JP2006066391A - 固体高分子形燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】
芳香族系高分子電解質を含む固体高分子電解質膜を用いた燃料電池の耐久性を向上させる。
【解決手段】
(1)芳香族系高分子電解質を含む固体高分子電解質膜と、この固体高分子電解質膜の両面に接合されるアノード及びカソードとしての触媒層とガス拡散層からなる電極、ガス拡散層の周部に配されるガスシール材、ならびに反応ガス流路を有するセパレータからなる固体高分子形燃料電池であって、前記ガス拡散層が、前記セパレータのガス流路の外縁全体を取り囲み、前記セパレータのガス流路の外縁がなす面積より大きな面積を有することを特徴とする固体高分子形燃料電池
(2)芳香族系高分子電解質が、イオン交換性基が導入されたセグメントとイオン交換性基が実質的に導入されていないセグメントとをそれぞれ一つ以上有するブロック共重合体であることを特徴とする上記(1)の固体高分子形燃料電池。
【選択図】
なし

Description

本発明は、固体高分子形燃料電池に関し、詳しくは、固体高分子電解質膜として、芳香族系高分子電解質を含む膜を用いた固体高分子形燃料電池に関するものである。
近年、環境負荷の少ないエネルギー源を模索する試みが種々なされている。なかでも燃料電池、特に固体高分子電解質型燃料電池は、排出物質は水のみである等の利点から、自動車等の動力源としての応用が期待されている。
固体高分子形燃料電池は、水素ガスなどを原料に電気化学反応を行い、化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する発電装置である。
この燃料電池は、プロトン伝導性を有する固体高分子電解質膜と、触媒層とガス拡散層とからなる電極を備え、該固体高分子電解質膜の両面にアノードおよびカソードの電極が配置された膜−電極接合体が形成されており、この両側にセパレータおよびガスシール材を組み合わせて単セルを構成し、この単セルを複数積層することにより電池(スタック)が構成されている。
かかる固体高分子電解質型燃料電池用の固体高分子電解質膜として、ナフィオン(Nafion、デュポン社登録商標)に代表されるパーフルオロアルキルスルホン酸等の高分子電解質から得られる膜が使用されているが、非常に高価であること、耐熱性が低いことなどの問題が指摘されている。
一方、上記高分子電解質に替わり得る安価な高分子電解質を含む膜の開発が近年活発化している。なかでも耐熱性に優れフィルム強度の高い芳香族ポリエーテルにスルホン酸基を導入した高分子電解質膜、すなわち側鎖にイオン交換基を有し主鎖が芳香族系である芳香族系高分子電解質からなる膜が有望視されており、例えば、スルホン化ポリエーテルケトン系(特許文献1)、スルホン化ポリエーテルスルホン系(特許文献2、3)の高分子電解質からなる膜が提案されている。
特表平11−502249号公報 特開平10−45913号公報 特開平10−21943号公報
しかしながら、上記の芳香族系高分子電解質を含む固体高分子電解質膜を用いた燃料電池は、耐久性が十分ではなくこの点の改善が望まれていた。
本発明者等は、芳香族系高分子電解質を含む固体高分子電解質膜を用いた燃料電池の耐久性を改善すべく鋭意検討を重ねた結果、ガス拡散層が、セパレータのガス流路の外縁全体を取り囲み、このセパレータのガス流路の外縁がなす面積より大きな面積有するという特定の単セルを用いることにより、燃料電池の耐久性が著しく改善されることを見出すとともに、さらに種々の検討を重ねることで本発明を完成した。
すなわち本発明は、
(1)芳香族系高分子電解質を含む固体高分子電解質膜と、この固体高分子電解質膜の両面に接合されるアノード及びカソードとしての触媒層とガス拡散層からなる電極、ガス拡散層の周部に配されるガスシール材、ならびに反応ガス流路を有するセパレータからなる固体高分子形燃料電池であって、前記ガス拡散層が、前記セパレータのガス流路の外縁全体を取り囲み、前記セパレータのガス流路の外縁がなす面積より大きな面積を有することを特徴とする耐久性に優れた固体高分子形燃料電池を提供するものである。
また本発明は、
(2)セパレータのガス流路の外縁とガス拡散層の外周部との最短距離が2〜10mmであることを特徴とする上記(1)に記載の固体高分子形燃料電池、
(3)芳香族系高分子電解質が、イオン交換性基が導入されたセグメントとイオン交換性基が実質的に導入されていないセグメントとをそれぞれ一つ以上有するブロック共重合体であることを特徴とする上記(1)または(2)の燃料電池、
(4)芳香族系高分子電解質が、イオン交換性基として実質的にスルホン酸基のみを有する高分子電解質と、イオン交換性基として実質的にホスホン酸基のみを有する高分子電解質からなる組成物であることを特徴とする上記(1)〜(3)の燃料電池、
(5)固体高分子電解質膜が、芳香族系高分子電解質と支持体との複合膜であることを特徴とする上記(1)〜(4)いずれかの燃料電池を提供するものである。
