JPH1158643A - 抗菌性化粧シート - Google Patents

抗菌性化粧シート

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JPH1158643A
JPH1158643A JP24353397A JP24353397A JPH1158643A JP H1158643 A JPH1158643 A JP H1158643A JP 24353397 A JP24353397 A JP 24353397A JP 24353397 A JP24353397 A JP 24353397A JP H1158643 A JPH1158643 A JP H1158643A
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JP
Japan
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antibacterial
layer
antibacterial agent
sheet
decorative sheet
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JP24353397A
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Takeshi Yamanaka
剛 山中
Toshikazu Nishio
俊和 西尾
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Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリオレフィン系樹脂を用いた抗菌性化粧シ
ートは、紫外線により経時的に樹脂自体が劣化するとと
もに、有機系の抗菌剤の場合は、紫外線照射により抗菌
剤の抗菌性能が低下し、長期間抗菌性能を保持すること
は困難である。 【解決手段】 有機系抗菌剤の中でポリオレフィン系樹
脂( PO) の中を自由に移動できる抗菌剤を選定して拡
散性の速い抗菌剤13bとし、この抗菌剤と紫外線吸収
剤、光安定剤、酸化防止剤を添加したPOを用いて、基
材11にエクストルージョン法等でラミネートして中間抗
菌性PO層12bを形成し、その上に、PO内を自由に移
動できないか、又は非常に移動速度の遅い抗菌剤を選定
して拡散性の遅い抗菌剤13aとし、この抗菌剤を用い
て、前記と同様にラミネートして表面抗菌性PO層12a
を形成して抗菌性化粧シート1 を作製する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラスチック、
紙、木材、金属板、無機系素材等あらゆる基材に抗菌性
能を付与するために使用される建材用化粧シートに関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来、室内水回り関係(台所、浴室、洗
面所等)や高温多湿の場所及び病院その他の衛生的な環
境を必要とする場所での各種備品(電気製品、各種器具
等)については、カビや細菌等の発生を防止できる製品
が要望されている。そのため、これらに使用される化粧
紙や化粧板等に防カビ性又は抗菌性を付与する方法とし
て、防カビ剤又は抗菌剤を該当素材中に練り込む方法、
又は後工程にて抗菌剤を含有する塗料を塗装する方法等
が行われていた(特公昭63ー54013号公報、特公
平4ー28646号公報に開示)。また、防カビ性及び
抗菌性を有する壁紙や化粧シートを用いて、上記備品等
に抗菌性を付与しようとする試みもなされている(特開
平1ー313533号公報に開示)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、防カビ剤又は
抗菌剤(以下両者を含めて抗菌剤とする)をプラスチッ
ク成形品等に練り込む場合は、製造工程やコストが増加
したり、生産性が低下する等の問題が発生し易い。抗菌
剤を添加した製品が抗菌作用を示すのは、製品の表面に
存在する抗菌剤であるが、成形用樹脂や塗料用樹脂に抗
菌剤を練り込む場合、大部分の抗菌剤は樹脂に練り込ま
れて成形品の中に存在するので、抗菌作用を発揮できな
いため、必ずしも最良の方法ではない。
【0004】また、従来、建築物の壁、天井等の内装、
家具、キャビネット等の表面装飾材として用いられる化
粧シートは、そのシートにポリ塩化ビニルシートが多く
使用されている。例えば、ポリ塩化ビニルシートに木目
模様等を印刷し、これに透明なポリ塩化ビニルシートを
積層したものや、更に、透明なポリ塩化ビニルシートに
エンボス加工を施したものがある。また、ポリ塩化ビニ
ルシートに代わるものとして、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン等のポリオレフィン系樹脂シートを使用した化粧
シートが提案されている(特開昭54ー62255号公
報参照)。更に、前記ポリオレフィン系樹脂シートの改
良仕様として、極性官能基をグラフト重合させたポリオ
レフィン系樹脂に、オレフィン系熱可塑性エラストマー
を混合させたもの(特開平6ー21080号公報、特開
平4ー504384号公報)、或いは、ポリオレフィン
系樹脂に相溶化剤を用いてポリウレタン樹脂を混合させ
たもの(特開平7ー26038号公報)、等にも提案さ
れている。
【0005】しかし、ポリオレフィン系樹脂シートを使
用した化粧シートは、紫外線により経時的に劣化し基材
シート又は被着体との接着強度が低下して、剥離が生じ
たり、曲げ加工等の後加工適性に問題が発生することが
ある。また、それと同時に、抗菌剤として有機系の抗菌
剤を使用している場合は、紫外線により抗菌剤の抗菌性
能が低下し、長期間に亘って抗菌作用を保持することは
困難である。特に、化粧シートにおいて抗菌作用を示す
のは、表面の極く薄い層に存在する抗菌剤であるが、こ
れらの抗菌剤は紫外線の作用を受けやすため、表面の近
くに存在する抗菌剤ほど抗菌性能は低下するので、紫外
線が長い時間照射されると化粧シートの殺菌効果は消失
することになる。
【0006】本発明は、これらの問題を解決するため
に、紫外線の影響を少なくするために、抗菌剤と一緒
に、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、酸化
防止剤をオレフィン系樹脂層に添加して、紫外線の影響
を少なくして、抗菌剤の抗菌効果が持続するようにした
ものである。更に、抗菌性を有する層を二重にし、表面
層には拡散速度の遅い抗菌剤を使用し、基材層側の抗菌
性層(中間層)には拡散速度の比較的速い抗菌剤を使用
して、表面層の抗菌性能が低下しても、中間層の抗菌剤
が透明オレフィン系樹脂層を移動し、表面の樹脂層にブ
リードアウトして抗菌作用を発揮するようにした。即
ち、中間層の抗菌剤は紫外線の作用を受けにくいので、
中間層からブリードアウトしてくる抗菌剤は、常に初期
の抗菌作用を示すので、化粧シート表面は長期間に亘っ
て抗菌効果を維持することになる。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記問題を解決するため
に、化粧シートの構成を以下のようにした。少なくとも
基材層、透明オレフィン系樹脂層からなる化粧シートに
おいて、該透明オレフィン系樹脂層が、少なくとも抗菌
剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系樹脂光安定剤、
酸化防止剤を含有し、且つその含有量が抗菌剤0.1〜
10重量%、紫外線吸収剤0.3〜1重量%、ヒンダー
ドアミン系光安定剤0.2〜0.7重量%、酸化防止剤
0.01〜0.5重量%であることを特徴とする抗菌性
化粧シートとした。また、前記透明オレフィン系樹脂層
が2層からなり、最表面の透明オレフィン系樹脂層に含
有する抗菌剤が、該樹脂層に対して拡散速度の遅い抗菌
剤であり、基材層側の透明オレフィン系樹脂層に含有す
る抗菌剤が、拡散速度の速い抗菌剤であることを特徴と
する抗菌性化粧シートとした。
