JP2005239904A - 熱可塑性樹脂組成物及び成形品 - Google Patents
熱可塑性樹脂組成物及び成形品 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2005239904A JP2005239904A JP2004052403A JP2004052403A JP2005239904A JP 2005239904 A JP2005239904 A JP 2005239904A JP 2004052403 A JP2004052403 A JP 2004052403A JP 2004052403 A JP2004052403 A JP 2004052403A JP 2005239904 A JP2005239904 A JP 2005239904A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- mass
- thermoplastic resin
- parts
- resin composition
- antibacterial
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Abstract
【解決手段】
(A)ゲル含率が70質量%以上のジエン系ゴム質重合体の存在下に、芳香族ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体をグラフト重合して得られるゴム強化スチレン系樹脂(a−1)を主成分とする熱可塑性樹脂100質量部に対して、
(B)亜鉛を必須成分として含有する無機系複合物0.01〜5質量部を配合してなる熱可塑性樹脂組成物を用いる。
【選択図】 なし
Description
市販の抗菌剤は大別して有機系抗菌剤と無機系抗菌剤とに分類され、有機系抗菌剤は、人体に対する安全性に不安があり、また抗菌力も十分でないものが多い。これに対し、無機系抗菌剤は銀イオンに代表される金属イオンを用いており、安全性と抗菌力に優れている。従って、一般には、上記樹脂には、無機系抗菌剤が配合されたものが開発されている。
例えば特許文献1および特許文献2。
すなわち、本発明は、下記の熱可塑性樹脂組成物と、それを用いた成形品が提供される。
(B)亜鉛を必須成分として含有する無機系複合物0.01〜5質量部を配合してなる抗菌性熱可塑性樹脂組成物。
[2](A)非ジエン系ゴム質重合体の存在下に、芳香族ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体をグラフト重合して得られるゴム強化スチレン系樹脂(a−2)を主成分とする熱可塑性樹脂100質量部に対して、
(B)亜鉛を必須成分として含有する無機系複合物0.01〜5質量部を配合してなる抗菌性熱可塑性樹脂組成物。
[3](A)ゴム質重合体の存在下に、(メタ)アクリル酸エステル化合物50質量%以上を含むビニル単量体をグラフト重合して得られるゴム強化スチレン系樹脂(a−3)を主成分とする熱可塑性樹脂100質量部に対して、
(B)亜鉛を必須成分として含有する無機系複合物0.01〜5質量部を配合してなる抗菌性熱可塑性樹脂組成物。
[4]上記(a−3)が、成形品としたときの全光線透過率が70%以上、かつ曇価が25以下である上記[3]記載の抗菌性熱可塑性樹脂組成物。
[5]上記(B)の亜鉛の含有量は、酸化亜鉛換算で10〜90質量%の無機系複合物である上記[1]〜[4]のいずれかに記載の抗菌性熱可塑性樹脂組成物。
[6]上記(B)は、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化ナトリウム、リン酸カルシウム、及び酸化アルミニウムから選ばれた少なくとも1種の無機化合物を含有する無機系複合物である上記[1]〜[5]のいずれかに記載の抗菌性熱可塑性樹脂組成物。
[7]さらに、上記(A)熱可塑性樹脂100質量部に対して、(C)難燃剤1〜20質量部を配合してなる上記[1]〜[6]のいずれかに記載の抗菌性熱可塑性樹脂組成物。
[8]上記[1]〜[7]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を用いてなることを特徴とする成形品。
本発明の上記[1]の熱可塑性樹脂組成物に使用するゴム強化スチレン系樹脂(以下「(a−1)成分」ともいう)は、ゲル含量が70質量%以上のジエン系ゴム質重合体(イ−1)の存在下に、芳香族ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物と共重合可能な他の単量体を含むビニル単量体(ロ−1)を共重合して得られる重合体であり、好ましくは、ゴム強化スチレン系樹脂中のジエン系ゴム質重合体(イ−1)の含有量が3〜80質量%、更に好ましくは5〜70質量%、特に好ましくは10〜65質量%である。