本発明によれば、単セルにおけるガス拡散層が、セパレータのガス流路の外縁全体を取り囲み、このセパレータのガス流路の外縁がなす面積より大きな面積を有することにより、固体高分子形燃料電池は、耐久性が著しく改善され、長時間にわたる安定した出力が可能となる。
先ず、固体高分子形燃料電池の基本構成単位である上述の単セルの構造を詳細に説明する。図1は、従来の単セルを示す断面図である。
ここで単セルは、プロトン伝導性を有する固体高分子電解質膜と、その両側に配置され電気化学反応を担う触媒層と、触媒層へのガス拡散の役割と集電体としての役割を持つガス拡散層とを備える。そして、反応ガス流路を有し、かつ電子伝導性を有するセパレータが両側に配置される。さらに、ガス拡散層の外周部であって、固体高分子電解質膜とセパレータの間には、ガスシール性が高く電子絶縁性を有するガスシール材がクリアランスを設けることなく配置される。
従来において、触媒層ならびにガス拡散層としては、セパレータに形成された反応ガス流路の外縁部が形成する形状と同一になるように切り出されたもの、すなわち、セパレータのガス流路の外縁がなす形状と同形で同面積のものが一般的に使用されていたが、本発明においては、図2に示すように、ガス拡散層を、セパレータのガス流路の外縁全体を取り囲む形状とし、このセパレータのガス流路の外縁がなす面積より大きな面積とする。このことにより、固体高分子形燃料電池は、耐久性が著しく改善され、長時間にわたる安定した出力を可能とする。
ここで、ガス拡散層における形状自体は、特に制限はなく、正方形や長方形などの多角形、円形などのものが使用される。またガス流路の外縁がなす形状と相似形であってもなくてもよく、例えばガス流路の外縁がなす形状が正方形の場合、正方形や八角形のような多角形のガス拡散層が、またガス流路の外縁がなす形状が円形の場合、円形又は正六角形若しくは正八角形などのような多角形のガス拡散層が使用できる。なお、図3に例示するように、セパレータにおけるガスの出入り口が実質的に燃料電池反応に寄与する反応ガスの拡散を担う領域と離れ、その間にも流路が設置される場合もあるが、この場合のガス流路の外縁は実質的に燃料電池反応に寄与する反応ガスの拡散を担う領域の外縁とする。
またガス流路のパターンとしては、本発明の目的を妨げるものでない限り、特に制限はなく、例えばストレート、サーペンタインといった公知のパターンが用いられる。また、流路の形状や深さ、幅についても特に制限はなく、本発明の目的を妨げず、適正な燃料電池の運転を行えるものであればよい。
本発明においては、図2に示すように、ガス拡散層が、セパレータのガス流路の外縁全体を取り囲み、セパレータのガス流路の外縁がなす面積より大きな面積を有するため、ガス拡散層とガスシール材の境界と、ガス流路の外縁との間には距離Lが生じる。
ここで、セパレータのガス流路の外縁とガス拡散層の外周部との距離はガス流路の外縁部全体で一定の値であっても、場所により異なっていても良いが、セパレータのガス流路の外縁とガス拡散層の外周部との最短距離をLとする。ここで、最短距離とは、該ガス流路の外縁における任意の1点と、該ガス拡散層の外周部における任意の1点を結ぶ線分の中で、最短の距離を示すものであり、一般的な燃料電池の構成であるセパレータのガス流路の外縁及びガス拡散層の外周部が、ともに略長方形である場合、ガス流路の外縁の一点をXとし、Xにおける接線から垂線をセパレータの平面方向に延ばし、ガス拡散層の外周部と交差する点をYとしたとき、XY間の距離を言う。Lは2〜10mmであることが好ましい。Lの最小値は、2.5mm以上、とりわけ3mm以上であると好ましい。一方、Lの最大値は、9mm以下、とりわけ8mm以下であると好ましい。Lが2mmよりも小さいと膜にかかる穿断力を十分に低減することができず、またLが10mmより大きいと反応ガスの有効利用率が低下するので、いずれの場合も好ましくない。
なお、ガス拡散層のガス流路と接する面とは反対面に位置する触媒層の大きさと形は、ガス流路の外縁がなす領域と同じでもガス拡散層と同じでもよいが、セルやスタックの製造工程の簡略化などの観点から、ガス拡散層と同じであることが望ましい。触媒層の大きさと形がガス流路の外縁がなす領域より小さい場合、反応ガスを有効利用できず、好ましくない。またガス流路の外縁がなす領域以外の領域に、触媒層を存在させない場合は、触媒層に代えて触媒層の厚みに相当する緩衝材が配置される。緩衝材の材質としては、固体高分子電解質膜を傷つけない弾性率の低いものが望ましく、例えばシリコーンゴムやPTFEなどが使用される。
本発明におけるガス拡散層としては、ガス流路に流れる反応ガスを速やかに触媒層に拡散させ、かつ電子伝導性の高いものであれば特に制限はないが、例えばカーボンペーパーやカーボンクロスなどが挙げられる。
