JP5388326B2 - 抗菌性に優れた透明熱可塑性樹脂組成物およびそれからなる成形品 - Google Patents

抗菌性に優れた透明熱可塑性樹脂組成物およびそれからなる成形品 Download PDF

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Description

本発明は、透明な熱可塑性樹脂に、特定の抗菌剤および酸化防止剤を配合することにより、初期着色が少なく、かつ透明性と熱安定性に優れた抗菌性を有する透明熱可塑性樹脂組成物、ならびにそれからなる成形品に関する。さらに、当該樹脂組成物に紫外線吸収剤および所望によっては蛍光増白剤を配合することにより、上記諸特性に加えて耐光性にも優れた抗菌性を有する透明熱可塑性樹脂組成物、ならびにそれからなる成形品を提供するものである。
透明な熱可塑性樹脂は、光透過性を有することから電気・電子・OA、自動車などの分野において広範に使用されており、各分野ではそれぞれ求められる要求性能を満足する樹脂が選択され使い分けがなされている。最近では、冷蔵庫、掃除機などの家電製品、吊り輪などの雑貨に対して、快適・清潔・安全につながる性能が求められている。これらの諸性能を満足するために、一般的には、透明な熱可塑性樹脂に有機または無機系の抗菌剤が使用されている。
熱可塑性樹脂に抗菌性を付与するため、安全性や熱安定性が優れていることから、無機系の抗菌剤が従来から使用されていた。例えば、細菌に対して強い抗菌作用を示す銀や亜鉛などの金属イオンを担持させたゼオライト(特許文献1)や当該金属イオンを含有する溶解性ガラス(特許文献2および3)からなる抗菌剤が挙げられる。
また、非透湿構造の合成樹脂や高吸水性樹脂中に、銀イオンを放出する水溶性ガラスを含む抗菌性を有する合成樹脂成形体や、高吸水性樹脂体が開示されている(特許文献4および5)。
しかしながら、熱可塑性樹脂の成形加工温度は成型品の形状や使用する樹脂によって差はあるものの400℃近くの高温になる場合があることから、かかる場合、溶解性ガラスと透明性樹脂が反応し透明性や熱安定性の低下をもたらすという問題があった。
登録3293639 登録2135769 特開平7−25635号公報 特開平1−313531号公報 特開平1−153748号公報
本発明の課題は、初期着色が少なく、透明性と熱安定性に優れ、かつ抗菌性を有する熱可塑性樹脂組成物、ならびにそれからなる成形品を提供することにある。また、これらの諸特性に加えて耐光性にも優れた抗菌性を有する透明熱可塑性樹脂組成物、ならびにそれからなる成形品を提供するものである。
すなわち、本発明の第一の態様は、透明な熱可塑性樹脂(A)100重量部、銀イオンを溶出するガラスを必須成分とする抗菌剤(B)0.05〜1.5重量部およびヒンダードフェノール系酸化防止剤(C)0.05〜1.0重量部からなることを特徴とする抗菌性に優れた透明熱可塑性樹脂組成物、ならびにそれからなる成形品を提供するものである。
また、本発明の第二の態様は、透明な熱可塑性樹脂(A)100重量部、銀イオンを溶出するガラスを必須成分とする抗菌剤(B)0.05〜1.5重量部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(C)0.05〜1.0重量部、紫外線吸収剤(D)0.05〜1.0重量部および蛍光増白剤(E)0〜0.1重量部からなることを特徴とする抗菌性に優れた透明熱可塑性樹脂組成物、ならびにそれからなる成形品を提供するものである。
本発明の抗菌性を有する透明熱可塑性樹脂組成物から得られる成形品は、色相の変化や透明性不良をもたらすことなく抗菌性を必要とする用途全般に好適に用いられる。そのため、視認性や意匠性ならびに快適・清潔・安全等の機能が求められる家電製品、文房具などの構成部品に好適に用いられ、その実用上の利用価値は極めて高い。
本発明に使用される透明な熱可塑性樹脂(A)とは、ポリカーボネート樹脂をいう
前記ポリカーボネート樹脂とは、種々のジヒドロキシジアリール化合物とホスゲンとを反応させるホスゲン法、またはジヒドロキシジアリール化合物とジフェニルカーボネートなどの炭酸エステルとを反応させるエステル交換法によって得られる重合体であり、代表的なものとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)から製造されたポリカーボネート樹脂が挙げられる。
