JP4181782B2 - 防黴性ガラス、防黴性樹脂組成物および防黴性ガラスの製造方法 - Google Patents
防黴性ガラス、防黴性樹脂組成物および防黴性ガラスの製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、Agイオンを溶出しうる防黴性ガラス、防黴性樹脂組成物および防黴性ガラスの製造方法に関し、より詳細には、黒麹黴等に対する防黴性に優れるとともに、透明性や黄変防止性等にも優れた防黴性ガラス、防黴性樹脂組成物および防黴性ガラスの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、建材、家電製品(TV、パソコン、携帯電話、ビデオカメラなど含む)、雑貨、包装用資材等において、抗菌効果や防黴効果を付与するために、防黴性ガラスや防黴ガラスを所定量樹脂中に混入させた樹脂組成物が使用されている。すなわち、黒麹黴(MIC:800ppm)や青黴(MIC:800ppm)の黴成長や、大腸菌(MIC:0.78ppm)や黄色ブドウ球菌(MIC:6.3ppm)の細菌成長に対する銀イオンの抑制効果を利用したものである。
このような防黴性ガラスや抗菌性ガラスとして、Agイオンを溶出しうるガラス水処理剤が特開昭62−210098号公報に開示されている。
かかるガラス水処理剤は、組成物中に一価のAgイオンをガラス100重量部あたり酸化銀換算で0.2〜1.5重量部含有するとともに、B2O3を20〜70モル%含有する硼珪酸塩系の粒状ガラスからなるものである。より具体的には、当該特許公報の実施例2および3には、それぞれ、B2O3を20〜30モル%、ZnOを40モル%、P2O5を30〜40モル%およびAg2Oを1重量%とした粒状ガラスを開示している。
【0003】
また、特開平1−313531号公報や特開平1−153748号公報には、非透湿構造の合成樹脂や高吸水性樹脂中に、Agイオンを放出する水溶性ガラスを含む抗菌性や防黴性を有する合成樹脂成形体や高吸水性樹脂体が開示されている。より具体的には、SiO2、B2O3、P2O5の一種もしくは二種以上の網目形成酸化物と、Na2O、K2O、CaO、ZnOの一種もしくは二種以上の網目修飾酸化物とからなるガラス固形物100重量部中に、一価のAgとして、Ag2Oを0.1〜20重量部含有した粉状物、粒状物もしくは塊状物の水溶性ガラスを非透湿構造の合成樹脂や高吸水性樹脂中に含んだ構成としてある。より具体的には、当該特許公報の実施例において、SiO2:40モル%、B2O3:50モル%、Na2O:10モル%からなる混合物100重量部に対して、Ag2Oを2重量部添加した粉状ガラスを、塩化ビニル樹脂やポリアクリル酸ナトリウム架橋体中に含んだ構成としてある。
【0004】
また、特開平7−25635号公報には、抗菌性(防黴性含む。)を有する粒径が10〜1000μm、厚さが0.1〜20μmの鱗片状ガラスを開示している。かかる鱗片状ガラスの組成としては、B2O3を含有する場合には、SiO2:20〜60重量%、B2O3:30〜70重量%、Na2O:5〜35重量%、Ag2O:0.5〜3重量%からなり、B2O3を含有しない場合には、SiO2:55〜80重量%、Al2O3:0.5〜30重量%、Na2O:19.5〜42重量%、Ag2O:0.5〜3重量%である。
【0005】
また、特開平8−48539号公報には、抗菌性ガラス(防黴性含む。)からなるガラス組成物が開示されている。かかるガラス組成物の組成としては、例えば、P2O5:40〜55モル%、CaO+MgO:20〜55モル%、Na2O+K2O:5〜25モル%、Ag2O:0.03〜5モル%、CeO2+TiO2:0〜2.5モル%、ZnO+BaO:0〜30モル%、SiO2+Al2O3:0〜5モル%、B2O3:0〜20モル%、PbO:0〜5モル%(ただし、CaO+MgO+ZnO+BaOの合計量20〜55モル%))である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開昭62−210098号公報に開示された粒状ガラスは、ガラス組成としてB2O3を20〜70モル%の範囲で含んでおり、また形状を考慮していないためと思われるが、粒状ガラスが白濁したり、再凝集したりして、透明性に乏しく、黄変しやすいという問題が見られた。また、かかる粒状ガラスを樹脂中に混合した場合に、分散性に乏しく、しかも抗菌性や防黴性の発現が不十分であるという問題も見られた。
また、特開平1−313531号公報や特開平1−153748号公報に開示された水溶性ガラスは、ガラス組成としてSiO2およびB2O3を主成分として用いており、防黴性ガラスの透明性や分散性に乏しく、黄変しやすいという問題が見られた。また、かかる粉粒状ガラスは、そのガラス組成に起因して、製造時間が過度に長くなり、しかも防黴性が不十分であって、黒麹黴に対する最小発育阻止濃度(MIC)が800ppmを越えてしまうという問題も見られた。
【0007】
また、特開平7−25635号公報に開示された鱗片状ガラスは、樹脂中に均一に分散させることが困難であって、逆に混合装置を用い、長時間かけて均一に混合しようとすると、鱗片状ガラスが破砕されてしまうという問題が見られた。また、かかる鱗片状ガラスを樹脂中に混合した場合、光学異方性を発現しやすく、そのため透明性に欠けるという問題も見られた。
