JP4139912B2 - 高分子電解質組成物および燃料電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高分子電解質組成物、中でも燃料電池用として好適に用いられる高分子電解質組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、高効率でクリーンなエネルギー変換装置として、燃料電池が注目を集めている。中でも、電解質としてプロトン伝導性を有する高分子電解質膜を用いた固体高分子型燃料電池は、コンパクトな構造で高出力が得られ、かつ簡単なシステムで運転できることから、車両用等の移動用電源として注目されている。
【0003】
固体高分子型燃料電池には固体高分子電解質が用いられる。固体高分子電解質は、高分子鎖中にスルホン酸基やカルボン酸基等の電解質基を有する固体高分子材料であり、電池隔膜の他に電気透析、拡散透析などの各種の用途に利用されている。
【0004】
固体高分子型燃料電池は、プロトン伝導性の固体高分子電解質膜の両面に一対の電極を設け、純水素あるいは改質水素ガスを燃料ガスとして一方の電極(燃料極)へ供給し、酸素ガスあるいは空気を酸化剤として異なる電極(空気極)へ供給し、起電力を得るものである。
【0005】
ところでこの固体高分子型燃料電池においては、電池反応によって固体高分子電解質膜と電極の界面に形成された触媒層において過酸化物が生成し、生成した過酸化物が拡散しながら過酸化物ラジカルとなって高分子電解質を劣化させることが知られている。また高分子電解質に耐ラジカル性を付与するためにフェノール系化合物を含有せしめることも提案されている(例えば特開2001‐118591号公報)。
【0006】
しかしながら、フェノール系化合物を含有せしめた高分子電解質組成物は、その耐ラジカル性が、必ずしも十分満足し得るものではなく、より優れた耐ラジカル性を示す高分子電解質組成物が望まれていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、耐ラジカル性に優れる燃料電池用高分子電解質組成物(以下、「高分子電解質組成物」ということがある。)を提供することにある。さらには、該燃料電池用高分子電解質組成物を用いてなることを特徴とする高分子電解質組成物膜、該高分子電解質組成物膜を用いてなる燃料電池を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するべく鋭意研究を行った結果、硫黄系酸化防止剤という特定の硫黄系化合物を含有した高分子電解質組成物が、優れた耐ラジカル性を示すことを見出すとともに、該高分子電解質組成物は良好な成膜性を示し、また多孔性支持膜との複合化も可能であることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち本発明は、硫黄系酸化防止剤を含有することを特徴とする実用的に優れた高分子電解質組成物を提供するものである。
さらに本発明は、該高分子電解質組成物を用いてなることを特徴とする高分子電解質組成物膜、該高分子電解質組成物膜を用いてなる燃料電池を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の高分子電解質組成物は、下記の一般式(I)〜(III)で示されるスルフィド類から選ばれる硫黄系酸化防止剤を含有することを特徴とするものである。かかる硫黄系酸化防止剤を2種以上含有することもできる。
【0011】
[R1SCH2CH2C(O)OCH2]4C (I)
(式中、R1は、炭素原子数1〜30のアルキル基、炭素数7〜30のアラルキル基又は炭素数6〜30のアリール基を表す。)
【0012】
(式中、R2、R3及びR4はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜30のアルキル基、炭素数7〜30のアラルキル基又は炭素数6〜30のアリール基を表す。)
【0013】
[R5OC(O)CH2CH2]2S (III)
(式中、R5は、炭素原子数1〜30のアルキル基、炭素数7〜30のアラルキル基又は炭素数6〜30のアリール基を表す。)
これらのなかでは、一般式(I)または(III)で示されるスルフィド類が好ましい。
【0014】
式(I)において、置換基R1は、炭素原子数1〜30のアルキル基、炭素数7〜30のアラルキル基、炭素数6〜30のアリール基を表すが、R1は、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜20のアラルキル基、フェニル基であることが好ましい。
ここで、アルキル基の代表例としては、例えばメチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、sec-ブチル、t-ブチル、t-ペンチル、i-オクチル、t-オクチル、2-エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコシル等が挙げられる。
またシクロアルキル基の代表例としては、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等が、アルキルシクロアルキル基の代表例としては、例えば1-メチルシクロペンチル、1-メチルシクロヘキシル、1-メチル-4-i- プロピルシクロヘキシル等が挙げられる。アラルキル基の代表例としては、例えばベンジル、α- メチルベンジル、α,α−ジメチルベンジル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0015】