上記ジヒドロキシジアリール化合物としては、ビスフェノールAの他に、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3、5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパンのようなビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンのようなビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルエーテルのようなジヒドロキシジアリールエーテル類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィドのようなジヒドロキシジアリールスルフィド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルスルホキシドのようなジヒドロキシジアリールスルホキシド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルスルホンのようなジヒドロキシジアリールスルホン類等が挙げられる。これらは、単独または2種類以上混合して使用される。これらの他に、ピペラジン、ジピペリジルハイドロキノン、レゾルシン、4,4′−ジヒドロキシジフェニル等を混合して使用してもよい。
さらに、上記のジヒドロキシアリール化合物と以下に示すような3価以上のフェノール化合物を混合使用してもよい。3価以上のフェノールとしてはフロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプテン、2,4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン、1,3,5−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ベンゾール、1,1,1−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−エタンおよび2,2−ビス−[4,4−(4,4′−ジヒドロキシジフェニル)−シクロヘキシル]−プロパンなどが挙げられる。
ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、通常10000〜100000、好ましくは15000〜35000、さらに好ましくは17000〜28000である。かかるポリカーボネート樹脂を製造するに際し、分子量調節剤、触媒等を必要に応じて使用することができる。
本発明にて使用される銀イオンを溶出するガラスを必須成分とする抗菌剤(B)は、銀イオンを溶出しうるガラス組成物から構成される。とりわけ、その組成として、銀酸化物、リン酸化物、亜鉛酸化物を含み、形状が多面体であるものが好ましい。形状が多面体の場合、樹脂中で一定の方向に配向し易くなるため、樹脂中に均一かつ容易に混合分散することができ、光の散乱が抑えられることから、透明性に優れるので好適である。
上記抗菌剤(B)のガラス組成物は、AgOを0.2〜5重量%、Pを30〜80重量%、ZnOを30〜50重量%の範囲からなるものが好ましく使用される。また、これにBを0.1〜15重量%および/またはCaOを0.1〜15重量%の範囲で含有させても良い。前者の場合は、銀イオンを安定して放出することができるととともに、ガラスの透明性を向上させることができる。後者の場合は透明性や機械的強度に優れたガラスを得ることができる。
CaOを含有させる場合には、ZnOに対するCaOの重量比率(ZnO/CaO)を1.1〜15の範囲内にするとより好ましい。
また、樹脂の透明性を保持するために、ガラス組成物の平均粒径を0.1〜300μmの範囲内にすることが好ましい。該抗菌性ガラスは市販品として容易に入手可能で、シナネンゼオミック社製KM10Dなどが挙げられる。
上記抗菌剤(B)の配合量としては、透明な熱可塑性樹脂(A)100重量部あたり0.05〜1.5重量部である。配合量が0.05重量部未満であると十分な抗菌効果が得られにくくなるため好ましくない。一方、1.5重量部を超えると初期着色性と透明性が損なわれるため好ましくない。より好ましくは、0.1〜1.0重量部の範囲である。
