JP5644390B2 - 脂肪族ポリエステル樹脂組成物およびそれからなる成形品 - Google Patents

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本発明は、耐衝撃性に優れる脂肪族ポリエステル樹脂組成物、さらに耐熱性にも優れる脂肪族ポリエステル樹脂組成物およびそれからなる成形品に関するものである。
最近、地球環境保全の見地から、土中、水中に存在する微生物の作用により自然環境下で分解される生分解性ポリマーが注目され、様々な生分解性ポリマーが開発されている。これらのうち溶融成形が可能な生分解性ポリマーとして、例えば、ポリヒドロキシブチレート、ポリカプロラクトン、コハク酸やアジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸成分とエチレングリコールやブタンジオールなどのグリコール成分とからなるポリエチレンサクシネートやポリブチレンアジペート、ポリ乳酸などの脂肪族ポリエステルが知られている。
脂肪族ポリエステルの中でも、ポリ乳酸は、比較的コストが安く、融点もおよそ170℃と高く、溶融成形可能な生分解性ポリマ−として期待されている。また、最近ではモノマーである乳酸が微生物を利用した発酵法により安価に製造されるようになり、より一層低コストでポリ乳酸を生産できるようになってきたため、生分解性ポリマーとしてだけでなく、汎用ポリマーとしての利用も検討されるようになってきた。しかし、その一方で、耐衝撃性や柔軟性が低いなどの物性的な欠点を有しており、その改良が望まれている。
一般に、樹脂の耐衝撃性を改良するために、オレフィン共重合体などのゴム状ポリマーをブレンドすることは知られており、ポリ乳酸においても、変性オレフィン化合物を添加する方法(例えば、特許文献1および2参照)が知られているが、これらの方法では、耐衝撃性改良効果が不十分であり、さらなる改善が必要とされている。
また、ポリ乳酸樹脂は、ガラス転移温度が60℃であり、それ以上の温度では剛性が急激に低下するため、成形品として使用する場合には、60℃以上の高温での熱変形が大きくなるという性質を有しており、ゴム状ポリマーをブレンドすることによりさらに熱変形が大きくなり耐熱性が低下するため実用的でないという問題もある。
特開平9−316310号公報 特開2001−123055号公報
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果、達成されたものであり、その目的とするところは、耐衝撃性に優れる脂肪族ポリエステル樹脂組成物、さらに耐熱性にも優れる脂肪族ポリエステル樹脂組成物およびそれからなる成形品を提供することにある。
すなわち、本発明は、
(1)(A)ポリ乳酸からなる脂肪族ポリエステルと(B)多層構造重合体とを、(A)/(B)の重量比が、99/1〜50/50となるように含有する脂肪族ポリエステル樹脂組成物であって、前記(B)多層構造重合体が、グリシジル基含有ビニル系単位または不飽和ジカルボン酸無水物系単位から選ばれる少なくとも1種以上の単位を含有する重合体により構成され、前記(B)多層構造重合体の最外層が、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位を含有する重合体により構成されることを特徴とする脂肪族ポリエステル樹脂組成物(ただし、ポリフェニレンエーテル樹脂またはポリカーボネート樹脂を含む脂肪族ポリエステル樹脂組成物に限る)
(2)前記(B)多層構造重合体が内部に少なくとも1層以上のゴム層を有し、ゴム層がアクリル成分またはシリコーン/アクリル成分のいずれかであることを特徴とする(1)記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
(3)前記(B)多層構造重合体が、ゴム層であるコア層とそれを覆う1以上のシェル層から構成され、また隣接し合った層が異種の重合体から構成されるものであることを特徴とする(1)または(2)記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
)前記(B)多層構造重合体の最外層が、(メタ)アクリル酸メチル単位を含有する重合体により構成されることを特徴とする(1)〜()のいずれか1項に記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
)前記(A)ポリ乳酸からなる脂肪族ポリエステルが以下のいずれか一つ以上を満たすことを特徴とする(1)〜()のいずれか1項に記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
(1)総乳酸成分の内、L体が80%以上含まれるかあるいはD体が80%以上含まれること
(2)重量平均分子量が1万以上
(3)融点が90℃以上
)さらに、タルク、カオリナイト、モンモリロナイトおよび合成マイカから選択される無機系結晶核剤を(A)脂肪族ポリエステル樹脂100重量部に対し0.1〜30重量部含有することを特徴とする(1)〜()のいずれか1項に記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
)さらに、有機カルボン酸金属塩およびカルボン酸アミドから選択される有機系結晶核剤を(A)脂肪族ポリエステル樹脂100重量部に対し0.1〜5重量部含有することを特徴とする(1)〜()のいずれか1項に記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
