JPH09328605A - 抗菌性樹脂組成物 - Google Patents

抗菌性樹脂組成物

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JPH09328605A
JPH09328605A JP16838296A JP16838296A JPH09328605A JP H09328605 A JPH09328605 A JP H09328605A JP 16838296 A JP16838296 A JP 16838296A JP 16838296 A JP16838296 A JP 16838296A JP H09328605 A JPH09328605 A JP H09328605A
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JP
Japan
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antibacterial
resin
antibacterial agent
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resin composition
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Application number
JP16838296A
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English (en)
Inventor
Hideki Kato
秀樹 加藤
Koji Suzuki
孝司 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toagosei Co Ltd
Original Assignee
Toagosei Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 防黴性、抗菌性等に優れるポリエステル樹脂
組成物を提供する。 【解決手段】 ポリエチレンテレフタレート、ポリブチ
レンテレフタレート及びポリカーボネート等の主鎖にエ
ステル結合を有する樹脂100重量部(以下、単に部と
いう。)と、ポリオレフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニ
ル共重合樹脂、その鹸化物、塩化ビニル−酢酸ビニル共
重合樹脂等の特定の樹脂0.1〜10部、特に0.3〜
5部とからなる樹脂成分に、無機抗菌剤、特にリン酸塩
系抗菌剤を0.01〜10部、特に0.3〜5部配合し
て、抗菌性樹脂組成物を調製する。この樹脂組成物を用
いて、各種の防黴性、抗菌性等を有する樹脂成形体を得
ることができる。また、この無機抗菌剤に、酸化亜鉛及
び二酸化チタンのうちの少なくとも一方を5〜90部、
特に10〜80部併存させることにより、樹脂組成物及
び成形体の防黴性、抗菌性等をより向上させることもで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抗菌性樹脂組成物
に関する。本発明の抗菌性樹脂組成物は成形が容易であ
り、この組成物を用いた樹脂成形体は防黴性、抗菌性等
に優れる。本発明の抗菌性樹脂組成物は、防黴、抗菌及
び防藻などを要する各種の樹脂成形体の原料として有用
である。
【0002】
【従来の技術】従来より、銀、銅等の抗菌性金属を活性
炭、アパタイト、ゼオライト等に担持させた無機系抗菌
剤が知られている。これらは有機抗菌剤と比べて安全性
が高く、且つ揮発も分解もしないため抗菌作用が長期間
持続し、しかも耐熱性に優れるという特徴を有してい
る。一方、主鎖にエステル結合を有するポリブチレンテ
レフタレート等の熱可塑性樹脂は、種々の樹脂成形体用
原料として多用されている。そして、上記熱可塑性樹脂
に無機系抗菌剤を配合して抗菌性樹脂組成物とし、これ
を直方体、球又は棒等の種々の塊状の形状に加工した抗
菌性樹脂成形体を得ることが試みられている。しかし、
従来の抗菌性樹脂組成物を用いて得られる成形体では、
原因は不明であるが、無機系抗菌剤が本来有する優れた
抗菌性等が必ずしも奏されない場合があるという問題が
あった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
を解決するものであり、主鎖にエステル結合を有する熱
可塑性樹脂に無機系抗菌剤を含有させた組成物は勿論の
こと、その成形体においても、無機系抗菌剤が有する本
来の優れた抗菌性を発揮させることができる抗菌性樹脂
組成物を提供することを課題とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討した結果、主鎖にエステル結
合を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂成形体におい
て、無機系抗菌剤が有する本来の優れた抗菌性を発揮さ
せるうえで、上記熱可塑性樹脂より溶解度係数が小さい
熱可塑性樹脂を併用することが極めて有効であることを
見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、
(a)主鎖にエステル結合を有する熱可塑性樹脂、
(b)溶解度係数が上記(a)成分より小さい熱可塑性
樹脂、並びに(c)無機系抗菌剤からなることを特徴と
する抗菌性樹脂組成物である。以下、本発明について詳
細に説明する。