本発明にて使用されるヒンダードフェノール系酸化防止剤(C)としては、下記構造式に示される化合物が好適に用いられる。該酸化防止剤(C)としてはチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製Irganox1076などが挙げられる。

Figure 0005388326
ヒンダードフェノール系酸化防止剤(C)の配合量は、透明な熱可塑性樹脂(A)100重量部あたり0.05〜1.0重量部である。配合量が0.05重量部未満であると十分な酸化防止効果が得られず熱安定性に劣るため好ましくない。一方、1.0重量部を超えると成形加工中の滞留時に熱安定性が不十分となり、黄変するために好ましくない。より好ましくは、0.1〜0.8重量部である。
本発明にて使用される紫外線吸収剤(D)としては、特に限定されないが、最大吸収波長が350nm以下の化合物が好ましく、更に好ましくは最大吸収波長が320nm以下の化合物が挙げられる。鮮やかな色調を得るために、本発明では所望によっては蛍光増白剤(D)を使用するが、一般的に蛍光増白剤の最大吸収波長は、多くの場合、350〜390nmに位置する。そのため、同じ領域に吸収波長を有する紫外線吸収剤を用いると、蛍光増白剤によるエネルギーの吸収と蛍光の効果が得られにくくなることがある。最大吸収波長が320nm以下である紫外線吸収剤としては、例えば、シアノアクリル酸エステルを基本構造とした化合物や、オキサニリド骨格を基本構造とした化合物が挙げられる。該紫外線吸収剤は市販品として容易に入手可能で、BASF社製Uvinul 3030やクラリアントジャパン社製Sanduvor VSUなどが挙げられる。
紫外線吸収剤(D)の配合量は透明な熱可塑性樹脂(A)100重量部あたり0.05〜1.0重量部である。配合量が0.05重量部未満であると十分な耐光性が得られにくくなるため好ましくない。一方、配合量が1.0重量部を超えると熱安定性が悪化するので好ましくない。より好ましくは0.1〜0.8重量部の範囲である。
本発明にて使用される蛍光増白剤(E)としては、例えば、スチルベン系化合物、ベンズイミダゾール系化合物、ベンズオキサゾール系化合物、ナフタルイミド系化合物、ローダミン系化合物、クマリン系化合物及びオキサジン系化合物等が挙げられる。該蛍光増白剤は、1種もしくは2種以上を組み合わせて用いることができる。該蛍光増白剤は、市販品を使用することができ、市販品としては、例えば、Blamkophor(バイエル(株)製、商品名)、Hakkol(昭和化学(株)製、商品名)、Hostarux、Leucophor(クライアントジャパン(株)製、商品名)、HOSTALUX KSN(クライアントジャパン(株)製、商品名)、Illuminarl(昭和化工(株)製、商品名)、Kayaphor(日本化薬(株)製、商品名)、Kaycoll(日本曹達(株)製、商品名)、Mikawhite(日本化薬(株)・三菱化学(株)製、商品名)、Mikephor(三井ビーエーエスエフ染料(株)、商品名)、Nikkabright((株)日本化学工業所製、商品名)、Tasphor(バイエル(株)製、商品名)、Whitex(住友化学(株)、商品名)等である。このうち、HOSTALUX KSN(クライアントジャパン(株)製、商品名)が好適に使用できる。
蛍光増白剤(E)の配合量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0〜0.1重量部であり、より好ましくは0.00005〜0.01重量部である。蛍光増白剤(E)の配合量が0.1重量部を超えると色ムラが発生したり、熱安定性が低下するため好ましくない。
また、難燃性が必要とされる場合、公知の各種難燃剤、例えば、テトラブロモビスフェノールAオリゴマーなどの臭素系難燃剤、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェートなどのモノリン酸エステル類、ビスフェノールAジホスフェート、レゾルシンジホスフェート、テトラキシレニルレゾルシンジホスフェートなどオリゴマータイプの縮合リン酸エステル類、ポリリン酸アンモニウムおよび赤燐などのリン系難燃剤、各種シリコーン系難燃剤、あるいは難燃性をより高めるために、芳香族スルホン酸の金属塩、パーフルオロアルカンスルホン酸の金属塩があげられ、好適には、4−メチル−N−(4−メチルフェニル)スルフォニル−ベンゼンスルフォンアミドのカリウム塩、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム、ジフェニルスルホン−3−3′−ジスルホン酸カリウム、パラトルエンスルホン酸ナトリウム、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム塩等などの有機金属塩なども添加することができる。