尚、上記ゲル含率は、以下に示す方法により求めることができる。すなわち、ジエン系ゴム質重合体1gをトルエン100mlに投入し、室温で48時間静置したのち、100メッシュの金網(質量をW1グラムとする)で濾過したトルエン不溶分と金網を80℃で6時間真空乾燥して秤量(質量W2グラムとする)する。
ゲル含率(%)=[{W2(g)―W1(g)}/1(g)]×100
ゲル含率は、ジエン系ゴム質重合体の製造時に、分子量調節剤の種類及び量、重合時間、重合温度、重合転化率等を適宜設定することにより調整される。
(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等が挙げられ、これらは、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
不飽和酸化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸等が挙げられ、これらは、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
エポキシ基含有不飽和化合物としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられ、これらは、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
オキサゾリン基含有不飽和化合物としては、ビニルオキサゾリン等が挙げられ、これらは、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
酸無水物基含有不飽和化合物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられ、これらは、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
アミノ基・置換アミノ基含有不飽和化合物としては、アクリル酸アミノエチル、アクリル酸プロピルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸フェニルアミノエチル、N―ビニルジエチルアミン、N―アセチルビニルアミン、アクリルアミン、メタクリルアミン、N―メチルアクリルアミン、アクリルアミド、N―メチルアクリルアミド、p―アミノスチレン等があり、これらは、1種単独で、あるいは2種以上を組合わせて用いることができる。
重合開始剤としては、クメンハイドロパーオキサイド、p―メンタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、tert―ブチルハイドロパーオキサイド、過硫酸カリウム、アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。
また、重合開始助剤として、各種還元剤、含糖ピロリン酸鉄処方、スルホキシレート処方等のレドックス系を用いることが好ましい。
連鎖移動剤としては、オクチルメルカプタン、n―ドデシルメルカプタン、t―ドデシルメルカプタン、n―ヘキシルメルカプタン、ターピノーレン類等が挙げられる。
乳化剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム等の脂肪族スルホン酸塩、ラウリル酸カリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カリウム、パルミチン酸カリウム等の高級脂肪酸塩、ロジン酸カリウム等のロジン酸塩等を用いることができる。
重合温度は、好ましくは80〜140℃、更に好ましくは85〜120℃の範囲である。
重合に際し、重合開始剤を用いてもよいし、重合開始剤を使用せずに、熱重合で重合してもよい。重合開始剤としては、ケトンパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、ハイドロパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド等の有機過酸化物等が好ましく用いられる。
また、連鎖移動剤を用いる場合、例えば、メルカプタン類、ターピノーレン類、α―メチルスチレンダイマー等を用いることができる。
また、塊状重合、懸濁重合で製造する場合、溶液重合において説明した重合開始剤、連鎖移動剤等を用いることができる。
上記各重合法によって得た(a−1)成分中に残存する単量体量は、好ましくは10,000ppm以下、更に好ましくは5,000ppm以下である。
上記(a−1)成分のグラフト率は、好ましくは20〜200質量%、更に好ましくは30〜150質量%、特に好ましくは40〜120質量%であり、グラフト率は、以下に示す方法により求めることができる。
グラフト率(質量%)={(T−S)/S}×100
上記式中、Tは(a−1)成分1gをアセトン20mlに投入し、振とう機により2時間振とうした後、遠心分離機(回転数;23,000rpm)で60分間遠心分離し、不溶分と可溶分とを分離して得られる不溶分の質量(g)であり、Sは(a−1)成分1gに含まれるジエン系ゴム質重合体の質量(g)である。
