JPH11291423A - 化粧シート及び化粧板 - Google Patents

化粧シート及び化粧板

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JPH11291423A
JPH11291423A JP9372798A JP9372798A JPH11291423A JP H11291423 A JPH11291423 A JP H11291423A JP 9372798 A JP9372798 A JP 9372798A JP 9372798 A JP9372798 A JP 9372798A JP H11291423 A JPH11291423 A JP H11291423A
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圭介 遠藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐スクラッチ性及び耐磨耗性に優れ、製造時に
おいて、製造装置に損傷等を与えることがない、且つ環
境に優しいポリオレフィン樹脂からなる化粧シート及び
該化粧シートを基板に貼着した化粧板を提供する。 【解決手段】必要に応じて、装飾処理が施されたポリオ
レフィン系樹脂シート表面に保護層を積層してなる化粧
シートにおいて、前記ポリオレフィン系樹脂シート中に
球状無機質粒子を含有してなり、前記保護層が3次元架
橋樹脂からなることを特徴とする化粧シート、及び、前
記ポリオレフィン系樹脂は、球状無機質粒子を含有する
樹脂であることを特徴とする化粧シート、及び該化粧シ
ートを基板に接着してなることを特徴とする化粧板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に床、壁面、天
井、扉、家電製品の表面装飾材料として有用な非塩化ビ
ニル系のエコロジーシートである化粧シート、および該
化粧シートを木質板やポリオレフィン系樹脂板に接着し
てなる化粧板に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、特開昭54−62255号公
報特開平6−79830号公報等に開示される如く、ポ
リオレフィン系樹脂からなる基材シートに、絵柄印刷等
の装飾処理を施し、この印刷シートと、ポリオレフィン
系樹脂からなる透明シートを接着してなる化粧シートが
知られている。かかる化粧シートは、非塩化ビニル系の
エコロジーシートとして環境面で優れ、壁、天井、床、
手摺、家電製品等の表面装飾材として広く用いられてい
る。
【0003】また、特開平8−183147号公報等に
開示される如く、装飾処理を施した基材に、球状アルミ
ナ等の球状粒子を含有させた電離放射線硬化性樹脂等の
架橋性樹脂からなるシートを接着してなる耐磨耗性化粧
シートが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記した化粧シートの
内、ポリオレフィン系樹脂からなる化粧シートは、加工
適性に優れ、非塩化ビニル系の環境衛生上の問題が少な
いものであるが、ポリオレフィン系樹脂を使用する為、
耐擦傷性に乏しく、擦り傷が付き易く、又、耐磨耗性も
十分とは言えない。
【0005】一方、硬質球状粒子を含有する電離放射線
硬化性樹脂層を表面シートとした化粧シートは、耐擦傷
性(耐スクラッチ性ともいう)に優れたものであるが、
床材等の様に長期に亘る耐磨耗性を要求される場合には
耐磨耗性が十分とは言えず、より優れた耐磨耗性を有す
る化粧シートが要望されている。
【0006】そこで、該ポリオレフィン系樹脂シートに
耐磨耗性を付与するために、ポリオレフィン系樹脂にア
ルミナ等の硬質球状粒子を添加した化粧シートが考えら
れた。
【0007】しかしながら、化粧シートをかかる構成と
した場合には、耐磨耗性に優れた化粧シートを得ること
はできるものの、ポリオレフィン系樹脂シート表面に傷
がつきやすい(即ち、耐スクラッチ性に劣る)という問
題が残った。また、選択する球状粒子の種類によって
は、化粧シートの製造装置、例えば、圧着ロール表面に
損傷を与えたり、磨耗させたりする場合もあった。
【0008】本発明は、かかる実状に鑑みてなされたも
のであり、耐スクラッチ性及び耐磨耗性の両方に優れ、
製造時において、製造装置に損傷等を与えることがな
く、且つ環境に優しいポリオレフィン樹脂からなる化粧
シート、及び該化粧シートを基板に貼着した化粧板を提
供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すべく、
本発明は、必要に応じて装飾処理が施されたポリオレフ
ィン系樹脂シート表面に保護層を積層してなる化粧シー
トにおいて、前記ポリオレフィン系樹脂シート中に球状
無機質粒子を含有してなり、また、前記保護層が3次元
架橋樹脂からなることを特徴とする化粧シートを提供す
る。
【0010】また、本発明は、装飾処理が施されたポリ
オレフィン系樹脂からなる基材シートと、該基材シート
上に透明ポリオレフィン系樹脂からなる表面シートと、
および該表面シート上に3次元架橋樹脂からなる層を積
層してなる化粧シートにおいて、前記透明ポリオレフィ
ン系樹脂は、球状無機質粒子を含有する樹脂であること
を特徴とする化粧シートを提供する。
【0011】また、本発明は、前記化粧シートを、ポリ
オレフィン系樹脂板、木質板等の基板に接着してなるこ
とを特徴とする化粧板を提供する。
【0012】本発明をかかる構成とすることにより、耐
スクラッチ性及び耐磨耗性の両方に極めて優れ、その製
造時において、製造装置に損傷等を与えることがない化
粧シート及び該化粧シートを有する化粧板を提供するこ
とができる。
【0013】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
化粧シートは、ポリオレフィン系樹脂からなるシート上
に3次元架橋樹脂からなる層を積層してなる化粧シート
であって、前記透明ポリオレフィン系樹脂は、アルミナ
等の無機質の球状粒子を含有する樹脂であることを特徴
とする。
【0014】本発明の化粧シートに用いられる前記ポリ
オレフィン系樹脂としては、例えば、オレフィン系熱可
塑性エラストマーや非エラストマーオレフィン系樹脂等
が挙げられる。具体的には、ポリエチレン(高密度、中
密度、低密度)、ポリプロピレン、ポリメチルペンテ
ン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピ
レン−ブテン−1−共重合体、アイオノマー等の結晶質
の非エラストマーポリオレフィン系樹脂、あるいはオレ
フィン系熱可塑性エラストマーが用いられる。これらの
内、化粧シートの成形加工適性の点からは、オレフィン
系熱可塑性エラストマー樹脂が特に好ましい。
【0015】オレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂
は、ソフトセグメントとなるエラストマーと、ハードセ
グメントとなる非エラストマーオレフィン系樹脂とから
なる複合材料の熱可塑性エラストマーであり、例えば、
下記のものがある。 (1)ソフトセグメントとしてのエラストマーとハード
セグメントとしての結晶質の非エラストマーオレフィン
系樹脂との単純ブレンド。 (2)エラストマーと非エラストマーオレフィン系樹脂
とを部分的に架橋させて複合化した架橋タイプ。 (3)エラストマーを架橋させて、それを非エラストマ
ーオレフィン系樹脂に分散させたタイプ。
【0016】これらの非エラストマーオレフィン系樹脂
としては、前記に列挙したものが用いられ得るが、特に
高密度ポリエチレン又はポリプロピレン(特に、アタク
チック型)が好ましい。
【0017】本発明に用いられるエラストマー(ゴム
類)は、オレフィン系樹脂に柔軟性、耐衝撃性、易接着
性を付与するために添加されるものである。
【0018】添加するエラストマーとしては、ジエン系
ゴム、水素添加ジエン系ゴム、オレフィン系エラストマ
ー等があるが、中でも、水素添加ジエン系ゴムが好まし
い。水素添加ジエン系ゴムは、ジエン系ゴム分子の二重
結合の少なくとも一部分に水素原子を付加させてなるも
ので、本発明においてはオレフィン系樹脂の結晶化を抑
え、柔軟性、透明性を向上させる役割を有する。また、
一般に、オレフィン系樹脂にジエン系ゴムを添加すると
ジエン系ゴムの二重結合の為、耐候性、耐熱性はジエン
系ゴム無添加のポリオレフィン系樹脂より低下するが、
本発明では、ジエン系ゴムの二重結合を水素で飽和させ
ているため、オレフィン系樹脂の耐候性、耐熱性の低下
もなく、良好なものとなる。
【0019】ジエン系ゴムとしては、イソプレンゴム、
ブタジエンゴム、ブチルゴム、プロピレン−ブタジエン
ゴム、アクリロニトリル−ブタジエンンゴム、アクリロ
ニトリル−イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム
等がある。本発明の目的からは、特に、スチレン−ブタ
ジエンゴムが好ましい。
【0020】エラストマーの添加量は、オレフィン系樹
脂100重量部に対し、1〜90重量部程度が好まし
い。1重量部未満では、ゴム添加による弾性、伸び率、
衝撃性、接着性が不足し、Vカット加工、絞り加工等の
折り曲げ加工時に亀裂、割れを生じ易くなる。又、90
重量部以上の場合には、弾性及び伸び率が大きくなりす
ぎ、印刷等の見当合わせが不良となり好ましくない。
【0021】上記(2)のタイプとしては、例えば、
イ)特公昭53−21021号公報、特公昭53−34
210号公報等に記載されているもの、ロ)特公昭56
−15741号公報に記載されているもの等が挙げられ
る。
【0022】より具体的には、例えば、上記イ)として
は、60〜80重量部のモノオレフィン共重合エラスト
マー(A)と、40〜20重量部の非エラストマーポリ
オレフィン系プラスチック(B)、及びそれらの硬化剤
とを混合し、それらを硬化温度で、素練り中に硬化して
いないブレンド物の通常の溶剤に不溶にならない程度に
部分的に硬化させたものがある。前記オレフィン系共重
合エラストマーとしては、2種類又は3種類以上のオレ
フィンと共重合しうるポリエンを少なくとも1種を加え
た弾性共重合体が挙げられる。
