JP6524802B2 - 3dプリンター用フィラメント - Google Patents

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Description

本発明は、3Dプリンター用フィラメントに関する。
キャド上で入力された3次元形状を直接に立体モデル化するシステムはラピッドプロトタイピングシステム、ラッピッドニューファクチャリングシステム等と呼ばれる。これらシステムには、使用する熱可塑性樹脂によって決定される所定の温度に維持された恒温室(構築チャンバ)を有する方式、熱可塑性樹脂の粉末を溶融接着して積層する方式等がある。
上記のシステムとしては、下記のものが開示されている。
溶融形態の第1の熱凝固性材料を、第1の押出し温度で、所定のパターンで供給して、三次元物品を規定し、同時に、溶融形態の第2の熱凝固性材料を、第2の押出し温度で分配して、該三次元物品のための支持構造を規定することによって三次元物品を作製するためのプロセスであって、改良点は、以下:
第1の熱可塑性樹脂を含みかつ120℃より高い熱変形温度を有するモデリング材料を、該第1の熱凝固性材料として提供する工程;およびポリフェニレンエーテルとポリオレフィンとのブレンド、ポリフェニルスルホンとアモルファスポリアミドとのブレンド、およびポリフェニルスルホンとポリスルホンとアモルファスポリアミドとのブレンドからなる群から選択される第2の熱可塑性樹脂を含む支持材料を該第2の熱凝固性材料として提供する工程、を包含する、プロセス(特許文献1)。
国際公開第2002/093360号パンフレット
しかしながら、特許文献1は、3Dプリンター用フィラメントの透明性について言及していない。3Dプリンターによって造形物を作成する際に、染料等で着色を施す場合があるが、3Dプリンター用フィラメントの透明性を考慮していない場合、着色性に劣るといった課題があった。さらには、3Dプリンター用フィラメントの耐衝撃性についても言及しておらず、フィラメントが造形時に折れることや、造形物が衝撃に弱く壊れやすいといった課題もあった。
本発明は下記の態様を有する。
[1]生分解性を有する熱可塑性樹脂(A)、非架橋構造であるメチルメタクリレート系樹脂(B)、およびゴム質重合体にビニル系単量体をグラフト重合して得られるゴム質グラフト重合体(C)を含み、前記生分解性を有する熱可塑性樹脂(A)と前記非架橋構造であるメチルメタクリレート系樹脂(B)との合計屈折率Rabと、前記ゴム質グラフト重合体(C)の屈折率Rcとが以下の式(1)の関係にある3Dプリンター用フィラメント。
−0.02≦Rab−Rc≦0.004・・・式(1)
[2]前記生分解性を有する熱可塑性樹脂(A)がポリ乳酸樹脂を含む[1]の3Dプリンター用フィラメント。
[3]生分解性を有する熱可塑性樹脂(A)および非架橋構造であるメチルメタクリレート系樹脂(B)の合計100質量部に対し、前記ゴム質グラフト重合体(C)を1〜50部含む[1]または[2]の3Dプリンター用フィラメント。
本発明によれば、造形物の着色性および耐衝撃性に優れる3Dプリンター用フィラメントを得ることができる。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレートの総称である。
<生分解性を有する熱可塑性樹脂(A)>
生分解性を有する熱可塑性樹脂(A)は、3Dプリンター用フィラメントに含まれる成分である。
生分解性を有する熱可塑性樹脂(A)は、土壌中や水中、コンポスト装置中等で、加水分解や生分解により分解され、最終的に微生物の作用により無害な分解物となるものであればよい。生分解性を有する熱可塑性樹脂(A)としては、脂肪族ポリエステル系樹脂、脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂、多糖類、ポリビニルアルコール系樹脂などが使用できる。
脂肪族ポリエステル系樹脂としては、例えばポリ乳酸樹脂、ポリグリコール酸系樹脂、ポリヒドロキシブチレート系樹脂、ポリカプロラクトン系樹脂、ポリブチレンサクシネート系樹脂、またはこれらの共重合体が使用できる。ポリ乳酸樹脂の詳細については後述する。これらは異性体であっても構わなく、また、他の成分を共重合していても構わない。例えば、ポリヒドロキシブチレート系樹脂の具体例としては、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート・3−ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート・3−ヒドロキシバリレート)が挙げられる。ポリブチレンサクシネート系樹脂の具体例としては、ポリブチレンサクシネート、ポリ(ブチレンサクシネート・アジペート)、ポリ(ブチレンサクシネート・ラクタイド)が挙げられる。
脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂の具体例としては、ポリ(エチレンサクシネート・テレフタレート)、ポリ(ブチレンサクシネート・テレフタレート)、ポリ(ブチレンアジペート・テレフタレート)、あるいはこれらの共重合体が挙げられる。
