JP5245229B2 - 樹脂組成物およびそれからなる成形品 - Google Patents

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本発明は、樹脂組成物およびそれからなる成形品に関するものであり、詳しくは、耐衝撃性に優れる脂肪族ポリエステル樹脂組成物、さらに好ましい態様においては、耐熱性にも優れる脂肪族ポリエステル樹脂組成物およびそれからなる成形品に関するものである。
最近、地球環境保全の見地から、土中、水中に存在する微生物の作用により自然環境下で分解される生分解性ポリマーが注目され、様々な生分解性ポリマーが開発されている。これらのうち溶融成形が可能な生分解性ポリマーとして、例えば、ポリヒドロキシブチレート、ポリカプロラクトン、コハク酸やアジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸成分とエチレングリコールやブタンジオールなどのグリコール成分とからなるポリエチレンサクシネートやポリブチレンアジペート、ポリ乳酸などの脂肪族ポリエステルが知られている。
これら脂肪族ポリエステルの中でも、ポリ乳酸は、モノマーである乳酸を、とうもろこしなどのバイオマスを原料として、微生物を利用した発酵法により安価に製造できるようになり、また、透明性を有し、融点もおよそ170℃と高く、溶融成形可能な汎用的なバイオポリマーとして期待されている。しかし、その一方で、脆く耐衝撃性が低いため、各種成形品として用いる場合には、成形品が割れるなどの破損が発生しやすく使用が困難になるという問題点があり、耐衝撃性に優れるポリ乳酸系材料が望まれていた。
また、ポリ乳酸は、脆く耐衝撃性が低いため、各種成形品として用いる場合には、成形品が割れるなどの破損が発生しやすく使用が困難になるという課題があり、耐衝撃性に優れるポリ乳酸系材料が望まれていた。これに対し、本発明者らは、特許文献1に記載のように、多層構造重合体を含有させることにより、この課題を解決できることを見出した。しかし、実際に使用するに当たっては、まだ不十分な場合があり、さらなる改良が必要とされている。
特開2003−286396号公報(第1−2頁、実施例)
本発明は、上述した課題解決を目的として鋭意検討した結果、達成されたものであり、耐衝撃性に優れる脂肪族ポリエステル樹脂組成物、さらに好ましい態様においては、耐熱性にも優れる脂肪族ポリエステル樹脂組成物およびそれからなる成形品を提供することを課題とする。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。
すなわち、本発明は、
(1)(A)脂肪族ポリエステル100重量部に対し、(B)多層構造重合体1〜100重量部および(C)グリシジル基を含有する反応性化合物0.01〜30重量部を配合してなる樹脂組成物であって、(C)反応性化合物が、重量平均分子量5000〜300000であり、グリシジル基含有ビニル系単位を含むエポキシ価2〜7meq/gの重合体である樹脂組成物、
(2)(C)反応性化合物が、グリシジル基含有ビニル系単位を含むエポキシ価3〜5meq/gの重合体である(1)に記載の樹脂組成物、
(3)(B)多層構造重合体の平均一次粒子径が、10〜10000nmである(1)または(2)に記載の樹脂組成物、
(4) 樹脂組成物中における(B)多層構造重合体の凝集粒子数(X)と凝集していない粒子数(Y)との比(X/Y)が0〜0.5である(1)から(3)のいずれかに記載の樹脂組成物、
(5)さらに無機系結晶核剤および有機系結晶核剤から選択される1種以上の結晶核剤を配合してなる(1)から(4)のいずれかに記載の樹脂組成物、
(6)さらに可塑剤を配合してなる(1)から(5)のいずれかに記載の樹脂組成物、
(7)上記(1)〜(6)のいずれかに記載の樹脂組成物からなる成形品、
である。
本発明によれば、耐衝撃性に優れる脂肪族ポリエステル樹脂組成物、さらに好ましい態様においては、耐熱性にも優れる脂肪族ポリエステル樹脂組成物およびそれからなる成形品を提供することができる。
本発明の(A)脂肪族ポリエステルとしては、特に限定されるものではなく、脂肪族ヒドロキシカルボン酸を主たる構成成分とする重合体、脂肪族多価カルボン酸と脂肪族多価アルコールを主たる構成成分とする重合体などが挙げられる。具体的には、脂肪族ヒドロキシカルボン酸を主たる構成成分とする重合体としては、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリ3−ヒドロキシ酪酸、ポリ4−ヒドロキシ酪酸、ポリ4−ヒドロキシ吉草酸、ポリ3−ヒドロキシヘキサン酸またはポリカプロラクトンなどが挙げられ、脂肪族多価カルボン酸と脂肪族多価アルコールを主たる構成成分とする重合体としては、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンアジペートまたはポリブチレンサクシネートなどが挙げられる。これらの脂肪族ポリエステルは、単独ないし2種以上を用いることができる。これらの脂肪族ポリエステルの中でも、ヒドロキシカルボン酸を主たる構成成分とする重合体が好ましく、特にポリ乳酸が好ましく使用される。
ポリ乳酸としては、L−乳酸および/またはD−乳酸を主たる構成成分とする重合体であるが、本発明の目的を損なわない範囲で、乳酸以外の他の共重合成分を含んでいてもよい。
かかる他の共重合成分単位としては、例えば、多価カルボン酸、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトンなどが挙げられ、具体的には、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、フマル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムスルホイソフタル酸などの多価カルボン酸類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘプタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオ−ル、デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ビスフェノ−ルA、ビスフェノールにエチレンオキシドを付加反応させた芳香族多価アルコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどの多価アルコール類、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸類、グリコリド、ε−カプロラクトングリコリド、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、δ−ブチロラクトン、β−またはγ−ブチロラクトン、ピバロラクトン、δ−バレロラクトンなどのラクトン類などを使用することができる。これらの共重合成分は、単独ないし2種以上を用いることができる。
(A)脂肪族ポリエステルの分子量や分子量分布は、実質的に成形加工が可能であれば、特に限定されるものではなく、重量平均分子量として、好ましくは1万以上、より好ましくは4万以上、特に好ましくは8万以上であるのがよい。ここでいう重量平均分子量とは、溶媒としてヘキサフルオロイソプロパノールを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリメタクリル酸メチル(PMMA)換算の重量平均分子量である。
(A)脂肪族ポリエステルの融点は、特に限定されるものではなく、90℃以上であることが好ましく、さらに150℃以上であることが好ましい。
本発明において、(A)脂肪族ポリエステルがポリ乳酸である場合には、高い耐熱性を得るために、乳酸成分の光学純度が高い方が好ましく、総乳酸成分の内、L体が80%以上含まれるかまたはD体が80%以上含まれることが好ましく、L体が90%以上含まれるかまたはD体が90%以上含まれることがさらに好ましく、L体が95%以上含まれるかまたはD体が95%以上含まれることが特に好ましく、L体が98%以上含まれるかまたはD体が98%以上含まれることが最も好ましい。また、L体またはD体の含有量の上限は通常100%以下である。さらに融点が向上するという点から、L体が80%以上含まれるポリ乳酸およびD体が80%以上含まれるポリ乳酸を併用することが好ましい。
(A)脂肪族ポリエステルの製造方法としては、既知の重合方法を用いることができ、特にポリ乳酸については、乳酸からの直接重合法、ラクチドを介する開環重合法などを採用することができる。
本発明において、(B)多層構造重合体とは、最内層(コア層)とそれを覆う1以上の層(シェル層)から構成され、また、隣接し合った層が異種の重合体から構成される、いわゆるコアシェル型と呼ばれる構造を有する重合体である。
本発明の(B)多層構造重合体を構成する層の数は、特に限定されるものではなく、2層以上であればよく、3層以上または4層以上であってもよい。
本発明の(B)多層構造重合体としては、内部に少なくとも1層以上のゴム層を有する多層構造重合体であることが好ましい。
本発明の(B)多層構造重合体において、ゴム層の種類は、特に限定されるものではなく、ゴム弾性を有する重合体成分から構成されるものであればよい。例えば、アクリル成分、シリコーン成分、スチレン成分、ニトリル成分、共役ジエン成分、ウレタン成分またはエチレンプロピレン成分などを重合させたものから構成されるゴムが挙げられる。好ましいゴムとしては、例えば、アクリル酸エチル単位やアクリル酸ブチル単位などのアクリル成分、ジメチルシロキサン単位やフェニルメチルシロキサン単位などのシリコーン成分、スチレン単位やα−メチルスチレン単位などのスチレン成分、アクリロニトリル単位やメタクリロニトリル単位などのニトリル成分またはブタンジエン単位やイソプレン単位などの共役ジエン成分を重合させたものから構成されるゴムである。また、これらの成分を2種以上組み合わせて共重合させたものから構成されるゴムも好ましく、例えば、(1)アクリル酸エチル単位やアクリル酸ブチル単位などのアクリル成分およびジメチルシロキサン単位やフェニルメチルシロキサン単位などのシリコーン成分を共重合した成分から構成されるゴム、(2)アクリル酸エチル単位やアクリル酸ブチル単位などのアクリル成分およびスチレン単位やα−メチルスチレン単位などのスチレン成分を共重合した成分から構成されるゴム、(3)アクリル酸エチル単位やアクリル酸ブチル単位などのアクリル成分およびブタンジエン単位やイソプレン単位などの共役ジエン成分を共重合した成分から構成されるゴム、(4)アクリル酸エチル単位やアクリル酸ブチル単位などのアクリル成分およびジメチルシロキサン単位やフェニルメチルシロキサン単位などのシリコーン成分およびスチレン単位やα−メチルスチレン単位などのスチレン成分を共重合した成分から構成されるゴムなどが挙げられる。また、これらの成分の他に、ジビニルベンゼン単位、アリルアクリレート単位またはブチレングリコールジアクリレート単位などの架橋性成分を共重合し架橋させたゴムも好ましい。
本発明の(B)多層構造重合体において、ゴム層以外の層の種類は、熱可塑性を有する重合体成分から構成されるものであれば特に限定されるものではないが、ゴム層よりもガラス転移温度が高い重合体成分が好ましい。熱可塑性を有する重合体としては、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位、グリシジル基含有ビニル系単位、不飽和ジカルボン酸無水物系単位、脂肪族ビニル系単位、芳香族ビニル系単位、シアン化ビニル系単位、マレイミド系単位、不飽和ジカルボン酸系単位またはその他のビニル系単位などから選ばれる少なくとも1種以上の単位を含有する重合体が挙げられ、中でも、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位、不飽和グリシジル基含有単位または不飽和ジカルボン酸無水物系単位から選ばれる少なくとも1種以上の単位を含有する重合体が好ましく、さらに不飽和グリシジル基含有単位または不飽和ジカルボン酸無水物系単位から選ばれる少なくとも1種以上の単位を含有する重合体がより好ましい。
不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位としては、特に限定されるものではないが、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく使用される。具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸クロロメチル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチル、アクリル酸アミノエチル、アクリル酸プロピルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸エチルアミノプロピル、メタクリル酸フェニルアミノエチルまたはメタクリル酸シクロヘキシルアミノエチルなどが挙げられ、耐衝撃性を向上する効果が大きいという観点から、(メタ)アクリル酸メチルが好ましく使用される。これらの単位は単独ないし2種以上を用いることができる。
グリシジル基含有ビニル系単位としては、特に限定されるものではなく、(メタ)アクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、イタコン酸ジグリシジル、アリルグリシジルエーテル、スチレン−4−グリシジルエーテルまたは4−グリシジルスチレンなどが挙げられ、耐衝撃性を向上する効果が大きいという観点から、(メタ)アクリル酸グリシジルが好ましく使用される。これらの単位は単独ないし2種以上を用いることができる。
不飽和ジカルボン酸無水物系単位としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水グルタコン酸、無水シトラコン酸または無水アコニット酸などが挙げられ、耐衝撃性を向上する効果が大きいという観点から、無水マレイン酸が好ましく使用される。これらの単位は単独ないし2種以上を用いることができる。
また、脂肪族ビニル系単位としては、エチレン、プロピレンまたはブタジエンなど、芳香族ビニル系単位としては、スチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、4−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレンまたはハロゲン化スチレンなど、シアン化ビニル系単位としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルまたはエタクリロニトリルなど、マレイミド系単位としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(p−ブロモフェニル)マレイミドまたはN−(クロロフェニル)マレイミドなど、不飽和ジカルボン酸系単位として、マレイン酸、マレイン酸モノエチルエステル、イタコン酸、フタル酸など、その他のビニル系単位としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、ブトキシメチルアクリルアミド、N−プロピルメタクリルアミド、N−ビニルジエチルアミン、N−アセチルビニルアミン、アリルアミン、メタアリルアミン、N−メチルアリルアミン、p−アミノスチレン、2−イソプロペニル−オキサゾリン、2−ビニル−オキサゾリン、2−アクロイル−オキサゾリンまたは2−スチリル−オキサゾリンなどを挙げることができ、これらの単位は単独ないし2種以上を用いることができる。
本発明の(B)多層構造重合体において、最外層の種類は、特に限定されるものではなく、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位、グリシジル基含有ビニル系単位、脂肪族ビニル系単位、芳香族ビニル系単位、シアン化ビニル系単位、マレイミド系単位、不飽和ジカルボン酸系単位、不飽和ジカルボン酸無水物系単位および/またはその他のビニル系単位などを含有する重合体が挙げられ、中でも、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位、不飽和グリシジル基含有単位および/または不飽和ジカルボン酸無水物系単位を含有する重合体が好ましく、さらに不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位を含有する重合体がより好ましい。不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位としては、特に限定されるものではないが、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、さらに、(メタ)アクリル酸メチルがより好ましく使用される。
本発明の(B)多層構造重合体の好ましい例としては、コア層がジメチルシロキサン/アクリル酸ブチル重合体で最外層がメタクリル酸メチル重合体、コア層がブタンジエン/スチレン重合体で最外層がメタクリル酸メチル重合体、コア層がアクリル酸ブチル重合体で最外層がメタクリル酸メチル重合体などが挙げられる。さらに、ゴム層または最外層のいずれか一つもしくは両方の層がメタクリル酸グリシジル単位を含有する重合体であることはより好ましい。
本発明の(B)多層構造重合体において、平均一次粒子径は、特に限定されるものではないが、耐衝撃性に優れるという点から、10〜10000nmであることが好ましく、さらに、20〜1000nmであることがより好ましく、50〜500nmであることが特に好ましく、100〜200nmであることが最も好ましい。また、多層構造重合体としては、1種または2種以上を用いることができ、耐衝撃性と流動性の点で、平均一次粒子径が異なる多層構造重合体を2種以上用いることが好ましく、例えば、平均一次粒子径が小さい多層構造重合体と平均一次粒子径が大きい多層構造重合体を併用することが好ましい。なお、本発明において、上記平均一次粒子径は、電子顕微鏡を用い、2万倍で観察し、任意の100個について、一次粒子径を測定し、平均した数平均一次粒子径であり、具体的には、樹脂組成物中の多層構造重合体の分散形態を電子顕微鏡により観察することにより求めることができる。
本発明の(B)多層構造重合体において、コアとシェルの重量比は、特に限定されるものではないが、多層構造重合体全体に対して、コア層が50重量部以上、90重量部以下であることが好ましく、さらに、60重量部以上、80重量部以下であることがより好ましい。
本発明の(B)多層構造重合体としては、上述した条件を満たすものとして、市販品を用いてもよく、また、公知の方法により作製することもできる。
市販品としては、例えば、三菱レイヨン製”メタブレン”、カネカ製”カネエース”、ロームアンドハース製”パラロイド”、ガンツ化成製”スタフィロイド”またはクラレ製”パラフェイス”などが挙げられ、これらは、単独ないし2種以上を用いることができる。
本発明において、(B)多層構造重合体の配合量は、(A)脂肪族ポリエステル100重量部に対し、1〜100重量部であり、さらに、10〜70重量部であることがより好ましく、15〜50重量部であることが最も好ましい。
本発明においては、(B)多層構造重合体が、樹脂組成物中で分散相を形成するものであることを特徴とする。樹脂組成物中の(B)多層構造重合体の分散形態としては、(A)脂肪族ポリエステル中に(B)多層構造重合体が細かく分散しているものほど耐衝撃性を向上させる効果が大きい。
本発明においては、耐熱性および耐衝撃性に優れるという点から、樹脂組成物中における(B)多層構造重合体の凝集粒子数(X)と凝集していない粒子数(Y)との比(X/Y)が0〜0.5であることが好ましく、0〜0.3であることがより好ましい。なお、本発明において、凝集粒子数および凝集していない粒子数は、電子顕微鏡を用い、2万倍で観察し、任意の分散粒子100個について、(B)多層構造重合体の分散粒子が接触している場合を凝集粒子と判定した。また、Xは、凝集に関与する分散粒子の総数を示すものであり、すなわち、3個の分散粒子が凝集し一つの凝集体を形成している場合は、X=3として計算する。
また、本発明においては、耐熱性および耐衝撃性に優れるという点から、樹脂組成物中における(B)多層構造重合体の粒子壁間距離が、1〜1000nmであることが好ましく、1〜700nmであることがより好ましく、1〜500nmであることがさらに好ましく、1〜300nmであることが特に好ましい。なお、本発明において、粒子壁間距離は、光散乱測定、もしくは透過型電子顕微鏡観察から求めることができるが、光散乱測定が好ましい。
本発明においては、耐衝撃性を向上でき、耐加水分解性を向上できるという点から、さらに(C)反応性化合物として、グリシジル基を含有する反応性化合物を配合する。
本発明において、(C)反応性化合物としては、ブリードアウトを抑制できるという点から、重量平均分子量5000〜300000の重合体であり、重量平均分子量は5000〜250000がより好ましい。このような(C)反応性化合物としては、分子内の主鎖中または側鎖にグリシジル基を導入した重合体であることが好ましく、重合体としては、単独重合体でも共重合体でもいずれでもよく、共重合体としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体およびグラフト共重合体などのいずれも用いることができる。
本発明において、耐衝撃性および耐熱性を向上できるという点から、(C)反応性化合物としては、グリシジル基含有ビニル系単位を含む重合体である。
本発明において、グリシジル基含有ビニル系単位を形成する原料モノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸グリシジル、p−スチリルカルボン酸グリシジルなどの不飽和モノカルボン酸のグリシジルエステル、マレイン酸、イタコン酸などの不飽和ポリカルボン酸のモノグリシジルエステルあるいはポリグリシジルエステル、アリルグリシジルエーテル、2−メチルアリルグリシジルエーテル、スチレン−4−グリシジルエーテルなどの不飽和グリシジルエーテルなどが挙げられる。これらの中では、ラジカル重合性の点からアクリル酸グリシジルまたはメタアクリル酸グリシジルが好ましく用いられる。これらは、単独ないし2種以上を用いることができる。
本発明において、グリシジル基含有ビニル系単位を含む重合体には、グリシジル基含有ビニル系単位以外のビニル系単位を共重合成分として含むことが好ましく、その選択により重合体の融点、ガラス転移温度などの特性を調節することができる。グリシジル基含有ビニル系単位以外のビニル系単位としては、アクリル系ビニル単位、カルボン酸ビニルエステル単位、芳香族系ビニル単位、不飽和ジカルボン酸無水物系単位、不飽和ジカルボン酸系単位、脂肪族系ビニル単位、マレイミド系単位またはその他のビニル系単位などが挙げられる。
アクリル系ビニル単位を形成する原料モノマーの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸イソボルニル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ステアリル、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールのアクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステル、アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、メタクリル酸トリメトキシシリルプロピル、アクリル酸メチルジメトキシシリルプロピル、メタクリル酸メチルジメトキシシリルプロピル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、N,N−ジアルキルアクリルアミド、N,N−ジアルキルメタクリルアミド、α−ヒドロキシメチルアクリル酸エステル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチルなどのアミノ基を有するアクリル系ビニル単位を形成する原料モノマーなどが挙げられ、中でも、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、メタアクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸イソボルニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリルが好ましく、さらにアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリロニトリル、メタクリロニトリルが使用される。これらは単独ないし2種以上を用いることができる。
カルボン酸ビニルエステル系単位を形成する原料モノマーの具体例としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、酢酸イソプロペニル、酢酸1−ブテニル、ピバル酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニルおよびシクロヘキサンカルボン酸ビニルなどの単官能脂肪族カルボン酸ビニル、安息香酸ビニルおよび桂皮酸ビニルなどの芳香族カルボン酸ビニル、モノクロル酢酸ビニル、アジピン酸ジビニル、メタクリル酸ビニル、クロトン酸ビニルおよびソルビン酸ビニルなどの多官能カルボン酸ビニルなどが挙げられ、中でも、酢酸ビニルが好ましく使用される。これらは単独ないし2種以上を用いることができる。
芳香族系ビニル単位を形成する原料モノマーの具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン,o−メトキシスチレン、2,4−ジメチルスチレン、1−ビニルナフタレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエンなどが挙げられ、中でも、スチレン、α−メチルスチレンが好ましく使用される。これらは単独ないし2種以上を用いることができる。
不飽和ジカルボン酸無水物系単位を形成する原料モノマーとしては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水グルタコン酸、無水シトラコン酸または無水アコニット酸などが挙げられ、中でも、無水マレイン酸が好ましく使用される。これらは単独ないし2種以上を用いることができる。
不飽和ジカルボン酸系単位を形成する原料モノマーとして、マレイン酸、マレイン酸モノエチルエステル、イタコン酸、フタル酸などが挙げられ、中でも、マレイン酸、イタコン酸が好ましく使用される。これらは単独ないし2種以上を用いることができる。
脂肪族ビニル系単位を形成する原料モノマーとしては、エチレン、プロピレンまたはブタジエンなど、マレイミド系単位を形成する原料モノマーとしては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(p−ブロモフェニル)マレイミドまたはN−(クロロフェニル)マレイミドなど、その他のビニル系単位を形成する原料モノマーとしてはN−ビニルジエチルアミン、N−アセチルビニルアミン、アリルアミン、メタアリルアミン、N−メチルアリルアミン、p−アミノスチレンなどが挙げられ、これらは単独ないし2種以上を用いることができる。
本発明において、グリシジル基含有ビニル系単位を含む重合体のガラス転移温度は、特に限定されるものではないが、ハンドリング性に優れるという点から、30〜100℃の範囲であることが好ましく、40〜70℃の範囲であることがより好ましく、50〜65℃の範囲であることが最も好ましい。ガラス転移温度の測定方法は、特に限定されるものではなく、示差走査型熱量計で測定する方法、動的粘弾性試験により測定する方法のいずれも用いることができるが、本発明においては、示差走査型熱量計で測定する方法が好ましい。なお、グリシジル基含有ビニル系単位を含む重合体のガラス転移温度は、共重合成分の組成を調節することにより制御することができる。ガラス転移温度は通常、スチレンなどの芳香族系ビニル単位を共重合することにより高くすることができ、アクリル酸ブチルなどのアクリル酸エステル単位を共重合することにより低くすることができる。
本発明において、グリシジル基含有ビニル系単位を含む重合体は、未反応の原料モノマーや溶媒などが残存するために通常、揮発成分を含む。その残部となる不揮発成分量は、特に限定されるものではないが、ガスの発生を抑制するという観点から、不揮発成分量が多い方が好ましい。具体的には、95重量%以上であることが好ましく、中でも97重量%以上であることが好ましく、さらに98重量%以上であることがより好ましく、特に98.5重量%以上であることが最も好ましい。なお、ここでいう不揮発成分とは、試料10gを窒素雰囲気下、110℃で1時間加熱した場合の残量割合を表す。
本発明において、グリシジル基含有ビニル系単位を含む重合体は、低分子量体を得るために連鎖移動剤(分子量調整剤)として硫黄化合物を使用することがあるが、その場合には重合体は通常硫黄を含む。ここで、硫黄含有量は、特に限定されるものではないが、不快な臭いを抑制するという観点から、硫黄含有量が少ない方が好ましい。具体的には、硫黄原子として1000ppm以下が好ましく、中でも100ppm以下が好ましく、さらに10ppm以下が好ましく、特に1ppm以下であることが最も好ましい。
本発明において、グリシジル基含有ビニル系単位を含む重合体のグリシジル基含有量は、耐衝撃性、耐加水分解性、外観性の点で、エポキシ価として、2〜7meq/gであり、3〜5meq/gであることがさらに好ましい。ここでいうエポキシ価は、塩酸−ジオキサン法で測定した値である。
本発明において、グリシジル基含有ビニル系単位を含む重合体の製造方法としては、本発明で規定する条件を満たす限り特に限定されるものではなく、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などの公知の重合方法を用いることができる。これらの方法を用いる場合には、重合開始剤、連鎖移動剤および溶媒などを使用することがあるが、これらは最終的に得られるグリシジル基含有ビニル系単位を含む重合体の中に不純物として残存することがある。これら不純物量は特に限定されるものではないが、耐熱性や耐候性などの低下を抑制するという観点から、不純物量は少ない方が好ましい。具体的には、不純物量が最終的に得られる重合体に対して10重量%以下が好ましく、中でも5重量%以下が好ましく、さらに3重量%以下が好ましく、特に1重量%以下であることが最も好ましい。
以上のような、分子量、ガラス転移温度、不揮発成分量、硫黄含有量、不純物量などを満足させるグリシジル基含有ビニル系単位を含む重合体の製造方法としては、150℃以上の高温で、かつ加圧条件(好ましくは1MPa以上)で、短時間(好ましくは5分〜30分)で連続塊状重合する方法が、重合率が高い点、不純物や硫黄含有の原因となる重合開始剤や連鎖移動剤および溶媒を使用しない点からより好ましい。
本発明において、(C)反応性化合物の配合量は、(A)脂肪族ポリエステル100重量部に対し、0.01〜30重量部であり、0.05〜20重量部がより好ましく、0.1〜10重量部がさらに好ましく、0.5〜3重量部が特に好ましい。(C)反応性化合物の配合量が、0.01重量部未満では、樹脂組成物の耐衝撃性改良効果が不充分な傾向にあり、30重量部を越える場合には、ゲル化などにより、流動性の低下を招く恐れがある。
本発明においては、耐熱性が向上するという観点から、さらに(D)結晶核剤を含有することが好ましい。本発明で使用する(D)結晶核剤としては、一般にポリマーの結晶核剤として用いられるものを特に制限なく用いることができ、無機系結晶核剤および有機系結晶核剤から選択される1種以上の結晶核剤であれば、いずれをも使用することができる。
無機系結晶核剤の具体例としては、タルク、カオリナイト、モンモリロナイト、マイカ、合成マイカ、クレー、ゼオライト、シリカ、グラファイト、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化チタン、硫化カルシウム、窒化ホウ素、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、酸化ネオジウムおよびフェニルホスホネートの金属塩などが挙げられ、耐熱性を向上させる効果が大きいという観点から、タルク、カオリナイト、モンモリロナイトおよび合成マイカが好ましい。これらは単独ないし2種以上を用いることができる。これらの無機系結晶核剤は、組成物中での分散性を高めるために、有機物で修飾されていることが好ましい。
無機系結晶核剤の含有量は、(A)脂肪族ポリエステル100重量部に対して、0.01〜100重量部が好ましく、0.05〜50重量部がより好ましく、0.1〜30重量部がさらに好ましい。
また、有機系結晶核剤の具体例としては、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸カルシウム、安息香酸マグネシウム、安息香酸バリウム、テレフタル酸リチウム、テレフタル酸ナトリウム、テレフタル酸カリウム、シュウ酸カルシウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、ミリスチン酸カルシウム、オクタコサン酸ナトリウム、オクタコサン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸カルシウム、トルイル酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸カリウム、サリチル酸亜鉛、アルミニウムジベンゾエート、カリウムジベンゾエート、リチウムジベンゾエート、ナトリウムβ−ナフタレート、ナトリウムシクロヘキサンカルボキシレートなどの有機カルボン酸金属塩、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、スルホイソフタル酸ナトリウムなどの有機スルホン酸塩、ステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、パルチミン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、トリメシン酸トリス(t−ブチルアミド)などのカルボン酸アミド、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプロピレン、ポリブテン、ポリ−4−メチルペンテン、ポリ−3−メチルブテン−1、ポリビニルシクロアルカン、ポリビニルトリアルキルシラン、高融点ポリ乳酸などのポリマー、エチレン−アクリル酸またはメタクリル酸コポリマーのナトリウム塩、スチレン−無水マレイン酸コポリマーのナトリウム塩などのカルボキシル基を有する重合体のナトリウム塩またはカリウム塩(いわゆるアイオノマー)、ベンジリデンソルビトールおよびその誘導体、ナトリウム−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェートなどのリン化合物金属塩および2,2−メチルビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ナトリウムなどが挙げられ、耐熱性を向上させる効果が大きいという観点からは、有機カルボン酸金属塩およびカルボン酸アミドが好ましい。これらは単独ないし2種以上用いることができる。
有機系結晶核剤の含有量は、(A)脂肪族ポリエステル100重量部に対して、0.01〜30重量部が好ましく、0.05〜10重量部がより好ましく、0.1〜5重量部がさらに好ましい。
本発明においては、耐熱性が向上するという観点から、さらに(E)可塑剤を含有することが好ましい。
本発明で使用する(E)可塑剤としては、一般にポリマーの可塑剤として用いられるものを特に制限なく用いることができ、例えばポリエステル系可塑剤、グリセリン系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤、ポリアルキレングリコール系可塑剤及びエポキシ系可塑剤などを挙げることができる。
ポリエステル系可塑剤の具体例としては、アジピン酸、セバチン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸などの酸成分と、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコールなどのジオール成分からなるポリエステルやポリカプロラクトンなどのヒドロキシカルボン酸からなるポリエステルなどを挙げることができる。これらのポリエステルは単官能カルボン酸もしくは単官能アルコールで末端封鎖されていてもよく、またエポキシ化合物などで末端封鎖されていてもよい。
グリセリン系可塑剤の具体例としては、グリセリンモノアセトモノラウレート、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリンモノアセトモノステアレート、グリセリンジアセトモノオレートおよびグリセリンモノアセトモノモンタネートなどを挙げることができる。
多価カルボン酸系可塑剤の具体例としては、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジベンジル、フタル酸ブチルベンジルなどのフタル酸エステル、トリメリット酸トリブチル、トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリヘキシルなどのトリメリット酸エステル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸n−オクチル−n−デシルエステル、アジピン酸メチルジグリコールブチルジグリコールエステル、アジピン酸ベンジルメチルジグリコールエステル、アジピン酸ベンジルブチルジグリコールエステルなどのアジピン酸エステル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル、クエン酸エトキシカルボニルメチルジブチルなどのクエン酸エステル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシルなどのアゼライン酸エステル、セバシン酸ジブチルおよびセバシン酸ジ−2−エチルヘキシルなどのセバシン酸エステルなどを挙げることができる。
ポリアルキレングリコール系可塑剤の具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(エチレンオキサイド・プロピレンオキサイド)ブロック及び/またはランダム共重合体、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノール類のエチレンオキシド付加重合体、ビスフェノール類のプロピレンオキシド付加重合体、ビスフェノール類のテトラヒドロフラン付加重合体などのポリアルキレングリコールあるいはその末端エポキシ変性化合物、末端エステル変性化合物および末端エーテル変性化合物などの末端封鎖化合物などを挙げることができる。
エポキシ系可塑剤とは、一般にはエポキシステアリン酸アルキルと大豆油とからなるエポキシトリグリセリドなどを指すが、その他にも、主にビスフェノールAとエピクロロヒドリンを原料とするような、いわゆるエポキシ樹脂も使用することができる。
その他の可塑剤の具体例としては、ネオペンチルグリコールジベンゾエート、ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレートなどの脂肪族ポリオールの安息香酸エステル、ステアリン酸アミドなどの脂肪酸アミド、オレイン酸ブチルなどの脂肪族カルボン酸エステル、アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチルなどのオキシ酸エステル、ペンタエリスリトール、各種ソルビトール、ポリアクリル酸エステル、シリコーンオイルおよびパラフィン類などを挙げることができる。
本発明で使用する(E)可塑剤としては、上記に例示したものの中でも、特にポリエステル系可塑剤及びポリアルキレングリコール系可塑剤から選択した少なくとも1種が好ましい。本発明に使用する可塑剤は、単独ないし2種以上用いることができる。
また、(E)可塑剤の配合量は、(A)脂肪族ポリエステル100重量部に対して、0.01〜30重量部の範囲が好ましく、0.1〜20重量部の範囲がより好ましく、0.5〜10重量部の範囲がさらに好ましい。
本発明においては、(D)結晶核剤と(E)可塑剤を各々単独で用いてもよいが、両者を併用して用いることが好ましい。
本発明においては、耐熱性が向上するという観点から、さらに無機系結晶核剤以外の充填剤を含有することが好ましい。
本発明で使用する無機系結晶核剤以外の充填剤としては、通常熱可塑性樹脂の強化に用いられる繊維状、板状、粒状、粉末状のものを用いることができる。具体的には、ガラス繊維、アスベスト繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、金属繊維、チタン酸カリウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、マグネシウム系ウイスカー、珪素系ウイスカー、ワラストナイト、セピオライト、アスベスト、スラグ繊維、ゾノライト、エレスタダイト、石膏繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化ホウ素繊維、窒化硅素繊維及びホウ素繊維などの無機繊維状充填剤、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、再生セルロース繊維、アセテート繊維、ケナフ、ラミー、木綿、ジュート、麻、サイザル、亜麻、リネン、絹、マニラ麻、さとうきび、木材パルプ、紙屑、古紙及びウールなどの有機繊維状充填剤、ガラスフレーク、グラファイト、金属箔、セラミックビーズ、セリサイト、ベントナイト、ドロマイト、微粉珪酸、長石粉、チタン酸カリウム、シラスバルーン、珪酸アルミニウム、酸化珪素、石膏、ノバキュライト、ドーソナイトおよび白土などなどの板状や粒状の充填剤が挙げられる。これらの充填剤の中では、無機繊維状充填剤が好ましく、特にガラス繊維、ワラストナイトが好ましい。また、有機繊維状充填剤の使用も好ましく、脂肪族ポリエステルの生分解性を生かすという観点から、天然繊維や再生繊維がさらに好ましい。また、配合に供する繊維状充填剤のアスペクト比(平均繊維長/平均繊維径)は5以上であることが好ましく、10以上であることがさらに好ましく、20以上であることがさらに好ましい。
上記の充填剤は、エチレン/酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で被覆または集束処理されていてもよく、アミノシランやエポキシシランなどのカップリング剤などで処理されていてもよい。
充填剤の配合量は、(A)脂肪族ポリエステル100重量部に対して、0.1〜200重量部が好ましく、0.5〜100重量部がさらに好ましい。
本発明において、本発明の目的を損なわない範囲で、他の熱可塑性樹脂(例えばポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、環状オレフィン系樹脂、メタクリル系樹脂、アクリロニトリル・ブタンジエン・スチレン(ABS)樹脂、アクリロニトリル・スチレン(AS)樹脂、酢酸セルロースなどのセルロース系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂およびポリブチレンテレフタレート樹脂などの芳香族ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂など)および熱硬化性樹脂(例えばフェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂など)および軟質熱可塑性樹脂(例えばエチレン/グリシジルメタクリレート共重合体、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、エチレン/プロピレンターポリマー、エチレン/ブテン−1共重合体など)などの少なくとも1種以上をさらに含有することができる。中でも、(B)多層構造重合体を含有することによる強度低下を抑制するという観点で、ポリアミドおよび芳香族ポリエステルが好ましく、特にポリブチレンテレフタレートが好ましい。
また、本発明の樹脂組成物においては、本発明の目的を損なわない範囲で、安定剤、滑剤、離型剤、難燃剤、染料および顔料を含む着色剤、帯電防止剤などを添加することができる。中でも、機械特性、成形性および耐熱性などに優れた樹脂組成物が得られるという点から、安定剤、離型剤を配合することが好ましい。
安定剤としては、通常熱可塑性樹脂の安定剤に用いられるものを用いることができる。具体的には、酸化防止剤、光安定剤などを挙げることができる。これらを配合することで、機械特性、成形性、耐熱性および耐久性に優れた樹脂組成物を得ることができる。
本発明で使用する酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系化合物、ホスファイト系化合物、チオエーテル系化合物などを挙げることができる。
本発明で使用する光安定剤としては、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、芳香族ベンゾエート系化合物、蓚酸アニリド系化合物、シアノアクリレート系化合物及びヒンダードアミン系化合物などを挙げることができる。
本発明において上記安定剤は、1種類で用いてもよく、2種類以上を組み合せて用いてもよい。また、安定剤としてはヒンダードフェノール系化合物および/またはベンゾトリアゾール系化合物を用いることが好ましい。
安定剤の配合量は、(A)脂肪族ポリエステル100重量部に対して、0.01〜3重量部が好ましく、0.03〜2重量部がさらに好ましい。
離型剤としては、通常熱可塑性樹脂の離型剤に用いられるものを用いることができる。具体的には、脂肪酸、脂肪酸金属塩、オキシ脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪族部分鹸化エステル、パラフィン、低分子量ポリオレフィン、脂肪酸アミド、アルキレンビス脂肪酸アミド、脂肪族ケトン、脂肪酸低級アルコールエステル、脂肪酸多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステル、変成シリコーンなどを挙げることができる。離型剤の配合量は、(A)脂肪族ポリエステル100重量部に対して、0.01〜3重量部が好ましく、0.03〜2重量部がさらに好ましい。
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば、(A)脂肪族ポリエステル、(B)多層構造重合体および(C)反応性化合物に加え、必要に応じて、結晶核剤、可塑剤、充填剤などのその他の添加剤を予めブレンドした後、融点以上において、一軸または二軸押出機で、均一に溶融混練する方法や溶液中で混合した後に溶媒を除く方法などが好ましく用いられるが、生産性の点で、一軸または二軸押出機で均一に溶融混練する方法が好ましく、耐熱性の点で、二軸押出機で均一に溶融混練する方法がより好ましい。
本発明の樹脂組成物について、メルトフローレート(MFR)は特に限定されないが、成形性の点で、JIS K7210に準じて、190℃、21.2N荷重において測定したMFRが、30g/10分以下であることが好ましく、20g/10分以下であることがより好ましく、10g/10分以下であることがさらに好ましく、7g/10分以下であることが特に好ましく、5g/10分以下であることが最も好ましい。MFRが30g/10分を越えると耐熱性が低下する傾向にある。下限は特に制限されないが、成形加工性の点で0.1g/10分以上であることが好ましい。
本発明において、得られた樹脂組成物は、通常公知の射出成形、押出成形、ブロー成形などの任意の方法で成形することができ、あらゆる形状の成形品として広く用いることができる。成形品とは、フィルム、シート、繊維・布、不織布、射出成形品、押出成形品、真空圧空成形品、ブロー成形品、または他の材料との複合体などであり、自動車用資材、電気・電子機器用資材、農業用資材、園芸用資材、漁業用資材、土木・建築用資材、文具、日用品、生活雑貨、医療・衛生用品またはその他の各種用途に利用することができる。
以下実施例により本発明を説明する。
実施例および比較例は、下記材料を表に示す配合で用いた。
(A)脂肪族ポリエステル
(A−1)ポリL乳酸(D体1.2%、Mw16万)
(A−2)ポリヒドロキシブチレート(三菱ガス化学製“ビオグリーン”)
(B)多層構造重合体
(B−1)三菱レイヨン製“メタブレン”S2001
(コア;シリコーン/アクリル重合体、シェル;メタクリル酸メチル重合体)
(B−2)カネカ製“カネエース”M511
(コア;ブタンジエン/スチレン重合体、シェル;メタクリル酸メチル重合体)
(B−3)クラレ製“パラフェイス”ME−120
(コア;アクリル重合体、シェル;メタクリル酸メチル重合体)
(C)反応性化合物
(C−1)グリシジル基含アクリル/スチレン系共重合体(東亞合成製“ARUFON”UG4040、Mw1万、エポキシ価2.1meq/g)
(C−2)グリシジル基含有アクリル系共重合体(日本油脂製“マープルーフ”G2050M、Mw21万、エポキシ価2.9meq/g)
(C−3)グリシジル基含有アクリル/スチレン系共重合体(ジョンソンポリマー製“ジョンクリル”ADR−4368、重量平均分子量7000、エポキシ価3.5meq/g)
(C−4)テレフタル酸ジグリシジルエステル(ナガセケムテックス製“デナコール”EX−711、Mw260)
(C−5)ポリカルボジイミド(日清紡製“カルボジライト”HMV−8CA、Mw2000)
(D)結晶核剤
(D−1)富士タルク工業製LMS300(タルク:無機系結晶核剤)
(D−2)日本化成製“スリパックス”L(エチレンビスラウリン酸アミド:有機系結晶核剤)
(E)可塑剤
(E−1)旭電化製“プルロニック”F68(ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール共重合体)
(F)充填剤
(F−1)日東紡績製CS3J948(ガラス繊維)
(F−2)関西マテック製KAP350(ワラストナイト)。
また、本発明で用いた測定方法および判定方法を以下に示す。
(1)重量平均分子量(Mw)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した標準PMMA換算の重量平均分子量の値である。溶媒にヘキサフルオロイソプロパノールを用い、流速0.5mL/minとし、試料濃度1mg/mLの溶液を0.1mL注入して測定した。
(2)多層構造重合体特性(樹脂組成物中の多層構造重合体の分散状態)
透過型電子顕微鏡を用い、2万倍で観察し、任意の100個の分散粒子について、一次粒子径を測定し、平均値を平均一次粒子径とした。また、多層構造重合体の凝集粒子数(X)と凝集していない粒子数(Y)との比(X/Y)に関しては、透過型電子顕微鏡を用い、2万倍で観察し、任意の100個の分散粒子について、多層構造重合体の分散粒子が接触している場合を凝集粒子と判定し、X/Yを求めた。なお、12.7mm×127mm×3mmの成形品中心部を観察した。
(3)引張特性
引張強度および引張伸度は、ASTM D638に準じて、3mm厚ASTM1号ダンベル成形品の引張強度および引張伸度を測定した。
(4)衝撃特性
衝撃強度はASTM D256に準じて、3mm厚ノッチ付き成形品のアイゾット衝撃強度を測定した。
(5)耐熱性
ASTM D648に準じて、12.7mm×127mm×3mmの成形品の熱変形温度(荷重0.45MPa)を測定した。
(6)耐加水分解性
ASTM1号ダンベル成形品を、70℃、相対湿度95%の恒温恒湿槽中で100時間処理した後、引張強度を測定し引張強度保持率を求めた。引張強度保持率が大きいほど、耐加水分解性に優れると言える。
(7)色相
スガ試験機製SMカラーコンピューターSM−3を用いて、5cm×5cm×3mmの板状成形品のLab表色系におけるb値を求めた。
[実施例1〜、比較例1〜
表1に示すように脂肪族ポリエステル、多層構造重合体および反応性化合物をドライブレンドした後、30mmφ二軸押出機を用い、シリンダー温度200℃、回転数200rpmの条件で溶融混練を行いペレット状の樹脂組成物を得た。
得た樹脂組成物を住友重工業製射出成形機SG75H−MIVを用い、シリンダー温度200℃、金型温度40℃、成形サイクル60秒で射出成形を行い、評価用の各種成形品を得た。
得た成形品を用いて、各種評価を行った結果を表1に示す。
Figure 0005245229
表1の結果より以下のことが明らかである。
実施例1〜と比較例1〜との比較から、本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物は、耐衝撃性に優れることがわかる。中でも、多層構造重合体の凝集粒子数(X)と凝集していない粒子数(Y)との比(X/Y)が0〜0.5である場合、もしくは反応性化合物の重量平均分子量が1000〜300000の重合体、もしくは、反応性化合物のエポキシ価が1〜10meq/gである場合に耐衝撃性向上効果が高いことがわかる。また、反応性化合物の重量平均分子量が1000〜300000の重合体、もしくは、反応性化合物のエポキシ価が1〜10meq/gである場合には、耐加水分解性にも優れることがわかる。
[実施例10〜18、比較例8〜10
表2に示すように脂肪族ポリエステル、多層構造重合体および反応性化合物に加え、結晶核剤、可塑剤、充填剤をドライブレンドした後、30mmφ二軸押出機を用い、シリンダー温度240℃、回転数200rpmの条件で溶融混練を行いペレット状の樹脂組成物を得た。
得た樹脂組成物を住友重工業製射出成形機SG75H−MIVを用い、シリンダー温度240℃、金型温度90℃で射出成形を行い、評価用の各種成形品を得た。なお、成形性について、3mm厚ASTM1号ダンベルを金型から取り出す際に、変形のない固化した成形品が得られる最短の時間を成形サイクル時間として計測した。成形サイクル時間が短いほど成形性に優れているといえる。
得た成形品を用いて、各種評価を行った結果を表2に示す。
Figure 0005245229
実施例10〜18、比較例8〜10から、本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物は、耐衝撃性、耐熱性および耐加水分解性に優れることがわかる。中でも、多層構造重合体の凝集粒子数(X)と凝集していない粒子数(Y)との比(X/Y)が0〜0.5である場合、もしくは反応性化合物の重量平均分子量が1000〜300000の重合体、もしくは、反応性化合物のエポキシ価が1〜10meq/gである場合に耐衝撃性向上効果が高いことがわかる。また、結晶核剤と可塑剤を併用する場合に、成形サイクル時間が短くなることから、成形性にも優れることかがわかる。さらに、反応性化合物の重量平均分子量が1000〜300000の重合体である場合、もしくは結晶核剤が無機系結晶核剤である場合には、b値が小さくなることから、着色を抑制することができ色相にも優れることがわかる。

Claims (7)

  1. (A)脂肪族ポリエステル100重量部に対し、(B)多層構造重合体1〜100重量部および(C)グリシジル基を含有する反応性化合物0.01〜30重量部を配合してなる樹脂組成物であって、(C)反応性化合物が、重量平均分子量5000〜300000であり、グリシジル基含有ビニル系単位を含むエポキシ価2〜7meq/gの重合体である樹脂組成物。
  2. (C)反応性化合物が、グリシジル基含有ビニル系単位を含むエポキシ価3〜5meq/gの重合体である請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. (B)多層構造重合体の平均一次粒子径が、10〜10000nmである請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. 樹脂組成物中における(B)多層構造重合体の凝集粒子数(X)と凝集していない粒子数(Y)との比(X/Y)が0〜0.5である請求項1から3のいずれかに記載の樹脂組成物。
  5. さらに無機系結晶核剤および有機系結晶核剤から選択される1種以上の(D)結晶核剤を配合してなる請求項1から4のいずれかに記載の樹脂組成物。
  6. さらに(E)可塑剤を配合してなる請求項1から5のいずれかに記載の樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂組成物からなる成形品。
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