これらの難燃剤の中でも、リン系難燃剤は、難燃性を向上させるばかりでなく、流動性をも向上させることができることから好適に用いることができる。
本発明の抗菌性に優れた透明熱可塑性樹脂組成物には、上記以外の公知の添加剤、例えば、滑剤[パラフィンワックス、n−ブチルステアレート、合成蜜蝋、天然蜜蝋、グリセリンモノエステル、モンタン酸ワックス、ポリエチレンワックス、ペンタエリスリトールテトラステアレート等]、着色剤[例えば酸化チタン、カーボンブラック、染料]、充填剤[炭酸カルシウム、クレー、シリカ、ガラス繊維、ガラス球、ガラスフレーク、カーボン繊維、タルク、マイカ、各種ウィスカー類等]、流動性改良剤、展着剤[エポキシ化大豆油、流動パラフィン等]、さらには他の熱可塑性樹脂や各種耐衝撃改良剤(ポリブタジエン、ポリアクリル酸エステル、エチレン・プロピレン系ゴム等のゴムに、メタアクリル酸エステル、スチレン、アクリロニトリル等の化合物をグラフト重合してなるゴム強化樹脂等が例示される。)を必要に応じて添加することができる。
本発明の構成成分(A)、(B)、(C)、(D)、(E)の配合方法については特に制限はないが、例えば、タンブラー、リボンブレンダー、高速ミキサー等により一括混合した後、混合物を通常の一軸または二軸押出機を用いて溶融混練しペレット化させる方法、あるいは、各々の成分を別々に計量し、複数の供給装置から押出機内へ投入し溶融混合する方法、さらには、(A)に(B)、(C)、(D)および(E)を高濃度に配合し、一旦溶融混合してペレット化しマスターバッチとした後、当該マスターバッチと(A)を、所望の比率により混合することもできる。そして、これらの成分を溶融混合する際の、押出機に投入する位置、押出温度、スクリュー回転数、供給量など、状況に応じて任意の条件が選択され、ペレット化することができる。また、該マスターバッチと(A)とを、所望の比率により乾式混合後、射出成形装置やシート押出機装置に直接投入し、成形品とすることも可能である。
以下に、本発明を実施例をあげて説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、実施例中の「%」、「部」はそれぞれ重量基準に基づく。
使用した原材料は以下のとおりである。
ポリカーボネート樹脂:
住友ダウ社製 カリバー200−13
(粘度平均分子量:21500、以下PCと略記)
抗菌性ガラス:
シナネンゼオミック社製KM10D(以下、抗菌剤と略記)
酸化防止剤:
チバスペシャリティケミカルズ社製 Irganox 1076
(ヒンダードフェノール系酸化防止剤、以下AO−1と略記)
クラリアントジャパン社製 Sandstab PEPQ
(リン系酸化防止剤、以下AO−2と略記)
前述の各種原料を表1〜2に示す配合比率にて、それぞれタンブラーに投入し、10分間乾式混合した後、2軸押出機(日本製鋼所社製TEX30α、軸直径=30mmφ、L/D=41)を用いて、溶融温度250℃にて混錬し、評価用のペレットを得た。
得られたペレットをそれぞれ120℃×4時間の条件にて事前に乾燥を行った後、射出成形機(日本製鋼所製J100E2P)を用い、シリンダー設定温度270℃の条件にて縦50mm、横50mm、厚み2mmの平板試験片を作成した。
以下、本発明における各種評価項目及び測定方法について説明する。
1.初期着色性
得られた平板試験片を用いて、スペクトロフォトメーター(村上色彩技術研究所製CMS−35SP)により、イエローネスインデックス(YI)をASTM D−1925に準拠して測定した。YIとは、黄味の程度を表し、YIが小さい程、黄味は小さく、初期着色が少ない。YIの評価基準としては、YIの値が8.5未満であるものを合格(○)、8.5以上であるものを不合格(×)とした。
2.熱安定性