また、セパレータもその材質に特に制限はなく、有機系材質のものも金属性のものも用いることができ、電子伝導性が高く、電気化学反応で生じる電圧のロスが極力抑制されるものが望ましい。また、燃料電池の運転開始から定常運転までの起動性を高める観点から、高い熱伝導率を有する材質が好ましく、燃料ガスの散逸を防止するため、ガスバリア性の高い材質が好ましい。さらには、燃料電池の使用環境ではセパレータの表面にpHが7以下の水が付着したり、金属の腐食電位以上の電位が印加されることがあるため、耐腐食性の高い材質であることが望まれる。このような材質としては、例えばグラファイトや導電性保護膜を有する金属などが挙げられる。
ガスシール材としては、弾性変形し機密性の高い物質であれば特に制限なく用いられる。このような物質としては、ポリオレフィン系高分子、芳香族系の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂、シリコーンおよび無機材料などが挙げられ、またこれらを一部に有する組成物や複合化物なども挙げられる。
ここで、ポリオレフィン系高分子の例としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレンあるいはプロピレンと他のα−オレフィンの共重合体等が挙げられ、また、ハロゲン原子を含む高分子でもよく、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。
芳香族系の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂の例としては、ポリエチレンアリレート類、ポリアミド類、ポリイミド類、ポリエステル類、ポリスルフォン類、ポリエーテルケトン類、ポリエーテルエーテルケトン類、ポリベンゾイミダゾール類、フェノール樹脂類が挙げられる。
また、シリコーンの例としては、シリコーンゴムおよびケイ素樹脂などが、無機材料としては二酸化ケイ素などが挙げられる。また、組成物や複合化物の例としては、上述の化合物の混合物や、上述の化合物の積層体や、フッ素ゴムをガラス繊維で強化した材料等が挙げられる。
本発明における固体高分子電解質膜は、芳香族系高分子電解質を含むものであるが、芳香族系高分子電解質としては、主鎖に芳香族環を有し、側鎖及び/又は主鎖にイオン交換性基を有する高分子化合物が挙げられる。芳香族系高分子電解質は、溶媒に可溶なものが通常使用される。
ここで、イオン交換性基としては、例えば、−SO3H、−COOH、−PO(OH)2、−POH(OH)、−SO2NHSO2−、−Ph(OH)(Phはフェニル基を表す)等の陽イオン交換基、−NH2、−NHR、−NRR'、−NRR'R''、−NH3 +等(R、R'、R''は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基等を表す)等の陰イオン交換基が挙げられる。これらのイオン交換性基は、高分子の主鎖を構成している芳香族環に直接置換していても、主鎖を構成している芳香族環上や脂肪族鎖上の置換基や側鎖に導入されていても、また、それらの組み合わせであっても良い。これらの基は、その一部または全部が対イオンとの塩を形成していても良い。
これらの中でも、陽イオン交換性基が好ましく、より好ましくはスルホン酸基、ホスホン酸基、最も好ましくはスルホン酸基である。
また芳香族系高分子電解質の代表例としては、主鎖に芳香環を有する高分子にスルホン酸基および/またはホスホン酸基を導入した高分子電解質が挙げられる。
主鎖に芳香環を有する高分子としては、例えば、主鎖が酸素原子等のヘテロ原子で中断されているものであってもよく、かかる芳香族系高分子電解質としては、例えば、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルスルホン、ポリ(アリーレンエーテル)、ポリイミド、ポリフェニレン、ポリ((4-フェノキシベンゾイル)-1,4-フェニレン)、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニルキノキサレン等の重合体のそれぞれにスルホン酸基やホスホン酸基などのイオン交換性基が導入されたもの、スルホアリール化ポリベンズイミダゾール、スルホアルキル化ポリベンズイミダゾール、ホスホアルキル化ポリベンズイミダゾール(例えば、特開平9−110982号公報)、ホスホン化ポリ(フェニレンエーテル)(例えば、J. Appl. Polym. Sci., 18, 1969 (1974))等が挙げられる。
このような芳香族系高分子電解質としては、例えばイオン交換性基が導入された繰り返し単位とイオン交換性基が実質的に導入されていない繰り返し単位とをそれぞれ一つ以上有する交互共重合体やランダム共重合体(例えば、特開平11−116679号公報)、イオン交換性基が導入されたセグメントとイオン交換性基が実質的に導入されていないセグメントとをそれぞれ一つ以上有するブロック共重合体(例えば、特開2001−250567号公報)が挙げられる。なかでもイオン交換性基が導入されたセグメントとイオン交換性基が実質的に導入されていないセグメントとをそれぞれ一つ以上有するブロック共重合体が好ましく、そのイオン交換性基としては、スルホン酸基および/またはホスホン酸基が好ましく、とりわけスルホン酸基である場合が好ましい。
