JP2010052213A - 抗菌性を有する積層シート - Google Patents

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Abstract

【構成】熱可塑性樹脂からなる基材の少なくとも片面に表層材を積層してなるシートであって、前記表層材がポリカーボネート樹脂(A)100重量部、銀イオンを溶出するガラスを必須成分とする抗菌剤(B)0.5〜3.0重量部、酸化防止剤(C)0.05〜1.0重量部および紫外線吸収剤(D)0〜10.0重量部からなることを特徴とする抗菌性を有する積層シート。
【効果】本発明の抗菌性を有する積層シートは、色相の変化をもたらすことなく抗菌性を必要とする用途全般に好適に用いられる。そのため、意匠性ならびに快適・清潔・安全等の性能が求められる公衆のレジャー施設や乗り物、クリーンルーム、浴室、水回りの製品などに好適に用いられ、その実用上の利用価値は極めて高い。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱可塑性樹脂からなる基材に、特定の抗菌剤および酸化防止剤、ならびに所望によっては紫外線吸収剤、を含有するポリカーボネート樹脂組成物を表層材として積層することにより得られる、初期着色が少なくかつ熱安定性に優れた抗菌性を有する積層シートに関する。
熱可塑性樹脂のシートは、例えば、展示会でのディスプレイ用パネル、プールのトップライト、発券窓口、道路側壁板、棚板、階段等の手すりおよびパーテーションなどの建材分野に多く使用されており、その用途に応じて、それぞれ求められる要求性能を満足する樹脂シートが選択され使い分けがなされている。最近では、屋内や屋外に限らず、特に公衆の施設や乗り物、水回りの製品に対して、快適・清潔・安全につながる性能が求められている。
熱可塑性樹脂に抗菌性を付与するために、最終的な成形品に抗菌剤を塗布する以外に、一般的には、樹脂に有機または無機系の抗菌剤を予め混ぜ込む方法が採用されている。特に、安全性や熱安定性が優れていることから、無機系の抗菌剤が従来から使用されてきた。例えば、細菌に対して強い抗菌作用を示す銀や亜鉛などの金属イオンを担持させたゼオライト(特許文献1)や当該金属イオンを含有する溶解性ガラス(特許文献2および3)からなる抗菌剤が挙げられる。
また、樹脂に無機系の抗菌剤を練り込む場合には、樹脂全体に抗菌剤を分散させることになりコスト的に不利になるばかりか、最終シート製品の厚みが厚くなると過剰な抗菌剤の使用によりヘーズが高くなり、透明性が落ちるといった問題があった。その解決方法としては、抗菌剤を含む樹脂を表層材として積層するシートが幾つか提案されてきた。(特許文献4および5)
しかしながら、熱可塑性樹脂の押出成形においては、樹脂そのものの加工性や成形品の形状によって差はあるものの、成形加工温度が300℃近くの高温になる場合が多く、またシリンダーとダイの内部で滞留する時間が長いことから、かかる場合、溶解性ガラスとポリカーボネート樹脂が反応し、積層シートの透明性や熱安定性の低下をもたらし変色するという問題があった。
特開2002−105271号公報 特許第3293639号公報 特許第2135769号公報 特開2000−85070号公報 特許第2529574号公報
本発明者らは、上記の問題点、すなわち抗菌性を有する積層シートにおける変色の発生、透明性および熱安定性の低下を解決すべく鋭意研究した結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、熱可塑性樹脂からなる基材の少なくとも片面に表層材を積層してなるシートであって、前記表層材がポリカーボネート樹脂(A)100重量部、銀イオンを溶出するガラスを必須成分とする抗菌剤(B)0.5〜3.0重量部、酸化防止剤(C)0.05〜1.0重量部および紫外線吸収剤(D)0〜10.0重量部からなることを特徴とする抗菌性を有する積層シートを提供するものである。
本発明の抗菌性を有する積層シートは、色相の変化をもたらすことなく抗菌性を必要とする用途全般に好適に用いられる。そのため、意匠性ならびに快適・清潔・安全等の性能が求められる公衆のレジャー施設や乗り物、クリーンルーム、浴室、水回りの製品などに好適に用いられ、その実用上の利用価値は極めて高い。
本発明の表層材に使用されるポリカーボネート樹脂(A)とは、種々のジヒドロキシジアリール化合物とホスゲンとを反応させるホスゲン法、またはジヒドロキシジアリール化合物とジフェニルカーボネートなどの炭酸エステルとを反応させるエステル交換法によって得られる重合体であり、代表的なものとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)から製造されたポリカーボネート樹脂が挙げられる。
