JP4376524B2 - 熱可塑性樹脂組成物及び成形体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アクリル系ゴム質重合体で強化したゴム強化熱可塑性樹脂に関し、更に詳しくは、光の透過性が高く、透明または半透明の成形品を与え、着色剤と混合した場合には着色鮮映性あるいは光沢性に優れた成形品を与える熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ゴム強化熱可塑性樹脂としては、ゴム成分としてジエン系ゴム質重合体を使用したABS樹脂、アクリル系ゴム質重合体を使用したASA樹脂等が広く知られている。
【0003】
ABS樹脂はゴム成分としてジエン系ゴムが用いられており、このゴムは分子鎖中に不飽和二重結合を有する。このABS樹脂から得られた成形品は屋外で使用している間に日光に晒されると、ゴム成分の不飽和二重結合部分に酸化、分子鎖切断等が起こり、変色、物性低下が生ずるという欠点がある。このため、ABS樹脂を用いた成形品は、屋外での使用が制限される。屋外で使用するために、樹脂に紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤等を添加することによって若干改良することができるが、樹脂の欠点を根本的に改良するまでには至っていない。
これに対し、ASA樹脂は、ゴム成分として不飽和結合を含有しないアクリル酸エステル系ゴムなどを用いるため、耐候性の点ではABS樹脂よりも優れており、屋外で使用される成形品の成形材料として実用化されている。しかし、ASA樹脂は、それ自体、光線透過性が低く、透明性に欠け、また、着色剤を添加して成形した場合には表面の着色鮮映性(例えば、漆黒感)または光沢性に欠けるため、このような外観を求める場合には、成形品表面に塗装を施さなければならなかった。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−81271号公報
【特許文献2】
特開2001−200134号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、それ自体、光線透過性が高く、透明又は半透明の成形品を与え、着色剤と混合した場合には着色鮮映性(例えば、漆黒感)あるいは光沢性に優れた成形品を与えるASA樹脂を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的の下に鋭意研究した結果、ビニル系単量体の(共)重合体からなるマトリックス部分と、そこに島状に分散するゴム強化樹脂とからなる島海構造を有するASA樹脂において、その光線透過性が低い原因は、島部分の屈折率がマトリックス部分の屈折率よりも低いためであることを見出し、島部分の内部に高屈折率の樹脂をオクルージョンする事によって、そのグラフト複合ゴムの屈折率をマトリックスの屈折率に合わせることができ、光線透過性を高めることができるという知見を得て、本発明を完成するに至った。
【0007】
かくして、本発明の第一の局面によれば、アクリル系ゴム質重合体(a)の存在下に、芳香族ビニル単量体を含むビニル系単量体(b1)を重合して得られるゴム強化樹脂(A)と、ビニル系単量体(b2)の(共)重合体(B)とを含有してなる樹脂組成物であって、下記式(I):
na<nB<nb ・・・・・(I)
(式中、naはゴム質重合体(a)の屈折率、nBはビニル系単量体(b2)の(共)重合体(B)の屈折率、nbはゴム強化樹脂(A)中のビニル系単量体(b1)同士の(共)重合体部分の屈折率を表す。)
を満たすことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物が提供される。なお、本発明において、上記屈折率na<nB<nbは、いずれも、アッベの屈折計のd線による25℃における値である。
【0008】
本発明において、島海構造を有するASA樹脂の島部分にグラフトする樹脂成分の屈折率をマトリックス部分の屈折率よりも高めるためには、例えば、使用する単量体成分の種類、使用量などを適宜選択すればよい。
したがって、本発明の第二の局面によれば、アクリル系ゴム質重合体(a)の存在下に、芳香族ビニル単量体を含むビニル系単量体(b1)を重合して得られるゴム強化樹脂(A)と、(メタ)アクリル酸エステル単量体を含むビニル系単量体(b2−1)の(共)重合体(B−1)とを含有してなる樹脂組成物であって、該樹脂組成物のアセトン不溶成分が下記(1)を満たし、該樹脂組成物のアセトン可溶成分が下記(2)を満たすことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物が提供される。
(1):アセトン不溶成分のアクリル系ゴム質重合体(a)以外の部分の芳香族ビニル単量体単位含有量が、アセトン不溶成分の該成分(a)以外の部分を100重量%として、60重量%以上である、
(2):アセトン可溶成分の(メタ)アクリル酸エステル単量体単位含有量が、該アセトン可溶成分を100重量%として、60重量%以上である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に詳しく説明する。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸またはメタクリル酸を意味し、「(共)重合体」は、単独重合体または共重合体を意味する。
上記アクリル系ゴム質重合体(a)は特に限定されないが、アルキル基の炭素数が1〜8の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体の(共)重合体、またはこの(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体と、これと共重合可能な他のビニル系単量体との共重合体が好ましい。
【0010】
