JP5213267B2 - 抗菌性に優れた熱可塑性樹脂組成物およびそれからなる成形品 - Google Patents

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本発明は、ポリカーボネート樹脂およびゴム強化スチレン系樹脂からなる樹脂成分に、特定の抗菌剤および酸化防止剤を配合することにより、熱安定性に優れた抗菌性熱可塑性樹脂組成物ならびにそれからなる成形品に関する。
ポリカーボネート樹脂とこれにアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS樹脂)等のゴム強化スチレン系樹脂をブレンドしたポリマーブレンドは、自動車、電気・電子、OA等の分野における数多くの製品に広く使用されている。最近では、パブリックユースやプライベートユースに関わらず、家電製品や雑貨などの我々の身のまわりの製品に対しては、快適・清潔・安全につながる性能が求められており、これらの諸性能を満足するために、一般的には、熱可塑性樹脂に有機または無機系の抗菌剤が使用されている。
安全性や熱安定性が優れていることから、熱可塑性樹脂に抗菌性を付与するために無機系の抗菌剤が従来から多く採用されてきた。例えば、細菌に対して強い抗菌作用を示す銀や亜鉛などの金属イオンを担持させたゼオライト(特許文献1)や当該金属イオンを含有する溶解性ガラス(特許文献2および3)からなる抗菌剤が挙げられる。
しかしながら、熱可塑性樹脂の成形加工温度は成型品の形状や使用する樹脂によって差はあるものの400℃近くの高温になる場合があることから、かかる場合、溶解性ガラスと樹脂が反応し、熱安定性の低下をもたらすという問題があった。
特許第3293639号公報 特許第2135769号公報 特開平7−25635号公報
本発明の課題は、熱安定性に優れた抗菌性を有する熱可塑性樹脂組成物、ならびにそれからなる成形品を提供することにある。
すなわち、本発明は、ポリカーボネート樹脂(A)1〜99重量%およびゴム強化スチレン系樹脂(B)99〜1重量%からなり、前記(A)および(B)の合計量100重量部に対して、銀イオンを溶出するガラスを必須成分とする抗菌剤(C)0.05〜1.5重量部およびリン系酸化防止剤(D)0.05〜1.0重量部を配合してなることを特徴とする抗菌性に優れた熱可塑性樹脂組成物、ならびにそれからなる成形品を提供するものである。
本発明の抗菌性を有する熱可塑性樹脂組成物から得られる成形品は、成形加工の際の熱安定性の低下をもたらすことなく抗菌性を必要とする用途全般に好適に用いられる。そのため、快適・清潔・安全等の機能が求められる家電製品や雑貨などの身のまわりの製品の構成部品に好適に用いられ、その実用上の利用価値は極めて高い。
本発明に使用されるポリカーボネート樹脂(A)とは、種々のジヒドロキシジアリール化合物とホスゲンとを反応させるホスゲン法、またはジヒドロキシジアリール化合物とジフェニルカーボネートなどの炭酸エステルとを反応させるエステル交換法によって得られる重合体であり、代表的なものとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)から製造されたポリカーボネート樹脂が挙げられる。
上記ジヒドロキシジアリール化合物としては、ビスフェノールAの他に、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3、5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパンのようなビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンのようなビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルエーテルのようなジヒドロキシジアリールエーテル類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィドのようなジヒドロキシジアリールスルフィド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルスルホキシドのようなジヒドロキシジアリールスルホキシド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルスルホンのようなジヒドロキシジアリールスルホン類等が挙げられる。これらは、単独または2種類以上混合して使用される。これらの他に、ピペラジン、ジピペリジルハイドロキノン、レゾルシン、4,4′−ジヒドロキシジフェニル等を混合して使用してもよい。
さらに、上記のジヒドロキシアリール化合物と以下に示すような3価以上のフェノール化合物を混合使用してもよい。3価以上のフェノールとしてはフロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプテン、2,4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン、1,3,5−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ベンゾール、1,1,1−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−エタンおよび2,2−ビス−[4,4−(4,4′−ジヒドロキシジフェニル)−シクロヘキシル]−プロパンなどが挙げられる。
ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量は、通常10000〜100000、好ましくは15000〜35000、さらに好ましくは17000〜28000である。かかるポリカーボネート樹脂を製造するに際し、分子量調節剤、触媒等を必要に応じて使用することができる。
本発明にて使用されるゴム強化スチレン系樹脂(B)とは、芳香族ビニル単量体(a)成分、シアン化ビニル単量体(b)成分およびゴム質重合体(c)からなる共重合体(B−1)、あるいはこれと前記(a)および(b)の共重合体(B−2)とから構成されることを特徴とする樹脂である。好ましいゴム強化スチレン系樹脂(B)の例としては、ゴム質重合体(c)の存在下に(a)、(b)成分がグラフト共重合したグラフト共重合体を含むものが挙げられ、さらに好ましくは塊状重合によって作られるABS樹脂が挙げられる。
芳香族ビニル単量体(a)成分としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、o−、m−、p−メチルスチレン、ビニルキシレン、エチルスチレン、ビニルナフタレン等が挙げられ、これらを一種または二種以上使用することができる。好ましくはスチレンが使用される。
シアン化ビニル単量体(b)成分としては、例えばアクリロニトリル、メタアクリロニトリル等が挙げられ、これらを一種または二種以上使用することができる。好ましくは、アクリロニトリルが使用される。
ゴム質重合体(c)としては、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンのランダム共重合体またはブロック共重合体、当該ブロック共重合体の水素添加物、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、イソプレン−ブタジエン共重合体等のジエン系ゴム、エチレン−プロピレンのランダム共重合体またはブロック共重合体、ポリイソプレン、エチレンとα−オレフィンとの共重合体、エチレン−メタクリレ−ト、エチレン−ブチルアクリレ−トなどのエチレン−不飽和カルボン酸エステルとの共重合体、アクリル酸エステル−ブタジエン共重合体、ブチルアクリレ−ト−ブタジエン共重合体等のアクリル系弾性重合体、エチレン−酢酸ビニル等のエチレンと脂肪酸ビニルとの共重合体、エチレン−プロピレン−ヘキサジエン共重合体等のエチレン−プロピレン非共役ジエンタ−ポリマ−、ブチレン−イソブレン共重合体、塩素化ポリエチレン等が挙げられ、これらを一種または2種以上の組合せで使用することできる。好ましいゴム質重合体としては、ジエン系ゴム、エチレン−プロピレン非共役ジエンタ−ポリマ−およびアクリル系弾性重合体であり、特に好ましくはポリブタジエンおよびスチレン−ブタジエン共重合体である。
上記(a)、(b)、(c)の各成分の組成比には特に制限はなく、用途に応じて調整可能である。また、(B−1)共重合体には、上記の成分(a)、(b)、(c)の他に、これらの成分と共重合可能な単量体を本発明の目的を損なわない範囲で使用することができる。
そのような共重合可能な単量体としては、アクリル酸、メタアクリル酸などのα,β−不飽和カルボン酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等のα,β−不飽和カルボン酸エステル類;無水マレイン酸、無水イタコン酸等のα,β−不飽和ジカルボン酸無水物類;マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−o−クロロフェニルマレイミド等のα,β−不飽和ジカルボン酸のイミド化合物類;等を挙げることができ、これらの単量体は一種または二種以上で使用することができる。
(B−2)共重合体は、前述の芳香族ビニル単量体(a)成分およびシアン化ビニル単量体(b)成分から構成され、好適にはSAN樹脂(スチレン−アクリロニトリル共重合体)が使用される。(B−2)共重合体は、得られた熱可塑性樹脂組成物の成形性や流動性の改善に寄与する。
上記(a)、(b)の各成分の組成比には特に制限はなく、用途に応じて調整可能であるが、好ましくは、(B−2)共重合体を基準にして(a)成分が95〜50重量%、(b)成分が5〜50重量%であり、さらに好ましくは(a)が90〜65重量%、(b)が10〜35重量%である。また、(B−2)共重合体には、上記の成分(a)、(b)の他に、これらの成分と共重合可能な単量体を本発明の目的を損なわない範囲で使用することができる。