本発明に使用される高分子電解質は、その分子量が、GPC法によるポリスチレン換算の数平均分子量で表して、通常1000〜1000000が好ましく、下限としては5000以上、とりわけ10000以上が好ましく、上限としては500000以下、とりわけ300000以下が好ましい。
ここで、数平均分子量が1000より小さいと膜強度が低下する傾向にあり、1000000より大きいと溶媒への溶解に時間がかかったり、溶液粘度が高くなり過ぎたりして製膜加工が困難になる傾向があり、いずれの場合も好ましくない。
また高分子電解質のイオン交換容量は、0.2〜4meq/gが好ましく、下限としては0.5以上がより好ましく、0.8以上が特に好ましい。上限としては3.0以下がより好ましく、2.5以下が特に好ましい。イオン交換容量が0.2meq/gよりも低いと、イオン伝導度が低下し、燃料電池として出力が低下してしまい、イオン交換容量が4.0meq/gを超えると、得られる膜の耐水性が低くなり、いずれの場合も好ましくない。
本発明に使用される固体高分子電解質膜は、電解質成分が上記のような高分子電解質からなるものであるが、必要に応じ、通常使用される可塑剤、安定剤、離型剤、保水剤等の添加剤を、プロトン伝導能を著しく妨げない範囲内で含有することもできる。
特に、触媒層において過酸化物が生成し、生成した過酸化物が拡散しながらラジカル種に変化して高分子電解質を劣化させることが知られており、このことから耐ラジカル性を付与する安定剤の添加が望ましい。このような安定剤として、例えば4,4’−ブチリデンビス(2−t−ブチル−5−メチルフェノール)(住友化学(株)製 商品名:スミライザー BBM−S)のようなフェノール系化合物、2,4,8,10- テトラ-t- ブチル-6-[3-(3- メチル-4- ヒドロキシ-5- t-ブチルフェニル)プロポキシ]ジベンゾ[d,f][1,3,2] ジオキサホスフェピン(住友化学(株)製。商品名:スミライザー GP)のようなリン原子を含む化合物、さらにはペンタエリトリチル−テトラキス−(3−ドデシルチオプロピオネート)(住友化学(株)製。商品名:スミライザー TP−D)のような硫黄原子を含む化合物などのような低分子化合物や、これらの低分子化合物の有する水酸基、リン原子を含む官能基を持つ高分子化合物が挙げられる。中でも特開2003−238678号公報や特開2003−282096号公報に記載のホスホン酸基等が直接芳香環に結合した芳香族系高分子ホスホン酸類の効果が高く、好適に用いられる。なお、これら芳香族系高分子ホスホン酸類は、本発明における芳香族系高分子電解質としても使用し得るので、これらホスホン酸基を有する高分子電解質とスルホン酸基を有する高分子電解質からなる組成物も、本発明の高分子電解質膜の好ましい成分となることはいうまでもない。
ここで、添加剤を用いる場合の添加量は、膜重量に対して0.1wt%〜50wt%が好ましい。0.1wt%よりも低いと添加剤の効果が十分に発揮されない傾向にあり、また50wt%より高いと固体高分子電解質膜のプロトン伝導度が下がる傾向にあり、それぞれ好ましくない。
固体高分子電解質膜の製造方法については、特に制限はないが、高分子電解質、必要に応じて使用される添加剤等を含む溶液を用い、これを製膜する方法、これを支持体と複合化して高分子電解質複合膜とする方法等が好ましい。
ここで、溶液を用いて製膜する方法としては、溶媒溶液を基材の上に流延塗布し、溶媒を除去することにより製膜する方法が好ましく、その溶媒としては、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド等の極性溶媒、あるいはジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル、これら2種以上の混合物などが挙げられる。中でも、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジクロロメタン/アルコール混合溶媒、クロロホルム/アルコール混合溶媒などが高分子電解質の溶解性が高く好ましい。
製膜に用いられる基材としては、溶媒への耐性があり、製膜後に膜が剥離できるものであれば特に制限はなく、通常ガラス板、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、ステンレス板、ステンレスベルト、シリコンウエハ、テフロン(登録商標)板等が用いられる。これらの基材は、必要に応じて、表面が離型処理、エンボス加工、つや消し加工がされているものも使用し得る。膜厚は溶液濃度あるいは基板上への塗布厚により制御できる。