)さらに、ポリエステル系可塑剤、グリセリン系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤、ポリアルキレングリコール系可塑剤およびエポキシ系可塑剤から選択される1種以上の可塑剤を、(A)脂肪族ポリエステル樹脂100重量部に対し0.5〜10重量部含有することを特徴とする(1)〜()のいずれか1項に記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
)さらに()の無機系結晶核剤以外の充填剤を含有することを特徴とする(1)〜()のいずれか1項に記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
10)(1)〜()のいずれか1項に記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物を成形してなる成形品。
を提供するものである。
本発明によれば、(A)脂肪族ポリエステルと(B)多層構造重合体を含有することによって、耐衝撃性に優れ、さらには耐熱性にも優れる脂肪族ポリエステル樹脂組成物およびそれからなる成形品を提供することができる。
本発明の(A)脂肪族ポリエステルとしては、特に限定されるものではなく、脂肪族ヒドロキシカルボン酸を主たる構成成分とする重合体、脂肪族多価カルボン酸と脂肪族多価アルコールを主たる構成成分とする重合体などが挙げられる。具体的には、脂肪族ヒドロキシカルボン酸を主たる構成成分とする重合体としては、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリ3−ヒドロキシ酪酸、ポリ4−ヒドロキシ酪酸、ポリ4−ヒドロキシ吉草酸、ポリ3−ヒドロキシヘキサン酸またはポリカプロラクトンなどが挙げられ、脂肪族多価カルボン酸と脂肪族多価アルコールを主たる構成成分とする重合体としては、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンアジペートまたはポリブチレンサクシネートなどが挙げられる。これらの脂肪族ポリエステルは、単独ないし2種以上を用いることができる。これらの脂肪族ポリエステルの中でも、ヒドロキシカルボン酸を主たる構成成分とする重合体が好ましく、特にポリ乳酸が好ましく使用される。
ポリ乳酸としては、L−乳酸および/またはD−乳酸を主たる構成成分とする重合体であるが、本発明の目的を損なわない範囲で、乳酸以外の他の共重合成分を含んでいてもよい。
かかる他の共重合成分単位としては、例えば、多価カルボン酸、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトンなどが挙げられ、具体的には、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、フマル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムスルホイソフタル酸などの多価カルボン酸類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘプタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオ−ル、デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ビスフェノ−ルA、ビスフェノールにエチレンオキシドを付加反応させた芳香族多価アルコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどの多価アルコール類、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸類、グリコリド、ε−カプロラクトングリコリド、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、δ−ブチロラクトン、β−またはγ−ブチロラクトン、ピバロラクトン、δ−バレロラクトンなどのラクトン類などを使用することができる。これらの共重合成分は、単独ないし2種以上を用いることができる。
ポリ乳酸で高い耐熱性を得るためには、乳酸成分の光学純度が高い方が好ましく、総乳酸成分の内、L体あるいはD体が80モル%以上含まれることが好ましく、さらには90モル%以上含まれることが好ましく、95モル%以上含まれることが特に好ましい。
(A)脂肪族ポリエステルの製造方法としては、既知の重合方法を用いることができ、特にポリ乳酸については、乳酸からの直接重合法、ラクチドを介する開環重合法などを採用することができる。
(A)脂肪族ポリエステルの分子量や分子量分布は、実質的に成形加工が可能であれば、特に限定されるものではなく、重量平均分子量としては、好ましくは1万以上、より好ましくは4万以上、特に好ましくは8万以上であるのがよい。ここでいう重量平均分子量とは、溶媒としてヘキサフルオロイソプロパノールを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリメタクリル酸メチル(PMMA)換算の重量平均分子量である。
(A)脂肪族ポリエステルの融点は、特に限定されるものではなく、90℃以上であることが好ましく、さらに150℃以上であることが好ましい。