【0005】本発明における(a)成分は、主鎖にエス
テル結合を有する熱可塑性樹脂であり、例えばジカルボ
ン酸化合物又は炭酸エステルの酸成分とグリコール成分
との重縮合により容易に得られるものである。好ましい
ジカルボン酸化合物として、テレフタル酸、イソフタル
酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン
酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルエタ
ンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピ
ン酸、セバシン酸等がある。また、これらのジカルボン
酸化合物は、エステル形成可能な誘導体、例えばジメチ
ルエステルの如き低級アルコールエステルの形で重合に
使用することも可能である。これは2種以上が使用され
ることもある。特に好ましいのはテレフタル酸及び/又
はイソフタル酸を主体とする芳香族ジカルボン酸であ
る。
【0006】好ましい炭酸エステルとして、ジアルキル
カーボネート、ジシクロアルキルカーボネート及びジア
リールカーボネート等があり、特に好ましい炭酸エステ
ルとしてジフェニルカーボネートがある。また、好まし
いグリコール成分として、エチレングリコール、プロピ
レングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコ
ール、ハイドロキノン、レゾルシン、ジヒドロキシフェ
ニル、ナフタレンジオール、ジヒドロキシジフェニルエ
ーテル、シクロヘキサンジオール、2,2−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)プロパン、ジエトキシ化ビスフェ
ノールAの如きヒドロキシ化合物、ポリオキシアルキレ
ングリコール及びこれらのアルキル、アルコキシ置換体
等があり、1種又は2種以上を混合使用することができ
る。
【0007】上記「(a)主鎖にエステル結合を有する
熱可塑性樹脂」(以下、ポリエステル樹脂という。)の
好ましい具体例としては、ポリエチレンテレフタレート
(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、
ポリ(エチレンテレフタレート/イソフタレート)、ポ
リ(エチレングリコール/シクロヘキサンジメタノール
/テレフタレート)、ポリカーボネート(PC)及びポ
リアリレートなどが挙げられる。
【0008】ポリエチレンテレフタレートは、テレフタ
ル酸又はジメチルテレフタレートとエチレングリコール
を主成分とし、これらを重縮合させて得られる。また、
ポリブチレンテレフタレートは、ジメチルテレフタレー
トと1,4−ブタンジオールとをエステル交換反応させ
て生成するビス−(ω−ヒドロキシブチル)−テレフタ
レートを重縮合させる方法などによって製造される。
【0009】ポリエチレンテレフタレートとしては、グ
リコール成分として、ブチレングリコール、シクロヘキ
サンジメタノール、ネオペンチルグリコール及びペンタ
ンジオールなどを共重合させたものを使用することもで
きる。また、酸成分として、イソフタル酸、ベンゾフェ
ノンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、
ジフェニルメタンジカルボン酸、プロピレンビス(フェ
ニルカルボン酸)、ジフェニルオキサイドジカルボン
酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジ
ピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバ
チン酸及びジエチルコハク酸などを共重合させたものを
用いることもできる。尚、ポリブチレンテレフタレート
についても、上記のポリエチレンテレフタレートと同様
に、グリコール成分或いは酸成分として種々のものを共
重合させることができる。
【0010】ポリカーボネートは、通常、酸受容体及び
分子量調整剤の存在下、2価フェノールとホスゲン等の
カーボネート前駆体の反応によって得られる。また、2
価フェノールとジフェニルカーボネート等のカーボネー
ト前駆体とのエステル交換反応によって製造することも
できる。2価フェノールの種類は特に限定されないが、
ビスフェノールAが好ましい。更に、ポリカーボネート
は、その一部が分岐したものであってもよい。例えば、
単官能性芳香族化合物を2価フェノール又はカーボネー
ト前駆体と反応させて得られる熱可塑性ランダム分岐ポ
リカーボネートであってもよい。
【0011】本発明における(a)成分は、複数のポリ
エステル樹脂からなる混合物であってもよく、例えば、
PET/PBT、PET/PC又はPBT/PC等の混
合物を用いることができる。
【0012】本発明において、上記(b)成分は、
(a)成分のポリエステル樹脂に比べて、その溶解度係
数が小さい熱可塑性樹脂である。(a)成分の溶解度係
数は約11であり、(b)成分の好ましい溶解度係数は
5〜10、特に7.5〜9.5、更には8〜9の範囲で
ある。尚、本発明における溶解度係数は、文献「スペシ
フィック インターラクションズ アンド ザ ミシビ
リティ オブ ポリマーブレンズ」(Specific Interac
tions and the Miscibility of Polymer Blends)Micha
el M.Coleman et al.:Technomic Publishing Co.,Inc.:
Pennsylvania USA(1991) において述べられている「Sol
ubility Parameter」と同一のものである。
【0013】本発明では、上記の(a)成分であるポリ
エステル樹脂に、(b)成分を添加することによって、
樹脂組成物及びそれを用いて得られる成形体の防黴性、
抗菌性等が大きく向上する。好ましい(b)成分とし
て、以下の樹脂がある。即ち、ポリオレフィン樹脂、酢
酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、一部
又は全部が鹸化されたエチレン−酢酸ビニル共重合樹
脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−ア
クリル酸エステル共重合樹脂及びスチレン−イソプレン
共重合樹脂等である。尚、上記の(b)成分として、1
種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0014】上記「ポリオレフィン樹脂」としては、低
密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレ
ン等、α−オレフィンの単独重合体の他、エチレン−プ
ロピレン共重合体が挙げられる。また、エチレンと1−
ブテン、4−メチル−ペンテン−1、1−オクテン等と
の共重合体である線状低密度ポリエチレンを使用するこ
ともできる。これらはその密度、分子量、融点等、又は
共重合体である場合は、コモノマーの量比等、種々のも
のがあるが、本発明では、いずれのものを使用してもよ
い。更に、上記の単独重合体或いは共重合体の1種のみ
を用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0015】上記「エチレン−酢酸ビニル共重合体」
(以下、EVAという。)としては、その酢酸ビニル成
分の含有量は特に限定されない。例えば酢酸ビニル成分
の含有量が15〜90重量%(以下、単に%とい
う。)、特に20〜60%程度のものを用いることがで
きる。また、20%以下の他のエチレン性不飽和結合を
有するモノマー、例えばプロピレン、ブテン−1、ペン
テン−1、ヘキセン−1等のα−オレフィン、又はプロ
ピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルモノマーなどを
共重合させたものであってもよい。このEVAは、溶液
重合、乳化重合、懸濁重合等の方法によって製造される
が、本発明においては、いずれの方法によって製造した
ものも使用することができる。
【0016】また、上記のEVAに、不飽和カルボン酸
アルキルエステルをグラフト重合させた共重合体を用い
ることもできる。この不飽和カルボン酸アルキルエステ
ルとしては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、
フマール酸、イタコン酸、クロトン酸等の不飽和カルボ
ン酸と脂肪族アルコールとのエステルが挙げられる。脂
肪族アルコールは炭素数2〜10程度のものが好まし
く、得られるエステルとしては、アクリル酸エチル、ア
クリル酸プロピル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸
エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ヘキシ
ル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸ジエチル、フマ
ール酸モノエチル及びフマール酸ジエチル等が挙げられ
る。尚、本発明では、このEVAの酢酸ビニル成分を適
宜割合で鹸化した上記「一部又は全部を鹸化したEV
A」を使用することもできる。
【0017】上記「エチレン−アクリル酸エステル共重
合体」としては、エチレンとアクリル酸メチル、アクリ
ル酸エチル、アクリル酸プロピル及びアクリル酸ブチル
等のアクリル酸エステルとの共重合体等が挙げられる。
また、この共重合体に、酢酸ビニルを除く他のモノマー
を更に共重合させてもよい。そのようなモノマーとして
は、塩化ビニル、メタクリル酸並びにメタクリル酸メチ
ル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル及びメ
タクリル酸ブチル等のメタクリル酸アルキルエステルな
どが挙げられる。更に、マレイン酸、無水マレイン酸、
イタコン酸、無水イタコン酸等を共重合させることもで
きる。
【0018】上記「酢酸ビニル樹脂」は、酢酸ビニルに
有機過酸化物を溶解して60〜70℃程度の温度に保っ
て反応させる塊状重合の他、溶液重合、懸濁重合等によ
って製造され、種々の分子量の重合体が得られる。ま
た、上記「塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂」は、ポ
リ塩化ビニル製造時にコモノマーとして酢酸ビニルを供
給し、共重合させて得られる。一般に酢酸ビニルが5〜
15%、塩化ビニルが95〜85%程度の量比のものが
多い。更に、上記「スチレン−イソプレン共重合体」
は、アルキルリチウム系触媒を用いてスチレンとイソプ
レンとをブロック共重合させて得られる。各ブロックの
数、長さ等により種々の特性を有するものが得られる。
本発明では、上記の各樹脂を、その分子量、分子構造等
にかかわらず、いずれも使用することができる。
【0019】(b)成分の配合割合は所望により適宜調
