JP2001115040A - 難燃性樹脂組成物およびそれからの成形品 - Google Patents

難燃性樹脂組成物およびそれからの成形品

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JP2001115040A
JP2001115040A JP2000236753A JP2000236753A JP2001115040A JP 2001115040 A JP2001115040 A JP 2001115040A JP 2000236753 A JP2000236753 A JP 2000236753A JP 2000236753 A JP2000236753 A JP 2000236753A JP 2001115040 A JP2001115040 A JP 2001115040A
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JP2000236753A
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Katsuhiro Yamanaka
克浩 山中
Yoshihiko Nishino
良彦 西野
Kazuhiko Furuya
和彦 古屋
Yutaka Takeya
竹谷  豊
Kazuyuki Tando
和志 丹藤
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Chemicals Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性、抗菌防黴性に優れ、高い難燃性を有
するノンハロゲンの樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 (A)有機重合体からなる、殊にスチレ
ン系樹脂を主とする樹脂成分(A成分)および(B)特
定の有機環状リン化合物を少なくとも5重量%含む有機
リン化合物(B成分)からなり、A成分100重量部に
対して、B成分が1〜70重量部であることを特徴とす
る難燃性樹脂組成物およびそれからの成形品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐熱性に優れ、防
菌防黴性を有し、高い難燃性を持つ成形性の良好な樹脂
組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】スチレン系樹脂などの熱可塑性樹脂のよ
うな有機重合体は耐衝撃性に優れ、さらに成形性も優れ
ていることから、オフィスオートメーション機器部品、
家電製品部品、自動車部品など多岐の分野で使用されて
いる。しかし、これらの有機重合体は、易燃性のため
に、その用途は制限されている。有機重合体、殊にスチ
レン系樹脂の難燃化の方法としてはハロゲン系、リン
系、無機系の難燃剤を添加することが知られており、そ
れによりある程度難燃化が達成されている。しかしなが
ら、製品の安全性を高める為にオフィスオートメーショ
ン機器や、家電製品の成形品には、アメリカの規格であ
るアンダーライターズラボラトリー(UL)社のサブジ
ェクト94にもとづく難燃試験の規制が年々厳しくなっ
ており、より高度の難燃化が要求されている。
【0003】従来、スチレン系樹脂の難燃性を向上させ
る方法として、例えばスチレン系樹脂、メラミン等の窒
素化合物、ポリオールおよび有機リン酸エステルからな
る樹脂組成物(特開平4−117442号公報)や特定
平均ゴム粒子径のゴム変性スチレン樹脂とハロゲン系難
燃剤からなる着火溶融滴下型自己消炎性スチレン系樹脂
組成物(特公平6−43542号公報)が知られてい
る。しかしながら、これらの公報の樹脂組成物は難燃性
が充分ではなく、その使用範囲が限られるという問題が
あった。
【0004】さらに、近年、ハロゲンを含有する有機化
合物が、環境に悪影響を及ぼすという報告がなされ、欧
州を中心としてノンハロゲン化の動きが盛んになってき
た。難燃剤においてもノンハロゲン系の需要が高まり、
各樹脂に対するノンハロゲン系難燃剤の開発が盛んに行
われるようになった。ところが、スチレン系樹脂のノン