本発明において、(B)多層構造重合体とは、最内層(コア層)とそれを覆う1以上の層(シェル層)から構成され、また、隣接し合った層が異種の重合体から構成される、いわゆるコアシェル型と呼ばれる構造を有する重合体である。
本発明の(B)多層構造重合体を構成する層の数は、特に限定されるものではなく、2層以上であればよく、3層以上または4層以上であってもよい。
本発明の(B)多層構造重合体としては、内部に少なくとも1層以上のゴム層を有する多層構造重合体であることが好ましい。
本発明の(B)多層構造重合体において、ゴム層の種類は、特に限定されるものではなく、ゴム弾性を有する重合体成分から構成されるものであればよい。例えば、アクリル成分、シリコーン成分、スチレン成分、ニトリル成分、共役ジエン成分、ウレタン成分またはエチレンプロピレン成分などを重合させたものから構成されるゴムが挙げられる。好ましいゴムとしては、例えば、アクリル酸エチル単位やアクリル酸ブチル単位などのアクリル成分、ジメチルシロキサン単位やフェニルメチルシロキサン単位などのシリコーン成分、スチレン単位やα−メチルスチレン単位などのスチレン成分、アクリロニトリル単位やメタクリロニトリル単位などのニトリル成分またはブタンジエン単位やイソプレン単位などの共役ジエン成分を重合させたものから構成されるゴムである。また、これらの成分を2種以上組み合わせて共重合させたものから構成されるゴムも好ましく、例えば、(1)アクリル酸エチル単位やアクリル酸ブチル単位などのアクリル成分およびジメチルシロキサン単位やフェニルメチルシロキサン単位などのシリコーン成分を共重合した成分から構成されるゴム、(2)アクリル酸エチル単位やアクリル酸ブチル単位などのアクリル成分およびスチレン単位やα−メチルスチレン単位などのスチレン成分を共重合した成分から構成されるゴム、(3)アクリル酸エチル単位やアクリル酸ブチル単位などのアクリル成分およびブタンジエン単位やイソプレン単位などの共役ジエン成分を共重合した成分から構成されるゴム、(4)アクリル酸エチル単位やアクリル酸ブチル単位などのアクリル成分およびジメチルシロキサン単位やフェニルメチルシロキサン単位などのシリコーン成分およびスチレン単位やα−メチルスチレン単位などのスチレン成分を共重合した成分から構成されるゴムなどが挙げられる。また、これらの成分の他に、ジビニルベンゼン単位、アリルアクリレート単位またはブチレングリコールジアクリレート単位などの架橋性成分を共重合し架橋させたゴムも好ましい。
本発明の(B)多層構造重合体において、ゴム層以外の層の種類は、熱可塑性を有する重合体成分から構成されるものであれば特に限定されるものではないが、ゴム層よりもガラス転移温度が高い重合体成分が好ましい。熱可塑性を有する重合体としては、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位、グリシジル基含有ビニル系単位、不飽和ジカルボン酸無水物系単位、脂肪族ビニル系単位、芳香族ビニル系単位、シアン化ビニル系単位、マレイミド系単位、不飽和ジカルボン酸系単位またはその他のビニル系単位などから選ばれる少なくとも1種以上の単位を含有する重合体が挙げられ、中でも、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位、不飽和グリシジル基含有単位または不飽和ジカルボン酸無水物系単位から選ばれる少なくとも1種以上の単位を含有する重合体が好ましく、さらに不飽和グリシジル基含有単位または不飽和ジカルボン酸無水物系単位から選ばれる少なくとも1種以上の単位を含有する重合体がより好ましい。
不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位としては、特に限定されるものではないが、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく使用される。具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸クロロメチル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチル、アクリル酸アミノエチル、アクリル酸プロピルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸エチルアミノプロピル、メタクリル酸フェニルアミノエチルまたはメタクリル酸シクロヘキシルアミノエチルなどが挙げられ、耐衝撃性を向上する効果が大きいという観点から、(メタ)アクリル酸メチルが好ましく使用される。これらの単位は単独ないし2種以上を用いることができる。
グリシジル基含有ビニル系単位としては、特に限定されるものではなく、(メタ)アクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、イタコン酸ジグリシジル、アリルグリシジルエーテル、スチレン−4−グリシジルエーテルまたは4−グリシジルスチレンなどが挙げられ、耐衝撃性を向上する効果が大きいという観点から、(メタ)アクリル酸グリシジルが好ましく使用される。これらの単位は単独ないし2種以上を用いることができる。
不飽和ジカルボン酸無水物系単位としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水グルタコン酸、無水シトラコン酸または無水アコニット酸などが挙げられ、耐衝撃性を向上する効果が大きいという観点から、無水マレイン酸が好ましく使用される。これらの単位は単独ないし2種以上を用いることができる。