式(I)で示されるスルフィド類の具体例としては、例えばペンタエリトリチル−テトラキス−(3−メチルチオプロピオネート)、ペンタエリトリチル−テトラキス−(3−エチルチオプロピオネート)、ペンタエリトリチル−テトラキス−(3−n-プロピルチオプロピオネート)、ペンタエリトリチル−テトラキス−(3−i-プロピルチオプロピオネート)、ペンタエリトリチル−テトラキス−(3−n-ブチルチオプロピオネート)、ペンタエリトリチル−テトラキス−(3−i-ブチルチオプロピオネート)、ペンタエリトリチル−テトラキス−(3−sec-ブチルチオプロピオネート)、ペンタエリトリチル−テトラキス−(3−t-ブチルチオプロピオネート)、ペンタエリトリチル−テトラキス−(3−t-ペンチルチオプロピオネート)、ペンタエリトリチル−テトラキス−(3−i-オクチルチオプロピオネート)、ペンタエリトリチル−テトラキス−(3−t-オクチルチオプロピオネート)、ペンタエリトリチル−テトラキス−(3−2-エチルヘキシルチオプロピオネート)、ペンタエリトリチル−テトラキス−(3−ノニルチオプロピオネート)、ペンタエリトリチル−テトラキス−(3−デシルチオプロピオネート)、ペンタエリトリチル−テトラキス−(3−ウンデシルチオプロピオネート)、ペンタエリトリチル−テトラキス−(3−ドデシルチオプロピオネート)、ペンタエリトリチル−テトラキス−(3−トリデシルチオプロピオネート)、ペンタエリトリチル−テトラキス−(3−テトラデシルチオプロピオネート)、ペンタエリトリチル−テトラキス−(3−ペンタデシルチオプロピオネート)、
【0016】
ペンタエリトリチル−テトラキス−(3−ヘキサデシルチオプロピオネート)、ペンタエリトリチル−テトラキス−(3−ヘプタデシルチオプロピオネート)、ペンタエリトリチル−テトラキス−(3−オクタデシルチオプロピオネート)、ペンタエリトリチル−テトラキス−(3−ノナデシルチオプロピオネート)、ペンタエリトリチル−テトラキス−(3−イコシルチオプロピオネート)、ペンタエリトリチル−テトラキス−(3−シクロペンチルチオプロピオネート)、ペンタエリトリチル−テトラキス−(3−シクロヘキシルチオプロピオネート)、ペンタエリトリチル−テトラキス−(3−シクロヘプチルチオプロピオネート)、ペンタエリトリチル−テトラキス−(3−シクロオクチルチオプロピオネート)、ペンタエリトリチル−テトラキス−(3−(1-メチルシクロペンチル)チオプロピオネート)、ペンタエリトリチル−テトラキス−(3−(1-メチルシクロヘキシル)チオプロピオネート)、ペンタエリトリチル−テトラキス−(3−(1-メチル-4-i- プロピルシクロヘキシル)チオプロピオネート)、ペンタエリトリチル−テトラキス−(3−ベンジルチオプロピオネート)、ペンタエリトリチル−テトラキス−(3−(α- メチルベンジル)チオプロピオネート)、ペンタエリトリチル−テトラキス−(3−(α,α−ジメチルベンジル)チオプロピオネート)等が挙げられる。
【0017】
なかでもペンタエリトリチル−テトラキス−(3−n-ブチルチオプロピオネート)、ペンタエリトリチル−テトラキス−(3−i-ブチルチオプロピオネート)、ペンタエリトリチル−テトラキス−(3−sec-ブチルチオプロピオネート)、ペンタエリトリチル−テトラキス−(3−t-ブチルチオプロピオネート)、ペンタエリトリチル−テトラキス−(3−t-ペンチルチオプロピオネート)、ペンタエリトリチル−テトラキス−(3−i-オクチルチオプロピオネート)、ペンタエリトリチル−テトラキス−(3−t-オクチルチオプロピオネート)、ペンタエリトリチル−テトラキス−(3−2-エチルヘキシルチオプロピオネート)、ペンタエリトリチル−テトラキス−(3−ノニルチオプロピオネート)、ペンタエリトリチル−テトラキス−(3−デシルチオプロピオネート)、ペンタエリトリチル−テトラキス−(3−ウンデシルチオプロピオネート)、ペンタエリトリチル−テトラキス−(3−ドデシルチオプロピオネート)、ペンタエリトリチル−テトラキス−(3−トリデシルチオプロピオネート)、ペンタエリトリチル−テトラキス−(3−テトラデシルチオプロピオネート)、ペンタエリトリチル−テトラキス−(3−ペンタデシルチオプロピオネート)、ペンタエリトリチル−テトラキス−(3−ヘキサデシルチオプロピオネート)、ペンタエリトリチル−テトラキス−(3−ヘプタデシルチオプロピオネート)、ペンタエリトリチル−テトラキス−(3−オクタデシルチオプロピオネート)、ペンタエリトリチル−テトラキス−(3−ノナデシルチオプロピオネート)、ペンタエリトリチル−テトラキス−(3−イコシルチオプロピオネート)等が好ましく使用される。
【0018】
式(II)において、R2、R3及びR4はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜30のアルキル基、炭素数7〜30のアラルキル基又は炭素数6〜30のアリール基を表す。