【0008】即ち、本発明は、基材に抗菌性樹脂層を積
層した抗菌性化粧シートであって、透明なポリオレフィ
ン系樹脂(以下POとする)に、抗菌剤と一緒に、紫外
線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、酸化防止剤を
添加して抗菌性ポリオレフィン系樹脂層(以下抗菌性P
O層とする)を形成し、抗菌性PO層に含有される抗菌
剤が紫外線により劣化されることを防止し、化粧シート
の抗菌性能が長期間に亘って維持できるようにしたもの
である。また、抗菌性を有するPO層を二重にし、表面
層の他に、紫外線の影響を受けない基材層側の中間層に
も抗菌剤を添加し、その中間層に添加した抗菌剤が透明
オレフィン系樹脂層の中を自由に移動し、表面のPO樹
脂層にブリードアウトして抗菌性能を発揮できるように
して、抗菌性化粧シートが長期間に亘って抗菌性能を維
持できるようにしたものである。
【0009】上記ように抗菌性樹脂層を2層構造にする
ことにより、紫外線の影響を受けやすい表面層の抗菌性
PO層(以下表面抗菌性PO層とする)の抗菌剤は紫外
線の作用により、時間の経過とともに抗菌性能は低下す
るが、紫外線の影響を受けない基材側の抗菌性PO層
(以下中間抗菌性PO層とする)に存在する抗菌剤は、
紫外線による劣化がなく初期の抗菌性能を維持してい
る。そして、化粧シート表面の抗菌性樹脂層には、中間
抗菌性PO層の中の抗菌剤がブリードアウトして、常に
抗菌性能を有する抗菌剤が補充されるので、化粧シート
表面は長期間に亘って抗菌効果を持続することになる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に、図面を参照にしながら本
発明を詳細に説明する。図1は本発明の抗菌性化粧シー
トの一例で、抗菌性PO層が1層の場合の模式断面図で
ある。図2は本発明の抗菌性化粧シートの別の態様で、
抗菌性PO層が2層から構成されている場合の模式断面
図である。図3は抗菌性PO層が1層で、絵柄層を設け
たときの抗菌性化粧シートの模式断面図である。図4は
抗菌性PO層が2層で、絵柄層を設けたときの抗菌性化
粧シートの模式断面図である。図5は抗菌性PO層が1
層で、絵柄層を設けた抗菌性化粧シートを作製するとき
の説明図である。図6は抗菌性PO層が2層で、絵柄層
を設けた抗菌性化粧シートを作製するときの説明図であ
る。
【0011】本発明の抗菌性能を有する化粧シート(以
下単に抗菌性化粧シートとする)は、図1に示すよう
に、基本的には、化粧シートを構成する基材11の表面
に、抗菌剤13と一緒に紫外線防止剤、光安定剤、酸化
防止剤等を含有する透明ポリオレフィン樹脂層12(抗
菌性PO層)を積層して、化粧シート表面に抗菌性を付
与すると共に、紫外線防止剤、光安定剤、酸化防止剤等
を添加することにより、紫外線による抗菌剤の劣化を防
止し、抗菌性能を長期間に亘って維持できるようにした
ものである。抗菌性化粧シートの抗菌剤は紫外線の作用
により徐々に劣化し、長い間紫外線が照射されるとその
抗菌性能が失われ、抗菌性化粧シートとしての役割を果
たさなくなる。特に有機系抗菌剤の場合は、紫外線の影
響を受け易いので、紫外線の照射により抗菌性能が消失
されやすい。そのため、本発明においては、抗菌性樹脂
層を形成するポリオレフィン系樹脂に、抗菌剤と一緒
に、紫外線防止剤、光安定剤、酸化防止剤等を添加し、
紫外線による抗菌剤の抗菌性能の低下を防止したもので
ある。
【0012】また、本発明の抗菌性化粧シートの別の態
様として、図2に示すように、抗菌性PO層を2層に
し、化粧シートの抗菌性能を高めると共に、抗菌作用が
更に長期間に亘って持続できるようにしたものである。
即ち、化粧シートの表面に形成する抗菌性PO層を、図
2に示すように、表面抗菌性PO層12aと中間抗菌性
PO層12bの2層構造にし、表面抗菌性PO層12a
に添加する抗菌剤は、抗菌性ゼオライト等の無機系抗菌
剤、又は有機系抗菌剤の中でPOと相溶性がよくて、P
O層を自由に移動できないか又はPO層の移動が非常に
遅い抗菌剤(以下これらの抗菌剤を拡散性の遅い抗菌剤
とする)を使用し、また、中間抗菌性PO層12bに添
加する有機系抗菌剤は、ポリオレフィン系樹脂と適度の
相溶性を示し、中間抗菌性PO層12b及び表面抗菌性
PO層12aの中を自由に移動できて、中間抗菌性PO
層12bから表面抗菌性PO層12aにブリードアウト
できる有機系抗菌剤を選定した。
【0013】中間抗菌性PO層12bの中に存在する有
機系抗菌剤は、紫外線の作用は殆ど受けないので、常に
初期の抗菌性能を維持している。この中間抗菌性PO層
12bの有機系抗菌剤は、化粧シート作製当時は中間P
O層の中に存在するので、抗菌性能は発揮していない
が、時間の経過と共に、中間抗菌性PO層12b及び表
面抗菌性PO層12a内を移動し、化粧シート表面にブ
リードアウトして抗菌性能を発揮するようになる。従っ
て、表面抗菌性PO層12aの抗菌剤が紫外線の作用に
より抗菌性能が低下しても、中間抗菌性PO層12bの
中の有機系抗菌剤が化粧シート表面にブリードアウトし
て補充されるので、化粧シート表面は常に抗菌性能を有
する抗菌剤によって被覆されることになり、長期間に亘
って抗菌作用を持続することになる。
【0014】抗菌性化粧シートは、通常、印刷により絵
柄層を設けたものが使用されるので、以下に絵柄層を設
けた本発明の抗菌性化粧シートについて説明する。図3
に示すように、プラスチックシート、紙等のシート基材
11aに印刷等により絵柄層15を設け、その上に前記
抗菌性PO層12を形成し、これを基材11に接着剤層
14を介して積層し、抗菌性化粧シート1とする。ま
た、図4に示すように、前記拡散性の速い抗菌剤13b
を含有する中間抗菌性PO層12bに絵柄層15を設
け、その上に前記拡散性の遅い抗菌剤13aを含有する
表面抗菌性PO層12aを形成し、この抗菌性積層シー
トを基材11に接着剤層14を介して積層し、抗菌性化
粧シート1とする。
【0015】以下に、本発明の抗菌性化粧シートの製造
方法について説明する。先ず、図5(a)に示すよう
に、ポリエチレン、ポリプロピレン等のシート基材11
aに、プライマー層16を形成した後に、グラビア印刷
等により木目柄等を印刷して絵柄層15を形成する。次
に、図5(b)に示すように、この印刷シートの絵柄層
15側に、無機系抗菌剤又は有機系抗菌剤と一緒に紫外
線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤を添加したポリエチレ
ン、ポリプロピレン等のPO樹脂を用いて、押し出し法
等公知の方法により抗菌性PO層12をラミネートして
抗菌性化粧シート1を作製する。
【0016】また、抗菌性PO層が2層からなる本発明
の抗菌性化粧シートは以下のように作製される。ポリエ
チレン、ポリプロピレン等のPO樹脂と適度の相溶性を
有する有機系抗菌剤(拡散性の速い抗菌剤)を選定し、
この有機系抗菌剤を混練したPO樹脂を用いて公知の方
法によりシートを作製し、図6(a)に示すように、こ
のシートを中間抗菌性PO層12bとし、これにプライ
マー層16を形成後、グラビア印刷等により木目柄等を
印刷して絵柄層15を形成する。次に、図6(b)に示
すように、この印刷シートの絵柄層15側に、無機系抗
菌剤又は有機系抗菌剤(PO樹脂と相溶性がよく、PO
層の移動速度が非常に遅いもの)と一緒に紫外線吸収
剤、光安定剤、酸化防止剤を添加したPO樹脂を用い
て、押し出し法等公知の方法によりラミネートして、図
6(b)に示すように、抗菌性PO積層シート2を作製
する。更に、図6(c)に示すように、上記抗菌性PO
積層シート2の中間抗菌性PO層12b側に接着剤を塗
布して接着剤層14を形成し、この接着剤層14を介し
て紙、不織布、プラスチックシート等の基材11に接着
して抗菌性化粧シート1を作製する。
【0017】本発明に用いられる透明ポリオレフィン系
樹脂(PO樹脂)としては、ポリエチレン、エチレン・
プロピレン共重合体、エチレン・プテンー1共重合体、
ポリプロピレン、プロピレン・ブテンー1共重合体、ポ
