JPH0827306A - 抗菌性樹脂組成物 - Google Patents

抗菌性樹脂組成物

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JPH0827306A
JPH0827306A JP18649194A JP18649194A JPH0827306A JP H0827306 A JPH0827306 A JP H0827306A JP 18649194 A JP18649194 A JP 18649194A JP 18649194 A JP18649194 A JP 18649194A JP H0827306 A JPH0827306 A JP H0827306A
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silver
acid
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resin
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JP18649194A
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English (en)
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Masaaki Motai
政明 馬渡
Chie Hamazaki
智恵 浜崎
Koji Okada
公二 岡田
Kenju Furuyama
建樹 古山
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JSR Corp
Original Assignee
Japan Synthetic Rubber Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 抗菌性、成形品表面外観および熱変色性に優
れ、広範囲の用途に使用し得る抗菌性樹脂組成物を提供
する。 【構成】 (A)熱可塑性樹脂100重量部、(B)銀
系抗菌剤0.01〜5重量部、(C)2価以上のカチオ
ン性金属イオンを有する金属塩0.001〜5重量部、
上記(A)+(B)+(C)からなる樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、抗菌性、成形品表面外
観および熱変色性に優れた抗菌性樹脂組成物に関する。
【従来の技術】ABS樹脂、HIPS、ポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリアミドなどの熱可塑性樹脂は、成
形品表面外観、成形加工性や物理的性質、機械的性質に
優れることから電気・電子分野、OA・家電分野、自動
車分野、便座・風呂場廻りなどのサニタリー分野、文
具、雑貨などの幅広い分野に使用されている。近年、こ
れらに使われている製品において細菌が発生したりして
人体に悪影響を及ぼすことが問題になっている。これら
の樹脂に抗菌性を付与する方法として市販の抗菌防カビ
剤を練り込む方法があるが、十分な抗菌性を発現させる
ためには、抗菌剤の使用量が多くなり、成形品表面外観
を悪くする。樹脂に抗菌剤を溶融混練りする際、また抗
菌剤配合樹脂を射出成形して成形品を得る場合、変色す
る場合があり、商品価値が損なわれるなどの問題があっ
た。
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の課題を背景になされたもので、少ない抗菌剤の配合
量で抗菌性を発現させ、成形品表面外観、熱変色性に優
れ、広範囲の用途に使用し得る抗菌性樹脂組成物を提供
することを目的とする。
【0002】
【課題を解決するための手段】本発明は、(A)熱可塑
性樹脂100重量部、(B)銀系抗菌剤0.01〜5重
量部、(C)2価以上のカチオン性金属イオンを有する
金属塩0.001〜5重量部、上記(A)+(B)+
(C)からなることを特徴とする抗菌性樹脂組成物を提
供するものである。本発明の(A)成分の熱可塑性樹脂
としては、ABS樹脂、AS樹脂、AES樹脂、AAS
樹脂、HIPS、PSなどのスチレン系樹脂;ポリエチ
レン、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂;PA
6、PA66、PA46、PA12などポリアミド樹