また、脂肪族ビニル系単位としては、エチレン、プロピレンまたはブタジエンなど、芳香族ビニル系単位としては、スチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、4−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレンまたはハロゲン化スチレンなど、シアン化ビニル系単位としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルまたはエタクリロニトリルなど、マレイミド系単位としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(p−ブロモフェニル)マレイミドまたはN−(クロロフェニル)マレイミドなど、不飽和ジカルボン酸系単位として、マレイン酸、マレイン酸モノエチルエステル、イタコン酸、フタル酸など、その他のビニル系単位としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、ブトキシメチルアクリルアミド、N−プロピルメタクリルアミド、N−ビニルジエチルアミン、N−アセチルビニルアミン、アリルアミン、メタアリルアミン、N−メチルアリルアミン、p−アミノスチレン、2−イソプロペニル−オキサゾリン、2−ビニル−オキサゾリン、2−アクロイル−オキサゾリンまたは2−スチリル−オキサゾリンなどを挙げることができ、これらの単位は単独ないし2種以上を用いることができる。
本発明の(B)多層構造重合体において、最外層の種類は、特に限定されるものではなく、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位、グリシジル基含有ビニル系単位、脂肪族ビニル系単位、芳香族ビニル系単位、シアン化ビニル系単位、マレイミド系単位、不飽和ジカルボン酸系単位、不飽和ジカルボン酸無水物系単位および/またはその他のビニル系単位などを含有する重合体が挙げられ、中でも、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位、不飽和グリシジル基含有単位および/または不飽和ジカルボン酸無水物系単位を含有する重合体が好ましく、さらに不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位を含有する重合体がより好ましい。不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位としては、特に限定されるものではないが、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、さらに、(メタ)アクリル酸メチルがより好ましく使用される。
本発明の(B)多層構造重合体の好ましい例としては、コア層がジメチルシロキサン/アクリル酸ブチル重合体で最外層がメタクリル酸メチル重合体、コア層がブタンジエン/スチレン重合体で最外層がメタクリル酸メチル重合体、コア層がアクリル酸ブチル重合体で最外層がメタクリル酸メチル重合体などが挙げられる。さらに、ゴム層または最外層のいずれか一つもしくは両方の層がメタクリル酸グリシジル単位を含有する重合体であることはより好ましい。
本発明の(B)多層構造重合体の粒子径は、特に限定されるものではないが、0.01μm以上、1000μm以下であることが好ましく、さらに、0.02μm以上、100μm以下であることがより好ましく、特に0.05μm以上、10μm以下であることが最も好ましい。
本発明の(B)多層構造重合体において、コアとシェルの重量比は、特に限定されるものではないが、多層構造重合体全体に対して、コア層が50重量部以上、90重量部以下であることが好ましく、さらに、60重量部以上、80重量部以下であることがより好ましい。
本発明の(B)多層構造重合体としては、上述した条件を満たすものとして、市販品を用いてもよく、また、公知の方法により作製することもできる。
市販品としては、例えば、三菱レイヨン製”メタブレン”、鐘淵化学工業製”カネエース”、呉羽化学工業製”パラロイド”、ロームアンドハース製”アクリロイド”、武田薬品工業製”スタフィロイド”またはクラレ製”パラペットSA”などが挙げられ、これらは、単独ないし2種以上を用いることができる。
本発明において、(A)脂肪族ポリエステルと(B)多層構造重合体の重量比は、特に限定されるものではないが、99/1〜50/50であることが好ましく、さらに、99/1〜60/40であることがより好ましく、特に99/1〜70/30であることが最も好ましい。
本発明においては、(A)脂肪族ポリエステル中に(B)多層構造重合体が細かく分散し、分散状態が良好なものほど耐衝撃性を向上させる効果が大きい。
本発明においては、耐熱性が向上するという観点から、さらに結晶核剤を含有することが好ましい。
本発明で使用する結晶核剤としては、一般にポリマーの結晶核剤として用いられるものを特に制限なく用いることができ、無機系結晶核剤および有機系結晶核剤のいずれをも使用することができる。
