JP3575127B2 - 抗菌・防カビ性樹脂組成物 - Google Patents

抗菌・防カビ性樹脂組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、抗菌性、防カビ性及び成形品表面外観に優れた熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ABS樹脂、AS樹脂、HIPS、PS等のスチレン系樹脂等の熱可塑性樹脂は成形品表面外観、成形加工性、物理的性質、機械的性質に優れることから、電機・電子分野、OA・家電分野、自動車分野、サニタリー分野、文具関連分野、雑貨等の幅広い分野に使用されている。
近年、これらに使われている製品において、細菌やカビが発生する場合があり、人体に悪影響を及ぼすことが指摘されている。かかる対策として抗菌剤を配合した熱可塑性樹脂が使用されているが、抗菌・防カビ性は十分ではなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来技術の課題を背景になされたもので、抗菌性、防カビ性及び成形品表面外観に優れ、広範囲の用途に使用し得る抗菌・防カビ性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
(1)(A)熱可塑性樹脂(但し、ポリオレフィン樹脂を除く) 20〜99重量%
(B)木粉 80〜1重量%
上記(A)+(B)100重量部に対して
(C)銀系抗菌剤、ホウ酸系ガラスから選ばれた少なくとも1種0.01〜10重量部を含有してなることを特徴とする抗菌・防カビ性樹脂組成物。
(2)前記熱可塑性樹脂が
(D)ゴム質重合体存在下又は非存在下に、芳香族ビニル化合物又は芳香族ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体を(共)重合してなる重合体から選ばれた少なくとも1種からなるスチレン系樹脂であることを特徴とする前記(1)記載の抗菌・防カビ性樹脂組成物。
を提供するものである。
【0005】
本発明の(A)成分の熱可塑性樹脂としては、公知のものがすべて使用できるが、好ましい具体例としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン12等のポリアミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、芳香族ポリカーボネート樹脂、PPS樹脂、液晶ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルフォン樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、HIPS、PS等のスチレン系樹脂等である。
本発明の(A)成分は、1種単独、又は2種以上併用して使用することができる。
【0006】
本発明の(D)成分は、(A)成分に含まれるものであるが、本発明の目的を達成する上で特に好ましいものは、(D)成分又は、(D)成分と(A)成分の他の熱可塑性樹脂とのブレンド物である。(D)成分と(D)成分以外の熱可塑性樹脂の配合においては、公知の相溶化剤を用いることができる。
本発明の(D)スチレン系樹脂は、ゴム状重合体の存在下または非存在下に、芳香族ビニル化合物または芳香族ビニル化合物とこれと共重合可能な他の単量体からなる単量体成分を(グラフト)重合して得られる、(グラフト)重合体樹脂(ゴム変性芳香族ビニル樹脂)であっても、また上記の単量体成分を重合して得られる熱可塑性樹脂と該グラフト重合体樹脂とをブレンドして得られるブレンド系のグラフト共重合体樹脂であってもよい。
【0007】
ここで使用されるゴム状重合体としては、例えばポリブタジエン、ポリイソプレン、ブチルゴム、スチレン−ブタジエン共重合体(スチレン含量5〜60重量%が好ましい)、スチレン−イソプレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、エチレン−α−オレフィン系共重合体、エチレン−α−オレフィン−ポリエン共重合体、シリコーンゴム、アクリルゴム、ブタジエン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、水素化スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水素化ブタジエン系重合体、エチレン系アイオノマーなどが挙げられる。また、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体には、AB型、ABA型、テーパー型、ラジアルテレブロック型の構造を有するものなどが含まれる。
さらに、水素化ブタジエン系重合体は、上記ブロック共重合体の水素化物のほかに、スチレンブロックとスチレン−ブタジエンランダム共重合体のブロック体の水素化物、ポリブタジエン中の1,2−ビニル結合含量が20重量%以下のブロックと1,2−ビニル結合含量が20重量%を超えるポリブタジエンブロックからなる重合体の水素化物などが含まれる。これらのゴム状重合体は、1種単独でまたは2種以上で使用される。
耐衝撃性の面からゴム質重合体存在下に得られたスチレン系樹脂またはゴム質重合体存在下に得られたスチレン系樹脂とゴム質重合体非存在下に重合して得られたスチレン系樹脂との混合物を使用することが好ましい。
【0008】
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノメチルスチレン、ビニルピリジン、ビニルキシレン、モノクロルスチレン、ジクロロスチレン、モノブロモスチレン、ジブロモスチレン、フルオロスチレン、エチルスチレン、ビニルナフタレンなどが挙げられ、特にスチレン、α−メチルスチレンが好ましい。これらの芳香族ビニル化合物は、1種単独あるいは2種以上混合して用いられる。
【0009】
また、他の単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物;メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、アミノアクリレート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレートなどのアクリル酸エステル;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、アミノメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレートなどのメタクリル酸エステル;無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などの不飽和酸無水物;アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和酸;マレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、 N−(p−メチルフェニル)マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどのα,β−不飽和ジカルボン酸のイミド化合物;グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテルなどのエポキシ基含有不飽和化合物;アクリルアミド、メタクリルアミドなどの不飽和カルボン酸アミド;アクリルアミン、メタクリル酸アミノメチル、メタクリル酸アミノエーテル、メタクリル酸アミノプロピル、アミノスチレンなどのアミノ基含有不飽和化合物;3−ヒドロキシ−1−プロペン、4−ヒドロキシ−1−ブテン、シス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、トランス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、3−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロペン、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシスチレンなどの水酸基含有不飽和化合物;ビニルオキサゾリンなどのオキサゾリン基含有不飽和化合物などが挙げられる。
芳香族ビニル化合物と共重合可能な上記単量体の中で特に好ましいものは、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル、不飽和酸無水物、不飽和酸、α,β−不飽和ジカルボン酸のイミド化合物、エポキシ基含有不飽和化合物、水酸基含有不飽和化合物から選ばれた1種または2種以上の単量体である。
好ましい芳香族ビニル化合物と共重合可能な他の単量体の具体的なものとしては、アクリロニトリル、メタクリル酸、メチルメタクリレート、無水マレイン酸、N−フェニルマレイミド、グリシジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートなどである。特に好ましいものは、水酸基含有不飽和化合物である。
【0010】
上記α,β−不飽和ジカルボン酸のイミド化合物共重合体において、前記芳香族ビニル化合物と前記不飽和酸無水物との共重合体を、後イミド化(完全又は部分)したものも本発明の(D)成分に含まれる。上記(D)成分は、1種又は2種以上併用して使用することもできる。
【0011】
本発明の目的のひとつである防カビ性の面から、ゴム質重合体量20〜70重量%のグラフト体と、ゴム質重合体非存在下に重合されたスチレン系樹脂とを(D)成分として、ゴム量が2〜30重量%、さらに好ましくは5〜30重量%、特に好ましくは5〜26重量%のものが好ましい。
【0012】
(D)成分のグラフト体のグラフト率、すなわちゴム質重合体にグラフトしている芳香族ビニル化合物又は他の単量体との(共)重合体の量は、20〜150重量%の範囲にあることが、本発明の目的を達成する上で好ましい。