【0023】前記オレフィンとしては、エチレン、プロ
ピレン、α−オレフィン等が使用され、ポリエンとして
は、1,4−ヘキサジエン、環状ジエン、ノルボネン等
が使用される。好ましいオレフィン系共重合体ゴムとし
ては、例えば、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エ
チレン−プロピレン−非共役ジエンゴム、エチレン−プ
ロピレン−ブタジエン共重合体ゴム等のオレフィンを主
成分とする弾性共重合体が挙げられる。
【0024】上記非エラストマーオレフィン系プラスチ
ック(B)としては、エチレン、プロピレン、ブテン−
1、ペンテン−1,4−メチルペンテン等のオレフィン
を常法で重合して得られる結晶質熱可塑性樹脂であり、
高級α−オレフィンで変成したポリエチレン、ポリプロ
ピレン等も含む。
【0025】また、硬化剤としては、脂肪族又は芳香族
の有機過酸化物、アザイド型、アルデヒド−アミン反応
生成物、置換ウレア、キサンテート類、ジチオカーバメ
ート類、イミダゾール類、スルフォンアミド類、チウラ
ムダイサルファイト類、パラキノンジオキシム、ジベン
ゾパラキノンジオキシム、硫黄等を挙げることができ
る。
【0026】上記の配合物を開放型のロールの上で素練
りするか、バンバリーミキサー、押出しミキサー、トラ
ンスファーミキサー等の内部ミキサー内で、温度150
〜280℃で、1〜20分程素練りすることにより、部
分的に架橋させることができる。
【0027】また、上記ロ)としては、エチレン−プロ
ピレン系共重合ゴム、エチレン−プロピレン非共役ジエ
ンゴム、エチレン−ブタジエン共重合体ゴム、等のオレ
フィン系共重合体ゴムと、プロピレン−エチレン共重合
体、プロピレン−1−共重合体、プロピレン−ヘキセン
−1−共重合体、プロピレン−4−メチル−1−ペンテ
ン共重合体等を、高沸点石油留分、パラフィン系、ナフ
テン系、あるい芳香族系等の鉱物油系軟化剤とともに、
有機ペルオキシドとともに、溶融混練して部分的に架橋
されたオレフィン系熱可塑性エラストマーが得られる。
これらは、前述のイ)の方法と同様にして製造すること
ができる。
【0028】さらに、このオレフィン系樹脂には、必要
に応じ、他の充填剤、発泡剤(但し、耐磨耗性を得る
為、最表面の球状無機質粒子を含有させるオレフィン系
樹脂シート中には添加しない。)、難燃剤、酸化防止
剤、紫外線吸収剤等を添加することができる。充填剤
は、耐クリープ変形性、易接着性などの物性を改良する
目的で添加されるものであり、好ましくは無機充填剤を
用いる。例えば、カーボンブラック、炭酸カルシウム、
珪酸カルシウム、チタンホワイト、ホワイトカーボン、
アスベスト、雲母、石英粉、スレート粉末、ガラス球等
がある。
【0029】発泡剤としては、例えば、アゾニトリル化
合物、ベンゼンスルフォヒドラジン化合物、ジアゾアミ
ド化合物等がある。
【0030】難燃剤は、プラスチックス材料に耐燃性を
付与するために添加されるものであり、例えば、塩化パ
ラフィン、トリクレジルホスフェート、塩素化油、テト
ラクロロ無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、テ
トラブロモビスフェノールA、ジブロモプロピルホスフ
ェート、トリ(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェー
ト、酸化アンチモン、含水アルミナ、ほう酸バリウム等
のある。酸化防止剤は、プラスチックスの酸化分解を抑
制するために添加されるものであり、例えば、アルキル
フェノール類、アミン類、キノン類等がある。
【0031】紫外線吸収剤は、本発明の化粧シートの耐
候性を向上せしめる為に添加されるものであって、特に
最表面のポリオレフィン系樹脂中に添加すると効果的で
ある。有機系紫外線吸収剤、或いは無機系の紫外線吸収
剤を用いることができる。但し、紫外線吸収性能と可視
光線帯域での透明性、及び後述のポリオレフィン系樹脂
中からの紫外線吸収剤のブリードアウト防止の点から
は、紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外
線吸収剤、特に、分子中に水酸基を有する有機系の紫外
線吸収剤を添加するのが好ましい。
【0032】かかる有機系の紫外線吸収剤として、例え
ば、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−ter
t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾー
ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル
−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ
ール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−アミ
ル−5’−イソブチルフェニル)−5−クロロベンゾト
リアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−イソブチ
ルフェニル)−5’−クロロベンゾトリアゾール、2−
(2’−ヒドロキシ−3’−イソブチル−5’−プロピ
ルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等の2’
−ヒドロキシフェニル−5−クロロベンゾトリアゾール
系紫外線吸収剤類、2−(2’−ヒドロキシ−3’,
5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ
ール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニ
ル)ベンゾトリアゾール等の2’−ヒドロキフェニルベ
ンゾトリアゾール系紫外線吸収剤類等のベンゾトリアゾ
ール系紫外線吸収剤、2,2’−ジヒドロキシ−4−メ
トキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−
メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−
4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒ
ドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,
2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン等の
2,2’−ジヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤
類、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、
2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン等の2−ヒドロキ
シベンゾフェノン系紫外線吸収剤類等のベンゾフェノン
系紫外線吸収剤、サリチル酸フェニル、4−tert−
ブチルフェニルサリチレート等のサリチル酸エステル系
紫外線吸収剤が用いられる。その他に、ベンゾトリアゾ
ール骨格にアクリロイル基又はメタアクリロイル基を導
入した反応型紫外線吸収剤も用いられる。これら紫外線
吸収剤の添加量は、通常、0.1〜10重量%程度であ
る。
【0033】一般に、ポリオレフィン系樹脂は、ポリ塩
化ビニル等の他の樹脂に比して、これら有機系紫外線吸
収剤との相溶性が悪い。その為、添加した紫外線吸収剤
が経時的にブリードアウトしてしまい、添加しただけの
効果を発揮しない。これを防止する為、紫外線吸収剤を
添加した最表面側のポリオレフィン系樹脂シートと保護
層との間に、イソシアネート基を有する樹脂からなるブ
リード防止層を設けることが好ましい。
【0034】ブリード防止層は、エポキシ樹脂を用いる
場合でもある程度の効果が期待できるが、より好ましく
は、イソシアネート基を有する樹脂を使用して形成す
る。この樹脂としては、2液硬化型ウレタン樹脂、1液
硬化型ウレタン樹脂等が挙げられる。表面層の厚さは
0.5〜100μm、通常は1〜10μm程度が好まし
い。
【0035】2液硬化型ウレタン樹脂は、ポリオールを
主剤とし、イソシアネートを架橋剤(硬化剤)とするウ
レタン樹脂である。ポリオールとしては、分子中に2個
以上の水酸基を有するもので、例えば、ポリエチレング
リコール、ポリプロピレングリコール、アクリルポリオ
ール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオー
ル、ポリカーボネートポリオール等が用いられる。
【0036】また、イソシアネートとしては、分子中に
2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネー
トが用いられる。例えば、2,4−トリレンジイソシア
ネート、キシレンジイソシアネート、4,4−ジフェニ
ルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、
或いはヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジ
イソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、
水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族
(乃至は脂環族)イソシアネートが用いられる。或い
は、上記各種イソシアネートの付加体、又は多量体を用
いることもできる。例えば、トリレンジイソシアネート
の付加体、トリレンジイソシアネートの3量体(tri
mer)等がある。
【0037】尚、2液硬化型ウレタン樹脂の場合の好ま
しい態様として、イソシアネート基(−NCO基)の数
(モル数)を、それと反応させるポリオールの水酸基
(−OH基)の数(反応当量)よりも多くし、ポリオー
ルとイソシアネートとが反応した後でも未反応のイソシ
アネート基を確実に、しかも多数残留させる態様があ
る。この場合、−NCO基/−OH基の比は、最大1.
