JP2000026699A - 抗菌性熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

抗菌性熱可塑性樹脂組成物

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JP2000026699A
JP2000026699A JP10196828A JP19682898A JP2000026699A JP 2000026699 A JP2000026699 A JP 2000026699A JP 10196828 A JP10196828 A JP 10196828A JP 19682898 A JP19682898 A JP 19682898A JP 2000026699 A JP2000026699 A JP 2000026699A
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acid
silver
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rubber
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JP10196828A
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English (en)
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Kunio Matsuzaka
邦男 松坂
Masahiko Noro
雅彦 野呂
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Techno UMG Co Ltd
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Techno Polymer Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 抗菌性、耐衝撃性、成形品表面外観性に優れ
た抗菌性熱可塑性樹脂組成物、さらには難燃性にも優れ
た抗菌性・難燃性熱可塑性樹脂組成物を提供すること。 【解決手段】 (A)ゴム強化スチレン系樹脂100重
量部に対し、(B)銀系抗菌剤0.1〜1重量部、およ
び(C)カルボン酸亜鉛0.1〜5重量部を配合した抗
菌性熱可塑性樹脂組成物、ならびに上記抗菌性熱可塑性
樹脂組成物100重量部に対し、(D)難燃剤3〜60
重量部を配合した抗菌性・難燃性熱可塑性樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抗菌性、耐衝撃
性、成形品表面外観性に優れた抗菌性熱可塑性樹脂組成
物、さらには難燃性にも優れた抗菌性・難燃性熱可塑性
樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ABS樹脂などのスチレン系樹脂や難燃
性ABS樹脂は、成形品表面外観性、耐衝撃性、剛性お
よび成形加工性に優れていることから、OA・家電機器
分野、電気・電子分野、車両分野などの幅広い分野に使
用されている。近年、これらの製品において、細菌が発
生することがあり、人体への影響が懸念されている。こ
の細菌については、一般的に銀系抗菌剤を配合したスチ
レン系樹脂が開発されている。しかしながら、銀系抗菌
剤を使用する場合、抗菌力を上げようとすると、その配
合量を多くする必要があり、物性の低下、特に耐衝撃
性、成形品表面外観性の低下などが従来から避けられな
い。一方、火災発生の防止上より、難燃性を付与した材
料の要求も増大している。しかしながら、ABS樹脂な
どのスチレン系樹脂は、燃えやすいという欠点を有して
おり、難燃性が要求される分野では、難燃剤としてハロ
ゲン系化合物、難燃助剤として三酸化アンチモンを配合
した難燃性樹脂組成物が一般に使用されている。ところ
が、スチレン系樹脂に難燃剤および難燃助剤を配合した
難燃性樹脂組成物は、従来、耐衝撃性、成形品表面外観
が劣るという欠点を有している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の課題を背景になされたもので、抗菌性、耐衝撃性、
成形品表面外観性に優れた抗菌性熱可塑性樹脂組成物、
さらには難燃性にも優れた抗菌性・難燃性熱可塑性樹脂
組成物を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、(A)ゴム強
化スチレン系樹脂100重量部に対し、(B)銀系抗菌
剤0.1〜1重量部、および(C)カルボン酸亜鉛0.
1〜5重量部を配合してなる抗菌性熱可塑性樹脂組成物
(以下「抗菌性熱可塑性樹脂組成物」ともいう)を提供
するものである。また、本発明は、上記抗菌性熱可塑性
樹脂組成物100重量部に対し、(D)難燃剤3〜60
重量部を配合してなる抗菌性・難燃性熱可塑性樹脂組成
物(以下「抗菌性・難燃性熱可塑性樹脂組成物」ともい
い、上記抗菌性熱可塑性樹脂組成物と抗菌性・難燃性熱
可塑性樹脂組成物を合わせて「本発明の組成物」ともい
う)を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の組成物に用いられる
(A)ゴム強化スチレン系樹脂は、ゴム状重合体の存在
下に、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物およ