本発明に関わる(a−1)成分中に分散するグラフト化ゴム質重合体粒子の平均粒径は、好ましくは500〜30,000Å、更に好ましくは1,000〜20,000Å、特に好ましくは、1,500〜8,000Åの範囲である。平均粒径は、電子顕微鏡を用いる公知の方法で測定できる。
また、本発明の(a−2)成分の重合方法等は、上記ゴム強化スチレン系樹脂(a−1)
で記載した方法で製造することができる。
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、ビニルトルエン、メチル−α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノメチルスチレン、ビニルピリジン、ビニルキシレンなどが挙げられ、特にスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレンが好ましい。
単量体成分中の芳香族ビニル化合物は10〜50質量%、好ましくは20〜30質量%である
酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などが挙げられ、無水マレイン酸が好ましい。
マレイミド系化合物としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどが挙げられ、N−フェニルマレイミドが好ましい。
で記載した方法で製造することができる。
また、本発明の(a−3)成分のグラフト率、アセトン可溶分の極限粘度〔η〕は、上記ゴム強化スチレン系樹脂(a−1)で記載した範囲のものである。
また、本発明の(a−3)成分の全光線透過率(Tt)は、成形品(厚み2.4mm)とした場合、好ましくは70%以上、さらに好ましくは75%以上、特に好ましくは80%以上である。
(1)メタクリル酸メチル(MMA)をグラフト重合したABS樹脂
(2)MMAをグラフト重合したABS樹脂とMMA−スチレン(ST)−アクリロニトリル(AN)の3元共重合体とのアロイ
(3)MMAをグラフト重合したAES樹脂
(4)スチレン−ブタジエンゴムにMMA−ST−ANをグラフト重合した樹脂
(5)スチレン−ブタジエン共重合体の水素添加物にMMA−ST−ANをグラフト重合した樹脂
具体的な組成としてZnO(10−20質量%)−B2O3(7.5質量%)−SiO2−MgO系ガラス/酸化亜鉛(60−70質量%)及びZnO(25質量%)Na2O−Al2O3−2SiO2−nH2O(45質量%)−Ca3(PO3)(30質量%)等が挙げられる。
(B)成分の平均粒子径は、0.2〜15μmが好ましい。より好ましくは1〜10μmである。平均粒子径が0.2μm未満であるか、あるいは15μmを超えると、樹脂添加時における分散不良が起こりやすくなる。10μmを超えると、成形品の機械的物性が低下する。市販品としては、例えば、商品名バクテキラーBM−102VT、同BM−102TG:カネボウ化成株式会社製、及び、商品名ノバロンVZ100、同VZF101等:東亜合成株式会社製等が挙げられる。
有機系難燃剤としては、ブロム化ビスフェノール系エポキシ樹脂、ブロム化ビスフェノール系フェノキシ樹脂、ブロム化ビスフェノール系ポリカーボネート樹脂、ブロム化ポリスチレン樹脂、ブロム化架橋ポリスチレン樹脂、ブロム化ビスフェノールシアヌレート樹脂、ブロム化ポリフェニレンエーテル、デカブロモジフェニルオキサイド、テトラブロモビスフェノールA及びそのオリゴマー、ブロム化アルキルトリアジン化合物等のハロゲン系難燃剤;トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリプロピルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリペンチルホスフェート、トキヘキシルホスフェート、トリシクロヘキシルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ジクレジルフェニルホスフェート、ジメチルエチルホスフェート、メチルジブチルホスフェート、エチルジプロピルホスフェート、ヒドロキシフェニルジフェニルホスフェート等のリン酸エステルやこれらを各種置換基で変性した化合物、各種の縮合型のリン酸エステル化合物、リン元素と窒素元素を含むホスファゼン誘導体等のリン系難燃剤;ポリテトラフルオロエチレン等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記反応系難燃剤としては、テトラブロモビスフェノールA、ジブロモフェノールグリシジルエーテル、臭素化芳香族トリアジン、トリブロモフェノール、テトラブロモフタレート、テトラクロロ無水フタル酸、ジブロモネオペンチルグリコール、ポリ(ペンタブロモベンジルポリアクリレート)、クロレンド酸(ヘット酸)、無水クロレンド酸(無水ヘット酸)、臭素化フェノールグリシジルエーテル、ジブロモクレジルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