ハロゲン難燃化に関しては、これまでは、その易燃性か
ら困難とされてきた。
【0005】かかる分野の公知技術として、特開平8−
176396号公報や特開平8−120152号公報で
は特定のゴム変性スチレン系樹脂とリン系難燃剤との樹
脂組成物が開示され、具体的には、リン系難燃剤として
トリフェニルホスフェート及びその誘導体や赤リンが使
用され、溶融滴下自己消火性の難燃性が発現することが
示されている。しかしながら、トリフェニルホスフェー
ト及びその誘導体は、その可塑効果によって流動性を上
げ、着火溶融滴下を容易にし、難燃性を発現したもので
あり、かかる樹脂組成物は、耐熱性が著しく低下し、成
形性に劣り、実用性に乏しいという欠点がある。赤リン
を用いた場合は、樹脂組成物の押出成形時に有毒なホス
フィンガスが発生し易く、赤リンの取り扱いが難しい等
の問題があり、また得られる樹脂組成物が赤リン特有の
褐色になり、その使用範囲が限られるという欠点があ
る。
【0006】また、特開平8−311278号公報で
は、ゴム変性スチレン系樹脂、有機リン化合物単量体と
有機リン化合物縮合体およびシリコーンオイルからな
り、該有機リン化合物中に上記単量体を50〜100重
量%含むことを特徴とする溶融滴下自己消火性スチレン
系難燃樹脂組成物が開示されている。しかしながら、か
かる樹脂組成物も耐熱性に劣り、実用性に乏しいという
欠点がある。
【0007】このように、従来のゴム変性スチレン系難
燃樹脂組成物においては、難燃性は達成されるけれども
耐熱性に劣り、殊にOA機器ハウジング等の高い耐熱性
を要求される用途に使用することは困難であり、その改
善が求められている。
【0008】一方、近年、住宅の洋風化による気密性向
上により、室内に黴や細菌が繁殖し易い環境となってお
り、これに伴い樹脂への抗菌防黴性付与の要求が高まっ
ている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、耐熱性およ
び成形性に優れ、且つ、着火溶融滴下型の難燃性能を持
ち、さらに抗菌防黴性を有する樹脂組成物を提供するこ
とを目的とする。本発明者は、前記目的を達成するため
に、鋭意検討した結果、有機重合体、殊にスチレン系樹
脂を主として含有する樹脂に、特定の有機環状リン化合
物を含む有機リン化合物を特定量配合することにより、
耐熱性および成形性に優れ、難燃性の良好な抗菌防黴性
を有する樹脂組成物が得られることを見出し、本発明に
到達した。
【0010】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明によれ
ば、(A)有機重合体からなる樹脂成分(A成分)およ
び(B)下記一般式(1)で表される有機環状リン化合
物を少なくとも5重量%含む有機リン化合物(B成分)
からなり、A成分100重量部に対して、B成分が1〜
70重量部であることを特徴とする難燃性樹脂組成物が
提供される。
【0011】
【化2】
【0012】(式中、m、nは0〜4の整数であり、R
1及びR2は同一または異なっていてもよく、炭素数1〜
15の脂肪族炭化水素、炭素数3〜14の芳香族基を有
する炭化水素、またはビフェニルへの結合が酸素原子、
硫黄原子を介する炭素数1〜15の脂肪族炭化水素、も
しくはビフェニルへの結合が酸素原子、硫黄原子、炭素
数1〜4の脂肪族炭化水素基を介する炭素数3〜14の
芳香族基を有する炭化水素を示す。)
【0013】本発明において、A成分の樹脂成分は有機
重合体であり、かかる有機重合体としては、熱可塑性樹
脂および熱硬化性樹脂がある。熱可塑性樹脂としては、
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリ
スチレン、耐衝撃性ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹
脂、ポリフェニレンエーテル、ポリメチルメタクリレー
ト、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレートなどのポ
リエステル、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルフ
ァイド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリイ
ミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリレート、
ポリエーテルニトリル、ポリチオエーテルスルホン、ポ
リベンズイミダゾール、ポリカルボイミド、液晶樹脂、
複合化プラスチックなどがある。熱硬化性樹脂として
は、ポリウレタン、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿
素樹脂、不飽和ポリエステル、ジアリルフタレート樹脂
などがある。上記樹脂は1種または2種以上が混合され
て用いられてもよい。
【0014】また、好ましい樹脂成分として、スチレン
系樹脂を少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも
60重量%、より好ましくは少なくとも80重量%含有
する樹脂成分である。さらに好ましくはスチレン系樹脂
から実質的になる樹脂成分であり、該樹脂成分がスチレ
ン系樹脂を少なくとも90重量%含有する樹脂成分であ
る。
【0015】かかるスチレン系樹脂としては、スチレ
ン、α−メチルスチレン及びp−メチルスチレン等のス
チレン誘導体の単独重合体又は共重合体、これらの単量
体とアクリロニトリル、メチルメタクリレート等のビニ
ルモノマーとの共重合体、ポリブタジエン等のジエン系
ゴム、エチレン・プロピレン系ゴム、アクリル系ゴムな
どにスチレン及び/又はスチレン誘導体、又はスチレン
及び/又はスチレン誘導体と他のビニルモノマーをグラ
フト重合させたものである。かかるスチレン系樹脂とし
ては、例えばポリスチレン、スチレン・ブタジエン・ス
チレン共重合体(SBS)、水添スチレン・ブタジエン
・スチレン共重合体(水添SBS)、水添スチレン・イ
ソプレン・スチレン共重合体(SEPS)、耐衝撃性ポ
リスチレン(HIPS)、アクリロニトリル・スチレン
共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル・ブタジエン
・スチレン共重合体(ABS樹脂)、メチルメタクリレ
ート・ブタジエン・スチレン共重合体(MBS樹脂)、
メチルメタクリレート・アクリロニトリル・ブタジエン
・スチレン共重合体(MABS樹脂)、アクリロニトリ
ル・アクリルゴム・スチレン共重合体(AAS樹脂)、
アクリロニトリル・エチレンプロピレン系ゴム・スチレ
ン共重合体(AES樹脂)等の樹脂、又はこれらの混合
物が挙げられる。
【0016】これらのスチレン系樹脂のなかでも、耐衝
撃性ポリスチレンが特に好ましく用いられる。耐衝撃性
ポリスチレンは、通常“HIPS”と称される衝撃性の
改良されたポリスチレン樹脂である。一般的には、HI
PSはゴム変性されたポリスチレン樹脂を意味する。
【0017】かかるゴム変性ポリスチレン樹脂は主に芳
香族ビニル系重合体よりなるマトリックス中にゴム状重
合体が粒子状に分散してなる重合体をいい、ゴム状重合
体の存在下に芳香族ビニル単量体を必須成分とする単量
体混合物を加えて公知の塊状重合、塊状懸濁重合、溶液
重合または乳化重合することにより得られる。
【0018】前記ゴム状重合体の例としては、ポリブタ
ジエン、ポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(アクリ
ロニトリル−ブタジエン)等のジエン系ゴムおよび上記
ジエンゴムを水素添加した飽和ゴム、イソプレンゴム、
クロロプレンゴム、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル
系ゴム、およびエチレン−プロピレン−ジエンモノマー
三元共重合体(EPDM)等を挙げることができ、特に
ジエン系ゴムが好ましい。
【0019】上記ゴム状重合体の存在下に重合させるグ
ラフト共重合可能な単量体混合物中の必須成分である芳
香族ビニル単量体は、例えば、スチレン、α−メチルス
チレン、パラメチルスチレン等であり、スチレンが最も
好ましい。
【0020】上記ゴム変性ポリスチレン樹脂中のゴム状
重合体成分は、好ましくは1〜15重量%、より好まし
くは2〜10重量%であり、さらに好ましくは2〜8.