リブテン一1、ブテンー1・プロピレン・エチレン・3
元共重合体、ブテンー1・ヘキセンー1・オクテンー1
・3元共重合体、ポリメチルペンテン等の樹脂単独又は
2種以上混合したものが挙げられる。
【0018】また、エラストマーとオレフィン系樹脂と
からなる複合材料であるオレフィン系熱可塑性エラスト
マーを用いることができる。オレフィン系熱可塑性エラ
ストマーとしては、次の3タイプがある。即ち、ソフ
トセグメントとしてのエラストマーとハードセグメント
としてのオレフィン系樹脂を単純ブレンドしたタイプ。
エラストマーとオレフィン系樹脂とを部分的に架橋さ
せて複合化した架橋タイプ。エラストマーを架橋させ
て、それをオレフィン系樹脂に分散させたタイプ。
【0019】エラストマーとしては各種ゴム類が挙げら
れ、ゴム類としては、ジエン系ゴム、水素添加ジエンゴ
ム、オレフィン系共重合体ゴム等であるが、中でも水素
添加ジエン系ゴムが好ましい。水素添加ジエン系ゴム
は、ジエン系ゴム分子の二重結合の少なくとも一部分に
水素原子を付加させてなるもので、ポリオレフィン系樹
脂の結晶化を抑え、柔軟性、透明性をアップさせる役割
がある。また、一般にポリオレフィン系樹脂にジエン系
ゴムを添加するとジエン系ゴムの二重結合の為、耐候
性、耐熱性はジエン系ゴム無添加のポリオレフィン系樹
脂より低下するが、本発明では、ジエン系ゴムの二重結
合を水素で飽和させる為、ポリオレフィン系樹脂の耐候
性、耐熱性の低下も無く良好なものとなる。
【0020】ジエン系ゴムとしては、イソプレンゴム、
ブタジエンゴム、ブチルゴム、プロピレン・ブタジエン
ゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、アクリロニ
トリル・イソプレンゴム、スチレン・ブタジエンゴム等
がある。オレフィン系共重合体ゴムは2種類又は3種類
以上のオレフィンと共重合しうるポリエンを少なくとも
1種加えた弾性共重合体であり、オレフィンとしては、
エチレン、プロピレン、α−オレフィン等が使用され、
ポリエンとしては、1,4ヘキサジエン、環状ジエン、
ノルボルナンなどが使用される。好ましいオレフィン系
共重合体ゴムとしては、例えばエチレンープロピレン共
重合体ゴム、エチレンープロピレン非共役ジエンゴム、
エチレンーブタジエン共重合体ゴム等のオレフィンを主
成分とする弾性共重合体が挙げられる。本発明の目的か
らは特にスチレン・ブタジエンゴムが好ましい。
【0021】ゴム類の添加量としては、ポリオレフィン
樹脂100重量部に対し、1〜90重量部程度とする。
1重量部未満だと、ゴム添加による弾性、伸び率、耐衝
撃性が不足し、Vカット加工、絞り加工等の折り曲げ加
工時に亀裂、割れを生じ易くなる。又、90重量部以上
だと、弾性、及び伸び率が大きくなりすぎ、印刷時の検
討合わせが不良になり好ましくない。 厚さは50〜5
00μm程度、より好ましくは50〜200μm、延
伸、未延伸シートのいづれも使用可であるが、Vカット
加工等の成形適性上は、未延伸シートの方が良好であ
る。
【0022】前記エラストマーとオレフィン系樹脂とを
部分的に架橋させて複合化した架橋タイプとしては、例
えば、特公昭53−21021号公報、特公昭53−3
4210号公報、特公昭56−15741号公報等に記
載されているものが挙げられる。
【0023】本発明に用いられる紫外線吸収剤として
は、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチ
ル酸エステル等の公知の紫外線吸収剤が挙げられる。紫
外線吸収剤の添加量としては、PO樹脂に対して0.3
〜1重量%程度が効果的である。紫外線吸収剤の添加量
が0.3重量%未満では、紫外線に対する防止効果が十
分でなく、抗菌剤の抗菌効果を持続させることができな
い。また、添加量が1重量%超では、PO樹脂表面への
ブリードアウトが多くなり過ぎて、抗菌性化粧シートを
作製する際に加工上の問題が生じる。
【0024】光安定剤としては、ヒンダードアミン系ラ
ジカル捕捉剤が使用される。例えば、ビスー(2,2,
6,6−テトラメチルー4−ピペリジニル)セバケー
ト、ビスー(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチ
ルー4−ピペリジニル)セバケート、〔コハク酸ジメチ
ル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−
2,2,6,6−テトラメチルー4−ピペリジン〕重縮
合物等が使用される。光安定剤の添加量としては、PO
樹脂に対して0.2〜0.7重量%程度が効果的であ
る。添加量が0.2重量%未満では、紫外線吸収剤と同
様、紫外線に対する防止効果が十分でなく、抗菌剤の抗
菌効果を持続させることができない。また、添加量が
0.7重量%超では、紫外線吸収剤と同様の問題が生じ
る。
【0025】酸化防止剤としては、ポリオレフィン系樹
脂としてポリエチレン(以下PEとする)を使用する場
合は、PEは比較的安定な樹脂であるため、BHT
(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール
)、Irganox1010(テトラキス−〔メチレ
ン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキ
シフェニル)プロピオナート〕−メタン)が少量添加さ
れるが、フィルム加工等でリサイクル使用される場合
は、加工安定剤として高性能型リン系酸化防止剤が添加
される。
【0026】ポリオレフィン系樹脂としてポリプロピレ
ン(以下PPとする)を使用する場合は、PPは不安定
な樹脂であるため酸化防止剤の添加は必須であり、フェ
ノール系では、BHT、Irganox1010が主に
使用される。また、硫黄系では、DLTDP(ジラウリ
ル−3−3′−チオジプロピオナート)、DMTDP
(ジミリスチル−3−3′−チオジプロピオナート)、
リン系ではTNP(トリスノニルフェニルホスファイ
ト)、P−EPQ(テトラキス(2,4−ジ−t−ブチ
ルフェニル)−4,4′−ビフェニレンホスホナイ
ト)、耐熱性が要求される場合はペンタエリスリトール
タイプが使用される。
【0027】酸化防止剤の添加量は、使用される酸化防
止剤の種類、樹脂の種類等によって異なり、使用に際し
て適宜選定される。例えば、樹脂としてPPを使用し、
酸化防止剤としてBHTを使用する場合はその添加量は
0.01〜0.5重量%、Irganox1010を使
用する場合は0.01〜0.5重量%添加される。ま
た、樹脂として高密度ポリエチレン(以下HDPEとす
る)を使用する場合は、BHTでは0.01〜0.5重
量%、Irganox1010では0.01〜0.5重
量%添加される。
【0028】本発明に用いられる抗菌剤としては、一般
に市販されている工業用抗菌剤が使用できる。抗菌剤に
は有機系抗菌剤と無機系抗菌剤があるが、前記化粧シー
トの表面に形成される表面抗菌性PO層に使用する場合
は、有機系抗菌剤、無機系抗菌剤共に使用可能である。
しかし、化粧シートの中間抗菌性PO層に使用する場合
は、抗菌剤はPO層を移動して表面にブリードアウトし
なければ抗菌性能を発揮できないので、表面抗菌性PO
層及び中間抗菌性PO層の樹脂に対して適度の相溶性を
有し、ポリオレフィン系樹脂層内を徐々に移動できる有
機系抗菌剤を選定する必要がある。
【0029】有機系抗菌剤が表面抗菌性PO層及び中間
抗菌性PO層に使用されるポリオレフィン系樹脂と非常
に相溶性が良い場合は、ポリオレフィン樹脂の中に完全
に取り込まれて樹脂中を移動できなくなるので、化粧シ
ート表面にブリードアウトして抗菌作用を発揮するこが
できなくなる。また、有機系抗菌剤がポリオレフィン樹
脂と相溶性が悪い場合は、ポリオレフィン樹脂中の移動
が速すぎて、樹脂中の抗菌剤は短期間の内になくなり、
抗菌性化粧シートの抗菌性能を長期間に亘って維持させ
るが出来なくなる。また、有機系抗菌剤がポリオレフィ
ン樹脂との相溶性が極端に悪い場合は、ポリオレフィン
樹脂から速やかにしみ出して表面に粉吹き現象を引き起
こし、製品不良の原因となる。更に相溶性が悪い場合は
樹脂との練り込みが不可能となり、本発明の目的が達成
できなくなる。
【0030】従って、本発明の抗菌性化粧シートを長期
間に亘って抗菌剤性能を維持するためには、使用するポ
リオレフィン系樹脂に対して適度の相溶性を有する有機
系抗菌剤を選定することが大きな決め手となる。しか
し、表面抗菌性PO層に使用する抗菌剤は、表面樹脂層
の表面に固定されていても抗菌剤作用を発揮できるの
で、有機系抗菌剤は表面ポリオレフィン系樹脂との相溶
性は極端に悪くなければ大きな問題とはならない。むし
ろ、抗菌剤はポリオレフィン樹脂との相溶性がよく、樹
脂中の移動が非常に遅い方が好ましい。
【0031】ポリオレフィン樹脂層中の有機系抗菌剤の
含有量は、抗菌剤の種類及び用途等によって異なるが、
通常0.1〜10重量%の範囲で使用され、好ましくは
1〜5重量%の範囲である。ポリオレフィン樹脂層中の
含有量が0.1重量%未満では、抗菌効果が十分発揮さ
れない。特に中間抗菌性PO層への添加量が少ないと、
ブリードによる化粧シート表面への抗菌効果が得られな
くなる。また、10重量%を超える場合は、これ以上添
加してもそれほど抗菌効果は高まらず、経済的デメリッ
トが大きくなる。また、透明性が悪くなったり、強度等
の物性が低下することがある。
【0032】無機系抗菌剤としては、特公昭63ー5
4013号公報、特開平4ー300975号公報、特許
第2529574号公報等に開示されているゼオライ
ト、アパタイト、ガラス、シリカゲル、リン酸塩、リン
酸ジルコニウム等のイオン交換可能なイオンの一部又は
全部を、銀、銅、亜鉛、錫、鉛、水銀、コバルト、アン
モニウム等のイオンで置換したイオン交換体がある。中
でも、ゼオライト、リン酸ジルコニウムのイオン交換可
能なイオンの一部を銀イオンで置換したものが、安全性
や実積面から望ましい。ゼオライト、リン酸ジルコニウ
ムに担持させた金属イオンの含有量としては、銀イオン
の場合は0.1〜15重量%、銅又は亜鉛イオンの場合
は0.1〜8重量%が好ましい。また、上記金属イオン
で置換したイオン交換体を更にアンモニウムイオンで置
換したものもある。(特公平4ー28646号公報、特
許第2529574号公報等に開示)
【0033】 抗菌性を有する有機化合物としては、
p−アミノベンゼンスルホンアミド、スルファチアゾー
ル、スルファピリジン、スルファピダイアジン等のスル
ファ剤、ジメチルジチオカルバメート、エチレンビスチ
オカルバメート、等のジチオカルバミン酸塩、2−(2
−フリル)−3−(5−ニトロ−2−フリル)アクリル
アミド等が挙げられる。
【0034】 抗菌性及び防黴性を有する化合物とし
ては、トリメトキシシリルプロピルオクタデシルアンモ
ニウムクロライド、10,10′−オキシビスフェノキ
シアルシン、2−(4−チアゾリル)−ベンズイミダゾ
ール、ビス(2−ピリジルチオ−1−オキシド)亜鉛、
2−N−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、
2,3,5,6,−チトクロロ−4−(メチルチオ)−
フタルイミド、N−(フルオロジクロロメチルチオ)フ
ロルイミド、グリセオフルビン、トリコマイシン、アン
ホテリシンB等がある。
【0035】 抗生物質としては、フェノキシメチル
ペニシリン、ジクロキサシリン等のペニシリン、セファ
ロチン、セファゾリン等のセファロスポリン、硫酸スト
レプトマイシン、パロモマイシン(硫酸塩)等のストレ
プトマイシン、エリスロマイシン、ジョサマイシン等の
エリスロマイシン、テトラサイクリン、硝酸ロリテトラ
サイクリン等のテトラサイクリン、クロランフェニコー
ル、チアンフェニコールアミン酢酸エステル塩酸塩等の
クロランフェニコール等がある。
【0036】尚、上記無機系抗菌剤の粒径としては、そ
の添加量が0.1〜10重量%、膜厚が2〜10μmに
対しては、0.1〜10μmの範囲で適度な粒度分布の
ものを用いると最小添加量で最大の抗菌作用を与える上
で好ましい。特に粒径2〜5μmが良好である。本発明
においては、抗菌性PO層は透明性が要求されるため、
無機系抗菌剤のの添加量は制限される。抗菌性ゼオライ
トの場合、透明性を重視するとその添加量は2〜5重量
%が好適である。抗菌性ゼオライトの含有量が10重量
%を越える場合は、前記問題点が無視できなくなり、
又、0.1重量%未満では十分な抗菌作用が得られな
い。
【0037】抗菌剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防
止剤等を添加した樹脂ポリオレフィン系樹脂を用いて、
抗菌性PO層を形成する方法としては、インフレーショ
ン法、Tダイ法等によってフィルム化して、この抗菌性
を有するフィルムを基材に積層して抗菌性PO層とする
ことが一般的である。抗菌剤として無機系抗菌剤を使用
して表面抗菌性PO層を形成する場合、最小添加量で最
大の抗菌効果を発揮させるためには、抗菌剤粒子の一部
が塗膜の表面に露出している必要があり、抗菌剤粒子が
2〜5μm程度のときは、抗菌性PO層の厚さは5〜1
0μm程度が好ましい。
【0038】本発明に用いられる基材として好ましいも
のは、高密度ポリエチレン樹脂に、熱可塑性エラストマ
一、着色剤、及び無機充填剤を添加してシート化したも
のが挙げられる。該シートによれば、化粧シートとして
要求される性能、すなわち、ポリ塩化ビニル並みの熱
成形性、耐クリープ変形性、耐寒折り曲げ強度、
耐有機溶剤性、破断時伸度、耐衝撃強度、適度な
曲げ弾性率を持つ、易接着性、等を満足するものが得
られる。
【0039】上記高密度ポリエチレン樹脂としては、比
重が0.94〜0.96のポリエチレンであって、低圧
法で得られる結晶化度が高く分子に枝別れ構造の少ない
高分子を用いるのがより好ましい。また、上記熱可塑性
エラストマーとしては、ジエン系ゴム、水素添加ジエン
ゴム、オレフィン系共重合体ゴム等が挙げられる。熱可
塑性エラストマーの添加量としては基材シート中に10
〜60重量%、好ましくは30重量%程度である。10
重量%より少ないと、一定荷重時伸度の変化が急峻にな
り過ぎ、また、破断時伸度、耐衝撃性の低下が生じ、6
0%より多いと透明性、耐侯性及び耐クリープ性の低下
が生じる。上記無機充填剤は、基材シート中に5〜60
重量%程度、好ましくは30重量%程度添加される。添
加量が5重量%より少ないと耐クリープ変形性及び易接
着性の低下が生じ、60%より多いと破断時伸度及び耐
衝撃性の低下が生じる。
【0040】抗菌性化粧シートの表面に設けられるPO
シートとして好ましいものは、アイソタクチックポリプ
ロピレンとアタクチックポリプロピレンとの混合系から
なる、複合立体構造を有する無色又は着色透明な軟質ポ
リプロピレン系樹脂からなるシートが挙げられる。上記
複合立体構造を有する軟質ポリプロピレン樹脂からなる
シートによれば、化粧シートとして要求される性能、す
なわち、耐クリープ変形性、耐有機溶剤性、破断
時伸度、耐衝撃強度、適度な曲げ弾性率、良好な
透明性、エンボス加工等にともなう加熱と冷却が加わ
っても、再結晶による白化、濁りを生じない、耐候
性、等を満足するものが得られる。
【0041】この軟質ポリプロピレン系樹脂としては、
具体的には、(A)(イ)マグネシウム、チタン、ハロ
ゲン原子及び電子供与体を必須成分として含有する固体
触媒成分、(ロ)有機アルミニウム化合物、及び(ハ)
一般式〔化1〕
【化1】 (式中のR1 は炭素数l〜20のアルキル基、R2 は炭
素数1〜10の炭化水素基、水酸基又はニトロソ基、m
は1〜6の整数、nは0又は1〜(6−m)の整数であ
る)で表されるアルコキシ基含有芳香族化合物の組み合
わせからなる触媒の存在下、プロピレンを重合させるこ
とにより得られる、数平均分子量(Mn)が25,00
0以上で、且つ重量平均分子量(Mw)と数平均分子量
(Mn)との比(Mw/Mn)が7以下の沸騰ヘプタン
可溶性ポリプロピレン(アタクチックポリプロピレン)
10〜90重量%と、(B)メルトインデックスが0.