多糖類の具体例としては、でんぷんおよびその誘導体、セルロースおよびその誘導体、グルコマンナン等のヘミセルロースおよびその誘導体、キチン・キトサンおよびその誘導体が挙げられる。また、でんぷんを含有する樹脂として、ノバモント社の生分解性樹脂「Mater−bi(登録商標)」などが使用できる。
生分解性を有する熱可塑性樹脂(A)は、上記のものを単独で用いても構わないし、上記のうちの2種類以上のブレンドであっても構わない。あるいは、上記のうちの2種類以上の共重合体であっても構わない。
これらの中でも、バイオマス性、コスト、加工性などの観点から、生分解性を有する熱可塑性樹脂(A)がポリ乳酸樹脂を含むことが好ましい。生分解性を有する熱可塑性樹脂(A)中のポリ乳酸樹脂の割合は、生分解性を有する熱可塑性樹脂(A)100質量%中、50〜100質量%が好ましく、80〜100質量%がより好ましく、100質量%がさらに好ましい。ポリ乳酸樹脂の割合が50質量%以上であると、3Dプリンター用フィラメントの造形性およびコストに優れる傾向にある。ポリ乳酸樹脂については、以下に具体的に説明する。
<ポリ乳酸樹脂>
ポリ乳酸樹脂とは、L−乳酸ユニットおよび/またはD−乳酸ユニットを主たる構成成分とする重合体である。乳酸ユニットの質量割合は、好ましくは重合体100質量%中、70質量%〜100質量%である。
ポリ乳酸樹脂としては、ポリL−乳酸、ポリD−乳酸などが好ましく用いられる。本発明でいうポリL−乳酸とは、ポリ乳酸重合体中の全乳酸ユニット100mol%中において、L−乳酸ユニットの含有割合が50mol%を超え100mol%以下のものをいう。一方、本発明でいうポリD−乳酸とは、ポリ乳酸重合体中の全乳酸ユニット100mol%中において、D−乳酸ユニットの含有割合が50mol%を超え100mol%以下のものをいう。
ポリL−乳酸は、D−乳酸ユニットの含有割合によって、樹脂自体の結晶性が変化する。つまり、ポリL−乳酸中のD−乳酸ユニットの含有割合が多くなれば、ポリL−乳酸の結晶性は低くなり非晶に近づき、逆にポリL−乳酸中のD−乳酸ユニットの含有割合が少なくなれば、ポリL−乳酸の結晶性は高くなっていく。同様に、ポリD−乳酸は、L−乳酸ユニットの含有割合によって、樹脂自体の結晶性が変化する。つまり、ポリD−乳酸中のL−乳酸ユニットの含有割合が多くなれば、ポリD−乳酸の結晶性は低くなり非晶に近づき、逆にポリD−乳酸中のL−乳酸ユニットの含有割合が少なくなれば、ポリD−乳酸
の結晶性は高くなっていく。
本発明で用いられるポリL−乳酸中のL−乳酸ユニットの含有割合、あるいは、本発明で用いられるポリD−乳酸中のD−乳酸ユニットの含有割合は、3Dプリンター用フィラメントの機械強度を維持する観点から、全乳酸ユニット100mol%中80〜100mol%が好ましく、より好ましくは85〜100mol%である。
本発明の3Dプリンター用フィラメントで用いられるポリ乳酸樹脂は、乳酸以外の他の単量体ユニットを共重合してもよい。他の単量体としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ポリエチレングリコールなどのグリコール化合物、シュウ酸、アジピン酸、テレフタル酸などのジカルボン酸、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸などのヒドロキシカルボン酸、カプロラクトンなどのラクトン類を挙げることができる。上記の他の単量体ユニットの共重合量は、ポリ乳酸樹脂の重合体中の単量体ユニット全体100mol%中、0〜30モル%であることが好ましく、0〜10モル%であることがより好ましい。なお、上記した単量体ユニットの中でも、用途に応じて生分解性を有する成分を選択することが好ましい。
また、本発明の3Dプリンター用フィラメントで用いられるポリ乳酸樹脂について、ポリL−乳酸とポリD−乳酸を混合することも好ましい。これにより形成されるステレオコンプレックス結晶は、通常のポリ乳酸の結晶(α結晶)よりも融点が高いため、3Dプリンター用フィラメントの耐熱性が向上するためである。
さらに、本発明で用いられるポリ乳酸樹脂は、L−乳酸ユニットからなるセグメントとD−乳酸ユニットからなるセグメントにより構成される、ポリ乳酸ブロック共重合体であることも耐熱性向上の点で好ましい。この場合、ポリ乳酸ブロック共重合体が分子内でステレオコンプレックス結晶を形成するため、通常の結晶よりも融点が高くなる。効率的なステレオコンプレックス結晶形成のためには、ポリ乳酸ブロック共重合体の質量平均分子量をX、L−乳酸ユニットからなるセグメントの質量平均分子量とD−乳酸ユニットからなるセグメントの質量平均分子量のうち大きい方をYとすると、Y<X/2を満たすようなセグメント長であることが好ましい。
本発明の3Dプリンター用フィラメントで用いられるポリ乳酸樹脂の質量平均分子量は、実用的な機械特性と耐水性、分解性を満足させるため、5万〜40万であることが好ましく、7万〜30万であることがより好ましく、10万〜25万であることがさらに好ましい。なお、ここでいう質量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)でクロロホルム溶媒にて測定を行い、ポリスチレン換算法により計算した分子量をいう。
ポリ乳酸樹脂の製造方法としては、既知の重合方法を用いることができ、乳酸からの直接重合法、ラクチドを介する開環重合法などを挙げることができる。
<非架橋構造であるメチルメタクリレート系樹脂(B)>
非架橋構造であるメチルメタクリレート系樹脂(B)は、3Dプリンター用フィラメントに含まれうる成分である。本発明の3Dプリンター用フィラメントはメチルメタクリレート系樹脂(B)を含有することにより耐熱性が良好になる。
メチルメタクリレート系樹脂(B)は、メチルメタクリレートに由来する構成単位(b1)を含む。3Dプリンター用フィラメントの耐熱性が向上する傾向にあることから、メチルメタクリレート系樹脂(B)の構成単位の合計100質量%中、メチルメタクリレートに由来する構成単位(b1)を50〜100質量%含むことが好ましく、70〜100質量%含むことがより好ましく、90〜100質量%含むことがさらに好ましい。
メチルメタクリレート系樹脂(B)は、他の単量体に由来する構成単位(b2)を有してもよい。
他の単量体に由来する構成単位(b2)を構成する他の単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ナフチル、(メタ)アクリル酸ラウリル;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、o−エチルスチレン、p−クロロスチレン、o−クロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン、p−メトキシスチレン、o−メトキシスチレン、2,4−ジメチルスチレン等の芳香族ビニル系単量体;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体;無水マレイン酸等のα,β−不飽和カルボン酸;N−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系単量体;グリシジルメタクリレート等のグリシジル基含有単量体;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル系単量体;酢酸ビニル、酪酸ビニル等のカルボン酸ビニル系単量体;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン系単量体;ブタジエン、イソプレン、ジメチルブタジエン等のジエン系単量体を挙げることができる。これらの他の単量体は、単独であるいは2種以上混合して用いることができる。
3Dプリンター用フィラメントの耐熱性が向上する傾向にあることから、メチルメタクリレート系樹脂(B)の構成単位の合計100質量%中、他の単量体に由来する構成単位(b2)を0〜50質量%含むことが好ましく、0〜30質量%含むことがより好ましく、0〜10質量%含むことがさらに好ましい。
メチルメタクリレート系樹脂(B)が非架橋構造であることは、メチルメタクリレート系樹脂(B)0.1gをクロロホルム、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、アセトン、トルエンのいずれか任意の1種の溶媒100gに40℃で48時間撹拌させ、沈澱物が発生しないことから判断することができる。
メチルメタクリレート系樹脂(B)の質量平均分子量は3,000〜180,000であることが好ましく、10,000〜150,000であることがより好ましく、30,000〜150,000であることがさらに好ましく、50,000〜110,000であることが特に好ましい。質量平均分子量が3,000以上であると、3Dプリンター用フィラメントの耐熱性が向上する傾向にある。質量平均分子量が180,000以下であると、3Dプリンター用フィラメントの造形性が向上する傾向にある。
メチルメタクリレート系樹脂(B)の製造方法として、公知の懸濁重合、溶液重合、乳化重合、塊状重合などを挙げることができる。回収方法が容易なことから、懸濁重合および乳化重合が好ましい。
非架橋構造であるメチルメタクリレート系樹脂(B)の市販品としては、例えば三菱レイヨン(株)製のアクリペットVHを挙げることができる。
<ゴム質グラフト重合体(C)>
ゴム質グラフト重合体(C)は、3Dプリンター用フィラメントに含まれる成分である。
本発明の3Dプリンター用フィラメントはゴム質グラフト重合体(B)を含有することにより、造形性が良好になる。
ゴム質グラフト重合体(C)は、ゴム質重合体(C1)にビニル系単量体(C2)をグラフト重合して得られる。
<ゴム質重合体(C1)>
前記ゴム質重合体(C1)としては、特に限定されないが、ポリジエン系ゴム質重合体(C1−1)、ポリアルキル(メタ)アクリレート系ゴム質重合体(C1−2)、ポリオルガノシロキサン系ゴム質重合体(C1−3)等を用いることができる。
<ポリジエン系ゴム質重合体(C1−1)>