アルキル基の炭素数が1〜8のアクリル酸アルキルエステル単量体の具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、i−ブチルアクリレート、アミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート等が挙げられる。メタクリル酸アルキルエステルの具体例としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、i−ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート等が挙げられる。これらの単量体のうち、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートが好ましい。また、これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
【0011】
また、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体と共重合可能な他のビニル系単量体としては、例えば、多官能性ビニル単量体、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体等が挙げられる。
上記「多官能性ビニル単量体」とは、単量体一分子中に2個以上のビニル基を有する単量体をいい、(メタ)アクリル系共重合体を架橋する機能及びグラフト重合時の反応起点の役目を果たすものである。上記多官能性ビニル単量体の具体例としてはジビニルベンゼン、ジビニルトルエン等の多官能性芳香族ビニル単量体、(ポリ)エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル、ジアリルマレート、ジアリルフマレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルフタレート、メタクリル酸アリル等が挙げられる。これら多官能性ビニル単量体は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
【0012】
上記芳香族ビニル単量体の具体例としては、スチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、1,1−ジフェニルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノメチルスチレン、ビニルピリジン、ビニルキシレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノブロモスチレン、ジブロモスチレン、トリブロモスチレン、フルオロスチレン、エチルスチレン、ビニルナフタレン等が挙げられる。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
【0013】
上記シアン化ビニル単量体の具体例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
上記以外にも、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体と共重合可能な他の単量体としては、例えば、アクリルアマイド、メタクリルアマイド、塩化ビニリデン、アルキル基の炭素数が1〜6のアルキルビニルエーテル、アルキル基の炭素数が9以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び(メタ)アクリル酸等が挙げられる。これらの単量体は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
【0014】
上記アクリル系ゴム質重合体の好ましい単量体単位の組成は、アルキル基の炭素数が1〜8である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位80〜99.99重量%(より好ましくは90〜99.5重量%)、多官能性ビニル単量体単位0.01〜5重量%(より好ましくは0.1〜2.5重量%)、及びこれと共重合可能な他のビニル系単量体単位0〜20重量%(より好ましくは0〜10重量%)である。但し、単量体組成は合計100重量%とする。
【0015】
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位の含有量が少なすぎると、低温での耐衝撃性が低くなる。また、上記多官能性ビニル単量体単位の含有量が少なすぎると、アクリル系ゴム質重合体(a)の架橋の程度が低くなるため、ゴム弾性が小さく、更には、得られる成形品の中でゴム粒子が著しく変形して、耐衝撃性が十分発揮されず、成形品に異方性が生ずるので好ましくない。更に、グラフト重合時の反応起点が少なくなり、グラフト化が十分でない。一方、上記多官能性ビニル単量体単位の含有量が多すぎると、アクリル系ゴム質重合体(a)の架橋の程度が高くなり過ぎ、ゴム弾性を失って硬くなる。このような硬いゴムを使用すると、得られる成形品は耐衝撃性が低下する。上記共重合可能な他のビニル系単量体単位の含有量が少なすぎると、アクリル系ゴム質重合体(a)の弾性率等ゴムとしての諸性質が低下する。
【0016】
上記アクリル系ゴム質重合体(a)は、1種単独でまたは組成(単量体の種類、量等)が異なるアクリル系ゴム質重合体の2種以上を組み合わせて使用できる。
【0017】
上記アクリル系ゴム質重合体(a)のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは10℃以下、より好ましくは0℃以下、更に好ましくは−10℃以下である。上記Tgが高すぎると、成形品の耐衝撃性が低下し好ましくない。
また、上記アクリル系ゴム質重合体(a)のゲル含量は、好ましくは20〜99重量%、より好ましくは30〜98.5重量%、更に好ましくは40〜98重量%である。ゲル含量が少なすぎると、ゴム弾性が低下し、ゴム強化熱可塑性樹脂を用いて得られる成形品の耐衝撃性が低下する。一方、ゲル含量が多すぎると、ゴム弾性が高く、流動性が低下するので、好ましくない。ここでゲル含量とは、アクリル系ゴム質重合体ラテックスを炭酸カルシウムや硫酸マグネシウム等の無機塩の水溶液中に滴下し、凝集した重合物を室温以上、40℃以下で真空乾燥した後、正確に秤りとった重合物(Pg)を、約25mlトルエンに室温で攪拌下3時間浸漬し、全量遠心分離することによって得られた不溶分の乾燥重量(Qg)を精秤し、下式によって算出される値である。
ゲル含量(重量%)=(Qg/Pg)×100
【0018】
