JP3525546B2 - ゴム強化熱可塑性樹脂および熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
ゴム強化熱可塑性樹脂および熱可塑性樹脂組成物Info
- Publication number
- JP3525546B2 JP3525546B2 JP10066695A JP10066695A JP3525546B2 JP 3525546 B2 JP3525546 B2 JP 3525546B2 JP 10066695 A JP10066695 A JP 10066695A JP 10066695 A JP10066695 A JP 10066695A JP 3525546 B2 JP3525546 B2 JP 3525546B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- weight
- parts
- component
- compound
- thermoplastic resin
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
- Graft Or Block Polymers (AREA)
Description
およびこれを含有し、塗装密着性、塗装外観、耐衝撃
性、熱安定性に優れた熱可塑性樹脂組成物に関する。
は、耐薬品性、耐衝撃性、塗装性などの二次加工性に優
れていることから、自動車部品などの塗装して利用する
分野に展開している。この場合、グラフト共重合体、お
よび共重合体などの単量体成分として用いるシアン化ビ
ニル化合物の使用割合を増加させると、耐薬品性や塗装
時の外観などが改善されることがわかっている。しかし
シアン化ビニル化合物の増加によって、塗膜の密着性や
再塗装時の塗装ののりやすさなどが低下し、またシアン
化ビニル化合物単位の連鎖ができやすくなるために、熱
安定性が低下したり、他の樹脂をブレンドする時にブツ
が発生したりしていた。
の解決を目的とするものであり、ゴム強化熱可塑性樹脂
と、この樹脂を含有し、塗装密着性、塗装外観、耐衝撃
性、熱安定性に優れた熱可塑性樹脂組成物の提供を目的
とする。
鋭意研究の結果、ゴム状重合体の存在下、シアン化ビニ
ル化合物と芳香族ビニル化合物をグラフト共重合する際
にグラフト成分中のシアン化ビニル化合物の連鎖の内、
3連鎖以上の割合を11%以下とすることにより、耐衝
撃性および熱安定性が改良されることを見いだし、この
知見に基づいてこの発明を完成するに至った。すなわち
本発明は、ゴム状重合体(イ)20〜80重量部の存在
下に、芳香族ビニル化合物(a−1)30〜75重量
%、シアン化ビニル化合物(b−1)25〜70重量
%、これらと共重合可能な他のビニル系化合物(c−
1)0〜30重量%[ただし、(a−1)+(b−1)
+(c−1)=100重量%]からなる単量体成分
(ロ)80〜20重量部[ただし、(イ)+(ロ)=1
00重量部]を連鎖移動剤であるテルペノイド系化合物
を用いて重合して得られ、アセトニトリル可溶成分の極
限粘度[η](30℃、ジメチルホルムアミド中で測
定)が0.27〜0.7cm3/g、グラフト率が25
〜150%、アセトニトリルに可溶なポリマー中のシア
ン化ビニル成分の含有量が28〜45重量%であり、グ
ラフト成分中のシアン化ビニル化合物連鎖の内、3連鎖
以上のものの割合が、11%以下であることを特徴とす
るゴム強化熱可塑性樹脂、ならびに上記のゴム強化熱可
塑性樹脂(A)10〜99重量部と、芳香族ビニル化合
物(a−2)30〜75重量%、シアン化ビニル化合物
(b−2)25〜70重量%、これらと共重合可能な他
のビニル系化合物(c−2)0〜30重量%[ただし、
(a−2)+(b−2)+(c−2)=100重量%]
の共重合体(B)90〜1重量部[ただし、(A)+
(B)=100重量部]からなることを特徴とする熱可
塑性樹脂組成物、を提供するものである。
発明のゴム強化熱可塑性樹脂(以下「(A)成分」とい
うことがある)に用いるゴム状重合体(イ)としては、
例えばポリブタジエン、ポリイソプレン、ブチルゴム、
スチレン−ブタジエン共重合体(スチレン含量5〜60
重量%がこのましい)、スチレン−イソプレン共重合
体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、エチレン
−α−オレフィン共重合体、エチレン−α−オレフィィ
ン−ポリエン共重合体、シリコンゴム、アクリルゴム、
ブタジエン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ス
チレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−イソ
