JP2014031490A - グラフト共重合体、熱可塑性樹脂組成物及びグラフト共重合体の製造方法 - Google Patents

グラフト共重合体、熱可塑性樹脂組成物及びグラフト共重合体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐候性、耐衝撃性、流動性だけでなく、滞留熱安定性に優れた熱可塑性樹脂を構成するグラフト共重合体及び該グラフト共重合体から得られた熱可塑性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】
共役ジエン系ゴム状重合体5〜50重量%と架橋アクリル酸エステル系重合体50〜95重量%から構成される複合ゴム10〜80重量部に、シアン化ビニル系単量体、芳香族ビニル系単量体及びこれらと共重合可能な他のビニル系単量体から選ばれた少なくとも1種からなる単量体20〜90重量部をグラフト重合して得られ、グラフト共重合体中に存在する複合ゴムに関して、円相当粒子径が150nm以下である複合ゴムの粒子数が複合ゴム粒子全体の50%以下であることを特徴とするグラフト共重合体。
【選択図】 なし

Description

本発明は、耐候性、耐衝撃性、流動性だけでなく、滞留熱安定性に優れた熱可塑性樹脂組成物を構成するグラフト共重合体、該グラフト共重合体から得られた熱可塑性樹脂組成物及び該グラフト共重合体の製造方法に関する。
ABS樹脂は、耐衝撃性及び加工性のバランスに優れた樹脂であり、自動車等の車両用内外装部品、各種の家電製品やOA機器のハウジング、その他雑貨分野等、幅広い分野に使用されている。しかし、ABS樹脂は、そのゴム成分として使用するブタジエン系ゴム重合体が紫外線等により分解され易いことから、耐候性に劣るという欠点を有している。そこで、ABS樹脂中のゴム成分をアクリルゴムに置換することで耐候性を改良した、ASA樹脂が実用化されている。しかし、ASA樹脂は耐候性に優れているものの、その反面、耐衝撃性、発色性に劣るという欠点を有している。
特許文献1には耐衝撃性、耐候性、成形加工性が改良された熱可塑性樹脂組成物として、特定の分子量を有するジエン系ゴムとアクリル酸エステル系重合体とで構成される複合ゴムを用いた熱可塑性樹脂組成物が提案されている。しかし、滞留熱安定性が不十分であるという問題がある。
また、特許文献2には耐熱性、耐候性、成形加工性、さらには成形品の表面外観が改良された熱可塑性樹脂組成物として、共役ジエン系ゴム状重合体とアクリル酸エステル系ゴム状重合体からなる複合ゴムを使用したグラフト共重合体とマレイミド系共重合体から構成される熱可塑性樹脂組成物が提案されている。しかし、滞留熱安定性が不十分であるという問題がある。
特開平10−77383号
特開平8−73701号
本発明の目的は、耐候性、耐衝撃性、流動性だけでなく、滞留熱安定性に優れた熱可塑性樹脂組成物を構成するグラフト共重合体、該グラフト共重合体から得られた熱可塑性樹脂組成物及び該グラフト共重合体の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、従来技術の問題点を解決するために鋭意検討した結果、特定のポリマー構成を持つ複合ゴムに、シアン化ビニル系単量体、芳香族ビニル系単量体等の単量体混合物をグラフト重合して得られるグラフト共重合体を用いることにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、共役ジエン系ゴム状重合体5〜50重量%と架橋アクリル酸エステル系重合体50〜95重量%から構成される複合ゴム10〜80重量部に、シアン化ビニル系単量体、芳香族ビニル系単量体及びこれらと共重合可能な他のビニル系単量体から選ばれた少なくとも1種からなる単量体20〜90重量部をグラフト重合して得られ、グラフト共重合体中に存在する複合ゴムに関して、円相当粒子径が150nm以下である複合ゴムの粒子数が複合ゴム粒子全体の50%以下であることを特徴とするグラフト共重合体(A)及び該グラフト共重合体(A)と共重合体(B)を含む熱可塑性樹脂組成物に関する。
本発明により、耐候性、耐衝撃性、流動性だけでなく、滞留熱安定性に優れたグラフト共重合体、該グラフト共重合体を用いて得られた熱可塑性樹脂組成物及びグラフト共重合体の製造方法を提供することが出来る。
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明のグラフト共重合体(A)は、共役ジエン系ゴム状重合体と架橋アクリル酸エステル系重合体から構成される複合ゴムの存在下に芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、及びこれらと共重合可能な他のビニル系単量体から選ばれた少なくとも1種の単量体をグラフト重合して得られた、グラフト共重合体である。
本発明で使用される複合ゴムを構成する共役ジエン系ゴム状重合体としては、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)ブロックコポリマー、スチレン−(エチレン−ブタジエン)−スチレン(SEBS)ブロックコポリマー、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、メチルメタクリレート−ブタジエンゴムが挙げられる。特に、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴムが好ましい。