無機系結晶核剤の具体例としては、タルク、カオリナイト、モンモリロナイト、マイカ、合成マイカ、クレー、ゼオライト、シリカ、グラファイト、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化チタン、硫化カルシウム、窒化ホウ素、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、酸化ネオジウムおよびフェニルホスホネートの金属塩などが挙げられ、耐熱性を向上させる効果が大きいという観点から、タルク、カオリナイト、モンモリロナイトおよび合成マイカが好ましい。これらは単独ないし2種以上を用いることができる。これらの無機系結晶核剤は、組成物中での分散性を高めるために、有機物で修飾されていることが好ましい。
無機系結晶核剤の含有量は、(A)脂肪族ポリエステル樹脂100重量部に対して、0.01〜100重量部が好ましく、0.05〜50重量部がより好ましく、0.1〜30重量部がさらに好ましい。
また、有機系結晶核剤の具体例としては、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸カルシウム、安息香酸マグネシウム、安息香酸バリウム、テレフタル酸リチウム、テレフタル酸ナトリウム、テレフタル酸カリウム、シュウ酸カルシウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、ミリスチン酸カルシウム、オクタコサン酸ナトリウム、オクタコサン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸カルシウム、トルイル酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸カリウム、サリチル酸亜鉛、アルミニウムジベンゾエート、カリウムジベンゾエート、リチウムジベンゾエート、ナトリウムβ−ナフタレート、ナトリウムシクロヘキサンカルボキシレートなどの有機カルボン酸金属塩、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、スルホイソフタル酸ナトリウムなどの有機スルホン酸塩、ステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、パルチミン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、トリメシン酸トリス(t−ブチルアミド)などのカルボン酸アミド、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプロピレン、ポリブテン、ポリ−4−メチルペンテン、ポリ−3−メチルブテン−1、ポリビニルシクロアルカン、ポリビニルトリアルキルシラン、高融点ポリ乳酸などのポリマー、エチレン−アクリル酸またはメタクリル酸コポリマーのナトリウム塩、スチレン−無水マレイン酸コポリマーのナトリウム塩などのカルボキシル基を有する重合体のナトリウム塩またはカリウム塩(いわゆるアイオノマー)、ベンジリデンソルビトールおよびその誘導体、ナトリウム−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェートなどのリン化合物金属塩および2,2−メチルビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ナトリウムなどが挙げられ、耐熱性を向上させる効果が大きいという観点からは、有機カルボン酸金属塩およびカルボン酸アミドが好ましい。これらは単独ないし2種以上用いることができる。
有機系結晶核剤の含有量は、(A)脂肪族ポリエステル樹脂100重量部に対して、0.01〜30重量部が好ましく、0.05〜10重量部がより好ましく、0.1〜5重量部がさらに好ましい。
本発明においては、耐熱性が向上するという観点から、さらに無機系結晶核剤以外の充填剤を含有することが好ましい。
本発明で使用する無機系結晶核剤以外の充填剤としては、通常熱可塑性樹脂の強化に用いられる繊維状、板状、粒状、粉末状のものを用いることができる。具体的には、ガラス繊維、アスベスト繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、金属繊維、チタン酸カリウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、マグネシウム系ウイスカー、珪素系ウイスカー、ワラストナイト、セピオライト、アスベスト、スラグ繊維、ゾノライト、エレスタダイト、石膏繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化ホウ素繊維、窒化硅素繊維及びホウ素繊維などの無機繊維状充填剤、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、再生セルロース繊維、アセテート繊維、ケナフ、ラミー、木綿、ジュート、麻、サイザル、亜麻、リネン、絹、マニラ麻、さとうきび、木材パルプ、紙屑、古紙及びウールなどの有機繊維状充填剤、ガラスフレーク、グラファイト、金属箔、セラミックビーズ、セリサイト、ベントナイト、ドロマイト、微粉珪酸、長石粉、チタン酸カリウム、シラスバルーン、珪酸アルミニウム、酸化珪素、石膏、ノバキュライト、ドーソナイトおよび白土などなどの板状や粒状の充填剤が挙げられる。これらの充填剤の中では、無機繊維状充填剤が好ましく、特にガラス繊維、ワラストナイトが好ましい。また、有機繊維状充填剤の使用も好ましく、脂肪族ポリエステル樹脂の生分解性を生かすという観点から、天然繊維や再生繊維がさらに好ましい。また、配合に供する繊維状充填剤のアスペクト比(平均繊維長/平均繊維径)は5以上であることが好ましく、10以上であることがさらに好ましく、20以上であることがさらに好ましい。