プレンブロック共重合体などが挙げられ、またスチレン
−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレン
ブロック共重合体には、AB型、ABA型、テーパー
型、ラジアルテレブロック型の構造を有するものなどが
含まれる。さらに、水素化ブタジエン系重合体の場合
は、上記ブロック共重合体のほかに、スチレンブロック
とスチレン−ブタジエンランダム共重合体のブロック体
の水素化物、ポリブタジエン中の1,2−ビニル結合含
有量が20重量%以下のブロックと1,2−ビニル結合
含量が20重量%を超えるブロックからなる重合体の水
素化物などが含まれる。
合体である。ジエン系ゴム状重合体としては、好ましく
は共役ジエンの含量が50重量%以上、さらに好ましく
は70重量%以上であり、1種以上の単量体を重合して
得られるジエン系ゴム状重合体が挙げられる。該ジエン
系ゴム状重合体を構成する共役ジエンとしては、ブタジ
エン、イソプレン、クロロプレンなどを使用することが
でき、これらの内ブタジエンが好ましい。
ては、芳香族ビニル、不飽和カルボン酸、メタクリル酸
アルキルエステル、アクリル酸アルキルエステル、シア
ン化ビニル、N−置換マレイミド、多官能性単量体など
が挙げられる。ジエン系ゴム状重合体中の共役ジエンの
共重合含量が50重量%以上であると、熱可塑性樹脂の
低温時における耐衝撃性が優れる点で好ましい。
使用されている乳化剤、電解質、重合調節剤、重合開始
剤などを用いることができる。乳化剤としては、ロジン
酸のアルカリ金属塩、脂肪酸のアルカリ金属塩、脂肪族
アルコール硫酸エステルのアルカリ金属塩、アルキルア
リルスルホン酸のアルカリ金属塩、ジアルキルスルホコ
ハク酸エステルのアルカリ金属塩、ポリオキシエチレン
アルキル(フェニル)エーテル硫酸のアルカリ金属塩、
ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル燐酸
のアルカリ金属塩などが挙げられ、電解質としては、硫
酸、燐酸、塩酸、炭酸の各アルカリ金属塩などが挙げら
れ、これらは1種または2種以上が使用される。
類、テルペン類、ハロゲン化物などが必要に応じて添加
でき、重合開始剤としては、過硫酸塩、有機ハイドロパ
ーオキサイド類、あるいは有機ハイドロパーオキサイド
類と還元剤の組み合わせによるレドックス触媒などが好
適に使用できる。
は、単量体の一括添加重合、連続的添加重合、多段階重
合、例えば特定組成、特定量の単量体を連続的添加重合
する特定単量体の連続的添加重合、各段の組成を変えた
多段階重合などの一般に広く知られている乳化重合方法
を適用することができる。
が異なる1種以上のゴム状重合体の混合や、ラテックス
平均粒子径が異なる1種以上のゴム状重合体の混合、あ
るいは単量体組成が異なる1種以上のゴム状重合体の混
合など複数のゴム状重合体の混合ラテックスであっても
よい。ゴム状重合体(イ)の使用量は20〜80重量部
[単量体成分(ロ)は20〜80重量部]であり、好ま
しくは30〜70重量部[単量体成分(ロ)は30〜7
0重量部]さらに好ましくは35〜65重量部[単量体
成分(ロ)は35〜65重量部]である。
[単量体成分(ロ)は80重量部を超える]であると、
配合する単量体成分(ロ)の配合量を多く必要とし、結
果的に配合できる共重合体(B)の配合量が少なくなる
ため、塗膜密着性が低下し、80重量部を超える[単量
体成分(ロ)は20重量部未満]と成形加工性、熱安定
性が低下し好ましくない。特に、ゴム状重合体の使用量
が40〜60重量部であると、塗装外観、塗膜密着性の
バランスが一段と向上する。
する単量体成分(ロ)について述べる。芳香族ビニル化
合物(a−1)としては、スチレン、t−ブチルスチレ
ン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニ
ルベンゼン、1,1−ジフェニルスチレン、ブロモスチ
レン、ビニルピリジン、ビニルキシレン、フルオロスチ
レン、エチルスチレンなどが挙げられ、特にスチレン、
α−メチルスチレンが好ましい。シアン化ビニル化合物
(b−1)としては、アクリロニトリル、メタクリロニ
トリルなどがあり、1種単独であるいは2種以上混合し
て用いられる。ここで使用される芳香族ビニル化合物及
び/又はシアン化ビニル化合物と共重合可能な他のビニ
ル系化合物(c−1)としては、(メタ)アクリル酸エ
ステル、マレイミド系化合物、不飽和酸、酸無水物基含
有不飽和化合物、エポキシ基含有不飽和化合物、ヒドロ
キシル基含有不飽和化合物、アミノ基含有不飽和化合物
およびオキサゾリン基含有不飽和化合物などがあり、こ
れらは1種または2種以上で使用される。
チルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアク
リレート、ブチルアクリレート、アミノアクリレート、
ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エ
チルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレー
ト、ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレー
ト、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレートなど
のアクリル酸エステル:メチルメタクリレート、エチル
メタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタ
クリレート、アミノメタクリレート、ヘキシルメタクリ
レート、オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシル
メタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ドデ
シルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、フ
ェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレートなどの
メタクリル酸エステルなどがあり、これらは1種または
2種以上で使用される。マレイミド系化合物としては、
マレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイ
ミド、N−(p−メチルフェニル)マレイミド、N−フ
ェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなど
が1種または2種以上で使用される。
ル酸、マレイン酸などがある。酸無水物基含有不飽和化
合物としては、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無
水イタコン酸などがある。エポキシ基含有不飽和化合物
としては、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジ
ルエーテルなどがある。アミノ基含有不飽和化合物とし
ては、アクリルアミン、メタクリル酸アミノエチル、メ
タクリル酸アミノプロピル、アミノスチレン、アクリル
アミド、メタクリルアミドなどがある。ヒドロキシル基
含有不飽和化合物としては、ヒドロキシスチレン、3−
ヒドロキシ−1−プロペン、4−ヒドロキシ−1−ブテ
ン、シス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、トランス−4
−ヒドロキシ−2−ブテン、3−ヒドロキシ−2−メチ
ル−1−プロペン、2−ヒドロキシエチルアクリレー
ト、2−ヒドロキシエチルメタクリレートなどがある。
オキサゾリン基含有不飽和化合物としては、ビニルオキ
サゾリンなどがある。
中の芳香族ビニル化合物(a−1)の使用割合は75〜
30重量%、好ましくは70〜35重量%、さらに好ま
しくは67〜40重量%、特に好ましくは65〜45重
量%である。シアン化ビニル化合物(b−1)の使用割
合は25〜70重量%、好ましくは30〜65重量%、
さらに好ましくは33〜60重量%、特に好ましくは3
5〜55重量%である。共重合可能な他のビニル系化合
物(c−1)の使用割合は0〜30重量%、好ましくは
0〜25重量%、さらに好ましくは0〜20重量%、特
に好ましくは0〜15重量%である。(b−1)が25
重量%未満であると、または(a−1)が75重量%を
超えると塗装外観が低下する。一方、(b−1)が70
重量%を超えると、または(a−1)が30重量%未満
であると、グラフト成分中のシアン化ビニル化合物の3
連鎖以上のものの割合がシアン化ビニル化合物に由来す
る連鎖の11%を超え、熱安定性が低下するので好まし
くない。本発明の(A)成分は、ゴム状重合体(イ)の
存在下で単量体成分(ロ)を重合することで得られる。
重合は通常、懸濁重合、乳化重合、好ましくは乳化重合
により前記ゴム状重合体と同様な方法で行うことができ
る。重合開始剤、乳化剤、重合調節剤としては、前記ゴ
ム状重合体を製造するのに用いたものと同様に一般的な
ものが使用される。しかしこれらに限定されるものでは
ない。
る連鎖移動剤としては、炭化水素系化合物であるテルピ
ノーレンに代表されるテルペノイド系化合物、α−メチ
ルスチレンダイマーなどに代表される芳香族化合物が好
ましく、特にテルペノイド系化合物が好ましい。メルカ
プタン系化合物を用いると、グラフト成分中のシアン化