ここで、アルキル基の代表例としては、例えばメチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、sec-ブチル、t-ブチル、t-ペンチル、i-オクチル、t-オクチル、2-エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコシル等が挙げられる。中でもメチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、sec-ブチル、t-ブチル、t-ペンチル、i-オクチル、t-オクチル、2-エチルヘキシル等が好ましく使用される。
アラルキル基の代表例としては、例えばベンジル、α- メチルベンジル、α,α−ジメチルベンジル等が挙げられる。アリール基の代表例としては、例えばフェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル等が挙げられる。
【0019】
式(II)で示されるスルフィド類の具体例としては、例えば4,4’−チオビス(2−メチル−5−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−エチル−5−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−n-プロピル−5−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−i-プロピル−5−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−n-ブチル−5−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−i-ブチル−5−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−sec-ブチル−5−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−t−ブチル−5−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−t-ペンチル−5−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−i-オクチル−5−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−t-オクチル−5−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−2-エチルヘキシル−5−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−ノニル−5−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−デシル−5−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−t−ブチル−5−エチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−t−ブチル−5−n-プロピルフェノール)、4,4’−チオビス(2−t−ブチル−5−i-プロピルフェノール)、4,4’−チオビス(2−t−ブチル−5−n-ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−t−ブチル−5−i-ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−t−ブチル−5−sec-ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−t−ブチル−5−t-ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−t−ブチル−5−t-ペンチルフェノール)等が挙げられる。
【0020】
なかでも4,4’−チオビス(2−n-プロピル−5−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−i-プロピル−5−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−n-ブチル−5−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−i-ブチル−5−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−sec-ブチル−5−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−t−ブチル−5−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−t-ペンチル−5−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−i-オクチル−5−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−t-オクチル−5−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−2-エチルヘキシル−5−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−ノニル−5−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−デシル−5−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−t−ブチル−5−エチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−t−ブチル−5−n-プロピルフェノール)、4,4’−チオビス(2−t−ブチル−5−i-プロピルフェノール)等が好ましく使用される。