5重量%であり、芳香族ビニル系重合体成分は、好まし
くは99〜85重量%、より好ましくは98〜90重量
%であり、さらに好ましくは98〜91.5重量%であ
る。この範囲内では得られる樹脂組成物の耐熱性、耐衝
撃性および剛性のバランスが向上し、また、不飽和結合
が少なく酸化され難くなり熱安定性に優れるため好まし
い。
【0021】上記ゴム変性スチレン系樹脂の分子量の尺
度である還元粘度ηsp/C(0.5g/dlのトルエン
溶液を30℃で測定)は、好ましくは0.2〜1.5d
l/gであり、より好ましくは0.4〜1.3dl/g
であり、さらに好ましくは0.6〜1.1dl/gであ
る。ゴム変性スチレン系樹脂の還元粘度ηsp/Cに関す
る上記条件を満たすための手段としては、重合開始材
料、重合温度、連鎖移動剤量の調整等を挙げることがで
きる。還元粘度が高くなると耐熱性および耐衝撃性に優
れる。
【0022】また、上記ゴム変性ポリスチレン樹脂のM
FR値は1〜15g/10minが好ましく、2〜10
g/10minがより好ましい。かかる範囲のMFR値
を有するゴム変性スチレン系樹脂を使用することにより
得られる樹脂組成物の耐熱性が良好となり好ましい。こ
のMFR値はJIS−K7210で規定される測定法に
準じて、230℃、3.8kg荷重の条件で求めたもの
である。
【0023】また、A成分の樹脂成分において、(A−
1)耐衝撃性ポリスチレンを好ましくは50〜100重
量%、より好ましくは60〜100重量%、さらに好ま
しくは70〜100重量%含有している。樹脂成分中の
耐衝撃性ポリスチレン以外の樹脂としては、(A−2)
ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、
ABS樹脂およびフェノール樹脂よりなる群から選ばれ
た少なくとも一種が挙げられる。これら成分A−2とし
ては、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート
樹脂またはフェノール樹脂が好適である。成分A−2
は、樹脂成分を100重量%としたとき0〜50重量
%、好ましくは0〜40重量%、より好ましくは0〜3
0重量%の範囲で使用される。
【0024】本発明において、B成分として使用する有
機リン化合物は、上記一般式(1)で表される有機環状
リン化合物を少なくとも5重量%、好ましくは少なくと
も20重量%、より好ましくは少なくとも30重量%、
さらに好ましくは少なくとも50重量%、よりさらに好
ましくは少なくとも80重量%含む有機リン化合物であ
る。さらに好ましくは上記有機環状リン化合物から実質
的になる有機リン化合物であり、該有機リン化合物が有
機環状リン化合物を少なくとも90重量%含有する有機
リン化合物成分である。
【0025】かかる有機環状リン化合物を特定量以上使
用することにより、難燃性に優れ、耐熱性の良好な樹脂
組成物を得ることができる。また、上記一般式(1)で
表される有機環状リン化合物は、抗菌防黴性を併せ持っ
ており、かかる有機環状リン化合物を樹脂に配合するこ
とにより、抗菌防黴性の要求も満足される。かかる有機
環状リン化合物は、樹脂組成物100重量部に対して、
好ましくは2重量部以上、より好ましくは5重量部以上
含有されていると、優れた抗菌防黴性を有する。
【0026】上記一般式(1)において、mおよびnは
0〜4の整数、好ましくは0〜2の整数、より好ましく
は0または1である。R1およびR2は、同一または異な
っていてもよく、炭素数1〜15の脂肪族炭化水素、炭
素数3〜14の芳香族基を有する炭化水素、またはビフ
ェニルへの結合が酸素原子、硫黄原子を介する炭素数1
〜15の脂肪族炭化水素、もしくはビフェニルへの結合
が酸素原子、硫黄原子、炭素数1〜4の脂肪族炭化水素
基を介する炭素数3〜14の芳香族基を有する炭化水素
であり、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、炭素数
6〜14のアリール基、炭素数1〜4の脂肪族炭化水素