上記ゲル含量は、アクリル系ゴム質重合体の製造の際に用いられる分子量調節剤や添加する多官能性ビニル単量体の種類、量を適宜選択することによって調節できる。また、例えば乳化重合によって製造される場合、用いられる重合開始剤量、重合開始温度等によっても調節できる。これらの調節方法は、組み合わせて適用できる。
【0019】
上記アクリル系ゴム質重合体(a)は、好ましくは水を媒体とした公知の乳化重合法によって製造される。
乳化重合法としては、例えば単量体成分を全量一括仕込みで重合する方法、単量体成分の一部を重合した後、その残りを連続的または断続的に添加する方法等を採用できる。重合温度は、好ましくは40〜90℃、より好ましくは50〜90℃である。重合時間は、通常、3〜10時間である。
【0020】
アクリル系ゴム質重合体(a)を乳化重合法により製造する際には、必要に応じて、重合開始剤、乳化剤、分子量調節剤及び電解質等を使用できる。上記重合開始剤としては、従来からこの種のゴムを製造する際に使用されている過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の水溶性重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等の油溶性重合開始剤、これらと含糖ピロリン酸処方もしくはスルホキシレート処方等の還元剤を組み合わせたレドックス系の開始剤などが挙げられる。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。上記重合開始剤のうち、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムが好ましい。上記重合開始剤の使用量は、単量体全量に対し、通常0.1〜1.5重量%である。また、上記重合開始剤の添加方法としては、例えば、全量一括仕込み、または一部を添加した後、その残りを連続的、もしくは断続的に添加する方法、あるいは重合の初めから連続的に添加する方法等を採用できる。
【0021】
上記乳化剤としては、従来からこの種のゴムを製造する際に使用されているものを使用できる。上記乳化剤の具体例としては、不均化ロジン酸、オレイン酸、ラウリル酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸のアルカリ金属塩、ドデシルベンゼンスルホン酸等のスルホン酸アルカリ金属塩、アルケニルコハク酸等の二塩基酸アルカリ金属塩等のアニオン界面活性剤、通常のポリエチレングリコールのアルキルエステル型、アルキルエーテル型、アルキルフェニルエーテル型等のノニオン界面活性剤、アニオン部分として、カルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩を、カチオン部分としてアミン塩、第四級アンモニウム塩を有する両性界面活性剤等が挙げられる。この両性界面活性剤の具体例としてはラウリルベタイン、ステアリルベタイン等のベタイン類、ラウリル−β−アラニン、ステアリル−β−アラニン、ラウリルジ(アミノエチル)グリシン、オクチジル(アミノエチル)グリシン等のアミノタイプが挙げられる。更に、反応性乳化剤を用いることもでき、例えば、ビニル基、アクリロイル基、メタアクリロイル基、アリル基、アリルエーテル基、プロペニル基等の高い反応性を示す重合性不飽和結合を有するもの等が挙げられる。以上の乳化剤のうち、不均化ロジン酸、オレイン酸塩、ラウリル酸塩、反応性乳化剤が好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。上記乳化剤の使用量は、単量体全量に対し、通常1〜5重量%である。また、上記乳化剤の添加方法としては、例えば、全量一括仕込み、または一部を添加した後、その残りを連続的もしくは断続的に添加する方法等を採用できる。
【0022】
上記分子量調節剤としては、例えば、クロロホルム、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素類、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、チオグリコール酸等のメルカプタン類、ジメチルキサントゲンジサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンジサルファイド等のキサントゲン類、ターピノーレン、α−メチルスチレンダイマー等、従来から使用されているものを使用できる。上記分子量調節剤の使用量は、単量体全量に対し、通常、0〜1重量%である。
また、上記電解質としては、硫酸カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、リン酸カリウム等、従来から使用されているものを使用でき、これらは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。上記電解質の使用量は、単量体全量に対し、通常、0〜2重量%である。上記分子量調節剤及び電解質は上記乳化剤及び重合開始剤と同様に、それらの一部又は全部を、単量体の一部又は全部とともに反応器に仕込み、また、共重合の進行に応じて追加仕込みができる。
【0023】
乳化重合の際に用いられる水は、単量体成分100重量部に対し、好ましくは100〜200重量部、より好ましくは120〜160重量部である。水が少なすぎると、アクリル系ゴム質重合体ラテックスの粘度が上昇し、一方、多すぎると、経済的に不利で好ましくない。水の添加方法としては、全量を一括仕込み、または一部を添加した後、その残りを連続的もしくは断続的に添加する方法等を採用できる。
【0024】
上記アクリル系ゴム質重合体(a)は、重量平均粒子径が300nm以下であることが好ましく、150nm以下であることがさらに好ましい。上記平均粒子径が大きすぎると透明性を得にくくなる。また、上記アクリル系ゴム質重合体(a)は、粒子径が500nm未満のアクリル系ゴム質重合体粒子(a1)70〜100重量%と粒子径が500nm以上のアクリル系ゴム質重合体粒子(a2)0〜30重量%からなることが好ましい〔但し、(a1)及び(a2)の合計を100重量%とする。〕。粒子(a2)の比率が高すぎると、透明性が得にくくなる。また、上記アクリル系ゴム質重合体粒子(a1)の重量平均粒子径が70〜200nmであり、上記アクリル系ゴム質重合体粒子(a2)の重量平均粒子径が500〜1000nmであることが好ましい。これらの粒子径の範囲を満たさない場合、透明性と強度のバランスが得にくくなる。
