JPH11228765A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JPH11228765A
JPH11228765A JP5004398A JP5004398A JPH11228765A JP H11228765 A JPH11228765 A JP H11228765A JP 5004398 A JP5004398 A JP 5004398A JP 5004398 A JP5004398 A JP 5004398A JP H11228765 A JPH11228765 A JP H11228765A
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JP
Japan
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weight
aromatic vinyl
parts
vinyl compound
thermoplastic resin
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Pending
Application number
JP5004398A
Other languages
English (en)
Inventor
Masanori Suzuki
昌則 鈴木
Hajime Miyajima
元 宮島
Hitoshi Kato
仁史 加藤
Masaaki Motai
政明 馬渡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Techno UMG Co Ltd
Original Assignee
Techno Polymer Co Ltd
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Publication date
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Publication of JPH11228765A publication Critical patent/JPH11228765A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐衝撃性、成形加工性および耐変色性に優れ
た、広範囲の用途に使用しえる熱可塑性樹脂組成物を提
供すること。 【解決手段】 ゴム状重合体に、芳香族ビニル化合物、
または芳香族ビニル化合物およびこれと共重合可能な他
のビニル系単量体からなる単量体成分をグラフト重合し
てなるグラフト共重合体15〜60重量部と、芳香族ビ
ニル化合物、または芳香族ビニル化合物およびこれと共
重合可能な他のビニル系単量体からなる単量体成分を
(共)重合してなる芳香族ビニル化合物系樹脂85〜4
0重量部からなるゴム強化熱可塑性樹脂100重量部に
対し、ジヒドロオキサフォスファフェナンスレン系リン
化合物0.005〜5重量部を含有する熱可塑性樹脂組
成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐衝撃性、成形加
工性および耐変色性に優れた熱可塑性樹脂組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ABS樹脂、あるいはハイインパクトポ
リスチレン(HIPS)などのゴム強化熱可塑性樹脂
は、成形品表面外観、耐衝撃性、成形加工性などに優れ
ているため、電気・電子分野、OA・家電分野、車両分
野、建築分野、玩具・家庭用品分野、事務用品分野など
の幅広い分野で使用されている。しかしながら、近年、
これらの製品においては、色調などの品質が重視される
傾向にあるため、ゴム強化熱可塑性樹脂を成形する際の
変色(着色)が問題となってきている。このような変色
(着色)問題を防ぐ方法として、フェノール系酸化防止
剤をゴム強化熱可塑性樹脂へ添加する方法が考えられる
が、その効果は不十分であるばかりでなく、フェノール
系酸化防止剤は貯蔵時や溶融して使用する場合などにお
いて変色することがあり、変色したフェノール系酸化防
止剤を用いた場合は逆にゴム強化熱可塑性樹脂の変色
(着色)を増加させるという問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の課題を背景になされたもので、耐衝撃性、成形加工
性および耐変色性に優れ、広範囲の用途に使用できる熱
可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、ゴム状重合体
(a)35〜85重量%の存在下に、芳香族ビニル化合
物、または芳香族ビニル化合物およびこれと共重合可能
な他のビニル系単量体からなる単量体成分(b)65〜
15重量%〔ただし、(a)+(b)=100重量%〕
をグラフト重合してなるアセトン可溶分の極限粘度
〔η〕(30℃、メチルエチルケトン中で測定)が0.
1〜2.0dl/g、グラフト率が5〜120重量%で
あるグラフト共重合体(A)15〜60重量部と、芳香
族ビニル化合物、または芳香族ビニル化合物およびこれ
と共重合可能な他のビニル系単量体からなる単量体成分
を(共)重合してなるメチルエチルケトン可溶分の極限
粘度〔η〕(30℃、メチルエチルケトン中で測定)が
0.1〜2.0dl/gである芳香族ビニル化合物系樹
脂(B)85〜40重量部〔ただし、(A)+(B)=
100重量部〕からなるゴム強化熱可塑性樹脂(I)1
00重量部に対し、下記一般式(I)で表されるジヒド
ロオキサフォスファフェナンスレン系リン化合物(II)
0.005〜5重量部を含有することを特徴とする熱可
塑性樹脂組成物を提供するものである。
【0005】
【化2】
【0006】(式中、R1 〜R2 は、同一または異な
り、水素原子、ハロゲン原子または低級アルキル基を示
し、R3 は水素原子、水酸基、低級アルコキシル基また
はアルキル基を示す。)
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明のグラフト共重合体(A)成分に用いるゴ
ム状重合体(a)としては、ポリブタジエン、ポリイソ
プレン、ブチルゴム、スチレン−ブタジエン共重合体
(好ましいスチレン含量は5〜60重量%)、スチレン
−イソプレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン
共重合体、エチレン−α−オレフィン系共重合体、エチ
レン−α−オレフィン−ポリエン共重合体、シリコーン
ゴム、アクリルゴム、ブタジエン−(メタ)アクリル酸
エステル共重合体、ポリイソプレン、スチレン−ブタジ
エンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック
共重合体、水素化スチレン−ブタジエンブロック共重合
体、水素化ブタジエン系重合体、エチレン系アイオノマ
ーなどが挙げられる。
【0008】なお、上記スチレン−ブタジエンブロック
共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体に
は、AB型、ABA型、テーパー型、ラジアルテレブロ
ック型の構造を有するものなどが含まれる。また、上記
水素化ブタジエン系重合体には、上記ブロック共重合体