又、更に難燃性を向上させる目的から、ドリッピング防止剤、アンチモン化合物等を配合することができ、これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。ここで使用されるドリッピング防止剤としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレン等のフッ素系樹脂、アンチモン化合物としてはSb2O3等が挙げられ、これらは、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることが出来る。これらのドリッピング防止剤は、本発明の(A)熱可塑性樹脂100質量部に対して0.01〜3質量部の範囲で用いることが好ましい。
アンチモン化合物は、本発明の(A)熱可塑性樹脂100質量部に対して0.01〜10質量部の範囲で用いることが好ましい。
更に、各々の成分を混練するに際して、それらの成分を一括して混練してもよく、多段、分割配合して混練してもよい。
また、上記充填材の分散性を向上させる目的から、公知のカップリング剤、表面処理剤、収束剤等で処理したものを用いることもでき、公知のカップリング剤としては、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等がある。上記無機・有機充填材は、本発明の熱可塑性樹脂組成物100質量部に対して、1〜100質量部の範囲で通常使用される。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形材料として使用する場合、該組成物中のゴム質含量は好ましくは1〜40質量%、更に好ましくは3〜35質量%、特に好ましくは5〜30質量%である。
(1)ゴム質重合体のゲル含率;
上記したため省略する。
(2)ゴム質重合体ラテックスの平均粒子径;
(A)成分の形成に用いるゴム質重合体ラテックスの平均粒子径は、光散乱法で測定した。測定機は、大塚電子社製LPA―3100型を使用し、70回積算でミュムラント法を用いた。尚、(A)成分中の分散グラフト化ゴム質重合体粒子の粒子径は、ラテックス粒子径とほぼ同じであることを電子顕微鏡で確認した。
(3)(A)成分のグラフト率;上記したため省略する。
(4)(A)成分のアセトン可溶分の極限粘度〔η〕;上記したため省略する。
ISO試験法179に準拠して、ノッチ付きシャルピー衝撃強さ(KJ/m2)を測定した。
(6)曇価(Haze)
厚み2.4mmの試験片を使用し、ASTM D1003に準拠して測定した。単位は%である。
(7)全光線透過率(Tt)
厚み2.4mmの試験片を使用し、ASTM D1003に準拠して測定した。単位は%である。
(8)抗菌性
肉厚1.6mm×50mm×50mmの平板成形品を使用し、JIS Z2801 2000−5.2のプラスチック製品などの試験方法に従い、抗菌剤未配合材料と抗菌剤配合材料の23℃の蒸留水に16時間浸漬後の生菌数の増減値差を測定した。菌株種として、大腸菌(IF O3972)及び黄色ブドウ球菌(IFO 12732)を使用した。
試験片の成形条件ペレット状の熱可塑性樹脂組成物である成形材料を用いて、3.5オンス射出成形機を用い、下記の条件1及び2により縦50mm、横80mm、厚さ2.5mmの試験片を得た。色調測定の試験片は、条件1では10ショット目、条件2では2ショット目の成形品とした。条件1;シリンダー温度230℃、射出・保在時間10秒、冷却時間20秒、その他20秒からなる50秒サイクルで15ショット連続成形を行った。条件2;シリンダー温度230℃で、成形材料をシリンダー内に最大量食い込ませ、15分間滞留させ、射出・保在時間10秒、冷却時間20秒でスクリューを回転させずに5ショット成形を行った。色調差ΔEの測定条件上記の条件1及び2の色調差ΔEを、須賀試験機社製分光測色計を用いて求めた。ΔEが小さいほど変色性 に優れる。
(10)難燃性
UL94規格に定められた方法により、長さ127×幅13×厚み2mmの試験片について垂直燃焼試験を行った。
(1)(A)成分
製造例;ABS樹脂(a−1)
撹拌機を備えた内容積7Lのガラス製フラスコに窒素気流中で、イオン交換水75部、ロジン酸カリウム0.5部、tert―ドデシルメルカプタン0.1部、ポリブタジエンラテックス(平均粒子径;3500Å、ゲル含率;85%)40部(固形分)、スチレン15部、アクリロニトリル5部を加え、撹拌しながら昇温した。内温が45℃に達した時点で、ピロリン酸ナトリウム0.2部、硫酸第一鉄7水和物0.01部、及びブドウ糖0.2部をイオン交換水20部に溶解した溶液を加えた。その後、クメンハイドロパーオキサイド0.07部を加えて重合を開始した。1時間重合させた後、更にイオン交換水50部、ロジン酸カリウム0.7部、スチレン30部、アクリロニトリル10部、tert―ドデシルメルカプタン0.05部及びクメンハイドロパーオキサイド0.01部を3時間かけて連続的に添加し、更に1時間重合を継続させた後、2、2′―メチレンービス(4―エチルー6−tert―ブチルフェノール)0.2部を添加し重合を完結させた。反応生成物のラテックスを硫酸水溶液で凝固、水洗した後、乾燥してABS樹脂(a−1)を得た。この樹脂のグラフト率は68%、アセトン可溶分の極限粘度〔η〕は、0.45dl/gであった。