1〜4g/10分の沸騰ヘプタン不溶性ポリプロピレン
(アイソタクチックポリプロピレン)90〜10重量%
とからなる軟質ポリプロピレン樹脂組成物が挙げられ
る。
【0042】上記軟質ポリプロピレン樹脂組成物は、破
断伸び(Tb )が400%以上、好ましくは500〜7
00%、100%伸長後の残留伸び(PS1oo )が80
%以下、好ましくは50〜75%、及び破断時応力(M
B )と降伏時応力(MY )との比(MB /MY )が1.
0以上、好ましくはl.5〜3.5の範囲にあることが
望ましい。
【0043】上記軟質ポリプロピレン樹脂組成物におい
ては、(A)成分のアタクチックポリプロピレンとし
て、沸騰ヘプタンに可溶性であって、数平均分子量(M
n)が2,5000以上、好ましくは30,000〜6
0,000の範囲にあり、かつ重量平均分子量(Mw)
と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が7以
下、好ましくは2〜6の範囲にあるものが用いられる。
このMnが25,000未満のものやMw/Mn比が7
を超えるものでは、得られる樹脂における該アタクチッ
クポリプロピレンの力学特性への寄与効果が十分に発揮
されず、得られる樹脂の破断時応力(MB )と降伏時応
力(MY )との比が1.0未満になったり、100%伸
長後の残留伸び(PS100 )が80%を超えたりして、
望ましくない。
【0044】上記(A)成分のアタクチックポリプロピ
レンはプロピレンの単独重合体であってもよいし、プロ
ピレン単位と40重量%以下、好ましくは30重量%以
下の他の炭素数2〜30のα−オレフィン単位とを含有
するプロピレン共重合体であってもよい。また、このア
タクチックポリプロピレンは1種用いてもよいし、2種
以上組み合わせて用いてもよい。このような(A)成分
のアタクチックポリプロピレンは公知の方法(特公平6
−23278号公報等)によって製造することができ
る。
【0045】上記軟質ポリプロピレン樹脂組成物におい
ては、(B)成分として、メルトインデックス(MI)
が0.1〜4g/10分の沸騰ヘプタン不溶性の結晶性
アイソタクチックポリプロピレンが用いられる。このメ
ルトインデックスが0.1g/10分未満では溶融特性
が低く、シート成形が困難になるし、4g/10分を超
えると機械的強度が不充分となってVカット加工が良好
に行えなくなる虞れがある。上記(B)成分のアイソタ
クチックポリプロピレンは、アイソタクチックの立体規
則性を有するプロピレン単独重合体であってもよいし、
該立体規則性を有するプロピレンと他のα−オレフィン
との共重合体であってもよい。このα−オレフィンとし
ては炭素数2〜8のもの、例えばエチレン、ブテン−1
ペンテン−1、へプテン−1、オクテン−1などが好ま
しく、中でもエチレン及びブテン−1が好適である。ま
た該共重合体としては、前記のα−オレフィン単位を通
常40重量%以下、好ましくは30重量%以下含有する
ブロック共重合体やランダム共重合体が用いられる。
【0046】この(B)成分のアイソタクチックポリプ
ロピレンの好ましいものとしては、プロピレン単独重合
体、及ぴエチレン単位1〜30重量%、好ましくは3〜
25重量%を含有するプロピレンとエチレンとのランダ
ム共重合体又はブロック共重合体が挙げられる。このよ
うなアイソタクチックポリプロピレンの製造は従来の結
晶性ポリプロピレンの製造と同様に行うことができる。
上記軟質ポリプロピレン樹脂組成物においては、この
(B)成分のアイソタクチックポリプロピレンは1種用
いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。また、
前記(A)成分のアタクチックポリプロピレンと(B)
成分のアイソタクチックポリプロピレンは、(A)成分
の含有量が10〜90重量%、好ましくは25〜80重
量%で、(B)成分のの含有量が90〜l0重量%、好
ましくは75〜20重量%になるような割合で用いられ
る。
【0047】該(A)成分の含有量が10重量%未満で
は、樹脂の降伏時応力(MY )が大きくなりすぎて、破
断時応力(MB )と降伏時応力(MY )との比MB /M
Y 比が1.0未満となり、かつ100%伸長後の残留伸
び(PS100 )も80%より大きくなってしまう。一方
含有量が90重量%を超えると破断時応力(MB )が小
さくなりすぎて、該MB /MY 比が1.0未満となり、
かつ機械的強度が低下する虞れがある。また、(B)成
分の比率を高くすることにより、得られる軟質ポリプロ
ピレンのヤング率は高くなる。(A)成分と(B)成分
の特に好ましい比率は1:1である。
【0048】さらに基材シートとそこに積層する表面シ
ートの2層構造を、基材シートを上述した高密度ポリエ
チレン樹脂、熱可塑性エラストマー、着色剤、及び無機
充填剤からなるシートとし、抗菌性PO層を上述したア
イソタクチックポリプロピレンとアタクチックポリプロ
ピレとの混合系からなる無色又は着色透明な軟質ポリプ
ロピレン系樹脂からなるシートとすることで、それぞれ
のシートに前記した化粧シートに求められる諸条件を分
担して持たせることができ、実用性の高い本発明の化粧
シートが得られる。
【0049】基材シートと抗菌性PO層の積層方法とし
ては、熱溶融によるラミネートか、2液硬化型ウレタン
樹脂、溶融押出コートされたポリエチレン等の接着層に
より、抗菌性PO層を基材シートとなる樹脂上に積層す
るか、又は基材シート上に抗菌性PO層の樹脂をエクス
トルージョンコートして積層する。上記ポリオレフィン
系樹脂において、ポリオレフィン系樹脂、オレフィン系
共重合体ゴム、オレフィン系熱可塑性エラストマー、例
えば、ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合
体、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリブテン、ポリ
イソブチレンのごときポリα−オレフィン、およびポリ
ブタジエン、ポリイソプレンの如きポリジオレフィンあ
るいはこれらの共重合体等と、例えばカルボン酸、カル
ボン酸塩、カルボン酸無水物、カルボン酸エステル、カ
ルボン酸アミドないしイミド、アルデヒド、ケトン等に
基づくカルボニル基を単独で、あるいはシアノ基、ヒド
ロキシ基、エーテル基、オキシラン環等との組み合わせ
で有する極性基を有するエチレン系不飽和単量体の1種
または2種以上との共重合体等が挙げられる。一般的に
は厚さ10μm程度に形成されていれば十分である。
【0050】極性基を有するエチレン系不飽和単量体
は、 A.エチレン系不飽和カルボン酸:アクリル酸、メタク
リル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン
酸、シトラシコン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジル
ポン酸等、 B.エチレン系不飽和無水カルボン酸:無水マレイン
酸、無水シトラコン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジ
カルボン酸無水物、テトラヒドロ無水フタル酸等、 C.エチレン系不飽和エステル:アクリル酸エチル、メ
タクリル酸メチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、マ
レイン酸モノまたはジエチル、酢酸ビニル、プロピオン
酸ビニル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、グリシジ
ルアクリレート、グリシジルメタクリレート、β−N−
エチルアミノエチルアクリレート等、 D.エチレン系不飽和アミドないしイミド:アクリルア
ミド、メタクリルアミド、マレイミド等、 E.エチレン系不飽和アルデヒドないしケトンアクロレ
イン、メタクロレイン、ビニルメチルケトン、ビニルプ
チルケトン等が挙げられる。 易接着性透明オレフィン系熱可塑性エラストマーとし
て、好ましいものは、ホモの非塩素系変性ポリレフィン
やランダム重合した非塩素系変性ポリオレフィンであ
る。
【0051】尚、上記カルボン酸塩としては、以下の金
属イオンが用いられる。1価金属イオンとして、N
+ 、K +、 Li+ 、Cs+ 、Ag+ 、Hg+ 、Cu
+ があり、2価金属イオンとして、Be++、Mg++、C
++、Ba++、Cu++、Cd++、Hg++、Sn++、Pb
++、Fe++、Co++、Ni++、Zn++、3価金属イオン
としては、A1+++ 、Sc+++ 、Fe+++ 、Yt+++
挙げられる。尚、中和度は共重合体カルボン酸を金属イ
オンで中和した後のMIが2〜20の範囲程度とする。
【0052】基材シートと抗菌性PO層の貼り合わせ
を、ドライラミネートで行う場合は、2液硬化型ウレタ
ン樹脂等の通常のドライラミネートで使用される接着剤
が用いられる。基材シートと表面シートを熱接着させる
場合は、反応性ホットメルト接着剤が用いられる。ま
た、密着強度は落ちるが、イソシアネート系アンカーコ
ート剤(例えば、トリレジンイソシアネート、へキサメ
チレンジイソシアネート等の化合物等)を用いることも
できる。通常熱可塑性インキも使用可能である。
【0053】本発明の基材シートとしてポリオレフィン
系樹脂シート(POシート)を用いる場合、その基材シ
ートの表面には、印刷インキや抗菌性PO層との接着性
を向上させるために、コロナ放電処理、プラズマ処理、
易接着層の形成等の易接着性処理が施される。易接着層
(プライマー層或いはアンカー層ともいう)としては、
アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩化ビニルー酢酸ビ
ニル共重合体系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン
樹脂、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の
樹脂を溶媒に溶解した塗工液が使用されるが、特にポリ
ウレタン樹脂が望ましい。上記樹脂を溶媒に溶解した塗
工液を、公知の方法で塗布、乾燥して易接着層とするこ
とにより、POシートと印刷層や抗菌性PO層との接着
力を強力なものにできる。
【0054】易接着層(プライマー層、或いはアンカー
層とも云う)としては、アクリル、塩化ビニルー酢酸ビ
ニル共重合体、ポリエスル、ポリウレタン、塩素化ポリ
プロピレン、塩素化ポリエチレンが使用される。アクリ
ルとしては、,ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ
(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸プ
ロピル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アク
リル酸メチル・(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、
(メタ)アクリル酸エチル・(メタ)アクリル酸ブチル
共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合
体、スチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体等の
(メタ)アクリル酸エステルを含む単独又は共重合体か
らなるアクリル樹脂(但し、此処で(メタ)アクリルと
はアクリル又はメタアクリルを意味するものとし以下同
様とする)が使用される。
【0055】ポリウレタンとはポリオール(多価アルコ
ール)を主剤とし、イソシアネートを架橋剤(硬化剤)
とするポリウレタンである。ポリオールとしては、分子
中に2個以上の水酸基を有するもので、例えばポリエチ
レングリコール、ポリプロピレングリコール、アクリル
ポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポ
リオール等が用いられる。
【0056】また、イソシアネートとしては、分子中に
2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネー
トが用いられる。例えば、2,4トリレンジイソシアネ
ート、キシレンジイソシアネート、4,4ジフェニルメ
タンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、或い
はへキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソ
シアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素
添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族イソ
シアネートが用いられる。
【0057】本発明の抗菌性化粧シートには所望の装飾
処理が施される。装飾処理としては、基材シートへの着
色剤の練込みによる着色、絵柄や金属層からなる模様形
成、エンボス加工(加熱プレス)、ヘアライン加工等に
よる凹凸模様形成等がある。本発明における着色剤は、
基材シートに化粧シートとして必要な色彩を持たせるた
めのものであり、有機系又は無機系の着色顔料や染料が
用いられる。着色剤としては、チタン白、亜鉛華、弁
柄、朱、群青、コバルトブルー、チタン黄、カーボンブ
ラック等の無機顔料、イソインドリノン、ハンザイエロ
ーA、キナクリドン、パーマネントレッド4R、フタロ
シアニンブルー等の有機顔料或いは染料、アルミニウ
ム、真鍮等の金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性
炭酸亜鉛等の箔粉からなる真珠光沢顔料等が用いられ
る。着色は透明着色、不透明(隠蔽)着色いずれでも可
能であるが、一般的には、被着体を隠蔽するために不透
明着色が好ましい。
【0058】絵柄印刷としては、グラビア印刷、オフセ
ット印刷、シルクスクリーン印刷、転写シートからの転
写印刷等公知の印刷法を用いインキ(或いは塗料)にて
模様を形成する。模様としては、木目模様、石目模様、
皮絞模様、幾何学図形、文字、記号、或いは前面べ夕等
がある。模様はシートの表面、裏面、表裏両面或いは層
間に設ける。
【0059】インキ(或いは)塗料としては、バインダ
ーとして、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン
等の塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタ
ン、アクリル、酢酸ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共
重合体、セルロース系樹脂、等を用い、一種又は二種以
上混合した用いる。これに前記列挙した様な公知の顔料
を添加したものを用いる。ポリオレフィン系樹脂シート
に直接印刷する場合は、バインダーとして塩素化ポリオ
レフィン、ポリウレタン等は接着性の点で好ましいが、
前述のように、易接着性プライマーを適当に選択して層
形成すれば、この他のバインダーを用いても十分な接着
性を得ることができる。
【0060】装飾層としてアルミニウム、クロム等の金
属を真空蒸着して形成することもできる。しかる金属薄
膜層は基材シートの前面に形成してもよく、前記したよ
うな模様が得られるようにパターン状に形成してもよ
い。パターン状に形成するには金属層が不要部分には水
溶性インキにより除去層を所望のパターンで設けた上か
ら全面に金属を蒸着させ、しかる後水洗いして上記除去
層とともにその直上の金属層を除去する等の公知の方法
が用いられる。
【0061】本発明における絵柄層は、通常、POシー
トの表面に、木目柄等の絵柄をグラビア印刷等により印
刷して設けるが、抗菌剤を添加したポリオレフィン系樹
脂を離型紙等にエクストルージョン法により抗菌性PO
層を形成し、その表面に絵柄の印刷層を形成した後、こ
のシートの印刷面に接着剤を介して基材POシートを積
層し、そのシートから離型紙を剥離して抗菌性化粧シー
トを得ることもできる。絵柄層の絵柄模様としては、木
目柄、石目柄、布目柄、皮絞模様、幾何学図形、文字、
記号、各種抽象模様、或いは全面ベタ印刷等がある。全
面ベタ印刷の隠蔽層は化粧シートを貼付する被着体の表
面状態によって省略されることがある。
【0062】本発明の抗菌性化粧シートは、各種被着体
に積層し、所定の成形加工等を施して、各種用途に用い
ることができる。例えば、壁、天井、床等の建築物の内
装、窓枠、扉、手すり等の建具の表面化粧、家具又は弱
電・OA機器のキャビネットの表面化粧、自動車、電車
等の車両の内装、航空機の内装、窓硝子の化粧等に利用
できる。そのために、抗菌性化粧シートが直接素材等に
接着できない場合は、適当な易接着層又は接着剤層を介
して被着体に接着する。しかし、抗菌性化粧シートが熱
融着等で被着体に接着可能な場合は、易接着層又は接着
剤層は省略してもよい。
【0063】被着体としては各種素材の平板、曲面板等
の板材、シート(或いはフィルム)、或いは各種立体形
状物品(成形品)が対象となる。例えば、射出成形品等
の曲面を有する成形品に対しても、本発明の抗菌性化粧
シートを接着することができる。
【0064】被着体として、板材或いはシート(フィル
ム)のいずれにも用いられる素材としては、木材単板、
木材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MD
F)等の木材板、木質繊維板等の水質板、鉄、アルミニ
ウム等の金属、アクリル、ポリカーボネート、エチレン
・酢酸ビニル共重合体、エチレンビニルアセテート、ポ
リエステル、ポリスチレン、ポリオレフィン、ABS、
フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル、セルロース系樹脂、
ゴム等の樹脂が挙げられる。
【0065】被着体として専ら板材、或いは立体形状物
品として用いられる素材としては、ガラス、陶磁器等の
セラミックス、ALC(発砲軽量コンクリート)等のセ
メント、硅酸カルシウム、石膏等の被セメント窯業系材
料が挙げられる。
【0066】被着体として専らシート(或いはフィル
ム)として用いられる素材としては、上質紙、和紙等の
紙、炭素、石綿、チタン酸カリウム、ガラス、合成樹脂
等の繊維からなる不織布又は織布等が挙げられる。
【0067】これら各種被着体への積層方法としては、
例えば、次の〜の方法を挙げることができる。即
ち、 接着剤層を間に介して板状基材に加圧ローラーで加
圧して積層する方法、 特公昭50−19132号公報、特公昭43−27
488号公報等に記載されるように、化粧シートを射出
成形の雌雄両金型間に挿入して、両金型を閉じ、雄型の
ゲートから溶融樹脂を射出充填した後、冷却して樹脂成
形品の成形と同時にその表面に化粧シートを接着積層す
る、いわゆる射出成形同時ラミネート法、 特公昭56−45768号公報、特公昭60−58
014号公報等に記載されるように、化粧シートを成形
品の表面に接着剤を介して対向なしいは載置し、成形品
側からの真空吸引による圧力差により化粧シートを成形
品表面に積層する、いわゆる真空プレス積層方法、 特公昭61−5895号公報、特公平3−2666
号公報等に記載されるように、円柱、多角柱等の柱状基
材の長軸方向に、化粧シートを間に接着剤層を介して供
給しつつ、多数の向きの異なるローラーにより、柱状体
を構成する複数の側面に順次化粧シートを加圧接着して
積層してゆく、いわゆるラッピング加工方法、 実公大15−31122号公報、特開昭48−47
972号公報等に記載されるように、先ず化粧シートを
板状基材に接着剤層を介して積層し、次いで板状基材の
化粧シートとは反対側の面に、化粧シートと板状基材と
の界面に到達する、断面がV字状、又はU字状溝を切削
し、次いで該溝内に接着剤を塗布した上で、該溝を折り
曲げ、箱体又は柱状体を成形するいわゆる、Vカット又
はUカット加工方法等が挙げられる。
【0068】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明を更に詳細
に説明する。 (実施例1)透明ポリオレフィン系樹脂として、住友化
学工業(株)製ランダムポリプロピレンを用い、これに
紫外線吸収剤(旭電化工業(株)製ベンゾトリアゾール
系「LA−32」)を0.8重量%、ヒンダードアミン
系光安定剤(旭電化工業(株)製「LA−62」)を
0.5重量%、酸化防止剤(旭電化工業(株)製フェノ
ール系抗酸化剤「AO−60」)を0.3重量%、無機
系抗菌剤(東亜合成(株)製「ノバロンAG−30
0」)を3重量%添加し、この樹脂を用いてエクストル
ージョン法により、基材として厚さ50g/m2 の含浸
紙(三興(株)製「UNFP」)に押し出しラミネート
し、図1に示すように、厚さ20μmの抗菌性PO層1
2を形成して抗菌性化粧シート1を作製した。
【0069】(実施例2)シート基材として、高密度ポ
リエチレンをベースにして、これに熱可塑性エラストマ
ーとしてスチレン・ブタジエンゴムを30重量%、無機
充填剤として炭酸カルシウム10重量%、着色顔料とし
て弁柄とカーボンブラックを5重量%、を添加したブレ
ンド物をカレンダー製膜法によって製膜し、厚さ100
μmの不透明な着色POシートを得た。前記着色POシ
ートからなるシート基材11aの表面に、図5(a)に
示すように、ウレタン系2液硬化型プライマー液(昭和
インク工業(株)製)を塗布してプライマー層16を形
成後、その上に、塩化ビニル・酢酸ビニル系インキ(昭
和インク工業(株)製) を用いて、柾目柄をグラビア印
刷して絵柄層15を設けた。
【0070】次に、前記シート基材11aの絵柄層12
上に、図5(b)に示すように、実施例1と同様に、紫
外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、酸化防止
剤、無機系抗菌剤を含有するランダムポリプロピレンを
用いて、エクストルージョン法によりラミネートし、厚
さ20μmの抗菌性PO層12を形成して抗菌性化粧シ
ート1を作製した。
【0071】(実施例3)実施例2と同様に、図5
(a)に示すように、厚さ100μmの不透明な着色P
Oシートに柾目柄をグラビア印刷して絵柄層15を設け
て印刷シートを作製した。次に、 実施例1と同じラン
ダムポリプロピレンを用い、これに有機系抗菌剤とし
て、10,10′ーオキシビスフェノキシアルシンを主
成分とするバイナジンSB−1PR(モートン・インタ
ーナショナル社製)3重量%、及び実施例1と同様に、
紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、酸化防止
剤を添加し、この樹脂を用いて、実施例2と同様に、前
記シート基材11aの絵柄層12上に、エクストルージ
ョン法によりラミネートし、厚さ30μmの抗菌性PO
層12を形成して、図5(b)に示すような抗菌性化粧
シート1を作製した。
【0072】(実施例4)実施例1と同じランダムポリ
プロピレンを用い、これに実施例3で用いた有機系抗菌
剤3重量%、及び実施例1と同様に、紫外線吸収剤、ヒ
ンダードアミン系光安定剤、酸化防止剤を添加し、この
樹脂を用いて公知のTダイ法により厚さ30μmのフィ
ルムを作製し、図6(a)に示すように、拡散性の速い
抗菌剤13bを含有する中間抗菌性PO層12bとし
た。次いで、この中間抗菌性PO層12bに、図6
(a)に示すように、実施例2と同様に、プライマー層
16を形成後、絵柄層15を設けた。
【0073】次に、中間抗菌性PO層12bの絵柄層1
5上に、実施例1と同様に、無機系抗菌剤、紫外線吸収
剤、ヒンダードアミン系光安定剤、酸化防止剤を添加し
たランダムポリプロピレンを用いて、エクストルージョ
ン法によりラミネートし、図6(b)に示すように、拡
散性の遅い抗菌剤13aを含有する表面抗菌性PO層1
2aを形成して抗菌性PO積層シート2を作製した。更
に、この抗菌性PO積層シート2の中間抗菌性PO層1
2b側に、図6(c)に示すように、ウレタン系接着剤
(大日精化工業(株)製)を塗布して接着剤層14を形
成し、その接着剤層14を介して実施例1で用いた含浸
紙からなる基材11に接着して抗菌剤性化粧シート1を
得た。
【0074】(比較例)抗菌剤を添加しないで、実施例
1、2、3、4と同様に化粧シートを作製して、抗菌性
能のない化粧シートとして比較例1、2、3、4を得
た。また、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤を添加
しないで、実施例1、2、3、4と同様に作製して、比
較例5、6、7、8とした。
【0075】(抗菌性試験)上記実施例1、2、3、4
で作製した抗菌性化粧シート及び比較例1、2、3、4
で作製した化粧シートについて下記の方法で細菌に対す
る抑制効果を試験した。 試験菌株 ・エッシェリシア・コリ(Escherichia coli IFO 3301)
(大腸菌、以下 E.coliとする) ・メチシリン レジスタント スタフィロコッカス・ア