さらに、かかる鱗片状ガラスが、ガラス組成としてB2O3を含む場合には、当該B2O3の添加量が多い一方、ZnOの添加量が少ないために、黄変しやすく、防黴性が不十分であって、黒麹黴に対する最小発育阻止濃度(MIC)が800ppmを越えてしまうという問題も見られた。
また、特開平8−48539号公報に開示された抗菌性ガラスは、形状を何ら考慮しておらず、透明性に欠けるとともに、樹脂中に均一に分散させることが困難であった。また、かかる抗菌性ガラスは、ZnOの添加量が少ないために、黄変しやすく、防黴性が不十分であって、黒麹黴に対する最小発育阻止濃度(MIC)が800ppmを越えてしまうという問題も見られた。
【0008】
そこで、出願人はすでに、特開2000−191339号公報において、B2O3を実質的に含まない代りにAg2O、ZnOおよびP2O5を含み、かつ、全体量を100重量%としたときに、Ag2Oの含有量を0.2〜5重量%の範囲内の値、ZnOの含有量を1〜50重量%の範囲内の値、およびP2O5の含有量を30〜80重量%の範囲内の値とすることにより、黄変が少ない溶解性ガラスを提案している。
しかしながら、開示された溶解性ガラスは、黄変が少ないという効果は得られるものの、形状を制御しておらず、ZnOの添加量等がばらついた場合に、透明性や分散性が乏しくなるという問題が見られた。
そこで、本発明者は、鋭意検討した結果、溶解性ガラスの組成および形状をそれぞれ制限することにより、ZnOを比較的多量に添加した場合、あるいはB2O3を所定量添加した場合であっても、溶解性ガラスの黄変が少ないとともに、透明性や分散性を向上することができ、さらには、黒麹黴等に対する防黴性を向上できることを見出したものである。
すなわち、本発明は、黒麹黴等に対する防黴性に優れるとともに、黄変が少なく、透明性等にも優れた防黴性ガラス、それを用いた防黴性樹脂組成物、およびそのような防黴性ガラスの製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、Agイオンを溶出しうる防黴性ガラスにおいて、当該防黴性ガラスの形状を多面体とするとともに、全体量に対して、Ag2Oを0.2〜5重量%、P 2 O 5 を50〜55重量%、ZnOを40〜50重量%、およびB2O3を0.1〜15重量%の範囲で含むことを特徴とする防黴性ガラスが提供され、上述した問題を解決することができる。
すなわち、防黴性ガラスが、球形、粉粒状、塊状、あるいは鱗片状でなく、多面体であることにより、光散乱を防止できるとともに、再凝集しにくくなって、防黴性ガラスの透明性を向上させることができる。また、防黴性ガラスが多面体であることにより、樹脂中で一定方向に配向しやすいため、樹脂中に均一かつ容易に混合分散することができる。さらに、防黴性ガラスの組成をこのように制限していることにより、Agイオンを安定して放出させることができ、黒麹黴等に対する防黴性に優れるとともに、黄変性を少なくすることができる。さらには、防黴ガラスの融解温度を低下させることができ、防黴ガラスの透明性や機械的特性も向上させることができる。
その他、防黴性ガラスが、全体量に対して、B2O3を0.1〜15重量%の範囲で含むことにより、Agイオンをさらに安定して放出することができるとともに、防黴性ガラスの透明性をさらに向上させることができる。
【0011】
また、本発明の防黴性ガラスを構成するにあたり、全体量に対して、CaOを0.1〜15重量%の範囲でさらに含むとともに、ZnOに対するCaOの重量比率(ZnO/CaO)を1.1〜15の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、防黴性ガラスの黄変をより効率的に防止できるとともに、透明性や機械的特性に優れた防黴性ガラスを得ることができる。
【0012】
また、本発明の防黴性ガラスを構成するにあたり、防黴性ガラスが、全体量に対して、Na2OおよびAl2O3あるいはいずれか一方のガラス成分を0.1〜15重量%の範囲でさらに含むことが好ましい。
このように構成することにより、防黴性ガラスの融解温度を低下させることができるとともに、透明性や機械的特性に優れた防黴性ガラスを得ることができる。
【0013】
また、本発明の防黴性ガラスを構成するにあたり、全体量に対して、CeO2を0.1〜3重量%の範囲で含むことが好ましい。
このように構成することにより、防黴性ガラスの黄変をより効率的に防止できるとともに、透明性や機械的特性に優れた防黴性ガラスを得ることができる。
【0014】
また、本発明の防黴性ガラスを構成するにあたり、防黴性ガラスの平均粒径を0.1〜300μmの範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、防黴性ガラスの取り扱いや製造が容易になるばかりか、樹脂中への混合分散が容易かつ均一となる。
【0015】
また、本発明の防黴性ガラスを構成するにあたり、黒麹黴に対する最小発育阻止濃度(MIC)を700ppm以下の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、少量の防黴性ガラスの添加によって、優れた防黴性を得ることができる。
なお、最小発育阻止濃度(MIC)は、日本化学療法学会法(寒天平板希釈法)に準拠し、寒天平板培地において2倍間隔で接種された黒麹黴の培養が抑制される防黴性ガラスから放出されるAgイオンの最小濃度(ppm)として、測定することができる。