脂;ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフ
タレート、ポリアリレートなどのポリエステル樹脂;ポ
リカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテルまたはポ
リフェニレンエーテル/スチレン系樹脂などのポリフェ
ニレンエーテル系樹脂;ポリアセタール、塩化ビニル樹
脂、ポリスルフォン、PPS、ポリエーテルスルフォ
ン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、EVOHなどがあ
り、これらは1種または2種以上併用して使用すること
ができる。さらに(A)成分中50重量%以下ポリアミ
ドエラストマー、ポリエステルエラストマーを配合した
ものも本発明の(A)成分として使用される。
【0003】本発明の目的を達成する上で好ましい熱可
塑性樹脂は、上記スチレン系樹脂またはスチレン系樹脂
と他の熱可塑性樹脂とのアロイ材料である。本発明で使
用されるスチレン系樹脂は、(a)ゴム状重合体の存在
下または非存在下に(b)芳香族ビニル化合物または芳
香族ビニル化合物とこれと共重合可能な他の単量体から
なる単量体成分を(グラフト)重合して得られる(グラ
フト)重合体樹脂(ゴム変性芳香族ビニル樹脂)であっ
ても、また上記(b)の単量体成分を重合して得られる
熱可塑性樹脂と該グラフト重合体樹脂とをブレンドして
得られるブレンド系のグラフト共重合体樹脂であって
も、さらには単に(a)ゴム状重合体と(b)成分から
なる熱可塑性樹脂とのブレンド物であってもよい。
(A)スチレン系樹脂は、耐衝撃性の面から好ましくは
(a)ゴム状重合体5〜70重量%および(b)芳香族
ビニル化合物または芳香族ビニル化合物とこれと共重合
可能な他の単量体からなる単量体成分95〜30重量%
〔ただし、(a)+(b)=100重量%〕の構成成分
からなるゴム強化樹脂である。ここで、本発明に使用さ
れる(a)ゴム状重合体としては、例えばポリブタジエ
ン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体
(スチレン含量5〜60重量%が好ましい)、スチレン
−イソプレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン
共重合体、エチレン−α−オレフィン系共重合体、エチ
レン−α−オレフィン−ポリエン共重合体、アクリルゴ
ム、ブタジエン−(メタ)アクリル酸エステル共重合
体、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエンブロック共
重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、水素
化スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水素化ブタ
ジエン系重合体、エチレン系アイオノマーなどが挙げら
れる。また、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、
スチレン−イソプレンブロック共重合体には、AB型、
ABA型、テーパー型、ラジアルテレブロック型の構造
を有するものなどが含まれる。さらに、水素化ブタジエ
ン系重合体は、上記ブロック共重合体の水素化物のほか
に、スチレンブロックとスチレン−ブタジエンランダム
共重合体のブロック体の水素化物、ポリブタジエン中の
1,2−ビニル結合含量が20重量%以下のブロックと
1,2−ビニル結合含量が20重量%を超えるポリブタ
ジエンブロックからなる重合体の水素化物などが含まれ
る。これらの(a)ゴム状重合体は、1種単独でまたは
2種以上で使用される。スチレン系樹脂中のゴム状重合
体の含有量は、好ましくは5〜70重量%、さらに好ま
しくは5〜60重量%である。また、(b)成分を構成
する単量体は、芳香族ビニル化合物または該芳香族ビニ
ル化合物とこれと共重合可能な他の単量体である。
【0004】この(b)成分を構成する芳香族ビニル化
合物としては、スチレン、t−ブチルスチレン、α−メ
チルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼ
ン、1,1−ジフェニルスチレン、N,N−ジエチル−