ビニル化合物の3連鎖以上のものの割合が高くなり、好
ましくない。メルカプタン系連鎖移動剤を併用する場合
にも、全連鎖移動剤のうち炭化水素系連鎖移動剤を好ま
しくは30%以上、さらに好ましくは40%以上、特に
好ましくは50%以上用いることによりシアン化ビニル
化合物の3連鎖以上のものの割合を10%以下にし易く
なるため好ましい。
法としては、一括添加、連続的添加、各段の組成を変え
た多段階添加などの一般に広く知られている方法をとる
ことができる。(A)成分は、凝固、洗浄などの回収工
程を経て乾燥後粉体とする。なお、本発明の(A)成分
中のゴム状重合体(イ)に結合していない単量体成分
(ロ)からなる共重合体(アセトニトリル可溶成分)の
極限粘度[η]は、0.2 7〜0.7cm 3 /g、好まし
くは0.28〜0.65cm 3 /g、さらに好ましくは
0.29〜0.6cm 3 /g、特に好ましくは0.3〜
0.5cm 3 /gである。この極限粘度が0.27cm 3
/g未満であると、剛性と耐衝撃性のバランスが得られ
ず、一方0.7cm 3 /gを超えると成形加工性が低下
し、またブツが発生するので好ましくない。極限粘度
[η]は、遊離の共重合体を単離し、ジメチルホルムアミ
ドに溶解し、30℃の温度条件下でウベローデ型粘度計
で測定した。
マー中のシアン化ビニル成分の含有量は、28〜45重
量%であり、好ましくは29〜43重量%、さらに好ま
しくは30〜42重量%、特に好ましくは32〜40重
量%である。
%、好ましくは30〜120%、さらに好ましくは35
〜100%、特に好ましくは40〜80%である。グラ
フト率が25%未満であると、耐衝撃性が低くなる傾向
にあり、好ましくない。また150%を超えるとブツが
発生し好ましくない。このグラフト率は下記の方法で求
められる。まず本発明の(A)成分2gを室温のN,N
−ジメチルホルムアミドに投入し、充分攪拌し、不溶解
分の重量(w)を求める。一方、(A)成分2g中のゴ
ム状重合体(イ)の重量は、重合処方をもとに算出する
ことができる。この算出されたゴム状重合体(イ)の重
量をRとし、次式よりグラフト率を求める。 グラフト率(%)=[(w−R)/R]×100(重量
比)なお、上記の(w−R)が本発明でいうグラフト成分で
ある。また、 グラフト率は、重合開始剤量、重合温度な
どによって制御することができる。
中のシアン化ビニル化合物連鎖の内、3連鎖以上のもの
の割合は、11%以下であり、好ましくは1〜10%、
さらに好ましくは2〜9%である。グラフト鎖成分中の
シアン化ビニル化合物の3連鎖以上のものの割合が11
%を超えると、熱安定性が悪化し、また押し出し、成形
時などにブツを発生し易く好ましくない。
「(B)成分」ということがある)について説明する。
共重合体(B)に用いられる単量体である芳香族ビニル
化合物(a−2)、シアン化ビニル化合物(b−2)、
共重合可能な他のビニル系化合物(c−2)としては、
(A)成分で記述された(a−1)、(b−1)、(c
−1)と全く同じもを使用することができる。(B)成
分中の芳香族ビニル化合物(a−2)の使用割合は30
〜75重量%、好ましくは70〜35重量%、さらに好
ましくは67〜40重量%、特に好ましくは65〜45
重量%である。シアン化ビニル化合物(b−2)の使用
割合は25〜70重量%、好ましくは30〜65重量
%、さらに好ましくは33〜60重量%、特に好ましく
は35〜55重量%である。共重合可能な他のビニル系
化合物(c−2)は0〜30重量%、好ましくは0〜2
5重量%、さらに好ましくは0〜20重量%、特に好ま
しくは0〜15重量%である。(b−2)が25重量%
未満では又は(a−2)が75重量%を超えると、塗装
外観が悪くなり、一方(b−2)が70重量%を超える
と又は(a−2)が30重量%未満では、塗膜密着性が
低下し、熱安定性なども悪化し、着色し易くなる。
いは乳化重合により製造される。ここで、溶液重合、乳
化重合での好ましい重合方法は、その反応系における単
量体組成比と単量体反応性比に依存し、ある単量体組成
比の反応系より共重合反応を進行させると、単量体組成
比がアゼオトロープ組成である場合を除き、未反応単量
体の組成比とこれから生成する共重合体の組成は、共重
合反応の進行とともに変化していく。したがって、組成
が均一の共重合体(B)を製造するには、単量体反応性
比に適した単量体組成比で初期仕込を行って、共重合反
応を開始させ、以後、共重合反応の進行にともなって反
応消費速度の速い単量体である芳香族ビニル化合物を反
応系に追加供給することによって、共重合反応が終結す
るまで共重合反応系の単量体組成比をほぼ一定に維持す
ることが重要である。
セトニトリル、ジメチルホルムアミドなどが使用でき、
重合開始剤としては、パラメンタンハイドロパーオキサ