複合ゴムを構成する共役ジエン系ゴム状重合体の重量平均粒子径に特に制限は無いが、物性バランスの観点から、0.1〜1.0μmであることが好ましく、0.2〜0.5μmであることがより好ましい。また、共役ジエン系ゴム状重合体の重量平均粒子径の調節は公知の方法が使用できるが、比較的小粒子径の共役ジエン系ゴム状重合体を予め製造し、凝集肥大化させることで目的とする重量平均粒子径とした、凝集肥大化共役ジエン系ゴム状重合体を用いることも可能である。
本発明で使用される複合ゴムを構成する架橋アクリル酸エステル系重合体は、架橋剤の存在下にアルキル基の炭素数が1〜16のアクリル酸エステル系単量体、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等を一種又は二種以上、さらには必要に応じて他の共重合可能な単量体、例えばスチレン、アクリロニトリル、メチルメタクリレート等を一種又は二種以上を重合して得られる重合体である。
複合ゴムを構成する架橋アクリル酸エステル系重合体に用いられる架橋剤としては、例えばジビニルベンゼン、アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、ジシクロペンタジエンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。
本発明で使用される複合ゴムは、共役ジエン系ゴム状重合体の存在下で、架橋アクリル酸エステル系重合体を構成する単量体(混合物)を乳化重合することよって得ることができる。すなわち、本発明の複合ゴムは共役ジエン系ゴム状重合体がコアであり、架橋アクリル酸エステル系重合体がシェルであるコアシェル構造を有している。
本発明で使用される複合ゴムを構成する共役ジエン系ゴム状重合体と架橋アクリル酸エステル系重合体の比率は、共役ジエン系ゴム状重合体5〜50重量%、架橋アクリル酸エステル系重合体50〜95重量%であることが必要であるが、物性バランスの観点から共役ジエン系ゴム状重合体が7〜40重量%であることが好ましく、10〜30重量%であることがより好ましい。
本発明で使用される複合ゴムは、上述の通り共役ジエン系ゴム状重合体コアであり、架橋アクリル酸エステル系重合体がシェルであるコアシェル構造を有していることを特徴としているが、架橋アクリル酸エステル系重合体全てが共役ジエン系ゴム状重合体に重合しているとは限らず、一部は架橋アクリル酸エステル系重合体の単独粒子として存在している可能性がある。以後、共役ジエン系ゴム状重合体と架橋アクリル酸エステル系重合体とがコアシェル構造を有している複合ゴムのみだけでなく、単独で存在している架橋アクリル酸エステル系重合体を含んだ状態であっても複合ゴムと呼称する。
本発明ではグラフト共重合体(A)中に存在する複合ゴムに関して、円相当粒子径が150nm以下である複合ゴムの粒子数が、複合ゴム粒子全体の50%以下となっている必要がある。円相当粒子径が150nm以下である複合ゴムの粒子数が50%より多いと、得られるグラフト共重合体(A)の滞留熱安定性に劣る。円相当粒子径が150nm以下である粒子数が40%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。
グラフト共重合体(A)中に存在する、円相当粒子径が150nm以下である複合ゴムとしては、上述の架橋アクリル酸エステル系重合体の単独粒子である場合が多く、該単独粒子がグラフト共重合体の滞留熱安定性に悪影響を及ぼす主要因となる。従って、円相当粒子径が150nm以下である粒子を減らすためには、複合ゴムの製造の際に、出来るだけ架橋アクリル酸エステル系重合体の単独粒子を生成させないようにする必要がある。
また、コアシェル構造を有している複合ゴムであっても、円相当粒子径が150nm以下であれば滞留熱安定性に悪影響を与えるため、本発明は架橋アクリル酸エステル系重合体の単独粒子を含む複合ゴムに対して、円相当粒子径が150nm以下である粒子数が50%以下である事が必要である。
本発明で用いる複合ゴムの重合時に架橋アクリル酸エステル系重合体の単独粒子を生成させない方法としては、いかなる方法であっても構わないが、例えば乳化剤量、モノマー添加速度等を変更する方法が挙げられる。
複合ゴムを重合する際、使用する重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の水溶性重合開始剤、クメンハイドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、t−ブチルハイドロパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等の油溶性重合開始剤を適宜用いることができる。さらに、好ましく用いられる還元剤の具体例としては、硫酸第一鉄7水塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、ピロ亜硫酸塩、亜ニチオン酸塩、ニチオン酸塩、チオ硫酸塩、ホルムアルデヒドスルホン酸塩、ベンズアルデヒドスルホン酸塩、また、L−アスコルビン酸、酒石酸、クエン酸などのカルボン酸類、更にはラクトース、デキストロース、サッカロースなどの還元糖類、更にはジメチルアニリン、トリエタノールアミンなどのアミン類が挙げられる。また、キレート剤としては、ピロリン酸四ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸ナトリウムなどが挙げられる。