ポリジエン系ゴム質重合体(C1−1)はジエン構成単位を含む。また、必要に応じて他のビニル単量体構成単位を有していてもよい。特に、ガラス転移温度が−20℃以下の構成単位を有する重合体であることが好ましい。構成単位は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ジエン構成単位の原料となる単量体(ジエン系単量体)としては、特に限定されないが、ブタジエン、イソプレンなどのジエン系モノマー、例えば1,3−ブタジエンが挙げられる。
他のビニル単量体構成単位の原料となる単量体としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリルアクリレート、t−ブチルアクリレート、スチレン、アクリロニトリル等の単官能性単量体;ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等の多官能性単量体が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、乳化重合の重合安定性の観点から、炭素数が2〜8のアルキルアクリレートおよび/またはスチレンが好ましく、炭素数が3〜6のアルキルアクリレートおよび/またはスチレンがより好ましく、ブチルアクリレートおよび/またはスチレンが特に好ましい。
ポリジエン系ゴム質重合体(C1−1)は、ポリジエン系ゴム質重合体(C1−1)を構成する全単量体単位を100質量%としたときに、ジエン構成単位を70質量%以上含むことが好ましく、80質量%以上含むことがより好ましく、90質量%以上含むことがさらに好ましい。ジエン構成単位を70質量%以上含むと、3Dプリンター用フィラメントの造形性が優れる傾向にある。
<ポリアルキル(メタ)アクリレート系ゴム質重合体(C1−2)>
ポリアルキル(メタ)アクリレート系ゴム質重合体(C1−2)はアルキル(メタ)アクリレート構成単位を含む。また、必要に応じて他のビニル単量体構成単位を有していてもよい。特に、ガラス転移温度が−20℃以下の構成単位を有する重合体であることが好ましい。構成単位は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
アルキル(メタ)アクリレート構成単位の原料となる単量体(アルキル(メタ)アクリレート単量体)としては、特に限定されないが、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリルアクリレート、t−ブチルアクリレートが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、乳化重合の重合安定性の観点から、炭素数が2〜8のアルキルアクリレートが好ましく、炭素数が3〜6のアルキルアクリレートがより好ましく、ブチルアクリレートおよび2−エチルヘキシルアクリレートが特に好ましい。
他のビニル単量体構成単位の原料となる単量体としては、例えばスチレン、アクリロニトリル等の単官能性単量体;アリル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等の多官能性単量体が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリアルキル(メタ)アクリレート系ゴム質重合体(C1−2)は、ポリアルキル(メタ)アクリレート系ゴム質重合体(C1−2)を構成する全単量体単位を100質量%としたときに、アルキル(メタ)アクリレート構成単位を70質量%以上含むことが好ましく、80質量%以上含むことがより好ましく、90質量%以上含むことがさらに好ましい。アルキル(メタ)アクリレート構成単位を70質量%以上含むと、3Dプリンター用フィラメントの造形性が優れる傾向にある。
<ポリオルガノシロキサン系ゴム質重合体(C1−3)>
ポリオルガノシロキサン系ゴム質重合体(C1−3)は、ポリオルガノシロキサン(C1−3−1)またはポリオルガノシロキサン複合ゴム(C1−3−2)から選ばれる1種または2種である。
<ポリオルガノシロキサン(C1−3−1)>
ポリオルガノシロキサン(C1−3−1)は、オルガノシロキサン、ポリオルガノシロキサン用グラフト交叉剤(以下、「シロキサン交叉剤」という。)、必要に応じてポリオルガノシロキサン用架橋剤(以下、「シロキサン架橋剤」という。)および末端封鎖基を有するシロキサンオリゴマー等から成るオルガノシロキサン混合物を乳化重合して得られる。
オルガノシロキサンとしては、鎖状オルガノシロキサン、環状オルガノシロキサンのいずれも用いることができるが、環状オルガノシロキサンは、重合安定性が高く、重合速度が大きいので好ましい。環状オルガノシロキサンとしては、3員環以上の環状オルガノシロキサンが好ましく、3〜6員環のものがより好ましい。環状オルガノシロキサンとしては、例えば、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、トリメチルトリフェニルシクロトリシロキサン、テトラメチルテトラフェニルシクロテトラシロキサン、オクタフェニルシクロテトラシロキサンが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シロキサン交叉剤としては、前記オルガノシロキサンとシロキサン結合を介して結合し、ポリ(メタ)アクリル酸エステルを構成する単量体やビニル単量体等のビニル単量体と結合を形成し得るものが好ましい。オルガノシロキサンとの反応性を考慮すると、ビニル基を有するアルコキシシラン化合物が好ましい。シロキサン交叉剤を用いることによって、任意のビニル共重合体と重合可能な官能基を有するポリオルガノシロキサンを得ることができる。ポリオルガノシロキサンが任意のビニル単量体と重合可能な官能基を有することにより、ポリオルガノシロキサンと、ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステルやビニル単量体を化学的に結合させることができる。
シロキサン系グラフト交叉剤としては、式(I)で表されるシロキサンを挙げることができる。
RSiR (OR(3−n) 式(I)
式(I)中、Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、またはフェニル基を示す。Rは、アルコキシ基における有機基を示し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、またはフェニル基を挙げることができる。nは、0、1または2を示す。Rは、式(I−1)〜(I−4)で表されるいずれかの基を示す。
CH=C(R)−COO−(CH− 式(I−1)
CH=C(R)−C− 式(I−2)
CH=CH− 式(I−3)
HS−(CH− 式(I−4)
これらの式中、RおよびRは、それぞれ、水素またはメチル基を示し、pは1〜6の整数を示す。
式(I−1)で表される官能基としては、メタクリロイルオキシアルキル基を挙げることができる。この基を有するシロキサンとしては、例えば、β−メタクリロイルオキシエチルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメトキシジメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルエトキシジエチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジエトキシメチルシラン、δ−メタクリロイルオキシブチルジエトキシメチルシランを挙げることができる。
式(I−2)で表される官能基としては、ビニルフェニル基等を挙げることができる。この基を有するシロキサンとしては、例えば、ビニルフェニルエチルジメトキシシランを挙げることができる。
式(I−3)で表される官能基を有するシロキサンとしては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランを挙げることができる。
式(I−4)で表される官能基としては、メルカプトアルキル基を挙げることができる。この基を有するシロキサンとして、γ−メルカプトプロピルジメトキメチルシラン、γ−メルカプトプロピルメトキシジメチルシラン、γ−メルカプトプロピルジエトキシメチルシラン、γ−メルカプトプロピルエトキシジメチルシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランを挙げることができる。
これらシロキサン系グラフト交叉剤は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
シロキサン架橋剤としては、前記オルガノシロキサンと結合し得る官能基を3つまたは4つ有するものが好ましい。シロキサン架橋剤としては、例えば、トリメトキシメチルシラン等のトリアルコキシアルキルシラン;トリエトキシフェニルシラン等のトリアルコキシアリールシラン;テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトラブトキシシラン等のテトラアルコキシシランが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中では、テトラアルコキシシランが好ましく、テトラエトキシシランがさらに好ましい。
オルガノシロキサン混合物(100質量%)中のオルガノシロキサンの含有率は、60〜99.9質量%の範囲であることが好ましく、70〜99.9質量%の範囲であることがより好ましい。オルガノシロキサン混合物(100質量%)中のシロキサン交叉剤の含有率は、0.1〜10質量%の範囲であることが好ましい。オルガノシロキサン混合物(100質量%)中のシロキサン架橋剤の含有率は、0〜30質量%の範囲であることが好ましい。
末端封鎖基を有するシロキサンオリゴマーとは、オルガノシロキサンオリゴマーの末端にアルキル基等を有し、ポリオルガノシロキサンの重合を停止させるシロキサンオリゴマーをいう。
末端封鎖基を有するシロキサンオリゴマーとしては、例えば、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ビス(3−グリシドキシプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、メトキシトリメチルシランを挙げることができる。
(ポリオルガノシロキサン複合ゴム(C1−3−2))
本発明において、ポリオルガノシロキサン系ゴム(C1−3)はポリオルガノシロキサン(C1−3−1)および複合ゴム用ビニル重合体を含み、これを複合化したポリオルガノシロキサン複合ゴム(C1−3−2)であってもよい。
複合ゴム用ビニル重合体は、複合ゴム用ビニル単量体と、必要に応じて架橋性単量体またはアクリル交叉剤とを重合して得られる。
複合ゴム用ビニル単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル等のアクリル酸アルキルエステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル等のメタクリル酸アルキルエステル;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体が挙げられる。
架橋性単量体は、重合性不飽和結合を2つ以上有する多官能性単量体である。例えば、メタクリル酸アリル、シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリル、ジビニルベンゼン、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸プロピレングリコール、ジメタクリル酸1,3−ブチレングリコール、ジメタクリル酸1,4−ブチレングリコール、ジアクリル酸1,6−ヘキサンジオール、トリメリット酸トリアリルが挙げられ、これらを単独でまたは2種以上併用できる。
アクリル交叉剤は、反応性の異なる重合性不飽和結合を2つ以上有する多官能性単量体である。反応性が異なる基を有することにより、他の成分と共に重合される際に不飽和基を温存した状態で複合ゴム内に組み込まれ、グラフト共重合体の形成を可能とする。例えば、メタクリル酸アリル、シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリルが挙げられ、これらを単独でまたは2種以上併用できる。アクリル交叉剤は、架橋性単量体と同様に重合性不飽和結合を2つ以上有するため、架橋剤としての機能も有する。
ポリオルガノシロキサン複合ゴム(C1−3−2)100質量%中の、ポリオルガノシロキサン(C1−3−1)の含有率は、0.1〜99.9質量%であることが好ましく、5質量%以上がより好ましく、7質量%以上が特に好ましい。ポリオルガノシロキサンの含有率が0.1質量%以上であれば、耐衝撃性に優れる傾向にある。ポリオルガノシロキサンの含有率が99.9質量%以下であれば耐熱性に優れる傾向にある。
<ゴム質重合体(C1)の製造方法>
ゴム質重合体(C1)からなるゴムラテックス(ゴム粒子を含むラテックス)を製造する際の重合方法は特に限定されないが、水系では乳化重合や懸濁重合、溶液系では溶液重合などが挙げられる。ゴム粒子の粒径制御、コア・シェル構造のゴム粒子が得られやすい点で、乳化重合が好ましい。
乳化重合に用いる乳化剤としては、公知のアニオン系乳化剤、カチオン系乳化剤、非イオン性乳化剤などを用いることが出来る。
重合に用いる重合開始剤は特に限定されず、例えば公知のアゾ系開始剤、過酸化物系開始剤を使用することができる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。重合開始剤の使用量は、単量体の合計100質量部に対して0.05〜1.0質量部が好ましく、0.1〜0.3質量部がより好ましい。
ゴム質重合体(C1)からなるゴムラテックス中のゴム粒子の体積平均粒子径は、0.1〜1μmであることが好ましく、0.15μm以上がより好ましい。またゴムラテックス中のゴム粒子の体積平均粒子径は0.7μm以下がより好ましく、0.5μm以下がさらに好ましい。
ここで、ゴムラテックス中のゴム粒子の「体積平均粒子径」は、光散乱粒子計を用いて測定したゴムラテックス中のゴム粒子の50%体積平均粒子径を意味する。
ゴムラテックス中のゴム粒子の体積平均粒子径は、通常の乳化重合によれば、約0.1μmとなる。その体積平均粒子径を0.1〜1μmとするには、肥大化剤によりゴムラテックス中のゴム粒子を肥大化するなどの方法が用いられる。ゴム粒子の肥大化は、ゴムラテックスに対して肥大化剤を添加することで行うことができる。肥大化剤は公知のものから任意に選択することができる。
<ビニル系単量体(c2)>
ビニル系単量体(c2)としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリルが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
3Dプリンター用フィラメントの耐熱性に優れる傾向にあることから、ビニル系単量体(c2)としては、メチル(メタ)アクリレートおよびスチレンが好ましい。
本発明において、ゴム質グラフト重合体(C)中のゴム質重合体(C1)の割合は任意に設定することができるが、ゴム質グラフト重合体(C)100質量%中、ゴム質重合体(C1)が50〜90質量%であることが好ましい。この値が50質量%以上であれば、3Dプリンター用フィラメントの衝撃強度が優れる。
<ゴム質グラフト重合体(C)の製造方法>
ゴムラテックスへのビニル単量体成分のグラフト重合方法は特に限定されないが粒子径の制御、コア・シェル構造を容易に形成できるという理由から、乳化重合が好ましい。乳化重合法としては、単量体の一括添加重合、単量体の連続添加重合、多段階重合などの一般に知られている乳化重合法を採用することができる。乳化剤の添加も単量体の添加と同様の方法を採用することができる。グラフト層は1層であっても2層以上であってもかまわない。
<ゴム質グラフト重合体(C)の回収方法>
ゴム質グラフト重合体(C)は、上記のようにして得られるゴム質グラフト重合体(C)のラテックスから、噴霧回収、または凝析して回収することにより得られる。本発明において、粉体を得るために用いるゴム質グラフト重合体(C)のラテックスは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ゴム質グラフト重合体(C)のラテックスの凝析法は、例えば、ゴム質グラフト重合体(C)のラテックスを、凝析剤を溶解させた熱水と接触させ、攪拌しながら重合体を凝析させてスラリーとし、生成した析出物を脱水、洗浄、乾燥する方法が挙げられる。
<屈折率>
生分解性を有する熱可塑性樹脂(A)と非架橋構造であるメチルメタクリレート系樹脂(B)との合計屈折率Rabとゴム質グラフト重合体(C)の屈折率Rcとの関係は、造形物の着色性に優れることから、−0.02≦Rab−Rc≦0.004の範囲であり、−0.015≦Rab−Rc≦0.002が好ましく、−0.01≦Rab−Rc≦0.001がより好ましい。
本発明での屈折率の値は、ASTM−D542に準じてアッベ屈折率計より求める。
<酸化防止剤>
ゴム質グラフト重合体(C)には、酸化防止の目的で、通常知られた酸化防止剤の1種または2種以上を添加することができる。
<3Dプリンター用フィラメント>
本発明の3Dプリンター用フィラメントは、生分解性を有する熱可塑性樹脂(A)および非架橋構造であるメチルメタクリレート系樹脂(B)100質量部に対し、ゴム質グラフト重合体(C)を1〜50質量部含むことが好ましく、5〜30質量部含むことがより好ましく、10〜30質量部含むことがさらに好ましい。ゴム質グラフト重合体(C)が1質量部以上であると造形性に優れる傾向にある。ゴム質グラフト重合体(C)が50質量部以下であると耐熱性に優れる傾向にある。
本発明の3Dプリンター用フィラメント中の非架橋構造であるメチルメタクリレート系樹脂(B)の割合は、生分解性を有する熱可塑性樹脂(A)および非架橋構造であるメチルメタクリレート系樹脂(B)の合計100質量%のうち、1〜99質量%であることが好ましく、10〜80質量%であることがより好ましく、30〜70質量%であることがさらに好ましい。非架橋構造であるメチルメタクリレート系樹脂(B)が1質量%以上であると3Dプリンター用フィラメントの着色性が優れる傾向にある。非架橋構造であるメチルメタクリレート系樹脂(B)が99質量%以下であると3Dプリンター用フィラメントの造形性が優れる傾向にある。
3Dプリンター用フィラメントに用いる生分解性を有する熱可塑性樹脂(A)、非架橋構造であるメチルメタクリレート系樹脂(B)、およびゴム質グラフト重合体(C)を含む厚さ4mmの成形体のシャルピー衝撃強度は、造形性に優れる傾向にあることから3kJ/m以上が好ましく、4kJ/m以上がより好ましく、5kJ/m以上がさらに好ましい。
3Dプリンター用フィラメントに用いる生分解性を有する熱可塑性樹脂(A)、非架橋構造であるメチルメタクリレート系樹脂(B)、およびゴム質グラフト重合体(C)を含む厚さ2mmの成形体のヘイズは、造形物の着色性に優れる傾向にあることから80%以下が好ましく、70%以下がより好ましく、60%以下がさらに好ましい。
本発明の3Dプリンター用フィラメントは、必要に応じて、本発明の効果を阻害しない範囲内で、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリビニル系樹脂などの各樹脂を配合することができる。これらの配合量は、使用目的に応じて適宜定めることができる。
本発明の3Dプリンター用フィラメントは、必要に応じて、本発明の効果を阻害しない範囲内で、アンチブロッキング剤、可塑剤(フタル酸エステル等)、着色剤(赤口、黄鉛、酸化チタン等)、充填剤(炭酸カルシウム、クレー、タルク等)、酸化防止剤(アルキルフェノール、有機亜リン酸エステル等)、紫外線吸収剤(サリチル酸エステル、ベンゾトリアゾール等)、難燃剤(リン酸エステル、酸化アンチモン等)、帯電防止剤、発泡剤、滑剤(脂肪酸エステル)、抗菌・抗カビ剤等の公知の各種添加剤を配合することができる。これらの配合量は、使用目的に応じて適宜定めることができる。
本発明の3Dプリンター用フィラメントは、インジェクション法、溶融押出し法、カレンダー法、ブロー成形法等の成形方法により賦型することができる。
以下に本発明を実施例により説明する。成形体の評価を以下の方法で行った。以下において、「部」は「質量部」を示す。
(1)質量平均分子量測定(GPC測定)
乾燥させた試料をテトラヒドロフラン(THF)に40℃で1時間かけて溶解させた後、室温にて1晩静置して、東ソー(株)社製GPC(HLC−8020)、同社製GPC用カラム(TSK−GEL GMHXL×2本)を用いて以下の条件で質量平均分子量を測定した。ここで、GPCの検量線は同社製単分散ポリスチレンを用いて作成した。
・試料濃度:0.1g/dl
・注入量:0.1ml
・カラム温度:40℃
(2)ヘイズの測定
ヘイズメーターNDH2000(日本電色工業(株)製、商品名)を使用し、D65光源にて厚さ2mmの成形体のヘイズ(単位:%)を測定した。
(3)シャルピー衝撃強度
幅10mm、高さ4mm、長さ80mm試験片を成形し、JIS・K−7111により、23℃でシャルピー衝撃強度を測定した。
(4)屈折率
・生分解性を有する熱可塑性樹脂(A)と非架橋構造であるメチルメタクリレート系樹脂(B)の合計屈折率Rabの測定
生分解性を有する熱可塑性樹脂(A)と非架橋構造であるメチルメタクリレート系樹脂(B)のみで作成したペレットを用いて、射出成形法により12.7mm×127mmの棒状試験片より切り出し、ASTM−D542に準じてアッベ屈折率計により測定した。接触液には塩化亜鉛飽和水溶液を用いた。
・ゴム質グラフト共重合体(C)の屈折率Rcの測定
加熱プレス法(150℃予熱5分後に加圧1分、その後冷却2分)により、ゴム質グラフト共重合体(C)の粉体から厚さ約1mm薄膜を作成した。その薄膜を用い、ASTM−D542に準じて、アッベ屈折率計により屈折率を測定した。接触液には塩化亜鉛飽和水溶液を用いた。
それぞれ結果を表1に示す。
なお、表1中に記す非架橋構造であるメチルメタクリレート系樹脂(B)およびゴム質グラフト共重合体(C)は以下のものを使用した。
・非架橋構造であるメチルメタクリレート系樹脂(B)
アクリペットVH:三菱レイヨン(株)製、質量平均分子量:60000
・ゴム質グラフト共重合体(C)
S−2001:三菱レイヨン(株)製、メタブレンS−2001、ポリオルガノシロキサン/アクリル系複合ゴム質グラフト共重合体
W−450A:三菱レイヨン(株)製、メタブレンW−450A、アクリル系ゴム質グラフト共重合体
C−223A:三菱レイヨン(株)製、メタブレンW−450A、ジエン系ゴム質グラフト共重合体
(実施例1)
生分解性を有する熱可塑性樹脂(A)として、ポリ乳酸系樹脂である「LACEA H100」[JIS K−7210に準拠して、220℃、2.16kgfの荷重条件下で測定したメルトフローレートが34g/10分三井化学(株)製]75部、非架橋構造であるメチルメタクリレート系樹脂(B)25部の合計100部に対し、ゴム質グラフト共重合体(C)としてS−2001の15部をポリエチレン製の袋に入れてハンドブレンドした後、二軸押出機(池貝社製PCM−30)を用いて、バレル温度200℃、スクリュー回転数150rpmにて溶融混練し、ペレットを得た。
上記ペレットを射出成形機(東芝機械プラスチックエンジニアリング(株)製、商品名:IS100EN)を使用し、成形温度200℃および金型温度60℃の温度で成形し、各種評価に応じた厚みの成形体を得た。評価結果を表1に示す。
(実施例2〜5)
生分解性を有する熱可塑性樹脂(A)および非架橋構造であるメチルメタクリレート系樹脂(B)の配合量、ゴム質グラフト共重合体(C)の種類、配合量を変更した以外は実施例1と同様に実施した。評価結果を表1に示す。
(比較例1)
ゴム質グラフト共重合体(C)を用いなかった以外は実施例1と同様に実施した。評価結果を表1に示す。ゴム質グラフト共重合体(C)を用いなかったため、シャルピー衝撃強度が低位であった。
(比較例2)
ゴム質グラフト共重合体(C)にC−223Aを用いた以外は実施例1と同様に実施した。評価結果を表1に示す。生分解性を有する熱可塑性樹脂(A)および非架橋構造であるメチルメタクリレート系樹脂(B)の合計屈折率とゴム質グラフト共重合体(C)の屈折率の差が大きかったため、ヘイズが大きかった。

Claims (2)

  1. 生分解性を有する熱可塑性樹脂(A)、非架橋構造であるメチルメタクリレート系樹脂(B)、およびゴム質重合体にビニル系単量体をグラフト重合して得られるゴム質グラフト重合体(C)を含み、
    前記生分解性を有する熱可塑性樹脂(A)100質量%中、80〜100質量%ポリ乳酸樹脂を含み、
    前記メチルメタクリレート系樹脂(B)の構成単位の合計100質量%中、メチルメタクリレートに由来する構成単位(b1)を90〜100質量%含み、
    前記メチルメタクリレート系樹脂(B)の割合は、生分解性を有する熱可塑性樹脂(A)および非架橋構造であるメチルメタクリレート系樹脂(B)の合計100質量%のうち、25〜70質量%であり、
    前記ゴム質グラフト重合体(C)がアクリル系ゴム質グラフト共重合体であり、
    前記生分解性を有する熱可塑性樹脂(A)と前記非架橋構造であるメチルメタクリレート系樹脂(B)との合計屈折率Rabと、前記ゴム質グラフト重合体(C)の屈折率Rcとが以下の式(1)の関係にある3Dプリンター用フィラメント。
    −0.02≦Rab−Rc≦0.004・・・式(1)。
  2. 前記生分解性を有する熱可塑性樹脂(A)および前記非架橋構造であるメチルメタクリレート系樹脂(B)の合計100質量部に対し、前記ゴム質グラフト重合体(C)を1〜50部含む請求項1に記載の3Dプリンター用フィラメント。
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