また支持体と複合化して高分子電解質複合膜とする方法としては、支持体に含浸させる方法が好ましく用いられる。
ここで、支持体は、高分子電解質等を含浸する母材となるものであり、主に高分子電解質の強度や柔軟性、耐久性のさらなる向上のために使用される。そのため、上記使用目的を満たすものであれば、フィブリル形状や多孔膜形状等、その形状や材質によらず用いることができるが、固体高分子型燃料電池の隔膜として良好に使用することを念頭に置いた場合、多孔膜を用いる事が非常に有効である。
ここで、多孔膜としては、その膜厚が通常1〜100μm、好ましくは3〜30μm、さらに好ましくは5〜20μm、孔径は通常0.01〜10μm、好ましくは0.02〜7μm、空隙率は通常20〜98%、好ましくは30〜95%である。多孔膜の膜厚が薄すぎると複合化後の強度補強の効果あるいは、柔軟性や耐久性を付与するといった補強効果が不十分となり、ガス漏れ(クロスリーク)が発生しやすくなる。また膜厚が厚すぎると電気抵抗が高くなり、得られた複合膜が固体高分子型燃料電池の隔膜として好ましくない。孔径が小さすぎると高分子電解質の含浸が非常に困難となり、大きすぎると高分子電解質への補強効果が弱くなる傾向にある。空隙率が小さすぎると固体高分子電解質膜としての抵抗が大きくなり、大きすぎると一般に多孔膜自体の強度が弱くなり補強効果が減少する。
また、多孔膜の材質としては、耐熱性の観点や、物理的強度の補強効果を鑑みれば、脂肪族系高分子または、含フッ素高分子が好ましい。
好適に使用できる脂肪族系高分子としてはポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。なおここで言うポリエチレンはポリエチレンの結晶構造を有するエチレン系のポリマーの総称であり、例えばエチレンと他のモノマーとの共重合体をも含み、具体的には直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)と称されるエチレンとα−オレフィンとの共重合体や超高分子量ポリエチレンなどを含む。またここでいうポリプロピレンはポリプロピレンの結晶構造を有するプロピレン系のポリマーの総称であり、一般に使用されているプロピレン系ブロック共重合体やランダム共重合体などを含むものである。
また、含フッ素高分子とは、分子内に炭素−フッ素結合を少なくとも1個有する公知の熱可塑性樹脂が使用される。通常は、脂肪族系高分子の水素原子のすべてまたは大部分がフッ素原子によって置換された構造のものが好適に使用される。
好適に使用できる含フッ素高分子を例示すれば、ポリトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリ(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン)、ポリ(テトラフルオロエチレン−ペルフルオロアルキルエーテル)、ポリフッ化ビニリデン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。このうち、本発明では、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン)が好ましく、特にポリテトラフルオロエチレンが好ましい。また、これらのフッ素系樹脂は、機械的強度の良好さから平均分子量が10万以上のものが好ましい。
本発明においては、上記のような固体高分子電解質膜が使用されるが、その厚みに特に制限はないが、3〜200μmが好ましく、4〜100μmがより好ましく、5〜50μmがさらに好ましい。膜厚が薄すぎると膜強度が低下する傾向にあり、膜厚が厚すぎると電気抵抗が高くなり、固体高分子型燃料電池の隔膜として好ましくない。
本発明の燃料電池は、燃料電池の基本構成成分であるセル単独で用いてもよいし、電気的に直列に複数積層した構成を有したスタックとして用いてもよいが、実用的な電気的出力を得るために、通常はスタックとして用いられる。スタックを作成する場合、本発明の構造を用いる以外は、一般に知られている固体高分子型燃料電池の構成に従えばよい。また、燃料電池の燃料としては水素やその混合ガスなどの気体状のものやメタノール水溶液などの液体状のものが使用される。メタノール水溶液を燃料として用いても、本発明のセル構造を有するセル・スタックは優れた耐久性を有する。このような液体燃料を利用する燃料電池の場合は、本明細書において「ガス拡散層」と記した部材を液体燃料型燃料電池における「導電性基体」と読み替えればよい。
以下実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
電極の作成
Nafion溶液(5wt%、Aldrich社製)5mLに白金を30wt%担時した白金担時カーボン500mgを加え、よく攪拌して触媒層溶液を調製した。この触媒層溶液をスクリーン印刷にてカーボンクロス(E−TEK社製)上に、白金担持密度が0.6mg/cm2になるように塗布し、溶媒を除去してガス拡散層−触媒層接合体とした。