基を介する炭素数6〜14のアラルキル基である。
【0027】かかる有機環状リン化合物は、通常フリー
デル・クラフツ型触媒存在下にてo−フェニルフェノー
ル系化合物に3塩化リンを加熱縮合させ、しかる後に加
水分解を行うことによって得ることができる。かかる反
応は、例えば、特開昭47−16436号公報、特開平
7−145185号公報、特開平10−1490号公報
に開示されており、この手法が好ましく採用される。
【0028】上記B成分の有機リン化合物において、上
記一般式(1)で表わされる有機環状リン化合物以外の
他の成分として、赤りん、トリフェニルホスフェート、
ビス(ノニルフェニル)フェニルホスフェート、ノニル
フェニルジフェニルホスフェート、トリス(ノニルフェ
ニル)ホスフェートおよび縮合リン酸エステルよりなる
群から選ばれた少なくとも1種の化合物が好ましく使用
される。縮合リン酸エステルとしては、例えば、大八化
学(株)製CR−733S、CR−741、旭電化工業
(株)製FP−500などが市販されている。
【0029】上記樹脂成分100重量部(A成分)に対
して、上記有機リン化合物(B成分)の配合量は1〜7
0重量部であり、より好ましくは2〜55重量部、さら
に好ましくは3〜40重量部である。1重量部より少な
いと得られる樹脂組成物は難燃性に劣り好ましくなく、
70重量部より多く配合すると樹脂組成物の耐熱性、耐
衝撃性が低下し、またコスト的に不利でもあり好ましく
ない。
【0030】本発明の樹脂組成物には、さらにジクミル
等のラジカル発生剤を配合することができる。上記ジク
ミルは、樹脂成分100重量部に対して0.01〜3重
量部、好ましくは0.02〜2重量部、特に好ましくは
0.03〜1重量部配合される。ジクミルとしては、日
本油脂(株)製ノフマーBC−90などが市販されてい
る。
【0031】一般に、ゴム変性スチレン系樹脂に有機リ
ン化合物を配合することにより、耐熱性(荷重たわみ温
度)が大幅に低下することが知られている。しかしなが
ら、本発明により得られた樹脂組成物は耐熱性に優れ、
ASTM−D648に準拠した方法で6.35mm(1
/4インチ)試験片を用いて18.5Kg荷重で測定し
た荷重たわみ温度の値が、好ましくは58〜75℃の範
囲であり、より好ましくは60〜75℃の範囲である。
【0032】本発明の樹脂組成物は、上記有機リン化合
物(B成分)を配合することにより、実質的にハロゲン
系難燃剤を含有せずに、耐熱性が保持され、UL−94
規格の難燃レベルV−2が少なくとも達成される。
【0033】本発明の樹脂組成物には、種々の他のノン
ハロゲン系難燃剤及び難燃助剤、例えば金属水酸化物、
シリコーンオイルなどを添加しても良い。かかるシリコ
ーンオイルとしては、ポリジオルガノシロキサンを骨格
とし、好ましくはポリジフェニルシロキサン、ポリメチ
ルフェニルシロキサン、ポリジメチルシロキサンあるい
はそれらの任意の共重合物、混合物であり、なかでもポ
リジメチルシロキサンが好ましく用いられる。その粘度
は好ましくは0.8〜5000センチポイズ(25
℃)、より好ましくは10〜1000センチポイズ(2
5℃)、さらに好ましくは50〜500センチポイズ
(25℃)であり、かかる粘度の範囲のものは難燃性に
優れ好ましい。かかるシリコーンオイルの配合量は、上
記樹脂成分100重量部に対して、0.5〜10重量部
の範囲が好ましい。
【0034】さらに、難燃助剤としてフッ素樹脂を配合
することもできる。かかるフッ素樹脂には、例えば、テ
トラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、ビニル
フルオライド、ビニリデンフルオライド、ヘキサフルオ
ロプロピレン等のフッ素含有モノマーの単独または共重
合体が挙げられる。これらのフッ素樹脂の中で、ポリテ
トラフルオロエチレンが好ましい。好ましいポリテトラ
フルオロエチレンはASTM規格によれば、タイプ3と
呼ばれるものである。前記フッ素樹脂は樹脂成分100
重量部に対して、0.01〜3重量部、好ましくは0.