上記ジヒドロキシジアリール化合物としては、ビスフェノールAの他に、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3、5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパンのようなビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンのようなビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルエーテルのようなジヒドロキシジアリールエーテル類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィドのようなジヒドロキシジアリールスルフィド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルスルホキシドのようなジヒドロキシジアリールスルホキシド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルスルホンのようなジヒドロキシジアリールスルホン類等が挙げられる。これらは、単独または2種類以上混合して使用される。これらの他に、ピペラジン、ジピペリジルハイドロキノン、レゾルシン、4,4′−ジヒドロキシジフェニル等を混合して使用してもよい。
さらに、上記のジヒドロキシアリール化合物と以下に示すような3価以上のフェノール化合物を混合使用してもよい。3価以上のフェノールとしてはフロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプテン、2,4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン、1,3,5−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ベンゾール、1,1,1−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−エタンおよび2,2−ビス−[4,4−(4,4′−ジヒドロキシジフェニル)−シクロヘキシル]−プロパンなどが挙げられる。
表層材に使用されるポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量は、通常10000〜100000、好ましくは15000〜35000、さらに好ましくは17000〜28000である。かかるポリカーボネート樹脂を製造するに際し、分子量調節剤、触媒等を必要に応じて使用することができる。
本発明にて使用される銀イオンを溶出するガラスを必須成分とする抗菌剤(B)は、銀イオンを溶出しうるガラス組成物から構成される。とりわけ、その組成として、銀酸化物、リン酸化物、亜鉛酸化物を含み、形状が多面体であるものが好ましい。形状が多面体の場合、樹脂中で一定の方向に配向し易くなるため、樹脂中に均一かつ容易に混合分散することができ、より均一に抗菌性能が付与できるので好適である。
上記抗菌剤(B)のガラス組成物は、AgOを0.2〜5重量%、Pを30〜80重量%、ZnOを30〜50重量%の範囲からなるものが好ましく使用される。また、これにBを0.1〜15重量%および/またはCaOを0.1〜15重量%の範囲で含有させても良い。前者の場合は、銀イオンを安定して放出することができるととともに、ガラスの透明性を向上させることができる。後者の場合は透明性や機械的強度に優れたガラスを得ることができる。
CaOを含有させる場合には、ZnOに対するCaOの重量比率(ZnO/CaO)を1.1〜15の範囲内にするとより好ましい。
また、樹脂の透明性を保持するために、ガラス組成物の平均粒径を0.1〜300μmの範囲内にすることが好ましい。該抗菌性ガラスは市販品として容易に入手可能で、シナネンゼオミック社製KM10Dなどが挙げられる。
上記抗菌剤(B)の配合量としては、表層材のポリカーボネート樹脂(A)100重量部あたり0.5〜3.0重量部である。配合量が0.5重量部未満であると十分な抗菌効果が得られにくくなるため好ましくない。一方、3.0重量部を超えると初期着色性が損なわれるため好ましくない。より好ましくは、1.0〜2.5重量部の範囲である。
本発明にて使用される酸化防止剤(C)の種類は特に限定されないが、初期着色性の点からヒンダードフェノール系の酸化防止剤であることが好ましい。ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えば、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、チオジエチレン−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどが挙げられる。とりわけ、下記構造式に示される化合物が好適に用いられる。該酸化防止剤としてはチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製Irganox1076などが挙げられる。
Figure 2010052213
酸化防止剤(C)の配合量は、表層材のポリカーボネート樹脂(A)100重量部あたり0.05〜1.0重量部である。配合量が0.05重量部未満であると十分な酸化防止効果が得られず熱安定性に劣るため好ましくない。一方、1.0重量部を超えると成形加工中の滞留時に熱安定性が不十分となり、黄変するために好ましくない。より好ましくは、0.1〜0.8重量部である。
本発明にて使用される紫外線吸収剤(D)としては、特に限定されず、例えば、ベンゾフェノン系、ベンズオキサジン系、ベンゾトリアゾール系、フェニルトリアジン系、サリチル酸フェニルエステル系、シュウ酸アニリド系、マロン酸エステル系、シアノアクリル酸エステル系の化合物が挙げられる。熱安定性と低揮発性の点からとりわけベンゾトリアゾール系化合物が好適に使用される。該紫外線吸収剤は市販品として容易に入手可能で、クラリアントジャパン社製Tinuvin 234や同社製Tinuvin 329などが挙げられる。
紫外線吸収剤(D)の配合量は、表層材のポリカーボネート樹脂(A)100重量部あたり0〜10.0重量部である。配合量が10.0重量部を超えると昇華した紫外線吸収剤により、加工の際にロールが汚れる原因となり、好ましくない。より好ましくは、0.4〜8重量部である。
本発明の基材を構成する熱可塑性樹脂としては、限定されないが、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、メタクリレート・スチレン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体などのスチレン系共重合体、ポリエステル、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアミド、変性ポリフェニレンエーテル、ポリアリレート、シクロオレフィンポリマー、ポリカーボネートとポリエステルなどをブレンドしたポリマーアロイなどが挙げられる。このうち、ポリカーボネート樹脂を基材として使用すると、表層材と同じ樹脂からなる積層シートとなり、使用済み積層シートをポリカーボネート樹脂材料として再利用しやすくなることから好適である。
本発明の基材と表層材には、所望によっては、公知の各種添加剤、ポリマー材料などを添加することができる。例えば、長期間、光に暴露された際の樹脂成形品の変色を抑制するために、ヒンダードアミン系の耐光安定剤を、さらに、鮮やかな色調を得るために、ベンゾオキサゾール系の蛍光増白剤およびこれらを併用して添加してもよい。
また、難燃性が必要とされる場合、公知の各種難燃剤、例えば、テトラブロモビスフェノールAオリゴマーなどの臭素系難燃剤、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェートなどのモノリン酸エステル類、ビスフェノールAジホスフェート、レゾルシンジホスフェート、テトラキシレニルレゾルシンジホスフェートなどオリゴマータイプの縮合リン酸エステル類、ポリリン酸アンモニウムおよび赤燐などのリン系難燃剤、各種シリコーン系難燃剤、あるいは難燃性をより高めるために、芳香族スルホン酸の金属塩、パーフルオロアルカンスルホン酸の金属塩があげられ、好適には、4−メチル−N−(4−メチルフェニル)スルフォニル−ベンゼンスルフォンアミドのカリウム塩、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム、ジフェニルスルホン−3−3′−ジスルホン酸カリウム、パラトルエンスルホン酸ナトリウム、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム塩等などの有機金属塩なども添加することができる。これらの難燃剤の中でも、リン系難燃剤は、難燃性を向上させるばかりでなく、流動性をも向上させることができることから好適に用いることができる。
さらに、上記以外の公知の添加剤、例えば、滑剤[パラフィンワックス、n−ブチルステアレート、合成蜜蝋、天然蜜蝋、グリセリンモノエステル、モンタン酸ワックス、ポリエチレンワックス、ペンタエリスリトールテトラステアレート等]、着色剤[例えば酸化チタン、カーボンブラック、染料]、充填剤[炭酸カルシウム、クレー、シリカ、ガラス繊維、ガラス球、ガラスフレーク、カーボン繊維、タルク、マイカ、各種ウィスカー類等]、流動性改良剤、展着剤[エポキシ化大豆油、流動パラフィン等]、さらには他の熱可塑性樹脂や各種耐衝撃改良剤(ポリブタジエン、ポリアクリル酸エステル、エチレン・プロピレン系ゴム等のゴムに、メタアクリル酸エステル、スチレン、アクリロニトリル等の化合物をグラフト重合してなるゴム強化樹脂等が例示される。)を必要に応じて添加することができる。
本発明の表層材のペレットの作成方法については、各種配合成分を規定の配合量で計量し、タンブラー、リボンブレンダー、高速ミキサー等により一括混合した後、混合物を通常の一軸または二軸押出機を用いて溶融混練しペレット化させる方法、あるいは、各々の配合成分を別々に計量し、複数の供給装置から押出機内へ投入し溶融混合する方法、さらには、ポリカーボネート樹脂(A)に対して、所望により抗菌剤(B)、酸化防止剤(C)および/または紫外線吸収剤(D)を高濃度に配合し、一旦溶融混合してペレット化しマスターバッチとした後、当該添加剤のマスターバッチとポリカーボネート樹脂(A)を、所望の比率により混合することもできる。
そして、これらの配合成分を溶融混合する際の、押出機に投入する位置、押出温度、スクリュー回転数、供給量など、状況に応じて任意の条件が選択され、ペレット化することができる。
本発明の積層シートの作成方法については、基材用熱可塑性樹脂および上記で得られた表層材用の樹脂組成物ペレットをそれぞれ、2から3基の一軸又は二軸押出機で溶融混錬した後、共押出用ダイの基材フィードブロック及び表層材フィードブロックにそれぞれ供給し共押出成形シートを得る方法、または、基材用熱可塑性樹脂および上記で得られた表層材用の樹脂組成物ペレットをそれぞれ一軸又は二軸押出機で溶融混錬して単層用ダイにて単層シートを作製した後に、プレス成形により圧着して得る方法などがあげられる。
以下に、本発明を実施例をあげて説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、実施例中の「%」、「部」はそれぞれ重量基準に基づく。
本発明の表層材に使用した原材料は以下のとおりである。
ポリカーボネート樹脂:
住友ダウ社製 カリバー200−13
(粘度平均分子量:21500、以下PCと略記)
抗菌性ガラス:
シナネンゼオミック社製KM10D(以下、抗菌剤と略記)
酸化防止剤:
チバスペシャリティケミカルズ社製 Irganox 1076
(ヒンダードフェノール系酸化防止剤、以下AO−1と略記)
紫外線吸収剤:
チバスペシャリティケミカルズ社製 Tinuvin 329
(ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、以下UVAと略記)
(積層シートの作成方法)
前述の各種原料を表1〜2に示す表層材用ポリカーボネート樹脂組成物の配合比率にて、それぞれタンブラーに投入し、10分間乾式混合した後、2軸押出機(日本製鋼所社製TEX30α、軸直径=30mmφ、L/D=41))を用いて、溶融温度260℃にて混錬し、表層材用ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。得られた表層材用ポリカーボネート樹脂組成物のペレットをそれぞれ125℃×2時間の乾燥条件にて事前に乾燥を行った。
次に、基材用押出機(田辺プラスチック社製VS40単軸押出機(L/D=32、40Φ))に125℃×4時間の乾燥条件にて事前乾燥を行なった基材用熱可塑性樹脂のペレットを投入し、260℃の条件下で共押出用ダイの基材フィードブロックから供給した。当該熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネート樹脂(住友ダウ社製カリバー200−13、粘度平均分子量21500)を用いた。
同時に表層材用押出機(プラ技研社PEX-25-24型単軸押出機(L/D=24、25Φ))に事前乾燥した表層材用ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを投入し、260℃の条件下で表層材用のフィーダーから溶融押出を行い、積層シート(全厚み:2mm、表層材厚み:100μm)を得た。得られた積層シートを評価用に50×50mmに裁断した。
以下、本発明における各種評価項目及び測定方法について説明する。
1.初期着色性
裁断して得られた積層シート(50mm×50mm)を用いて、スペクトロフォトメーター(村上色彩研究所社製CMS−35SP)により、イエローネスインデックス(YI)をASTM D−1925に準拠して測定した。YIとは、照射前の黄味の程度を表し、YIが小さい程、黄味は小さく、初期着色が少ない。YIの評価基準としては、YIの値が7.0未満であるものを合格(○)、7.0以上であるものを不合格(×)とした。
2.熱安定性
上記の積層シートの作成方法のうち、表層材用押出機の温度設定を340℃に変更する以外は全て同じ操作を行い、熱安定性試験用の積層シート(全厚み:2mm、表層材厚み:100μm)を得た。得られた積層シートを評価用に50×50mmに裁断した。得られた積層シートを用いて、スペクトロフォトメーター(村上色彩研究所社製CMS−35SP)により、YIの変化(ΔYI)を測定した。ΔYIとは、表層材用のフィーダーの温度設定が260℃の際との黄味の程度の差を表し、ΔYIが小さい程、変色は小さく熱安定性に優れている。ΔYIの評価の基準としては、ΔYIの値が3.0未満であるものを合格(○)、3.0以上であるものを不合格(×)とした。
3.抗菌性
抗菌性試験はJIS Z 2801(フィルム密着法)に基づいて実施した。具体的には、裁断して得られた積層シート(50mm×50mm)の表層材側の表面に、大腸菌を10個含む菌液を滴下し、その上からPE製フィルムを密着させ、35℃で24時間放置後にPE製フィルム及び評価用積層シートの表層材側の表面に付着している菌体をSCDLP培地で洗い出し、シャーレに移して35℃で45時間培養後に、大腸菌の生菌数(y)をカウントした。なお、評価の基準は、本発明の抗菌剤(B)を含まないポリカーボネート樹脂組成物からなる表層材から得られた積層シートを用いてフィルム密着法によりカウントした大腸菌の生菌数をxとしたときに、log10(x/y)(以下、抗菌活性値と略記)が2.0以上であるものを合格(○)、2.0未満であるものを不合格(×)とした。
さらに、大腸菌を黄色ブドウ球菌に変更する以外は全て上記と同じ操作・条件で抗菌性試験を行い、抗菌活性値を求め、同様の基準で評価した。それぞれの結果を表1および表2に示す。
4.耐候性試験
裁断して得られた積層シート(50mm×50mm)を用いて、超促進耐候試験機アイスーパーUVテスター(岩崎電気社製SUV−W13)により、24時間照射した。その後、照射前後の試料をスペクトロフォトメーター(村上色彩研究所社製CMS−35SP)により、イエローネスインデックス(YI)をASTM D−1925に準拠して測定した。照射前後のYIの差(ΔYI)を求めた。ΔYIの評価の基準としては、ΔYIの値が5未満であるものを合格(○)、5以上であるものを不合格(×)とした。
5.総合判定
初期着色性、熱安定性および抗菌性、ならびに所望によっては耐候性の評価において、全て合格であるものを合格(○)そうでないものを不合格(×)とした。
Figure 2010052213
Figure 2010052213
表1に示すとおり、本発明の構成を満足する場合(実施例1〜6)には、全ての評価項目において十分な性能を有していた。
一方、表2に示すとおり、本発明の構成を満足しない場合(比較例1〜5)には、いずれの場合も何らかの欠点を有していた。
比較例1は、抗菌剤の配合量が規定量よりも少ない場合で、初期着色性および熱安定性は合格するものの、抗菌性が劣っていた。
比較例2は、抗菌剤の配合量が規定量よりも多い場合で、抗菌性は合格するものの、初期着色性および熱安定性が劣っていた。
比較例3は、酸化防止剤の配合量が規定量よりも多い場合で、初期着色性および抗菌性は合格するものの、熱安定性が劣っていた。
比較例4は、酸化防止剤の配合量が規定量よりも少ない場合で、初期着色性および抗菌性は合格するものの、熱安定性が劣っていた。
比較例5は、紫外線吸吸収剤の配合量が規定量よりも多い場合で、初期着色性、抗菌性および耐候性は合格するものの、熱安定性が劣っていた。

Claims (7)

  1. 熱可塑性樹脂からなる基材の少なくとも片面に表層材を積層してなるシートであって、前記表層材がポリカーボネート樹脂(A)100重量部、銀イオンを溶出するガラスを必須成分とする抗菌剤(B)0.5〜3.0重量部、酸化防止剤(C)0.05〜1.0重量部および紫外線吸収剤(D)0〜10.0重量部からなることを特徴とする抗菌性を有する積層シート。
  2. 抗菌剤(B)の必須成分である、銀イオンを溶出するガラスの形状が、多面体であることを特徴とする請求項1に記載の抗菌性を有する積層シート。
  3. 抗菌剤(B)の配合量が、表層材に使用されるポリカーボネート樹脂(A)100重量部あたり1.0〜2.5重量部であることを特徴とする請求項1に記載の抗菌性を有する積層シート。
  4. 酸化防止剤(C)の配合量が、表層材に使用されるポリカーボネート樹脂(A)100重量部あたり0.1〜0.8重量部であることを特徴とする請求項1に記載の抗菌性を有する積層シート。
  5. 酸化防止剤(C)が、ヒンダードフェノール系酸化防止剤であることを特徴とする請求項1に記載の抗菌性を有する積層シート。
  6. 前記ヒンダードフェノール系酸化防止剤が、下記構造式で示される化合物であることを特徴とする請求項5に記載の抗菌性を有する積層シート。
    Figure 2010052213
  7. 前記基材を構成する熱可塑性樹脂が、ポリカーボネート樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の抗菌性を有する積層シート。
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