また、上記アクリル系ゴム質重合体(a)は、通常、屈折率が1.45〜1.57であることが好ましい。屈折率が上記範囲を外れると、透明樹脂を設計しにくい。
【0025】
上記屈折率並びに粒子径の範囲及び分布を満たすアクリル系ゴム質重合体(a)は、開始剤の種類及び量、乳化剤の種類及び量、反応温度及び時間等を適宜調節することで製造できる。また、粒子径分布を調節する方法としては、例えば、アクリル系ゴム質重合体を乳化重合する際に、重合初期は開始剤、乳化剤が少ない状態で単量体原料を反応させて粒子径の大きい上記粒子(a2)を生成させ、重合の途中で、開始剤、乳化剤等を追加することで、粒子径の小さい上記粒子(a1)を生成させる方法が挙げられる。
【0026】
本発明に係わるゴム強化樹脂(A)は、アクリル系ゴム質重合体(a)の存在下に、ビニル系単量体(b1)をグラフト重合して得られる。
上記ビニル系単量体(b1)としては、芳香族ビニル単量体を必須成分として含み、当該ビニル系単量体(b1)同士の(共)重合体の屈折率nbが、(共)重合体(B)の屈折率nBよりも高いものである限り、特に限定されない。ここにおいて,当該ビニル系単量体(b1)同士の(共)重合体とは、ゴム強化樹脂(A)中のビニル系単量体(b1)同士の(共)重合体部分と同義である。したがって、屈折率nbは、アクリル系ゴム質重合体(a)の不存在下にビニル系単量体(b1)を重合して得られる(共)重合体の屈折率に等しいと考えることができ、当該(共)重合体の理論屈折率で表わすことができる。本発明において、屈折率nbは、屈折率nBとの関係で定められるものであるが、通常、1.508よりも高いことがさらに好ましく、1.55以上であることがさらに好ましく、1.55〜1.57であることが特に好ましい。
【0027】
芳香族ビニル単量体としては、前記アクリル系ゴム質重合体(a)の原料として例示したものを使用できる。
上記ビニル系単量体(b1)は、さらに、他の単量体成分を含有してもよい。かかる他の単量体成分としては、前記アクリル系ゴム質重合体の原料として例示した(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体、多官能性芳香族ビニル単量体及びシアン化ビニル単量体に加え、不飽和酸、不飽和酸無水物、マレイミド系単量体、エポキシ基含有不飽和化合物、不飽和カルボン酸アミド、アミノ基含有不飽和化合物、ヒドロキシル基含有不飽和化合物、及びオキサゾリン基含有不飽和化合物等が挙げられる。
【0028】
上記不飽和酸としては、アクリル酸及びメタクリル酸等が挙げられる。上記不飽和酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられる。また、上記マレイミド系単量体としては、アルキル基の炭素数が1〜4のN−アルキルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(p−メチルフェニル)マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。
【0029】
上記エポキシ基含有不飽和化合物としては、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。上記不飽和カルボン酸アミドとしては、アクリルアミド、メタクリルアミド等が挙げられる。また、上記アミノ基含有不飽和化合物としては、アクリルアミン、メタクリル酸アミノメチル、メタクリル酸アミノエーテル、メタクリル酸アミノプロピル、アミノスチレン等が挙げられる。
【0030】
上記ヒドロキシル基含有不飽和化合物としては、3−ヒドロキシ−1−プロペン、4−ヒドロキシ−1−ブテン、シス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、トランス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、3−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロペン、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシスチレン等が挙げられる。また、上記オキサゾリン基含有不飽和化合物としては、ビニルオキサゾリン等が挙げられる。
【0031】
好ましい上記ビニル系単量体(b1)としては、芳香族ビニル単量体と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体、シアン化ビニル単量体及びマレイミド系単量体からなる群から選ばれた少なくとも1種との組み合わせが挙げられる。特に好ましくは、下記の組み合わせである:
(b1−a)芳香族ビニル単量体とシアン化ビニル単量体との組み合わせ、
(b1−b)芳香族ビニル単量体とシアン化ビニル単量体と(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体との組み合わせ。
【0032】
尚、スチレン等の芳香族ビニル単量体を用いることで、本発明の熱可塑性樹脂組成物の加工性を向上させることができ、シアン化ビニル単量体を用いることで耐薬品性、耐衝撃性及び極性を有する重合体との相溶性等を向上させることができる。また、マレイミド系単量体を用いることで耐熱変形性を向上させることができる。尚、マレイミド系単量体単位を含有するゴム強化樹脂(A)を形成する方法としては、上記マレイミド系単量体を用いる以外に、例えば、無水マレイン酸を共重合させ、後イミド化によりマレイミド系単量体単位を導入することができる。
【0033】