び必要に応じてこれらと共重合可能な他のビニル系単量
体を主成分とする単量体成分をグラフト重合して得られ
るが、別途、上記単量体成分のみを(共)重合して得ら
れる(A′)(共)重合体を配合してもよい。
【0006】本発明の(A)ゴム強化スチレン系樹脂に
使用されるゴム状重合体としては、例えばポリブタジエ
ン、ポリイソプレン、ブチルゴム、スチレン−ブタジエ
ン共重合体(スチレン含量5〜60重量%が好まし
い)、スチレン−イソプレン共重合体、アクリロニトリ
ル−ブタジエン共重合体、エチレン−α−オレフィン系
共重合体、エチレン−α−オレフィン−ポリエン共重合
体、シリコーンゴム、ポリウレタンゴム、アクリルゴ
ム、ブタジエン−(メタ)アクリル酸エステル共重合
体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン
−イソプレンブロック共重合体、水素化ジエン系重合
体、エチレン系アイオノマーなどが挙げられる。
【0007】なお、上記スチレン−ブタジエンブロック
共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体に
は、AB型、ABA型、テーパー型、ラジアルテレブロ
ック型の構造を有するものなどが含まれる。また、上記
水素化ジエン系重合体には、上記ブロック共重合体の水
素化物のほかに、スチレンブロックとスチレン−ブタジ
エンランダム共重合体のブロック体の水素化物、ポリブ
タジエン中の1,2−ビニル結合含量が20重量%以下
のブロックと、1,2−ビニル結合含量が20重量%を
超えるポリブタジエンブロックからなる重合体の水素化
物などが含まれる。これらのなかで、ポリブタジエン、
スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−α−オレフ
ィン系共重合体、水素化ブタジエン系重合体などの水素
化ジエン系重合体(ホモ、ブロックおよびランダム)、
およびシリコーンゴムが好ましい。これらのゴム状重合
体は、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を
混合して用いることもできる。
【0008】(A)ゴム強化スチレン系樹脂に用いられ
る単量体成分中、芳香族ビニル化合物としては、スチレ
ン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メ
チルスチレン、p−メチルスチレン、p−ヒドロキシス
チレン、α−エチルスチレン、メチル−α−メチルスチ
レン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン、トリブロモ
スチレン、ジビニルスチレン、ビニルピリジン、ビニル
キシレン、1,1−ジフェニルスチレン、フルオロスチ
レン、クロルスチレン、ジクロロスチレン、トリクロロ
スチレン、スチレンスルホン酸ナトリウムなどが挙げら
れる。これらのなかでは、スチレン、α−メチルスチレ
ン、p−メチルスチレンが好ましい。これらの芳香族ビ
ニル化合物は、単独であるいは2種以上混合して用いら
れる。芳香族ビニル化合物の使用量は、単量体成分中に
好ましくは50〜90重量%、さらに好ましくは60〜
80重量%であり、50重量%未満では充分な成形加工
性が得られず、一方、90重量%を超えると、耐衝撃性
が得られず好ましくない。
【0009】また、(A)ゴム強化スチレン系樹脂に用
いられる単量体成分中、シアン化ビニル化合物として
は、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げ
られ、特にアクリロニトリルが好ましい。シアン化ビニ
ル化合物は、1種単独で、あるいは2種以上を併用する
ことができる。シアン化ビニル化合物の使用量は、単量
体成分中に好ましくは50〜10重量%、さらに好まし
くは40〜20重量%である。10重量%未満では、耐
衝撃性が劣り好ましくない。一方、50重量%を超える
と、得られるゴム強化スチレン系樹脂の色調が褐色とな
り、また成形加工性、成形時の熱安定性が劣るので好ま
しくない。
【0010】なお、上記単量体成分としては、必要に応
じて共重合官能な他のビニル系単量体を使用することが
でき、その好ましい使用量は、40重量%以下である。
この共重合可能な他のビニル系単量体としては、(メ
タ)アクリル酸エステル、マレイミド系化合物、不飽和
酸、酸無水物基含有不飽和化合物、エポキシ基含有不飽
和化合物、アミノ基含有不飽和化合物、ヒドロキシル基
含有不飽和化合物、オキサゾリン基含有不飽和化合物な
どが挙げられ、これらは1種単独で、あるいは2種以上
を併用することができる。
【0011】このうち、(メタ)アクリル酸エステルと
しては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プ
ロピルアクリレート、ブチルアクリレート、アミノアク
リレート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレー
ト、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシル
アクリレート、ドデシルアクリレート、オクタデシルア
クリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレ
ートなどのアクリル酸エステル;メチルメタクリレー
ト、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、