4程度迄とする。
【0038】紫外線吸収剤として分子中にOH基を有す
る有機系を使用し、ブリード防止層はイソシアネート基
を有する樹脂を使用して形成するのが好ましい。このよ
うな組み合わせにしておくと、紫外線吸収剤がブリード
アウト(滲出)して該ブリード防止層に入ると、その紫
外線吸収剤のOH基とブリード防止層中のイソシアネー
ト基とがウレタン結合し、表面層中に捕捉されるので、
紫外線吸収剤の経時的なブリードアウトが防止される。
特に、有機系の紫外線吸収剤がブリードアウトし易いポ
リオレフィン系樹脂の場合に有効である。
【0039】前記ポリオレフィン系樹脂シートには、所
望の色彩、隠蔽性或いはその両方を付与するために、適
宜、顔料、染料等の着色剤を添加することができる。
【0040】ポリオレフィン系樹脂シート中に添加する
顔料としては、チタン白、亜鉛華、弁柄、朱、群青、コ
バルトブルー、チタン黄、黄鉛、カーボンブラック等の
無機顔料、イソインドリノン、ハンザイエローA、キナ
クリドン、パーマネントレッド4R、フタロシアニンブ
ルー、インダスレンブルーRS、アニリンブラック等の
有機顔料(或いは染料も含む)、アルミニウム、真鍮等
の箔粉からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基
性炭酸鉛等の箔粉からなる真珠光沢顔料等がある。
【0041】顔料添加による着色は、透明着色でも或い
は不透明(隠蔽性)着色でもよい。これらは、粉末ある
いは鱗片状箔片として添加、分散せしめられる。
【0042】本発明において、必要に応じてポリオレフ
ィン系樹脂シートには装飾層が設けられる。装飾層は、
化粧シートの装飾性を向上させる為に設けられる。装飾
層の形成方法として、例えば、顔料添加により着色され
た前記シートに着色する方法、前記シートに絵柄等の模
様を印刷等により設ける方法、前記基材シート上に金属
薄膜層(全部又は一部分)等を設ける方法等の1種また
はこれらの2種以上の組み合わせを用いることができ
る。
【0043】模様印刷としては、グラビア印刷、オフセ
ット印刷、シルクスクリーン印刷、転写シートからの転
写印刷等の公知の印刷法を用いて、インキ(或いは塗
料)にて模様を形成することができる。
【0044】模様としては、木目模様、石目模様、布目
模様、皮絞模様、幾何学模様、文字記号、或いは全面ベ
タ等がある。
【0045】インキ或いは塗料としては、バインダー、
顔料、染料などの着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可
塑剤、触媒、硬化剤等を適宜混合したものを用いること
ができる。バインダーとしては、熱可塑性樹脂、熱硬化
性樹脂、電離線硬化性樹脂等の中から、必要な物性、印
刷適性等に応じて適宜選択することができる。例えば、
塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂等
の塩素化ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ウレ
タン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重
合体、セルロース系樹脂等を用いることができ、これら
の1種又は2種以上を混合、又はこれに前記列挙した顔
料を添加したものを用いる。
【0046】ポリオレフィン系樹脂に直接印刷する場合
には、バインダーとして塩素化ポリオレフィン樹脂又は
ウレタン樹脂等が接着性の点で好ましい。易接着性アン
カー剤を適宜選択して層を形成すれば、その他のバイン
ダーを用いても十分な接着性を与えることができる。
【0047】金属薄膜は、アルミニウム、クロム、金、
銀、銅、ニッケル、コバルト、亜鉛、真鍮、ステンレス
等の金属を用い、真空蒸着、スパッタリング等の方法で
成膜することができる。或いは、これらの組み合わせで
もよい。該金属薄膜は、全面に設けることも、或いは、
部分的にパターン状に設けることもできる。なお、本発
明においては、前記装飾処理層を省略する事もできる。
【0048】前記ポリオレフィン系樹脂シートの表面、
裏面及び表裏両面には、必要に応じ、コロナ放電処理、
プラズマ処理、プライマー(アンカー剤とも云う)コー
ト処理、オゾン処理、酸処理、脱脂処理、表面粗面処
理、塩化第二銅等の薬品による活性化処理等の公知の易
接着処理を施すことができる。前記プライマー層(アン
カー剤層)は、通常ポリオレフィン系樹脂シート、特に
シート裏面には、コロナ放電処理が施されているので、
裏面に存在するコロナ放電処理で生じたカルボキシル
基、カルボニル基等の官能基と反応させることにより、
ポリオレフィン系樹脂シートと被着体との密着性を向上
させるために設けられる。
【0049】ポリオレフィン系樹脂シートは、単層でも
良いし、複数層積層しても良い。複数層の場合、代表的
なものは2層である(図1参照)。2層の積層体とした
場合、より裏面側(被着体側)に位置するものを基材シ
ート、より表面側に位置するものを表面シートと呼称す
る。通常、2層積層体の場合、両層は以下のように機能
を分担させる。基材シートとしては、前記ポリオレフィ
ン系樹脂100重量部に、前記無機充填剤を5〜30重
量部とチタン白等の隠蔽性顔料を添加したものを用い、
隠蔽性と化粧シートとしての基調色を付与すると共に、
寸法安定性、耐クリープ変形性を付与せしめる。一方、
表面シートとしては、透明性、耐候性が高く、成形性の
優れたポリオレフィン系樹脂を用い、これに球状無機質
粒子を含有せしめ、耐磨耗性を付与する。この場合、透
明性を損なうような着色剤は添加しないようにする。表
面シート用として、特に好ましいものは、特に化粧シー
トに成型加工性を要求する場合は、次の、を用い
る。又、特に耐候性を要求する場合には、次のを用い
る。
【0050】特公平6−23278号公報記載の、
(A)ソフトセグメントとして、数平均分子量Mnが2
5,000以上、且つ、重量平均分子量Mwと数平均分
子量Mnとの比Mn/Mw≦7の沸騰ヘプタンに可溶な
アタクチックポリプロピレン10〜90重量%と、
(B)ハードセグメントとして、メルトインデックスが
0.1〜4g/10分の沸騰ヘプタン不溶性のアイソタ
クチックポリプロピレン90〜10重量%、との混合物
からなる軟質ポリプロピレン。
【0051】特にこの種のオレフィン系熱可塑性エラス
トマーの中でも、所謂「ネッキング」を生じ難く、加
熱、加圧を用いて各種形状、成形等する際に適性良好な
ものとしては、アイソタクチックポリプロピレンとアタ
クチックポリプロピレンとの混合物からなり、且つアタ
クチックポリプロピレンの重量比が5重量%以上50重
量%以下であるものが好ましい。
【0052】ポリプロピレン系のオレフィン系熱可塑性
エラストマー自体は既に公知のものであるが、包装容器
等従来公知の用途に用いられる場合は、強度を重視する
為に、ソフトセグメントとなるアタクチックポリプロピ
レンの重量比が5重量%未満のものが専ら用いられてき
た。
【0053】しかしながら、本発明で目的とする様な三
次元形状乃至凹凸形状に成形等するという新規な用途に
これを適用しようとすると、前記の如くネッキングを生
じて良好な加工が困難であった。
【0054】そこで、本発明者らは各種検討の結果、従
来の組成設計とは逆に、ポリプロピレン系の熱可塑性エ
ラストマーに於いて、アタクチックポリプロピレンの重
量比を5重量%以上とする事によって、エンボス加工し
たり、3次元形状、乃至凹凸形状の物品に成形する際の
ネッキングによる不均一なシートの変形、及びその結果
として、皺、絵柄の歪み等の欠点を解消できることを見
出した。特に、アタクチックポリプロピレンの重量比が
20重量%以上の場合が良好である。
【0055】一方、アタクチックポリプロピレンの重量
比が増加し過ぎると、シート自体が変形し易くなり、シ