そのような共重合可能な単量体としては、アクリル酸、メタアクリル酸などのα,β−不飽和カルボン酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等のα,β−不飽和カルボン酸エステル類;無水マレイン酸、無水イタコン酸等のα,β−不飽和ジカルボン酸無水物類;マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−o−クロロフェニルマレイミド等のα,β−不飽和ジカルボン酸のイミド化合物類;等を挙げることができ、これらの単量体は一種または二種以上で使用することができる。
本発明にて使用される、銀イオンを溶出するガラスを必須成分とする抗菌剤(C)は、銀イオンを溶出しうるガラス組成物から構成される。とりわけ、その組成として、銀酸化物、リン酸化物、亜鉛酸化物を含み、形状が多面体であるものが好ましい。形状が多面体の場合、樹脂中で一定の方向に配向し易くなるため、樹脂中に均一かつ容易に混合分散することができることから、より均一に抗菌性能が付与できるので好適である。
上記抗菌剤(C)のガラス組成物は、AgOを0.2〜5重量%、Pを30〜80重量%、ZnOを30〜50重量%の範囲からなるものが好ましく使用される。また、これにBを0.1〜15重量%および/またはCaOを0.1〜15重量%の範囲で含有させても良い。前者の場合は、銀イオンを安定して放出することができるととともに、ガラスの透明性を向上させることができる。後者の場合は透明性や機械的強度に優れたガラスを得ることができる。
CaOを含有させる場合には、ZnOに対するCaOの重量比率(ZnO/CaO)を1.1〜15の範囲内にするとより好ましい。
また、樹脂への分散性を保持するために、ガラス組成物の平均粒径を0.1〜300μmの範囲内にすることが好ましい。該抗菌性ガラスは市販品として容易に入手可能で、シナネンゼオミック社製KM10Dなどが挙げられる。
上記抗菌剤(C)の配合量としては、ポリカーボネート樹脂(A)およびゴム強化スチレン系樹脂(B)の合計量100重量部あたり0.05〜1.5重量部である。配合量が0.05重量部未満であると十分な抗菌効果が得られにくくなるため好ましくない。一方、1.5重量部を超えると熱安定性が損なわれるため好ましくない。より好ましくは、0.1〜1.0重量部の範囲である。
本発明にて使用されるリン系酸化防止剤(D)としては、下記一般式1、2および3で表わされる化合物のうち1種またはそれ以上からなるものが挙げられる。
一般式1
Figure 0005213267
(一般式1において、R1〜4は炭素数1〜20のアルキル基、またはアルキル基で
置換されてもよいアリール基を示す。)
一般式2
Figure 0005213267
(一般式2において、R5、R6は炭素数1〜20のアルキル基、またはアルキル基で置換されてもよいアリール基を、a、bは整数0〜3を示す。)
一般式3
Figure 0005213267
(一般式3において、R7は炭素数1〜20のアルキル基、またはアルキル基で置換されてもよいアリール基を、cは0〜3の整数を示す。)
一般式1の化合物としてはクラリアントジャパン社製サンドスタブP−EPQが、一般式2の化合物としてはアデカ社製アデカスタブPEP−36が、また、一般式3の化合物としては住友化学社製スミライザーP−168が主成分として商業的に入手可能なものとして挙げられる。
リン系酸化防止剤(D)の配合量は、ポリカーボネート樹脂(A)およびゴム強化スチレン系樹脂(B)の合計量100重量部あたり0.05〜1.0重量部である。配合量が0.05重量部未満であると十分な酸化防止効果が得られず熱安定性に劣るため好ましくない。一方、1.0重量部を超えると成形加工中の滞留時に熱安定性が不十分となり、黄変するために好ましくない。より好ましくは、0.1〜0.8重量部である。
本発明の抗菌性に優れた熱可塑性樹脂組成物には、所望によっては公知の各種添加剤、ポリマー材料などを添加することができる。例えば、長期間、光に暴露された際の樹脂成形品の変色を抑制するために、ヒンダードアミン系の耐光安定剤を、さらに、鮮やかな色調を得るために、ベンゾオキサゾール系の蛍光増白剤およびこれらを併用して添加してもよい。