上記の充填剤は、エチレン/酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で被覆または集束処理されていてもよく、アミノシランやエポキシシランなどのカップリング剤などで処理されていてもよい。
充填剤の含有量は、(A)脂肪族ポリエステル樹脂100重量部に対して、0.1〜200重量部が好ましく、0.5〜100重量部がさらに好ましい。
本発明においては、耐熱性が向上するという観点から、さらに可塑剤を含有することが好ましい。
本発明で使用する可塑剤としては、一般にポリマーの可塑剤として用いられるものを特に制限なく用いることができ、例えばポリエステル系可塑剤、グリセリン系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤、ポリアルキレングリコール系可塑剤及びエポキシ系可塑剤などを挙げることができる。
ポリエステル系可塑剤の具体例としては、アジピン酸、セバチン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸などの酸成分と、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコールなどのジオール成分からなるポリエステルやポリカプロラクトンなどのヒドロキシカルボン酸からなるポリエステルなどを挙げることができる。これらのポリエステルは単官能カルボン酸もしくは単官能アルコールで末端封鎖されていてもよく、またエポキシ化合物などで末端封鎖されていてもよい。
グリセリン系可塑剤の具体例としては、グリセリンモノアセトモノラウレート、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリンモノアセトモノステアレート、グリセリンジアセトモノオレートおよびグリセリンモノアセトモノモンタネートなどを挙げることができる。
多価カルボン酸系可塑剤の具体例としては、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジベンジル、フタル酸ブチルベンジルなどのフタル酸エステル、トリメリット酸トリブチル、トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリヘキシルなどのトリメリット酸エステル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸n−オクチル−n−デシルアジピン酸エステルなどのセバシン酸エステル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチルなどのクエン酸エステル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシルなどのアゼライン酸エステル、セバシン酸ジブチル、およびセバシン酸ジ−2−エチルヘキシルなどのセバシン酸エステルなどを挙げることができる。
ポリアルキレングリコール系可塑剤の具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(エチレンオキサイド・プロピレンオキサイド)ブロック及び/またはランダム共重合体、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノール類のエチレンオキシド付加重合体、ビスフェノール類のプロピレンオキシド付加重合体、ビスフェノール類のテトラヒドロフラン付加重合体などのポリアルキレングリコールあるいはその末端エポキシ変性化合物、末端エステル変性化合物および末端エーテル変性化合物などの末端封鎖化合物などを挙げることができる。
エポキシ系可塑剤とは、一般にはエポキシステアリン酸アルキルと大豆油とからなるエポキシトリグリセリドなどを指すが、その他にも、主にビスフェノールAとエピクロロヒドリンを原料とするような、いわゆるエポキシ樹脂も使用することができる。
その他の可塑剤の具体例としては、ネオペンチルグリコールジベンゾエート、ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレートなどの脂肪族ポリオールの安息香酸エステル、ステアリン酸アミドなどの脂肪酸アミド、オレイン酸ブチルなどの脂肪族カルボン酸エステル、アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチルなどのオキシ酸エステル、ペンタエリスリトール、各種ソルビトール、ポリアクリル酸エステル、シリコーンオイルおよびパラフィン類などを挙げることができる。
本発明で使用する可塑剤としては、上記に例示したものの中でも、特にポリエステル系可塑剤及びポリアルキレングリコール系可塑剤から選択した少なくとも1種が好ましい。本発明に使用する可塑剤は、単独ないし2種以上用いることができる。
また、可塑剤の含有量は、(A)脂肪族ポリエステル樹脂100重量部に対して、0.01〜30重量部の範囲が好ましく、0.1〜20重量部の範囲がより好ましく、0.5〜10重量部の範囲がさらに好ましい。
本発明においては、結晶核剤と可塑剤を各々単独で用いてもよいが、両者を併用して用いることが好ましい。
本発明において、本発明の目的を損なわない範囲で安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤など)、滑剤、離形剤、難燃剤、染料または顔料を含む着色剤、帯電防止剤などを添加することができる。
本発明において、本発明の目的を損なわない範囲で、他の熱可塑性樹脂(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリエーテルイミドなど)または熱硬化性樹脂(例えばフェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂など)または軟質熱可塑性樹脂(例えばエチレン/グリシジルメタクリレート共重合体、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、エチレン/プロピレンターポリマー、エチレン/ブテン−1共重合体など)などの少なくとも1種以上をさらに含有することができる。中でも、(B)多層構造重合体を含有することによる強度低下を抑制するという観点で、ポリアミドおよびポリエステルが好ましく、さらに芳香族ポリエステルが好ましく、特にポリブチレンテレフタレートが好ましい。
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば、(A)脂肪族ポリエステル、(B)多層構造重合体、結晶核剤、充填剤、可塑剤および必要に応じてその他の添加剤を予めブレンドした後、融点以上において、一軸または二軸押出機で、均一に溶融混練する方法や溶液中で混合した後に溶媒を除く方法などが好ましく用いられる。
本発明において、得られた組成物は、通常公知の射出成形、押出成形などの任意の方法で成形することができ、あらゆる形状の成形品として広く用いることができる。成形品とは、フィルム、シート、繊維・布、不織布、射出成形品、押出し成形品、真空圧空成形品、ブロー成形品、または他の材料との複合体などであり、自動車用資材、電機・電子機器用資材、農業用資材、園芸用資材、漁業用資材、土木・建築用資材、文具、医療用品またはその他の用途として有用である。
以下実施例により本発明を説明する。
各特性の測定方法は以下の通りである。
(1)引張特性
引張強度および引張伸度は、ASTM D638に準じて、3mm厚試験片の引張強度および引張伸度を測定した。
(2)衝撃特性
衝撃強度はASTM D256に準じて、3mm厚ノッチ付き試験片のアイゾット衝撃強度を測定した。
(3)耐熱性
ASTM D648に準じて、12.7mm×6.4mm×127mmの試験片の熱変形温度(荷重0.45MPa)を測定した。
実施例および比較例は、下記材料を表に示す配合で用いた。
(A)脂肪族ポリエステル
A−1:重量平均分子量20万、D−乳酸単位1%、融点175℃のポリ−L−乳酸
(B)多層構造重合体
B−1:三菱レイヨン製”メタブレンS2001”
(コア;シリコーン/アクリル重合体、シェル;メタクリル酸メチル重合体)
B−2:三菱レイヨン製”メタブレンKS0205”
(コア;シリコーン/アクリル重合体、シェル;メタクリル酸メチル/メタクリル酸グリシジル重合体)
B−3:鐘淵化学工業製”カネエースM511”
(コア;ブタンジエン/スチレン重合体、シェル;メタクリル酸メチル重合体)B−4:呉羽化学工業製”パラロイドEXL2311”
(コア;アクリル重合体、シェル;メタクリル酸メチル重合体)
B−5:呉羽化学工業製”パラロイドEXL2315”
(コア;アクリル重合体、シェル;メタクリル酸メチル重合体)
(C)変性オレフィン化合物
C−1:日本油脂製”モディパーA4200”
(エチレン/メタクリル酸グリシジル−グラフト−メタクリル酸メチル共重合体)
C−2:住友化学工業製”ボンドファースト7M”
(エチレン/メタクリル酸グリシジル/アクリル酸メチル共重合体)
C−3:三井・デュポンポリケミカル”エバフレックスEEAA709”
(エチレン/アクリル酸エチル共重合体)
C−4:三井・デュポンポリケミカル”MH5020”
(エチレン/ブテン−1/無水マレイン酸共重合体)
結晶核剤
D−1:富士タルク工業製”LMS300”
(タルク;無機系結晶核剤)
D−2:エンゲルハード製”トランスリンク555”
(カオリナイト;無機系結晶核剤)
D−3:日本化成製”スリパックスL”
(エチレンビスラウリン酸アミド;有機系結晶核剤)
充填剤
E−1:日東紡績製”CS3J948”
(ガラス繊維)
E−2:Partek製”ウィックロール”
(ワラストナイト)
可塑剤
F−1:旭電化製”プルロニックF68”
(ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール共重合体)
実施例および比較例1〜6、10〜14
表1に示す配合量で(A)脂肪族ポリエステル酸および(B)多層構造重合体または(C)変性ポリオレフィン化合物をドライブレンドした後、250℃に設定した30mmφ二軸スクリュー押出機を使用して溶融混合ペレタイズを行った。
得られたペレットを250℃に設定したスクリューインライン型射出成形機を使用して試験片を金型温度40℃で成形した。
各サンプルの引張特性および衝撃特性の測定結果を表1に示す。
Figure 0005644390