ートを印刷機に通したときにシートが変形し、絵柄が歪
んだり、多色刷りの場合には見当(Register)
が合わなくなる等の不良が発生し易くなる。又成型時に
も破れ易くなる為好ましくない。
【0056】従って、アタクチックポリプロピレンの重
量比の上限としては、輪転グラビア印刷等の通常の輪転
印刷機を用いて装飾層を印刷し、又、シートのエンボス
加工、真空成形、Vカット加工、射出成形同時ラミネー
ト等を採用する場合は、40重量%以下、より好ましく
は40重量%以下である。
【0057】極性官能基として、水酸基又は/及びカ
ルボキシル基を持たせた、上記のオレフィン系熱可塑性
エラストマー。例えば、マレイン酸、フマル酸、ビニル
アルコール等とオレフィン単量体との共重合体でカルボ
キシル基を導入したオレフィン系熱可塑性エラストマー
を用いることができる。これら水酸基、カルボキシル基
はどちらか一方、又は両方を併用してもよく、これら極
性基は、装飾層、接着剤層等、他の層との接着性を向上
せしめる作用を持つ。
【0058】特開平9−111055号公報、特開平
5−77371号公報、特開平7−316358号公報
等に記載のエチレン−プロピレン−ブテン共重合体。共
重合体としては、ランダム共重合体で熱可塑性エラスト
マーとしての挙動を示すものが好ましい。ブテンとして
は、1−ブテン、2−ブテン、イソブチレンのいずれか
を用いる。
【0059】上記のようなポリオレフィン系樹脂シート
は、カレンダー法、インフレーション法、Tダイ押出し
法等の製膜方法によって、シートとすることができる。
なお、使用する透明ポリオレフィン系樹脂シートの厚み
は用途等によるが、通常、50〜300μm程度(複数
層の場合は、全層の合計の厚み)である。
【0060】これらポリオレフィン系樹脂シートは、延
伸シート、未延伸シートのいずれも使用可能であるが、
Vカット加工等の成形適性は未延伸シートの方が良好で
ある。このシートには、必要に応じ、充填剤、難燃剤、
滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の各種添
加剤を添加する。これらの添加剤としては、前記基材シ
ートを構成する樹脂中に添加するものとして列記したも
のと同様なものを使用することができる。
【0061】前記最表層のポリオレフィン系樹脂シート
を構成するポリオレフィン系樹脂は、ポリオレフィン系
樹脂よりも高硬度の球状無機質粒子を含有する。本発明
に用いられる球状粒子の材質としては、α−アルミナ
(熔融アルミナ、バイヤー法アルミナ等がある)、シリ
カ、酸化クロム、ダイヤモンド、ジルコニア、チタニ
ヤ、アルミナのこれらとの共融混合物、黒鉛等の無機粒
子等を挙げることができる。
【0062】ポリオレフィン系樹脂(特にポリエチレ
ン)は、自己潤滑性があり、耐擦傷性には劣るものの耐
磨耗性はある程度の水準を有する。そして、ポリオレフ
ィン系樹脂に、これよりも高硬度の球状無機質粒子を添
加し、磨耗力に対して物理的に抵抗することにより、両
者の相乗効果で非常に良好な耐磨耗性を得る。
【0063】球状粒子は、真球状あるいは球を偏平にし
た楕円球状並びに該真球や楕円球状に近い形状等のよう
に、表面が滑らかな局面で囲まれていればよい。球状粒
子は、粒子表面に突起や角のない、いわゆるカッティン
グエッジのない球状が好ましい。球状粒子は同じ材質の
不定形の粒子と比較して、ポリオレフィン系樹脂層それ
自身の耐磨耗性を大きく向上させるとともに、塗工装置
を磨耗させず、シート成形後もこれと接触する他の物を
磨耗させず、更にポリオレフィン系樹脂層の透明度も高
く保たれるという特徴がある。カッティングエッジがな
い場合に特にその効果が大きい。
【0064】粒子を球形にする方法としては、粉砕した
不定形の上記無機物を融点以上の高温炉中に投入し熔融
させ、表面張力を利用して球状にする方法や、上記無機
物を融点以上の高温で熔融したものを霧状に吹き出して
球状にする方法などが挙げられる。
【0065】特に好ましい球状粒子は、非常に硬度が高
く耐磨耗性に優れ、球状のものが比較的入手しやすいこ
と等の理由から、球形のα−アルミナ粒子を挙げること
ができる。また、球形のα−アルミナ粒子は、程よい硬
度を有するため、2層積層体構成の化粧シート製造時、
特に基材シートとα−アルミナ粒子を添加したポリオレ
フィン系樹脂表面シートとを積層する工程において、製
造装置、特に、球形のα−アルミナ粒子を含有するポリ
オレフィン系樹脂表面シートを搬送、圧着等を行うロー
ル表面に損傷を与えたり、ロール表面を磨耗させたりす
ることがない。
【0066】球形のα−アルミナは、特開平2−552
69号公報に記載されているように、アルミナ水和物、
ハロゲン化合物、ホウ素化合物等の鉱化剤あるいは結晶
剤を、電解アルミナあるいは焼結アルミナの粉砕品に少
量添加し、1400℃以上の温度で2時間以上熱処理す
ることで、アルミナ中のカッティングエッジが減少し、
同時に形状が球形化したものを得ることができる。
【0067】ポリオレフィン系樹脂中に球状粒子を含有
される含有量は、ポリオレフィン系樹脂成分100重量
部に対し、5〜20重量部程度が好ましい。球状粒子の
添加量が5重量部未満の場合には、耐磨耗性向上等の球
状粒子の添加による効果が十分発揮できないおそれがあ
り、一方、球状粒子の添加量が20重量部を超えると、
ポリオレフィン系樹脂のバインダーとしての効果が損な
われ、樹脂層の可撓性が低下するおそれ等の弊害が出て
くる。
【0068】球状粒子の粒子径は、通常、1〜100μ
m(平均粒径)、好ましくは、5〜30μmである。球
状粒子の平均粒径が1μm未満になると、ポリオレフィ
ン系樹脂層が不透明になるおそれがあり、また、耐磨耗
性が低下する。一方、平均粒径が100μmを超える
と、耐磨耗性は向上するが、ポリオレフィン系樹脂シー
トの成形が困難になる。また、ポリオレフィン系樹脂シ
ートをラミネート接着する際に、ラミネート用ロールを
磨耗させるおそれが出てくる。
【0069】球状粒子の平均粒径を、耐磨耗性樹脂層
(最表層のポリオレフィン系樹脂シート)の厚みに応じ
て適宜選定するのが更に好ましい。特に、耐磨耗性樹脂
層の平均膜厚をt(mm)とし、球状粒子の平均粒径を
d(mm)とした場合、下記の式を満足するように球状
粒子を選択するのが好ましい。
【0070】
【数1】0.3t≦d≦2.0t
【0071】球状粒子の平均粒径dが2.0tを超える
と、球状粒子が耐磨耗性樹脂層の表面にはみ出し、化粧
シートが層間密着性に劣るものとなる。一方、球状粒子
の平均粒径dが0.3t未満の場合には、球状粒子がシ
ート中に埋没して十分な耐磨耗性を得ることができなく
なるおそれがある。
【0072】このような球状形状のアルミナは、例え
ば、昭和電工(株)より、「球状アルミナ(Spher
ical Alumina)A−10,AS−20,A
S−30,AS−40,AS−50」として各種の平均
粒径のものが市販されている。
【0073】本発明において、その表面が処理された球
状粒子を使用することができる。例えば、ステアリン酸
等の脂肪酸で処理することにより分散性が向上する。
又、表面をシランカップリング剤で処理することで、バ
インダーとして使用するポリオレフィン系樹脂との密着
性やポリオレフィン系樹脂中での分散性が良くなる。シ
ランカップリング剤としては、分子中にビニルやメタク
リル等のラジカル重合性不飽和結合を有するアルコキシ
シランや、分子中にエポキシ、アミノ、メルカプト等の
官能基を有するアルコキシシラン等が挙げられる。
【0074】かかるアルコキシシランとして、例えば、
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−
メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−
メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−
メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタ
クリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタ
クリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、γ−アク
リロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキ
シプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロキシ
プロピルジメチルメトキシシラン、γ−アクリロキシプ
ロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピル
メチルジエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルジ
メチルエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等の
分子中にラジカル重合性不飽和基を有するアルコキシシ
ランや、分子中にエポキシ、アミノ、メルカプト等の官
能基を有するアルコキシシラン等がある。
【0075】球状粒子の表面をシランカップリング剤で
処理する方法には特に制限はなく、例えば、乾式法とし
てトルエン等の溶剤中に球状粒子を分散させた後に、所
定量のシランカップリング剤を加え反応させる方法が挙
げられる。シランカップリオング剤の処理量としては、
球状粒子の比表面積100に対して、シランカップリン
グ剤の最小被覆面積が10以上となる処理量が好まし
い。球状粒子の最小被覆面積が球状粒子の比表面積10
0に対して10未満の場合は表面処理効果に乏しくな
る。
【0076】最表面のポリオレフィン系樹脂シート中
に、球状無機質粒子を添加することにより、前記の通り
耐磨耗性は向上する(磨耗減量は減る)。しかし、引っ
掻く力が加わると、球状粒子間の樹脂が傷つく為、耐擦
傷性はなお不十分である。
【0077】そこで、本発明の化粧シートは、前記ポリ
オレフィン系樹脂シート上に、分子同士が3次元的に架
橋して硬化した樹脂からなる保護層(上塗り層)を有す
る。該保護層は、化粧シート表面の傷のつきにくさを更
に向上させ、耐擦傷性を向上させたり、表面光沢を調節
したり、或いは表面保護シート中の紫外線吸収剤の表面
へのブリード(滲出)を防止するために設けられる。
【0078】前記3次元架橋硬化樹脂としては、2液硬
化型ウレタン樹脂、1液湿気硬化型ウレタン樹脂、エポ
キシ樹脂等の熱硬化性乃至は反応硬化性樹脂、電離放射
線硬化性樹脂のいずれかを、架橋し、硬化させたものを
用いることができる。これらの内、特に表面の耐擦傷
性、耐薬品性、耐汚染性を有する電離放射線硬化樹脂の
使用が特に好ましい。又、保護層の膜厚は所望の物性等
により選定することができるが、通常1〜10μm程度
である。
【0079】前記電離放射線硬化性樹脂は、分子中に重
合不飽和結合又はカチオン重合性官能基を有するプレポ
リマー(所謂オリゴマーを含む。)及び/又はモノマー
を適宜混合した電離放射線により硬化可能な組成物等で
ある。なお、ここで電離放射線とは、電磁波又は荷電粒
子線のうち分子を重合あるいは架橋し得るエネルギーを
有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線
(EB)が用いられる。
【0080】電離放射線硬化性樹脂は、具体的には、分
子中に、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイ
ルオキシ基等のラジカル重合性不飽和基、エポキシ基等
のカチオン重合性官能基又はチオール基を2個以上有す
る単量体、又はプレポリマーからなる。これら単量体ま
たはプレポリマーは、単体で用いられるか、あるいは複
数種混合して用いられる。ここで、例えば、(メタ)ア
クリオイル基とは、アクリロイル基又はメタアクリロイ
ル基を意味する。
【0081】ラジカル重合性不飽和基を有するプレポリ
マーの例としては、ポリエステル(メタ)アクリレー
ト、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)
アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリア
ジン(メタ)アクリレート、シリコン(メタ)アクリレ
ート等が挙げられる。これらの分子量は、通常、250
〜100,000程度である。
【0082】カチオン重合性官能基を有するプレポリマ
ーの例としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボ
ラック型エポキシ樹脂等のエポキシ系樹脂、脂肪族系ビ
ニルエーテル、芳香族系ビニルエーテル等のビニルエー
テル系樹脂等のプレポリマーがある。
【0083】ラジカル重合性不飽和基を有する単官能単
量体の例としては、メチル(メタ)アクリレート、2−
エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチ
ル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート化合
物の単量体がある。
【0084】ラジカル重合性不飽和基を有する多官能単
量体の例としては、ジエチレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレー
ト、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリ
(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ
(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ
(メタ)アクリレート等がある。
【0085】チオール基を有する単量体の例としては、
トリメチロールプロパントリチオグリコレート、ジペン
タエリスリトールテトラチオグリコレート等がある。
【0086】紫外線又は可視光線にて硬化させる場合に
は、電離放射線硬化樹脂中に光重合開始剤を添加する。
ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合には、光
重合開始剤として、アセトフェノン類、ベンゾフェノン
類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチル
エーテル等を単独又は混合して用いることができる。ま
た、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、光
重合開始剤として、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スル
ホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合
物、ベンゾインスルホン酸エステル等を単独又は混合物
として用いることができる。
【0087】これらの光重合開始剤の添加量は、前記電
離放射線硬化性樹脂100重量%に対して、0.1〜1
0重量%程度が好ましい。
【0088】また、上記電離放射線硬化樹脂には、所望
により各種添加物を添加することができる。これらの添
加剤としては、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合
体、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、セルロース樹脂等
の熱可塑性樹脂、体質顔料、染料、顔料等の着色剤等が
ある。尚、保護層中に、前記球状無機質粒子を添加する