p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−ア
ミノメチルスチレン、ビニルピリジン、ビニルキシレ
ン、モノクロルスチレン、ジクロロスチレン、モノブロ
モスチレン、フルオロスチレン、エチルスチレン、ビニ
ルナフタレンなどが挙げられ、特にスチレン、α−メチ
ルスチレンが好ましい。これらの芳香族ビニル化合物
は、1種単独であるいは2種以上混合して用いられる。
また、(b)成分を構成する他の単量体としては、アク
リロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニ
ル化合物;メチルアクリレート、エチルアクリレート、
プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、アミルア
クリレート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレ
ート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシ
ルアクリレート、ドデシルアクリレート、オクタデシル
アクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリ
レートなどのアクリル酸エステル;メチルメタクレー
ト、エチルメタクレート、プロピルメタクリレート、ブ
チルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシル
メタクリレート、オクチルメタクリレート、2−エチル
ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレー
ト、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレ
ート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレー
トなどのメタクリル酸エステル;無水マレイン酸、無水
イタコン酸、無水シトラコン酸などの不飽和酸無水物;
アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和酸;マレイミ
ド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N
−(p−メチルフェニル)マレイミド、N−フェニルマ
レイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどのα−ま
たはβ−不飽和ジカルボン酸のイミド化合物;グリシジ
ルメタクリレート、アリルグリシジルエーテルなどのエ
ポキシ化合物;アクリルアミド、メタクリルアミドなど
の不飽和カルボン酸アミド;アクリルアミン、メタクリ
ル酸アミノメチル、メタクリル酸アミノエチル、メタク
リル酸アミノフプロピル、アミノスチレンなどのアミノ
基含有不飽和化合物、3−ヒドロキシ−1−プロペン、
4−ヒドロキシ−1−ブテン、シス−4−ヒドロキシ−
2−ブテン、トランス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、
3−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロペン、2−ヒド
ロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタ
クリレートなどの水酸基含有不飽和化合物;ビニルオキ
サゾリンなどのオキサゾリン基含有不飽和化合物などが
挙げられる。(b)成分として好ましい他の単量体は、
アクリロニトリル、メタクリル酸、メチルメタクリレー
ト、無水マレイン酸、N−フェニルマレイミド、グリシ
ジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレ
ートなどであり、特にアクリロニトリル、N−フェニル
マレイミド、2−ヒドロキシエチルメタクリレートなど
が好ましい。これらのその他の単量体は、1種単独であ
るいは2種以上を併用することができる。本発明のスチ
レン系樹脂中のメチルエチルケトン可溶分の固有粘度
(メチルエチルケトンを溶媒として30℃で測定)は、
0.2〜2.0dl/gが好ましい。この固有粘度が
0.2dl/g未満では耐衝撃性が劣り、一方2.0d
l/gを超えると剛性が劣る。この固有粘度は、連鎖移
動剤、重合時間、重合温度などによって制御することが
できる。ゴム成分を含むスチレン系樹脂のグラフト率
は、通常10〜300重量%であり、10重量%未満ま
たは300重量%を超えると耐衝撃性が低くなる傾向に
あり好ましくない。上記スチレン系樹脂は、公知の重合
法である乳化重合、溶液重合、塊状重合、懸濁重合また
はこれらの重合法を組み合わせた重合方法で製造するこ
とができる。本発明の目的とする抗菌性発現性から乳化
重合法で得たスチレン系樹脂が好ましく、さらに好まし
くは乳化重合法で得たスチレン系樹脂ラテックスからス
チレン系樹脂を回収する際、塩化カルシウム、塩化マグ
ネシウムなどの本発明の(C)成分の中で水または温水
に易溶性のもので凝固回収したものが好ましい。
【0005】次に、本発明の(B)成分は銀系抗菌剤で
あり、有機系もしくは無機系の銀化合物、多孔性構造を
持った物質(多孔性構造体)に銀化合物および/または
銀錯塩を担持させたもの、あるいは多孔性構造体に銀イ
オンをイオン交換させたものなどが挙げられる。また本
発明の銀系抗菌剤は他の抗菌性を有する金属、金属化合
物、金属錯塩、金属イオンなどを併用したものでもよ
い。ここで使用される他の金属は、銅、亜鉛、マグネシ
ウム、水銀、スズ、鉛、ビスマス、カドミウム、クロ
ム、コバルト、ニッケル、鉄、マンガン、砒素、アンチ
モン、バリウムなどが挙げられ、好ましくは銅、亜鉛、
マグネシウムなど、さらに好ましくは銅、亜鉛であり、
特に好ましくは亜鉛である。銀化合物としては、例えば
コロイダル状の銀(コロイダル銀)、炭酸銀、塩素酸
銀、過塩素酸銀、臭素酸銀、ヨウ素酸銀、過ヨウ素酸
銀、リン酸銀、二リン酸銀、硝酸銀、亜硝酸銀、硫酸
銀、タングステン酸銀、バナジン酸銀、チオシアン酸
銀、アミド硫酸銀、ホウ酸銀、チオ硫酸銀、酸化銀、過
酸化銀、硫化銀、フッ化銀、塩化銀、臭化銀、ヨウ化
銀、酢酸銀、安息香酸銀、乳酸銀、ピロリン酸銀、クエ
ン酸銀、ベヘン酸銀、ジエチルカルバミン酸銀、ステア
リン酸銀、カルボン酸銀、酒石酸銀、メタスルホン酸
銀、トリフルオロ酸銀、リン酸もしくは亜リン酸のアル
キルエステル、フェニルエステルもしくはアルキルフェ
ニルエステルの銀塩、リンフッ化銀、フタロシアニン
銀、エチレンジアミンテトラ酢酸銀、プロテイン銀など
を挙げることができる。このうち好ましいものは、コロ
イダル銀、塩素酸銀、過塩素酸銀、炭酸銀、臭素酸銀、
ヨウ素酸銀、過ヨウ素酸銀、リン酸銀、二リン酸銀、硝
酸銀、硫酸銀、タングステン酸銀、バナジン酸銀、クエ
ン酸銀、チオシアン酸銀、カルボン酸銀、アミド硫酸
銀、チオ硫酸銀、塩化銀、酸化銀、過酸化銀である。ま
た、特に好ましいものは、コロイダル銀、酸化銀、リン
酸銀、炭酸銀、ヨウ素酸銀、ピロリン酸銀、クエン酸
銀、タングステン酸銀、塩化銀である。
【0006】銅化合物としては、例えば硝酸銅(I
I)、硫酸銅、過塩素酸銅、酢酸銅、テトラシアノ銅酸
カリウム、塩化銅などが挙げられる。亜鉛化合物として
は、硝酸亜鉛(II)、硫酸亜鉛、過塩素酸亜鉛、チオ
シアン酸亜鉛、酢酸亜鉛、塩化亜鉛、酸化亜鉛などが挙
げられる。これらの金属化合物は、1種または2種以上
で使用される。このコロイダル銀は、通常、銀成分が
0.02〜1重量%、粒径が50mμ以下、pH7.0
±1.0であり、好ましくは銀成分が0.05〜0.2
重量%、粒径が10mμ以下のものである。なお、銀の
抗菌力は、微粒子になるほど大きくなる傾向が見られ
る。また、カルボン酸の塩としては、以下のカルボン酸
の塩が挙げられる。 炭素数1〜30、好ましくは2〜22の脂肪族飽和モ
ノカルボン酸、例えば酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草
酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステア
リン酸、ドコサン酸、炭素数2〜34、好ましくは2
〜8の脂肪族飽和ジカルボン酸、例えばシュウ酸、コハ
ク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、炭素数
1〜34、好ましくは2〜22の脂肪族不飽和カルボン
酸、例えばオレイン酸、エルカ酸、マレイン酸、フマル
酸、炭素環式カルボン酸、例えば安息香酸、フタル
酸、ケイ皮酸、ヘキサヒドロ安息香酸、アビエチン酸、
水添アビエチン酸、ヒドロカルボン酸、例えば乳酸、
リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、サリチル酸、アミノカ
ルボン酸、例えばアスパラギン酸、グルタミン酸。本発
明において、好ましいカルボン酸の塩は銀塩であり、例
えば脂肪族飽和モノカルボン酸の銀塩、特にラウリン
酸銀、ステアリン酸銀、脂肪族不飽和カルボン酸の銀
塩、特にオレイン酸銀、および炭素環式カルボン酸の
銀塩、特に安息香酸銀、水添アビエチン酸銀である。さ
らに、リン酸または亜リン酸のアルキルエステル、フェ
ンルエステルもしくはアルキルフェニルエステルの塩と
しては、銀遠を例に挙げれば、以下のものが挙げられ
る。 リン酸モノアルキル(炭素数1〜22)のエステルの
一銀塩または二銀塩、亜リン酸モノアルキル(炭素数
1〜22)のエステルの一銀塩または二銀塩、リン酸
ジアルキル(炭素数1〜22)のエステルの一銀塩、
リン酸モノフェニルエステルの一銀塩または二銀塩、
亜リン酸モノフェニルエステルの一銀塩または二銀塩、
リン酸ジフェニルエステルの一銀塩、リン酸モノ
〔アルキル(炭素数1〜22)フェニル〕エステルの一
銀塩または二銀塩、亜リン酸モノ〔アルキル(炭素数
1〜22)フェニル〕エステルの一銀塩または二銀塩、
リン酸ジ〔アルキル(炭素数1〜22)フェニル〕エ
ステルの一銀塩。この中で、好ましい銀塩は、リン酸
モノアルキルエステルの一銀塩または二銀塩、特にアル
キル基の炭素数が6〜22のもの、さらに好ましくはリ
ン酸ステアリルの二銀塩、リン酸ジアルキルエステル
の一銀塩、特にアルキル基の炭素数が6〜22のもの、
さらに好ましくはリン酸ジオクテルの一銀塩、および
リン酸ジ(アルキルフェニル)エステルの一銀塩、特に
アルキル基の炭素数が4〜22のもの、さらに好ましく
はリン酸ジ(4−t−ブチルフェニル)の一銀塩やリン
酸ジ(ノニルフェニル)の一銀塩である。さらに、多孔
性構造体としては、シリカゲル、活性炭、ゼオライト、
リン酸ジルコニウム、リン酸カルシウム、ハイドロタル
サイト、ハイドロキシアパタイト、カルシウム系セラミ
ックスなどがあり、上記金属と上記金属化合物を含有さ
せたもの、溶解性ガラスに酸化銀などを含有させたもの
(特開平4−178433号公報)などもある。これら
の分子量の粒子径は、50μm以下が好ましく、さらに
好ましくは0.1〜10μmである。このうち、ゼオラ
イトは、天然品、合成品のいずれも使用可能である。
【0007】カルシウム系セラミックスは、リン酸カル
シウム、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ハイドロ
キシアパタイトなどが挙げられるが、特にハイドロキシ
アパタイトが好ましい。ハイドロキシアパタイトは、C
10(PO4 6 (OH)2という組成を有し、骨、歯
の主成分で蛋白、脂質をよく吸着し、生体成分との親和
性も良好で、イオン交換能を有することが認められてい
る。しかしながら、上記にようにCa/P(モル比)=
10/6のハイドロキシアパタイトのカルシウム塩およ
びリン酸塩よりの合成は困難であり経済的でない。一方
Ca/P(モル比)=1.4〜1.8を有するヒイドロ
キシアパタイト類似物をカルシウム塩およびリン酸塩か
ら合成することは容易であり、これらの類似物もハイド
ロキシアパタイトと同様に本発明に使用することが可能
である。上記多孔性構造体にイオン交換または担持され
る抗菌性を発現させる金属の量は、特に限定しないが5
0重量%以下、好ましくは0.001〜30重量%、さ
らに好ましくは0.001〜10重量%である。最も好
ましい抗菌剤はゼオライトに銀または銀/亜鉛をイオン
交換したものである。(B)抗菌剤としては、有機系の
ものを併用してもよく、例えばベンゾイミダゾート系化
合物、有機ヨード系化合物、エーテル系化合物、ハロア
ルキル系化合物、ニトリル系化合物、スルホン系化合物
などが挙げられる。(B)抗菌剤の使用量は、(A)成
分100重量部に対して0.01〜5重量部、好ましく
は0.05〜3重量部、さらに好ましくは0.05〜
1.5重量部である。その使用量が0.01重量部未満
では抗菌性が劣り、5重量部を超えると成形品表面外観
が劣る。
【0008】本発明の(C)成分の2価以上のカチオン
性金属イオンを有する金属塩としては、有機物の塩、無
機物の塩の両方共使用することができる。これらのう
ち、より好ましいのは無機物の塩である。2価以上のカ
チオン性イオンを示す金属としては、周期律表II〜V
族、VIb族、VIIb族、VIIIb族の金属であ
り、好ましいものはMg、Ca、Ti、Mo、Mn、F
e、Zn、Al、Pなどであり、さらに好ましくはM
g、Ca、Zn、Alである。上記金属の有機物の塩と
しては、炭素数1〜40の範囲のカルボン酸基含有化合
物または酸無水物基含有化合物の金属塩である。無機物
の塩としては、周期律表VIIa族の元素との化合物、
周期律表VIa族の元素との化合物、水酸化物、炭酸化
物などがあり、好ましい具体例としては、塩化亜鉛、塩
化アルミニウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、
水酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、
水酸化マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸カルシウムなどが
あり、上記(C)成分は1種または2種以上で使用され
る。本発明の目的である抗菌性を向上させる上で無機物
が好ましい。本発明の(C)成分の使用量は、本発明の
(A)成分100重量部に対して0.001〜5重量
部、好ましくは0.005〜3重量部、さらに好ましく
は0.01〜2重量部である。その使用量が0.001
重量部未満では抗菌性が劣り、また5重量部を超えると
成形品表面外観および熱変色性が劣る。前記本発明の
(A)成分のスチレン系樹脂が乳化重合で重合され、か
つ(C)成分の化合物で凝固回収したものは、スチレン
系樹脂中に本発明の(C)成分に相当する化合物が残存
する場合があるが、その残存する(C)成分量が本発明
の(C)成分量内にある場合、新たに(C)成分を添加
しなくてもよい。なお、本発明の抗菌性樹脂組成物に
は、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、ガラスビーズ、
ワラストナイト、ロックフィラー、炭酸カルシウム、タ
ルク、マイカ、ガラスフレーリ、カオリン、硫酸バリウ
ム、黒鉛、二硫化モリブデン、酸化マグネシウム、酸化
亜鉛ウィスカー、チタン酸カリウムウィスカーなどの充
填材を1種単独で、あるいは併用することができる。こ
れらの充填材のうち、ガラス繊維、炭素繊維の形状とし
ては、6〜60μmの繊維系と30μm以上の繊維長を
有するものが好ましい。これらの充填材は、本発明の組
成物100重量部に対して、通常5〜150重量部の範
囲で用いられる。また本発明の組成物には、公知の各種
添加剤を添加してもよい。例えば、カップリング剤、難
燃剤、酸化防止剤、可塑剤、着色剤、帯電防止剤、シリ
コンオイルなどがある。特に帯電防止剤の中で、アニオ
ン系、ノニオン系のものを添加すると抗菌性が向上する
ため好ましい。本発明の抗菌性樹脂組成物は、各種押出
機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールなどを用
い、各成分を混練りすることによって得られる。好まし
い製造方法は、二軸押出機を用いる方法である。また、
各成分混練りするに際して、各成分を一括して混練りし
てもよく、多段添加方式で混練りしてもよい。
【0009】このようにして得られる本発明の抗菌性樹
脂組成物は、射出成形、シート押し出し、真空成形、異
形成形、発泡成形、インジェクションプレス、プレス成
形、ブロー成形などによって各種成形品に成形すること
ができる。射出成形により得る場合、射出速度を高くし
た方が抗菌性はよい方向にある。上記成形法によって得
られる各種成形品は、その優れた性質を利用して、便
座、加湿器、浄水器、エアコン、雑貨、文具、他の各種
家電製品、電話器などの各パーツ、ハウジングなどに使
用することができる。
【0010】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明する。なお、実施例中、部および%は、特に断わ
らない限り重量基準である。また、実施例中の各種評価
は、次のようにして測定した値である。抗菌性 検体(樹脂平板の成形品)にMRSA(メシチリン耐性
ブドウ球菌)の菌液(1ml当りの菌数が約106 )を
0.2ml接種し、ポリエチレンフィルムを密着させた
のち、35℃で保存し、保存開始時および24時間後に
SCDLP寒天培地〔日本製薬(株)製〕で生菌を洗い
出した。この洗い出し液については、菌数測定用培地を
用いた寒天平板培養法(35℃、2日間)により生菌数
を測定し、検体1枚当りの生菌数に換算した。なお、実
施例、比較例で試験した初期菌数は、3×105 であっ
た。成形品表面外観 肉厚1.0mm×150mm×150mmの平板を2点
のピンポイントゲートで成形しウェルド部およびウェル
ド以外の面の外観を下記の評価基準で目視評価した。 ○:外観良好 ×:外観が劣る。熱変色性 射出成形機のシリンダー設定温度250℃でストレート
成形し成形品を得た(成形品−1)。溶融樹脂をそのま
ま15分間滞留させた後、さらに成形品を得た(成形品
−2)。成形品−1と成形品−2の色目の変化を目視観
察し、下記の評価基準で評価した。 ○:色調変化が少ない。 ×:色調変化がある。 (参考例) 本発明の(A)成分として以下のものを用いた。ゴム状重合体(a)−1、(a)−2 スチレン系樹脂の製造に用いるゴム状重合体として表1
のものを用いた。
【0011】
【表1】
【0012】重合体(A)−1〜5 上記ゴム状重合体存在下に単量体成分を重合した樹脂、
およびゴム状重合体を存在させずに単量体成分を重合し
た樹脂をそれぞれ得た。これらの樹脂の組成を表2に示
す。
【0013】
【表2】
【0014】重合体(A)−6 PA6として東レ社製、アミランCM1017を用い
た。重合体(A)−7 ε−カプロラクタムからなるPA6の低分子量体の分子
両末端をアジピン酸でカルボキシル化した後、ポリエチ
レングリコール(PEG1540)を添加し、エステル
化反応を行ないPA6/PEG比50/50のポリエー
テルエステルアミドエラストマーを得、ギ酸を用いて濃
度0.5g/100ml、25℃で測定したηsp/cは
2.10であった。銀系抗菌剤(B)−1〜3 (B−1):シナネンゼオミックス社製、ゼオミックX
AW10D(銀イオン交換タイプ) (B−2):富士シリシア化学社製、アメニトップV−
III (B−3):松下アムテック社製、アムテクリーンZ
MK11(C)成分 (C)−1:塩化カルシウム (C)−2:塩化マグネシウム滑 剤 滑剤としてヘキスト社製ワックスEを全例に1.0PH
R配合した。実施例1〜14、比較例1〜4 抗菌性組成物の調製 上記本発明の(A)、(B)、(C)成分を水分量0.
1%以下まで乾燥し表3の配合処方で混合し、ベント付
二軸押出機を用いて溶融混練りし、ペレット化した。得
られたペレットの水分量を0.1%以下まで乾燥し、射
出成形により抗菌性および成形品表面外観評価、さらに
熱変色性評価用試験片を成形し、上記評価方法で評価し
た。結果を表3に示した。
【0015】
【表3】
【0016】表3から明らかなように、本発明の抗菌性
樹脂組成物(実施例1〜14)は、いずれも抗菌性、成
形品表面外観および熱変色性に優れる。特に実施例3、
4は、本発明の(A)成分が塩凝固されたものであり、
蛍光X線分析からカルシウムを定量した結果から乳化剤
のカルシウム塩が1.5%含まれる。該化合物は本発明
の(C)成分に相当し、組成物中にすでに0.45含ま
れている。実施例3、4は、実施例5と比較して抗菌性
に優れる。これに対して比較例1は、本発明の(B)成
分の使用量が発明の範囲外で少ない例であり抗菌性が劣
る。比較例2は、本発明の(B)成分の使用量が発明の
範囲外で多い例であり成形品表面外観および熱変色性が
劣る。比較例3は、本発明の(C)成分の使用量が発明
の範囲外で少ない例であり抗菌性が劣る。比較例4は、
本発明の(C)成分の使用量が発明の範囲外で多い例で
あり成形品表面外観および熱変色性が劣る。
【0017】
【発明の効果】本発明の抗菌性樹脂組成物は、抗菌性、
成形品表面外観および熱変色性に優れ、広範囲の用途、
例えば加湿器、浄水器、エアコン、便座、文具、雑貨、
他の各種家電製品、電話器などの各パーツ、ハウジング
などに有用である。
フロントページの続き (72)発明者 古山 建樹 東京都中央区築地2丁目11番24号 日本合 成ゴム株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)熱可塑性樹脂100重量部、
    (B)銀系抗菌剤0.01〜5重量部、(C)2価以上
    のカチオン性金属イオンを有する金属塩0.001〜5
    重量部、上記(A)+(B)+(C)からなることを特
    徴とする抗菌性樹脂組成物。
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