イド、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキ
サイドなどが挙げられ、もしくは熱重合することもで
き、さらに連鎖移動剤としては、メルカプタン類、炭化
水素類などが使用され、重合温度は60〜150℃程度
である。前記共重合体(B)は、凝固、洗浄、脱溶など
の回収工程を経て、乾燥後粉体または粒体とする。共重
合体(B)の分子量は、その極限粘度[η]が、好ましく
は0.2〜0.9cm 3 /g、さらに好ましくは0.2
5〜0.8cm 3 /g、特に好ましくは0.3〜0.7
cm 3 /gである。極限粘度が0.2cm 3 /g未満であ
ると、耐衝撃性が低下し、0.9cm 3 /gを超えると
成形加工性が低下し好ましくない。極限粘度は、(B)
成分をメチルエチルケトンに溶解し、30℃の温度条件
下でウベローデ型粘度計で測定した。
量は好ましくは20〜50重量%、より好ましくは23
〜45重量%、さらに好ましくは25〜43重量%、特
に好ましくは27〜40重量%である。また(B)成分
中のシアン化ビニル化合物連鎖の内、3連鎖以上のもの
の割合は、好ましくは15%以下であり、さらに好まし
くは1〜11%、特に好ましくは2〜10%である。
樹脂組成物における配合割合について説明する。(A)
成分の配合割合は10〜99重量部であり、好ましくは
15〜90重量部、さらに好ましくは20〜80重量
部、特に好ましくは25〜70重量部である。(B)成
分の配合割合は90〜1重量部であり、好ましくは85
〜10重量部、さらに好ましくは80〜20重量部、特
に好ましくは75〜30重量部である。(A)成分の配
合量が10重量部未満[(B)成分の配合量が90重量
部を超える]であると耐衝撃性が十分でなく、また塗膜
密着性も十分でない。また、(A)成分の配合量が99
重量部以下[(B)成分の配合量が1重量部以上]であ
ると光沢、加工性の向上がみられ好適である。
知の重合体を配合することができる。配合できる重合体
としては、例えばエチレン−プロピレン共重合体、EP
DM、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレ
ン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体および水素
添加物、スチレン−ブタジエン−スチレンラジアルテレ
ブロック共重合体および水素添加物、ポリプロピレン、
ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリ塩化ビニ
ル、ポリカーボネート、PET、PBT、ポリアセター
ル、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、エポキシ樹
脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリスルホン、エチレン−
酢酸ビニル共重合体、ポリイソプレン、天然ゴム、塩素
化ブチルゴム、塩素化ポリエチレン、PPE樹脂、PP
S樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、スチレン−無水
マレイン酸共重合体、ポリアミドエラストマーなどが挙
げられる。
応じて次のような添加剤も添加できる。酸化防止剤、例
えば2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、
2−(1−メチルシクロヘキシル)−4,6−ジメチル
フェノール、2,2′−メチレン−ビス−(4−エチル
−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−チオビス−
(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、ジラウリ
ルチオジプロピオネート、トリス(ジ−ノニルフェニ
ル)ホスファイト;紫外線吸収剤、例えばp−t−ブチ
ルフェニルサリシレート、2,2′−ジヒドロキシ−4
−メトキシベンゾフェノン、2−(2′−ヒドロキシ−
4′−n−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール;
滑剤、例えばパラフィンワックス、ステアリン酸、硬化
油、ステアロアミド、メチレンビスステアロアミド、エ
チレンビスステアロアミド、n−ブチルステアレート、
ケトンワックス、オクチルアルコール、ラウリルアルコ
ール、ヒドロキシステアリン酸トリグリセリド;難燃
剤、例えば酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、ほう
酸亜鉛、トリクレジルホスフェート、トリス(ジクロロ