得られたペレットをそれぞれ120℃×4時間の条件にて事前に乾燥を行った後、射出成形機(日本製鋼所製J100E2P)を用いて、シリンダー設定温度320℃の条件にて15分間滞留前後の平板試験片(縦50mm、横50mm、厚み2mm)を作成後、スペクトロフォトメーター(村上色彩研究所社製CMS−35SP)により、YIの変化(△YI)を測定した。△YIとは、滞留前後の黄味の程度の差を表し、△YIが小さい程、変色は小さく熱安定性に優れている。△YIの評価の基準としては、△YIの値が2.0未満であるものを合格(○)、2.0以上であるものを不合格(×)とした。
3.透明性
初期着色性の評価と同様の条件(シリンダー設定温度270℃)で得られた平板試験片を用いて、ヘーズメーター(村上色彩研究所社製HM−150)により、ヘイズを測定した。評価の基準としては、ヘイズの値が7.0未満であるものを合格(○)、7.0以上であるものを不合格(×)とした。
4.抗菌性
抗菌性試験はJIS Z 2801(フィルム密着法)に基づいて実施した。具体的には、初期着色性の評価と同様の条件(シリンダー設定温度270℃)で得られた平板試験片の表面に、大腸菌を10個含む菌液を滴下し、その上からPE製フィルムを密着させ、35℃で24時間放置後にPE製フィルム及び平板試験片に付着している菌体をSCDLP培地で洗い出し、シャーレに移して35℃で45時間培養後に、大腸菌の生菌数(y)をカウントした。なお、評価の基準は、本発明の抗菌剤(B)を含まない樹脂組成物からなる平板試験片を用いてフィルム密着法によりカウントした大腸菌の生菌数をxとしたときに、log10(x/y)(以下、抗菌活性値と略記)が2.0以上であるものを合格(○)、2.0未満であるものを不合格(×)とした。
さらに、大腸菌を黄色ブドウ球菌に変更する以外は全て上記と同じ操作・条件で抗菌性試験を行い、抗菌活性値を求め、同様の基準で評価した。それぞれの結果を表1および表2に示す。
5.総合判定
初期着色性、熱安定性、ヘイズおよび抗菌性の評価において、全て合格であるものを合格(○)そうでないものを不合格(×)とした。
Figure 0005388326
Figure 0005388326
表1に示すとおり、本発明の構成を満足する場合(実施例1〜5)には、全ての評価項目において十分な性能を有していた。
一方、表2に示すとおり、本発明の構成を満足しない場合(比較例1〜5)には、いずれの場合も何らかの欠点を有していた。
比較例1は、抗菌剤の配合量が規定量よりも少ない場合で、初期着色性、熱安定性および透明性は合格するものの、抗菌性が劣っていた。
比較例2は、抗菌剤の配合量が規定量よりも多い場合で、抗菌性は合格するものの、初期着色性、熱安定性および透明性が劣っていた。
比較例3は、ヒンダードフェノール系酸化防止剤の配合量が規定量よりも多い場合で、初期着色性、透明性および抗菌性は合格するものの、熱安定性が劣っていた。
比較例4は、ヒンダードフェノール系酸化防止剤以外の酸化防止剤を用いた場合で、抗菌性は合格するものの、初期着色性、熱安定性および透明性が劣っていた。
比較例5は、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を配合しない場合で、初期着色性、透明性および抗菌性は合格するものの、熱安定性が劣っていた。
実施例1の樹脂組成物に、紫外線吸収剤および蛍光増白剤を表3に示す配合比率で追加配合する以外は全て実施例1と同じ操作を行い、各種樹脂組成物のペレットを得た。また、実施例1と同様に得られたペレットを用いて評価用の平板試験片を作成した。使用した紫外線吸収剤および蛍光増白剤は以下のとおりである。
紫外線吸収剤:
クラリアントジャパン社製 Sanduvor VSU
(シュウ酸アニリド系紫外線吸収剤、以下UVAと略記)
蛍光増白剤:
クラリアントジャパン社製 HOSTALUX KSN(以下、FWAと略記)
また、追加の評価項目および測定方法は以下のとおりである。
7.耐光性
得られた平板試験片を用いて、超促進耐候試験機アイスーパーUVテスター(岩崎電気社製SUV−W13)により、6時間照射した。その後、照射前後の試料をスペクトロフォトメーター(村上色彩研究所社製CMS−35SP)により、イエローネスインデックス(YI)をASTM D−1925に準拠して測定した。照射前後のYIの差(ΔYI)を求めた。ΔYIの評価の基準としては、ΔYIの値が5未満であるものを合格(○)、5以上であるものを不合格(×)とした。