ことにより、更に耐擦傷性を向上させることも可能であ
る。
【0089】また、紫外線にて硬化させる場合の紫外線
源としては、超高圧水銀燈、高圧水銀燈、低圧水銀燈、
カーボンアーク燈、ブラックライト蛍光燈、メタルハラ
イドランプ等の光源が使用できる。紫外線の波長として
は、通常、1900〜3800Åの波長域が用いられ
る。
【0090】電子線源としては、コックロフトワルトン
型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧
型、或いは、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の
各種電子線加速器を用いて、100〜1000KeV、
好ましくは、100から300KeVのエネルギーをも
つ電子を照射するものを使用できる。
【0091】尚、保護層と最表面のポリオレフィン系樹
脂シートとの接着力、或いは保護層とブリード防止層と
の接着力をより向上せしめる為に、表面保護シートのと
ころで列記した様な易接着処理を施すことが好ましい。
通常、コロナ放電処理又はオゾン処理が用いられる。
【0092】
【発明の実施の形態】次に、本発明の化粧シートの製造
方法を、特にポリオレフィン系樹脂シートが図1の如く
2層積層体の場合について説明する。 (1)先ず、装飾処理を施した球状無機質粒子を含むポ
リオレフィン系樹脂基材シートとポリオレフィン系樹脂
表面シートとを積層する。前記基材シートと前記表面シ
ートを積層するには、基材シートの接着面に、プライ
マー層(接着剤層)を施した後、予め製膜してなる前記
表面シートを積層し、接着せしめるいわゆるドライラミ
ネート法、Tダイから表面シートを熔融押出し(エク
ストルージョン)法等により、押出ししたポリオレフィ
ン系樹脂表面シートを相手の基材シート側に向けて積層
して加圧冷却する方法、より好ましくは、基材シートと
表面シートとの間にアンカー剤層を介する方法、或い
は熱可塑性樹脂からなる前記アンカー剤層を選択して基
材シート上に設け、その上に予め製膜した前記表面保護
シートを加熱加圧して接着する、所謂熱ラミネート法等
の方法による。
【0093】積層する際に形成されるプライマー層(又
は接着剤層)としては、ウレタン樹脂、ポリエステル樹
脂、ポリアミド樹脂、酢酸ビニル−アクリレート系樹
脂、カルボキシル基含有アクリル樹脂、酢酸ビニル−エ
チレン系樹脂、ポリビニルエーテル樹脂、シアノアクリ
レート系樹脂等の各樹脂を使用することができる。これ
らの内、塩素化ポリオレフィン樹脂、ポリオールとイソ
シアネートから形成される熱可塑性ウレタン樹脂、或い
は1液硬化型又は2液硬化型のウレタン樹脂の使用が好
ましいが、基材シートとの層密着性(耐候密着性を含
む)に優れるウレタン樹脂の使用が特に好ましい。
【0094】前記ウレタン樹脂を構成するポリオールと
しては、分子中に2個以上の水酸基を有するもので、例
えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコ
ール、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、
ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール
等が用いられる。
【0095】また、イソシアネートとしては、分子中に
2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシネート
が用いられる。
【0096】例えば、2,4−トリレンジイソシアネー
ト、キシレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメ
タンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート類、或
いはヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイ
ソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水
素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族
(乃至は脂環族)イソシアネートが用いられる。或い
は、上記各種イソシアネートの付加体又は多量体を用い
る事もできる。例えば、トリレンジイソシアネートの付
加体、トリレンジイソシアネートの3量体(trime
r)、或いは分子鎖中にウレタン結合、ポリカーボネー
ト、脂肪族ポリエステル等の骨格を持ったイソシアネー
トプレポリマー等がある。
【0097】ウレタン樹脂の場合、イソシアネートとし
てヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)を、ポ
リオールとしては、ポリエステルポリオール又はアクリ
ルポリオールを使用すると、耐光密着性がよいので特に
好ましく使用することができる。
【0098】尚、これらのポリオールとイソシアネート
のうち、いずれか少なくとも一方を3官能以上のものと
し、接着時にポリオールとイソシアネートを混合してウ
レタン結合を生じせしめて、3次元網目状の高分子に架
橋させて接着力を発現するのが2液硬化型ウレタン樹脂
である。又、これらのポリオールとイソシアネートのい
ずれも2官能のものを選んで、予め両者をウレタン結合
で重合し、高分子化せしめ、再び冷却固化せしめること
によって、接着力を発現する様にしたものが熱可塑性ウ
レタン樹脂である。又、前記イソシアネート基を有する
イソシアネートプレポリマーのみを用い、これと空気中
の湿気(水蒸気)との反応でウレタン高分子の3次元網
目構造を生じせしめて接着力を発現するものが1液硬化
型ウレタン樹脂である。
【0099】尚、2液硬化型ウレタン樹脂の場合の好ま
しい態様として、ポリオレフィン系樹脂シートとして、
カルボキシル基等の活性水素原子を含む極性官能基を有
するものを用い、それに塗布するプライマーの2液硬化
型ウレタン樹脂成分のイソシアネート中のイソシアネー
ト基(−NCO基)の数(モル数)を、それと反応させ
るポリオールの水酸基(−OH基)の数(反応当量)よ
りも多くし、ポリオールとイソシアネートとが反応した
後でも未反応のイソシアネート基を確実に、しかも多数
残留させる態様がある。この場合、−NCO基/−OH
基の比は、最大1.4程度迄とする。このように構成す
ることによって、極性官能基を有するポリオレフィン系
樹脂層中の−OH基、−COOH基等の活性水素原子を
含む極性官能基と接着剤層中の−NCO基とのウレタン
結合によって両層間の接着力をより強くすることができ
る。
【0100】又、本発明の化粧シートの耐候性を向上せ
しめ、紫外線吸収剤のブリードを防止し得る好ましい態
様として、前記ポリオレフィン系樹脂シートを構成する
樹脂層の中に、分子中に水酸基を有する有機系の紫外線
吸収剤を添加し、且つ、保護層として、1液湿気硬化型
ウレタン樹脂又は2液硬化型ウレタン樹脂等の分子中に
イソシアネート基を有する樹脂を選択し、組み合わせる
態様がある。このような構成にすることにより、紫外線
吸収剤がブリード(滲出)して表面層に入ると、その紫
外線吸収剤の水酸基と表面層中のイソシアネート基とが
反応してウレタン結合が形成され、表面層中に捕捉され
るので、紫外線吸収剤のブリードを防止できる。この場
合、−NCO基/−OH基の比を1以上、最大1.4程
度にすることにより、確実に余剰の−NCO基を保護層
中に残し、ブリードする分子中に水酸基を有する有機系
紫外線吸収剤をより確実に捕捉できて好ましい。
【0101】この場合は、保護層がブリード防止層を兼
ねる為、前記の如くポリオレフィン系樹脂表面シートと
保護層との間に、別個のブリード防止層を設ける必要は
ない。
【0102】前記プライマー層(接着剤層)の膜厚は、