ブチルメタクリレート、アミノメタクリレート、ヘキシ
ルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2−エチ
ルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレ
ート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリ
レート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレ
ートなどのメタクリル酸エステルが挙げられ、これらは
1種単独で、あるいは2種以上を併用することができ
る。これらのなかで、ブチルアクリレート、メチルメタ
クリレートが好ましい。
【0012】マレイミド系化合物としては、マレイミ
ド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N
−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、
N−ラウリルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミ
ド、N−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニ
ル)マレイミド、N−(2,6−ジエチルフェニル)マ
レイミド、N−(4−カルボキシルフェニル)マレイミ
ド、N−(4−ヒドロキシルフェニル)マレイミド、N
−(4−ブロモフェニル)マレイミド、トリブロモフェ
ニルマレイミド、N−(クロロフェニル)マレイミドな
どが挙げられ、これらは1種単独で、あるいは2種以上
を併用することができる。これらのなかで、N−フェニ
ルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドが好まし
い。
【0013】不飽和酸としては、アクリル酸、メタクリ
ル酸、マレイン酸などが挙げられる。酸無水物基含有不
飽和化合物としては、無水マレイン酸、無水イタコン
酸、無水シトラコン酸などが挙げられる。エポキシ基含
有不飽和化合物としては、グリシジルメタクリレート、
アリルグリシジルエーテルなどが挙げられる。アミノ基
含有不飽和化合物としては、アクリルアミン、メタクリ
ル酸アミノメチル、メタクリル酸アミノエチル、メタク
リル酸アミノプロピル、アミノスチレン、アクリルスチ
レン、アクリルアミド、メタクリルアミドなどが挙げら
れる。
【0014】ヒドロキシル基含有不飽和化合物として
は、ヒドロキシルスチレン、3−ヒドロキシ−1−プロ
ペン、4−ヒドロキシ−1−ブテン、シス−4−ヒドロ
キシ−2−ブテン、トランス−4−ヒドロキシ−2−ブ
テン、3−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロペン、2
−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチ
ルメタクリレートなどが挙げられる。オキサゾリン基含
有不飽和化合物としては、ビニルオキサゾリンなどが挙
げられる。
【0015】(A)ゴム強化スチレン系樹脂中のゴム状
重合体の量は、ゴム状重合体および単量体成分の合計量
に対して、好ましくは5〜70重量%、さらに好ましく
は10〜60重量%である。5重量%未満では、衝撃強
度が低下し好ましくなく、一方、70重量%を超える
と、成形加工性、弾性率、熱変形温度が低下し、好まし
くない。
【0016】(A)ゴム強化スチレン系樹脂のグラフト
率は、好ましくは5〜150重量%、さらに好ましくは
10〜150重量%である。グラフト率が5重量%未満
では、ゴム成分の添加効果が充分発揮されず、充分な耐
衝撃強度が得られない。一方、150重量%を超える
と、成形加工性が低下する。ここで、グラフト率(重量
%)は、ゴム強化スチレン系樹脂1g中のゴム成分重量
をx、メチルエチルケトン不溶分重量をyとすると、次
式により求められた値である。 グラフト率(重量%)=〔(y−x)/x〕×100 また、本発明の(A)ゴム強化スチレン系樹脂は、マト
リックス成分であるメチルエチルケトン可溶分の極限粘
度〔η〕(30℃、メチルエチルケトン中で測定)が、
好ましくは0.2〜1.0dl/g、さらに好ましくは
0.3〜0.9dl/g、特に好ましくは0.35〜
0.8dl/gである。この極限粘度〔η〕が0.2d
l/g未満であると、剛性と耐衝撃性との高い物性のバ
ランスが得られず、一方、1.0dl/gを超えると、
成形加工性が低下する。上記極限粘度〔η〕は、重合開
始剤、連鎖移動剤、乳化剤、溶剤などの種類や量、さら
に重合時間、重合温度などを変えることにより、容易に
制御することができる。
【0017】なお、(A)ゴム強化スチレン系樹脂に、
別途、配合可能な上記(A′)(共)重合体は、芳香族
ビニル化合物、シアン化ビニル化合物および必要に応じ
てこれらと共重合可能な他のビニル系単量体からなる単
量体成分を(共)重合してなる(共)重合体であり、こ
の(共)重合体に使用される芳香族ビニル化合物、シア
ン化ビニル化合物、共重合可能な他のビニル系単量体
は、(A)ゴム強化スチレン系樹脂に用いられる単量体
成分と同様である。
【0018】この(A′)(共)重合体は、別途、重合
してもよく、または(A)ゴム強化スチレン系樹脂の製
造時に、単量体成分の添加方法を、適宜、調整すること