複合ゴムを重合する際、使用する乳化剤としては、カルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩等を適宜用いることができる。さらに、好ましく用いられる乳化剤の具体例としては、オレイン酸カリウム、アルケニルコハク酸ジカリウム、ロジン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
本発明で使用される複合ゴムのトルエン溶媒でのゲル含有量に特に制限はないが、物性バランスの観点から、複合ゴムのゲル含有量が90%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましい。
本発明のグラフト共重合体(A)は、上述の複合ゴムの存在下に、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、及びこれらと共重合可能な他のビニル系単量体から選ばれた少なくとも1種の単量体をグラフト重合して得られるグラフト共重合体である。
本発明のグラフト共重合体(A)は該グラフト共重合体100重量部中に複合ゴムが10〜80重量部含まれている必要がある。複合ゴムが10重量部より少ないと耐衝撃性に劣り、80重量部を超えると流動性に劣る。複合ゴムの含有量は30〜70重量部であることが好ましく、40〜60重量部であることがより好ましい。
グラフト共重合体(A)を構成する芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、ブロムスチレン等が挙げられ、一種又は二種以上用いることができる。特にスチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
グラフト共重合体(A)を構成するシアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル、フマロニトリル等が挙げられ、一種又は二種以上用いることができる。特にアクリロニトリルが好ましい。
グラフト共重合体(A)を構成する共重合可能な他のビニル系単量体としては、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、マレイミド系単量体、アミド系単量体等が挙げられ、一種又は二種以上用いることができる。(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸4−t−ブチルフェニル、(メタ)アクリル酸(ジ)ブロモフェニル、(メタ)アクリル酸クロルフェニル等を例示でき、マレイミド系単量体としてはN−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等を例示でき、アミド系単量体としてはアクリルアミド、メタクリルアミド等を例示できる。
複合ゴムとグラフト重合する上述の単量体の組成比率に特に制限はないが、芳香族ビニル系単量体60〜90重量%、シアン化ビニル系単量体10〜40重量%及び共重合可能な他のビニル系単量体0〜30重量%の組成比率、芳香族ビニル系単量体30〜80重量%、(メタ)アクリル酸エステル系単量体20〜70重量%及び共重合可能な他のビニル系単量体0〜50重量%の組成比率、芳香族ビニル系単量体20〜70重量%、(メタ)アクリル酸エステル系単量体20〜70重量%、シアン化ビニル系単量体10〜60重量%及び共重合可能な他のビニル系単量体0〜30重量%の組成比率等であることが好ましい。
本発明のグラフト共重合体(A)を重合するための手法に特に制限はなく、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法等を用いることが出来る。乳化重合法を用いた場合、上述の複合ゴムに上述の単量体をグラフト重合することによって、グラフト共重合体(A)のラテックスを得ることが出来る。グラフト共重合体(A)のラテックスは、公知の方法により凝固され、洗浄、脱水、乾燥工程を経ることでグラフト共重合体(A)のパウダーを得ることができる。
本発明のグラフト共重合体(A)の製造方法として、
乳化剤0〜0.15重量部、共役ジエン系ゴム状重合体5〜50重量部、アクリル酸エステル系単量体5〜33重量部を含む組成物(複合ゴムの製造に用いる共役ジエン系ゴム状重合体及びアクリル酸エステル系単量体の総量を100重量部とする。)を0.5〜2.0時間保持する保持工程、及び
前記保持工程後に、重合開始剤0.03〜0.18重量部、乳化剤0.2〜1.5重量部、及びアクリル酸エステル系単量体17〜90重量部を(複合ゴムの製造に用いる共役ジエン系ゴム状重合体及びアクリル酸エステル系単量体の総量を100重量部とする。)、35〜60℃の温度で1〜6時間かけて前記組成物に連続添加する連続添加工程、
を含む事が好ましい。