高分子電解質の合成
合成例1 ポリエーテルスルホン類の合成
フラスコに窒素下、スミカエクセルPES4003P(住友化学工業製、水酸基末端ポリエーテルスルホン、数平均分子量:39000)1000g、炭酸カリウム7.59g、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)2500ml、およびトルエン500mlを加え、160℃にて加熱撹拌して共沸脱水した。室温にて放冷後、デカフルオロビフェニル53.6gを加え80℃にて3.5時間加熱撹拌した。放冷後、反応液を大量の水に滴下し、得られた沈殿物をろ過回収し、メタノール/アセトン混合溶媒で洗浄後、80℃にて乾燥して両末端F基のポリエーテルスルホン類(d)を得た。
合成例2 ポリ(2,6−ジフェニルフェニレンエーテル)の合成
無水塩化第一銅2.94g(30.0mmol)とN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン3.51g(30.0mmol)をクロロベンゼン1500ml中で大気下40℃で60分撹拌した。これに2,2’,6,6’−テトラメチルビスフェノールA17.1g(60.0mmol)と2,6−ジフェニルフェノール148g(600mmolを加え、大気下40℃で7時間撹拌した。反応終了後、塩酸を含むメタノール中に注いでポリマーを析出させ、ろ過、乾燥して両末端水酸基のポリ(2,6−ジフェニルフェニレンエーテル)(PE3)を得た。
合成例3 高分子電解質の合成
共沸蒸留装置を備えたフラスコに、PE3を160g、炭酸カリウム32g、DMAc3500mlおよびトルエン200mlを加え、加熱撹拌してトルエンと水の共沸条件下にて脱水後、トルエンを蒸留除去した。ここに上記dを640gを添加し、80℃にて5時間、100℃で5時間、120℃で3時間加熱攪拌した。反応液を大量の塩酸酸性メタノールに滴下し、得られた沈殿物をろ過回収し、80℃にて減圧乾燥してブロック共重合体を得た。
得られたブロック共重合体600gを98%硫酸6000mlとともに室温下にて攪拌し、均一溶液とした後さらに24時間攪拌を継続した。得られた溶液を大量の氷水中に滴下し、得られた沈殿物をろ過回収した。さらに洗液が中性になるまでイオン交換水によるミキサー洗浄繰返した後、40℃にて減圧乾燥してスルホン化したブロック共重合体Aを得た。
合成例4 高分子電解質の合成
共沸蒸留装置を備えたフラスコに、Ar雰囲気下、2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸カリウム25.00g(0.110mol)、4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム60.17g(0.123mol)、炭酸カリウム15.89g(0.115mol)を加え、N,N−ジメチルスルホキシド(DMSO)341mLおよびトルエン68mLを添加した。その後バス温150℃でトルエンを加熱留去することで系内の水分を共沸脱水し、140℃にて6時間保温攪拌することで、親水性オリゴマー溶液を得た。また、共沸蒸留装置を備えたフラスコに、Ar雰囲気下、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン61.32g(0.245mol)、4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン58.95g(0.232mol)、炭酸カリウム37.57g(0.272mol)を加え、DMSO481mLおよびトルエン96mLを添加した。その後バス温150℃でトルエンを加熱留去することで系内の水分を共沸脱水し、140℃にて6時間保温攪拌することで、疎水性オリゴマー溶液を得た。続いて、反応液を室温まで放冷した後、得られた親水性オリゴマー溶液を疎水性オリゴマー溶液に加え、150℃まで昇温させながら合計18.5時間保温攪拌した。反応液を放冷した後、大量の塩酸水に滴下し、生成した沈殿物を濾過回収した。さらに洗液が中性になるまで水で濾過洗浄を繰返した後、60℃にて減圧乾燥して、下記ブロック共重合体Bを得た。
Figure 2006066391
添加剤AD−1の合成
特開2005−33834参考例記載の方法により下記ホスホン酸基含有ポリマーを得た。
Figure 2006066391
添加剤AD−2の合成
特開平10−021943記載の方法に準拠し、溶媒としてのジフェニルスルホン、炭酸カリウムの存在下、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンと4,4’−ジヒドロキシビフェニルと4,4’−ジクロロジフェニルスルホンを4:6:10のモル比にて反応させることにより、下記のランダム共重合体を調製した。
Figure 2006066391