【0016】
また、本発明の防黴性ガラスを構成するにあたり、カップリング剤処理が、表面に施してあることが好ましい。
このように構成することにより、樹脂中への混合分散が容易となるばかりか、樹脂の機械的強度を高めることができる。
【0017】
また、本発明の別の態様は、Agイオンを溶出しうる防黴性ガラスと、樹脂とを含む防黴性樹脂組成物において、当該防黴性ガラスの形状を多面体とするとともに、防黴性ガラスが、全体量に対して、Ag2Oを0.2〜5重量%、P 2 O 5 を50〜55重量%、ZnOを40〜50重量%、およびB2O3を0.1〜15重量%の範囲で含むことを特徴とする防黴性樹脂組成物を得ることができる。
このように構成することにより、黒麹黴等に対する防黴性に優れるとともに、黄変が少なく、透明性等にも優れた防黴性ガラスを含む防黴性樹脂組成物を得ることができる。
【0018】
また、本発明のさらに別の態様は、下記工程(A)〜(C)を含むことを特徴とするAgイオンを溶出しうる多面体の防黴性ガラスの製造方法である。
(A)全体量に対して、Ag2Oを0.2〜5重量%、P 2 O 5 を50〜55重量%、ZnOを40〜50重量%、およびB2O3を0.1〜15重量%の範囲で含むガラス原料を溶融し、ガラス融液とする工程
(B)ガラス融液を、平均粒径が300μmを超える粗粉砕ガラスとする第1の粉砕工程(C)粗粉砕ガラスを、平均粒径が0.1〜300μmの範囲内の値であって、形状を多面体とする第2の粉砕工程
このように実施することにより、黒麹黴等に対する防黴性に優れるとともに、黄変が少なく、透明性等にも優れた防黴性ガラスを効率的に得ることができる。
【0019】
また、本発明の防黴性ガラスの製造方法を実施するにあたり、第2の粉砕工程において、回転ウス、回転ロール、振動ミル、ボールミル、サンドミル、あるいはジェットミルを用いることが好ましい。
このように実施することにより、均一な平均粒径を有する多面体の防黴性ガラスをさらに効率的に得ることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の防黴性ガラス、防黴性樹脂組成物および防黴性ガラスの製造方法に関する実施の形態をそれぞれ具体的に説明する。
【0021】
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、Agイオンを溶出しうる防黴性ガラスにおいて、当該防黴性ガラスの形状を多面体とするとともに、全体量に対して、Ag2Oを0.2〜5重量%、P 2 O 5 を50〜55重量%、ZnOを40〜50重量%、およびB2O3を0.1〜15重量%の範囲で含むことを特徴とする防黴性ガラスである。
【0022】
1.形状
防黴性ガラスの形状を、多面体、すなわち、複数の角や面から構成されており、例えば、6〜10面体からなる多面体ガラスとすることを特徴とする。
ここで、図1および図2に、かかる防黴性ガラスの電子顕微鏡で観察される形状を模式的に示す。図1は、実施例1と同様の工程で製造した場合の防黴性ガラスを示しており、一部、破砕された防黴性ガラスの細片が、再凝集し、多面体の防黴性ガラスの表面に付着していることを示している。また、図2は、実施例3と同様の工程で製造した場合の外添粒子を含む防黴性ガラスを示しており、破砕された防黴性ガラスの細片がわずかに生成しているものの、それが、ほとんど再凝集しておらず、多面体の防黴性ガラスの表面にも付着しないで、独立して存在していることを示している。
また、かかる図1および図2から容易に理解されるように、防黴性ガラスの形状を多面体とすることにより、球状の防黴性ガラスと異なり、光が面内を一定方向に進行しやすくなる。したがって、防黴性ガラスに起因した光散乱を有効に防止することができ、そのため、防黴性ガラスの透明性を向上させることができる。
また、このように防黴性ガラスを多面体とすることにより、樹脂中への混合分散が容易となるばかりか、防黴性ガラスを混合した樹脂を射出成形した場合に、防黴性ガラスが一定方向に配向しやすくなる。したがって、防黴性ガラスを樹脂中に均一に分散しやすくなるとともに、樹脂中での防黴性ガラスによる光散乱を効果的に防止することができる。
さらに、このように防黴性ガラスの形状が多面体であれば、製造時や使用時等に再凝集しにくいため、防黴性ガラスの製造時における平均粒径の制御や使用する際の製造工程での取り扱いについても容易となる。
【0023】
なお、第1の実施形態および以下に述べる第2および第3の実施形態において、全体量において、上述した多面体ガラスの使用量を100重量%とすることは必ずしも必須ではなく、多面体ガラスと、それ以外の抗菌性または非抗菌性の球形ガラスや粒状ガラス、あるいは異形ガラスと混合使用することも好ましい。
その場合、多面体ガラスの使用量を50重量%以上の値とすることが好ましい。この理由は、多面体ガラスの使用量が50重量%未満となると、樹脂中の分散性や、透明性が急激に低下する場合があるためである。したがって、より優れた分散性や、透明性を得るためには、多面体ガラスの使用量を70重量%以上の値とすることがより好ましく、90重量%以上の値とすることがさらに好ましい。
【0024】
2.平均粒径
また、防黴性ガラスの平均粒子径を0.1〜300μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる平均粒子径が0.1μmの値となると、樹脂中への混合分散が困難となったり、あるいは、光散乱が生じやすくなり、透明性が低下したりする場合があるためである。一方、かかる平均粒子径が300μmを超えると、樹脂中への混合分散や取り扱いが困難となったり、あるいは成形品に添加した場合に、表面平滑性が低下したりする場合があるためである。
したがって、防黴性ガラスの平均粒子径を0.5〜50μmの範囲内の値とすることがより好ましく、1〜20μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0025】
なお、防黴性ガラスの平均粒子径は、レーザー方式のパーティクルカウンターや沈降式の粒度分布計を用いたり、あるいは、防黴性ガラスの電子顕微鏡写真をもとにした画像処理を実施したりすることにより、容易かつ正確に測定することができる。
【0026】
3.ガラス組成
防黴性ガラスのガラス組成として、Ag2O、P2O5、ZnO、およびB2O3を含み、かつ、全体量に対して、Ag2Oを0.2〜5重量%、P 2 O 5 を50〜55重量%、ZnOを40〜50重量%、およびB2O3を0.1〜15重量%の範囲で含むことを特徴とする。
このように構成することにより、ガラスが除々に溶解して、Agイオンを安定して放出することができるとともに、優れた透明性や機械的強度等を得ることができる。
また、好ましい防黴性ガラスのガラス組成として、Ag2O、P2O5、ZnO、CaO、およびB2O3を含み、かつ、全体量に対して、Ag2Oを0.2〜5重量%の範囲内の値、P 2 O 5 を50〜55重量%の範囲内の値、ZnOを40〜50重量%の範囲内の値、CaOを0.1〜15重量%の範囲内の値、およびB2O3を0.1〜15重量%の範囲内の値とするとともに、ZnO/CaOの重量比率を1.1〜15の範囲内の値としたガラス組成が挙げられる。このように構成することにより、防黴性ガラスの変色を容易に防止することができるとともに、優れた透明性や機械的強度を得ることができる。
以下、ガラス成分ごとに、その機能や好ましい添加量について、詳細に説明するガラス組成が挙げられる。
【0027】
(1)Ag2O
Ag2Oは、本発明の防黴性ガラスにおける必須構成成分であり、当該Ag2Oを含むことにより、ガラス成分が溶解した際にAgイオンを溶出させることができ、優れた防黴性や抗菌性を長期間にわたって発現することができる。
ここで、Ag2Oの含有量を0.2〜5重量%の範囲内の値とする。この理由は、Ag2Oの含有量が、0.2重量%未満の値となると、防黴性ガラスの抗菌性が不十分となるためであり、所定の抗菌効果を得るためには、多量の防黴性ガラスが必要となるためである。一方、Ag2Oの含有量が、5重量%を超えると、防黴性ガラスが変色しやすくなり、また、コストが高くなって、経済的に不利となるためである。
したがって、防黴性ガラスの抗菌性および変色防止性等のバランスがより良好なことから、かかるAg2Oの含有量を1〜4重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、1.5〜3重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0028】
(2)P2O5
P2O5は、本発明の防黴性ガラスにおける必須構成成分であり、基本的に網目形成酸化物としての機能を果たすが、その他に、本発明においては防黴性ガラスの透明性改善機能やAgイオンの均一な放出性にも関与する。
ここで、P2O5の含有量を30〜80重量%の範囲内の値とする。この理由は、かかるP2O5の含有量が30重量%未満となると、防黴性ガラスの透明性が低下したり、あるいはAgイオンの均一な放出性や機械的強度が乏しくなったりする場合があるためである。一方、かかるP2O5の含有量が80重量%を超えると、防黴性ガラスが黄変しやすくなったり、また機械的強度が低下したりする場合がある。
したがって、防黴性ガラスの透明性および変色防止性等のバランスがより良好なことから、P2O5の含有量を30〜75重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、30〜70重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0029】
(3)ZnO
ZnOは、本発明の防黴性ガラスにおける必須構成成分であり、基本的に防黴性ガラスにおける網目修飾酸化物としての機能を果たすが、その他に、黄変を防止する機能とともに、防黴性や抗菌性を向上させる機能をも果たしている。
ここで、ZnOの含有量を、全体量に対して、40〜50重量%の範囲内の値とする。この理由は、かかるZnOの含有量が40重量%未満の値となると、黄変防止効果や、防黴性や抗菌性の向上効果が発現しない場合があるためであり、一方、かかるZnOの含有量が50重量%を超えると、防黴性ガラスの透明性が低下したり、機械的強度が乏しくなったりする場合があるためである。したがって、防黴性ガラスの変色防止性および透明性等のバランスがより良好なことから、ZnOの含有量を、全体量に対して、40〜47重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、40〜45重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0030】
また、ZnOの含有量を、後述するCaOの含有量を考慮して定めることが好ましい。具体的には、ZnO/CaOで表される重量比率を、1.1〜15の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる重量比率が1.1未満の値となると、防黴性ガラスの黄変を効率的に防止することができない場合があり、一方、かかる重量比率が15を超えると、防黴性ガラスが白濁したり、あるいは、逆に、黄変したりする場合があるためである。したがって、かかるZnO/CaOで表される重量比率を1.2〜10の範囲内の値とすることがより好ましく、1.5〜8の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0031】
(4)CaO
CaOは、本発明の防黴性ガラスにおける任意構成成分であって、基本的に網目形成酸化物としての機能を果たすが、その他に、防黴性ガラスを作成する際の、融解温度を低下させたり、ZnOとともに、黄変防止機能を発揮したりする。
ここで、CaOの含有量を全体量に対して、0.1〜15重量%の範囲内の値とすることが好ましい。この理由は、かかるCaOの含有量が0.1重量%未満となると添加効果(黄変防止機能や融解温度低下効果)が発揮されない場合があるためであり、一方、かかるCaOの含有量が15重量%を超えると、防黴性ガラスの透明性が逆に低下する場合があるためである。したがって、防黴性ガラスの溶融温度低下効果および透明性等のバランスがより良好なことから、CaOの含有量を1〜10重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、最適には2〜7重量%の範囲内の値とすることである。
【0032】
(5)B2O3
B2O3は、本発明の防黴性ガラスにおいて、任意構成成分であって、基本的に網目形成酸化物としての機能を果たすが、その他に、防黴性ガラスの透明性改善機能やAgイオンの均一な放出性にも関与する。
ここで、B2O3の含有量を0.1〜15重量%の範囲内の値とすることが好ましい。この理由は、かかるB2O3の含有量が0.1重量%未満となると、防黴性ガラスの透明性が低下したり、あるいはAgイオンの均一な放出性や機械的強度が乏しくなる場合があるためである。一方、かかるB2O3の含有量が15重量%を超えると、防黴性ガラスが黄変しやすくなったり、また機械的強度が低下したりする場合がある。したがって、防黴性ガラスの透明性および変色防止性等のバランスがより良好なことから、B2O3の含有量を1〜12重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、最適には5〜10重量%の範囲内の値とすることである。
【0033】
(6)その他
▲1▼CeO2
CeO2は、本発明の防黴性ガラスにおける任意構成成分であり、基本的に網目修飾酸化物としての機能を果たす。ただし、CeO2はその他に、本発明において用いた場合には防黴性ガラスの透明性改善機能も発揮する。また、CeO2を添加することで、電子線に対する変色性を向上させることもできる。
ここで、CeO2の含有量を、全体量に対して、0.1〜5重量%の範囲内の値とすることが好ましい。この理由は、かかるCeO2の含有量が0.1重量%未満となると添加効果(透明性改善機能)が発揮されない場合があるためである。一方、CeO2の含有量が5重量%を超えると、コストが高くなり経済的に不利となる場合があるためである。したがって、防黴性ガラスの経済性および変色防止性等のバランスがより良好なことから、CeO2の含有量を0.2〜3重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、0.3〜2重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0034】
▲2▼MgO
MgOは、本発明の防黴性ガラスにおける任意構成成分であり、基本的に網目修飾酸化物としての機能を果たす。ただし、MgOはその他に、本発明において用いた場合には防黴性ガラスの透明性改善機能も発揮する。
ここで、MgOの含有量を、全体量に対して、0.1〜15重量%の範囲内の値とすることが好ましい。この理由は、当該MgOの含有量が0.1重量%未満の値となると添加効果(透明性改善機能)が発揮されない場合があるためである。一方、MgOの含有量が15重量%を超えると、コストが高くなり経済的に不利となったり、製造時における発熱が過度に大きくなったりする場合があるためである。したがって、防黴性ガラスの経済性および変色防止性等のバランスがより良好なことから、MgOの含有量を0.5〜12重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、1〜10重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0035】
▲3▼Na2O
Na2Oは、本発明の防黴性ガラスにおける任意構成成分であり、本発明に用いた場合には、基本的に網目修飾酸化物としての機能を果たす。ただし、Na2Oは、その他に、防黴性ガラスの透明性改善機能等も発揮する。