の水素化物のほかに、スチレンブロックとスチレン−ブ
タジエンランダム共重合体のブロック体の水素化物、ポ
リブタジエン中の1,2−ビニル結合含量が20重量%
以下のブロックと、1,2−ビニル結合含量が20重量
%を超えるポリブタジエンブロックからなる重合体の水
素化物などが含まれる。これらの中で、ポリブタジエ
ン、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−α−オ
レフィン−ポリエン共重合体、シリコーンゴム、アクリ
ルゴム、水素化ブタジエン系重合体が好ましく、ポリブ
タジエン、スチレン−ブタジエン共重合体が特に好まし
い。これらのゴム状重合体は、1種単独で使用すること
も、あるいは2種以上を混合して用いることもできる。
【0009】本発明のグラフト共重合体(A)成分中の
単量体成分(b)に用いられる芳香族ビニル化合物とし
ては、スチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチ
レン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1
−ジフェニルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノ
エチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノメチル
スチレン、ビニルピリジン、ビニルキシレン、モノクロ
ロスチレン、ジクロロスチレン、モノブロモスチレン、
ジブロモスチレン、トリブロモスチレン、フルオロスチ
レン、エチルスチレン、ビニルナフタレンなどが挙げら
れ、特にスチレン、α−メチルスチレンが好ましい。上
記芳香族ビニル化合物は、1種単独で使用することも、
あるいは2種以上を混合して用いることもできる。
【0010】また、本発明のグラフト共重合体(A)成
分中の単量体成分(b)で必要に応じて用いられる、芳
香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル系単量体と
しては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの
シアン化ビニル化合物;メチルアクリレート、エチルア
クリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレー
ト、アミノアクリレート、ヘキシルアクリレート、オク
チルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、
シクロヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、
オクタデシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベ
ンジルアクリレートなどのアクリル酸エステル;メチル
メタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタ
クリレート、ブチルメタクリレート、アミルメタクリレ
ート、ヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレー
ト、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシ
ルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタデ
シルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジ
ルメタクリレートなどのメタクリル酸エステル;無水マ
レイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などの不
飽和酸無水物;アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和
酸;マレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマ
レイミド、N−(p−メチルフェニル)マレイミド、N
−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド
などのα,β−不飽和ジカルボン酸のイミド化合物;グ
リシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテルな
どのエポキシ基含有不飽和化合物;アクリルアミド、メ
タクリルアミドなどの不飽和カルボン酸アミド;アクリ
ルアミン、メタクリル酸アミノメチル、メタクリル酸ア
ミノエーテル、メタクリル酸アミノプロピル、アミノス
チレンなどのアミノ基含有不飽和化合物;3−ヒドロキ
シ−1−プロペン、4−ヒドロキシ−1−ブテン、シス
−4−ヒドロキシ−2−ブテン、トランス−4−ヒドロ
キシ−2−ブテン、3−ヒドロキシ−2−メチル−1−
プロペン、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒ
ドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシスチレンな
どの水酸基含有不飽和化合物;ビニルオキサゾリンなど
のオキサゾリン基含有不飽和化合物などが挙げられる。
【0011】これらの中で、アクリロニトリル、ブチル
アクリレート、メチルメタクリレート、N−フェニルマ
レイミド、N−シクロヘキシルマレイミドが好ましい。
これらの芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル
系単量体は、1種単独で使用することも、あるいは2種
以上を混合して用いることもできる。なお、単量体成分
(b)における芳香族ビニル化合物と他のビニル系単量
体の使用割合は、芳香族ビニル化合物が好ましくは20
〜80重量%、さらに好ましくは30〜80重量%、他
のビニル系単量体が好ましくは80〜20重量%、さら
に好ましくは70〜20重量%である。
【0012】本発明のグラフト共重合体(A)成分中の
ゴム状重合体(a)の使用量は、35〜85重量%〔単
量体成分(b)は65〜15重量%〕であり、好ましく
は40〜80重量%〔単量体成分(b)は60〜20重
量%〕、さらに好ましくは45〜70重量%〔単量体成
分(b)は55〜30重量%〕である。ゴム状重合体
(a)の使用量が、35重量%未満〔単量体成分(b)
は65重量%を超える〕であると、配合するグラフト共
重合体(A)の配合量を多く必要とし、結果的に配合で
きる芳香族ビニル化合物系樹脂(B)の配合量が少なく
なるため、耐衝撃性と成形加工性のバランスが低下す
る。一方、85重量%〔単量体成分(b)は15重量%
未満〕を超えると、耐衝撃性および成形加工性が低下し
好ましくない。ゴム状重合体(a)の使用量が、55〜
70重量%〔単量体成分(b)は45〜30重量%〕で
あると、耐衝撃性と成形加工性のバランスが一段と向上
し、非常に好ましい。
【0013】本発明のグラフト共重合体(A)成分のア
セトン可溶分の極限粘度〔η〕(30℃、メチルエチル
ケトン中で測定)は0.1〜2.0dl/gであり、好
ましくは0.2〜1.5dl/g、さらに好ましくは
0.3〜0.8dl/gである。極限粘度〔η〕が0.
