用される透明なPPシートにおいて、アイソタクティックポリプロピレンとアタクティックポリプロピレンの混合割合は、アタクティックポリプロピレンが10〜90重量%、好ましくは25〜80重量%であり、これに対してアイソクタティクポリプロピレンは90〜10重量%、好ましくは75〜20重量%である。(詳細には、例えば、特公平6ー23278号公報に記載されている。) アタクティックポリプロピレンが10重量%未満では、樹脂の降伏時応力(MY )が大きくなり過ぎて、破断時応力(MB )と降伏時応力(MY )との比MB /MY が1.0未満となり、且つ100%伸長後の残留伸び(PS100 )も80%より大きくなって、本発明の目的が達成されない。
また、一方、アタクティックポリプロピレンが90重量%を超えると、破断時応力(MB )が小さくなり過ぎて、破断時応力(MB )と降伏時応力(MY )との比MB /MY が1.0未満となり、且つ機械的強度が低下し、やはり本発明の目的が達成されない。
【0031】
アタクティックポリプロピレンとアイソタクティックポリプロピレンとの特に好ましい混合比率はは1:1であり、アイソタクティックポリプロピレン成分の比率が高くすると、得られる軟質ポリプロピレンのヤング率が高くなる。
このブレンドポリプロピレンには、化粧シートの表面層として求められる機能を補強するために、各種添加剤、補強材、充填剤、例えば、紫外線吸収剤、光安定剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤等が添加される。
【0032】
紫外線吸収剤、光安定剤は、樹脂により耐候性(耐光性)を付与するためのものであり、その添加量は紫外線吸収剤、光安定剤共に、0.5〜10重量%程度である。一般的には、紫外線吸収剤と光安定剤とを併用するのが好ましい。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、サリチル酸エステル等の有機物、又は、0.2μm以下の微粒子状の酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化チタン等の無機物を用いることもできる。
安定剤としては、ビス−(2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート等のヒンダードアミン系ラジカル補足剤、ピペリジン系ラジカル捕捉剤等のラジカル捕捉剤を用いることができる。
【0033】
上記アイソタクティックポリプロピレンとアタクティックポリプロピレンの混合系からなる軟質ポリプロピレンに紫外線吸収剤、光安定剤等各種添加剤を添加した混合物をカレンダー法等の公知の方法に従って製膜して、無色又は着色透明な軟質ポリプロピレンシートを作製する。
シートの厚さは、50〜200μmのものが好ましく、より好ましくは100μm程度である。
この透明PPシートの着色POシート(基材シート)との接触面には、好ましくは、着色POシートの場合と同様に、コロナ放電処理、プラズマ処理、易接着層の形成等の易接着性処理が施される。
【0034】
装飾処理としては、模様の印刷、エンボス加工(加熱プレス)、ヘアライン加工等による凹凸模様賦型等であってよく、更に凹凸模様の凹部に公知のワイピング法によって着色インキを充填することもできる。
模様印刷の模様としては、木目柄、石目柄、布目柄、皮絞模様、幾何学図形、文字、記号、各種抽象模様、或いは全面ベタ印刷等がある。
全面ベタ印刷の隠蔽層は化粧シートを貼付する被着体の表面状態によって省略されることがある。
【0035】
模様印刷のインキとしては、印刷基材(着色POシートと又は透明PPシート)の材質や形態によって異なるが、一般的には、硝化綿、酢酸セルロース、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等の単独重合体、又は他のモノマーとの重合体をビヒクルとし、これと通常の顔料、染料等の着色剤、体質顔料、硬化剤、添加剤、溶剤等からなるインキが使用される。
特に、本発明の化粧シートには、耐熱性、耐候性に優れたインキが、用途に応じて適宜選定される。
【0036】
模様印刷としては、グラビア印刷、凹版印刷、オフセット印刷、活版印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷、静電印刷、インクジェット印刷等通常の印刷方式が使用できる。
もしくは、別に離型性シート上に一旦絵柄模様を形成して転写シートを作成し、得られた転写シートからの転写印刷方式によって模様印刷を転写して設けてもよい。
また、模様印刷に代えて、アルミニウム、クロム等の金属薄膜をシート又はフィルムの全面又は部分的に形成して装飾処理とすることもできる。
【0037】
上記の着色POシートと透明PPシートは、一般的には、ドライラミネーション法により接着剤によって積層される。
ドライラミネーション法による代表的な接着剤としては、イソシアネートを硬化剤とする二液硬化型ウレタン樹脂やポリエステル樹脂が使用されるが、その他に、ゴム系樹脂やポリエステル樹脂等も使用される。
また、溶融押し出し法(エクストルージョン法)や熱プレスによる熱融着法等によりラミネートすることもできる。
装飾処理が着色POシートに設けられた場合は、表面の透明PPシート側から接着層を通して装飾処理層が見える必要があり、接着層に透明性が要求される。しかし、装飾処理が透明PPシートの裏面に設けられた場合は、接着層は透明でも、不透明でもどちらでもよい。
【0038】
エンボス加工は、従来公知のエンボス加工法がすべて利用できるが、例えば、通常の熱プレス方式の枚葉又は輪転式エンボス機が用いられる。
また、印刷した着色POシートと透明PPシートを熱ラミネートするときに、エンボス版を用いて同時に表面の透明PPシートにエンボス加工を施す、所謂ダブリングエンボス方式により凹凸を形成することもできる。
エンボス凹部の深さは、エンボスによって表現される模様等によって異なるが、化粧シート表面に良好な凹凸感を表現するには、30〜80μm程度が好ましい。
【0039】
エンボス模様は木目の導管溝、浮造木目板の年輪凹凸等の木材表面のテクスチュアーを表現したもの、塗装板の艶状態を再現したもの、又はそれらを組み合わせたもの、その他、ヘアライン、砂地、梨地、抽象パターンや、御影石板等の石材板表面のテクスチュアーを表現する石目パターン、布帛の表面テクスチュアーを表現する布目パターン、皮革面のテクスチュアーを表現する皮絞パターン等を用いることができる。
【0040】
前記エンボス凹部に充填されるワイピングインキとして使用される着色インキは、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、その他常用のインキのビヒクルに、通常の顔料、染料等の着色剤、体質顔料、硬化剤、添加剤、溶剤等からなるインキの中から、用途に応じて選定されるが、二液硬化型のインキが密着性、耐溶剤性の点で好ましい。
また、ワイピング法は、ドクターブレード法、ロールコート法等、従来から使用されている公知のワイピング法のいずれによってもよい。
【0041】
更に、表面シートの表面に、エンボス加工を施し、該エンボス凹部にワイピングインキを充填させる場合は、該ワイピングインキ中に抗菌剤を添加することがきる。ワイピングインキ中の抗菌剤の含有量は、乾物として0.1〜10重量%が好ましい。
本発明にあっては、更に、前記ワイピング加工した化粧シートに抗菌性能を有する抗菌性塗膜を設けて、化粧シートに抗菌性能を付与する。
但し、ワイピングインキ及び透明PPシートに抗菌剤を含ませている場合は設けなくてよい。
【0042】
抗菌性能を有する抗菌性塗膜は以下のようにして形成される。
抗菌性能を有する抗菌性塗膜は、抗菌剤を添加した樹脂組成物を用いて、公知のコート法により抗菌性の樹脂層を形成したものである。抗菌性塗膜の厚さは2〜10μmが好ましい。
抗菌性塗膜に用いられる樹脂としては、抗菌剤に悪影響を与える物質が含まれないことが必要であり、また、抗菌剤と反応して着色したり、熱、光、電離放射線等で変色したりするものは使用できない。
特に熱硬化性樹脂の硬化に用いる酸触媒や抗菌剤の金属イオンを還元する性質を有する化合物等は添加しないようにする。
【0043】
上記条件を満足する熱可塑性樹脂としては、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニルー酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル等のビニル樹脂系、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、等の(メタ)アクリル酸エステルの単独又は共重合体等のアクリル樹脂系、セルロース系樹脂、熱可塑性ポリエステル、塩素化ポリオレフィン等がある。
但し、上記ポリ(メタ)アクリル酸メチルとはポリアクリル酸メチル又はポリメタアクリル酸メチルを意味するものとし、以下(メタ)は同じ意味に使用する。
【0044】
熱硬化性樹脂としては、二液硬化型のポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂系、エポキシ樹脂系、アミノアルキッド樹脂系、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、尿素樹脂、熱硬化型アクリル樹脂等がある。
【0045】
電離放射線硬化性樹脂としては、分子中に(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等の重合性不飽和基、エポキシ基、チオール基等を含む単量体及び/又はプレポリマーから成る組成物を電離放射線で重合(架橋反応、附加反応等)硬化させてなる物であり、電離放射線としては、電子線、紫外線等が用いられる。
これらのプレポリマー例としては、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート、不飽和ポリエステル等が挙げられる。
単量体の例としては、スチレン、αーメチルスチレン等のスチレン系単量体、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ー2ーエチルヘキシル、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等がある。
【0046】
上記抗菌性塗膜、表面シート及びワイピングインキに添加する抗菌剤としては、一般に市販されている工業用抗菌剤が使用できる。
抗菌剤には有機系抗菌剤と無機系抗菌剤があるが、下記の抗菌剤が使用できる。
【0047】
▲1▼ 無機系抗菌剤として、特公昭63ー54013号公報、特開平4ー300975号公報、特許第2529574号公報等に開示されているゼオライト、アパタイト、ガラス、シリカゲル、リン酸塩、リン酸ジルコニウム等のイオン交換可能なイオンの一部又は全部を、銀、銅、亜鉛、錫、鉛、水銀、コバルト、アンモニウム等のイオンで置換したイオン交換体がある。
中でも、ゼオライト、リン酸ジルコニウムのイオン交換可能なイオンの一部を銀イオンで置換したものが、安全性や実積面から望ましい。
ゼオライト、リン酸ジルコニウムに担持させた金属イオンの含有量としては、銀イオンの場合は0.1〜15重量%、銅又は亜鉛イオンの場合は0.1〜8重量%が好ましい。
また、上記金属イオンで置換したイオン交換体を更にアンモニウムイオンで置換したものもある。(特公平4ー28646号公報、特許第2529574号公報等に開示)
【0048】
▲2▼ 抗菌性を有する有機化合物としては、p−アミノベンゼンスルホンアミド、スルファチアゾール、スルファピリジン、スルファピダイアジン等のスルファ剤、ジメチルジチオカルバメート、エチレンビスチオカルバメート、等のジチオカルバミン酸塩、2−(2−フリル)−3−(5−ニトロ−2−フリル)アクリルアミド等が挙げられる。
【0049】
▲3▼ 抗菌性及び防黴性を有する化合物としては、トリメトキシシリルプロピルオクタデシルアンモニウムクロライド、10,10′−オキシビスフェノキシアルシン、2−(4−チアゾリル)−ベンズイミダゾール、ビス(2−ピリジルチオ−1−オキシド)亜鉛、2−N−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2,3,5,6,−チトクロロ−4−(メチルチオ)−フタルイミド、N−(フルオロジクロロメチルチオ)フロルイミド、グリセオフルビン、トリコマイシン、アンホテリシンB等がある。
【0050】
▲4▼ 抗生物質としては、フェノキシメチルペニシリン、ジクロキサシリン等のペニシリン、セファロチン、セファゾリン等のセファロスポリン、硫酸ストレプトマイシン、パロモマイシン(硫酸塩)等のストレプトマイシン、エリスロマイシン、ジョサマイシン等のエリスロマイシン、テトラサイクリン、硝酸ロリテトラサイクリン等のテトラサイクリン、クロランフェニコール、チアンフェニコールアミン酢酸エステル塩酸塩等のクロランフェニコール等がある。
【0051】
尚、上記無機系抗菌剤の粒径としては、その添加量が1〜10重量%、塗布厚(乾物として)が2〜10μmに対しては、0.1〜10μmの範囲で適度な粒度分布のものを用いると最小添加量で最大の抗菌作用を与える上で好ましい。特に粒径2〜5μmが良好である。
【0052】
抗菌剤を添加した樹脂組成物は抗菌剤に悪影響を与える成分は除去する必要があり、樹脂成分、溶媒、抗菌剤の単純系が望ましい。
前記樹脂組成物は塗膜を形成したとき、多くは透明性であることが望まれるため、溶媒に溶解しない無機系抗菌剤を添加する場合、その添加量は制限される。更に、銀、ニッケル等の金属は有機化合物に対する変色、変質、劣化の原因となる場合が多く、この点からも過剰の添加は好ましくない。
【0053】
上記抗菌剤の場合、樹脂組成物が抗菌性塗膜を形成したときの乾物量として、抗菌剤の含有量は0.1〜10重量%の範囲が望ましく、抗菌性効果及び透明性を重視した場合は2〜5重量%が好適である。
抗菌剤の含有量が10重量%を越える場合は、前記問題点が無視できなくなり、又、0.1重量%未満では十分な抗菌作用が得られない。
【0054】
抗菌剤を添加した樹脂組成物を用いて、抗菌性塗膜を形成する方法としては、グラビアコート、ロールコート、エアナイフコート、キスコート、スプレーコート、ホイラーコート、カーテンフローコート、刷毛塗りもしくはグラビア印刷、グラビアオフセット印刷、凹版印刷、シルクスクリーン印刷法等によって行うことができる。
【0055】
抗菌性塗膜は最小添加量で最大の抗菌効果を発揮させるため、抗菌剤粒子の一部が塗膜の表面に露出している必要があり、抗菌剤の添加量0.1〜10重量%に対して塗膜の厚さは2〜10μm程度で、抗菌剤粒子は好ましくは2〜5μm程度にする必要がある。
塗布方式により塗布量が足りない場合は、1回コートから2回〜3回コート程度の重ね刷りを行う場合もある。
しかし、抗菌剤の粒径が大きい場合や添加量を多くした場合は塗膜の厚さを10μm超過しても抗菌作用は発揮できるが、透明性は望まれない。又、塗膜内部に封入され、直接抗菌作用に寄与しない物の比率が増える。
塗膜を2μm未満にすると塗膜の十分な耐久性と前記粒径、添加量の無機系抗菌剤を塗膜に膠着させる結合力とが不十分となる。
【0056】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。
(実施例1)
高密度ポリエチレンをベースにして、これに熱可塑性エラストマーとしてスチレン−ブタジエンゴムを30重量%、無機充填剤として炭酸カルシウム10重量%、着色顔料として弁柄とカーボンブラックを5重量%、熱安定剤及びヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤を5重量%、添加したブレンド物をカレンダー製膜法によって製膜し、厚さ100μmの不透明着色シート(以下着色PEシート11aとする)を得た。
次いで、図4(a)に示すように、この着色PEシート11aの表面に、ウレタン系2液硬化型プライマー液(昭和インク工業(株)製「AFS メジューム」) を塗布してプライマー層20を形成した後、ポリウレタン系2液硬化型白色インキ(昭和インク工業(株)製「UEベタホワイト着色」) を用いて、白色のベタ印刷層12bを形成し、その上に、塩化ビニルー酢酸ビニル系インキ(昭和インク工業(株)製「化X 」) を用いて、柾目柄をグラビア印刷して絵柄印刷層12aを設けた。
【0057】
一方、アイソタクティックポリプロピレン50重量%とアタクティックポリプロピレン50重量%のブレンドポリプロピレンに、紫外線吸収剤としてベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を3000ppm、光安定剤としてヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤を5000ppmを添加し、このブレンドポリプロピレンを溶融押し出し法によりシート化し、厚さ100μmの透明な軟質ポリプロピレンシート(透明PPシート)を得た。
次いで、図4(b)に示すように、この透明PPシートに、抗菌剤として粒径分布が2〜5μmで、銀含有量が2.5重量%、亜鉛含有量14.5重量%である銀イオン系ゼオライト抗菌剤を5重量%添加したウレタン系2液硬化型インキ(昭和インク工業(株)製「OP-A4 コーキン」)を用いて、グラビアロールコート方式により、抗菌剤16を含有する抗菌性塗膜15を形成した。抗菌性塗膜15は硬化後の厚さが3μmになるようにした。
【0058】
次に、前記着色PEシートの印刷面にウレタン系接着剤(大日精化工業(株)製「E-288L」)を塗布し、図4(c)に示すように、前記透明PPシートのPP面をドライラミネートして抗菌性化粧シート1を作製した。
【0059】
(実施例2)
実施例1と同様に、着色PEシート11aに、プライマー層20、ベタ印刷層12b、絵柄印刷層12aを形成した後、この着色PEシート11aに、図5(a)に示すように、実施例1と同じ透明PPシート14を、実施例1と同様にドライラミネートして積層シート2を作製した。
上記積層シート2の透明PPシート14の表面に、図5(b)に示すように、熱プレス方式のエンボス機を用いて、木目導管のエンボス模様18を形成した。次いで、前記積層シートのエンボス模様面にコロナ処理を行った後、図5(c)に示すように、抗菌剤を添加しないウレタン系樹脂のワイピングインキ17a(昭和インク工業(株)製「W-1411」)を用いて、そのエンボス凹部にワイピングインキ17aを充填した。
更にその上に、図5(d)に示すように、実施例1と同様に、抗菌剤を添加したインキを用いて、グラビアロールコート方式により、厚さ3μmの抗菌性塗膜15を形成して、抗菌性化粧シート1を作製した。
【0060】
参考例1
図6(a)に示すように、着色PEシート11aに、プライマー層20、ベタ印刷層12b、絵柄印刷層12aを形成した。一方、実施例1で用いたブレンドポリプロピレンに、実施例1で用いた抗菌剤を5重量%添加し、この抗菌剤を含有するブレンドポリプロピレンを溶融押出し法により、図6(b)に示すように、厚さ100μmの抗菌剤含有透明なPPシート14を作製した。次に、印刷した着色PEシート11aと抗菌剤16を含有する透明なPPシート14をドライラミネーションによってラミネートし、図6(c)に示すような抗菌性化粧シート1を作製した。
【0061】
(実施例
図7(a)に示すように、実施例1と同様に、抗菌性化粧シート1を作製した。次に、この抗菌性化粧シート1の抗菌剤16を含有する抗菌性塗膜15面に、実施例2と同様に、エンボス模様を形成して、図7(b)に示すように、表面にエンボス模様を有する抗菌性化粧シート1を作製した。
【0062】
抗菌剤を添加しない化粧シートを、実施例或いは参考例と同様に作製して、下記のような比較例1、2、3、4の抗菌性能のない化粧シートを得た。
(比較例1)抗菌性塗膜に相当する最表面に抗菌剤を添加しない以外は、実施例1と同様に化粧シートを作製して比較例1とした。
(比較例2)抗菌性塗膜に相当する最表面に抗菌剤を添加しない以外は、実施例2と同様に化粧シートを作製して比較例2とした。
(比較例3)透明なPPシートに抗菌剤を添加しない以外は、参考例1と同様に化粧シートを作製して比較例3とした。
(比較例4)抗菌性塗膜に相当する最表面に抗菌剤を添加しない以外は、実施例と同様に化粧シートを作製して比較例4とした。
【0063】
(抗菌性試験)上記実施例1、2、3、及び参考例1で作製した抗菌性化粧シート及び比較例1、2、3、4で作製した化粧シートについて下記の方法で細菌に対する抑制効果を試験した。
【0064】
試験結果は表1に示すとおりで、実施例で作製した検体はいずれも殺菌効果が優れており、本発明の抗菌性能を有する化粧シートの抗菌性能が実証できた。
即ち、実施例1、2、3、4で作製した抗菌性化粧シートにより、24時間後には、E.coliでは、初期菌数1.2×105 個から30個に、MRSAでは、初期菌数2.4×105 個から10以下に減少しており、E.coli及びMRSAに対する抗菌性化粧シートの殺菌率は99.99%以上である。
これに対して、抗菌剤を添加しない比較例1、2、3、4では、E.coli及びMRSAの24時間後の残存菌数は、未だ、104 〜105 個も残存していた。
従って、本発明の抗菌性化粧シートは、殺菌効果が優れており、病院その他の衛生的な環境を必要とする場所での各種備品に利用すれば、細菌汚染の防止に有効な手段となり得ることが期待できる。
【0065】
【表1】
Figure 0003720933
【0066】
【発明の効果】
本発明の抗菌性化粧シートは、プラスチック、紙、木材、金属板、無機系素材等あらゆる基材に貼付することによりその表面に抗菌性能を付与することができるので、室内水回り関係や高温多湿の場所及び病院その他衛生的な環境を必要とする場所で使用される各種備品(電気製品、キャビネット、各種器具等)に対し、抗菌性能を付与するには非常に有効な手段である。例えば、本発明の抗菌性化粧シートを用いて化粧鋼板を作製し、この化粧鋼板を、病院の間仕切り、衝立、手摺等に利用した場合は、付着した細菌に対して殺菌作用を示すので、室内を清潔に維持できると共に、各種細菌の院内感染を防止することもできる。また、本発明の抗菌性化粧シートを、既存の電気製品、キャビネット、各種器具等に貼付することにより、抗菌性能を付与することができるので、細菌の汚染防止に経済的負担が少なくて済む。更に、着色ポリオレフィン系樹脂よりなる基材シートに、無色又は着色透明な軟質ポリプロピレン系樹脂よりなる表面シートを積層した構造の化粧シートにおいて、高密度ポリエチレンに熱可塑性エラストマー、着色剤及び無機充填剤とを配合したポリオレフィン系樹脂により基材シートを構成し、アイソタクティックポリプロピレンとアタクティックポリプロピレンの混合系からなる複合立体構造を有する軟質ポリプロピレンにより表面シートを構成し、その表面シートに抗菌剤を0.1〜10重量%含有する厚さ2〜10μmの抗菌性塗膜を形成することで抗菌処理を施すことにより、本発明の抗菌性化粧シートは、従来の化粧シートの欠点を解消でき、抗菌性化粧シートを積層した化粧材にVカット加工を施しても、表面シートに亀裂が生じたり、白化したりする虞れがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による抗菌性化粧シートの一例を示す模式断面図である。
【図2】参考例の抗菌性化粧シートで、表面の透明なPPシートに抗菌剤を添加して抗菌性を付与した抗菌性化粧シートの模式断面図である。
【図3】本発明の抗菌剤を含有する抗菌性塗膜を形成して抗菌性化粧シートを作製するときの説明図である。
【図4】実施例1により本発明の化粧シートを作製するときの説明図である。
【図5】実施例2により本発明の化粧シートを作製するときの説明図である。
【図6】参考例1により化粧シートを作製するときの説明図である。
【図7】実施例により本発明の化粧シートを作製するときの説明図である。
【符号の説明】
1 抗菌性化粧シート
2 積層シート
11 着色POシート
11a 着色PEシート
12 模様
12a 絵柄印刷層
12b ベタ印刷層
13 接着層
14 透明PPシート
15 抗菌性塗膜
16 抗菌剤
17 ワイピングインキ(抗菌剤含有)
17a 抗菌剤なしのワイピングインキ
18 エンボス模様
19 エンボス凹部
20 プライマー層

Claims (1)

  1. 着色ポリオレフィン系樹脂よりなる基材シートに、無色又は着色透明な軟質ポリプロピレン系樹脂よりなる表面シートを積層し、該基材シート又は該表面シートのいずれか又は両方に装飾処理を施してなる化粧シートにおいて、該着色ポリオレフィン系樹脂が、主原料が高密度ポリエチレン、熱可塑性エラストマー、着色剤、及び無機充填剤からなり、該軟質ポリプロピレン系樹脂が、アイソタクティックポリプロピレンとアタクティックポリプロピレンの混合系からなる複合立体構造を有し、該表面シートに抗菌剤を0.1〜10重量%含有する厚さ2〜10μmの透明な抗菌性塗膜を形成することで抗菌処理を施したことを特徴とする抗菌性化粧シート。
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