ここで、Na2Oの含有量を、全体量に対して、0.1〜10重量%の範囲内の値とすることが好ましい。この理由は、かかるNa2Oの含有量が0.1重量%未満の値となると添加効果(透明性改善機能)が発揮されない場合があるためである。一方、かかるNa2Oの含有量が10重量%を超えると、防黴性ガラスの透明性が低下する場合があるためである。したがって、防黴性ガラスの透明性および変色防止性等のバランスがより良好なことから、Na2Oの含有量を、全体量に対して、0.2〜5重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、0.5〜3重量の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0036】
▲4▼Al2O3
Al2O3は、本発明の防黴性ガラスにおける任意構成成分であり、本発明に用いた場合には、基本的に網目形成酸化物としての機能を果たす。ただし、その他にAl2O3は、本発明においては防黴性ガラスの機械的強度や透明性の改善機能も発揮することができる。
ここで、Al2O3の含有量を、全体量に対して0.1〜20重量%の範囲内の値とすることが好ましい。この理由は、かかるAl2O3の含有量が0.1重量%未満の値となると添加効果(透明性改善機能)が発揮されない場合があるためである。一方、かかるAl2O3の含有量が20重量%を超えると、防黴性ガラスの透明性が低下する場合があるためである。したがって、防黴性ガラスの機械的強度や透明性のバランスが良好なことから、Al2O3の含有量を、全体量に対して、1〜15重量%の範囲内の値とすることが好ましく、2〜10重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0037】
▲5▼その他の構成成分
その他の網目形成酸化物や網目修飾成分として、K2O、SiO2、BaO等を本発明の目的の範囲内で所定量添加することも好ましい。
【0038】
4.表面処理
(1)カップリング剤処理
また、防黴性ガラスに対して、カップリング剤による表面処理を実施することが好ましい。この理由は、カップリング剤処理することにより、防黴性ガラスの樹脂中への混合分散が容易となるばかりか、樹脂の機械的強度を高めることができるためである。
また、このようにカップリング剤処理することにより、黒麹黴等に対する最小発育阻止濃度(MIC)を調整することもできる。すなわち、カップリング剤処理により、Agイオンの溶出速度が調節できるとともに、防黴性ガラスの分散性を調節できるため、結果として、黒麹黴等に対する最小発育阻止濃度(MIC)を調整することができるものである。
【0039】
▲1▼種類
また、カップリング剤の種類として、シランカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、チタンカップリング剤等が使用可能であるが、多面体ガラスに対して、特に優れた密着力が得られることからシランカップリング剤を使用することが好ましい。
また、好ましいシランカップリング剤の種類としては、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等の一種単独または二種以上の組合せが挙げられる。
【0040】
▲2▼処理量
また、カップリング剤の処理量を、多面体ガラス100重量部あたり、0.01〜30重量部の範囲内の値とすることが好ましい。この理由は、かかるカップリング剤の処理量が0.01重量部未満の値となると、多面体ガラスの再凝集防止効果や、Agイオン溶出速度の制御効果が乏しくなったり、あるいは樹脂中への混合分散性が低下したりする場合があるためである。
一方、かかるカップリング剤の処理量が30重量部を超えると、多面体ガラスの透明性が低下したり、防黴性ガラス(多面体ガラス)の樹脂中への混合分散性が逆に低下したりする場合があるためである。
したがって、カップリング剤の処理量を、多面体ガラス100重量部に対して、0.1〜20重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、0.5〜10重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0041】
▲3▼処理方法
また、カップリング剤の処理方法は特に制限されるものでなく、多面体ガラスの製造中、多面体ガラスの製造後、あるいは、多面体ガラスの樹脂中への混合分散と同時期に処理しても良い。
また、カップリング剤を多面体ガラスの製造中に添加する場合、微粉砕時に添加することがより好ましい。
さらに、カップリング剤と、多面体ガラスとを均一に接触させるため、溶剤を用いて、カップリング剤を予め希釈しておくことも好ましい。
【0042】
(2)粒子被覆
また、防黴性ガラスの表面処理に関し、外添粒子として、無機物および有機物あるいはいずれか一方の粒子で被覆することも好ましい。
このように構成することにより、Agイオンの溶出速度の制御を容易にし、また、防黴性ガラスの分散性をさらに良好なものとすることができる。
また、防黴性ガラスを被覆する粒子としては、酸化チタン、酸化ケイ素、コロイダルシリカ、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化鉛、ホワイトカーボン、アクリル粒子、スチレン粒子、ポリカーボネート粒子等の一種単独または二種以上の組合せが好ましい。
さらに、防黴性ガラスを粒子により被覆する方法も特に制限されるものでないが、例えば、防黴性ガラスと、粒子とを均一に混合後、600〜1200℃の温度で加熱してガラスに融着するか、あるいは、結合剤を介して、固定することが好ましい。