通常、1〜30μm、特に、5〜15μm程度が好まし
い。厚みが1μm未満の場合には、十分な接着力を確保
することが困難となる。一方、30μmを超えると、接
着力の向上効果が飽和し、又、化粧シートの成形加工
(Vカット加工等)適性の低下に繋がる。
【0103】(2)次いで、上記(1)で得られたシー
ト表面に電離放射線硬化性樹脂を塗工する。電離放射線
硬化性樹脂を塗工する方法としては、シート表面に電
離放射線硬化性樹脂の塗工組成物を直接コーティングす
る方法、又は、剥離性の基材表面に電離放射線硬化性
樹脂層を予め形成した後、シート表面に積層し、電離放
射線硬化性樹脂を硬化させた後、剥離性の基材を剥離除
去して、シート表面に該層を転写する、転写コーティン
グ法等が用いられる。
【0104】一般に基材の材質として、電離放射線硬化
性樹脂の塗工組成物を浸透させる物質を使用した場合
や、表面に凹凸のある基材、並びに、塗膜厚みの均一性
を出す場合、電離放射線の強度を均一にして均一な耐磨
耗性を出したい場合には、上記の方法を用いるのが好
ましい。
【0105】上記の直接コーティング法は、グラビア
コート、グラビアリバースコート、グラビアオフセット
コート、スピンコート、ロールコート、リバースロール
コート、キスコート、ホイラーコート、ディップコー
ト、シルクスクリーンによるベタコート、ワイヤーバー
コート、フローコート、コンマコート、かけ流しコー
ト、刷り毛塗り、スプレーコート等を用いることができ
るが、好ましくはグラビアコートである。
【0106】本発明の化粧シートは他の被着体に積層し
て化粧板として用いる。積層は、被着体に化粧シート自
体が(熱融着等で)接着可能な場合は、接着剤層は省略
することもできる。また、化粧シート自体では被着体と
接着しない場合は、適当な接着剤にて積層する。被着体
が最終製品であり、その表面化粧の為に化粧シートを積
層する場合もあれば、必要に応じ、化粧シートの力学的
強度の補強、或いは隠蔽性の付与の為、化粧シート裏面
に被着体を積層する場合もある。
【0107】被着体としては、各種素材の平板、曲面板
等の板材、立体形状物品、シート(或いはフィルム)の
いずれにも用いられる素材としては、木材単板、木材合
板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)等の
木質材、鉄、アルミニウム等の金属、アクリル樹脂、ポ
リカーボネート、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチ
レンビニルアセテート共重合体、ポリエステル樹脂、ポ
リスチレン樹脂、オレフィン系樹脂、ABS樹脂、フェ
ノール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロース系樹脂、
ゴム等の樹脂、専ら板材、或いは立体形状物品として用
いられる素材としては、ガラス、陶磁器等のセラミック
ス、ALC(発泡軽量コンクリート)等のセメント、珪
酸カルシウム、石膏等の陶磁器窯業系材料、専らシート
(或いはフィルム)として用いられる素材としては、上
質紙、和紙等の紙、或いは炭素、石綿、チタン酸カリウ
ム、ガラス、合成樹脂等の繊維からなる不織布又は織布
等がある。
【0108】これら各種被着体への積層方法としては、
例えば、接着剤を間に介して板状基材に加圧ローラー
で加圧して積層する方法、特公昭50−19132号
公報、特公昭43−27488号公報等に記載されるよ
うに、化粧シートを射出成形の雌雄両金型に挿入して、
両金型を閉じ、雄型のゲートから熔融樹脂を射出充填し
た後、冷却して樹脂成形品の成形と同時にその表面に化
粧シートを接着し積層する、いわゆる射出成形同時ラミ
ネート方法、特公昭56−45768号公報、特公昭
60−58014号公報等に記載されるように、成形品
の表面に化粧シートを間に接着剤層を介して対向乃至は
載置し、成形品からの真空吸引による圧力差により化粧
シートを成形品表面に積層する、いわゆる真空プレス積
層方法、特公昭61−5895号公報、特公平3−2
666号公報等に記載されるように、円柱、多角柱等の
柱状基材の長軸方向に、化粧シートを間に接着剤層を介
して供給しつつ、複数の向きの異なるローラーにより、
柱状体を構成する複数の側面に順次化粧シートを加圧接
着して積層してゆく、所謂ラッピング加工方法、実公
大15−31122号公報、特開昭48−47972号
公報等に記載されるように、先ず化粧シートを板状基材
に接着剤層を介して積層し、次いで板状基材の化粧シー
トとは反対側の面に、化粧シートと板状基材との界面に
到達する。断面がV字状、又はU字状の溝を切削し、次
いで、該溝内に接着剤を塗布した上で、該溝を折り曲げ
箱体又は柱状体を成形する所謂VカットまたはUカット
加工方法等がある。
【0109】以上説明したように、本発明の化粧シート
及び化粧板は、耐スクラッチ性及び耐磨耗性の両方に優
れ、床、壁、扉、天井、手摺等の建築物や箪笥等の家
具、車両内装、船舶内等の表面装飾材料として好適に使
用することができる。特に、耐磨耗性を要求される床材
として好ましく使用することができる。
【0110】次に、本発明の化粧シート及び化粧板の実
施形態を示しながら、本発明を更に詳細に説明する。第1実施形態
【0111】図1に第1の実施形態である本発明の化粧
シートの断面図を示す。図中、1はポリオレフィン系樹
脂からなる基材シート、2は着色顔料、3は接着剤層、
4は装飾層、5は球状α−アルミナ粒子を含有する透明
ポリオレフィン系樹脂表面シート、及び6は電離放射線
硬化性樹脂からなる層をそれぞれ示す。
【0112】本実施形態の化粧シートは、表面に電離放
射線硬化性樹脂層、その下層に球状α−アルミナ粒子を
含有する透明ポリオレフィン系樹脂層の両層を有してい
るので、耐スクラッチ性及び耐磨耗性に優れている。ま
た、球状α−アルミナ粒子を用いるため、球状α−アル
ミナ粒子を含有する透明ポリオレフィン系樹脂表面シー
トを熔融押出し成形しても、ロール等の表面を磨耗した
り、損傷を与えることもない。さらに、非塩化ビニル系
樹脂を使用するため、廃棄・焼却時に有害な塩化水素な
どの塩素化物ガスが発生することのない環境衛生面で優
れた化粧シートである。
【0113】第2実施形態 図2に第2の実施形態である本発明の化粧シートの断面
図を示す。図中、1はポリオレフィン系樹脂からなる基
材シート、3は接着剤層、4は装飾層、5は球状α−ア
ルミナ粒子を含有する透明ポリオレフィン系樹脂表面シ
ート、6は電離放射線硬化性樹脂からなる層及び7はプ
ライマー層をそれぞれ示す。
【0114】本実施形態の化粧シートは、基材シート、
透明ポリオレフィン系樹脂表面シート及び電離放射線硬
化性樹脂層の層間にプライマー層を有している。従っ
て、本実施形態の化粧シートは、第1実施形態の化粧シ
ートの持つ効果に加えて、特に層間密着性に優れた化粧
シートである。
【0115】第3実施形態 図3に第3の実施形態である本発明の化粧板の断面図を
示す。図3に示す化粧板は、第2実施形態で示した化粧
シートを、プライマー層8を介して、基板9に接着して
得られる。本実施形態の化粧板は、第2実施形態の化粧
シートを基板に接着したものであり、耐スクラッチ性及
び耐磨耗性に優れ、特に耐久性が要求される床材等とし
て好適に用いることができる。
【0116】
【実施例】次に、実施例により、本発明をさらに詳細に
説明する。実施例1 先ず、高密度ポリエチレン100重量部に、スチレン−
ブタジエンゴム60重量部、炭酸カルシウム微粒子から
なる無機充填剤25重量部からなる厚さ80μmのポリ
オレフィン系樹脂シート(基材シート)を用意した。
【0117】次いで、この基材シートの表裏両面にコロ
ナ放電処理を施し、その一方の面に、バインダーが塩化
ビニル−酢酸ビニル共重合体:アクリル樹脂=1:1重
量比の混合物、及び顔料が弁柄からなるインキを用いて