1dl/g未満であると、耐衝撃性が低下し、一方、
2.0dl/gを超えると成形加工性が低下し、好まし
くない。上記極限粘度〔η〕は、重合開始剤、連鎖移動
剤、乳化剤、溶剤などの種類や量、さらに重合時間、重
合温度などを変えることにより、容易に制御することが
できる。また、単量体成分(b)の添加方法によって
も、極限粘度〔η〕を変えることができる。例えば、こ
の添加方法としては、一括添加、分割添加、連続添加、
あるいはこれらを組み合わせた方法が挙げられる。
【0014】また、本発明のグラフト共重合体(A)の
グラフト率は、5〜120重量%であり、好ましくは1
0〜110重量%、さらに好ましくは30〜80重量%
である。グラフト率が5重量%未満、または120重量
%を超えると、耐衝撃性および成形加工性が低くなる傾
向にあり好ましくない。上記グラフト率も、極限粘度
〔η〕と同様に、重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤、溶
剤などの種類や量、さらに重合時間、重合温度などを変
えることにより、容易に制御することができる。また、
単量体成分(b)の添加方法によっても、グラフト率を
変えることができる。例えば、この添加方法としては、
一括添加、分割添加、連続添加、あるいはこれらを組み
合わせた方法が挙げられる。ここで、グラフト率とは、
グラフト共重合体のゴム量に対し、ゴム状重合体に直接
グラフト結合している共重合体成分の割合をいう。
【0015】ゴム状重合体(a)の存在化で重合される
単量体成分(b)の好ましい組み合わせを、以下に列挙
する。 (1)芳香族ビニル化合物 (2)芳香族ビニル化合物/シアン化ビニル化合物 (3)芳香族ビニル化合物/シアン化ビニル化合物/
(メタ)アクリル酸エステル (4)芳香族ビニル化合物/(メタ)アクリル酸エステ
ル (5)芳香族ビニル化合物/シアン化ビニル化合物/
(マレ)イミド化合物
【0016】本発明のグラフト共重合体(A)は、ゴム
状重合体(a)の存在下に、芳香族ビニル化合物を主成
分とする単量体成分(b)を、公知の重合法である乳化
重合、懸濁重合、溶液重合、塊状重合、あるいはこれら
を組み合わせた重合法によってラジカルグラフト重合を
行ない、製造することができる。好ましくは、乳化重合
である。この際、乳化重合には、重合開始剤、連鎖移動
剤(分子量調節剤)、乳化剤、水などが用いられる。
【0017】なお、グラフト共重合体(A)を製造する
のに用いるゴム状重合体(a)および単量体成分(b)
は、ゴム状重合体(a)全量の存在下に、単量体成分
(b)を一括添加して重合してもよく、分割添加、連続
添加、あるいはこれらを組み合わせた添加方法で重合し
てもよい。さらに、ゴム状重合体(a)の全量または一
部を、重合途中で添加してもよい。
【0018】重合開始剤としては、クメンハイドロパー
オキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキ
サイド、パラメンタンハイドロパーオキサイドなどで代
表される有機ハイドロパーオキサイド類と含糖ピロリン
酸処方、スルホキシレート処方などで代表される還元剤
との組み合わせによるレドックス系、あるいは過硫酸
塩、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキ
サイドなどの過酸化物が使用される。好ましくは、油溶
性開始剤であり、クメンハイドロパーオキサイド、ジイ
ソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメン
タンハイドロパーオキサイドなどで代表される有機ハイ
ドロパーオキサイド類と含糖ピロリン酸処方、スルホキ
シレート処方などで代表される還元剤との組み合わせに
よるレドックス系がよい。
【0019】また、重合開始剤は1種単独で使用するこ
とも、あるいは2種以上を混合して用いることもでき、
上記油溶性開始剤と水溶性開始剤とを組み合わせてもよ
い。組み合わせる場合の水溶性開始剤の添加比率は、好
ましくは全添加量の50重量%以下、さらに好ましくは
25重量%以下である。重合開始剤は、重合系に一括ま
たは連続的に添加することができる。重合開始剤の使用
量は、単量体成分に対し、通常、0.1〜1.5重量
%、好ましくは0.2〜0.7重量%である。
【0020】また、連鎖移動剤としては、オクチルメル
カプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメ
ルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−テト
ラデシルメルカプタン、t−テトラデシルメルカプタン
などのメルカプタン類、テトラエチルチウラムスルフィ
ド、四塩化炭素、臭化エチレンおよびペンタフェニルエ
タンなどの炭化水素類、またはアクロレイン、メタクロ
レイン、アリルアルコール、2−エチルヘキシルチオグ
リコレート、α−メチルスチレンのダイマーなどが挙げ
られる。これらの連鎖移動剤は、1種単独で使用するこ
とも、あるいは2種以上を組み合わせて使用することも
できる。連鎖移動剤の使用方法としては、一括添加、分
割添加、連続添加、あるいはこれらを組み合わせた方法
が挙げられる。連鎖移動剤の使用量は、単量体成分
(b)に対し、通常、0.05〜2.0重量%程度であ
る。
【0021】乳化剤としては、アニオン性界面活性剤、
ノニオン性界面活性剤、および両性界面活性剤が挙げら
れる。このうち、アニオン性界面活性剤としては、例え
ば高級アルコールの硫酸エステル、アルキルベンゼンス
ルホン酸塩、脂肪酸スルホン酸塩、リン酸塩、脂肪酸塩
などが挙げられる。また、ノニオン性界面活性剤として
は、通常のポリエチレングリコールのアルキルエステル
型、アルキルエーテル型、アルキルフェニルエーテル型
などが用いられる。さらに、両性界面活性剤としては、
アニオン部分としてカルボン酸塩、硫酸エステル塩、ス
ルホン酸塩、リン酸エステル塩を、カチオン部分として
アミン塩、第4級アンモニウム塩などを持つものなどが
挙げられる。
【0022】これらの乳化剤は、1種単独で使用するこ
とも、あるいは2種以上を組み合わせて使用することも
できる。乳化剤の添加方法としては、一括添加、分割添
加、連続添加、あるいはこれらを組み合わせた方法が挙
げられる。乳化剤の使用量は、単量体成分に対し、通
常、0.3〜5.0重量%程度である。
【0023】なお、グラフト共重合体(A)は、重合温
度10〜120℃、好ましくは30〜110℃の条件下
で乳化重合することが好ましい。また、本発明のグラフ
ト共重合体(A)を、ブタジエン系のゴム状重合体を用
い、乳化重合で得る場合、使用されるブタジエン系ゴム
状重合体ラテックスの平均ゴム粒径は、耐衝撃性と成形
品表面外観から、好ましくは50〜1,000nmの範
囲である。また、このブタジエン系ゴム状重合体のトル
エン不溶分は、特に限定されないが、0〜95重量%の
範囲のものが一般に使用される。
【0024】ここで、トルエン不溶分(ゲル含有量)と
は、ブタジエン系ゴム状重合体〔A(g)〕を、100
mlのトルエンに50℃で2時間攪拌下で浸漬したの
ち、120メッシュ金網を用いてろ過し、ろ液の一部
〔C(ml)〕を正確に採取して蒸発乾固させ、得られ
た残存固形分〔トルエン可溶分:B(g)〕を秤量し、
下記式によってトルエン不溶分とした値である。 トルエン不溶分(重量%)={〔A−B×(100/
C)〕/A}×100 このトルエン不溶分の調整は、分子量調節剤の種類、量
を選ぶことによって容易に実施することができる。その
ほか、トルエン不溶分の調整は、架橋剤の添加、重合時
の重合開始剤量、重合開始温度などの選定があり、これ
らを組み合わせて目的とするブタジエン系ゴム状重合体
ラテックスを得ることができる。
【0025】さらに、ゴム状重合体ラテックスは、固形
ゴムに変換したときのムーニー粘度(ML1+4 ,100
℃)が、好ましくは10〜300、さらに好ましくは1
0〜250であると、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐
衝撃性が良好である。ムーニー粘度が10未満では、目
的とする耐衝撃性が得られず、一方、300を超える
と、流動性が低下し好ましくない。このムーニー粘度の
調整は、添加する重合開始剤、分子量調節剤や架橋剤の
種類や量、さらに重合時間、重合温度などを選ぶことに
より、容易に実施することができる。
【0026】本発明の芳香族ビニル化合物系樹脂(B)
成分中の芳香族ビニル化合物としては、本発明のグラフ
ト共重合体(A)成分に使用した芳香族ビニル化合物と
同じものを使用することができる。また、本発明の芳香
族ビニル化合物系樹脂(B)成分中の芳香族ビニル化合
物と共重合可能な他のビニル系単量体としては、本発明
のグラフト共重合体(A)成分に使用した芳香族ビニル
化合物と共重合可能な他のビニル系単量体を使用するこ
とができる。
【0027】本発明の芳香族ビニル化合物系樹脂(B)
のメチルエチルケトン可溶分の極限粘度〔η〕(30
℃、メチルエチルケトン中で測定)は0.1〜2.0d
l/gであり、好ましくは0.2〜1.5dl/g、さ
らに好ましくは0.3〜0.8dl/gである。極限粘
度〔η〕が0.1dl/g未満であると、耐衝撃性が低
下し、一方、2.0dl/gを超えると、成形加工性が
低下し好ましくない。上記極限粘度〔η〕は、重合開始
剤、連鎖移動剤、乳化剤、溶剤などの種類や量、さらに
重合時間、重合温度などを変えることにより、容易に制
御することができる。
【0028】本発明の芳香族ビニル化合物系樹脂(B)
で使用される単量体成分の好ましい組み合わせを以下に
列挙する。 (1)芳香族ビニル化合物 (2)芳香族ビニル化合物/シアン化ビニル化合物 (3)芳香族ビニル化合物/シアン化ビニル化合物/
(メタ)アクリル酸エステル (4)芳香族ビニル化合物/(メタ)アクリル酸エステ
ル (5)芳香族ビニル化合物/シアン化ビニル化合物/
(マレ)イミド化合物
【0029】なお、芳香族ビニル化合物系樹脂(B)に
おける芳香族ビニル化合物と他のビニル系単量体の使用
割合は、芳香族ビニル化合物が20〜80重量%、好ま
しくは30〜80重量%、他のビニル系単量体が80〜
20重量%、好ましくは70〜20重量%である。芳香
族ビニル化合物、または芳香族ビニル化合物および他の
ビニル系単量体からなる単量体成分は、公知の重合法で
ある乳化重合、懸濁重合、溶液重合、塊状重合、あるい
はこれらを組み合わせた重合法によって重合し、芳香族
ビニル化合物系樹脂(B)を製造することができる。好
ましくは、乳化重合、溶液重合である。
【0030】本発明のゴム強化熱可塑性樹脂(I)中の
グラフト共重合体(A)の使用量は、15〜60重量部
〔芳香族ビニル化合物系樹脂(B)は85〜40重量
部〕であり、好ましくは20〜50重量部〔芳香族ビニ
ル化合物系樹脂(B)は80〜50重量部〕、さらに好
ましくは20〜45重量部〔芳香族ビニル化合物系樹脂
(B)は80〜55重量部〕である。グラフト共重合体
(A)の使用量が、15重量部未満〔芳香族ビニル化合
物系樹脂(B)は85重量部を超える〕であると、耐衝
撃性が低下し、一方、60重量部を超える〔芳香族ビニ
ル化合物系樹脂(B)は40重量部未満〕と、成形加工
性が低下し好ましくない。
【0031】次に、本発明のジヒドロオキサフォスファ
フェナンスレン系リン化合物(II)における置換基
1 、R2 としては、例えば、水素原子、塩素、臭素な
どのハロゲン原子、メチル、エチル、n−プロピル、i
−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチ
ル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、t−ペ
ンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシルな
どの低級アルキル基が挙げられる。R3 としては、例え
ば、水素原子、水酸基、メトキシ、エトキシ、n−プロ
ポキシ、n−ブトキシなどの低級アルコキシル基、また
はメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−
ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n
−ペンチル、i−ペンチル、ヘキシル、シクロペンチ
ル、シクロヘキシルなどの低級アルキル基が挙げられ
る。ジヒドロオキサフォスファフェナンスレン系リン化
合物(II) の代表例としては、例えば、9,10−ジヒ
ドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナンスレン−
10−オキサイド、8−クロロ−9,10−ジヒドロ−
9−オキサ−10−フォスファフェナンスレン−10−
オキサイド、8−t−ブチル−9,10−ジヒドロ−9
−オキサ−10−フォスファフェナンスレン−10−オ
キサイドなどが挙げられる。なかでも、9,10−ジヒ
ドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナンスレン−
10−オキサイドが好ましく使用される。これらのジヒ
ドロオキサフォスファフェナンスレン系リン化合物(I
I) は、1種単独で使用することも、あるいは2種以上
を組み合わせて使用することもできる。
【0032】本発明の熱可塑性樹脂組成物で用いられる
ジヒドロオキサフォスファフェナンスレン系リン化合物
(II) の使用量は、ゴム強化熱可塑性樹脂(I)100
重量部に対し、0.005〜5重量部であり、好ましく
は0.01〜3重量部、さらに好ましくは0.02〜
1.5重量部である。ジヒドロオキサフォスファフェナ
ンスレン系リン化合物(II) の使用量が、0.005重
量部未満であると、耐変色性が低下し、一方、5重量部
を超えると、成形加工性が低下する。
【0033】本発明の熱可塑性樹脂組成物(イ)は、単
独で成形材料として使用されるが、さらに、他の熱可塑
性重合体(ロ)、例えば、他のABS樹脂、AES樹
脂、HIPS、AS樹脂などのスチレン系樹脂、ナイロ
ン6、ナイロン6,6、ナイロン4,6などのポリアミ
ド、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフ
タレートなどのポリエステル、芳香族ポリカーボネー
ト、PPS樹脂、液晶ポリエステル樹脂、ポリアリレー
ト樹脂、ポリスルホン樹脂、MS樹脂、PVC樹脂、ス
チレン−無水マレイン酸共重合体、マレイミド系共重合
体などの重合体とブレンドし、熱可塑性重合体組成物
(ハ)として、これらの重合体の耐衝撃性改質剤、相溶
化剤などに使用することができる。
【0034】熱可塑性重合体組成物(ハ)において、熱
可塑性樹脂組成物(イ)と他の熱可塑性重合体(ロ)の
割合は、(イ)成分1〜99重量部、好ましくは10〜
89重量部、さらに好ましくは20〜79重量部、
(ロ)成分99〜1重量部、好ましくは90〜11重量
部、さらに好ましくは80〜21重量部〔ただし、
(イ)+(ロ)=100重量部〕である。熱可塑性樹脂
組成物(イ)の割合が1重量部未満では、目的とする耐
衝撃性が得られず、一方、99重量部を超えると、成形
加工性が低下する。
【0035】本発明の熱可塑性樹脂組成物(イ)、ある
いは上記熱可塑性重合体組成物(ハ)には、帯電防止剤
を配合することができる。上記帯電防止剤としては、ポ
リエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール含有重
合体、その他の帯電防止剤が挙げられる。このポリエチ
レンオキサイドで好ましいものは、平均分子量が5万〜
50万、好ましくは10万〜40万のものである。ま
た、ポリエチレングリコール含有重合体としては、エ
チレンオキシドの繰り返し単位を有する不飽和化合物と
上記芳香族ビニル化合物、芳香族ビニル化合物と共重合
可能な他の単量体との共重合体、ポリエチレングリコ
ール含有ブロック共重合体、ポリエチレングリコールを
グラフトした重合体などが挙げられる。ポリエチレング
リコール含有ブロック共重合体としては、公知のポリア
ミドエラストマー、ポリアミドイミドエラストマー、ポ
リエステルエラストマーなどがあり、ポリエチレングリ
コールをグラフトした重合体としては、公知のポリアミ
ド重合体にポリエチレングリコールをグラフトしたもの
などが挙げられる。ポリエチレングリコールには、分子
中にビスフェノールAを含むものも使用される。
【0036】さらに、その他の帯電防止剤としては、通
常使用される帯電防止剤がすべて使用できる。この帯電
防止剤としては、アニオンタイプ、カチオンタイプ、非
イオンタイプ、両性タイプなどがあり、いずれも使用で
きる。特に好ましいものは、アニオンタイプ、非イオン
タイプであり、そのなかでもスルホン酸ソーダ系、モノ
グリセライド系が好ましい。これらの帯電防止剤は、
(イ)成分あるいは(ハ)成分100重量部に対して、
通常、0.1〜30重量部、好ましくは1〜20重量部
の範囲で用いられる。
【0037】そのほか、本発明の熱可塑性樹脂組成物
(イ)、あるいは上記熱可塑性重合体組成物(ハ)に
は、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、ガラスビーズ、
ワラストナイト、ガラスのミルドファイバー、ロックフ
ィラー、ガラスフレーク、炭酸カルシウム、ケイ酸カル
シウム、タルク、マイカ、カオリン、硫酸バリウム、黒
鉛、木粉、二硫化モリブデン、酸化マグネシウム、酸化
亜鉛ウィスカー、チタン酸カリウムウィスカー、ガラス
バルーン、セラミックバルーンなどの充填剤を、1種単
独で、あるいは2種以上配合することができる。これら
の充填剤のうち、ガラス繊維、炭素繊維の形状として
は、6〜60μmの繊維径と30μm以上の繊維長を有
するものが好ましい。これらの充填剤は、本発明の
(イ)成分あるいは(ハ)成分100重量部に対し、通
常1〜100重量部の範囲で用いられる。
【0038】また、本発明の熱可塑性樹脂組成物
(イ)、あるいは上記熱可塑性重合体組成物(ハ)に
は、公知のカップリング剤、抗菌剤、防カビ剤、難燃
剤、難燃助剤、酸化防止剤、耐候(光)剤、可塑剤、着
色剤(顔料、染料など)、滑剤、金属粉などを配合する
ことができる。
【0039】本発明の熱可塑性樹脂組成物(イ)、ある
いは上記熱可塑性重合体組成物(ハ)は、(イ)成分単
独、あるいは、(イ)および(ロ)成分に、必要に応じ
て上記添加剤を配合し、各種押出機、バンバリーミキサ
ー、ニーダー、ロールなどを用い、各成分を混練りする
ことによって調製することができる。好ましい製造方法
としては、押出機を用いる方法である。また、各成分を
混練りするに際しては、各成分を一括混練りしてもよ
く、多段添加方式で混練りしてもよい。
【0040】このようにして得られる組成物は、射出成
形、シート押し出し、真空成形、異形成形、発泡成形、
インジェクションプレス、ガスアシスト成形、プレス成
形、ブロー成形などによって各種成形品に成形すること
ができる。
【0041】上記成形法によって得られる各種成形品
は、その優れた性質を利用して、大型テレビ、ビデオ、
冷蔵庫、計算機、エアコン、照明器具、炊飯器、電話機
などの家電製品、弱電製品、コンピューター、複写機、
ファクシミリなどのOA機器、事務用品、自動車の内・
外装部品、二輪車部品、各種レジャー用品、玩具、押し
出しシート、パイプ製品、建材部品、機械・工具の部
品、工業用機器・部品、医療器具、食器容器、文具・日
用品、パチンコ台、ファミリーコンピューターなどのゲ
ーム機器の部品などに使用される。
【0042】
【実施例】以下、参考例、実施例および比較例を挙げ、
本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに
より限定されるものではない。なお、参考例、実施例お
よび比較例中の部および%は、特に断らないかぎり重量
部および重量%である。また、参考例、実施例および比
較例中、各種の評価は、次のようにして測定した値であ
る。
【0043】平均粒径 大塚電子(株)製、レーザー粒径解析システムLPA−
3100を用いて、平均粒径を測定した。ゲル含有量 上記に記載
【0044】グラフト率 グラフト共重合体(A)の一定量(x)を、アセトン中
に投入し、振とう機で2時間振とうし、遊離の共重合体
を溶解させ、遠心分離機を用いてこの溶液を23,00
0rpmで30分間、遠心分離し、不溶分を得、真空乾
燥機を用いて120℃で1時間乾燥し、乾燥した不溶分
(y)を得た。下記式により、グラフト率を算出した。 グラフト率(%)={〔(y)−(x)×グラフト共重
合体(A)中のゴム分率〕/〔(x)×グラフト共重合
体(A)中のゴム分率〕}×100
【0045】極限粘度〔η〕 グラフト共重合体(A)の極限粘度〔η〕は、アセトン
可溶分をメチルエチルケトンに再溶解させ、濃度の異な
る5種類のサンプルを調製し、ウベローデ粘度管を用い
て30℃で各濃度サンプルの還元粘度を測定した結果か
ら、極限粘度〔η〕を求めた。また、芳香族ビニル化合
物系樹脂(B)の極限粘度〔η〕は、(B)をメチルエ
チルケトンに溶解させることにより、上記方法で極限粘
度〔η〕を求めた。
【0046】耐衝撃性 ASTM D256に準じて、厚み1/4″、ノッチ付
きで、アイゾットインパクト(IZ)を測定した。単位
はkgf・cm/cmである。成形加工性評価 熱可塑性樹脂組成物を、東芝機械製IS−80Aを用い
て射出成形し、平板成形品の表面外観を目視観察し、下
記基準で評価した。 ○;平滑で光沢のある表面を有し、外観良好 ×;表面に凸凹、フローマークがあり、外観不良
【0047】耐変色性〔白色度(W)〕 多光源分光測色計(スガ試験機株式会社製、MSC−I
S−2D)を用い、JIS K−7105に準じて、ハ
ンター表色系による色差測定を行ない、白色度(W)を
測定した。
【0048】参考例1ゴム状重合体(a)の調製 容量100リットルの攪拌機付き反応器に、1,3−ブ
タジエン100部、水60部、ロジン酸カリウム2.4
部、リン酸カリウム0.5部、水酸化カリウム0.1
部、連鎖移動剤としてt−ドデシルメルカプタンを0.
3部、過硫酸カリウム0.3部を加えて、60〜70℃
で30時間バッチ重合した。重合添加率は、95%であ
った。この重合系に、重合停止剤としてN,N−ジエチ
ルヒドロキシルアミンを0.2部加え、反応を停止させ
た。その後、減圧で1,3−ブタジエンを除去し、ポリ
ブタジエンゴムラテックスを得た。これをラテックス
〔(a)−1〕とする(固形分56.2%)。このラテ
ックス〔(a)−1〕の評価結果を表1に示す。
【0049】
【表1】
【0050】参考例2グラフト共重合体〔(A)−1〕〜〔(A)−10〕の
調製 乳化剤としてロジン酸カリウム、重合開始剤としてクメ
ンハイドロパーオキサイド、重合開始助剤としてピロリ
ン酸ソーダ/ぶどう糖/硫酸第1鉄、分子量調節剤とし
てt−ドデシルメルカプタンを用い、乳化重合で、グラ
フト共重合体〔(A)−1〕〜〔(A)−10〕を得
た。なお、分子量調節剤であるt−ドデシルメルカプタ
ンの使用量を変えて、所望の極限粘度〔η〕、グラフト
率のものを得た。グラフト共重合体の製造に用いたゴム
状重合体(a)の種類/量、単量体成分(b)の種類/
量、および得られたグラフト共重合体のアセトン可溶分
の極限粘度〔η〕およびグラフト率を、表2に示す。
【0051】
【表2】
【0052】参考例3芳香族ビニル化合物系樹脂〔(B)−1〕〜〔(B)−
6〕の調製 溶媒としてトルエン、分子量調節剤としてt−ドデシル
メルカプタンを用い、150℃における溶液重合(単量
体/トルエン=100/30重量比)で、表3に示す重
合体〔(B)−1〕〜〔(B)−6〕を得た。なお、分
子量調節剤であるt−ドデシルメルカプタンの使用量を
変えて、所望の極限粘度〔η〕、グラフト率のものを得
た。重合体の製造に用いた単量体成分の種類/量、およ
び得られた重合体の極限粘度〔η〕を表3に示す。
【0053】
【表3】
【0054】実施例1〜6、比較例1〜12 上記各成分を、表4〜5に示す配合割合でヘンシェルミ
キサーを用いて混合し、ベント付き二軸押し出し機を用
いてシリンダー設定温度190〜210℃で溶融混練り
して押し出し、ペレット形状の成形用材料を得た。得ら
れたペレットを充分に乾燥したのち、射出成形により、
耐衝撃性、成形品表面外観評価用試験片および白色度測
定用試験片を得た。これらの試験片を用いて、上記評価
法で評価した結果を表4および表5に示す。実施例1〜
6は、本発明の熱可塑性樹脂組成物であり、いずれも、
耐衝撃性、成形加工性および耐変色性(白色度)に優れ
ている。
【0055】これに対し、比較例1は、本発明の(A)
成分のメチルエチルケトン可溶分の極限粘度〔η〕が本
発明の範囲外で低い例であり、耐衝撃性が劣る。比較例
2は、本発明の(A)成分のメチルエチルケトン可溶分
の極限粘度〔η〕が本発明の範囲外で高い例であり、成
形加工性が劣る。比較例3は、本発明の(A)成分のグ
ラフト率が本発明の範囲外で低い例であり、耐衝撃性お
よび成形加工性が劣る。比較例4は、本発明の(A)成
分のグラフト率が本発明の範囲外で高い例であり、耐衝
撃性および成形加工性が劣る。比較例5は、本発明の
(A)成分中のゴム状重合体(a)の使用量が本発明の
範囲外で少ない例であり、成形加工性が劣る。比較例6
は、本発明の(A)成分中のゴム状重合体(a)の使用
量が本発明の範囲外で多い例であり、耐衝撃性および成
形加工性が劣る。
【0056】比較例7は、本発明の(B)成分のメチル
エチルケトン可溶分の極限粘度〔η〕が本発明の範囲外
で低い例であり、耐衝撃性が劣る。比較例8は、本発明
の(B)成分のメチルエチルケトン可溶分の極限粘度
〔η〕が本発明の範囲外で高い例であり、成形加工性が
劣る。比較例9は、本発明の(I)成分中の(A)成分
の使用量が本発明の範囲外で少ない例であり、耐衝撃性
が劣る。比較例10は、本発明の(I)成分中の(A)
成分の使用量が本発明の範囲外で多い例であり、成形加
工性が劣る。比較例11は、本発明の(II) 成分の使用
量が本発明の範囲外で少ない例であり、白色度が劣る。
比較例12は、本発明の(II) 成分の使用量が本発明の
範囲外で多い例であり、成形加工性が劣る。
【0057】
【表4】
【0058】
【表5】
【0059】*)9,10−ジヒドロ−9−オキサ−1
0−フォスファフェナンスレン−10−オキサイド
【0060】
【発明の効果】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、耐衝撃
性、成形加工性および耐変色性に優れており、広範囲の
用途、例えば、電気・電子分野、OA・家電機器分野、
通信機器分野、車両分野、建築分野、サニタリー分野、
玩具・家庭用品雑貨分野、事務用品分野などの各パー
ツ、ハウジング、シャーシなどに有用である。
フロントページの続き (72)発明者 馬渡 政明 東京都中央区京橋一丁目18番1号 テクノ ポリマー株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゴム状重合体(a)35〜85重量%の
    存在下に、芳香族ビニル化合物、または芳香族ビニル化
    合物およびこれと共重合可能な他のビニル系単量体から
    なる単量体成分(b)65〜15重量%〔ただし、
    (a)+(b)=100重量%〕をグラフト重合してな
    るアセトン可溶分の極限粘度〔η〕(30℃、メチルエ
    チルケトン中で測定)が0.1〜2.0dl/g、グラ
    フト率が5〜120重量%であるグラフト共重合体
    (A)15〜60重量部と、 芳香族ビニル化合物、または芳香族ビニル化合物および
    これと共重合可能な他のビニル系単量体からなる単量体
    成分を(共)重合してなるメチルエチルケトン可溶分の
    極限粘度〔η〕(30℃、メチルエチルケトン中で測
    定)が0.1〜2.0dl/gである芳香族ビニル化合
    物系樹脂(B)85〜40重量部〔ただし、(A)+
    (B)=100重量部〕からなるゴム強化熱可塑性樹脂
    (I)100重量部に対し、 下記一般式(I)で表されるジヒドロオキサフォスファ
    フェナンスレン系リン化合物(II) 0.005〜5重量
    部を含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。 【化1】 (式中、R1 〜R2 は、同一または異なり、水素原子、
    ハロゲン原子または低級アルキル基を示し、R3 は水素
    原子、水酸基、低級アルコキシル基またはアルキル基を
    示す。)
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001115040A (ja) * 1999-08-06 2001-04-24 Teijin Chem Ltd 難燃性樹脂組成物およびそれからの成形品
JP2004250524A (ja) * 2003-02-19 2004-09-09 Denki Kagaku Kogyo Kk ゴム変性スチレン系樹脂組成物
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WO2021039368A1 (ja) 2019-08-30 2021-03-04 東レ株式会社 透明熱可塑性樹脂組成物、その製造方法、透明熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品および成形品の製造方法

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