なお、本発明の防黴性ガラスは、多面体であるため、被覆する粒子の動きが多面体の面により拘束され、周囲を均一に被覆することができるという利点も得られる。
【0043】
5.添加剤
また、防黴性ガラスに対して、分散性向上、酸化防止、凝集防止、あるいは変色化等の目的のために、各種添加剤を混合添加することが好ましい。
このような添加剤としては、分散剤としての界面活性剤、ステアリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸ナトリウム、シランカップリング剤等、酸化防止剤としてのヒンダードフェノール化合物やヒンダードアミン化合物等、凝集防止剤としてのリン酸三カルシウム、天然アパタイト、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、貝殻粉、亜鉛華等、着色剤としての顔料や染料等を添加することが好ましい。
また、これらの添加剤の添加量は、Agイオンの溶出量や添加効果等を考慮して定めることが好ましいが、例えば、全体量に対して、0.01〜30重量%の範囲内の値とすることがより好ましい。
【0044】
6.最小発育阻止濃度(MIC)
防黴ガラスにおける黒麹黴等に対する最小発育阻止濃度(MIC)を700ppm以下の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる最小発育阻止濃度(MIC)が700ppmを超える値となると、所定の防黴性を得るために防黴ガラスの添加量を多くしなければならず、防黴性樹脂組成物の透明性や機械的特性が低下する場合があるためである。
したがって、防黴ガラスにおける黒麹黴等に対する最小発育阻止濃度(MIC)を600ppm以下の値とすることがより好ましく、500ppm以下の値とすることがさらに好ましい。
なお、従来のAgイオンを放出する防黴ガラスの場合、最小発育阻止濃度(MIC)は800ppm程度であることが判明している。
【0045】
7.最小発育阻止濃度(MBC)
防黴ガラスにおける黒麹黴等に対する最小殺菌濃度(MBC)を1、500ppm以下の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる最小殺菌濃度(MBC)が1、500ppmを超える値となると、所定の防黴性を得るために防黴ガラスの添加量を多くしなければならず、防黴性樹脂組成物の透明性や機械的特性が低下する場合があるためである。したがって、防黴ガラスにおける黒麹黴等に対する最小殺菌濃度(MBC)を1、000ppm以下の値とすることがより好ましく、800ppm以下の値とすることがさらに好ましい。
【0046】
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、第1の実施形態の防黴性ガラスと、樹脂と、からなる防黴性樹脂組成物である。
以下、第2の実施形態の特徴である樹脂について中心的に説明するものとし、防黴性ガラスについては、第1の実施形態と同様の内容とすることができるため、ここでの説明は省略する。
【0047】
1.樹脂
防黴性樹脂組成物に使用する樹脂の種類は特に制限されるものではないが、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、塩化ビニリデン樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、フッ素系樹脂、ポリアリーレン樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル樹脂、アイオノマー樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂等の一種またはニ種以上の組合せを挙げることができる。また、これらの樹脂のうち、防黴性ガラス中のAgイオンが比較的容易に反応して、変色しやすい条件を有する塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂等を使用した場合に、本発明の防黴性ガラスにおける耐変色性の効果をより明確に発揮することができる。
さらにまた、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、およびポリエチレンテレフタレート樹脂等を使用した場合には、透明性に優れるともに、安価で、汎用性に富んだ防黴性樹脂組成物を提供することができる。
【0048】
2.添加量
防黴性樹脂組成物における防黴性ガラスの添加量を、樹脂100重量部あたり、0.01〜30重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、防黴性ガラスの添加量が0.01重量部未満となると、防黴性樹脂組成物における防黴性が低下する場合があり、一方、かかる防黴性ガラスの添加量が30重量部を超えると、防黴性樹脂組成物の機械的強度が低下したり、均一に混合することが困難となったり、あるいは得られる防黴性樹脂組成物の透明性が低下する場合が生じるためである。
したがって、かかる防黴性樹脂組成物における防黴性と機械的強度等とのバランスがより好ましいことから、樹脂100重量部あたり、防黴性ガラスの添加量を、0.1〜10重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、0.3〜5重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0049】