により、この(A′)(共)重合体を含有する(A)ゴ
ム強化スチレン系樹脂を製造する方法でもよい。好まし
くは、前者の方法である。すなわち、(A′)成分は、
例えば溶液重合、あるいは懸濁重合、乳化重合により製
造されるが、好ましくは溶液重合により製造される。こ
こで、溶液重合での好ましい重合方法は、その反応系に
おける単量体組成比と単量体反応性比に依存し、ある単
量体組成比の反応系より共重合反応を進行させると、単
量体組成比がアゼオトロープ組成である場合を除き、未
反応単量体の組成比とこれから生成する共重合体の組成
は、共重合反応とともに変化していく。従って、組成が
均一で品質的に優れた目的組成の(A′)(共)重合体
を製造するには、単量体組成比に適した単量体組成比で
初期仕込みを行って、共重合反応を開始させ、以後、共
重合反応の反応系に追加供給することによって、共重合
反応が終結するまで、共重合反応系の単量体組成比を、
ほぼ一定に維持することが好ましい。
【0019】また、この溶液重合での媒体としては、ト
ルエン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミドなどが
使用でき、重合開始剤としては、パラメンタンハイドロ
パーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドなど、もし
くは熱重合により、さらに連鎖移動剤としては、メルカ
プタン類、炭化水素類などが使用される。重合温度は、
通常、60〜150℃程度である。
【0020】上記(A)ゴム強化スチレン系樹脂は、ゴ
ム状重合体の存在下に、上記単量体成分を乳化重合、懸
濁重合、溶液重合、塊状重合などでラジカルグラフト重
合を行い、製造することができる。好ましくは、乳化重
合である。この際、乳化重合には、重合開始剤、連鎖移
動剤(分子量調節剤)、乳化剤、水などが用いられる。
なお、(A)ゴム強化スチレン系樹脂を製造するのに用
いるゴム状重合体および単量体成分は、ゴム状重合体全
量の存在下に、単量体成分を一括添加して重合してもよ
く、分割もしくは連続添加して重合してもよい。また、
これらを組み合わせた方法で、重合してもよい。さら
に、ゴム状重合体の全量または一部を、重合途中で添加
して重合してもよい。
【0021】重合開始剤としては、クメンヒドロキシパ
ーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオ
キサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイドなどで
代表される有機ハイドロパーオキサイド類と含糖ピロリ
ン酸処方、スルホキシレート処方などで代表される還元
剤との組み合わせによるレドックス系、あるいは過硫酸
塩、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキ
サイドなどの過酸化物が使用される。好ましくは、油溶
性開始剤であり、クメンハイドロパーオキサイド、ジイ
ソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメン
タンハイドロパーオキサイドと含糖ピロリン酸処方、ス
ルホキシレート処方などで代表される還元剤との組み合
わせによるレドックス系がよい。また、上記油溶性開始
剤と水溶性開始剤とを組み合わせてもよい。組み合わせ
る場合の水溶性開始剤の添加比率は、全添加量の好まし
くは50重量%以下、さらに好ましくは25重量%以下
である。さらに、重合開始剤は、重合系に一括または連
続的に添加することができる。重合開始剤の使用量は、
単量体成分に対し、通常、0.1〜1.5重量%、好ま
しくは0.2〜0.7重量%である。
【0022】また、連鎖移動剤としては、オクチルメル
カプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメ
ルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−テト
ラデシルメルカプタン、t−テトラデシルメルカプタン
などのメルカプタン類、テトラエチルチウラムスルフィ
ド、四塩化炭素、臭化エチレンおよびペンタフェニルエ
タンなどの炭化水素類、またはアクロレイン、メタクロ
レイン、アリルアルコール、2−エチルヘキシルチオグ
リコール、α−メチルスチレンのダイマーなどが挙げら
れる。これらの連鎖移動剤は、単独でまたは2種以上を
組み合わせて使用することができる。連鎖移動剤の使用
方法は、一括添加、分割添加、または連続添加のいずれ
の方法でも差し支えない。連鎖移動剤の使用量は、単量
体成分に対し、通常、0.05〜2.0重量%程度であ
る。
【0023】乳化剤としては、アニオン性界面活性剤、
ノニオン性界面活性剤、および両性界面活性剤が挙げら
れる。このうち、アニオン性界面活性剤としては、例え
ば高級アルコールの硫酸エステル、アルキルベンゼンス
ルホン酸塩、脂肪酸スルホン酸塩、リン酸系、脂肪酸塩
などが挙げられる。また、ノニオン性界面活性剤として
は、通常のポリエチレングリコールのアルキルエステル
型、アルキルエーテル型、アルキルフェニルエーテル型
などが用いられる。さらに、両性界面活性剤としては、
アニオン部分としてカルボン酸塩、硫酸エステル塩、ス
ルホン酸塩、リン酸エステル塩を、カチオン部分として
アミン塩、第4級アンモニウム塩などを持つものが挙げ
られる。乳化剤の使用量は、単量体成分に対し、通常、
0.3〜5.0重量%程度である。