木目模様の絵柄印刷を施して装飾層を設け、印刷シート
を作製した。
【0118】さらに、上記で得られた印刷シート上に、
ヘキサメチレンジイソシアネートとアクリルポリオール
からなる2液硬化型アクリルウレタン樹脂組成物を塗布
して、厚さ10μm程度の接着剤層を形成した。
【0119】一方、特公平6−23278号記載のソフ
トセグメントとしてアタクチックポリプロピレンとハー
ドセグメントとしてアイソタクチックポリプロピレンと
を、2:8(重量比)で混合してなる軟質ポリプロピレ
ン組成物100重量部に、平均粒径25μmの球状α−
アルミナ粒子を15重量部、及びベンゾトリアゾール系
紫外線吸収剤1重量部を添加したポリプロピレン樹脂組
成物をTダイより熔融押出し成形して、厚さ100μm
の透明なポリオレフィン系樹脂シートを作製した。
【0120】次いで、得られた熔融ポリオレフィン系樹
脂シートの印刷シートと接着する面側にコロナ放電処理
を施し、該ポリオレフィン系樹脂シートと前記印刷シー
ト上の前記接着剤層が設けられた面側とを、二つの冷却
ロール間に挟み込む様にして圧着した。次いで、得られ
たシート表面に、ヘキサメチレンジイソシアネートとポ
リエステルポリオルとからなるウレタン系樹脂組成物を
塗工(塗工量16g/m2 )して、プライマー層を設け
た。
【0121】最後に、平均分子量2,000、官能基数
2のポリステル系ウレタアクリレートオリゴマー30重
量部、分子量510、官能基数2のビスフェノールA
(EO)40重量部、及び分子量300、官能基数2の
脂肪族ジオール系モノマー40重量部からなる電離放射
線硬化性樹脂組成物を、前記プライマー層が設けられた
シート表面(プライマー層上)に30g/m2 dryで
塗工し、電子線を5Mrad(加速エネルギー175k
v)照射して、架橋し、硬化せしめ、表面に3次元架橋
樹脂層を形成した。以上の様にして、前記図2で示した
のと同様の層構造を有する化粧シートを得た。
【0122】(実施例2)実施例1で得られた化粧シー
ト16の裏面に、ヘキサメチレンジイソシアネートとポ
リエステルポリオールとからなるウレタン系樹脂接着剤
組成物を塗工(塗工量16g/m2 )して、接着剤層を
設けた。
【0123】次いで、厚さ10mmのMDF(中比重繊
維板)と、前記で得た裏面に接着剤層を有する化粧シー
トとを、接着剤層を介して張り合わせることにより、前
記図3に示したのと同様な層構造を有する化粧板を得
た。
【0124】比較例1 最表面に電離放射線硬化性樹脂層を有しない以外は、実
施例1と同様にして、図示しない比較例1の化粧シート
を作製した。
【0125】比較例2 透明ポリオレフィン系樹脂層に球状α−アルミナ粒子を
含まない以外は、実施例1と同様にして、図示しない比
較例2の化粧シートを作製した。
【0126】以上の様にして製造した本発明の化粧シー
ト及び従来の化粧シートを用いて、以下の化粧シートの
性能試験を行った。
【0127】耐スクラッチ性試験 実施例1、比較例1及び比較例2で得た化粧シートの表
面を、人の爪で同条件で10往復こすり、後の表面の外
観変化を目視で評価した。その結果、電離放射線硬化性
樹脂層を表面に有する実施例1及び比較例2の化粧シー
ト表面には何の外観上の変化は認められなかったが、比
較例1の化粧シート表面には爪痕が残った。この結果、
電離放射線硬化性樹脂層を表面に有する場合には、耐ス
クラッチ性に優れた化粧シートであることが明らかとな
った。
【0128】耐磨耗性試験 実施例1(実験No.1)、比較例1(実験No.
2)、比較例2(実験No.3)、実施例1の化粧シー
トで、表面の電離放射線硬化性樹脂層に傷を人為的につ
けたもの(実験No.4)をそれぞれ用いて、以下の耐
磨耗性試験を行った。耐磨耗性試験は、JIS K69
02に準じて行い、樹脂層の厚みが半分になるまでの回
数を測定した。その結果を下記表1に示す。
【0129】
【表1】
【0130】以上の結果から、本発明の化粧シート(
o.1)は、優れた耐スクラッチ性及び耐磨耗性を有す
ることがわかった。一方、比較例2(α−アルミナを含
有しないタイプ、No.3)は、特に耐磨耗性に劣る。
また、表面に電離放射線硬化性樹脂を有しない化粧シー
ト(No.2)は、耐スクラッチ性に劣り、又、耐磨耗
性については、No.1,4の化粧シートに劣るが、N
o.3の化粧シートよりも耐磨耗性に優れることがわか
る。
【0131】従って、化粧シート表面の電離放射線硬化
性樹脂硬化物からなる3次元架橋樹脂層は、主に耐スク
ラッチ性能を高める役割を有するが、耐磨耗性向上効果
は不十分である。また、球状α−アルミナ粒子は、主に
耐磨耗性能を高める役割を果たすが、耐擦傷性向上効果
は不十分である。本発明の化粧シートは、表面に3次元
架橋樹脂層、その下層に球状α−アルミナ粒子を含有す
るポリオレフィン系樹脂シートからなる構成とすること
によって、優れた耐スクラッチ性を有し、且つ、例え、
表面の電離放射線硬化性樹脂層に何らかの原因により傷
等が入った場合であっても、耐磨耗性を有するので容易
に装飾層を傷めることにはならない。
【0132】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の化粧シー
トは化粧シート自体に傷が入りにくい上に耐磨耗性に優
れ、長期に亘って表面装飾効果を発揮する化粧シートで
ある。また、本発明の化粧シートが接着された化粧板も
同様の効果を有する。従って、本発明の化粧シートは、
特に床材等の耐磨耗性が要求される箇所に好適に用いる
ことができる。
【0133】また、本発明の化粧シートは、透明ポリオ
レフィン系樹脂シート中に球状無機質粒子を含有する。
球状無機質粒子は非常に硬度が高く耐磨耗性に優れる。
また、球形の無機質粒子は程よい硬度を有するため、化
粧シート製造時、特に基材シートとポリオレフィン系樹
脂表面シートとを積層する工程において、製造装置、特
に球形の無機質粒子を含有するポリオレフィン系樹脂シ
ートを搬送、圧着等を行うロール表面に損傷を与えた
り、ロール表面を磨耗させたりすることがない。
【0134】さらに、本発明の化粧シートは非塩化ビニ
ル系樹脂を使用するため、廃棄・焼却時に有害な塩化水
素等の塩化物ガスが発生することもないので、環境衛生
上好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態の化粧シートの
断面図である。
【図2】図2は、本発明の第2実施形態の化粧シートの
断面図である。
【図3】図3は、本発明の第3実施形態の化粧シートの
断面図である。
【符号の説明】
1…基材シート、2…着色顔料、3…接着剤層、4…装
飾層、5…透明ポリオレフィン系樹脂からなる表面シー
ト、6…電離放射線硬化性樹脂層、7,8…プラマー
層、9…基板

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】必要に応じて、装飾処理が施されたポリオ
    レフィン系樹脂シート表面に保護層を積層してなる化粧
    シートにおいて、 前記ポリオレフィン系樹脂シート中に球状無機質粒子を
    含有してなり、また、前記保護層が3次元架橋樹脂から
    なることを特徴とする化粧シート。
  2. 【請求項2】装飾処理が施されたポリオレフィン系樹脂
    からなる基材シートと、該基材シート上に透明ポリオレ
    フィン系樹脂からなる表面シートと、および該表面シー
    ト上に3次元架橋樹脂からなる保護層を積層してなる化
    粧シートにおいて、 前記透明ポリオレフィン系樹脂は、球状無機質粒子を含
    有する樹脂であることを特徴とする化粧シート。
  3. 【請求項3】前記化粧シートを基板に接着してなること
    を特徴とする化粧板。
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