【0021】
また式(III)において、R5は、炭素原子数1〜30のアルキル基、炭素数7〜30のアラルキル基、炭素数6〜30のアリール基を表す。
ここで、アルキル基の代表例としては、例えばメチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、sec-ブチル、t-ブチル、t-ペンチル、i-オクチル、t-オクチル、2-エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコシル等が挙げられるが、これらに限定されない。またアラルキル基の代表例としては、例えばベンジル、α- メチルベンジル、α,α−ジメチルベンジル等が、アリール基の代表例としては、例えばフェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
式(III)で示されるスルフィド類の具体例としては、例えばメチル−3,3'−チオジプロピオネート、エチル−3,3'−チオジプロピオネート、n-プロピル−3,3'−チオジプロピオネート、i-プロピル−3,3'−チオジプロピオネート、n-ブチル−3,3'−チオジプロピオネート、i-ブチル−3,3'−チオジプロピオネート、sec-ブチル−3,3'−チオジプロピオネート、t-ブチル−3,3'−チオジプロピオネート、t-ペンチル−3,3'−チオジプロピオネート、i-オクチル−3,3'−チオジプロピオネート、t-オクチル−3,3'−チオジプロピオネート、2-エチルヘキシル−3,3'−チオジプロピオネート、ノニル−3,3'−チオジプロピオネート、デシル−3,3'−チオジプロピオネート、ウンデシル−3,3'−チオジプロピオネート、ドデシル−3,3'−チオジプロピオネート、トリデシル−3,3'−チオジプロピオネート、テトラデシル−3,3'−チオジプロピオネート、ペンタデシル−3,3'−チオジプロピオネート、ヘキサデシル−3,3'−チオジプロピオネート、ヘプタデシル−3,3'−チオジプロピオネート、オクタデシル−3,3'−チオジプロピオネート、ノナデシル−3,3'−チオジプロピオネート、イコシル−3,3'−チオジプロピオネート、シクロペンチル−3,3'−チオジプロピオネート、シクロヘキシル−3,3'−チオジプロピオネート、シクロヘプチル−3,3'−チオジプロピオネート、シクロオクチル−3,3'−チオジプロピオネート、1-メチルシクロペンチル−3,3'−チオジプロピオネート、1-メチルシクロヘキシル−3,3'−チオジプロピオネート、1-メチル-4-i- プロピルシクロヘキシル−3,3'−チオジプロピオネート、ベンジル−3,3'−チオジプロピオネート、α- メチルベンジル−3,3'−チオジプロピオネート、α,α−ジメチルベンジル−3,3'−チオジプロピオネート等が挙げられる。
【0023】
なかでも、n-ブチル−3,3’−チオジプロピオネート、i-ブチル−3,3’−チオジプロピオネート、sec-ブチル−3,3’−チオジプロピオネート、t-ブチル−3,3’−チオジプロピオネート、t-ペンチル−3,3’−チオジプロピオネート、i-オクチル−3,3’−チオジプロピオネート、t-オクチル−3,3’−チオジプロピオネート、2-エチルヘキシル−3,3’−チオジプロピオネート、ノニル−3,3’−チオジプロピオネート、デシル−3,3’−チオジプロピオネート、ウンデシル−3,3’−チオジプロピオネート、ドデシル−3,3’−チオジプロピオネート、トリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、テトラデシル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタデシル−3,3’−チオジプロピオネート、ヘキサデシル−3,3’−チオジプロピオネート、ヘプタデシル−3,3’−チオジプロピオネート、オクタデシル−3,3’−チオジプロピオネート、ノナデシル−3,3’−チオジプロピオネート、イコシル−3,3’−チオジプロピオネート等が好ましく使用される。
【0024】
本発明に使用される高分子電解質としては、燃料電池用として使用できる範囲で特に制限は無いが、例えば(B)主鎖が、一部の水素原子がフッ素で置換された脂肪族炭化水素からなる高分子にスルホン酸基および/またはホスホン酸基を導入した高分子電解質;(C)主鎖が芳香環を有する高分子にスルホン酸基および/またはホスホン酸基を導入した高分子電解質;(D)主鎖に実質的に炭素原子を含まないポリシロキサン、ポリフォスファゼンなどの高分子に、スルホン酸基および/またはホスホン酸基を導入した高分子電解質;(E)(B)〜(D)のスルホン酸基および/またはホスホン酸基導入前の高分子を構成する繰り返し単位から選ばれるいずれか2種以上の繰り返し単位からなる共重合体にスルホン酸基および/またはホスホン酸基を導入した高分子電解質等が挙げられる。ここに「高分子にスルホン酸基および/またはホスホン酸基を導入した」とは、「高分子骨格にスルホン酸基および/またはホスホン酸基を導入した」ことを意味する。
耐熱性の観点からは、(C)であることが好ましい。
【0026】
上記(B)の高分子電解質としては、炭化フッ素系ビニルモノマと炭化水素系ビニルモノマとの共重合によって作られた主鎖と、スルホン酸基を有する炭化水素系側鎖とから構成されるスルホン酸型ポリスチレン−グラフト−エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE、例えば特開平9−102322号公報)や、炭化フッ素系ビニルモノマと炭化水素系ビニルモノマとの共重合によって作られた膜に、α,β,β-トリフルオロスチレンをグラフト重合させ、これにスルホン酸基を導入して固体高分子電解質膜とした、スルホン酸型ポリ(トリフルオロスチレン)−グラフト−ETFE膜(例えば、米国特許第4,012,303号及び米国特許第4,605,685号)等が挙げられる。
【0027】
上記(C)の高分子電解質としては、主鎖が酸素原子等のヘテロ原子で中断されているものであってもよく、例えば、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリ(アリーレン・エーテル)、ポリフォスファゼン、ポリイミド、ポリ(4-フェノキシベンゾイル-1,4-フェニレン)、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニルキノキサレン等の単独重合体のそれぞれにスルホン酸基が導入されたもの、アリールスルホン化ポリベンズイミダゾール、アルキルスルホン化ポリベンズイミダゾール、アルキルホスホン化ポリベンズイミダゾール(例えば、特開平9−110982)、ホスホン化ポリ(フェニレンエーテル)(例えば、J. Appl. Polym. Sci., 18, 1969 (1974) )等が挙げられる。
【0028】
上記(D)の高分子電解質としては例えば、ホスホン酸基を有するポリシロキサン(Polymer Prep., 41, No.1, 70 (2000) )等が挙げられる。
【0029】
上記(E)の高分子電解質としては、ランダム共重合体にスルホン酸基および/またはホスホン酸基が導入されたものでも、交互共重合体にスルホン酸基および/またはホスホン酸基が導入されたものでも、ブロック共重合体にスルホン酸基および/またはホスホン酸基が導入されたものでもよい。ランダム共重合体にスルホン酸基が導入されたものとしては、例えば、スルホン化ポリエーテルスルホン-ジヒドロキシビフェニル共重合体が挙げられる(例えば、特開平11−116679号公報。)
スルホン酸基および/またはホスホン酸基を持つブロックの具体例としては、例えば、ポリスチレン、ポリ(α―メチルスチレン)、ポリ(アリルフェニルエーテル)、ポリ(フェニルグリシジルエーテル)、ポリ(フェニレンエーテル)、ポリフェニレンスルフィド、ポリ(フェニレン)、ポリ(アニリン)、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリ(フェニルメチルシロキサン)、ポリ(ジフェニルシロキサン)、ポリ(フェニルメチルフォスファゼン)、ポリ(ジフェニルフォスファゼン)、エポキシ樹脂等を有するブロックのそれぞれにスルホン酸基および/またはホスホン酸基が導入されたブロックが挙げられる。
【0030】
本発明の高分子電解質組成物は、上記のような硫黄系酸化防止剤を上記のような高分子電解質に含有せしめてなるものであるが、その量は、高分子電解質に対して、通常0.1〜30重量%、好ましくは1〜20重量%である。
含有せしめる方法は、特に制限はなく、例えば、硫黄系酸化防止剤を高分子電解質の溶液中に溶解させた後、溶媒を除去する方法であっても良いし、硫黄系酸化防止剤をあらかじめ溶媒中に溶解あるいは分散させた状態で高分子電解質の溶液と混合した後、溶媒を除去する方法であっても良い。
【0031】
また、本発明の電解質組成物を製造する際に、通常の高分子に使用される可塑剤、安定剤、離型剤などの添加剤を本発明の目的に反しない範囲内で含有させることもできる。また、本発明の電解質組成物を製造する際あるいは本発明の電解質組成物を製膜等の加工・成形する際に、分子間架橋構造を本発明の目的に反しない範囲内で導入できる。ここでいう分子間架橋構造とは、高分子鎖間が化学結合により結び付けられている状態をさし、電子線や放射線、紫外線等の線源を電解質組成物に照射することにより導入し得る。その際には、公知の架橋剤等を適宜用いることができる。
また本発明に用いる硫黄系酸化防止剤以外の酸化防止剤を、さらに含有させるすることもできる。
【0032】
本発明の、硫黄系酸化防止剤を配合してなる高分子電解質組成物を燃料電池に用いる際には、膜の状態とすることが好ましい。本発明の高分子電解質組成物を高分子電解質組成物膜へ転化する方法に特に制限はないが、溶液状態より製膜する方法(溶液キャスト法)が好ましい。
具体的には、硫黄系酸化防止剤と高分子電解質とを適当な溶媒に溶解し、その溶液をガラス板上に流延塗布し、溶媒を除去することにより高分子電解質組成物膜が作成される。製膜に用いる溶媒は、高分子電解質を溶解するものであり、その後に除去し得るものであるならば特に制限はなく、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテルが好適に用いられる。これらは単独で用いることもできるが、必要に応じて2種以上の溶媒を混合して用いることもできる。中でも、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシドがポリマーの溶解性が高く好ましい。
【0033】
本発明の、硫黄系酸化防止剤を配合してなる高分子電解質組成物を燃料電池に使用する際には、硫黄系酸化防止剤を配合してなる高分子電解質組成物を支持体と複合化する事により得られる高分子電解質組成物膜を用いることもできる。
【0034】
本発明で使用する支持体は、高分子電解質組成物を含浸する母材となるものであり、主に高分子電解質組成物の強度や柔軟性、耐久性のさらなる向上のために使用される。そのため、上記使用目的を満たすものであれば、フィブリル形状や多孔膜形状等、その形状や材質によらず用いることができるが、固体高分子電解質型燃料電池の隔膜として良好に使用することを念頭に置いた場合、多孔膜を用いることが非常に有効である。
該目的に用いられる多孔膜の形状としては膜厚1〜100μm、好ましくは3〜30μm、さらに好ましくは5〜20μm、孔径は0.01〜10μm、好ましくは0.02〜7μm、空隙率は20〜98%、好ましくは30〜95%である。多孔性支持膜の膜厚が薄すぎると複合化後の強度補強の効果あるいは、柔軟性や耐久性を付与するといった補強効果が不十分となり、ガス漏れ(クロスリーク)が発生しやすくなる。また膜厚が厚すぎると電気抵抗が高くなり、得られた複合膜が固体高分子型燃料電池の隔膜として好ましくない。孔径が小さすぎると高分子固体電解質組成物の含浸が非常に困難となり、大きすぎると高分子固体電解質組成物への補強効果が弱くなる傾向にある。空隙率が小さすぎると固体電解質組成物膜としての抵抗が大きくなり、大きすぎると一般に多孔膜自体の強度が弱くなり補強効果が減少する。
また、多孔性支持膜の材質としては、耐熱性の観点や、物理的強度の補強効果を鑑みれば、脂肪族系高分子または、含フッ素高分子が好ましい。
【0035】
好適に使用できる脂肪族系高分子としてはポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。なおここで言うポリエチレンはポリエチレンの結晶構造を有するエチレン系のポリマーであり、例えばエチレンと他のモノマーとの共重合体をも含み、具体的には直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)と称されるエチレンとα−オレフィンとの共重合体などを含む。またここでいうポリプロピレンはポリプロピレンの結晶構造を有するプロピレン系のポリマーであり、一般に使用されているプロピレン系ブロック共重合体、ランダム共重合体など(これらはエチレンや1−ブテンなどとの共重合体である)を含むものである。
【0036】
また、含フッ素高分子とは、分子内に炭素−フッ素結合を少なくとも1個有する公知の熱可塑性樹脂が制限なく使用される。通常は、脂肪族系高分子の水素原子のすべてまたは大部分がフッ素原子によって置換された構造のものが好適に使用される。
【0037】
好適に使用できるフッ素系樹脂を例示すれば、ポリトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリ(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン)、ポリ(テトラフルオロエチレン−ペルフルオロアルキルエーテル)、ポリフッ化ビニリデン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。このうち、本発明では、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン)が好ましく、特にポリテトラフルオロエチレンが好ましい。また、これらのフッ素系樹脂は、機械的強度の良好さから平均分子量が10万以上のものが好ましい。
【0038】
本発明の硫黄系酸化防止剤を配合してなる高分子電解質組成物からなる膜、あるいは該高分子電解質組成物を多孔性支持膜と複合化してなる高分子電解質組成物膜を燃料電池に使用する場合、高分子電解質組成物複合膜の厚みに特に制限はないが、3〜200μmが好ましく、4〜100μmがより好ましく、5〜50μmがさらに好ましい。高分子電解質組成物膜の膜厚が薄すぎると膜強度が低下する傾向にあり、膜厚が厚すぎると電気抵抗が高くなり、固体高分子型燃料電池の隔膜として好ましくない。膜厚は、高分子電解質組成物溶液濃度あるいは、高分子電解質組成物溶液の塗工量、多孔性支持膜の厚み、多孔性支持膜への塗布厚を適切に選択することにより制御できる。
【0039】
次に本発明の燃料電池について説明する。
本発明の燃料電池は、本発明により提供される高分子電解質組成物膜を用いてなるものであり、上記高分子電解質組成物膜の両面に、触媒および集電体としての導電性物質を接合することにより製造することができる。
該触媒としては、水素または酸素との酸化還元反応を活性化できるものであれば特に制限はなく、公知のものを用いることができるが、白金の微粒子を用いることが好ましい。白金の微粒子は活性炭や黒鉛などの粒子状または繊維状のカーボンに担持されて用いることが好ましい。
集電体としての導電性物質に関しても公知の材料を用いることができるが、多孔質性のカーボン織布またはカーボンペーパーが、原料ガスを触媒へ効率的に輸送するために好ましい。
多孔質性のカーボン織布またはカーボンペーパーに白金微粒子または白金微粒子を担持したカーボンを接合させる方法、およびそれを高分子電解質組成物フィルムと接合させる方法については、例えば、J. Electrochem. Soc.: Electrochemical Science and Technology, 1988, 135(9), 2209 に記載されている方法等の公知の方法を用いることができる。
【0040】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0041】
製造例1 [高分子電解質(P1)]
無水塩化第一銅と2−メチルベンズイミダゾールをトルエン中で大気下室温にて15分攪拌した。これに2−フェニルフェノール、4,4’−ジヒドロキシビフェニルとトルエンを加え、酸素雰囲気下50℃で10時間攪拌した後、塩酸を含むメタノール中に注いでポリマーを析出させ、ろ過、乾燥してポリ(2−フェニルフェニレンエーテル)を得た。次に共沸蒸留装置を備えたフラスコに、スミカエクセルPES5003P(住友化学工業製、水酸基末端ポリエーテルスルホン)、上記の方法で合成したポリ(2−フェニルフェニレンエーテル)、炭酸カリウム、N,N−ジメチルアセトアミド(以下DMAcと呼ぶ)及びトルエンを加え、加熱攪拌してトルエンと水の共沸条件下にて脱水し、トルエンを蒸留除去した後、4,4’−ジフルオロベンゾフェノンを添加し、160℃にて10時間加熱攪拌した。反応液を大量の塩酸酸性メタノールに滴下し、得られた沈殿物をろ過回収し、乾燥して、ブロック共重合体を得た。得られたブロック共重合体を98%硫酸中室温下にて攪拌して溶解させることによりスルホン化した後、氷水中に滴下して析出させ、ろ過回収、洗浄、乾燥してスルホン化したブロック共重合体を得た。以下、概高分子電解質を(P1)と略記する。
【0042】
製造例2 [高分子電解質(P2)]
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、および4,4’−ジクロロジフェニルスルホンを7:3:10のモル比で、炭酸カリウム共存下にジフェニルスルホンを溶媒として200〜290℃の温度で重縮合した。得られたポリマーを濃硫酸によりスルホン化して、ビフェニルユニットにスルホン酸基が導入されたランダム共重合体を得た。以下、概高分子電解質を(P2)と略記する。
【0043】
供試酸化防止剤
S−1:ペンタエリトリチル−テトラキス−(3−ドデシルチオプロピオネート)[住友化学工業(株)社製。商品名:スミライザー TP−D]
S−2:4,4’−チオビス(2−t−ブチル−5−メチルフェノール) [住友化学工業(株)社製。商品名:スミライザー WX−R]
S−3:テトラデシル−3,3’−チオジプロピオネート[住友化学工業(株)社製。商品名:スミライザー TPM]
S−4:オクタデシル−3,3’−チオジプロピオネート[住友化学工業(株)社製。商品名:スミライザー TPS]
S−5:ドデシル−3,3’−チオジプロピオネート[住友化学工業(株)社製。商品名:スミライザー TPL−R]
O−1:4,4’−ブチリデンビス(2−t−ブチル−5−メチルフェノール)[住友化学工業(株)社製。商品名:スミライザー BBM−S]
【0044】
耐ラジカル性評価
3%の過酸化水素と0.25ppmの塩化第一鉄(Fe2+ 0.11ppm)を含む90℃の水溶液中にそれぞれの高分子電解質膜を浸漬し、20分経過後の膜の重量変化を測定することにより耐ラジカル性の評価を行った。重量維持率(%)は、浸漬20分経過後の膜の重量を浸漬前の重量で除した値×100(%)で示している。
【0045】
プロトン伝導度測定
プロトン伝導度測定は、恒湿高温槽中80℃、90%RHの条件下で、SI1260型高性能インピーダンス・ゲイン/フェースアナライザ(IMPEDANCE/GAIN-PHASE ANALYZER、solartoron社製)及び1287型ポテンショスタット(ELECTROCHEMICAL INTERFACE、solartoron社製)を用いて、交流インピーダンス法で測定した。単位はS/cmである。
【0046】
燃料電池特性評価
高分子電解質膜の両面に、繊維状のカーボンに担持された白金触媒と集電体としての多孔質性のカーボン織布を接合した。該ユニットの一面に加湿酸素ガス、他面に加湿水素ガスを流し、該接合体の発電特性を測定した。
【0047】
実施例1〜5
[高分子電解質(P1)と硫黄系酸化防止剤からなる高分子電解質膜の製造]
1.425gのP1、0.075gの硫黄系酸化防止剤、9.075gのDMAcを良く混合して溶液を作成し、ガラス板上に塗り広げた。常圧下で溶媒を乾燥させ、目的とする高分子電解質膜を得た。いずれの高分子膜も外観は均質であった。耐ラジカル性評価を行った結果を表1に示した。
【0048】
比較例1
[高分子電解質(P1)のみからなる高分子電解質膜の製造]
酸化防止剤を用いない以外は、実施例1〜5と同様にして高分子電解質膜を得た。得られた高分子電解質膜外観は均質であった。耐ラジカル性評価を行った結果を表1に示した。
【0049】
比較例2
[高分子電解質(P1)とフェノール系酸化防止剤からなる高分子電解質膜の製造]
硫黄系酸化防止剤の代わりにフェノール系酸化防止剤を用いた以外は、実施例1〜5と同様にして高分子電解質膜を得た。得られた高分子電解質膜外観は均質であった。耐ラジカル性評価を行った結果を表1に示した。
【0050】
【表1】
【0051】
実施例6
[高分子電解質(P1)と硫黄系酸化防止剤からなる高分子電解質と、ポリテトラフルオロエチレン製多孔支持膜とを複合化してなる高分子電解質膜の製造]
多孔膜としてポリテトラフルオロエチレン製多孔膜(膜厚15μm、空隙率90%、孔径3.0μm)を用いた。該多孔膜をガラス板上に固定した。1.425gのP1と、0.075gの実施例1で用いた硫黄系酸化防止剤と、9.075gのDMAcとを良く混合して溶液を作成し、該多孔膜上に均一に塗り広げた。この時、ポリテトラフルオロエチレン製多孔膜に上記溶液が浸透し、背面のガラス板上に到達する事によって、不透明であるポリテトラフルオロエチレン製多孔膜が透明に観察された。80℃にて常圧乾燥した。その後イオン交換水で洗浄することによって目的とする高分子電解質膜を得た。耐ラジカル性評価を行った結果を表2に示した。
【0052】
実施例7
[高分子電解質(P1)と、硫黄系酸化防止剤からなる高分子電解質とポリエチレン製多孔支持膜とを複合化してなる高分子電解質膜の製造]
多孔膜としてポリエチレン製多孔膜(膜厚9μm、空隙率36%、孔径0.04μm)を用いた。該多孔膜をガラス板上に固定した。1.425gのP1と、0.075gの実施例1で用いた硫黄系酸化防止剤と、9.075gのDMAcとを良く混合して溶液を作成し、該多孔膜上に均一に塗り広げた。この時、ポリエチレン多孔膜に上記溶液が浸透し、背面のガラス板上に到達する事によって、不透明であるポリエチレン多孔膜が透明に観察された。80℃にて常圧乾燥した。その後イオン交換水で洗浄することによって目的とする高分子電解質膜を得た。耐ラジカル性評価を行った結果を表2に示した。
【0053】
比較例3
[高分子電解質(P1)とポリテトラフルオロエチレン製多孔支持膜とを複合化してなる高分子電解質膜の製造]
酸化防止剤を用いない以外は、実施例6と同様にして高分子電解質膜を得た。耐ラジカル性評価を行った結果を表2に示した。
【0054】
比較例4
[高分子電解質(P1)とポリエチレン製多孔支持膜とを複合化してなる高分子電解質膜の製造]
酸化防止剤を用いない以外は、実施例7と同様にして高分子電解質膜を得た。耐ラジカル性評価を行った結果を表2に示した。
【0055】
【表2】
【0056】
実施例8
[高分子電解質(P2)と硫黄系酸化防止剤からなる高分子電解質膜の製造]
1.425gのP2と、0.075gの実施例1で用いた硫黄系酸化防止剤と、9.075gのDMAcとを良く混合して溶液を作成し、ガラス板上に塗り広げた。常圧下で溶媒を乾燥させ、目的とする高分子電解質膜を得た。耐ラジカル性評価を行った結果を表3に示した。
【0057】
比較例5
[高分子電解質(P2)のみからなる高分子電解質膜の製造]
酸化防止剤を用いない以外は、実施例8と同様にして高分子電解質膜を得た。耐ラジカル性評価を行った結果を表3に示した。
【0058】
【表3】
【0059】
実施例9
実施例3、実施例6および比較例1の高分子電解質膜について、プロトン伝導度および燃料電池特性評価(作動、停止操作を1週間繰り返した)を行った。結果を表4に示した。
【0060】
【表4】
【0061】
【発明の効果】
本発明の燃料電池用高分子電解質組成物は、硫黄系酸化防止剤という特定の硫黄系化合物を含有することにより、優れた耐ラジカル性を示す。また燃料電池の隔膜として、該燃料電池用高分子電解質組成物から得られる高分子電解質組成物膜を用いることにより、耐久性に優れた燃料電池が得られる。
Claims (6)
- 下記の一般式(I)〜(III)から選ばれる少なくとも1種の硫黄系酸化防止剤を含有することを特徴とする燃料電池用高分子電解質組成物。
[R 1 SCH 2 CH 2 C(O)OCH 2 ] 4 C (I)
(式中、R 1 は、炭素原子数1〜30のアルキル基、炭素数7〜30のアラルキル基又は炭素数6〜30のアリール基を表す。)
(式中、R 2 、R 3 及びR 4 はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜30のアルキル基、炭素数7〜30のアラルキル基又は炭素数6〜30のアリール基を表す。)
[R 5 OC(O)CH 2 CH 2 ] 2 S (III)
(式中、R 5 は、炭素原子数1〜30のアルキル基、炭素数7〜30のアラルキル基又は炭素数6〜30のアリール基を表す。) - 主鎖が芳香環を有する高分子にスルホン酸基および/またはホスホン酸基を導入した高分子電解質を使用することを特徴とする、請求項1記載の燃料電池用高分子電解質組成物。
- 請求項1〜2いずれかに記載の燃料電池用高分子電解質組成物を用いてなることを特徴とする高分子電解質組成物膜。
- 請求項1〜2いずれかに記載の燃料電池用高分子電解質組成物と支持体とを複合化してなることを特徴とする高分子電解質組成物膜。
- 支持体が、脂肪族系高分子または含フッ素高分子からなる多孔性支持膜であることを特徴とする請求項4記載の高分子電解質組成物膜。
- 請求項3〜5いずれかに記載の燃料電池用高分子電解質組成物膜を用いてなる燃料電池。
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