整すればよく、(a)成分の樹脂特性を(b)成分によ
り変性しても良い場合は比較的多く配合することができ
る。一方、エンジニアリングプラスチックの分野等、
(a)成分の樹脂特性を換えたくない場合は、比較的少
なく配合する。好ましい(b)成分の配合割合は、ポリ
エステル樹脂100重量部(以下、単に部という。)に
対して0.1〜90部、より好ましくは0.1〜50
部、更により好ましくは0.1〜10部、特に好ましく
は0.3〜5部、最も好ましくは0.5〜3である。
尚、ポリエステル樹脂100部に対して(b)成分を1
0部以下配合する場合、ポリエステル樹脂本来の物性等
が損なわれることはない。
【0020】本発明の樹脂組成物において、(b)成分
が抗菌性向上のための成分として有効である機構は不明
であるが、(b)成分は、(a)成分に対して相溶性に
乏しい樹脂であり、成形体とした場合にその表面に押し
やられ、表面における濃度が高くなるものと考えられ、
これが抗菌性向上の一因ではないかと思われる。
【0021】尚、本発明では、樹脂組成物の成形性、抗
菌性及び物性等を損なわない範囲で(a)成分、(b)
成分以外の樹脂を併存させてもよい。そのような樹脂と
しては、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共
重合体等のスチレン−イソプレン共重合樹脂を除くスチ
レン系樹脂が挙げられる。また、ポリメチルアクリレー
ト、ポリメチルメタクリレート等のエチレン−アクリル
酸エステル共重合樹脂を除くアクリル系樹脂、ポリ塩化
ビニル、塩化ビニル−アクリル酸エステル等の塩化ビニ
ル−酢酸ビニル共重合樹脂を除く塩化ビニル系樹脂、及
びポリアミド、ポリ塩化ビニリデン、ポリアセタール、
ポリスチレン、ポリウレタン等を使用することができ
る。
【0022】更に、上記の各種樹脂の他に、スチレン−
ブタジエンゴム、天然ゴム、ブタジエンゴム、ニトリル
ゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム及びエチレン−プ
ロピレン−ジエンゴム等のゴムを併存させてもよい。ま
た、この他、通常、樹脂の改質に用いられる添加剤、例
えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、界
面活性剤、架橋剤、無機充填剤及び着色剤等を適量配合
することもできる。更に、ガラス繊維等を配合した繊維
強化樹脂とすることもできる。
【0023】本発明における(c)成分である上記「無
機系抗菌剤」は、抗菌性金属イオンを担持させた無機化
合物からなる。抗菌性金属イオンとしては、「銀、銅、
亜鉛、錫、水銀、鉛、鉄、コバルト、ニッケル、マンガ
ン、砒素、アンチモン、ビスマス、バリウム、カドミウ
ム及びクロム等の金属イオン」が挙げられる。また、こ
の抗菌性金属イオンを担持させる無機化合物としては、
活性炭、活性アルミナ、シリカゲル等の無機吸着剤、ケ
イ酸塩ガラス等の無機ガラス、ピロリン酸アルミニウム
塩等の難溶性リン酸塩、ケイ酸カルシウム、メタケイ酸
アルミン酸マグネシウム等の難溶性ケイ酸塩及び酸化チ
タン、酸化亜鉛等の酸化物などが挙げられる。無機化合
物としては、更に、ゼオライト、ケイ酸アルミニウム
(Al2 3 ・9SiO2 ・xH2 O、xは0又は正
数)、ヒドロキシアパタイト、リン酸ジルコニウム、リ
ン酸チタン、チタン酸カリウム、含水酸化ビスマス、含
水酸化ジルコニウム、アルミニウム・マグネシウム酸化
物固溶体及びハイドロタルサイト類化合物等の無機イオ
ン交換体等を使用することもできる。
【0024】無機化合物に抗菌性金属イオンを担持させ
る方法は特に限定はされない。例えば物理吸着又は化学
吸着により担持させる方法、結合剤により担持させる方
法、抗菌性金属化合物を無機化合物に打ち込むことによ
り担持させる方法等が挙げられる。また、蒸着、溶解析
出反応、スパッタ等の薄膜形成法によって、無機化合物
の表面に抗菌性金属化合物の薄膜を形成させることによ
り担持させる方法等もある。
【0025】尚、本発明の抗菌性樹脂組成物に、上記の
無機イオン交換体(但し、抗菌性金属イオンを担持させ
ていないもの)を配合することもできる。これによっ
て、抗菌性樹脂組成物及び得られる樹脂成形体の紫外線
照射又は加熱等の外部刺激による変色を抑制することが
できる。また、上記の樹脂組成物に、各種の界面活性剤
を配合することもできる。この界面活性剤によって抗菌
性がより向上する。界面活性剤としては、非イオン系、
アニオン系、カチオン系及び両性系のいずれのものも使
用することができるが、抗菌性を向上させる作用及び変
色抑制の効果が高い多価アルコールエステル系の界面活
性剤が好ましい。
【0026】無機イオン交換体の配合量は、抗菌性樹脂
組成物100部当たり0.005〜10部、特に0.0
1〜5部の範囲が好ましい。この配合量が0.005部
未満では変色を十分に抑制することができず、10部を
越える場合は、それ以上の変色抑制の効果がないばかり
か、むしろ樹脂組成物の物性等を低下させることがある
ため好ましくない。また、界面活性剤の配合量は、抗菌
性樹脂組成物100部に対して0.01〜10部、特に
0.1〜5部の範囲が好ましい。この配合量が0.01
部未満では抗菌性を十分に向上させることができず、1
0部を越える場合は、それ以上の抗菌性の向上がないば
かりか、むしろ樹脂組成物の物性等を低下させることが
あるため好ましくない。
【0027】また、無機系抗菌剤としては、第2発明の