また(D)成分のメチルエチルケトン可溶分の固有粘度(メチルエチルケトンを溶媒として30℃で測定)は、好ましくは0.2〜0.8dl/g、さらに好ましくは0.3〜0.7dl/gである。
本発明の(D)成分は、公知の重合法である乳化重合、懸濁重合、塊状重合、溶液重合等で得ることができる。特に好ましいのは、乳化重合、溶液重合で得られたものである。
(D)成分にゴム質重合体を用いた場合、(D)成分に分散したゴム質重合体の平均粒子径は2μm以下が好ましく、さらに好ましくは1μm以下、特に好ましくは0.05〜0.5μmである。
好ましい(D)成分としては、ゴム質重合体存在下にスチレン、アクリロニトリルをグラフト重合したグラフト体(I)の1種又は2種以上とスチレン、アクリロニトリルからなる共重合体(II)の1種又は2種以上からなる組成物において、(I)又は(II)の少なくとも1種に、前記エステル基、カルボキシル基、酸無水物基、マレイミド基、エポキシ基、水酸基、アミド基、アミノ基、オキサゾリン基等の官能基含有不飽和化合物の少なくとも1種が共重合したものである。ここで使用される官能基含有不飽和化合物の好ましい具体例は、前記した好ましい単量体成分のものである。
【0013】
本発明の上記(A)成分又は(D)成分の使用量は、(A)+(B)又は(D)+(B)成分100重量部に対して20〜99重量%、好ましくは99〜30重量%、さらに好ましくは98〜40重量%であり、20重量%未満では成形品表面外観が劣り、99重量%を超えると抗菌性及び防カビ性が劣る。
【0014】
本発明の(B)成分で使用される木粉としては、樹木の種類を特に限定するものではなく、エゾマツ、トドマツ、カラマツ等のマツ類、ツガ、サクラ、スギ、ナラ、ヒノキ、シナノキ、ブナ、ラワン、モミ等が挙げられる。
これらの原木を裁断し製材する際に発生するノコくずやおがくず及び細片等を粉砕したものが使用される。また例えば紙、パルプ、もみがら等の粉末も含まれる。これらの粉末は通常50メッシュ以下の粉末にしたものが使用される。
上記(B)成分の使用量は、本発明の(A)+(B)又は(D)+(B)100重量部中80〜1重量%、好ましくは70〜1重量%、さらに好ましくは60〜2重量%であり、80重量%を超えると成形品表面外観が劣り、1重量%未満では抗菌性及び防カビ性が劣る。
【0016】
(C)成分の銀系抗菌剤としては、▲1▼有機系、無機系の銀化合物、▲2▼無機物質に銀化合物及び/又は銀錯塩を担持させたもの、▲3▼イオン交換能を有する無機物質に銀イオンをイオン交換させたもの、▲4▼ホウ酸系ガラスに銀化合物を含有させたもの等がある。
ここで使用される銀化合物としては、酸化銀、塩化銀、硝酸銀、硫酸銀、酢酸銀、塩素酸銀、臭化銀、フッ化銀、ピクリン酸銀、プロティン銀、コロイダル銀、カルボン酸の銀塩、リン酸もしくは亜リン酸のアルキルエステル、フェニルエステルもしくはアルキルフェニルエステルの銀塩などが挙げられる。
【0017】
カルボン酸の銀塩としては、以下のカルボン酸の銀塩が挙げられる。
▲1▼炭素数1〜30、好ましくは2〜22の脂肪族飽和モノカルボン酸、例えば酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ドコサン酸、
▲2▼炭素数2〜34、好ましくは2〜8の脂肪族飽和ジカルボン酸、例えばシュウ酸、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、
▲3▼脂肪族不飽和カルボン酸、例えばオレイン酸、エルカ酸、マレイン酸、フマル酸、
▲4▼炭素環式カルボン酸、例えば安息香酸、フタル酸、ケイ皮酸、ヘキサヒドロ安息香酸、アビエチン酸、水添アビエチン酸、
▲5▼ヒドロカルボン酸、例えば乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、サリチル酸、 ▲6▼アミノカルボン酸、例えばアスパラギン酸、グルタミン酸。
本発明において、好ましいカルボン酸の銀塩は、▲1▼脂肪族飽和モノカルボン酸の銀塩、特にラウリン酸銀、ステアリン酸銀、▲3▼脂肪族不飽和カルボン酸の銀塩、特にオレイン酸銀、および▲4▼炭素環式カルボン酸の銀塩、特に安息香酸銀、水添アビエチン酸銀である。
又、メタクリル酸、アクリル酸の単独又は共重合可能な他の単量体等との共重合体のカルボン酸部位が銀塩となったものも本発明の抗菌剤に含まれる。
【0018】
銀化合物及び/又は銀錯塩を担持する無機物質を例示するとシリカゲル、活性炭、ハイドロタルサイト及びリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト等のカルシウム系セラミックス等が挙げられる。イオン交換能を有する無機物質としては、ゼオライト、リン酸ジルコニウム等がある。ゼオライトとしては天然品、合成品とも使用可能である。
【0019】
ホウ酸系ガラスとしては、特に限定はないが、ホウ素の酸化物(B)を含有するものである。Bの含有量としては5〜70重量%であり、好ましくは10〜60重量%、特に好ましくは15〜60重量%である。ホウ酸系ガラスは、通常、他にSiOを含有し、またRO(RはLi、Na、Kなど)を含有してもよい。具体的な組成としては、好ましくは以下の組成のものである。
SiO 25〜60重量%
18〜60重量%
Al 0〜20重量%
O 8〜30重量% (R;Li、Na、K)
R′O 0〜20重量% (R′;Ca、Mg、Zn、Ba)
上記ホウ酸系ガラスに前記銀化合物を含有することができるが、特に好ましいものは酸化銀である。好ましい酸化銀の含有量は0.1〜10重量%である。
上記無機物質及びホウ酸ガラスの平均粒子径は、好ましくは50μm以下、さらに好ましくは20μm以下、特に好ましくは10μm以下である。
【0020】
前記無機物質に含まれる銀、銀化合物の量は、0.01〜10重量%の範囲にあることが好ましい。又、本発明の(C)成分には酸化亜鉛等を含有し、抗菌性を向上させたものも含まれる。
特に好ましい抗菌剤としては、ゼオライトに銀イオンをイオン交換させたもの、ホウ酸系ガラス及びホウ酸系ガラス/酸化銀から選ばれた1種又は2種以上併用したものである。
上記本発明の(C)成分の使用量は、(A)+(B)又は(D)+(B)100重量部に対して0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部、さらに好ましくは0.1〜5重量部である。0.01重量部未満では抗菌性及び防カビ性が劣り、10重量部を超えると成形品表面外観が劣る。
本発明の請求項3において、本発明の(C)成分を配合することでさらに抗菌性及び防カビ性を向上させることができる。
又、本発明の樹脂組成物にポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール含有重合体、ポリエチレンオキサイド含有重合体及び帯電防止剤等を本発明の樹脂組成物に好ましくは0.5〜20重量%配合することで、さらに抗菌性及び防カビ性を向上させることができる。
【0021】
なお、本発明の組成物には、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、ガラスビーズ、ワラストナイト、ガラスのミルドファイバー、ロックフィラー、ガラスフレーク、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、カオリン、硫酸バリウム、黒鉛、二硫化モリブデン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛ウィスカー、チタン酸カリウムウィスカー、ガラスバルーン、セラミックバルーン等の充填材を1種単独であるいは併用することができる。これらの充填材のうちガラス繊維、炭素繊維の形状としては、6〜60μmの繊維径と30μm以上の繊維長を有するものが好ましい。これらの充填材は、本発明の組成物100重量部に対して、通常、1〜200重量部の範囲で用いられる。
【0022】
また、本発明の組成物には、公知のカップリング剤、難燃剤、難燃助剤、酸化防止剤、耐候(光)剤、可塑剤、着色剤(顔料、染料等)、滑剤、金属粉等の添加物を配合することができる。
【0023】
本発明の抗菌・防カビ性樹脂組成物は、各種押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールなどを用い、各成分を混練りすることによって得られる。好ましい製造方法は、押出機を用いる方法である。また、各成分を混練りするに際しては、各成分を一括混練りしてもよく、多段添加方式で混練りしてもよい。
このようにして得られる本発明の抗菌・防カビ性樹脂組成物は、射出成形、シート押し出し、真空成形、異形成形、発泡成形、インジェクションプレス、ガスアシスト成形、プレス成形、ブロー成形などによって各種成形品に成形することができる。
上記成形法によって得られる各種成形品は、その優れた性質を利用して、車両分野、住宅関連分野、住設関連分野、建材関連分野、OA・家電関連分野、文具分野、その他雑貨等の幅広い分野の各種部品として使用することができる。
【0024】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
なお、実施例中、部および%は、特に断らない限り重量基準である。
また、実施例中の各種評価は、次のようにして測定した値である。
抗菌性試験
1)試験菌株
Staphylococcus aureus IID 1677(MRSA)
2)菌数測定用培地
SCDLP寒天培地[日本製薬(株)]
3)菌液の調製
普通寒天斜面培地[栄研化学(株)]で35℃16〜20時間培養した試験菌株の菌体を滅菌1/100濃度普通ブイヨンに浮遊させ、1ml当たりの菌数が3×10となるように調製した。
4)試験操作
検体(約35mm×15mm)に菌液0.2mlを接種して、ポリエチレンフィルムを密着させた後、35℃で保存し、保存24時間後にSCDLP培地[日本製薬(株)]で生残菌を洗い出した。この洗い出し液の生菌数を、菌数測定用培地を用いた寒天平板培養法(35℃、2日間)により測定し、検体1枚当たりの生菌数に換算した。
【0025】
カビ発育試験
1)試験菌株
Rhizopus oryzae IFO 31005 (くものすカビ)
2)胞子懸濁液の調製
ポテトデキストロース寒天斜面培地[栄研化学(株)]で十分に形成させた試験菌株の胞子を、滅菌0.005%スルホこはく酸ジオクチルナトリウム溶液に加えて懸濁させた。この懸濁液から子実体・菌糸体を除去した後、これを1ml当たりの胞子数が1,000,000±200,000個となる
ように無機塩培地(下表)に加えて胞子懸濁液とした。
Figure 0003575127
3)試験操作
無機塩寒天平板培地(1.5%寒天含有無機塩培地を固化させて平板としたもの)上に試験片を置き、胞子懸濁液を噴霧して温度28〜30℃、相対湿度85%以上で21日間培養した。試験片の表面に生じた菌糸の発育状態
を肉眼及び実体顕微鏡下で観察した。
なお、無機塩寒天平板培地上に直径25.4mmの滅菌したろ紙片をのせこれに胞子懸濁液を噴霧して温度28〜30℃、相対湿度85%以上で14日間培養し、ろ紙片表面にカビの発育を確認した。
Figure 0003575127
【0026】
成形品表面外観
平板成形品の外観を目視評価し、下記の評価基準で表した。
○;外観良好
△;外観が少し劣る
×;外観が劣る
【0027】
参考例
(A)成分
本発明の(A)成分として下記の重合体を用いた。
A−1;ポリアミド6として東レ(株)製アミランCM1017を用いた。
A−2;PBTとして鐘紡(株)製PBT−124を用いた。
A−3;ポリカーボネートとして帝人化成(株)製パンライトL−1225を用いた。
(B)成分
マツ/ツガ=約50/50混合した粉砕品で100メッシュパスしたものを用いた。
(C)成分
C−1;ホウ酸系ガラス/酸化銀として下記の組成のものを用いた。
SiO2 34%
23 50%
Li2O 15%
Ag2O 1%
C−2;ゼオライト/銀系抗菌剤として、品川燃料製ゼオミックXAW10Dを用いた。
(D)成分
本発明の(D)スチレン系樹脂に用いられるゴム質重合体d−1〜d−5を表1に示す。
【0028】
【表1】
Figure 0003575127
【0029】
スチレン系樹脂D−1〜D−10
前記ゴム質重合体d−1〜d−5存在下又は非存在下に単量体成分を重合した樹脂をそれぞれ得た。これらの樹脂の組成を表2に示した。
【0030】
【表2】
Figure 0003575127
【0031】
その他の成分
F−1;滑剤としてヘキスト社製ワックスE(モンタン酸エステル)を用いた。
F−2;滑剤としてヘキスト社製ワックスOP(モンタン酸エステルとモンタン酸カルシウムの混合物)を用いた。
F−3;ポリアミド6オリゴマーの分子末端テレフタル酸変性物と、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物からなるグリコール(分子量約1700)との重量比1:1のマルチブロック共重合体を用いた。
F−4;下記構造を有する帯電防止剤を用いた。
Figure 0003575127
【0032】
実施例1〜13、15〜18,比較例1〜4
抗菌・防カビ性樹脂組成物の調製は、上記成分を水分0.1%以下まで乾燥し、表3の配合処方で混合し、ベント付き二軸押出機を用いて溶融混練りし、ペレット化することにより行った。得られたペレットを水分0.1%以下まで乾燥し、射出成形により抗菌性、防カビ性及び成形品表面外観評価用試験片を成形し、上記評価方法で評価した。評価結果を表3に示した。
【0033】
【表3】
Figure 0003575127
【0034】
比較例1は、本発明の(C)成分の使用量が発明の範囲外で少ない例であり、抗菌性及び防カビ性が劣る。
比較例2は、本発明の(C)成分の使用量が発明の範囲外で多い例であり、成形品表面外観が劣る。
比較例3は、本発明の(B)成分の使用量が発明の範囲外で多い例であり、成形品表面外観が劣る。
比較例4は、本発明の(B)成分の使用量が発明の範囲外で少ない例であり、抗菌性及び防カビ性が劣る。
【0035】
【発明の効果】
本発明の抗菌・防カビ性樹脂組成物は、抗菌性、防カビ性及び成形品表面外観に優れ、広範囲の用途に有用である。

Claims (2)

  1. (A)熱可塑性樹脂(但し、ポリオレフィン樹脂を除く) 20〜99重量%
    (B)木粉 80〜1重量%
    上記(A)+(B)100重量部に対して
    (C)銀系抗菌剤、ホウ酸系ガラスから選ばれた少なくとも1種0.01〜10重量部
    を含有してなることを特徴とする抗菌・防カビ性樹脂組成物。
  2. 前記、熱可塑性樹脂が
    (D)ゴム質重合体存在下又は非存在下に、芳香族ビニル化合物又は芳香族ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体を(共)重合してなる重合体から選ばれた少なくとも1種からなるスチレン系樹脂であることを特徴とする請求項1記載の抗菌・防カビ性樹脂組成物。
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