プロピル)ホスフェート、塩素化パラフィン、テトラブ
ロモブタン、ヘキサブロモベンゼン、テトラブロモビス
フェノールA;帯電防止剤、例えばステアロアミドプロ
ピルジメチル−β−ヒドロキシエチルアンモニウムニト
レート;着色剤、例えば酸化チタン、カーボンブラッ
ク;充填剤、例えば炭酸カルシウム、クレー、シリカ、
ガラス繊維、ガラス球、カーボン繊維;顔料などを必要
に応じて添加することができる。
機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールなどを用
い、各成分を混練りすることによって得られる。好まし
い製造方法は、二軸押出機を用いる方法である。また、
各成分を混練りするに際して、各成分を一括して混練り
してもよく、多段添加方式で混練りしてもよい。このよ
うにして得られる本発明の熱可塑性樹脂組成物は、射出
成形、シート押出、真空成形、異形成形、発泡成形、ブ
ロー成形などによって各種成形品に成形することができ
る。上記成形法によって得られる各種成形品は、その優
れた性質を利用して、自動車部品、家電製品などの各パ
ーツ、部品などに使用することができる。
が、これらは本発明の範囲を限定するものではない。 参考例1 (A)成分(A−1)の製造 ポリブタジエンゴムラテックス(固形分換算) 50重量部 ロジン酸カリウム 1.3重量部 スチレン 5重量部 アクリロニトリル 5重量部 テルピノーレン 0.1重量部 脱イオン水 125重量部 以上の成分をフラスコに仕込み、窒素気流下で攪半しな
がら50℃に保ち、開始剤として、 ピロリン酸ナトリウム 0.4重量部 硫酸第一鉄 0.008重量部 デキストローズ 0.5重量部 を水溶液として、 クメンヒドロキシパーオキサイド 0.2重量部 をそのまま、フラスコ内に添加し、重合を開始し、下記
の単量体混合物を5時間かけて連続的に添加し、添加終
了後さらに70℃で1時間反応させ重合を終了させた。 スチレン 22重量部 アクリロニトリル 18重量部 テルピノーレン 0.1重量部 クメンヒドロキシパーオキサイド 0.23重量部 得られた(A−1)成分のラテックスの最終重合添加率
は94%であった。この(A−1)成分のラテックスを
硫酸で凝固させ、次いで水洗、乾燥して粉末重合体を得
た。この(A−1)成分の各物性を表1に示す。
−10)]の製造 単量体成分、重合温度、重合開始剤、分子量調節剤など
を変更した以外は、参考例1と同様にして(A−2)〜
(A−10)成分を得、参考例1と同様にしてその物性
を評価した。結果を表1に示す。
下で攪半しつつ、140℃に昇温し、重合反応を開始さ
せた。その後、2時間かけて反応させて、重合を終了し
た。重合後の重合添加率は96%であった。得られた共
重合体溶液をストリッピング、粉砕、乾燥を行い、共重
合体を得た。
4)]の製造 アクリロニトリル、スチレンの比率を変更した以外は、
参考例3と同様な操作を行い、表2に示す共重合体(B
−2)〜(B−4)を得た。
共重合体(B−1)65重量部を配合し、ヘンシェルミ
キサーで予備混合した。これを二軸押出機を用いて、溶
融混練りし、ペレット化した。ペレットを目視し、ブツ
の発生の有無を評価した。次にこのペレットを用いて、
射出成形機(名機製作所(株)MS−32)により試験
片を作製し、耐衝撃性および熱安定性を評価した。耐衝
撃性の評価サンプルは230℃で成形し、熱安定性の評
価サンプルは260℃で成形した。さらに射出成形機
(東芝機械(株)IS−125CN−II)を用いて、平
板の試験片を作製し、塗装性を評価した。評価結果を表
3に示す。
×100mm×3mm)に、ウレタン系塗料(ソフレッ
クス:関西ペイント製)を膜厚が約75μm(乾燥後)
となるようにスプレー塗装、乾燥を行った後、塗装表面
の外観、塗膜の密着性を評価した。 (1−1)塗装表面の外観評価 塗装外観の評価は、塗膜が乾燥後、表面に生じる色むら
について目視による3段階評価をおこなった。 (1−2)塗膜の密着性 塗膜の密着性は塗膜が乾燥後、カッターにて1mm×1
mmのクロスカットを試験片に行い、これをウォタージ
ェットを用いて水洗し、試験片に残存する塗膜の面積を
計量して密着性を残存する面積の割合で評価した。 (2)耐衝撃性(アイゾット衝撃強度):ASTM D
−256に準じて測定した。(ノッチ付き、厚さ1/4
インチ) (3)熱安定性:高温(260℃)で成形した評価サン
プルを用いて(2)と同様にして耐衝撃性を測定し、
(2)の結果と比較して評価した。 (4)シアン化ビニル化合物の連鎖割合13C−NMR測
定を実施し、シアン化ビニル化合物のCN結合の炭素の
化学シフトの強度の比率によりシアン化ビニル化合物の
連鎖の割合を測定した。
(A)成分と共重合体(B)だけを変更して、樹脂組成