ように、下記の式〔1〕のリン酸塩系抗菌剤が好まし
い。このリン酸塩系抗菌剤は、空間群R3cに属する結晶
性化合物であり、各構成イオンが3次元網目状構造を形
成している。 M1 a b 2 2(PO4 3 ・nH2 O 〔1〕 (上記の式〔1〕において、M1 は銀、銅、亜鉛、錫、
水銀、鉛、鉄、コバルト、ニッケル、マンガン、砒素、
アンチモン、ビスマス、バリウム、カドミウム及びクロ
ムから選ばれる少なくとも1種の金属のイオンである。
Aはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、ア
ンモニウムイオン及び水素イオンから選ばれる少なくと
も1種のイオンである。a及びbはla+mb=1を満
たす正数である。但し、lはM1 の価数であり、mはA
の価数である。また、M2 は4価の金属のイオンであ
る。尚、nは0≦n≦6の数である。)
【0028】上記の式〔1〕におけるM1 は、いずれの
金属イオンであってもよいが、より優れた抗菌性等が奏
される銀が好ましい(この場合、上記lは1であり、a
+mb=1となる。)。また、好ましいAは、リチウ
ム、ナトリウム及びカリウム等のアルカリ金属イオン、
マグネシウム及びカルシウム等のアルカリ土類金属イオ
ン又は水素イオンである。Aとしては、化合物の安定性
及び安価であるとの理由で、リチウムイオン、ナトリウ
ムイオン、アンモニウムイオン及び水素イオンが好まし
い。更に、M2 は、4価の金属のイオンであり、ジルコ
ニウムイオン、チタンイオン及び錫イオン等が挙げられ
る。このイオンとしては、抗菌剤の安全性を考慮する
と、ジルコニウムイオン及びチタンイオンが好ましく、
特にジルコニウムイオンがより好ましい。
【0029】上記のリン酸塩系抗菌剤の好ましい具体例
を、M1 を銀として示すと、Ag0.005 Li0.995 Zr
2 (PO4 3 、Ag0.01(NH4 0.99Zr2 (PO
4 3 、Ag0.05Na0.95Zr2 (PO4 3 、Ag
0.2 0.8 Ti2 (PO4 3、Ag0.1 0.9 Zr2
(PO4 3 、Ag0.5 Na0.250.25Zr2 (P
43 、Ag0.9 Na0.1 Zr2 (PO4 3 及びA
0.7 Na0.3 Sn2 (PO4 3 等が挙げられる。こ
れらのリン酸塩系抗菌剤は、焼成法、湿式法及び水熱法
等により、容易に合成することができる。
【0030】抗菌性樹脂組成物及びこれを用いて得られ
る樹脂成形体において、その防黴性、抗菌性及び防藻性
等を十分に向上させるためには、上記の式〔1〕におけ
るaの値は大きい方がよい。このaの値が0. 001以
上であれば、十分な防黴性、抗菌性等が奏されるが、a
の値が0. 01未満である場合は、この防黴性及び抗菌
性等を長期間維持することが難しいことがある。そのた
め、aの値を0. 01以上の値とすることが好ましく、
また、抗菌剤のコストを考慮すると、aの値は0. 7以
下とすることが好ましい。
【0031】更に、上記のリン酸塩系抗菌剤の化学的及
び物理的安定性をより向上させ、熱及び光に暴露した後
の変色を高度に防止するためには、抗菌剤を高温で焼成
して合成することが好ましい。この焼成の温度は、50
0〜1300℃、好ましくは600〜1000℃、特に
好ましくは700〜900℃の範囲である。また、この
リン酸塩系抗菌剤に水素イオンを担持させることによ
り、その抗菌性及び耐候性を大きく向上させることもで
きる。尚、このリン酸塩系抗菌剤がアンモニウムイオン
を有する場合は、好ましくは600℃〜1100℃の温
度で、約0.5〜2時間焼成することにより、アンモニ
ウムイオンが熱分解して残った水素イオンが担持された
抗菌剤とすることもできる。
【0032】また、リン酸塩系抗菌剤がアンモニウムイ
オンを有しないか又は極めて少量しか有しない場合は、
リン酸塩系化合物(金属イオンが担持されていない化合
物)を酸性溶液に浸漬することにより、十分な量の水素
イオンを担持させた抗菌剤とすることもできる。この酸
性溶液としては、塩酸、硫酸及び硝酸等の水溶液が挙げ
られ、好ましい酸濃度は0.1N以上である。また、浸
漬温度は40℃以上、好ましくは60℃以上、特に好ま
しくは60〜100℃であり、浸漬時間は10分以上、
好ましくは60分以上である。
【0033】本発明の抗菌性樹脂組成物においては、第
3発明のように、無機系抗菌剤に下記の特定の金属酸化
物を配合することもできる。これによって樹脂組成物の
抗菌性を更に高めることができ、変色の抑制も容易とな
る。この金属酸化物としては、「酸化亜鉛及び二酸化チ
タンのうちの少なくとも一方」を使用することができ
る。
【0034】酸化亜鉛は、ZnOの化学式で表され、亜
鉛華とも呼ばれるものであり、天然品、合成品いずれも
用いることができる。また、二酸化チタンも、天然品、
合成品のいずれでもよく、非晶質でもよいし結晶質であ
ってもよい。二酸化チタンは、結晶系により、アナター
ス型、ルチル型及びブルッカイト型に分類され、本発明
においては、いずれの結晶系のものを使用してもよい
が、工業的に容易に入手できることから、アナタース型
及びルチル型の使用が好ましい。
【0035】金属酸化物の粒子径及び粒子の形状は特に
制限されないが、樹脂への分散性を考慮すると、平均粒
子径は10μm以下であり、粒子の形状は球状であるこ
とが好ましい。また、一般に白色顔料として使用されて
いるものを、そのまま用いることができる。金属酸化物
の好ましい配合量は、無機系抗菌剤と金属酸化物の合計
量を100部とした場合に、5〜90部である。金属酸