前記保持工程において組成物に含まれる乳化剤の量は、複合ゴムの製造に用いる共役ジエン系ゴム状重合体及びアクリル酸エステル系単量体の総量100重量部に対して0〜0.15重量部であるが、0〜0.1重量部であることが好ましく、0〜0.05重量部であることがより好ましく、乳化剤を用いないことが特に好ましい。
前記保持工程において組成物に含まれる乳化剤の量は、複合ゴムの製造に用いる乳化剤の総量100重量部に対して0〜10重量部であることが好ましく、0〜5重量部であることがより好ましく、0〜1重量部であることがさらに好ましく、乳化剤を用いないことが特に好ましい。
前記連続添加工程において前記組成物に連続添加する乳化剤の量は、複合ゴムの製造に用いる共役ジエン系ゴム状重合体及びアクリル酸エステル系単量体の総量100重量部に対して0.2〜1.5重量部であるが、0.4〜1.3重量部であることが好ましく、0.6〜1.1重量部であることがより好ましい。
前記連続添加工程において前記組成物に連続添加する重合開始剤の量は、複合ゴムの製造に用いる共役ジエン系ゴム状重合体及びアクリル酸エステル系単量体の総量100重量部に対して0.03〜0.18重量部であるが、0.04〜0.15重量部であることが好ましく、0.05〜0.12重量部であることがより好ましい。
前記グラフト共重合体(A)の製造方法は、前記保持工程及び前記連続添加工程に加えて、前記連続添加工程後に、前記組成物を35〜60℃の温度で1〜5時間保持する熟成工程をさらに含んでいても良い。
前記連続添加工程及び前記熟成工程における温度は35〜60℃であるが、35〜55℃であることがより好ましく、35〜45℃であることがさらに好ましい。
本発明のグラフト共重合体(A)のグラフト率(グラフト共重合体のアセトン可溶分量と不溶分量及びグラフト共重合体中の複合ゴムの重量から求める。)、及びアセトン可溶分の還元粘度(0.4g/100cc、N,Nジメチルホルムアミド溶液として30℃で測定)に特に制限はなく、要求性能によって任意の構造のものを使用することができるが、物性バランスの観点から、グラフト率は5〜150%であることが好ましく、還元粘度は0.2〜2.0dl/gであることが好ましい。
得られたグラフト共重合体(A)は単独で使用できるが、必要に応じて芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、必要に応じてその他の共重合可能な他のビニル系単量体を共重合することで得られる共重合体(B)と混合し、熱可塑性樹脂組成物として使用することもできる。共重合体(B)と混合する場合は熱可塑性樹脂組成物中の複合ゴム含有量が3〜50重量%とすることが物性バランスの観点から好ましく、10〜30重量%とすることがより好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、必要に応じてヒンダードアミン系の光安定剤、ヒンダードフェノール系、含硫黄有機化合物系、含リン有機化合物系等の酸化防止剤、フェノール系、アクリレート系等の熱安定剤、ベンゾエート系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリシレート系の紫外線吸収剤、有機ニッケル系、高級脂肪酸アミド類等の滑剤、リン酸エステル類等の可塑剤、ポリブロモフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノール−A、臭素化エポキシオリゴマー、臭素化等の含ハロゲン系化合物、リン系化合物、三酸化アンチモン等の難燃剤・難燃助剤、臭気マスキング剤、カーボンブラック、酸化チタン、顔料、及び染料等を添加することもできる。更に、タルク、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、炭素繊維、金属繊維等の補強剤や充填剤を添加することもできる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上述の成分を混合することで得ることができる。混合するために、例えば、押出し機、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー等の公知の混練装置を用いることができる。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら制限されるものではない。なお、実施例中にて示す「部」及び「%」は重量に基づくものである。
小粒子径スチレン−ブタジエンゴムラテックスの製造
10リットルの耐圧容器の内部を窒素で置換後、1,3−ブタジエン95重量部、スチレン5重量部、n−ドデシルメルカプタン0.5重量部、過硫酸カリウム0.3重量部、不均化ロジン酸ナトリウム1.8重量部、水酸化ナトリウム0.1重量部、脱イオン水145重量部を仕込み、攪拌しつつ70℃で8時間反応させた。その後、不均化ロジン酸ナトリウム0.2重量部、水酸化ナトリウム0.1重量部及び脱イオン水5重量部を添加した。さらに温度を70℃に維持しながら6時間攪拌を継続して反応を終了した。その後、減圧して残存している1,3−ブタジエンを除去し、スチレン−ブタジエンゴムラテックスを得た。得られたスチレン−ブタジエンゴムラテックスを、四酸化オスミウム(OsO)で染色し、乾燥後に透過型電子顕微鏡で写真撮影した。画像解析処理装置(装置名:旭化成(株)製 IP−1000PC)を用いて1000個のゴム粒子の面積を計測し、その円相当粒子径(直径)を求め、スチレン−ブタジエンゴムの重量平均粒子径を算出した結果、重量平均粒子径は120nmであった
凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムラテックスの製造
10リットルの耐圧容器に、上記で得られたスチレン−ブタジエンゴムラテックス270重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.1重量部を添加して10分間攪拌混合した後、5%リン酸水溶液20重量部を10分間にわたり添加した。次いで10%水酸化カリウム水溶液10重量部を添加し、凝集肥大化したスチレン−ブタジエンゴムラテックス(1)を得た。
上述の方法で、凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムの重量平均粒子径を算出した結果、重量平均粒子径は330nmであった。
10リットルの耐圧容器に、上記で得られたスチレン−ブタジエンゴムラテックス270重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.3重量部を添加して10分間攪拌混合した後、5%リン酸水溶液20重量部を10分間にわたり添加した。次いで10%水酸化カリウム水溶液10重量部を添加し、凝集肥大化したスチレン−ブタジエンゴムラテックス(2)を得た。
上述の方法で、凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムの重量平均粒子径を算出した結果、重量平均粒子径は250nmであった。
架橋アクリル酸ブチルゴムラテックスの製造
窒素置換したガラスリアクターに、脱イオン水180重量部、アクリル酸ブチル15重量部、メタクリル酸アリル0.1重量部、アルケニルコハク酸ジカリウム0.16重量部(固形分換算)、過硫酸カリウム0.15重量部を仕込み、65℃で1時間反応させた。その後、アクリル酸ブチル85重量部、メタクリル酸アリル0.53重量部の混合液及び脱イオン水20重量部にアルケニルコハク酸ジカリウム0.64重量部(固形分換算)を溶解した乳化剤水溶液を3時間かけて連続的に添加した。滴下後、3時間保持して、架橋アクリル酸ブチルゴムラテックスを得た。
得られた架橋アクリル酸ブチルゴムラテックスの重量平均粒子径を下記に記載する方法で算出した。得られた架橋アクリル酸ブチルゴムラテックスを15部(固形分)、スチレンを64部、アクリロニトリルを21部用いてグラフト共重合を行い、グラフト共重合体を得た。グラフト共重合体のパウダーを溶融混練してペレットを得た。得られたペレットを、クライオミクロトームを用いて−85℃の雰囲気下で超薄切片を切り出し、四酸化ルテニウム(RuO)で染色し、透過型電子顕微鏡(JEM−1400:日本電子製)で写真撮影した。画像解析装置(旭化成 IP−1000PC)を用いて、1000個の複合ゴム粒子の面積を計測し、その円相当径(直径)を求め、架橋アクリル酸ブチルゴムラテックスの重量平均粒子径を算出した結果、重量平均粒子径は200nmであった。
複合ゴム(a−1)の製造
10Lのガラスリアクターに、上記の凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムラテックス(1)を20重量部(固形分)、脱イオン水を160重量部仕込み、窒素置換を行った。窒素置換後、槽内を昇温し45℃に到達したところで脱イオン水20重量部にブドウ糖0.2重量部、無水ピロリン酸ナトリウム0.03重量部及び硫酸第1鉄0.001重量部を溶解した水溶液を添加した。さらに、アクリル酸ブチル20重量部、メタクリル酸アリル0.1重量部を添加した。槽内の温度が50℃に到達した後、1時間保持し、脱イオン水25重量部にアルケニルコハク酸ジカリウム0.9重量部、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド0.1重量部を溶解した水溶液とアクリル酸ブチル60重量部、メタクリル酸アリル0.4重量部を5時間かけて連続的に滴下した。滴下後、3時間保持して、肥大化スチレン−ブタジエンゴムと架橋アクリル酸ブチル重合体から構成される複合ゴムラテックスを得た。
複合ゴム(a−2)の製造
10Lのガラスリアクターに、上記の凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムラテックス(1)を10重量部(固形分)、脱イオン水を160重量部仕込み、窒素置換を行った。窒素置換後、槽内を昇温し45℃に到達したところで脱イオン水20重量部にブドウ糖0.2重量部、無水ピロリン酸ナトリウム0.03重量部及び硫酸第1鉄0.001重量部を溶解した水溶液を添加した。さらに、アクリル酸ブチル15重量部、メタクリル酸アリル0.1重量部を添加した。槽内の温度が50℃に到達した後、1時間保持し、脱イオン水25重量部にアルケニルコハク酸ジカリウム0.9重量部、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド0.1重量部を溶解した水溶液とアクリル酸ブチル75重量部、メタクリル酸アリル0.46重量部を6時間かけて連続的に滴下した。滴下後、3時間保持して、肥大化スチレン−ブタジエンゴムと架橋アクリル酸ブチル重合体から構成される複合ゴムラテックスを得た。