物を調製し、実施例1で行ったのと同様な方法により物
性を測定した。測定結果を表3に示す。
は、本発明の範囲内であり、耐衝撃性、熱安定性、塗装
性が良好である。これに対して、比較例に用いられた
(A)成分のA−8〜A−12は本発明の特許請求の範
囲を外れたものである。比較例1は(A)成分のシアン
化ビニル成分の含有量が本発明よりも少ない場合であ
り、比較例2は逆に含有量が本発明よりも多すぎる場合
である。いずれも良好な塗装性が得られておらず、比較
例2では、耐衝撃性、熱安定性も劣っている。比較例
3、5は(A)成分のA−10、A−12のシアン化ビ
ニル化合物の三連鎖以上のものの割合が多すぎるため、
良好な熱安定性が得られていない。比較例4は(A)成
分の[η]が本発明の範囲より低すぎるために良好な耐衝
撃性が得られていない。
る樹脂組成物は塗装性などの二次加工性および耐衝撃
性、熱安定性に優れ、車両、家電などの広範囲の用途に
有用である。
Claims (3)
- 【請求項1】 ゴム状重合体(イ)20〜80重量部の
存在下に、芳香族ビニル化合物(a−1)30〜75重
量%、シアン化ビニル化合物(b−1)25〜70重量
%、これらと共重合可能な他のビニル系化合物(c−
1)0〜30重量%[ただし、(a−1)+(b−1)
+(c−1)=100重量%]からなる単量体成分
(ロ)80〜20重量部[ただし、(イ)+(ロ)=1
00重量部]を連鎖移動剤であるテルペノイド系化合物
を用いて重合して得られ、アセトニトリル可溶成分の極
限粘度[η](30℃、ジメチルホルムアミド中で測定)
が0.27〜0.7cm3/g、グラフト率が25〜1
50%、アセトニトリルに可溶なポリマー中のシアン化
ビニル成分の含有量が28〜45重量%であり、グラフ
ト成分中のシアン化ビニル化合物連鎖の内、3連鎖以上
のものの割合が、11%以下であることを特徴とするゴ
ム強化熱可塑性樹脂。 - 【請求項2】 請求項1記載のゴム強化熱可塑性樹脂
(A)10〜99重量部と、芳香族ビニル化合物(a−
2)30〜75重量%、シアン化ビニル化合物(b−
2)25〜70重量%、これらと共重合可能な他のビニ
ル系化合物(c−2)0〜30重量%[ただし、(a−
2)+(b−2)+(c−2)=100重量%]の共重
合体(B)90〜1重量部[ただし、(A)+(B)=
100重量部]からなることを特徴とする熱可塑性樹脂
組成物。 - 【請求項3】 上記共重合体(B)中のシアン化ビニル
成分の含有量は20〜50重量%である請求項2記載の
熱可塑性樹脂組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10066695A JP3525546B2 (ja) | 1995-03-31 | 1995-03-31 | ゴム強化熱可塑性樹脂および熱可塑性樹脂組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10066695A JP3525546B2 (ja) | 1995-03-31 | 1995-03-31 | ゴム強化熱可塑性樹脂および熱可塑性樹脂組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08269144A JPH08269144A (ja) | 1996-10-15 |
JP3525546B2 true JP3525546B2 (ja) | 2004-05-10 |
Family
ID=14280113
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10066695A Expired - Fee Related JP3525546B2 (ja) | 1995-03-31 | 1995-03-31 | ゴム強化熱可塑性樹脂および熱可塑性樹脂組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3525546B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4440353B2 (ja) * | 1997-10-28 | 2010-03-24 | テクノポリマー株式会社 | ゴム変性熱可塑性樹脂、およびその組成物 |
JP4855607B2 (ja) * | 2001-08-14 | 2012-01-18 | テクノポリマー株式会社 | ゴム変性熱可塑性樹脂組成物 |
JP2007023098A (ja) * | 2005-07-13 | 2007-02-01 | Umg Abs Ltd | 熱可塑性樹脂組成物およびその成形品 |
JP5632447B2 (ja) * | 2012-12-26 | 2014-11-26 | ユーエムジー・エービーエス株式会社 | 熱可塑性樹脂組成物およびその成形品 |