化物の配合量が5部未満では、無機系抗菌剤と金属酸化
物との併用による抗菌性の向上が十分ではなく、樹脂組
成物及び成形体の変色も効果的に抑制されない。また、
金属酸化物が90部を越える場合は、抗菌性が不十分に
なることがある。尚、十分な抗菌性を得るためには、無
機系抗菌剤と金属酸化物の合計量を基準として、抗菌性
金属イオン濃度を0.5%以上、特に2%以上とするこ
とが好ましい。
【0036】無機系抗菌剤の好ましい配合量は、(a)
成分と(b)成分との合計量を100部とした場合に、
0.01〜10部である。この配合量が0.01部未満
では、樹脂組成物の抗菌性を十分に向上させることがで
きないことがある。一方、10重量部を越えて多量に配
合しても、それ以上の著しい抗菌性の向上は望めず、む
しろポリエステル樹脂本来の物性を低下させることがあ
る。また、金属酸化物を併用する場合、無機系抗菌剤と
金属酸化物の合計量が、無機系抗菌剤に関する上記の好
ましい配合量の範囲内となるよう、金属酸化物の配合量
を調整すればよい。
【0037】本発明の抗菌性樹脂組成物を用いて容易に
防黴性、抗菌性等に優れた樹脂成形体を得ることができ
る。抗菌性樹脂組成物は、ポリエステル樹脂〔(a)成
分〕及びEVA等の併用樹脂〔(b)成分〕に、無機系
抗菌剤〔(c)成分〕又はこれと金属酸化物、及び必要
に応じて無機イオン交換体、界面活性剤等を配合し、用
いる樹脂、特にポリエステル樹脂の特性に合わせて温度
及び圧力を適宜調整しながら攪拌、混合する等の方法に
よって調製することができる。そして、この樹脂組成物
を用い、射出成形、押出成形、ブロー成形、真空成形、
発泡成形及びカレンダー加工等の種々の成形法によって
各種の樹脂成形体を製造することができる。
【0038】また、無機系抗菌剤又はこれと金属酸化
物、無機イオン交換体及び界面活性剤等を、本発明にお
ける(a)成分又は(b)成分等の樹脂成分に予め高濃
度で含有させた、粒状のマスターバッチを作製した後、
これを用いて抗菌性樹脂組成物を調製することもでき
る。尚、無機系抗菌剤、無機イオン交換体及び界面活性
剤の3成分、又はこれらと金属酸化物の4成分及び樹脂
成分からなるマスターバッチを作製する際、これらの成
分を混合する順序に制限はない。更に、無機系抗菌剤と
各種樹脂からなるマスターバッチ及び無機イオン交換
体、界面活性剤と樹脂成分からなるマスターバッチ等、
成分の異なる複数種のマスターバッチを作製して、それ
らを混合して樹脂組成物を調製することもできる。
【0039】マスターバッチにおける無機系抗菌剤又は
これと金属酸化物の配合量は、ポリエステル樹脂100
部に対して70部を上限とすることができ、特に50部
以下とすることが好ましい。この配合量を70部を越え
て多量にしようとしても、樹脂に無機系抗菌剤又はこれ
と金属酸化物等を混合すること、及びこれをペレット化
してマスターバッチとすることが困難になることがあ
る。また、マスターバッチにおける無機イオン交換体の
配合量は、マスターバッチ100部に対して50部以
下、特に30部以下とすることが好ましい。同様に、界
面活性剤の配合量も、マスターバッチ100部に対して
50部以下、特に30部以下とすることが好ましい。
【0040】マスターバッチのペレットの大きさ及び形
状には特に制限はなく、例えば直径或いは長さが0.5
〜7mm、特に1〜5mm程度の大きさであって、その
形状は、球状、角柱状、円柱状及び円盤状等とすること
ができる。また、成形加工を容易にするため、マスター
バッチと無機系抗菌剤等が配合されていない樹脂成分と
は、大きさ及び形状が類似したものであることが好まし
い。通常、これらのペレットは、直径及び長さが1〜5
mm程度の円柱状のものが好ましい。
【0041】無機系抗菌剤又はこれと金属酸化物、無機
イオン交換体、界面活性剤と、樹脂成分とからなるマス
ターバッチを得るための加工方法としては、通常の方法
を採用することができる。例えば、無機系抗菌剤又はこ
れと金属酸化物等と樹脂成分の粉体とを、ヘンシェルミ
キサ等のミキサによって攪拌、混合した後、ペレタイザ
によってペレット化する方法が挙げられる。また、無機
系抗菌剤、抗菌剤組成物或いはこれと金属酸化物等を樹
脂ペレットに直接混合し、ペレット化する方法でもよ
い。このようにして得られる抗菌性樹脂組成物からなる
成形体では、無機系抗菌剤が化学的及び物理的に優れた
安定性を有している。そのため、酸性溶液中でも銀等の
抗菌性金属がほとんど溶出せず、また吸湿性もないため
極めて加工性に優れている。
【0042】本発明の抗菌性樹脂組成物を用いて成形し
た樹脂成形体は、防黴性、抗菌性及び防藻性等を必要と
し、且つ樹脂成形体が利用される種々の分野で有効であ
る。例えば、車両関係では、オイルパン、エンジンカバ
ー、ダッシュボードパネル、フロアー、ホッパー等のシ
ュート部及び搬送設備のストッパー、アウターハンド
ル、シフトノブ、シフトレバー、シフトレバーボタン、
アシストグリップ、ヘッドライトハウジングなどの内外
装品等として利用することができる。また、イグニッシ
ョン、ウインカー、ヒータ等のスイッチ類、テールラン
プのソケット、ヒューズケース、ボルテージレギュレー
ターパーツ、ケース、ボビン等、イグニッションコイル
の部品、キャップ・ハウジング、ロータ等のデイストリ
ビュータの部品、キャブレタ及びスプール他の安全ベル
トの部品などに用いることもできる。
【0043】更に、弱電関係では冷蔵庫、洗濯機、掃除
機、扇風機、乾燥機、空調機、電気ポット、炊飯器、食