内容積30Lのリボン翼を備えたジャケット付き重合反応容器を2基連結し、窒素置換した後、1基目の反応容器にスチレン75部、アクリロニトリル25部、トルエン20部を連続的に添加した。分子量調節剤としてtert―ドデシルメルカプタン0.12部及びトルエン5部の溶液、及び重合開始剤として、1、1′―アゾビス(シクロヘキサンー1−カーボニトリル)0.1部、及びトルエン5部の溶液を連続的に供給した。1基目の重合温度は、110℃にコントロールし、平均滞留時間2.0時間、重合転化率57%であった。得られた重合体溶液は、1基目の反応容器の外部に設けたポンプにより、スチレン、アクリロニトリル、トルエン、分子量調節剤、及び重合開始剤の供給量と同量を連続的に取り出し2基目の反応容器に供給した。2基目の反応容器の重合温度は、130℃で行い、重合転化率は75%であった。2基目の反応容器で得られた共重合体溶液は、2軸3段ベント付き押出機を用いて、直接未反応単量体と溶剤を脱揮し、極限粘度〔η〕0.48のAS樹脂を得た。
リボン型攪拌翼、助剤連続添加装置、温度計を装備した容積20リットルのステンレス製オートクレーブに、エチレン・プロピレン系ゴム質重合体(JSR製、商品名「EP84」)を20部、スチレン56部、アクリロニトリル24部、トルエン110部を仕込み、内温を75℃に昇温して、オートクレーブ内容物を1時間攪拌して均一溶液とした。この後、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート0.45部を添加し、内温を更に昇温し、100℃に達した後は、この温度に保持しながら、攪拌回転数100rpmとして重合反応を行った。重合反応が開始してから4時間目から、内温を120℃に昇温し、この温度に保持しながら更に2時間反応を行って終了した。グラフト率は55%であった。内温を100℃まで冷却した後、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)−プロピオネート0.2部添加した後、反応混合物をオートクレーブより抜き出し、水蒸気蒸留により未反応物と溶媒を留去し、40mmφベント付押出機でシリンダー温度を220℃、真空度を700mmHgとして、揮発分を実質的に脱揮させ、ペレット化し、エチレン・プロピレン系ゴム強化樹脂(a−2−1)を得た。
アクリル酸n−ブチル99部、アリルメタクリレート1部を乳化剤として不均化ロジン酸カリウム、重合開始剤として過硫酸カリウムを用い、重合温度80℃で乳化重合を行いアクリル系ゴム質重合体ラテックスを得た。得られたアクリル系ゴム質重合体粒子の重量平均粒子径は284nmであった。
スチレン74部、及びアクリロニトリル26部を混合して、単量体混合物を調製した。ガラス製反応器に上記製造例4のアクリル系ゴム質重合体ラテックス100部(固形分換算)と水110部を仕込み、攪拌しつつ、窒素気流下、40℃に昇温した。40℃に達した時点で、20部の水に、ブドウ糖0.3部とピロリン酸ナトリウム1.2部、硫酸第一鉄0.01部を溶解した水溶液、及び、30部の水にt−ブチルハイドロパーオキサイド(以下、BHPと略記する。)0.4部、不均化ロジン酸カリウム2.4部を溶解した水溶液を反応器に仕込み、その直後に単量体混合物を、3時間/3時間30分にわたって連続添加し、重合を開始した。重合開始から75℃まで昇温し、その後、75℃で保持した後に重合を終了した。重合添加率は98%であった。この共重合ラテックスを凝固、水洗、乾燥し、粉末状のアクリルゴム系強化樹脂(a−2−2)を得た。
リボン型攪拌翼を備えた内容積10リットルのステンレス製オートクレーブに、水添ブロック共重合体(JSR製、商品名「ダイナロン4600P」)を30部、メタクリル酸メチル50部、スチレン10部、アクリロニトリル10部、トルエンを120部仕込み、攪拌により溶解させ均一溶液を得た後、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート0.5部、t−ドデシルメルカプタン0.1部を添加し、攪拌を続けながら昇温し、100℃に達した後は温度一定に制御しながら、攪拌回転数200rpmにて重合反応を行った。反応を6時間行って終了した。重合添加率は85%であった。また、グラフト率は42%であった。
100℃まで冷却後、2,2−メチレンビス−4−メチル−6−ブチルフェノール0.2部を添加した後、反応混合物をオートクレーブより抜き出し、水蒸気蒸留により、未反応物と溶媒を留去し、細かく粉砕した後、40mmφの真空ベント付き押出機(220℃、700mmHg真空)にて、実質的に揮発分を脱揮させ、ペレットし、水素添加系ゴム強化透明樹脂(a−3−1)を得た。
攪拌機を備えた内容積7リットルのガラス製フラスコに、前記(a−1)で使用したポリブタジエン15部(固形分換算)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.5部、t−ドデシルメルカプタン0.1部、およびイオン交換水100部を混合し、スチレン5部、アクリロニトリル5部およびメタクリル酸メチル10部を加えた。攪拌しながら45℃まで昇温後、エチレンジアミン4酢酸ナトリウム0.1部、硫酸第1鉄0.003部、ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシレート・2水和物0.2部およびイオン交換水15部よりなる活性剤水溶液、ならびにジイソプロプルベンゼンハイドロパーオキサイド0.1部を添加し、1時間反応を続けた。
スチレン13部、アクリロニトリル18部、メタクリル酸メチル59部、α−メチルスチレン10部をジクミルパーオキサイドを用いて溶液重合法で重合した。得られた共重合体の極限粘度〔η〕は、0.5dl/gであった。
(B)成分;
B−1:商品名:ノバロンVZ−HK 東亜合成(株)製
B−2:商品名:バクテキラー BM−102VT カネボウ化成(株)製
B−3:Ag系抗菌剤 商品名:ゼオミックXAW10D 株式会社シナネンゼオミック製
(C)成分;
C−1:難燃剤 商品名:東都化成製 エピコート5203
C−2:難燃剤 商品名:大八化学製PX−200
(4)その他成分;
D−1:難燃助剤 三酸化アンチモン 日本精鉱製PATOX−M
D−2:難燃助剤 大日化学工業製 T6CJM5
D−3:亜鉛華 堺化学社製
表1(表2)記載の配合割合で、ヘンシエルミキサーにより混合した後、二軸押出機(シリンダー設定温度240℃)を用いて溶融混練し、ペレット化した。得られたペレットを十分に乾燥した後、射出成形(シリンダー設定温度230℃)により評価用試験片を作製した。
この試験片を用い、上記の評価方法で、耐衝撃性、透明性(曇価及び全光線透過率)、耐変色生、抗菌持続性、及び難燃性を評価した。評価結果を表1と表2に示した。
本発明の実施例の成形品は、耐衝撃性、耐変色性、水浸漬後の抗菌持続性に優れている。
一方、比較例1〜4の成形品は、本発明の(B)成分をAg系抗菌剤に替えたものであり、比較例6は更に亜鉛華を配合したものであるが、いずれも本発明に比べて水浸漬後の抗菌持続性及び耐変色性が劣ることことが分る。また、実施例5および実施例8の透明性
優れた樹脂の場合には、本発明の(B)成分をAg系抗菌剤に替えた場合(比較例2及び比較例4)に比べて透明性に優れることも明らかである。
Claims (8)
- (A)ゲル含率が70質量%以上のジエン系ゴム質重合体の存在下に、芳香族ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体をグラフト重合して得られるゴム強化スチレン系樹脂(a−1)を主成分とする熱可塑性樹脂100質量部に対して、
(B)亜鉛を必須成分として含有する無機系複合物0.01〜5質量部を配合してなる抗菌性熱可塑性樹脂組成物。 - (A)非ジエン系ゴム質重合体の存在下に、芳香族ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体をグラフト重合して得られるゴム強化スチレン系樹脂(a−2)を主成分とする熱可塑性樹脂100質量部に対して、
(B)亜鉛を必須成分として含有する無機系複合物0.01〜5質量部を配合してなる抗菌性熱可塑性樹脂組成物。 - (A)ゴム質重合体の存在下に、(メタ)アクリル酸エステル化合物50質量%以上を含むビニル単量体をグラフト重合して得られるゴム強化スチレン系樹脂(a−3)を主成分とする熱可塑性樹脂100質量部に対して、
(B)亜鉛を必須成分として含有する無機系複合物0.01〜5質量部を配合してなる抗菌性熱可塑性樹脂組成物。 - 上記(a−3)が、成形品としたときの全光線透過率が70%以上、かつ曇価が25以下である請求項3記載の抗菌性熱可塑性樹脂組成物。
- 上記(B)の亜鉛の含有量は、酸化亜鉛換算で10〜90質量%の無機系複合物である請求項1〜4のいずれかに記載の抗菌性熱可塑性樹脂組成物。
- 上記(B)は、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化ナトリウム、リン酸カルシウム、及び酸化アルミニウムから選ばれた少なくとも1種の無機化合物を含有する無機系複合物である請求項1〜5のいずれかに記載の抗菌性熱可塑性樹脂組成物。
- さらに、上記(A)熱可塑性樹脂100質量部に対して、(C)難燃剤1〜20質量部を配合してなる請求項1〜6のいずれかに記載の抗菌性熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を用いてなることを特徴とする成形品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004052403A JP2005239904A (ja) | 2004-02-26 | 2004-02-26 | 熱可塑性樹脂組成物及び成形品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004052403A JP2005239904A (ja) | 2004-02-26 | 2004-02-26 | 熱可塑性樹脂組成物及び成形品 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005239904A true JP2005239904A (ja) | 2005-09-08 |
Family
ID=35021968
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004052403A Pending JP2005239904A (ja) | 2004-02-26 | 2004-02-26 | 熱可塑性樹脂組成物及び成形品 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005239904A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009227738A (ja) * | 2008-03-19 | 2009-10-08 | Fuji Chemical Kk | 難燃性及び抗菌性を有する熱可塑性樹脂組成物、並びにその製造方法 |
KR20170069456A (ko) * | 2015-12-11 | 2017-06-21 | 주식회사 엘지화학 | 열가소성 수지 조성물 및 이를 포함하는 성형품 |
WO2019078479A1 (ko) * | 2017-10-19 | 2019-04-25 | 롯데첨단소재(주) | 열가소성 수지 조성물 및 이로부터 형성된 성형품 |
WO2020138759A1 (ko) * | 2018-12-27 | 2020-07-02 | 롯데케미칼 주식회사 | 열가소성 수지 조성물 및 이로부터 제조된 성형품 |
US10829628B2 (en) | 2016-12-28 | 2020-11-10 | Lotte Chemical Corporation | Thermoplastic resin composition and molded article manufactured therefrom |
US11505674B2 (en) | 2017-11-08 | 2022-11-22 | Lotte Chemical Corporation | Thermoplastic resin composition and molded article produced from same |
-
2004
- 2004-02-26 JP JP2004052403A patent/JP2005239904A/ja active Pending
Cited By (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009227738A (ja) * | 2008-03-19 | 2009-10-08 | Fuji Chemical Kk | 難燃性及び抗菌性を有する熱可塑性樹脂組成物、並びにその製造方法 |
KR20170069456A (ko) * | 2015-12-11 | 2017-06-21 | 주식회사 엘지화학 | 열가소성 수지 조성물 및 이를 포함하는 성형품 |
CN107207825A (zh) * | 2015-12-11 | 2017-09-26 | 株式会社Lg化学 | 热塑性树脂组合物和包含该热塑性树脂组合物的模制品 |
KR101897324B1 (ko) * | 2015-12-11 | 2018-09-11 | 주식회사 엘지화학 | 열가소성 수지 조성물 및 이를 포함하는 성형품 |
US10196511B2 (en) | 2015-12-11 | 2019-02-05 | Lg Chem, Ltd. | Thermoplastic resin composition and molded product article including the same |
CN107207825B (zh) * | 2015-12-11 | 2019-07-16 | 株式会社Lg化学 | 热塑性树脂组合物和包含该热塑性树脂组合物的模制品 |
US10829628B2 (en) | 2016-12-28 | 2020-11-10 | Lotte Chemical Corporation | Thermoplastic resin composition and molded article manufactured therefrom |
WO2019078479A1 (ko) * | 2017-10-19 | 2019-04-25 | 롯데첨단소재(주) | 열가소성 수지 조성물 및 이로부터 형성된 성형품 |
US11505674B2 (en) | 2017-11-08 | 2022-11-22 | Lotte Chemical Corporation | Thermoplastic resin composition and molded article produced from same |
WO2020138759A1 (ko) * | 2018-12-27 | 2020-07-02 | 롯데케미칼 주식회사 | 열가소성 수지 조성물 및 이로부터 제조된 성형품 |
CN113260671A (zh) * | 2018-12-27 | 2021-08-13 | 乐天化学株式会社 | 热塑性树脂组合物和由其生产的模制品 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US10053573B1 (en) | Thermoplastic resin composition and method of preparing the same | |
JP2008150593A (ja) | 金属メッキ用樹脂組成物、その成形品及び金属メッキ成形品 | |
JP2005307180A (ja) | 熱可塑性樹脂組成物 | |
EP2743311B1 (en) | Alkyl (meth)acrylate-based thermoplastic resin composition and thermoplastic resin having adjusted scratch resistance and yellowness | |
US4888387A (en) | Resin composition comprising a polyamide or polycarbonate | |
JP2005239904A (ja) | 熱可塑性樹脂組成物及び成形品 | |
EP0315490A2 (en) | Matte thermoplastic resin composition | |
JP2000290462A (ja) | 難燃性樹脂組成物 | |
JP3283461B2 (ja) | ゴム変性スチレン系樹脂組成物 | |
KR101931585B1 (ko) | 열가소성 수지 조성물 및 이로부터 제조된 성형품 | |
JP3080217B2 (ja) | 熱可塑性共重合体及びそれを用いた熱可塑性樹脂組成物 | |
JP2004027044A (ja) | 難燃性熱可塑性樹脂組成物 | |
US5990240A (en) | Rubber-containing resin composition and styrene resin composition containing the same | |
JP3850504B2 (ja) | 熱可塑性樹脂組成物 | |
JPWO2020196432A1 (ja) | 熱可塑性樹脂組成物およびその成形品 | |
JP2005290179A (ja) | 熱可塑性樹脂組成物及び成形品 | |
JP2009019083A (ja) | 熱可塑性樹脂組成物 | |
JP2001214023A (ja) | 熱可塑性樹脂組成物 | |
JP2001226556A (ja) | 難燃性熱可塑性樹脂組成物 | |
JPH07331025A (ja) | 二次加工用熱可塑性樹脂組成物 | |
JP3509334B2 (ja) | 熱可塑性樹脂組成物 | |
KR20080017778A (ko) | 투명성과 내열성이 우수한 열가소성 수지 조성물 | |
JP2005272496A (ja) | フィルム | |
JPS59217747A (ja) | 塩化ビニル系樹脂組成物 | |
JPH0971702A (ja) | 耐熱性熱可塑性樹脂組成物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Written amendment |
Effective date: 20060428 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20061211 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20090410 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20090414 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Effective date: 20090415 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20090811 |