1〜2重量部の範囲が適当である。
【0035】本発明の樹脂組成物には、種々の添加剤、
例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤などの
劣化防止剤、滑剤、帯電防止剤、離型剤、可塑剤、ガラ
ス繊維、炭素繊維などの補強繊維、タルク、マイカ、ワ
ラストナイトなどの充填剤、顔料などの着色剤などを添
加しても良い。前記添加剤の使用量は、耐熱性、耐衝撃
性、機械的強度などを損なわない範囲で、添加剤の種類
に応じて適当に選択できる。
【0036】本発明の樹脂組成物は、通常A成分、B成
分および必要に応じてその他の成分を、V型ブレンダ
ー、スーパーミキサー、スーパーフローター、ヘンシェ
ルミキサーなどの混合機を用いて予備混合し、かかる予
備混合物は混練機に供給し、溶融混合される。混練機と
しては、種々の溶融混合機、例えば、ニーダー、単軸ま
たは二軸押出機などが使用でき、なかでも二軸押出機な
どを用いてかかる樹脂組成物を好ましくは150〜25
0℃、より好ましくは170〜220℃程度の温度で溶
融して、サイドフィーダーにより液体成分を注入し、押
出し、ペレタイザーによりペレット化する方法が好まし
く使用される。
【0037】本発明の樹脂組成物は、殊に耐熱性、抗菌
防黴性が良好であり、カーテン、カーペット等の繊維製
品、壁紙等のフィルム製品、オフィスオートメーション
機器部品、家電製品部品、自動車部品、などの種々の成
形品を成形する材料として有用である。このような成形
品は慣用の方法、例えば、ペレット状の樹脂組成物を射
出成形機を用いて、例えば、好ましくは160〜220
℃程度のシリンダー温度で射出成形することにより製造
できる。
【0038】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、
本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。な
お、評価は下記の方法で行った。
【0039】(1)難燃性(UL−94評価) 難燃性は厚さ3.18mm(1/8インチ)のテストピ
ースを5本用い、難燃性の評価尺度として、米国UL規
格のUL−94に規定されている垂直燃焼試験に準じて
評価を行った。どの試験片も炎を取り去った後の燃焼が
30秒以内で、滴下して消火するものがV−2であり、
この評価基準以下のものをnotVとした。また、10
回の着炎後消炎までの秒数の合計をトータル消炎秒数と
して示した。
【0040】(2)還元粘度(ηsp/C) ゴム変性スチレン系樹脂1gにメチルエチルケトン18
mlとメタノール2mlの混合溶媒を加え、25℃で2
時間振とうし、5℃、4000rpmで30分間遠心分
離する。上澄み液を取り出し、メタノールで樹脂分を析
出させた後、乾燥した。このようにして得られた樹脂
0.1gをトルエンに溶解し、0.5g/dlの溶液と
し、この溶液10mlを毛細管径約0.3mmであるオ
ストワルド型粘度計に入れ、30℃でこの溶液の流下秒
数t1を測定した。一方、同じ粘度計でトルエンの流下
秒数t0を測定し、以下の数式により算出した。このと
きトルエンの流下秒数t0は240秒程度になる。 ηsp/C=(t1/t0−1)/C (C:ポリマー濃
度g/dl)
【0041】(3)ゴム変性ポリスチレン系樹脂中のゴ
ム状重合体成分量 核磁気共鳴測定装置(バリアン製、UNITY300)
により水素原子の核磁気共鳴を測定し、スチレンユニッ
トと、ブタジエンユニットのモル比よりゴム状重合体成
分量を算出した。
【0042】(4)荷重たわみ温度(HDT) 荷重たわみ温度は、ASTM−D648に準拠した方法
により6.35mm(1/4インチ)試験片を用いて
1.81MPa(18.5Kg荷重)で測定した。
【0043】(5)成形性 樹脂成形時の状態について、目視で判断し、以下の基準
で判定を行った。 ○:成形性良好、成形不良なし。 △:そり、ひけ等の成形不良あり。 ×:成形困難
【0044】(6)MFR値 JIS−K7210で規定される測定法に準じて、23
0℃、3.8kg荷重の条件で求めた。
【0045】(7)抗菌性 細菌として大腸菌を使用し、大腸菌液を5×5cm2
成型品表面に噴霧し、24時間後の生菌数を調べ大腸菌
に対する抗菌力を測定した。
【0046】(8)防黴性 (イ)試験菌株Aspergillus niger IFO 634
【0047】(ロ)混合胞子懸濁液の調整 ポテトデキストロース寒天斜面培地で十分に形成させた
各試験菌株の胞子を、それぞれ減菌0.005%スルホ
こはく酸ジオクチルナトリウム溶液に加えて懸濁させ
た。この懸濁液から子実体・菌糸体を除去した後、これ
を1ml当たりの胞子数が1,000,000プラス・
マイナス200,000個となるように表1に示す無機