器洗浄機、食器乾燥機、電子レンジ、ミキサー、電気コ
ンロ、電磁調理器、ホットプレート、電気スタンド、V
TRの鏡胴、VTRレバー、VTRカバー等のVTR部
品、テレビ、時計、カメラボディ、カメラ鏡胴、カメラ
カバー等のカメラ部品、ステレオ、テープレコーダー、
メモリー用光ディスク基板、コンパクトディスク基板、
レーザープリンターシャーシ、コンピューターテープリ
ールとケース等のOA機器関係、電話機、FAX機器、
蛍光灯バラスト等の各種部品として用いることができ
る。その他、ICキャリヤー、ヒューズケース、プロセ
ス制御機器、サーミスタ、コネクタ、プラグ、コイルボ
ビン、ソケット、電卓ハウジング、ヘアードライヤーハ
ウジング、リレーケース、端子台、装飾照明グローブ、
配電箱、シロッコファン、自動販売機部品等として使用
することもできる。
【0044】また、工業用品関係では、配線、配管類の
ストッパー、フレキシブルチューブ類、工作機械、電動
工具、モータなどの部品等に利用することができる。更
に、雑貨関係では住宅部品、浴用部材、トイレ等のサニ
タリー用品、医療器具、光学機器、各種容器、スポーツ
用品、各種日用品、建材、灌漑用部品等に用いることが
できる。より具体的には、、スピーカーボックス、プレ
ーヤ等の音響機器のシャーシ、カバー等、ガス器具ツマ
ミ、エアフィルターケース、釣具、表示板、ヘルメッ
ト、保護面、水中メガネ、哺乳ビン、食器、コーヒーポ
ット、カレー容器、チョコレート流し台、サンダル底、
目薬容器、椅子のひじかけ、キャスタ、家具部品、ガス
コンロ、自転車部品、水道部品、浄化槽、警報器部品、
化粧品部品、光学レンズ、ダハミラー及びミシン部品等
において使用することができる。また、文具関係では、
万年筆、シャープペンシル、ボールペン、消しゴム、ク
リップ、ホッチキス、ハサミ、紙等、台所用品では、三
角コーナー、まな板、ボール、ざる等として利用するこ
とができる。
【0045】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例及び比較例
等を具体的に説明する。 (1) 無機系抗菌剤の原料となるリン酸塩の合成 参考例1 オキシ塩化ジルコニウム水溶液を攪拌しながら、これに
シュウ酸を添加し、更にリン酸を加える。その後、苛性
ソーダ水溶液にて反応液のpHを3.5に調整し、24
時間、加熱還流後、沈澱物を濾過、水洗、乾燥、粉砕し
て網目状リン酸ジルコニウム〔NaZr2 (P
4 3 〕を得た。
【0046】(2) リン酸塩系抗菌剤の調製 参考例2 上記の参考例1で調製したリン酸ジルコニウムの粉末
を、硝酸銀を含有する1.0Nの硝酸水溶液に添加し、
60℃で4時間攪拌した。その後、これらのスラリーを
濾過した後、純水で十分水洗し、乾燥した。次いで、こ
れを750℃の温度で4時間焼成し、粉砕することによ
り、リン酸ジルコニウム塩系抗菌剤を得た(サンプルN
o.1の抗菌剤)。尚、銀イオンの担持量は、無機系抗
菌剤100%当たり銀イオン3.3%であった。
【0047】参考例3 硝酸銀の濃度を約4倍に高め、硝酸水溶液の濃度を0.
5Nとした他は、参考例2と同様にしてリン酸ジルコニ
ウム塩系抗菌剤を得た(サンプルNo.2の抗菌剤)。
尚、銀イオンの担持量は、無機系抗菌剤100%当たり
銀イオン11.0%であった。上記の参考例2及び3の
無機系抗菌剤の化学式を下記の表1に示す。
【0048】 表 1 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− サンプルNo. 無機系抗菌剤 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 1 Ag0.15Na0.5 0.35Zr2 (PO4 3 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 2 Ag0.53Na0.170.30Zr2 (PO4 3 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0049】(3) 抗菌剤組成物の調製 上記のサンプルNo.2の抗菌剤を用いて、抗菌剤組成
物を調製した。 参考例4 サンプルNo.2の抗菌剤30部と酸化亜鉛70部を小
型粉砕器に投入し、攪拌、混合して抗菌剤組成物(A)
を得た。尚、銀イオンの担持量は、抗菌剤組成物(A)
100%当たり3.3%であった。
【0050】(4) 抗菌性樹脂組成物の調製 実施例1 ポリブチレンテレフタレート樹脂(三菱レイヨン株式会
社製、商品名「タフペットPBT N1000」、以下
の実施例2及び比較例1、2においても、この樹脂を使
用した。)100部に対して、サンプルNo.1の抗菌
剤を1部、及びEVA(酢酸ビニル含有量40%のエチ
レン−酢酸ビニル共重合体であり、溶解度係数は8.5
である。以下の実施例2及び比較例2においても、この
樹脂を使用した。)を1部添加して抗菌性樹脂組成物を
得た。押出成形機(株式会社東洋精機製作所製、型式
「ラボプラストミル30C−150」)を用いて、ダイ
ス温度260℃で押出成形し、ペレットを作製した。そ
の後、射出成形機(名機製作所株式会社製、型式「M−
50AII−DM」)によって、金型温度250℃で上
記ペレットを射出成形し、11cm×11cm×2mm
の試験片(A)を作製した。
【0051】実施例2 ポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対し
て、参考例4で得た抗菌剤組成物(A)を1部、及びE
VAを1部添加して抗菌性樹脂組成物を得た。その後、
実施例1と同様にして押出成形によってペレットを作製
した後、同様にして射出成形によって試験片(B)を作
製した。
【0052】比較例1 EVAを添加しない点以外は、実施例1と同様にして押
出成形によってペレットを作製した後、同様にして射出
成形によって試験片(C)を作製した。 比較例2 EVAを添加しない点以外は、実施例2と同様にして試
験片(D)を作製した。 比較例3 サンプルNo.1の抗菌剤を添加しない点以外は、実施
例1と同様にして押出成形によってペレットを作製した
後、同様にして射出成形によって試験片(E)を作製し
た。
【0053】(5) 抗菌性試験 試験例1 実施例1〜2及び比較例1〜3で作製した試験片(A)
〜(E)の抗菌力を以下の方法により評価した。被験菌
として大腸菌を用い、試験片3cm×3cm当たりの菌
数が104 〜105 個となるように菌液を試験片の表面
に一様に接種し、27℃の温度で保存した。保存開始時
(理論添加菌数)及び24時間経過後に、菌数測定用培
地(SCDLP液体培地)において試験片上の生残菌を
洗い出し、この洗い出し液を試験液とした。この試験液
について、菌数測定用培地を用いる混釈平板培養法(3
7℃、2日間)により生菌数を測定し、試験片3cm×
3cm当たりの生菌数に換算した。上記のようにして得
られた抗菌性試験の結果を下記の表2に示す。
【0054】 表 2 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 試験片No. 作用時間 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 0(保存開始時) 24時間 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− A 1.3×105 3×102 B 1.3×105 102 以下 C 1.3×105 9.6×104 D 1.3×105 6.8×104 E 1.3×105 1.0×105 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0055】表2の結果によれば、保存開始時には、試
験片A〜Eいずれも生菌数は1.3×105 である。そ
して、24時間経過後には、本発明の抗菌性樹脂組成物
を使用して射出成形によって得られた試験片A及びBで
は、生菌数は102 オーダー以下と大きく減少している
ことが分かる。これに対して、無機系抗菌剤は添加した
ものの、EVAを添加しなかった比較例1、比較例2及
びEVAのみを添加し、無機系抗菌剤を添加しなかった
比較例3の樹脂組成物からなる試験片では、試験片A、
Bに比べて、その抗菌性は非常に劣っていることが分か
る。このように、各実施例と特に比較例1の樹脂組成物
からなる試験片の抗菌性試験の結果を比較すれば、本発
明における(b)成分の添加効果が明らかである。
【0056】
【発明の効果】第1発明によれば、ポリエステル樹脂に
特定の樹脂、例えばEVA等を添加することにより、E
VA等を併用しない場合に比べて、その防黴性、抗菌性
等が大きく向上した抗菌性樹脂組成物を得ることができ
る。そして、この抗菌性等に優れた樹脂組成物を使用す
ることにより、防黴性、抗菌性等に優れた樹脂成形体を
得ることができる。また、特に第2発明に特定するリン
酸塩系抗菌剤を用いることにより、特に抗菌性等に優れ
た樹脂組成物及び成形体が得られる。更に、第3発明の
ように、無機系抗菌剤に酸化亜鉛等の特定の金属酸化物
を併用することによって、抗菌性等をより向上させるこ
とができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 57/00 LMH C08L 57/00 LMH

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)主鎖にエステル結合を有する熱可
    塑性樹脂、(b)溶解度係数が上記(a)成分より小さ
    い熱可塑性樹脂、並びに(c)無機系抗菌剤からなるこ
    とを特徴とする抗菌性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 上記(c)無機系抗菌剤が下記の式
    〔1〕で表されるものである請求項1記載の抗菌性樹脂
    組成物。 M1 a b 2 2(PO4 3 ・nH2 O 〔1〕 (上記の式〔1〕において、M1 は銀、銅、亜鉛、錫、
    水銀、鉛、鉄、コバルト、ニッケル、マンガン、砒素、
    アンチモン、ビスマス、バリウム、カドミウム及びクロ
    ムから選ばれる少なくとも1種の金属のイオンである。
    Aはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、ア
    ンモニウムイオン及び水素イオンから選ばれる少なくと
    も1種のイオンである。a及びbはla+mb=1を満
    たす正数である。但し、lはM1 の価数であり、mはA
    の価数である。また、M2 は4価の金属のイオンであ
    る。尚、nは0≦n≦6の数である。)
  3. 【請求項3】 酸化亜鉛及び二酸化チタンのうちの少な
    くとも一方を含有する請求項1又は2記載の抗菌性樹脂
    組成物。
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