次いで、特開2003−282096に記載の方法に準拠しこの共重合体をブロモ化、ホスホン酸エステル化、加水分解することにより、4,4'−ビフェノール由来のユニット1つに対してBrが約0.2個、ホスホン酸基が約1.7個置換された下記ホスホン酸基含有ポリマーを得た。
Figure 2006066391
固体高分子電解質膜の成膜
合成例3で得られたブロック共重合体Aと添加剤AD−2との95:5重量比混合物を用い、NMPに27wt%の濃度に溶解した高分子電解質溶液を調製し、ガラス板上に固定したポリエチレン製多孔質膜に滴下した。ワイヤーコーターを用いて高分子電解質溶液を多孔質膜(厚み11μm、空隙率56%)上に均一に塗り広げ、0.3mmクリアランスのバーコーターを用いて塗工厚みをコントロールし、80℃で常圧乾燥した。その後1mol/Lの塩酸に浸漬し、さらにイオン交換水で洗浄することによって厚さ27μmの固体高分子電解質膜PEM−Aを得た。
合成例4で得られたブロック共重合体Bと添加剤AD−1との90:10重量比混合物を用い、NMPに27wt%の濃度に溶解した高分子電解質溶液を調製し、ガラス板上に固定したポリエチレン製多孔質膜に滴下した。ワイヤーコーターを用いて高分子電解質溶液を多孔質膜(厚み8μm、空隙率65%)上に均一に塗り広げ、0.3mmクリアランスのバーコーターを用いて塗工厚みをコントロールし、80℃で常圧乾燥した。その後1mol/Lの塩酸に浸漬し、さらにイオン交換水で洗浄することによって厚さ27μmの固体高分子電解質膜PEM−Bを得た。
固体高分子形燃料電池単セルの作成(1)
市販のJARI標準セル(販売:英和株式会社)を用いた。セパレータは図3に示すようなガス流路が刻まれており、その実質的に燃料電池反応に寄与する反応ガスの拡散を担う領域は5.2cm×5.2cmである。ガスシール材はシリコーンゴム−ポリエチレンナフタレート−シリコーンゴムの積層体(厚み230μm、8.0cm×8.0cm)であり、中央の5.2cm×5.2cmの領域が切り取られている。このセルに7.5cm×7.5cmに切り出した上記の固体高分子電解質膜と5.2cm×5.2cmに切り出したガス拡散層−触媒層接合体を反応ガスの拡散領域に重ね合わせるように(Lは約0mm)組み込んで単セルとした。
固体高分子形燃料電池単セルの作成(2)
市販のJARI標準セル(販売:英和株式会社)を用いた。セパレータは図3に示すようなガス流路が刻まれており、その実質的に燃料電池反応に寄与する反応ガスの拡散を担う領域は5.2cm×5.2cmである。ガスシール材はシリコーンゴム−ポリエチレンナフタレート−シリコーンゴムの積層体(厚み230μm、8.0cm×8.0cm)であり、図4に示すように中央が八角形に切り取られており、この八角形の長辺の長さは4.9cm、短辺の長さは0.4cmである。このセルの場合、図2におけるLは1mmに相当する。このセルに7.5cm×7.5cmに切り出した上記の固体高分子電解質膜と、ガスシール材の穴開き部と同一形状に切り出したガス拡散層−触媒層接合体を組み込んで単セルとした。
固体高分子形燃料電池単セルの作成(3)
市販のJARI標準セル(販売:英和株式会社)を用いた。セパレータは図3に示すようなガス流路が刻まれており、その実質的に燃料電池反応に寄与する反応ガスの拡散を担う領域は5.0cm×5.0cmである。ガスシール材はシリコーンゴム−ポリエチレンナフタレート−シリコーンゴムの積層体(厚み230μm、8.0cm×8.0cm)であり、図4に示すように中央が八角形に切り取られており、この八角形の長辺の長さは5.2cm、短辺の長さは0.4cmである。このセルの場合、図2におけるLは3mmに相当する。このセルに7.5cm×7.5cmに切り出した上記の固体高分子電解質膜と、ガスシール材の穴開き部と同一形状に切り出したガス拡散層−触媒層接合体を組み込んで単セルとした。
固体高分子形燃料電池単セルの作成(4)
市販のJARI標準セル(販売:英和株式会社)を用いた。セパレータは図3に示すようなガス流路が刻まれており、その実質的に燃料電池反応に寄与する反応ガスの拡散を担う領域は5.2cm×5.2cmである。ガスシール材はシリコーンゴム−ポリエチレンナフタレート−シリコーンゴムの積層体(厚み230μm、8.0cm×8.0cm)であり、図4に示すように中央が八角形に切り取られており、この八角形の長辺の長さは5.4cm、短辺の長さは0.4cmである。このセルの場合、図2におけるLは4mmに相当する。このセルに7.5cm×7.5cmに切り出した上記の固体高分子電解質膜と、ガスシール材の穴開き部と同一形状に切り出したガス拡散層−触媒層接合体を組み込んで単セルとした。
実施例1
固体高分子形燃料電池単セルの作成(3)に記載の方法で、PEM−Aを用いて単セルを作成し、一定電流における燃料電池連続発電試験を行った。試験条件は次のとおりである。セル温度:95℃。バブラー温度:95℃(アノード)、95℃(カソード)。ガス流量:70mL/min(アノード)、160mL/min(カソード)。背圧:0.1MPaG(アノード)、0.1MPaG(カソード)。電流:2.5A。電圧は試験開始から1000時間までほぼ一定値(0.8V)で推移し、低下は見られなかった。