塩培地に加えて単一胞子懸濁液とした。次に、各単一胞
子懸濁液を等量混合して、混合胞子懸濁液とした。
【0048】
【表1】
【0049】(ハ)試験操作 無機塩寒天平板培地(1.5%寒天含有無機塩培地を固
定させて平板としたもの)上に試験片を置き、混合胞子
懸濁液を噴霧して温度28〜30℃、相対湿度85%以
上で21日間培養した。21日目の表面に生じた菌糸の
発育状態を肉眼及び実体顕微鏡下で観察した。なお、無
機塩寒天平板培地上に直径25.4mmの減菌した濾紙
をのせて、これに混合胞子懸濁液を噴霧して温度28〜
30℃、相対湿度85%以上で14日間培養し、濾紙片
表面に黴の発育を確認した。
【0050】(二)試験結果の表示方法 試験結果を表2に示した方法で表示した。
【0051】
【表2】
【0052】実施例、比較例で用いる各成分は以下のも
のを用いた。 (A)ゴム変性スチレン系樹脂 還元粘度ηsp/C=0.96dl/g、ゴム状重合体
成分7.9重量%、MFR7.9g/10分であるゴム
変性スチレン系樹脂(以下HIPS−1と称する) 還元粘度ηsp/C=0.78dl/g、ゴム状重合体
成分4.3重量%、MFR51.4g/10分であるゴ
ム変性スチレン系樹脂(以下HIPS−2と称する) (B)有機リン化合物 前記一般式(1)で、mおよびnが0である有機環状
リン化合物(三光化学(株)製HCA、以下HCAと称
する) トリフェニルホスフェート(大八化学工業(株)製T
PP、以下TPPと称する)
【0053】[実施例1〜6、比較例1〜7]表3〜表
6記載の各成分を表3〜表6記載の量(重量部)でタン
ブラーにて配合し、15mmφ二軸押出機(テクノベル
製、KZW15)にて樹脂温度200℃でペレット化
し、得られたペレットを60℃の熱風乾燥機にて4時間
乾燥を行った。乾燥したペレットを射出成形機((株)
日本製鋼所製 J75Si)にてシリンダー温度200
℃で成形した。成形板を用いて評価した結果を表3〜表
6に示した。
【0054】
【表3】
【0055】
【表4】
【0056】
【表5】
【0057】
【表6】
【0058】
【発明の効果】本発明は、難燃性、耐熱性および抗菌防
黴性に優れた樹脂組成物を提供するものであり、この樹
脂組成物はカーテン、カーペット等の繊維製品、壁紙等
のフィルム製品、オフィスオートメーション機器部品、
家電製品部品、自動車部品等の種々の成形品を成形する
材料として有用であり、その奏する工業的効果は格別で
ある。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 51/06 C08L 51/06 (72)発明者 古屋 和彦 東京都千代田区内幸町1丁目2番2号 帝 人化成株式会社内 (72)発明者 竹谷 豊 東京都千代田区内幸町1丁目2番2号 帝 人化成株式会社内 (72)発明者 丹藤 和志 東京都千代田区内幸町1丁目2番2号 帝 人化成株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)有機重合体からなる樹脂成分(A
    成分)および(B)下記一般式(1)で表される有機環
    状リン化合物を少なくとも5重量%含む有機リン化合物
    (B成分)からなり、A成分100重量部に対して、B
    成分が1〜70重量部であることを特徴とする難燃性樹
    脂組成物。 【化1】 (式中、m、nは0〜4の整数であり、R1及びR2は同
    一または異なっていてもよく、炭素数1〜15の脂肪族
    炭化水素、炭素数3〜14の芳香族基を有する炭化水
    素、またはビフェニルへの結合が酸素原子、硫黄原子を
    介する炭素数1〜15の脂肪族炭化水素、もしくはビフ
    ェニルへの結合が酸素原子、硫黄原子、炭素数1〜4の
    脂肪族炭化水素基を介する炭素数3〜14の芳香族基を
    有する炭化水素を示す。)
  2. 【請求項2】 樹脂成分(A成分)は、スチレン系樹脂
    を少なくとも50重量%含有する樹脂成分である請求項
    1記載の難燃性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 樹脂成分(A成分)は、耐衝撃性ポリス
    チレンを少なくとも50重量%含有する樹脂成分である
    請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の樹脂組成物より形成され
    た難燃性成形品。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の樹脂組成物より形成され
    た難燃性防菌防黴成形品。
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