上記ビニル系単量体(b1)は、配合される単量体の合計を100重量%としたとき、芳香族ビニル単量体を60重量%以上含有することが好ましい。芳香族ビニル単量体の含有量が少なすぎると、nB<nbの屈折率の関係を満たす下記(共)重合体(B)の選択肢が狭まり、熱可塑性樹脂組成物の設計の自由度が狭くなり、また、成形品の耐衝撃性が低下する。さらに好ましい配合は、芳香族ビニル単量体を60〜100重量%、シアン化ビニル単量体0〜40重量%、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体0〜50重量%、マレイミド系単量体0〜30重量%である。特に好ましい配合は、芳香族ビニル単量体を70〜90重量%、シアン化ビニル単量体10〜30重量%、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体0〜40重量%、マレイミド系単量体0〜20重量%である。尚、例えば、無水マレイン酸を共重合させて、イミド化した場合には、イミド化の後のマレイミド系単量体単位の含有量が上記の範囲に入ればよい。
【0034】
尚、上記ビニル系単量体(b1)は、上記例示した単量体を2種以上組み合わせて用いる場合、配合される単量体の合計を100重量%としたとき、各単量体の下限配合量は、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上である。配合量が少ないと、各単量体が有する性能を十分発揮できないことがある。
【0035】
上記ゴム強化樹脂(A)に用いられる上記アクリル系ゴム質重合体(a)及び上記ビニル系単量体(b1)の使用量の好ましい組み合わせは、これらの合計を100重量%とした場合、上記(a)が30〜80重量%及び上記(b)が20〜70重量%、より好ましくは上記(a)が35〜70重量%及び上記(b)が30〜65重量%、更に好ましくは上記(a)が40〜60重量%及び上記(b)が40〜60重量%である。上記アクリル系ゴム質重合体(a)の使用量が少なすぎるかまたは上記ビニル系単量体(b1)の使用量が多すぎると、成形品の透明性が劣る。一方、上記アクリル系ゴム質重合体(a)の使用量が多すぎるかあるいは上記ビニル系単量体(b1)の使用量が少なすぎると、成形品の表面光沢が劣り、好ましくない。
【0036】
上記ゴム強化樹脂(A)のグラフト率、即ち、アクリル系ゴム質重合体(a)にグラフトしたビニル系単量体(b1)の割合は、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10〜200重量%、更に好ましくは10〜150重量%である。グラフト率が小さすぎると、成形品の表面外観性が劣り、一方、大きすぎると耐衝撃性が劣る。尚、グラフト率の測定方法は実施例において述べる。
上記グラフト率は、上記ゴム強化樹脂(A)を重合するときに使用する重合開始剤、乳化剤、分子量調節剤等の種類や量、更には重合時間、重合温度等を適宜調節することにより容易に制御することができる。
【0037】
上記ゴム強化樹脂(A)は、上記アクリル系ゴム質重合体(a)の存在下に、上記ビニル系単量体(b1)を、好ましくは乳化重合法、乳化−懸濁重合法、乳化−塊状重合法、乳化−溶液重合法、微小懸濁重合法等でグラフト重合させることにより製造できる。乳化重合法によって製造する際には、必要に応じ、前記例示した重合開始剤、乳化剤、分子量調節剤、電解質等を使用できる。乳化−懸濁重合法によるときは、従来からこの種のグラフト重合をする際に使用されている懸濁剤が使用できる。
【0038】
グラフト重合を行う際には、ビニル系単量体、重合開始剤、分子量調節剤等を反応器に仕込む方式は、一括仕込みでもよいが、分割仕込み、連続仕込み等が挙げられる。分割仕込み、連続仕込みにおいては、仕込み量は適宜変動させてもよい。乳化重合法以外の重合法として、乳化重合法によって若干グラフト重合を行い、アクリル系ゴム質重合体粒子の表面を硬質の樹脂で被覆し、ゴム粒子のみによる分散が可能になったとき、乳化系から懸濁系、塊状系、又は溶液系に移行して、グラフト重合を継続する方法を採用できる。
尚、上記のようにして製造されるゴム強化樹脂(A)には、ビニル系単量体(b1)の一部がグラフトされずに(共)重合したビニル系単量体(b1)の(共)重合体が含まれている。
【0039】
上記ゴム強化樹脂(A)としては、上記のように、上記アクリル系ゴム質重合体(a1)及び(a2)を含有する上記アクリル系ゴム質重合体(a)の存在下にビニル系単量体(b1)を重合して得られるものだけでなく、粒子径の異なるそれぞれのアクリル系ゴム質重合体の存在下にビニル系単量体(b1)を重合して得られた2種以上の共重合樹脂を、上記ゴム強化樹脂(A)の要件を満たすように適宜混合する方法で得られるものであってもよい。
【0040】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記ゴム強化樹脂(A)とビニル系単量体(b2)の(共)重合体(B)とを含有する。
この(共)重合体(B)は、ビニル系単量体(b2)を構成単位としてなり、その屈折率nBが、上記屈折率nbよりも低いものである限り、特に限定されない。本発明において、屈折率nBは、屈折率naおよび屈折率nbとの関係で定められるものであるが、通常、1.53以下であることが好ましく、特に好ましくは1.45〜1.52である。
【0041】
ビニル系単量体(b2)としては、前記ビニル系単量体(b1)として例示した芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体などの(メタ)アクリル酸エステル単量体、マレイミド系単量体、不飽和カルボン酸等を使用できる。これらの単量体は1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
好ましいビニル系単量体(b2)としては、(メタ)アクリル酸エステル単量体を含むビニル系単量体(b2−1)が挙げられる。さらに好ましくは、(メタ)アクリル酸エステル単量体と、シアン化ビニル単量体、マレイミド系単量体及び芳香族ビニル単量体からなる群から選ばれた少なくとも1種との組み合わせが挙げられる。特に好ましくは、下記の組み合わせである:
(b2−a)(メタ)アクリル酸エステル単量体とシアン化ビニル単量体との組み合わせ、
(b2−b)(メタ)アクリル酸エステル単量体とシアン化ビニル単量体と芳香族ビニル単量体との組み合わせ。
【0042】
上記ビニル系単量体(b2)は、配合される単量体の合計を100重量%としたとき、(メタ)アクリル酸エステル単量体を60重量%以上含有することが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル単量体の含有量が少な過ぎると、nB<nbの屈折率の関係を満たす上記ビニル系単量体(b1)の選択肢が狭まり、熱可塑性樹脂組成物の設計の自由度が狭くなり、また、成形品の耐衝撃性が低下する。さらに好ましい配合は、(メタ)アクリル酸エステル単量体を65〜95重量%、シアン化ビニル単量体0〜30重量%、マレイミド系単量体0〜20重量%、芳香族ビニル単量体0〜20重量%である。特に好ましい配合は、(メタ)アクリル酸エステル単量体を60〜90重量%、シアン化ビニル単量体5〜25重量%、マレイミド系単量体0〜10重量%、芳香族ビニル単量体0〜10重量%である。尚、例えば、無水マレイン酸を共重合させて、イミド化した場合には、イミド化の後のマレイミド系単量体単位の含有量が上記の範囲に入ればよい。尚、マレイミド系単量体単位は上記と同様に導入することができる。
【0043】
尚、上記ビニル系単量体(b2)は、上記例示した単量体を2種以上組み合わせて用いる場合、配合される単量体の合計を100重量%としたとき、各単量体の下限配合量は、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上である。配合量が少ないと、各単量体が有する性能を十分発揮できないことがある。
【0044】
上記(共)重合体(B)は、公知の重合法である、乳化重合、塊状重合、溶液重合、懸濁重合及びこれらを組み合わせた重合法で製造することができる。なお、上記(共)重合体(B)は、別々に製造された重合体の混合物であってもよい。
乳化重合で製造する場合の製造法については、前記(A)成分で記載した方法が使用できる。
溶液重合において用いられる溶剤は、通常のラジカル重合で使用される不活性重合溶媒であり、例えばエチルベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン類、ジクロルメチレン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。重合温度は、80〜140℃が好ましく、更に好ましくは85〜130℃、特に好ましくは90〜120℃の範囲である。
【0045】
重合に際し、重合開始剤を使用せずに、熱重合で重合してもよく、又重合開始剤を用いて重合しても良い。重合開始剤としては、ケトンパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、ハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物等が好ましく用いられる。連鎖移動剤としては、例えば、メルカプタン類、α−メチルスチレンダイマー等を使用できる。
塊状重合においては、溶液重合で記載した重合開始剤、連鎖移動剤等が全て使用できる。
【0046】
本発明において、ゴム強化樹脂(A)と(共)重合体(B)との混合割合は、上記成分(A)と成分(B)の合計を100重量%として、好ましくは成分(A)が10〜99重量%、成分(B)が1〜90重量%であり、より好ましくは成分(A)が15〜95重量%、成分(B)が5〜85重量%である。
【0047】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記式(I)のna<nB<nbの関係を充足するようにゴム質重合体(a)、ビニル系単量体(b1)およびビニル系単量体(b2)を選択し、これらの成分を用いてゴム強化樹脂(A)及び(共)重合体(B)を製造し、両者を混合または溶融混練し、成形材料として供することができる。
【0048】
かくして製造された本発明の熱可塑性樹脂組成物は、該樹脂組成物のアセトン不溶成分が下記(1)を満たし、該樹脂組成物のアセトン可溶成分が下記(2)を満たすことが好ましい。
(1):アクリル系ゴム質重合体(a)の部分以外のアセトン不溶成分の芳香族ビニル化合物含有量が、該成分(a)の部分以外のアセトン不溶成分を100重量%として、60重量%以上である、
(2):アセトン可溶成分の(メタ)アクリル酸エステル単量体単位含有量が、該アセトン可溶成分を100重量%として、60重量%以上である。
上記(1)及び(2)を満たす本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ASTM D1003に準拠して測定した全光線透過率の値が40%以上を示し、50%以上、さらには、60%以上の全光線透過率を達成することも可能である。さらに、上記(1)及び(2)を満たす熱可塑性樹脂組成物は、耐衝撃性に優れた成形品を与える点でも好都合である。
なお、アセトン不溶成分とは、ゴムとゴムにグラフトした樹脂成分を示す。アセトン可溶成分とは、ゴムにグラフトしなかった樹脂成分とこれにコンパウンドされた(共)重合体(B)由来の樹脂成分とを意味する。
【0049】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、下記実施例の方法で測定されるメルトフローレートが5g/10min以上であることが好ましく、さらに好ましくは10g/10min以上である。メルトフローレートが低すぎると、射出成形が難しくなる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物のアセトニトリル可溶樹脂成分の極限粘度〔η〕(メチルエチルケトン中30℃で測定)は、好ましくは0.1〜1dl/g、更に好ましくは0.15〜0.9dl/gである。極限粘度が上記範囲であると、成形品の耐衝撃性、表面外観性の優れた熱可塑性樹脂組成物が得られる。
【0050】
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、要求される性能を損なわない範囲で、他の熱可塑性樹脂を配合して溶融混練し、成形材料として供してもよい。
上記他の熱可塑性樹脂としては、例えば、耐衝撃性ポリスチレン、ABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)、耐熱性ABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン・α−メチルスチレン共重合体)、超耐熱性ABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン・フェニルマレイミド共重合体)、MABS樹脂(メチルメタクリレート・アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリアミド類、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンオキサイド等が挙げられる。これらは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
【0051】
上記他の熱可塑性樹脂の配合量は、用途により異なるが、通常、本発明の熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して、好ましくは1〜300重量部、より好ましくは5〜100重量部である。上記他の熱可塑性樹脂の配合量が少なすぎると、その添加効果が十分発揮されない。
【0052】
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、更に、無機充填剤、金属粉末、補強剤、可塑剤、相溶化剤、熱安定剤、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、帯電防止剤、滑剤、難燃剤等の各種樹脂添加剤を、適宜添加できる。
【0053】
上記各成分を混合して本発明の熱可塑性樹脂組成物を製造するには、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、及び2本ロール等の混練機等を使用できる。このとき、混練は、各成分を一括練りしても、多段添加式で混練してもよい。
【0054】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、射出成形法、シート押出成形法、真空成形法、異形押出成形法、圧縮成形法、中空成形法、差圧成形法、ブロー成形法、発泡成形法、ガス注入成形法等、公知の各種成形法によって所定形状の成形品とされ、耐衝撃性、耐候性、良好な表面外観の要求されるOA・家電製品、電気・電子分野、雑貨分野、サニタリー分野、車輌用途等の各種パーツ、シャーシ、ハウジング材等に使用できる。
【0055】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の記載例に限定されるものではない。なお、以下の例において、部及び%は特に断らない限り、重量基準である。また、実施例中の各種評価は、次のようにして測定した値である。
【0056】
(1)アクリル系ゴム質重合体粒子の粒子径及び分布の測定
アクリル系ゴム質重合体ラテックス中のアクリル系ゴム質重合体粒子の粒子径及びその分布は、HONEYWELL社製のマイクロトラックUPA150により、室温で測定した。粒子径の単位はnm、割合は重量%。
(2)グラフト率
ゴム強化熱可塑性樹脂の一定量(x)を、アセトニトリルに投入し、振とう機で1時間振とうし、遊離の共重合体を溶解させ、遠心分離器を用いてこの溶液を22000rpmで1時間遠心分離し、不溶分を得た後に、真空乾燥機を用いて120℃で2時間乾燥し、不溶分(y)を得て、下記よりグラフト率を算出した。
グラフト率(%)=[(y−x×ゴム強化熱可塑性樹脂のゴム分率)÷(x×ゴム強化熱可塑性樹脂中のゴム分率)]×100
【0057】
(3)シャルピー衝撃強度
ISO 179に準拠して測定した。単位:KJ/m2。
(4)メルトフローレート
JIS K7210に準拠して測定した。単位:g/10min
(5)全光線透過率
ASTM D1003に準拠して測定した。単位:%
(6)屈折率
アッベの屈折計にてd線の25℃で測定した。
(7)着色鮮映性
黒着色試験片を目視し、下記基準で評価した:
○;漆黒感に優れている、
×;漆黒感に劣る、
△;○と×の中間。
【0058】
製造例R−1(アクリル系ゴム質重合体ラテックスの製造)
アクリル酸n−ブチル(以下、BAと略記する)99部、アリルメタクリレート1部(以下、AMAと略記する)を混合して、単量体混合物(I)を調製した。攪拌装置、原料及び助剤添加装置、温度計、加熱装置などを備えた、容量5Lのガラス製反応器に水150部、乳化剤として不均化ロジン酸カリウム1部、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩を1.5部、電解質として炭酸水素ナトリウム1部を仕込み、攪拌しつつ、窒素気流下で、内温を60℃まで昇温した。60℃に達した時点で、単量体混合物(I)10.1部を反応器に仕込み、更に75℃まで昇温した。ついで、75℃に達した時点で、2.0部の水に過硫酸カリウム(以下、KPSと略記する)0.025部を溶解した水溶液を反応器に仕込み、同温度で重合を開始した。重合開始から1時間後に、12部の水に高級脂肪酸ナトリウム石鹸0.5部をおよそ60℃に温めながら溶解した水溶液と、80部の水にKPS0.15部を溶解した水溶液とを反応器に仕込んだ。その直後に単量体混合物(I)89.9部を、2時間にわたって連続添加した。単量体混合物(I)の連続添加終了直後、5.0部の水にKPS0.06部を溶解した水溶液を反応器に仕込み、反応器の内温を75℃から80℃に昇温した。80℃に昇温後、さらに1時間30分の間、80℃に反応器の内温を保持し、重合反応を終了し、アクリル系ゴム質重合体ラテックス(R−1)を得た。このときの重合転化率は97%であった。得られたアクリル系ゴム質重合体粒子の重量平均粒子径は284nm、粒子径500nm未満のアクリル系ゴム質重合体粒子の重量平均粒子径が127nm、割合が77%、粒子径500nm以上のアクリル系ゴム質重合体粒子の重量平均粒子径が806nm、割合が23%であった。このゴムの屈折率は1.46であった。
【0059】
製造例G−1(グラフト共重合体の製造)
スチレン(以下、SMと略記する)74部、及びアクリロニトリル(以下、ANと略記する)26部を混合して、単量体混合物(II)を調製した。製造例R−1に使用したガラス製反応器に上記アクリル系ゴム質重合体ラテックス(R−1)100部(固形分換算)と水110部を仕込み、攪拌しつつ、窒素気流下、40℃に昇温した。40℃に達した時点で、20部の水に、ブドウ糖0.3部とピロリン酸ナトリウム1.2部、硫酸第一鉄0.01部を溶解した水溶液(以下、RED水溶液と略記する)のうち、86重量%分、及び、30部の水にt−ブチルハイドロパーオキサイド(以下、BHPと略記する)0.4部、不均化ロジン酸カリウム2.4部を溶解した水溶液(以下、CAT水溶液と略記する)のうち、30重量%分を反応器に仕込み、その直後から単量体混合物(II)の全量およびCAT水溶液の残70重量%分を、それぞれ3時間及び3時間30分にわたって連続添加し、重合を行った。重合時、重合開始から75℃まで昇温し、その後、75℃で保持した。重合を開始して180分後にRED水溶液の残14重量%分を反応器に仕込み、60分間、同温度で保持した後に重合を終了し、グラフト共重合体ラテックス(G−1)を得た。このグラフト共重合体ラテックスを凝固、水洗、乾燥し、粉末状のグラフト共重合体を得た。そのグラフト率及びグラフト鎖の理論屈折率の結果を表1に示す。
【0060】
製造例G−2〜4(グラフト共重合体の製造)
表1に示した配合とした以外、製造例G−1と同様にして、グラフト共重合体ラテックス(G−2〜4)を得た。これらのグラフト共重合体ラテックスを凝固、水洗、乾燥し、粉末状のグラフト共重合体を得た。そのグラフト率及びグラフト鎖の理論屈折率の結果を表1に示す。
【0061】
【表1】
【0062】
製造例M−1(共重合体の製造)
メタクリル酸メチル(以下、MMAと略記する)80部、及びアクリロニトリル(以下、ANと略記する)20部を混合して、単量体混合物(III)を調製した。製造例R−1に使用したガラス製反応器にオレイン酸ナトリウム2部と水110部を仕込み、攪拌しつつ、窒素気流下、40℃に昇温した。40℃に達した時点で、過硫酸カリウム 0.3部を反応器に仕込み、その直後から単量体混合物(III)を、3時間にわたって連続添加し、重合を行った。重合時、重合開始から75℃まで昇温し、その後、75℃で保持し、共重合体ラテックス(M−1)を得た。この共重合体ラテックスを凝固、水洗、乾燥し、粉末状の共重合体を得た。その理論屈折率の結果を表2に示す。
【0063】
製造例M−2〜4(共重合体の製造)
表2に示した配合とした以外、製造例M−1と同様にして、共重合体ラテックス(M−2〜4)を得た。これらの共重合体ラテックスを凝固、水洗、乾燥し、粉末状の共重合体を得た。その理論屈折率の結果を表2に示す。
【0064】
【表2】
【0065】
実施例1〜4、比較例1〜4(物性及び透明性の評価)
上記で得られた粉末状のグラフト共重合体と共重合体とを、表3に示した配合で混合し、単軸押出機によって混練して樹脂ペレットとした。得られた樹脂ペレットから、射出成形機にて物性評価用の試験片を作製した。一方、着色鮮映性評価用試験片は、混練り時、樹脂成分に対して0.1%のカーボンブラックを添加し、他は同様にして黒着色試験片を作製した。そして、評価を実施し、評価結果を表3に示した。
【0066】
【表3】
【0067】
実施例1〜4は、本発明の熱可塑性樹脂組成物であり、本発明の目的とする透明性及び優れた耐衝撃性と着色鮮映性が得られている。
比較例1〜4は、本発明の範囲外の屈折率及びモノマー組成の関係になり、目的とする透明性が得られず、そして、着色鮮映性も劣る。
【0068】
【発明の効果】
本発明によれば、ビニル系単量体の(共)重合体(B)からなるマトリックス部分と、そこに島状に分散するゴム強化樹脂(A)とからなる島海構造を有するASA樹脂において、アクリル系ゴム質重合体(a)にグラフト重合したグラフト鎖部分の屈折率nbを(共)重合体(B)の屈折率nBよりも高めることにより、ASA樹脂の光線透過率を高めることができたので、それ自体半透明または透明なASA樹脂成形品を提供することが可能となる。また、アクリル系ゴム質重合体(a)にグラフト重合したグラフト鎖部分の芳香族ビニル単量体単位の含有量を高め、マトリックス部分を構成する共重合体(B)の(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の含有量を高めることにより、光線透過率が高く、且つ、耐衝撃性および着色鮮映性に優れたASA樹脂成形品が得られる。
Claims (6)
- アクリル系ゴム質重合体(a)30〜80質量%の存在下に、芳香族ビニル単量体を含むビニル系単量体(b1)20〜70質量%を重合して得られるゴム強化樹脂(A)(但し、上記成分(a)と上記成分(b1)の合計は100質量%)と、ビニル系単量体(b2)の(共)重合体(B)とを含有してなる樹脂組成物であって、下記式(I):
na<nB<nb ・・・・・(I)
(式中、naはゴム質重合体(a)の屈折率、nBはビニル系単量体(b2)の(共)重合体(B)の屈折率、nbはゴム強化樹脂(A)中のビニル系単量体(b1)同士の(共)重合体部分の屈折率を表す。)
を満たし、上記ビニル系単量体(b2)は該単量体(b2)の合計100重量%に対して(メタ)アクリル酸エステル単量体を60重量%以上含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。 - ASTM D1003に準拠して測定した全光線透過率が40%を越える請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1または2の熱可塑性樹脂組成物からなる成形体。
- アクリル系ゴム質重合体(a)の存在下に、芳香族ビニル単量体を含むビニル系単量体(b1)を重合して得られるゴム強化樹脂(A)と、(メタ)アクリル酸エステル単量体を含むビニル系単量体(b2−1)の(共)重合体(B−1)とを含有してなる樹脂組成物であって、該樹脂組成物のアセトン不溶成分が下記(1)を満たし、該樹脂組成物のアセトン可溶成分が下記(2)を満たすことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
(1):アセトン不溶成分のアクリル系ゴム質重合体(a)以外の部分の芳香族ビニル単量体単位含有量が、アセトン不溶成分の該成分(a)以外の部分を100重量%として、60重量%以上である、
(2):アセトン可溶成分の(メタ)アクリル酸エステル単量体単位含有量が、該アセトン可溶成分を100重量%として、60重量%以上である。 - ASTM D1003に準拠して測定した全光線透過率が40%を越える請求項4に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項4または5の熱可塑性樹脂組成物からなる成形体。
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