実施例に示すように、本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物は、ポリ乳酸単体(比較例1)よりも衝撃強度が大幅に向上し、耐衝撃性が向上した。
一方、比較例2〜6に示すように、変性オレフィン化合物を用いた場合には、ポリ乳酸単体(比較例1)よりも衝撃強度は向上するものの、その効果は十分でない。
参考例1〜5および比較例7〜9
表2に示す配合量で(A)脂肪族ポリエステル、(B)多層構造重合体、(C)変性ポリオレフィン化合物、結晶核剤、充填剤、可塑剤をドライブレンドした後、250℃に設定した30mmφ二軸スクリュー押出機を使用して溶融混合ペレタイズを行った。
得られたペレットを250℃に設定したスクリューインライン型射出成形機を使用して試験片を金型温度80℃で成形した。
各サンプルの衝撃特性および耐熱性の測定結果を表2に示す。
Figure 0005644390
参考例1〜5に示すように、本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物は、ポリ乳酸単体(比較例7)よりも衝撃強度および耐熱性が大幅に向上した。
一方、比較例8に示すように、(B)多層構造重合体を用いることなく、結晶核剤、可塑剤のみを用いた場合には、ポリ乳酸単体(比較例7)よりも衝撃強度および耐熱性は向上するものの、その効果は十分でない。また、比較例9に示すように、(C)変性オレフィン化合物を用いた場合には、ポリ乳酸単体(比較例7)よりも衝撃強度および耐熱性は向上するものの、その効果は十分でない。
本発明において、得られた組成物は、通常公知の射出成形、押出成形などの任意の方法で成形することができ、あらゆる形状の成形品として広く用いることができる。

Claims (10)

  1. (A)ポリ乳酸からなる脂肪族ポリエステルと(B)多層構造重合体とを、(A)/(B)の重量比が、99/1〜50/50となるように含有する脂肪族ポリエステル樹脂組成物であって、前記(B)多層構造重合体が、グリシジル基含有ビニル系単位または不飽和ジカルボン酸無水物系単位から選ばれる少なくとも1種以上の単位を含有する重合体により構成され、前記(B)多層構造重合体の最外層が、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位を含有する重合体により構成されることを特徴とする脂肪族ポリエステル樹脂組成物(ただし、ポリフェニレンエーテル樹脂またはポリカーボネート樹脂を含む脂肪族ポリエステル樹脂組成物に限る)
  2. 前記(B)多層構造重合体が内部に少なくとも1層以上のゴム層を有し、ゴム層がアクリル成分またはシリコーン/アクリル成分のいずれかであることを特徴とする請求項1記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
  3. 前記(B)多層構造重合体が、ゴム層であるコア層とそれを覆う1以上のシェル層から構成され、また隣接し合った層が異種の重合体から構成されるものであることを特徴とする請求項1または2記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
  4. 前記(B)多層構造重合体の最外層が、(メタ)アクリル酸メチル単位を含有する重合体により構成されることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
  5. 前記(A)ポリ乳酸からなる脂肪族ポリエステルが以下のいずれか一つ以上を満たすことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
    (1)総乳酸成分の内、L体が80%以上含まれるかあるいはD体が80%以上含まれること
    (2)重量平均分子量が1万以上
    (3)融点が90℃以上
  6. さらに、タルク、カオリナイト、モンモリロナイトおよび合成マイカから選択される無機系結晶核剤を(A)脂肪族ポリエステル樹脂100重量部に対し0.1〜30重量部含有することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
  7. さらに、有機カルボン酸金属塩およびカルボン酸アミドから選択される有機系結晶核剤を(A)脂肪族ポリエステル樹脂100重量部に対し0.1〜5重量部含有することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
  8. さらに、ポリエステル系可塑剤、グリセリン系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤、ポリアルキレングリコール系可塑剤およびエポキシ系可塑剤から選択される1種以上の可塑剤を、(A)脂肪族ポリエステル樹脂100重量部に対し0.5〜10重量部含有することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
  9. さらに請求項記載の無機系結晶核剤以外の充填剤を含有することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
  10. 請求項1〜のいずれか1項に記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物を成形してなる成形品。
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