8.青味の測定
得られた平板試験片を用いて、スペクトロフォトメーター(村上色彩研究所社製CMS−35SP)により、b*を測定した。b*とは、黄色から青色の程度を表し、b*が小さい程、黄味が少なくなり、青味が強くなる。
9.総合判定
初期着色性、耐光性、熱安定性、ヘイズおよび抗菌性の評価において、全て合格であるものを合格(○)そうでないものを不合格(×)とした。また、蛍光増白剤を添加した場合の青味の評価も実施した。結果を表3に示した。
Figure 0005388326
表3に示すとおり、本発明の構成を満足する場合(実施例6〜8)には、全ての評価項目において十分な性能を有していた。
一方、本発明の構成を満足しない場合(比較例6および比較例7)には、いずれの場合も何らかの欠点を有していた。
比較例6は、紫外線吸収剤の配合量が規定量よりも少ない場合で、初期着色性、熱安定性、透明性および抗菌性は合格するものの、耐光性が劣っていた。
比較例7は、紫外線吸収剤の配合量が規定量よりも多い場合で、初期着色性、耐光性、透明性および抗菌性は合格するものの、熱安定性が劣っていた。

Claims (7)

  1. 透明な熱可塑性樹脂(A)100重量部、銀イオンを溶出するガラスを必須成分とする抗菌剤(B)0.05〜1.5重量部およびヒンダードフェノール系酸化防止剤(C)0.05〜1.0重量部からなる樹脂組成物であって、当該透明な熱可塑性樹脂(A)がポリカーボネート樹脂であり、当該抗菌剤(B)のガラスがAgOを0.2〜5重量%、Pを30〜80重量%、ZnOを30〜50重量%の範囲からなる組成物であるか、またはこれにBを0.1〜15重量%および/またはCaOを0.1〜15重量%の範囲で含有させた組成物であり、かつ当該ヒンダードフェノール系酸化防止剤(C)が下記構造式で示される化合物であることを特徴とする抗菌性に優れた透明熱可塑性樹脂組成物。
    Figure 0005388326
  2. 透明な熱可塑性樹脂(A)100重量部、銀イオンを溶出するガラスを必須成分とする抗菌剤(B)0.05〜1.5重量部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(C)0.05〜1.0重量部、紫外線吸収剤(D)0.05〜1.0重量部および蛍光増白剤(E)0〜0.1重量部からなる樹脂組成物であって、当該透明な熱可塑性樹脂(A)がポリカーボネート樹脂であり、当該抗菌剤(B)のガラスがAgOを0.2〜5重量%、Pを30〜80重量%、ZnOを30〜50重量%の範囲からなる組成物であるか、またはこれにBを0.1〜15重量%および/またはCaOを0.1〜15重量%の範囲で含有させた組成物であり、かつ当該ヒンダードフェノール系酸化防止剤(C)が下記構造式で示される化合物であることを特徴とする抗菌性に優れた透明熱可塑性樹脂組成物。
    Figure 0005388326
  3. 前記抗菌剤(B)に含まれる銀イオンを溶出するガラスの形状が、多面体であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の抗菌性に優れた透明熱可塑性樹脂組成物。
  4. 前記抗菌剤(B)の配合量が、透明な熱可塑性樹脂(A)100重量部あたり0.1〜1.0重量部であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の抗菌性に優れた透明熱可塑性樹脂組成物。
  5. 前記ヒンダードフェノール系酸化防止剤(C)の配合量が、透明な熱可塑性樹脂(A)100重量部あたり0.1〜0.8重量部であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の抗菌性に優れた透明熱可塑性樹脂組成物。
  6. 前記紫外線吸収剤(D)の配合量が、透明な熱可塑性樹脂(A)100重量部あたり0.1〜0.8重量部であることを特徴とする請求項2に記載の抗菌性に優れた透明熱可塑性樹脂組成物。
  7. 請求項1〜請求項の何れか一項に記載の抗菌性を有する透明熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品。
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