複合ゴム(a−3)の製造
10Lのガラスリアクターに、上記の凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムラテックス(1)を30重量部(固形分)、脱イオン水を160重量部仕込み、窒素置換を行った。窒素置換後、槽内を昇温し45℃に到達したところで脱イオン水20重量部にブドウ糖0.2重量部、無水ピロリン酸ナトリウム0.03重量部及び硫酸第1鉄0.001重量部を溶解した水溶液を添加した。さらに、アクリル酸ブチル25重量部、メタクリル酸アリル0.2重量部を添加した。槽内の温度が50℃に到達した後、1時間保持し、脱イオン水25重量部にアルケニルコハク酸ジカリウム0.9重量部、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド0.1重量部を溶解した水溶液とアクリル酸ブチル45重量部、メタクリル酸アリル0.24重量部を3時間かけて連続的に滴下した。滴下後、3時間保持して、肥大化スチレン−ブタジエンゴムと架橋アクリル酸ブチル重合体から構成される複合ゴムラテックスを得た。
複合ゴム(a−4)の製造
10Lのガラスリアクターに、上記の凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムラテックス(2)を20重量部(固形分)、脱イオン水を160重量部仕込み、窒素置換を行った。窒素置換後、槽内を昇温し45℃に到達したところで脱イオン水20重量部にブドウ糖0.2重量部、無水ピロリン酸ナトリウム0.03重量部及び硫酸第1鉄0.001重量部を溶解した水溶液を添加した。さらに、アクリル酸ブチル20重量部、メタクリル酸アリル0.1重量部を添加した。槽内の温度が50℃に到達した後、1時間保持し、脱イオン水25重量部にアルケニルコハク酸ジカリウム0.9重量部、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド0.1重量部を溶解した水溶液とアクリル酸ブチル60重量部、メタクリル酸アリル0.4重量部を5時間かけて連続的に滴下した。滴下後、3時間保持して、肥大化スチレン−ブタジエンゴムと架橋アクリル酸ブチル重合体から構成される複合ゴムラテックスを得た。
複合ゴム(a−5)の製造
10Lのガラスリアクターに、上記の凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムラテックス(1)を20重量部(固形分)、脱イオン水を160重量部仕込み窒素置換を行った。窒素置換後、槽内を昇温し45℃に到達したところで脱イオン水20重量部にブドウ糖0.2重量部、無水ピロリン酸ナトリウム0.03重量部及び硫酸第1鉄0.001重量部を溶解した水溶液を添加した。さらに、脱イオン水25重量部にアルケニルコハク酸ジカリウム0.9重量部、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド0.1重量部を溶解した乳化剤溶液の5%、アクリル酸ブチル16重量部、メタクリル酸アリル0.1重量部を添加し、槽内の温度が50℃に到達した後、1時間保持し、残りの乳化剤溶液とアクリル酸ブチル64重量部、メタクリル酸アリル0.4重量部を5時間かけて連続的に滴下した。滴下後、3時間保持して、肥大化スチレン−ブタジエンゴムと架橋アクリル酸ブチル重合体から構成される複合ゴムラテックスを得た。
複合ゴム(a−6)の製造
10Lのガラスリアクターに、上記の凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムラテックス(1)を20重量部(固形分)、脱イオン水を160重量部仕込み窒素置換を行った。窒素置換後、槽内を昇温し45℃に到達したところで脱イオン水20重量部にブドウ糖0.2重量部、無水ピロリン酸ナトリウム0.03重量部及び硫酸第1鉄0.001重量部を溶解した水溶液を添加した。さらに、脱イオン水25重量部にアルケニルコハク酸ジカリウム0.9重量部、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド0.1重量部を溶解した乳化剤溶液の10%、アクリル酸ブチル16重量部、メタクリル酸アリル0.1重量部を添加し、槽内の温度が50℃に到達した後、1時間保持し、残りの乳化剤溶液とアクリル酸ブチル64重量部、メタクリル酸アリル0.4重量部を5時間かけて連続的に滴下した。滴下後、3時間保持して、肥大化スチレン−ブタジエンゴムと架橋アクリル酸ブチル重合体から構成される複合ゴムラテックスを得た。
複合ゴム(a−7)の製造
10Lのガラスリアクターに、上記の凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムラテックス(1)を20重量部(固形分)、脱イオン水を160重量部仕込み窒素置換を行った。窒素置換後、槽内を昇温し45℃に到達したところで脱イオン水20重量部にブドウ糖0.2重量部、無水ピロリン酸ナトリウム0.03重量部及び硫酸第1鉄0.001重量部を溶解した水溶液を添加した。さらに、脱イオン水25重量部にアルケニルコハク酸ジカリウム0.9重量部、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド0.1重量部を溶解した乳化剤溶液の20%、アクリル酸ブチル16重量部、メタクリル酸アリル0.1重量部を添加し、槽内の温度が50℃に到達した後、1時間保持し、残りの乳化剤溶液とアクリル酸ブチル64重量部、メタクリル酸アリル0.4重量部を5時間かけて連続的に滴下した。滴下後、3時間保持して、肥大化スチレン−ブタジエンゴムと架橋アクリル酸ブチル重合体から構成される複合ゴムラテックスを得た。
複合ゴム(a−8)の製造
10Lのガラスリアクターに、上記の凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムラテックス(1)を20重量部(固形分)、脱イオン水を160重量部仕込み窒素置換を行った。窒素置換後、槽内を昇温し45℃に到達したところで脱イオン水20重量部にブドウ糖0.2重量部、無水ピロリン酸ナトリウム0.03重量部及び硫酸第1鉄0.001重量部を溶解した水溶液を添加した。さらに、脱イオン水25重量部にアルケニルコハク酸ジカリウム0.9重量部、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド0.1重量部を溶解した乳化剤溶液の40%、アクリル酸ブチル16重量部、メタクリル酸アリル0.1重量部を添加し、槽内の温度が50℃に到達した後、1時間保持し、残りの乳化剤溶液とアクリル酸ブチル64重量部、メタクリル酸アリル0.4重量部を5時間かけて連続的に滴下した。滴下後、3時間保持して、肥大化スチレン−ブタジエンゴムと架橋アクリル酸ブチル重合体から構成される複合ゴムラテックスを得た。
グラフト共重合体(A−1)の製造
ガラスリアクターに、複合ゴムラテックス(a−1)60重量部(固形分)を仕込み窒素置換を行った。窒素置換後、槽内を昇温し60℃に到達したところで、ブドウ糖0.2重量部、無水ピロリン酸ナトリウム0.1重量部及び硫酸第1鉄0.005重量部を脱イオン水10重量部に溶解した水溶液を添加した。65℃に到達後、アクリロニトリル12重量部、スチレン28重量部、ターシャリードデシルメルカプタン0.1部、クメンハイドロパーオキサイド0.3重量部の混合液及び脱イオン水20重量部にオレイン酸カリウム1.0重量部を溶解した乳化剤水溶液を5時間かけて連続的に滴下した。滴下後、3時間保持してグラフト共重合体ラテックス(A−1)を得た。その後、塩析・脱水・乾燥し、グラフト重合体(A−1)のパウダーを得た。
グラフト共重合体(A−2)〜(A−8)の製造
複合ゴムラテックス(a−1)から複合ゴム(a−2)〜(a−8)に変更した以外はグラフト共重合体(A−1)と同様に製造し、グラフト共重合体ラテックス(A−2)〜(A−8)を得た。その後、塩析・脱水・乾燥し、グラフト重合体(A−2)〜(A−8)のパウダーを得た。
グラフト共重合体(A−9)の製造
ガラスリアクターに、凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムラテックス(1)を固形分換算で60重量部仕込み、窒素置換を行った。窒素置換後、槽内を昇温し60℃に到達したところで、ブドウ糖0.2重量部、無水ピロリン酸ナトリウム0.1重量部及び硫酸第1鉄0.005重量部を脱イオン水10重量部に溶解した水溶液を添加した後に、65℃に昇温した。その後、アクリロニトリル12重量部、スチレン28重量部、ターシャリードデシルメルカプタン0.1部、クメンハイドロパーオキサイド0.3重量部の混合液及び脱イオン水20重量部にオレイン酸カリウム1.0重量部を溶解した乳化剤水溶液を4時間かけて連続的に滴下した。滴下後、3時間保持してグラフト共重合体ラテックス(A−9)を得た。その後、塩析・脱水・乾燥し、グラフト重合体(A−9)のパウダーを得た。
グラフト共重合体(A−10)の製造
ガラスリアクターに、凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムラテックス(1)を固形分換算で15重量部、架橋アクリル酸ブチルゴムラテックスを固形分換算で45重量部仕込み、窒素置換を行った。窒素置換後、槽内を昇温し60℃に到達したところで、ブドウ糖0.2重量部、無水ピロリン酸ナトリウム0.1重量部及び硫酸第1鉄0.005重量部を脱イオン水10重量部に溶解した水溶液を添加した後に、65℃に昇温した。その後、アクリロニトリル12重量部、スチレン28重量部、ターシャリードデシルメルカプタン0.1部、クメンハイドロパーオキサイド0.3重量部の混合液及び脱イオン水20重量部にオレイン酸カリウム1.0重量部を溶解した乳化剤水溶液を4時間かけて連続的に滴下した。滴下後、3時間保持してグラフト共重合体ラテックス(A−10)を得た。その後、塩析・脱水・乾燥し、グラフト重合体(A−10)のパウダーを得た。
共重合体(B)の製造
公知の塊状重合法により、スチレン70重量部、アクリロニトリル30重量部からなる共重合体(B)を得た。上述の方法により、得られた共重合体(B)の還元粘度を測定した結果、還元粘度は0.60dl/gであった。