また、難燃性が必要とされる場合、公知の各種難燃剤、例えば、テトラブロモビスフェノールAオリゴマーなどの臭素系難燃剤、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェートなどのモノリン酸エステル類、ビスフェノールAジホスフェート、レゾルシンジホスフェート、テトラキシレニルレゾルシンジホスフェートなどオリゴマータイプの縮合リン酸エステル類、ポリリン酸アンモニウムおよび赤燐などのリン系難燃剤、各種シリコーン系難燃剤、あるいは難燃性をより高めるために、芳香族スルホン酸の金属塩、パーフルオロアルカンスルホン酸の金属塩があげられ、好適には、4−メチル−N−(4−メチルフェニル)スルフォニル−ベンゼンスルフォンアミドのカリウム塩、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム、ジフェニルスルホン−3−3′−ジスルホン酸カリウム、パラトルエンスルホン酸ナトリウム、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム塩等などの有機金属塩なども添加することができる。これらの難燃剤の中でも、リン系難燃剤は、難燃性を向上させるばかりでなく、流動性をも向上させることができることから好適に用いることができる。
さらに、上記以外の公知の添加剤、例えば、滑剤[パラフィンワックス、n−ブチルステアレート、合成蜜蝋、天然蜜蝋、グリセリンモノエステル、モンタン酸ワックス、ポリエチレンワックス、ペンタエリスリトールテトラステアレート等]、着色剤[例えば酸化チタン、カーボンブラック、染料]、充填剤[炭酸カルシウム、クレー、シリカ、ガラス繊維、ガラス球、ガラスフレーク、カーボン繊維、タルク、マイカ、各種ウィスカー類等]、流動性改良剤、展着剤[エポキシ化大豆油、流動パラフィン等]、さらには他の熱可塑性樹脂や各種耐衝撃改良剤(ポリブタジエン、ポリアクリル酸エステル、エチレン・プロピレン系ゴム等のゴムに、メタアクリル酸エステル、スチレン、アクリロニトリル等の化合物をグラフト重合してなるゴム強化樹脂等が例示される。)を必要に応じて添加することができる。
本発明の構成成分(A)、(B)、(C)および(D)の配合方法については特に制限はないが、例えば、タンブラー、リボンブレンダー、高速ミキサー等により一括混合した後、混合物を通常の一軸または二軸押出機を用いて溶融混練しペレット化させる方法、あるいは、各々の成分を別々に計量し、複数の供給装置から押出機内へ投入し溶融混合する方法、さらには、(A)または(B)に、(C)および(D)を高濃度に配合し、一旦溶融混合してペレット化しマスターバッチとした後、当該マスターバッチと(A)または(B)を、所望の比率により混合することもできる。そして、これらの成分を溶融混合する際の、押出機に投入する位置、押出温度、スクリュー回転数、供給量など、状況に応じて任意の条件が選択され、ペレット化することができる。また、該マスターバッチと(A)または(B)とを、所望の比率により乾式混合後、射出成形装置やシート押出機装置に直接投入し、成形品とすることも可能である。
以下に、本発明を実施例をあげて説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、実施例中の「%」、「部」はそれぞれ重量基準に基づく。
使用した原材料は以下のとおりである。
ポリカーボネート樹脂:
ビスフェノールAとホスゲンから合成されたポリカーボネート樹脂
(住友ダウ社製 カリバー200−20)
(粘度平均分子量:18600、以下PCと略記)
塊状重合法ABS樹脂:
日本エイアンドエル社製 サンタックAT07
(ゴム量:20%、以下ABSと略記)
抗菌性ガラス:
シナネンゼオミック社製 KM10D (以下抗菌剤と略記)
酸化防止剤:
クラリアントジャパン社製 Sandstab PEPQ
(リン系酸化防止剤、以下AO−1と略記)
チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製 Irganox 1010
(フェノール系酸化防止剤、以下AO−2と略記)
前述の各種原料を表1〜3に示す配合比率にて、それぞれタンブラーに投入し、10分間乾式混合した後、2軸押出機(神戸製鋼所社製KTX37、軸直径=37mmφ)を用いて、溶融温度240℃にて混錬し、評価用のペレットを得た。
得られたペレットをそれぞれ120℃×4時間の条件にて事前に乾燥を行った後、射出成形機(日本製鋼所製J100E2P)を用い、シリンダー設定温度250℃、金型温度50℃の条件にて縦50mm、横50mm、厚み2mmの平板試験片を作製した。
以下、本発明における各種評価項目及び測定方法について説明する。
1.熱安定性
得られたペレットをそれぞれ120℃×4時間の条件にて事前に乾燥を行った後、射出成形機(日本製鋼所製J100E2P)を用いて、シリンダー設定温度280℃の条件にて15分間滞留前後の平板試験片(縦50mm、横50mm、厚み2mm)を作成後、スペクトロフォトメーター(村上色彩研究所社製CMS−35SP)により、YIの変化(ΔYI)を測定した。ΔYIとは、滞留前後の黄味の程度の差を表し、ΔYIが小さい程、変色は小さく熱安定性に優れている。ΔYIの評価の基準としては、ΔYIの値が2.0未満であるものを合格(○)、2.0以上であるものを不合格(×)とした。
2.抗菌性
抗菌性試験はJIS Z 2801(フィルム密着法)に基づいて実施した。具体的には、射出成形加工にて得られた平板試験片の表面に、大腸菌を10個含む菌液を滴下し、その上からPE製フィルムを密着させ、35℃で24時間放置後にPE製フィルム及び平板試験片に付着している菌体をSCDLP培地で洗い出し、シャーレに移して35℃で45時間培養後に、大腸菌の生菌数(y)をカウントした。なお、評価の基準は、本発明の抗菌剤(B)を含まない樹脂組成物からなる平板試験片を用いてフィルム密着法によりカウントした大腸菌の生菌数をxとしたときに、log10(x/y)(以下、抗菌活性値と略記)が2.0以上であるものを合格(○)、2.0未満であるものを不合格(×)とした。
さらに、大腸菌を黄色ブドウ球菌に変更する以外は全て上記と同じ操作・条件で抗菌性試験を行い、抗菌活性値を求め、同様の基準で評価した。それぞれの結果を表1および表2に示す。
3.総合判定
熱安定性および抗菌性の評価において、全て合格であるものを合格(○)そうでないものを不合格(×)とした。
Figure 0005213267
Figure 0005213267
表1に示すとおり、本発明の構成を満足する場合(実施例1〜6)には、全ての評価項目において十分な性能を有していた。
一方、表2に示すとおり、本発明の構成を満足しない場合(比較例1〜5)には、いずれの場合も何らかの欠点を有していた。
比較例1は、抗菌剤の配合量が規定量よりも少ない場合で、熱安定性は合格するものの、抗菌性が劣っていた。
比較例2は、抗菌剤の配合量が規定量よりも多い場合で、抗菌性は合格するものの、熱安定性が劣っていた。
比較例3は、リン系酸化防止剤の配合量が規定量よりも多い場合で、抗菌性は合格するものの、熱安定性が劣っていた。
比較例4は、リン系酸化防止剤以外の酸化防止剤を用いた場合で、抗菌性は合格するものの、熱安定性が劣っていた。
比較例5は、リン系酸化防止剤の配合量が規定量よりも少ない場合で、抗菌性は合格するものの、熱安定性が劣っていた。

Claims (8)

  1. ポリカーボネート樹脂(A)1〜99重量%およびゴム強化スチレン系樹脂(B)99〜1重量%からなり、前記(A)および(B)の合計量100重量部に対して、銀イオンを溶出するガラスを必須成分とする抗菌剤(C)0.05〜1.5重量部およびリン系酸化防止剤(D)0.05〜1.0重量部を配合してなることを特徴とする抗菌性に優れた熱可塑性樹脂組成物。
  2. ゴム強化スチレン系樹脂(B)が、塊状重合法により製造されたアクリロニトリル・ブタジエン ・スチレン共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の抗菌性に優れた熱可塑性樹脂組成物。
  3. ポリカーボネート樹脂(A)およびゴム強化スチレン系樹脂(B)の配合比率が、ポリカーボネート樹脂(A)5〜50重量%およびゴム強化スチレン系樹脂(B)50〜95重量%であることを特徴とする請求項1に記載の抗菌性に優れた熱可塑性樹脂組成物。
  4. 抗菌剤(C)に含まれる銀イオンを溶出するガラスの形状が、多面体であることを特徴とする請求項1に記載の抗菌性に優れた熱可塑性樹脂組成物。
  5. 抗菌剤(C)の配合量が、ポリカーボネート樹脂(A)およびゴム強化スチレン系樹脂(B)の合計量100重量部あたり、0.1〜1.0重量部であることを特徴とする請求項1に記載の抗菌性に優れた熱可塑性樹脂組成物。
  6. リン系酸化防止剤(D)が、下記一般式1、2および3に示す化合物から選択された一種もしくはそれ以上の化合物であることを特徴とする請求項1に記載の抗菌性に優れた熱可塑性樹脂組成物。
    一般式1
    Figure 0005213267
    (一般式1において、R1〜4は炭素数1〜20のアルキル基、またはアルキル基で置換されてもよいアリール基を示す。)
    一般式2
    Figure 0005213267
    (一般式2において、R5、R6は炭素数1〜20のアルキル基、またはアルキル基で置換されてもよいアリール基を、a、bは整数0〜3を示す。)
    一般式3
    Figure 0005213267
    (一般式3において、R7は炭素数1〜20のアルキル基、またはアルキル基で置換されてもよいアリール基を、cは0〜3の整数を示す。)
  7. リン系酸化防止剤(D)の配合量が、ポリカーボネート樹脂(A)およびゴム強化スチレン系樹脂(B)の合計量100重量部あたり、0.1〜0.8重量部であることを特徴とする請求項1に記載の抗菌性に優れた熱可塑性樹脂組成物。
  8. 請求項1〜請求項7の何れか一項に記載の抗菌性を有する熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品。
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