ウレウス(Methicillin Resistant Staphylococcus aur
eus )(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、以下 MRSA と
する) 試験菌液の調製 普通ブイヨン培地(栄研化学(株)製)で35℃、16
〜20時間振盪培養した試験菌の培養液を滅菌リン酸緩
衝液で20,000倍に希釈して菌液とした。また、菌
液は別途生菌数を測定した。 抗菌性試験 検体(抗菌性化粧シートと抗菌剤性能のない化粧シー
ト)の抗菌性樹脂層面に菌液1mlを滴下し、25℃で
24時間保存後に菌数を測定して、検体の抗菌性能を判
定した。尚、対照試料としてシャーレに菌液1ml滴下
し、同様に試験した。 生菌数の測定 24時間保存した検体及び対照試料をSCDLP(Soy
Casein Digest Lecithin Polysorbate) 培地(日本製薬
(株)製)10mlで洗い出し、この洗い出し液につい
て標準寒天培地(栄研化学(株)製)を用いた混釈平板
培養法(35℃、2日間培養)により生菌数を測定し、
検体及び対照試料当たりの菌数を算出した。
【0076】試験結果は表1に示すとおりで、実施例で
作製した検体はいずれも殺菌効果が優れており、本発明
の抗菌性能を有する化粧シートの抗菌性能が実証でき
た。即ち、実施例1、2、3、4で作製した抗菌性化粧
シートにより、24時間後には、E.coliでは、初
期菌数1.2×105 個から30個に、MRSAでは、
初期菌数2.4×105 個から10以下に減少してお
り、E.coli及びMRSAに対する抗菌性化粧シー
トの殺菌率は99.99%以上である。これに対して、
抗菌剤を添加しない比較例1、2、3、4では、E.c
oli及びMRSAの24時間後の残存菌数は未だ、1
4 〜105 個も残存していた。従って、本発明の抗菌
性化粧シートは、殺菌効果が優れており、病院その他の
衛生的な環境を必要とする場所での各種備品に利用すれ
ば、細菌汚染の防止に有効な手段となり得ることが期待
できる。
【0077】
【表1】 *E.coli:Escherichia coli IFO 3301 *MRSA:Methicillin Resistant Staphylococcus aureus
【0078】(耐候性試験)実施例1、2、3及び比較
例5、6、7の試料をウエザオメーターで、100時間
暴露した後、各試料を上記と同様に、抗菌性試験を行っ
た。また、実施例4及び比較例8の試料については、暴
露時間を延長して300時間とし、暴露試験終了後7日
間経過後に、同様の抗菌性試験を行った。
【0079】試験結果は表2に示すとおりで、実施例で
作製した検体はいずれも紫外線に暴露試験後も殺菌効果
が殆ど変わらず優れた抗菌剤性能を示した。これに対し
て、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤を添加しない
抗菌性化粧シートは紫外線暴露により抗菌剤性能が低下
した。従って、抗菌剤と一緒に、紫外線吸収剤、光安定
剤、酸化防止剤を添加した本発明の抗菌性化粧シート
は、耐候性に優れており、長期間に亘ってその抗菌剤性
能を発揮することが期待できる。特に、実施例4に示す
ように、中間層に有機系抗菌剤を添加した抗菌性化粧シ
ートは、表面の抗菌剤がその性能を低下しても、中間層
の抗菌剤が表面にブリードアウトして抗菌性能を発揮す
るようになるため、紫外線による劣化を防止し、長期間
に亘って抗菌性能を持続させることができる。
【0080】
【表2】 *E.coli:Escherichia coli IFO 3301 *MRSA:Methicillin Resistant Staphylococcus aureus
【0081】
【発明の効果】本発明の抗菌性化粧シートは、透明なポ
リオレフィン系樹脂に、抗菌剤と一緒に、紫外線吸収
剤、ヒンダードアミン系光安定剤、酸化防止剤を添加し
て抗菌性ポリオレフィン樹脂層(抗菌性PO層)を形成
したので、抗菌性PO層に含有される抗菌剤が紫外線に
よる劣化が防止され、化粧シートの抗菌性能が長期間に
亘って持続できるようになる。また、抗菌性を有するP
O層を二重にし、表面層の他に、紫外線の影響を受けな
い基材層側の中間層にも抗菌剤を添加し、その中間層に
添加する抗菌剤として、透明オレフィン系樹脂層の中を
自由に移動し、表面のPO樹脂層にブリードアウトして
抗菌性能を発揮できるものを選定することにより、抗菌
性化粧シート表面が更に長期間に亘って抗菌作用を持続
するようになる。即ち、上記ように抗菌性樹脂層を2層
構造にすることにより、化粧シートを紫外線に暴露した
場合、表面層の抗菌性PO層(表面抗菌性PO層)は紫
外線の影響を受けやすいので、その中に存在する抗菌剤
が紫外線の作用により抗菌性能を低下するが、紫外線の
影響を受けない基材側の抗菌性PO層(中間抗菌性PO
層)に存在する抗菌剤が、化粧シートの表面にブリード
アウトして、常に、抗菌性能を有する抗菌剤が補充され
るので、抗菌性化粧シートの表面は長期間に亘って抗菌
性能を持続するようになる。
【0082】本発明の抗菌性化粧シートは、プラスチッ
ク、紙、木材、金属板、無機系素材等あらゆる被着体に
貼付することによりその表面に抗菌性能を付与すること
ができるので、室内水回り関係や高温多湿の場所及び病
院その他衛生的な環境を必要とする場所で使用される各
種備品(電気製品、キャビネット、各種器具等)に対
し、抗菌性能を付与するには非常に有効な手段である。
例えば、本発明の抗菌性化粧シートを用いて化粧鋼板を
作製し、この化粧鋼板を、病院の間仕切り、衝立、手摺
等に利用した場合は、付着した細菌に対して殺菌作用を
示すので、室内を清潔に維持できると共に、各種細菌の
院内感染を防止することもできる。また、本発明の抗菌
性化粧シートを、既存の電気製品、キャビネット、各種
器具等に貼付することにより、長期間に亘って抗菌性能
を付与することができるので、細菌の汚染防止には非常
に経済的な方法となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の抗菌性化粧シートの一例で、抗菌性P
O層が1層の場合の模式断面図である。
【図2】本発明の抗菌性化粧シートの別の態様で、抗菌
性PO層が2層から構成されている場合の模式断面図で
ある。
【図3】抗菌性PO層が1層で、絵柄層を設けたときの
抗菌性化粧シートの模式断面図である。
【図4】抗菌性PO層が2層で、絵柄層を設けたときの
抗菌性化粧シートの模式断面図である。
【図5】抗菌性PO層が1層で、絵柄層を設けた抗菌性
化粧シートを作製するときの説明図である。
【図6】抗菌性PO層が2層で、絵柄層を設けた抗菌性
化粧シートを作製するときの説明図である。
【符号の説明】
1 抗菌性化粧シート 2 抗菌性PO積層シート 11 基材 11a シート基材 12 抗菌性PO層 12a 表面抗菌性PO層 12b 中間抗菌性PO層 13 抗菌剤 13a 拡散性の遅い抗菌剤 13b 拡散性の速い抗菌剤 14 接着剤層 15 絵柄層 16 プライマー層

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも基材層、透明オレフィン系樹
    脂層からなる化粧シートにおいて、該透明オレフィン系
    樹脂層が、少なくとも抗菌剤、紫外線吸収剤、ヒンダー
    ドアミン系光安定剤、酸化防止剤を含有し、且つその含
    有量が抗菌剤0.1〜10重量%、紫外線吸収剤0.3
    〜1重量%、ヒンダードアミン系光安定剤0.2〜0.
    7重量%、酸化防止剤0.01〜0.5重量%であるこ
    とを特徴とする抗菌性化粧シート。
  2. 【請求項2】 前記透明オレフィン系樹脂層が2層から
    なり、最表面の透明オレフィン系樹脂層に含有する抗菌
    剤が、該樹脂層に対して拡散速度の遅い抗菌剤であり、
    基材層側の透明オレフィン系樹脂層に含有する抗菌剤
    が、拡散速度の速い抗菌剤であることを特徴とする請求
    項1に記載の抗菌性化粧シート。
JP24353397A 1997-08-26 1997-08-26 抗菌性化粧シート Withdrawn JPH1158643A (ja)

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