実施例2
固体高分子形燃料電池単セルの作成(3)に記載の方法で、PEM−Aを用いて単セルを作成し、一定電流における燃料電池連続発電試験を行った。試験条件はバブラー温度を85℃(アノード)、85℃(カソード)とする以外は実施例1に準じた。電圧は試験開始から1000時間までほぼ一定値(0.67V)で推移し、低下は見られなかった。
実施例3
固体高分子形燃料電池単セルの作成(3)に記載の方法で、PEM−Bを用いて単セルを作成し、一定電流における燃料電池連続発電試験を行った。試験条件は次のとおりである。セル温度:95℃。バブラー温度:95℃(アノード)、95℃(カソード)。ガス流量:140mL/min(アノード)、360mL/min(カソード)。背圧:0MPaG(アノード)、0MPaG(カソード)。電流:5A。電圧は試験開始から545時間までほぼ一定値(0.45V程度)で推移し、著しい低下は見られなかった。
実施例4
固体高分子形燃料電池単セルの作成(4)に記載の方法で、PEM−Bを用いて単セルを作成し、一定電流における燃料電池連続発電試験を行った。試験条件は実施例3と同じである。電圧は試験開始から530時間までほぼ一定値(0.55V程度)で推移し、著しい低下は見られなかった。
比較例1
固体高分子形燃料電池単セルの作成(1)に記載の方法で、PEM−Aを用いて単セルを作成し、一定電流における燃料電池連続発電試験を行った。試験条件は実施例1に準じた。電圧は試験開始から約120時間までほぼ一定値(0.78V)で推移したが、約120時間経過後、ガスリークが発生してしまい継続して発電させることが不可能になった。
比較例2
固体高分子形燃料電池単セルの作成(1)に記載の方法で、PEM−Bを用いて単セルを作成し、一定電流における燃料電池連続発電試験を行った。試験条件は実施例3に準じた。試験開始時の電圧は0.40Vであったが、約200時間後には0.31Vとなり、約261時間後、ガスリークが発生してしまい継続して発電させることが不可能になった。
比較例3
固体高分子形燃料電池単セルの作成(2)に記載の方法で、PEM−Bを用いて単セルを作成し、一定電流における燃料電池連続発電試験を行った。試験条件は実施例3に準じた。電圧は試験開始から約232時間までほぼ一定値(0.52V)で推移したが、約232時間経過後、ガスリークが発生してしまい継続して発電させることが不可能になった。
以上の結果より、セパレータのガス流路の外縁がなす面積よりもガス拡散層の面積を大きくすることにより、固体高分子形燃料電池の耐久性が飛躍的に向上することがわかる。
従来の燃料電池における単セルを示す断面図。 本発明の燃料電池における単セルの一例を示す断面図。 本発明に使用されるセパレータの一例を示す図。 本発明に使用されるガスシール材の一例を示す図。
符号の説明
1 固体高分子電解質膜
2 触媒層
3 ガス拡散層
4 ガスシール材
5 セパレータ
6 ガス流路
7 ガス入口
8 ガス出口

Claims (5)

  1. 芳香族系高分子電解質を含む固体高分子電解質膜と、この固体高分子電解質膜の両面に接合されるアノード及びカソードとしての触媒層とガス拡散層からなる電極、ガス拡散層の周部に配されるガスシール材、ならびに反応ガス流路を有するセパレータからなる固体高分子形燃料電池であって、前記ガス拡散層が、前記セパレータのガス流路の外縁全体を取り囲み、前記セパレータのガス流路の外縁がなす面積より大きな面積を有することを特徴とする固体高分子形燃料電池。
  2. セパレータのガス流路の外縁とガス拡散層の外周部との最短距離が2〜10mmであることを特徴とする請求項1に記載の固体高分子形燃料電池。
  3. 芳香族系高分子電解質が、イオン交換性基が導入されたセグメントとイオン交換性基が実質的に導入されていないセグメントとをそれぞれ一つ以上有するブロック共重合体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の固体高分子形燃料電池。
  4. 芳香族系高分子電解質が、イオン交換性基として実質的にスルホン酸基のみを有する高分子電解質と、イオン交換性基として実質的にホスホン酸基のみを有する高分子電解質からなる組成物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の固体高分子形燃料電池。
  5. 固体高分子電解質膜が、芳香族系高分子電解質と支持体との複合膜であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の固体高分子形燃料電池。
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