添加剤
光安定剤:ADEKA(株)製 アデカスタブ LA77Y
紫外線吸収剤:住友化学(株)製 スミソーブ200
<実施例1〜10及び比較例1〜4>
表1に示すグラフト共重合体(A)、共重合体(B)及び添加剤を混合した後、40mm二軸押出機を用いて240℃にて溶融混練してペレット化することで実施例1〜10、比較例1〜4の熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。得られたペレットより、250℃に設定した射出成形機にて種々の成形品を成形し、物性評価を行った。それぞれの評価方法を以下に示す。
得られたペレットをクライオミクロトームを用いて−85℃の低温で切り出すことで、超薄切片を得た。得られた超薄切片を四酸化ルテニウム(RuO)で染色し、透過電子顕微鏡(JEM−1400:日本電子製)を用いて観察及び写真撮影した。画像解析装置(旭化成 IP−1000PC)を用いて1000個の粒子の面積を計測し、その円相当径(直径)を求めることで、150nm以下である複合ゴムの粒子数の割合を算出した。結果を表1に示す。
耐衝撃性
各実施例及び比較例で得られたペレットを用いISO294に準拠して各種試験片を成形し、耐衝撃性を測定した。
耐衝撃性はISO179に準拠し、4mm厚みで、ノッチ付きシャルピー衝撃値を測定した。単位:kJ/m
流動性
各実施例及び比較例で得られたペレットを用い、ISO1133に準拠して、220℃、10kg荷重の条件でメルトボリュームフローレイトを測定した。単位;cm/10分
滞留熱安定性
各実施例及び比較例で得られたペレットを用い260℃に設定した射出成型機のシリンダー内に0分間、20分間滞留させ成型して得られたプレートの光沢を測定し、光沢保持率を計算した。
光沢保持率=(20分間滞留させ成型した後測定した光沢/0分間滞留させ成型した後測定した光沢)×100
耐候性
耐候性の評価には、各実施例及び比較例で得られたペレットを用い、射出成形機(山城精機製作所製 SAV−30−30 シリンダー温度:210℃ 金型温度:50℃)にて成形された成形品(90mm×55mm×2.5mm)を用いた。スガ試験機(株)製サンシャインスーパーロングライフウェザーメーター、WEL−SUN−HCH−Bを使用し、63℃、雨ありの条件下で500時間の加速曝露試験を行った。その後測色計を用い、曝露前と曝露後の色差(ΔE)を測定した。
表1に示すように、実施例1〜10は本発明に関わる熱可塑性樹脂組成物の例であり、耐候性、耐衝撃性、流動性及び滞留熱安定性に優れていた。特に円相当粒子径が150nm以下である複合ゴムの粒子数が10%以下である実施例1〜3、5〜8は特に滞留熱安定性に優れていた。
表1に示すように、比較例1〜2は円相当粒子径が150nm以下である複合ゴムの粒子数が50%を超えていたため、滞留熱安定性に劣っていた。また、比較例3はグラフト共重合体としてABS樹脂を用いているため耐候性に劣っていた。比較例4では共役ジエン系ゴム状重合体とアクリル酸エステル系重合体が複合ゴムとして存在していないため、耐候性に劣っていた。
本発明のグラフト共重合体を用いた熱可塑性樹脂組成物は、耐候性、耐衝撃性、流動性及び滞留熱安定性に優れるため、車輌用外装部品、屋外で使用される製品等への利用価値が高い。

Claims (3)

  1. 共役ジエン系ゴム状重合体5〜50重量%と架橋アクリル酸エステル系重合体50〜95重量%から構成される複合ゴム10〜80重量部に、シアン化ビニル系単量体、芳香族ビニル系単量体及びこれらと共重合可能な他のビニル系単量体から選ばれた少なくとも1種からなる単量体20〜90重量部をグラフト重合して得られ、グラフト共重合体中に存在する複合ゴムに関して、円相当粒子径が150nm以下である複合ゴムの粒子数が複合ゴム粒子全体の50%以下であることを特徴とするグラフト共重合体(A)。
  2. 請求項1に記載されたグラフト共重合体(A)と芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、必要に応じてその他の共重合可能な他のビニル系単量体を共重合することで得られる共重合体(B)を含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  3. 請求項1に記載のグラフト共重合体(A)の製造方法であって、
    乳化剤0〜0.15重量部、共役ジエン系ゴム状重合体5〜50重量部、アクリル酸エステル系単量体5〜33重量部を含む組成物(複合ゴムの製造に用いる共役ジエン系ゴム状重合体及びアクリル酸エステル系単量体の総量を100重量部とする。)を0.5〜2.0時間保持する保持工程、及び
    前記保持工程後に、重合開始剤0.03〜0.18重量部、乳化剤0.2〜1.5重量部、及びアクリル酸エステル系単量体17〜90重量部を(複合ゴムの製造に用いる共役ジエン系ゴム状重合体及びアクリル酸エステル系単量体の総量を100重量部とする。)、35〜60℃の温度で1〜6時間かけて前記組成物に連続添加する連続添加工程、
    を含むことを特徴とするグラフト共重合体(A)の製造方法。
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