【0024】なお、(A)ゴム強化スチレン系樹脂を乳
化重合する場合、ゴム状重合体ラテックスの平均ゴム粒
子径は、好ましくは0.2〜1.5μm、さらに好まし
くは0.25〜0.5μmである。この範囲の平均粒子
径を有するラテックスを使用した場合、高い物性バラン
スを実現することが可能となる。
【0025】本発明の(A)ゴム強化スチレン系樹脂
は、乳化重合によるグラフト重合後、凝固−洗浄、脱水
−脱溶などの回収工程を経て、乾燥後、粉体または粒体
とする。これら(A)ゴム強化スチレン系樹脂のブレン
ド時に、熱安定剤、滑剤などを添加し、ペレット化する
ことができる。また、(A)ゴム強化スチレン系樹脂と
(A′)(共)重合体を混合するときは、均一に混練り
可能な任意の混合手段により製造することができる。こ
の混合においては、単軸押し出し機、二軸押し出し機、
バンバリーミキサー、ニーダーなどの樹脂の溶融混練り
において一般的なものを使用することができる。このと
き、熱安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤などの
添加剤や、着色剤などを配合してもよい。
【0026】次に、本発明の組成物に用いられる(B)
銀系抗菌剤は、本発明の組成物において、大腸菌、黄色
ブドウ球菌などの細菌に対して抗菌力を付与する作用を
なす。ここで、(B)銀系抗菌剤としては、無機系銀
化合物、無機物質に銀化合物および/または銀錯塩を
担持させたもの、イオン交換能を有する無機物質に銀
イオンをイオン交換させたもの、ホウ酸系ガラスに銀
化合物を含有させたものなどが挙げられる。ここで使用
される銀化合物としては、酸化銀、塩化銀、硝酸銀、硫
酸銀、酢酸銀、塩素酸銀、臭化銀、フッ化銀、ピクリン
酸銀、プロテイン銀、コロイダル銀、カルボン酸の銀
塩、リン酸もしくは亜リン酸のアルキルエステル、フェ
ニルエステルもしくはアルキルフェニルエステルの銀塩
などが挙げられる。
【0027】上記のうち、カルボン酸の銀塩としては、
以下のカルボン酸の銀塩が挙げられる。 炭素数1〜30、好ましくは2〜22の脂肪族飽和モ
ノカルボン酸、例えば酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草
酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステア
リン酸、ドコサン酸 炭素数2〜34、好ましくは2〜8の脂肪族飽和ジカ
ルボン酸、例えばシュウ酸、コハク酸、アジピン酸、ス
ベリン酸、セバシン酸、 脂肪族不飽和カルボン酸、例えばオレイン酸、エルカ
酸、マレイン酸、フマル酸 炭素環式カルボン酸、例えば安息香酸、フタル酸、ケ
イ皮酸、ヘキサヒドロ安息香酸、アビエチン酸、水添ア
ビエチン酸 ヒドロカルボン酸、例えば乳酸、リンゴ酸、酒石酸、
クエン酸、サリチル酸 アミノカルボン酸、例えばアスパラギン酸、グルタミ
ン酸
【0028】本発明において、好ましいカルボン酸の銀
塩は、脂肪族飽和モノカルボン酸の銀塩、特にラウリ
ン酸銀、ステアリン酸銀、脂肪族不飽和カルボン酸の
銀塩、特にオレイン酸銀、および炭素環式カルボン酸
の銀塩、特に安息香酸銀、水添アビエチン酸銀である。
また、メタクリル酸、アクリル酸の単独または共重合可
能な他の単量体などとの共重合体のカルボン酸部が銀塩
となったものも、本発明の銀系抗菌剤に含まれる。
【0029】銀化合物および/または銀錯塩を担持する
無機物質を例示すると、シリカゲル、活性炭、ハイドロ
タルサイト、およびリン酸カルシウム、炭酸カルシウ
ム、ケイ酸カルシウム、ハイドロキシアパタイトなどの
カルシウム系セラミックスなどが挙げられる。イオン交
換能を有する無機物質としては、ゼオライト、リン酸ジ
ルコニウムなどが挙げられる。ゼオライトとしては、天
然品、合成品とも使用可能である。これらの銀担持体
は、表面処理の有無に関係なく使用が可能である。
【0030】(B)銀系抗菌剤の使用量は、(A)ゴム
強化スチレン系樹脂100重量部に対し、0.1〜1重
量部、好ましくは0.1〜0.8重量部、さらに好まし
くは0.1〜0.7重量部である。0.1重量部未満で
は、(B)成分の添加効果が低く、充分な抗菌性を得る
ことができない。一方、1重量部を超えると、成形品の
衝撃強度や成形品表面外観性が低下する。(B)成分の
使用量が上記範囲にあると、下記(C)成分の共存下に
おいて、高い抗菌力を有する本発明の組成物が得られ
る。
【0031】本発明の組成物に用いられる(C)成分
は、カルボン酸亜鉛である。カルボン酸亜鉛としては、
モノおよびジカルボン酸亜鉛がこれに該当する。上記カ
ルボン酸の具体例としては、酢酸亜鉛、アセチル酢酸亜
鉛、安息香酸亜鉛、クエン酸亜鉛、酪酸亜鉛、ジエチル
ジカルバミン酸亜鉛、乳酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、シュ
ウ酸亜鉛、ピロリン酸亜鉛、サリチル酸亜鉛、酒石酸亜
鉛、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、パルミチン酸
亜鉛、フタル酸亜鉛、アジピン酸亜鉛、オクチル酸亜
鉛、アビエチン酸亜鉛、トリコサン酸亜鉛などが挙げら
れる。(C)成分の使用量は、(A)ゴム強化スチレン
系樹脂100重量部に対し、0.1〜5重量部、好まし
くは0.2〜3重量部、さらに好ましくは0.3〜2重
量部である。0.1重量部未満では、細菌に対する抗菌
力が向上せず、一方、5重量部を超えると、耐衝撃性強
度や成形品表面外観性が低下する。本発明の組成物にお
いて、(C)成分の使用量が上記範囲にあり、かつ
(B)銀系抗菌剤の使用量が上記範囲内にあると、一段
と高い抗菌力を持ち、しかも高い衝撃性と高い成形品表
面外観性を有する組成物が得られる。
【0032】本発明の抗菌性熱可塑性樹脂組成物には、
(D)難燃剤を配合することにより、さらに難燃性が付
与された抗菌性・難燃性熱可塑性樹脂組成物とすること
ができる。(D)難燃剤としては、一般のゴム、樹脂な
どの重合体の難燃剤として用いられるものを使用するこ
とができる。その例としては、ハロゲン含有化合物、リ
ン含有化合物、窒素含有化合物、ケイ素含有化合物など
が挙げられる。上記ハロゲン含有化合物の具体例として
は、まず、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロ
モビスフェノールA−ビス(2−ヒドロキシエチルエー
テル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3
−ジブロモプロピルエーテル)などのテトラブロモジフ
ェニルエーテル誘導体、ヘキサブロモジフェニルエーテ
ル、デカブロモジフェニルエーテル、ビス(トリブロモ
フェノキシ)エタン、ヘキサブロモシクロドデカンなど
が挙げられる。
【0033】また、モノブロモフェノール、トリブロモ
フェノール、ペンタブロモフェノール、トリブロモクレ
ゾール、ジブロモプロピルフェノール、テトラブロモビ
スフェノールS、塩化シアヌルなどを重合することによ
り、あるいは、これらと上記ハロゲン含有化合物の群か
ら選ばれた少なくとも1種のハロゲン含有化合物とを共
重合することにより得られる、オリゴマー型ハロゲン含
有化合物が挙げられる。さらに、テトラブロモビスフェ
ノールAのポリカーボネートオリゴマー、テトラブロモ
ビスフェノールAとビスフェノールAとのポリカーボネ
ートオリゴマー、テトラブロモビスフェノールSのポリ
カーボネートオリゴマー、テトラブロモビスフェノール
SとビスフェノールAとのポリカーボネートオリゴマー
なども挙げられる。さらに、ハロゲン化エポキシオリゴ
マーなども挙げられる。
【0034】上記リン含有化合物としては、有機系リン
含有化合物、赤リン、ホスファゼン系化合物、ポリリン
酸アンモニウムなどが挙げられる。このうち、有機系リ
ン含有化合物としては、トリフェニルホスフェートに代
表されるホスフェート類、トリフェニルホスファイトに
代表されるホスファイト類などが挙げられる。ここで、
有機系リン含有化合物としては、トリフェニルホスフェ
ート、トリフェニルチオホスフェート、トリキシレニル
ホスフェート、トリキシレニルチオホスフェート、ハイ
ドロキノンビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシ
ノールビス(ジフェニルホスフェート)などが好まし
い。
【0035】上記窒素含有化合物としては、トリジン、
トリアゾリシン、尿素、グアニジン、アミノ酸、メラミ
ンおよびその誘導体などが挙げられる。上記ケイ素含有
化合物としては、一般的なオルガノシロキサンが挙げら
れる。具体的には、シリコーンオイル、シリコーンレジ
ン、有機シラン化合物、ポリシランなどが挙げられる。
また、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸ナトリウム、二酸化
ケイ素なども挙げられる。以上の(D)難燃剤は、1種
単独で、あるいは2種以上を併用することができる。
【0036】(D)難燃剤としては、臭素含有化合物、
塩素含有化合物、リンおよび/または窒素含有化合物が
好ましい。また、環境保全、衛生上の観点から、リンお
よび/または窒素含有化合物が好ましく、特にトリフェ
ニルホスフェート、トリフェニルチオホスフェートに代
表されるホスフェート類、ハイドロキノンビス(ジフェ
ニルホスフェート)、ハイドロキノンビス(ジクレジル
ホスフェート)に代表されるホスフェートオリゴマー
類、ポリリン酸アルミニウム、赤リン、メラミンなどが
好ましい。
【0037】本発明の抗菌性・難燃性熱可塑性樹脂組成
物における(D)難燃剤の使用量は、上記(A)〜
(C)成分を主成分とする抗菌性熱可塑性樹脂組成物1
00重量部に対し、3〜60重量部、好ましくは5〜5
0重量部、さらに好ましくは5〜40重量部である。3
重量部未満では、難燃性が不充分となり、一方、60重
量部を超えると、剛性、耐衝撃性が不充分となる。
【0038】なお、上記(D)難燃剤の難燃効果を向上
させるために、難燃助剤として、例えばアンチモン含有
化合物を用いることができる。この難燃助剤の使用量
は、(A)ゴム強化スチレン系樹脂100重量部に対
し、通常、0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜1
5重量部である。アンチモン含有化合物は、特に、ハロ
ゲン含有化合物の難燃性を向上させる助剤として用いら
れる。上記アンチモン含有化合物としては、三酸化アン
チモン、アンチモン酸ナトリウム、四酸化アンチモン、
(コロイダル)五酸化アンチモン、リン酸アンチモンな
どが挙げられるが、なかでも、三酸化アンチモンが好ま
しい。
【0039】なお、本発明の組成物には、機械的性質を
向上させる目的で、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、
金属フレーク、ガラスビーズ、ワラストナイト、ガラス
のミルドファイバー、ロックフィラー、ガラスフレー
ク、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、カオリン、硫酸
バリウム、黒鉛、二硫化モリブデン、酸化マグネシウ
ム、チタン酸カリウムウィスカー、ガラスバルーン、セ
ラミックバルーンなどの充填材を、1種単独で使用する
ことも、あるいは2種以上を混合して配合することもで
きる。これらの充填材のうち、ガラス繊維、炭素繊維の
形状としては、6〜60μmの繊維径と30μm以上の
繊維長を有するものが好ましい。これらの充填材は、本
発明の(A)成分100重量部に対し、通常、1〜15
0重量部の範囲で用いられる。
【0040】また、本発明の組成物には、公知のカップ
リング剤、酸化防止剤、耐候(耐光)剤、可塑剤、着色
剤(顔料、染料など)、滑剤、帯電防止剤、シリコーン
オイル、発泡剤などの添加物を配合することができる。
さらに、本発明の組成物に、ジルコニウム化合物などの
抗菌剤および/または市販の防カビ剤を配合することに
より、さらに優れた抗菌性、防カビ性を付与することが
できる。かかる配合量は、(A)ゴム強化スチレン系樹
脂100重量部に対し、通常、0.01〜30重量部、
好ましくは0.05〜20重量部である。さらに、本発
明の組成物には、要求される性能に応じて、他の熱可塑
性重合体、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
メチルメタクリレート、ポリアミド樹脂、ポリアミドエ
ラストマー、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレ
ンテレフタレートなどの熱可塑性ポリエステル、ポリエ
ステルエラストマー、ポリスルホン、ポリエーテルスル
ホン、ポリフェニレンスルフィド、液晶ポリマー、フッ
素樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリカーボネ
ート、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド系エラスト
マー、ポリアミド系エラストマー、PMMAなどを適宜
ブレンドすることもできる。
【0041】本発明の組成物は、通常の混合方法を用い
て混合することにより得られる。例えば、ミキサーで各
成分を混合したのち、各種押し出し機、バンバリーミキ
サー、ニーダー、ロール、フィーダールーダーなどを用
い、各成分を混練りすることにより得られる。好ましい
製造方法は、押し出し機、バンバリーミキサーを用いる
方法である。混練り温度は、好ましくは180〜260
℃、さらに好ましくは190〜230℃である。また、
各成分を混練りするに際しては、各成分を一括して混練
りしてもよく、数回に分けて添加混練りしてもよい。混
練りは、押し出し機で多段添加式で混練りしてもよく、
またバンバリーミキサー、ニーダーなどで混練りし、そ
の後、押し出し機でペレット化することもできる。さら
に、簡単には、各成分を直接、成形機内で溶融混練りし
て成形することができる。
【0042】このようにして得られる本発明の組成物
は、射出成形、シート押し出し、真空成形、異形押し出
し成形、発泡成形、インジェクションプレス、プレス成
形、ブロー成形などによって、各種成形品に成形するこ
とができる。上記成形法によって得られる各種成形品
は、その優れた性質を利用して、OA・家電分野、電気
・電子分野、雑貨分野、サニタリー分野、自動車分野な
どの各種パーツ、ハウジング、シャーシー、トレーなど
に使用することができる。
【0043】
【実施例】以下、実施例を挙げ本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の
実施例に何等制約されるものではない。なお、実施例
中、部および%は特に断らない限り重量基準である。ま
た、実施例中の各種評価は、次のようにして測定したも
のである。
【0044】平均粒径 分散粒子の平均粒径は、あらかじめ乳化状態で合成した
ラテックスの粒径がそのまま樹脂中の分散粒子の粒径を
示すことを電子顕微鏡で確認したのち、ラテックス中の
分散粒子の粒径を、光散乱法で測定した。測定機器は、
大塚電子(株)製、レーザー粒径解析システムLPA−
3100を用い、70回積算でキュムラント法を用い、
平均粒径を測定した。極限粘度〔η〕 共重合体(A′)を、メチルエチルケトン中、30℃で
測定した。単位は、dl/gである。
【0045】抗菌力試験 本発明の材料を用いて、細菌に対する抗菌力試験を行っ
た。抗菌力試験片;射出成形によって作製した。厚み1
/8インチのアイゾット衝撃試験片を用いた。この試験
片は、常温下で1日以上放置し接着用として用いた。細
菌種; 大腸菌=Escherichia coli IFO
3972 黄色ブドウ球菌=Staphylococcus au
reus 12732
【0046】抗菌力試験内容; 試験培地 NA培地=普通寒天培地〔栄研化学(株)製〕 1/500NB培地=肉エキス0.2%を添加した普通
ブイヨン〔栄研化学(株)製〕を精製水で500倍に希
釈し、PHを7.0±0.2に調整したもの。 SCDLP培地=SCDLP培地〔日本製薬(株)製〕 SA培地=標準寒天培地〔栄研化学(株)製〕 菌液の調製 NA培地で37±1℃、16〜24時間、前培養した試
験菌種株をNA培地に再度接種して37±1℃、16〜
20時間培養した菌体を、1/500NB培地に均一に
分散させ、1mlあたりの菌数が2.5×105 〜1.
2×106 となるように調整した。
【0047】試料の調製 検体(5cm×4cm)を、99.5%(V/V)エタ
ノールをしみ込ませた脱脂綿で軽く拭いたのち、風乾し
たものを試料とした。 試験操作 25cm2 に対して0.5mlの割合で各試料2個にそ
れぞれ菌液を滴下し、その上にポリエチレンフィルムを
かぶせ、密着させ、これらを35±1℃、相対湿度90
%以上の条件下で保存した。また、プラスチックシャー
レを対照試料として、同様に試験した。 生菌数の測定 保存24時間後に、SCDLP培地で試料から生残菌を
洗い出し、この洗い出し液の生菌数をSA培地を用いた
寒天平板培養法(35℃、2日間培養)により測定し、
試料1個あたりに換算した。また、接種直後の測定は、
対照試料で行った。
【0048】耐衝撃性(アイゾット衝撃強度) ASTM D256に準じて測定した。試験片は、シリ
ンダー温度200℃セットで成形した。単位は、kgf
・cm/cmである。成形品外観(光沢性) シリンダー温度200℃で薄肉品を成形し、表面外観を
目視で判定した。 ○;成形品表面光沢性が高い。 ×;成形品表面光沢性が低い。難燃性 UL94 V−0規格に基づいて、肉厚1/16″の垂
直燃焼試験を行った。
【0049】本発明の実施例・比較例に使用される各成
分は、次のとおりである。ゴム状重合体a−1〜a−3の調製 本発明の(A)ゴム強化スチレン系樹脂に用いるゴム状
重合体として、表1のものを用いた。(A)ゴム強化スチレン系樹脂A−1〜A−4の調製 上記ゴム状重合体a−1〜a−3の存在下に、各種単量
体成分をグラフト重合し、ゴム強化スチレン系樹脂を得
た。なお、A−1〜A−2は乳化重合で、A−3〜A−
4は溶液重合で得た。これらのゴム強化スチレン系樹脂
を、表2に示す。(A′)共重合体A′−1〜A′−3の調製 これら(A′)成分の組成および極限粘度を表3に示
す。
【0050】(B)銀系抗菌剤の調製 品川燃料(株)製のゼオミックXAW−10D、東亜合
成(株)製のノバロンAG−300、松下電産(株)製
のアムテックリーン−Zを使用した。表4に示す。(C)カルボン酸亜鉛の調製 日本油脂(株)製のステアリン酸亜鉛およびアジピン酸
亜鉛を使用した。表5に示す。(D)難燃剤の調製 大日本インキ(株)製、プラサームEP−16(以下
「D−1」ともいう)を用いた。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】
【0054】
【表4】
【0055】
【表5】
【0056】実施例1〜9、比較例1〜7 表6〜7に示す配合処方で混合し、一軸押し出し機でバ
レル設定温度220℃で溶融混練りし、ペレット化し
た。ペレットを充分乾燥したのち、射出成形機を用い、
シリンダー温度200℃、金型温度50℃で試験片を作
製し、上記評価方法で評価した。評価結果を、表6〜7
に示す。表6から明らかなように、実施例1〜9は、本
発明の組成物であり、本発明の目的とする抗菌力が高
く、かつ、耐衝撃性、成形品表面外観(光沢性)などに
優れている。これに対し、表7から明らかなように、比
較例1〜2は、(B)成分が含有されているが、(C)
成分は含有されていない場合であり、抗菌力が劣る。比
較例3は、(B)成分が本発明の範囲外で、その配合量
が多い場合であり、成形品表面外観性が劣る。比較例4
は、(C)成分が本発明の範囲外で、その配合量が少な
い場合であり、抗菌力が劣り、また衝撃強度と成形品表
面外観性も低下する。比較例5は、(B)成分が本発明
の範囲外で、その配合量が少ない場合であり、抗菌力が
劣り、また衝撃強度も低下する。比較例6は、(C)成
分が本発明の範囲外でその配合量が多くなった場合であ
り、抗菌力は高いものの、耐衝撃性と成形品表面外観性
が劣る。比較例7は、(B)成分が本発明の範囲外であ
り、その配合量が多い場合であり、耐衝撃性と成形品表
面外観性が劣る。
【0057】
【表6】
【0058】
【表7】
【0059】
【発明の効果】本発明の組成物は、細菌に対する抗菌
性、耐衝撃性、および成形品表面外観性に優れ、さらに
難燃剤を配合することにより、難燃性にも優れる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 AD032 BN031 BN061 BN121 BN141 BN161 BN171 BN211 CD123 CG033 CM023 CP013 CP033 CQ013 DA058 DA076 DD036 DD076 DD086 DE096 DE196 DF036 DG046 DH058 DJ008 DJ018 DL006 EB098 ED078 EG046 EG047 EG056 EG057 EG077 EG096 EG106 EG107 EH037 EJ058 EN116 EN117 EN118 ES006 ET018 EU188 EW046 EW048 EW066 EW068 EX008 EZ006 FB296 FD010 FD133 FD138 FD182 FD186 FD187 GC00 GL00 GN00 GQ00

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ゴム強化スチレン系樹脂100重
    量部に対し、(B)銀系抗菌剤0.1〜1重量部、およ
    び(C)カルボン酸亜鉛0.1〜5重量部を配合してな
    る抗菌性熱可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の組成物100重量部に対
    し、(D)難燃剤3〜60重量部を配合してなる抗菌性
    ・難燃性熱可塑性樹脂組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20020096265A (ko) * 2001-06-19 2002-12-31 서우석 무기항균제가 첨가된 고무계 용품 제조방법 및 그 고무계용품
WO2007091504A1 (ja) * 2006-02-10 2007-08-16 Dai-Ichi Kogyo Seiyaku Co., Ltd. 難燃性スチレン系樹脂組成物
JP2011137068A (ja) * 2009-12-28 2011-07-14 Sumika Styron Polycarbonate Ltd 抗菌性に優れた熱可塑性樹脂組成物およびそれからなる成形品
CN107541007A (zh) * 2017-09-29 2018-01-05 乔银娣 家电用阻燃抗菌塑料

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