-
1995
- 1995-03-31 JP JP10066695A patent/JP3525546B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH08269144A (ja) | 1996-10-15 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JPS63146960A (ja) | 熱可塑性樹脂組成物 | |
JPS61218651A (ja) | 艶消しされた熱可塑性樹脂組成物 | |
JP3525546B2 (ja) | ゴム強化熱可塑性樹脂および熱可塑性樹脂組成物 | |
JP3235411B2 (ja) | ゴム変性熱可塑性樹脂およびその組成物 | |
JP4119117B2 (ja) | 熱可塑性樹脂組成物 | |
JPH0791341B2 (ja) | マレイミド系共重合体およびその製造方法 | |
JP3850504B2 (ja) | 熱可塑性樹脂組成物 | |
JPH1160882A (ja) | 熱可塑性樹脂組成物 | |
JP3109378B2 (ja) | 耐衝撃性樹脂組成物の製造方法 | |
JPH11286587A (ja) | 熱可塑性樹脂組成物および塗装成形品 | |
JP3387230B2 (ja) | 熱可塑性樹脂組成物 | |
JP3286971B2 (ja) | スチレン系共重合体、該共重合体を含有する熱可塑性樹脂組成物及びそれらの製造法 | |
JP5067812B2 (ja) | 熱可塑性エラストマー組成物 | |
JP4103972B2 (ja) | ゴム変性熱可塑性樹脂 | |
JP4103973B2 (ja) | ゴム変性熱可塑性樹脂およびその組成物 | |
JP2004018684A (ja) | 熱可塑性樹脂組成物及びその成形品 | |
JP3256453B2 (ja) | 熱安定性の良好な共重合体からなる改質剤 | |
JPS6343949A (ja) | ポリカ−ボネ−ト樹脂組成物 | |
JPS63162750A (ja) | 熱可塑性樹脂組成物 | |
JPH11228765A (ja) | 熱可塑性樹脂組成物 | |
JP4286620B2 (ja) | 熱可塑性樹脂組成物およびその成形品 | |
JP2927900B2 (ja) | 艶消し性熱可塑性樹脂組成物 | |
JPH10218951A (ja) | 架橋樹脂粒子の製法およびそれからえられた架橋樹脂粒子、ならびにそれを含有してなる熱可塑性樹脂組成物 | |
JPH10182759A (ja) | 熱安定性の良好なグラフト共重合体組成物 | |
JP3536793B2 (ja) | 耐衝撃性樹脂組成物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20031225 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20040127 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20040209 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090227 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090227 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100227 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100227 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110227 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120227 Year of fee payment: 8 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120227 Year of fee payment: 8 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130227 Year of fee payment: 9 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140227 Year of fee payment: 10 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |