JP3283461B2 - ゴム変性スチレン系樹脂組成物 - Google Patents

ゴム変性スチレン系樹脂組成物

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JP3283461B2
JP3283461B2 JP02342698A JP2342698A JP3283461B2 JP 3283461 B2 JP3283461 B2 JP 3283461B2 JP 02342698 A JP02342698 A JP 02342698A JP 2342698 A JP2342698 A JP 2342698A JP 3283461 B2 JP3283461 B2 JP 3283461B2
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慶▲梁▼ 王
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奇美実業股▲分▼有限公司
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は特定のゴム変性スチ
レン系樹脂組成物に関するもので、特に優れた落球衝撃
強度、高い抗張強度、良好な流動性を持ち、しかも、そ
の成形品が塗装した後においても、優れた低温落球衝撃
強度を保持する樹脂組成物に関する
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】スチレ
ン系樹脂組成物としては、ゴム状グラフト共重合体をス
チレン系共重合体のマトリックス中に分散させて得られ
る一種の耐衝撃性を持つ樹脂組成物が知られている。応
用上において家電製品のハウジング及び自動車の内装用
成形品に使用され、この種の樹脂材料は必ず同時に耐衝
撃性及び高抗張強度等の特性を持つが、ABS樹脂はこ
の要求に適する典型的なスチレン系樹脂組成物であり、
長い間に亘り広範囲に使われている。また、近年になっ
て、製品の外観及び付加価値がますます重視されるた
め、成形品に対して塗装加工することが一般的となって
いるが、成形品を塗装した後、樹脂の耐衝撃強度は大幅
に低下し、特に低温における落球衝撃強度は一層低くな
る。一般にスチレン系樹脂の耐衝撃性は樹脂のゴム含有
量あるいはゴムの平均粒径に関係すると言われており、
ゴムの含有量あるいは平均粒径の増加は衝撃強度の改善
をもたらすが、樹脂の剛性、流動性及び光沢度に不良な
影響を与えることがあるため、如何にして高い落球衝撃
強度、高い抗張強度を持ち、しかも、成形塗装の後にお
いても優れた低温における落球衝撃強度を保持する樹脂
材料を作り出すことが本技術領域において長年前から突
破解決を持つ課題である。
【0003】本発明の主要な目的は優れた落球衝撃強
度、高い抗張強度及び高い光沢度を持ち、しかも、成形
塗装の後においても優れた低温における落球衝撃強度を
保持するゴム変性スチレン系樹脂組成物を提供すること
である。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は一種の優れた落
球衝撃強度、高抗張強度、良好な光沢度も持ち、かつ、
成形品を塗装した後においても、優れた低温落球衝撃強
度を保有するゴム変性スチレン系樹脂組成物を提供し、
それはブタジエン系ゴム粒子をスチレン系共重合体のマ
トリックス中に分散して形成される。
【0005】すなわち、本発明は、アクリロニトリル系
単量体及び/又は(メタ)アクリル酸エステル系単量体
10〜50重量%、スチレン系単量体50〜90重量%並びに必
要に応じて添加されるその他の共重合可能な不飽和ビニ
ル系単量体0〜40重量%を含む単量体混合物を共重合し
て得られたスチレン−アクリル系共重合体のマトリック
スと該マトリックスに分散するブタジエン系ゴム粒子と
を含んでなる樹脂組成物において、ゴム粒子の粒子径及
び分散計数が下式を満足することを特徴とするゴム変性
スチレン系樹脂組成物を提供するものである。 D.P=4×(1/L)+10A+50B+50C 〔D.Pは分散係数で、その値は53〜65の範囲にあり、
Aは粒子径0.12μm以下のゴム粒子がゴム粒子全体にお
いて占める分率で、その値は0.1〜0.85の間にあり、B
は粒子径0.12μm超0.5μm未満のゴム粒子がゴム粒子
全体において占める分率で、その値は0.05〜0.85の間に
あり、Cは粒子径0.5μm以上のゴム粒子がゴム粒子全
体において占める分率で、その値は0.01〜0.2の間にあ
り、Lは平均ゴム粒子間の距離(μm)である。〕。
【0006】上記の組成で同時に高い落球衝撃強度、高
い抗張強度、高い光沢度等の特質を持ち、しかも、成形
品の塗装後においても良好な低温における落球衝撃強度
を保持するゴム変性スチレン系樹脂組成物を製造するこ
とができる。
【0007】本発明のスチレン系共重合体は合計100重
量%としてスチレン系単量体が50〜90重量%、アクリロ
ニトリル系単量体及び/又は(メタ)アクリル酸エステ
ル単量体10〜50重量%、及び必要に応じて添加されるそ
の他の共重合可能な不飽和ビニル系単量体0〜40重量%
より構成される。また、本発明のスチレン系共重合体の
平均分子量は40,000〜300,000の間で、好ましくは60,00
0〜250,000である。
【0008】本発明に用いられるスチレン系単量体は、
スチレン、α−メチルスチレン、α−クロロスチレン、
p−t−ブチルスチレン、p−メチルスチレン、o−ク
ロロスチレン、p−クロロスチレン、2,5−ジクロロ
スチレン、3,4−ジクロロスチレン、2,4,6−ト
リブロムスチレン、2,5−ジブロムスチレン、ジビニ
ルベンゼン等であり、そのうち、スチレン又はスチレン
とα−メチルスチレンを併用するのが好ましい。
【0009】アクリロニトリル系単量体としてはアクリ
ロニトリル、メタクリロニトリルがあり、中でもアクリ
ロニトリルが好ましい。一方、(メタ)アクリル酸エス
テル系単量体としては(メタ)アクリル酸メチル、(メ
タ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、
(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ベンジ
ル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸
シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メ
タ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリ
ル酸グリシジル、α−(メタ)アクリルオキシプロピル
トリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸ジメチルアミ
ノエチル等があり、そのうち、メタクリル酸メチルが特
に好ましい。
【0010】本発明に用いられる共重合可能な不飽和ビ
ニル系単量体には以下のものが含まれる。例えば、マレ
イミド系単量体、アクリル酸、メチルアクリル酸、マレ
イン酸無水物等である。
【0011】マレイミド系単量体としては、マレイミ
ド、N−メチルマレイミド、N−イソプロピルマレイミ
ド、N−ブチルマレイミド、N−ヘキシルマレイミド、
N−オクチルマレイミド、N−ドデシルマレイミド、N
−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミ
ド、N−2,3−ジメチルフェニルマレイミド、N−
2,4−ジメチルフェニルマレイミド、N−2,3−ジ
エチルフェニルマレイミド、N−2,4−ジエチルフェ
ニルマレイミド、N−2,3−ジブチルフェニルマレイ
ミド、N−2,4−ジブチルフェニルマレイミド、N−
2,6−ジメチルフェニルマレイミド、N−2,3−ジ
クロロフェニルマレイミド、N−2,4−ジクロロフェ
ニルマレイミド、N−2,3−ジブロモフェニルマレイ
ミド、N−2,4,6−トリブロモフェニルマレイミド
等があり、中でもN−フェニルマレイミドが最良であ
る。
【0012】スチレン系共重合体のマトリックス中に分
散されるブタジエン系ゴム粒子はゴム状グラフト共重合
体である。ブタジエン系ゴムからゴム状グラフト共重合
体をつくるのはブタジエン系ゴムの存在下で各種の単量
体の混合物、即ち、スチレン系単量体、アクリロニトリ
ル系単量体及び/又は(メタ)アクリル酸エステル系単
量体及び必要に応じてこれらと共重合可能な不飽和ビニ
ル系単量体を重合することによる。
【0013】ゴム状グラフト共重合体をつくる代表的な
方法としては、ブタジエン系ゴム(通常架橋されてい
る)の乳液の存在下で前記各種の単量体の混合物を乳化
状態で重合させる方法、即ち乳化重合法と、溶剤可溶性
のブタジエン系ゴムを前記の如き各種の単量体の混合物
と必要あれば有機溶剤を加えてブタジエン系ゴムの溶液
をつくり、これを重合させる方法、即ち塊状又は溶液重
合法がある。
【0014】ゴム状グラフト共重合体を乳化重合法でつ
くる場合に用いるブタジエン系ゴムは、1,3−ブタジ
エン100〜50重量%及び−CH=C<基を有する共重合
可能な単量体0〜50重量%で構成される。例えば、ポリ
ブタジエン、ブタジエン−スチレン、ブタジエン−ビニ
ルトルエン共重合体等のブタジエン−ビニル芳香族共重
合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ブタジ
エン−メタクリロニトリル共重合体等のブタジエン−不
飽和ニトリル系化合物重合体、ブタジエン−アクリル酸
メチル共重合体、ブタジエン−アクリル酸エチル共重合
体、ブタジエン−アクリル酸ブチル共重合体、ブタジエ
ン−アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体等のブタジ
エン−アルキルアクリレート共重合体、ブタジエン−メ
タクリル酸メチル共重合体、ブタジエン−メタクリル酸
エチル共重合体等のブタジエン−アルキルメタクリレー
ト共重合体及びブタジエン50重量%以上の三元以上の共
重合体がある。なお、ブタジエン系ゴムとしてはガラス
転移温度が0℃以下のものが使用される。
【0015】上記のブタジエン系ゴムは乳化、溶液ある
いは塊状等の重合方法で製造する。乳化重合法で調整す
るときに単量体を直接、乳化重合して必要なゴム粒径を
持つゴム乳液を製造する。あるいは単量体を乳化重合法
により小さい粒径を持つゴム乳液に調整してから、更に
冷凍法又はホモジナイザー処理法あるいは添加剤凝集法
により、上記小粒径のゴム粒子を凝集肥大化させて、必
要なゴム粒径の粒子を作り、次のグラフト共重合反応に
準備する。添加剤凝集法中において、使用する添加剤は
無水酢酸、塩酸、硫酸などの酸性物質あるいは塩化ナト
リウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシ
ウム等の無機塩類物質、あるいはメタクリル酸−アクリ
レート系共重合体(例えば、メタクリル酸−アクリル酸
ブチル共重合体)等のカルボキシル基を含む高分子凝集
体などである。
【0016】本発明のブタジエン系ゴム乳液の製造は乳
化剤添加方法、反応速度及び単量体の転化率の変更など
で所用粒径分布のゴムラテックスを作ることができる。
【0017】上記のゴム状重合体は部分架橋してもよ
い。架橋剤の量はゴム状重合体に対して0〜2重量%
で、一般にブタジエン系ゴムで使用する架橋剤はすべて
使用できる。例えば、ジビニルベンゼン(Divinyl benze
n)、マレイン酸ジアリル(Diallylmaleate)、フマル酸ジ
アリル(Diallyl fumarate)、アクリル酸アリル、テトラ
エチレングリコールジメタクリレート等がある。上記ブ
タジエン系ゴム乳液のゲル含有量はゴムの膨潤度に関係
あるが特別な制限はない。だが、ゲル含有量は30〜90%
が最も適当で、一方、ベンゼンを溶媒としたゴム膨潤度
は20〜60で最適である。
【0018】また、そのゴム状グラフト共重合体はブタ
ジエン系ゴムの存在下において、スチレン系単量体50〜
90重量%、アクリロニトリル系単量体及び/又はメタク
リル酸エステル系単量体10〜50重量%及びその他の共重
合可能な単量体0〜40重量%をグラフト重合して得られ
たものである。グラフト共重合体の調製は公知のグラフ
ト共重合技術を用いて、ゴム状重合体の存在下で単量体
混合物をグラフト重合化反応させ、化学結合でスチレン
系重合体をゴム状重合体にグラフト結合させる。ゴム状
グラフト共重合体に占めるブタジエン系ゴムの割合は通
常20〜90重量%である。
【0019】単量体とゴム状重合体の比率及び重合条件
によって必要なある程度のグラフト重合したゴム状グラ
フト共重合体を得ることができる。通常、グラフト重合
反応中の重合条件、ゴム状重合体の化学構造、ゴム粒
径、単量体の仕込速度及び連鎖移動剤等の諸因子の組み
合わせ次第で所定のグラフト率を得ることができる。通
常、ゴム粒子の平均粒径が0.05〜0.5μmのものが使わ
れる。
【0020】上記のグラフト重合反応において、添加す
る開始剤は通常単量体に対して0.01〜5.0重量%の範囲
であり、最も良い量は0.1〜3.0重量%である。その添加
量は単量体の重合反応に応じて決めるが、グラフト重合
反応を進みやすくするため、開始剤を増量することもあ
る。また、グラフト重合体の分子量は反応の温度をコン
トロールすることにより、及び/又は少量の慣用の分子
量調整剤を添加することにより調整することができる。
この分子量調整剤としてはメルカプタン、ハロゲン化物
及びテルペン等があり、具体的な例を挙げると、n−ド
デシルメルカプタン、四臭化炭素、タービノーレン及び
α−メチルスチレンダイマー(2,4−ジフェニル−4
−メチル−1−ペンテン)等がある。
【0021】このグラフト重合反応は単量体混合物を連
続的にあるいは段階的に重合反応中に加えるのが普通で
あり、更に開始剤をも連続的にあるいは段階的に加える
のが望ましい。上記開始剤としては各種の乳化フリーラ
ジカル重合反応の開始剤を使用する。例えば、過酸化物
及びアゾ化合物で、その添加方式は一次的にあるいは連
続的にあるいは段階的に加入する等を採用する。適当な
過酸化物開始剤は例えばアルカリ金属過酸化物、過硫酸
塩、過硼酸塩、過酢酸塩、過炭酸塩、過酸化水素等を使
用し、また他の油溶性開始剤を使う。例えば、ジ−tert
−ブチルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ラウ
ロイルペルオキシド、オレイルペルオキシド、クメンヒ
ドロペルオキシド、テトラブチルヒドロペルオキシド、
また、その他の方式のフリーラジカルの触媒も使用され
る(例えば、光照射等)。
【0022】上記ゴムラテックスと単量体混合物のグラ
フト重合反応は不活性ガス雰囲気中、20℃〜100℃の温
度下で撹拌する。又は加圧して、0〜100P.S.I.Gまでに
する。その重合時間は通常2〜10時間を必要とする。そ
のうち、4〜9時間が最適である。
【0023】本発明においてゴム状グラフト共重合体を
塊状、あるいは溶液重合法により重合して製造する場合
は、ゴム状重合体3〜30重量%と、単量体合計に対して
スチレン系単量体50〜90重量%、アクリロニトリル系単
量体及びメタクリル酸エステル系単量体10〜50重量%並
びにその他の共重合可能な単量体0〜40重量%よりなる
単量体97〜70重量%を用いる。その製造方法はゴム状重
合体を予め単量体又は単量体と溶剤の混合液中に溶解
し、ポンプで反応槽に入れてグラフト重合反応させる。
反応器は多くの組み合わせで出来ており、一般に強力な
撹拌器を付けた釜型反応器の利用が好まれ、単量体とゴ
ム状重合体を良く混合し、連続方式で重合させ、重合時
には塔型のパイプ付きの反応器を使用することもある。
反応時には適当に連鎖移動剤を加える。例えば、tert−
ドデシルメルカプタンで、その分子量をコントロールす
る。
【0024】このために用いるブタジエン系ゴムにはポ
リブタジエンとブタジエン共重合体がある。ポリブタジ
エンとして代表的なものにはハイシス型(Hi-cis)及びロ
ーシス型(Low-cis)がある。ハイシス型中にはCis/Viny
lの典型的な重量組成は94〜98%/1〜5%、その他の
組成はトランス構造となる。そのムーニー粘度は20〜12
0の間で、分子量範囲100,000〜800,000が好ましい。ロ
ーシス型ゴム中Cis/Vinylの典型的な組成は20〜40%/
1〜20%、そのほかの組成はトランス構造で、そのムー
ニー粘度は20〜120の間である。その他の適合するブタ
ジエン系ゴムとしては、アクリロニトリル/ブタジエン
ゴム、スチレン/ブタジエンゴムが代表的である。本発
明に適合するスチレン/ブタジエンゴムはその重合形式
がジブロック(di-block)共重合、トリブロック(tri-blo
ck)共重合、ランダム(random)共重合、あるいは星型(st
ar type)共重合である。スチレン/ブタジエンゴムの重
量比率としては、5/95から80/20が好ましく、分子量
範囲は50,000〜600,000が良い。塊状あるいは溶液重合
法でつくられるゴム状グラフト重合体中のゴム粒子の平
均粒径は、通常、0.5〜10μm、好ましくは0.8〜6μm
である。
【0025】本発明におけるゴム粒子径の分布を数分率
で示すと、粒子径0.12μm以下のゴム粒子のゴム粒子全
体に対する分率Aは0.1〜0.85で、0.12〜0.8が好まし
く、粒子径0.12μm超0.5μm未満のゴム粒子のゴム粒
子全体に対する分率Bは0.05〜0.85で、更に0.1〜0.82
が好ましく、粒子径0.5μm以上のゴム粒子のゴム粒子
全体に対する分率Cは0.01〜0.2で、0.02〜0.14が好ま
しい。前記のゴム粒子の分率が本発明の範囲以外の時、
成形時の落球衝撃強度と抗張強度と表面の光沢度のバラ
ンスが良くない。
【0026】本発明の分散係数(D.P)は下記で示さ
れる。 D.P=4×(1/L)+10A+50B+50C ここでLは平均ゴム粒子間の距離(μm)で、D.Pの
値が53〜65の範囲が良く、その分散係数が53に満たない
時、成形品の低温落球衝撃強度(塗装品)が良くなく、
また、分散係数(D.P)値が65より大きいとき、成形
品の塗装後の落球衝撃強度も悪くなり、樹脂の抗張強度
及び表面光沢度のバランスも悪くなる。具体的に言う
と、本発明における平均ゴム粒子間の距離(L)は樹脂
組成物を四酸化オスミウム(OsO4)で染色切片した
薄膜を透過型(TEM)電子顕微鏡で撮影し、拡大倍率
50,000倍の電子顕微鏡の写真を四酸化オスミウムで染色
後、ゴムの部分は黒色に染色され、硬質スチレン共重合
体は染色されず、白色相を形成する。次に12cm×12cmの
面積の写真1枚につき、まず、この写真の1つの辺に、
平行な直線を2cm間隔で5本引く。次にこれと直角方向
に、平行な直線を2cm間隔で、同様に5本、合計10本の
直線を引く。次いで、先ずその中の直線1本につきゴム
粒子間の平均距離Liを下式により求める。
【0027】
【数1】
【0028】更に、同様にして、合計10本(最初の1本
を含む)の直線につきそれぞれのゴム粒子間の平均距離
Liを求める。次に、この写真1枚のゴム粒子間平均距
離Ljを下式により求める。
【0029】
【数2】
【0030】更に異なる位置の顕微鏡写真15枚につき、
それぞれのLjを求め、最後に15個のLjを平均するこ
とにより、本発明において定義した平均ゴム粒子間の距
離Lを求める。
【0031】本発明の樹脂組成物の中のゴム粒子数の百
分率の測定は透過型電子顕微鏡拡大倍率25,000倍(ゴム
粒子2,000個以上)の写真上において分別的に異なった
粒径のゴム粒子数を求め、粒子径0.12μm以下の粒子数
をn1とし、粒子径0.12〜0.5μmの粒子数をn2と
し、粒子径0.5μm以上の粒子数をn3とする。即ち、 N(ゴム粒子総数)=n1+n2+n3 粒子径0.12μm以下のゴム粒子の分率はA=(n1/
N) 粒子径0.12μm超0.5μm未満のゴム粒子の分率はB=
(n2/N) 粒子径0.5μm以上のゴム粒子の分率はC=(n3/
N) である。
【0032】本発明に使用するゴム状グラフト共重合体
中にゴム成分が15〜80重量%を占め、45〜75重量%が好
ましい。ゴム上にグラフト結合したスチレン系共重合体
とゴム成分の比例がグラフト率で、グラフト率はゴム重
量を基準として20〜150重量%で、25〜80重量%が好ま
しい。
【0033】本発明の樹脂組成物中のゴム含有量を調節
するため、適量のスチレン系共重合体を混合する。一般
的に言って本発明の樹脂組成物中のゴム成分の含有量が
2〜50重量%で、7〜35重量%が好ましく、特に10〜25
重量%が好ましい。ゴム状グラフト共重合体中のゴム成
分の含有量がこの範囲内である時、そのままで本発明の
組成物を構成するので、別にスチレン系共重合体を混合
する必要はない。
【0034】マトリックスを形成するスチレン系共重合
体はゴム状グラフト共重合体中の遊離のスチレン系共重
合体と前記ゴム含有量を調整するために混合したスチレ
ン系共重合体とを合わせたものを意味する。
【0035】本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物に
は必要に応じて他の添加剤を加えることができる。添加
剤としては、例えば、酸化防止剤、可塑剤、加工助剤、
紫外線安定剤、紫外線吸収剤、充填剤、強化剤、着色
剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、難燃助剤、熱安定剤、
カップリング剤あるいは他の添加剤等がある。上記の添
加剤は重合反応中、反応後、凝固前あるいは押出混練等
の諸過程で通常添加することができる。
【0036】酸化防止剤としては、通常、フェノール系
酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、燐系酸化防止
剤、キレート剤等が使われ、そのうちフェノール系酸化
防止剤の添加量は0.005〜2.0重量%が好ましく、その代
表的なものにオクタデシル(3,5−ジ第三ブチル−4
−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリエチレン
グリコールビス〔3−(3−第三ブチル−5−メチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ペンタエ
リスリトールテトラキス〔3−(3,5−ジ第三ブチル
−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2−第
三ブチル−6−(3−第三ブチル−2−ヒドロキシ−5
−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレー
ト、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−第三ブ
チルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−
6−第三ブチルフェノール)、2,2’−チオ〔ジエチ
ル−ビス−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロ
キシフェニル)〕プロピオネート、2,2’−オキサミ
ドビス−〔エチル−3−(3,5−ジターシャリブチル
−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕等があ
る。
【0037】チオエーテル系酸化防止剤添加量は0.005
〜2.0重量%が好ましく、その代表的なものにジステア
リルチオジプロピオネート、ジパルミチルチオジプロピ
オネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−
ドデシルメチル−チオプロピオネート)、ジオクタデシ
ルチオエーテル等が挙げられる。
【0038】燐系酸化防止剤にはフォスファイト系ある
いはフォスフォナイト系酸化防止剤があり、その添加量
は0.015〜2.0重量%が好ましく、代表的なものにトリス
(ノニルフェニル)フォスファイト、トリデシルフォス
ファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス
(オクタデシルフォスファイト)、4,4−ブチリデン
ビス(3−メチル−6−第三ブチルフェニル−ジトリデ
シルフォスファイト)、トリス(2,4−第三ブチルフ
ェニル)フォスファイト、或いはテトラキス(2,4−
第三ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレンジフォス
フォナイト)、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フ
ォスファフェナンスレン−10−オキシド等があるキレー
ト剤の添加量は0.01〜2.0重量%が好ましく、代表的な
ものはビスベンゾイルメタル、エチレンジアミンテトラ
酢酸ナトリウム塩等がある。
【0039】上記酸化防止剤の総添加量は本発明のゴム
変性スチレン系樹脂組成物に対して通常0.03〜3.0重量
%である。
【0040】滑剤として代表的なものにはカルシウムス
テアレート、マグネシウムステアレート、リチウムステ
アレート等の金属石鹸、エチレンビスステアリルアミ
ド、メチレンビスステアリルアミド、パルミチン酸アミ
ド、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸セチル、ポリプ
ロピレングリコールモノステアレート、ベヘン酸、ステ
アリン酸等の化合物、シリコーンオイル、ポリエチレン
ワックス、エチレン−酢酸ビニル系ワックス等が挙げら
れ、その総添加量は本発明のゴム変性スチレン系樹脂組
成物に対して通常0.03〜5.0重量%である。また、押出
成形性、熱成形性を改善するためのメチルメタクリレー
ト系加工助剤もある。
【0041】なお、紫外線吸収剤の代表的なものにベン
ゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物があ
り、紫外線安定剤の代表的なものにはヒンダードアミン
系化合物があり、通常、紫外線吸収剤と紫外線安定剤を
併用するのが好ましい。また、これらを添加する場合の
総添加量は本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物に対
して通常0.02〜2.0重量%である。
【0042】樹脂の紫外線照射による変色あるいは樹脂
の特性劣化等の性質を改善するため、例えば、ヒンダー
ドアミン系紫外線安定剤/シアノアクリル酸系紫外線吸
収剤の両者の組み合わせ併用がよく、例えば、BASF
社のUvinul 4050H(0.02〜1.0重量%)/Uninul 3035
(0.02〜1.0重量%)がある。
【0043】静電防止剤として代表的なものに、第三ア
ミン系化合物、第四アンモニウム塩系化合物等の低分子
系化合物、あるいはポリアミドポリエーテルや3−クロ
ロ−1,2−プロピレンオキサイドポリマーの永久静電
防止性高分子系物質が挙げられる。
【0044】充填剤として代表的なものに炭酸カルシウ
ム、シリカ、マイカ等がある。強化剤として代表的なも
のにガラス繊維、カーボン繊維、各種ウィスカ(Whiske
r)類がある。
【0045】着色剤として代表的なものに酸化チタン、
酸化鉄、カーボンブラック、フタロシアニンブルーが挙
げられる。
【0046】難燃剤あるいは難燃助剤として代表的なも
のにデカブロモジフェニルエーテル、テトラブロモビス
フェノールA、臭素化ポリスチレンオリゴマー、臭素化
エポキシ樹脂、ヘキサブロモシクロドデカン、塩素化ポ
リエチレン、トリフェニルフォスフェート、レゾルシン
ビス(ジフェニルフォスフェート)、赤燐、酸化アンチ
モン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ホウ
酸亜鉛、メラミン、メラミンイソシアヌレート、シリコ
ーン粉末、ポリテトラフルオロエチレン粉末、膨張性黒
鉛等がある。
【0047】熱安定剤として代表的なものにマレイン酸
ジブチル錫、ゼオライト系安定剤、塩基性マグネシウム
・アルミニウムハイドロキシカーボネート等がある。ま
た、熱変色防止剤として低分子量のスチレン−無水マレ
イン酸共重合体があり、これを添加する場合の添加量は
本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物の通常0.1〜1.0
重量%である。
【0048】また、カップリング剤として代表的なもの
にシラン系、チタネート系、ジリコネート系化合物が挙
げられる。
【0049】本発明のスチレン系樹脂組成物は変性させ
るために、適当に分子量の高い重合体系の添加剤を使用
しても良く、この重合体系添加剤としては、例えば、ブ
タジエンゴム以外のゴム、例えばEPDMやブチルアク
リレートゴムを用いて作られるAES樹脂やAAS樹脂
等のゴム変性スチレン系樹脂、無水マレイン酸−スチレ
ン共重合体、スチレン−フェニルマレイミド共重合体、
フェニルマレイミド含量が40重量%を越えるスチレン−
アクリロニトリル−フェニルマレイミド共重合体、スチ
レン−アクリロニトリル−無水マレイン酸共重合体をア
ニリンでイミド化した共重合体、グラフト操作を行わな
い架橋ゴム、例えばアクリロニトリル−ブタジエンゴム
や塩化ビニル樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリ
カーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリブチレンテレ
フタレート、スチレン系熱可塑性弾性体、各種相溶化剤
等である。これらの重合体の配合量は本発明のゴム変性
スチレン系樹脂組成物100重量部に対して通常3〜200重
量部である。
【0050】
【発明の実施の形態】本発明をより詳しく説明するた
め、実施例並びに物性測定例を取り上げ、以下で説明す
る。ただし、以下の組成成分等の数字は特別に表すもの
以外はすべて重量部、重量%などを指す。また。本発明
の範囲はこれらの実施例に限らない。
【0051】<製造例> <製造例I−1>ブタジエン系ゴム乳液(A−1)の製
造 下記の原料を撹拌装置、加熱装置、原料供給パイプを付
けた反応槽に入れる。
【0052】 原料を入れた後、70℃で12時間反応持続した後、反応を
終結させる。反応後、作ったゴム乳液の転化率は93%以
上で、重合終了後の未反応のブタジエンは水蒸気蒸留法
で除去する。乳液の固形分は40%、重合体のゴム粒径分
布は0.06〜0.10μmであり、以下ではA1と略称する。
【0053】<製造例I−2>ブタジエン系ゴム乳液
(A−2)の製造 製造例I−1の処方量で、20%の単量体と20%のオレイ
ン酸カリウム、過硫酸カリウム水溶液は一次的な添加方
式で反応し、残りの80%の単量体及び80%のオレイン酸
カリウム、過硫酸カリウム水溶液を連続で5時間添加し
て65℃で持続して9時間反応した後、冷却して反応を終
結する。反応後のゴム乳液転化率は85%以上である。重
合終了後の未反応のブタジエンは水蒸気を用いる蒸留法
で除去する。乳液の固形分は39%、重合体中のゴム粒径
分布は0.08〜0.12μmであり、以以下ではA2と略称す
る。
【0054】<製造例II>肥大化作用を有するカルボキ
シル基を含む共重合体乳液(II)の合成 配合成分は次の通りである。
【0055】 成分 重量部 n−アクリル酸エチル 85.0 メタクリル酸 15.0 tert−ドデシルメルカプタン 0.3 オレイン酸カリウム 2.0 ジオクチルスルホこはく酸ナトリウム 1.0 クメンヒドロペルオキシド 0.4 ホルムアルデヒド化スルホキシル酸ナトリウム 0.3 脱イオン水 200.0 上記化合物を重合装置中に置き、70℃で4時間重合させ
れば得られる。93%以上の転化率で、pH値が6.1で、
平均粒径0.07μmのゴムが得られる。
【0056】<製造例III>肥大化ゴム乳液(C)の製
造 ブタジエンゴム乳液(A2)の100重量部(固形分)中
に5秒間で、撹拌しながら1.5重量部(固形分)の肥大
化作用のあるカルボキシル基を含む共重合体乳液(II)
と無機電解質Na2SO4を加えてから、連続して30分間
で撹拌すると、ゴム粒径分布が0.28〜0.45μmの肥大化
ゴム乳液が得られる。以下はCと略称する。
【0057】<製造例IV−1)ゴム状グラフト共重合体
(D1)の製造 窒素ガスで置換した反応器中で、下記の処方でグラフト
重合反応を行う。 成分 重量部 ブタジエン系ゴム乳液(A1)(固形分) 100.0 スチレン 75.0 アクリロニトリル 25.0 オレイン酸カリウム 2.0 tert−ドデシルメルカプタン 0.6 クメンヒドロペルオキシド 1.4 硫酸第一鉄溶液(0.2%) 3.0 ホルムアルデヒド化スルホキシル酸ナトリウム(10%) 3.0 エチレンジアミンテトラ酢酸溶液(0.25%) 20.0 蒸留水 200.0 上記処方中のスチレン/アクリロニトリルを連続添加方
式で5時間内に加え、反応槽で重合し、得られたゴムグ
ラフト乳液を塩化カルシウムで凝結させ、脱水後水分が
2%以下になるまで乾燥すると、乳化重合法のゴム状グ
ラフト共重合体(D1)を製造することができる。その
ゴム含有量は50重量%である。
【0058】<製造例IV−2)ゴム状グラフト共重合体
(D2)の製造 製造例I−2で得たブタジエン系ゴム乳液(A2)を用
いて、直接に下記の配合でグラフト重合反応させると、
ゴム含有量が50重量%である乳化重合法によるゴム状グ
ラフト共重合体(D2)が得られる。 成分 重量部 合成ゴムラテックス(A2)(固形分) 100.0 スチレン 75.0 アクリロニトリル 25.0 オレイン酸カリウム 2.0 tert−ドデシルメルカプタン 0.6 クメンヒドロペルオキシド 1.4 硫酸第一鉄溶液(0.2%) 3.0 ホルムアルデヒド化スルホキシル酸ナトリウム(10%) 3.0 エチレンジアミンテトラ酢酸溶液(0.25%) 20.0 蒸留水 200.0。
【0059】<製造例IV−3>ゴム状グラフト共重合体
(D3)の製造 製造例IIIで製造した肥大化ゴム乳液(C)を用いて、
直接に下記の処方でグラフト重合反応を進行し、ゴム含
有量が50重量%である乳化重合法のゴム状グラフト共重
合体(D3)が得られる。 成分 重量 肥大化ゴム乳液(C)(固形分) 100.0 スチレン 75.0 アクリロニトリル 25.0 オレイン酸カリウム 2.0 tert−ドデシルメルカプタン 0.6 クメンヒドロペルオキシド 1.4 硫酸第一鉄溶液(0.2%) 8.6 ホルムアルデヒド化スルホキシル酸ナトリウム(10%) 8.6 エチレンジアミンテトラ酢酸溶液(0.25%) 57.0 蒸留水 200.0。
【0060】<製造例IV−4>ゴム状グラフト共重合体
(D4)の製造 製造例IV−1に準じてグラフト重合反応を行うが、本例
でのグラフト重合反応の処方は以下の通りである。 成分 重量 肥大化ゴム乳液(C)(固形分) 100.0 スチレン 22.0 アクリロニトリル 8.3 メタクリル酸メチル 3.0 オレイン酸カリウム 1.2 tert−ドデシルメルカプタン 0.2 クメンヒドロペルオキシド 0.5 硫酸第一鉄溶液(0.2%) 3.0 ホルムアルデヒド化スルホキシル酸ナトリウム(10%) 3.0 エチレンジアミンテトラ酢酸溶液(0.25%) 20.0 蒸留水 200.0 上記の処方で得られたゴムグラフト乳液を塩化カルシウ
ムで凝結し、脱水後、水分含有量が2%以下になるまで
乾燥し、得た乳化重合法のゴム状グラフト共重合体(D
4)のゴム含有量は75%である。
【0061】<製造例IV−5>ゴム状グラフト共重合体
(D5)の製造 製造例IV−1に準じてグラフト重合反応を行うが、本例
でのグラフト重合反応の処方は以下の通りである。 成分 重量部 肥大化ゴム乳液(C)(固形分) 100.0 スチレン 22.5 アクリロニトリル 7.8 α−メチルスチレン 1.0 N−フェニルマレイミド 2.0 オレイン酸カリウム 12.0 tert−ドデシルメルカプタン 0.2 クメンヒドロペルオキシド 0.5 硫酸第一鉄溶液(0.2%) 2.0 ホルムアルデヒド化スルホキシル酸ナトリウム(10%) 3.0 エチレンジアミンテトラ酢酸溶液(0.25%) 20.0 蒸留水 200.0 上記の処方で製造したゴム状グラフト乳液を塩化カルシ
ウムで凝結し、脱水後、水分が2%以下になるまで乾燥
し、得られた乳化重合方法のゴム状グラフト共重合体
(D5)のゴム含有量は75重量%である。
【0062】<製造例V−1>ゴム状グラフト共重合体
(E1)の製造 0.1重量部のベンゾイルペルオキシドを開始剤とし、6.6
重量部のブタジエン(旭化成社の製品、商品名はAsaden
o 55AS)を74.4重量部のスチレン、25.6重量部のアクリ
ロニトリル及び30重量部のエチルベンゼン中に完全溶解
し、原料溶液を形成する。その後、原料溶液を容積45リ
ットルの第一反応器中に連続送り込み、反応温度を100
℃とし、反応器中に冷却循環管を設け、スクリュー式撹
拌器を配置する。その撹拌速度を150rpmとし、その第一
反応器中の単量体転化率は15%で、第一反応器で反応後
の混合物を取り出し、次々と第二、第三、第四の反応器
に送り、第三反応器中に0.1重量部のtert−ドデシルメ
ルカプタンを加え、相反転現象が第二反応器中に起こ
る。上述の第二、第三、第四反応器の装置は第一反応器
と同じであり、ただし、その反応温度はそれぞれ105
℃、110℃、125℃の順序とし、撹拌速度は270rpm、150r
pm及び110rpmの順序とする。その混合物の転化率が60%
となった時、その混合物を取り出し、脱揮発装置中に送
り、未反応の単量体及び揮発性物質を除いてから押し出
し整粒をし、塊状(あるいは溶液)重合法のゴム状グラ
フト共重合体(E1)が得られる。そのゴム粒子の粒径
分布は0.65〜1.0μmで、ゴムの含有量が10重量%、ス
チレン、アクリロニトリルの含有量がそれぞれ70重量
%、30重量%である。
【0063】<製造例V−2>ゴム状グラフト共重合体
(E2)の製造 製造例V−1の製造法に準じるが、異なるところは開始
剤としてのベンゾイルペルオキシドが0.15重量%で第一
反応器の単量体転化率は16%で、回転速度は200rpmであ
り、第二反応器の温度は110℃、撹拌速度は300rpmであ
る点である。反応後、それを押し出し、製粒し、塊状
(あるいは溶液)重合法のゴム状グラフト共重合体(E
2)を製造することができる。そのゴム粒子の粒径分布
は0.45〜0.72μmで、またゴム含有量は10重量%、スチ
レン、アクリロニトリルの含有量はそれぞれ72重量%、
28重量%である。
【0064】<物性測定方法>本発明の実施例と比較例
で作った樹脂組成物の物性測定の標準は次の通りであ
る。
【0065】1.落球衝撃強度(未塗装) 射出成形機により半径50mm、厚さ3mmの円板試験片を作
り、ASTM D-3763法により測定する。
【0066】2.低温落球衝撃強度(塗装品) 射出成形機により半径50mm、厚さ3mmの円板試験片を作
り、並びに台湾台瀛公司製PU系塗料:硬化剤:稀薄剤
=100:10:50の比率で混合し、さらにスプレーで塗装
する。塗装品は70℃で20分間乾燥した後、さらに零下30
℃冷凍室中で4時間放置してから取り出し、最後にASTM
D-3763法で測定する。
【0067】3.表面光沢度 射出成形機により280℃の成形温度下で50mm(幅)×90m
m(長さ)×3mm(厚さ)の試験片を作る。試験片は光
沢計を使って60°の入射角にて、5組の試験片の平均数
値を測定し、単位は%である。
【0068】4.抗張強度 ASTM D-638法で測定し、その単位はkg/cm2である。
【0069】<実施例1>表1に示したようにゴム状グ
ラフト共重合体及びスチレン−アクリロニトリル共重合
体(その組成重量比はアクリロニトリル/スチレン=30
/70である。重量平均分子量は120,000である。)を調
整配合し、混合後の樹脂混合物の総ゴム量を19重量%と
なす。並びに前述樹脂組成物の100重量部に対して、
2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール0.1
重量部、トリス(ノニルフェニル)フォスファイト0.1
重量部、エチレンビスステアリルアミド2.0重量部を添
加して混合し、ドイツのWerner & Pfleiders ZSK-35型
二軸押出機で240℃にて押し出し、製粒する。その後、2
20℃で台湾震雄公司製シリーズナンバーSM-90の射出
成形機により試験片を作り、未塗装の時の落球衝撃強
度、塗装品の低温落球衝撃強度、表面光沢度及び抗張強
度を測定し、その測定結果を表4に示した。なお、表1
には、ゴム粒子の分率、平均ゴム粒子間距離、分散係数
も示した。
【0070】<実施例2〜13>実施例1と同じ処理方法
で、表1〜2に示す各種重合体の比率で樹脂組成物を調
製し、実施例1と同様に物性の測定を行った。その測定
結果を表4〜5に示す。
【0071】<比較例1〜13>実施例1と同じ処理方法
で、表2〜3に示す各種重合体の比率で樹脂組成物を調
製し、実施例1と同様に物性の測定を行った。その測定
結果を表5〜6に示す。
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】
【表3】
【0075】
【表4】
【0076】
【表5】
【0077】
【表6】
【0078】表5〜6の比較例の試験結果が明らかに示
すように、特定の粒径のゴム粒子数の分率が本発明の範
囲外となった時、あるいはその分散係数が53〜65の範囲
外となった時、成形品の低温落球衝撃強度は悪く、樹脂
の抗張強度及び表面光沢度の平衡性も低い。表4〜5の
各実施例の試験結果からも分かるように、本発明のゴム
変性スチレン系樹脂組成物は、ゴム粒径の分布(異なっ
た粒径の分布)及び平均ゴム粒子間の距離を適当に調節
することによって、優れた落球衝撃強度、高い抗張強
度、良好な光沢度及び低温度における落球衝撃強度、特
に成形塗装の後、良好な低温衝撃強度が保持できると言
った特質のある組成物が得られる。その組成は新しいだ
けでなく、産業上の利用価値があることで、法律に従っ
て本発明の特許を申請する。本発明の範囲は上記の実施
例だけでなく、当業者が本発明の本質範疇で行った修飾
又は変更もすべて包含する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 279/02 C08L 51/04 C08L 55/02

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アクリロニトリル系単量体及び/又は
    (メタ)アクリル酸エステル系単量体10〜50重量%、ス
    チレン系単量体50〜90重量%並びに必要に応じて添加さ
    れるその他の共重合可能な不飽和ビニル系単量体0〜40
    重量%を含む単量体混合物を共重合して得られたスチレ
    ン−アクリル系共重合体のマトリックスと該マトリック
    スに分散するブタジエン系ゴム粒子とを含んでなる樹脂
    組成物において、該ブタジエン系ゴム粒子が、乳化重合
    法で得られたゴム粒子と、塊状又は溶液重合法で得られ
    たゴム粒子の混合物であり、組成物中のゴム成分の含有
    量が2〜50重量%で、ゴム粒子の粒子径及び分散係数が
    下式を満足することを特徴とするゴム変性スチレン系樹
    脂組成物。 D.P=4×(1/L)+10A+50B+50C 〔式中、 D.Pは分散係数で、その値は53〜65の範囲にあり、 Aは粒子径0.12μm以下のゴム粒子がゴム粒子全体にお
    いて占める分率で、その値は0.1〜0.85の間にあり、 Bは粒子径0.12μm超0.5μm未満のゴム粒子がゴム粒
    子全体において占める分率で、その値は0.05〜0.85の間
    にあり、 Cは粒子径0.5μm以上のゴム粒子がゴム粒子全体にお
    いて占める分率で、その値は0.01〜0.2の間にあり、 Lは平均ゴム粒子間の距離(μm)である。〕
  2. 【請求項2】 塊状又は溶液重合法で得られたゴム粒子
    の平均粒子径が、0.5〜10μmである請求項1記載のゴ
    ム変性スチレン系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 ブタジエン系ゴム粒子が、乳化重合法で
    得られたゴム粒子54.9〜94.5重量%と、塊状又は溶液重
    合法で得られたゴム粒子45.1〜5.5重量%の混合物(合
    計は100重量%)である請求項1又は2記載のゴム変性
    スチレン系樹脂組成物。
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