3.混合方法
防黴性ガラスと、樹脂との混合方法は特に制限されるものではないが、例えば、プロペラミキサ、三本ロール、ニーダー、ボールミル、サンドミル、ヘンシェルミキサ等の混合機を用いて実施することが好ましい。
また、防黴性ガラスおよび樹脂がより均一に混合できるように、混合の際に、アルコールや炭化水素化合物等の有機溶剤、あるいは不活性液体等を使用することも好ましい。
なお、防黴性樹脂組成物をコーティング材料等の用途に使用する場合には、有機溶剤を、例えば、全体量に対して、50〜90重量%の濃度となるように混合することが好ましい。
【0050】
4.用途
防黴性樹脂組成物の用途は特に制限されるものではなく、例えば、バッグ、靴、玩具、布、タイル、カーペット、台所用品、バスタブ等の成形品の表面に、抗菌層として防黴性樹脂組成物を含浸したり、積層したりして構成した用途であれば良い。
また、防黴性樹脂組成物自身を加工して防黴性成形品とすることも好ましい。その場合、例えば、板状、フィルム状、長方体状、正方体状、球状、棒状、あるいは異形体状(ユニットバス等)や容器等に成形することが好ましい。
一例を示せば、図3(a)に示すように、コンクリート等の表面に積層する防黴性樹脂組成物からなるタイルやフィルム、あるいはシートとすることが好ましい。さらに、図3(b)に示すように、防黴性樹脂組成物からなるタイルやフィルム、あるいはシートの片面に接着剤層を設け、この接着剤層中に、錯体形成化合物や防黴性ガラスを添加することも好ましい。
【0051】
[第3の実施形態]
第3の実施形態は、防黴性ガラスの製造方法であって、上述したように工程A〜Cを少なくとも含むことを特徴としている。
以下、本発明の防黴性ガラスを製造するための工程A〜Cについて、具体的に説明する。
【0052】
1.ガラス原材料の混合工程
Ag2O、ZnO、CaO、B2O3およびP2O5等を含むガラス原材料を正確に秤量した後、均一に混合する工程である。そして、これらのガラス原材料を混合するに際して、万能攪拌機(プラネタリーミキサ)、アルミナ磁器潰らい機、ボールミル、プロペラミキサ等の混合機械(ミキサ)を使用することが好ましい。例えば、万能攪拌機を用いた場合、公転数を100rpm、自転数を250rpmとし、30分〜5時間の条件で、ガラス原材料を攪拌混合することが好ましい。
【0053】
2.ガラス原材料の溶融工程(工程A)
均一に混合したガラス原材料を、一例として、ガラス溶融炉を用い、溶融させて、ガラス融液を作成する工程である。
また、溶融条件として、例えば、溶融温度を600〜1500℃、溶融時間を0.1〜24時間の範囲内の値とすることが好ましい。このような溶融条件であれば、ガラス融液の生産効率を高めるとともに、製造時における防黴性ガラスの黄変性を可及的に少なくすることができるためである。
【0054】
3.防黴性ガラスの粉砕工程(工程BおよびC)
得られた溶融ガラスを、粉砕し、多面体であって、所定の平均粒径を有する本発明の防黴性ガラスとする工程である。
具体的には、以下に示すような粗粉砕(水粉砕を含む。)、中粉砕、および微粉砕を行うことが好ましい。このように実施すると、均一な平均粒径を有する防黴性ガラスを効率的に得ることができる。ただし、用途によっては平均粒径をより細かく制御するために、粉砕工程の後、分級工程をさらに設けて、ふるい処理等を実施することも好ましい。
【0055】
(1)粗粉砕(工程B)
粗粉砕は、平均粒径が10mm程度になるように、防黴性ガラスを粉砕する工程である。かかる粗粉砕として、通常、ガラス融液を、静水に注入することにより、所定の平均粒径とする水砕を行うことが好ましい。
なお、粗粉砕後の防黴性ガラスは、角の無い塊状であることが電子顕微鏡写真から確認されている。
【0056】
(2)中粉砕(工程Cを一部含む場合がある。)
中粉砕は、平均粒径が100μm程度になるように、粗粉砕後の防黴性ガラスを粉砕する工程である。通常、一次中粉砕と、二次中粉砕との二段階に分けて、実施することが好ましい。
この一次中粉砕は、平均粒径が10mm程度の防黴性ガラスを、平均粒径が1mm程度の防黴性ガラスとする粉砕工程であり、回転ロール等を用いて実施することが好ましい。
また、二次中粉砕は、平均粒径が1mm程度の防黴性ガラスを、平均粒径が400μm程度の防黴性ガラスとする粉砕工程であり、回転ウス等を用いて実施することが好ましい。
なお、二次中粉砕後の防黴性ガラスは、角を有する多面体であることが電子顕微鏡写真から確認されている。
【0057】
(3)微粉砕(工程C)
微粉砕は、平均粒径が0.1〜300μmの範囲内の値になるように、中粉砕後の防黴性ガラスを粉砕する工程である。かかる微粉砕のためには、例えば、回転ウス、回転ロール、振動ミル、ボールミル、サンドミル、あるいはジェットミルを用いることができるが、特に振動ミルおよびジェットミル等の微粉砕装置を用いることが好ましい。このような微粉砕装置を使用することにより、粗粉砕ガラスに対して、適度なせん断力を付与することができ、粒径が過度に小さい防黴性ガラスが生じることなく、所定の平均粒径を有する多面体の防黴性ガラスを効果的に得ることができる。
なお、振動ボールミルと、ジェットミルとを比較した場合、振動ボールミルを用いた方が、1回の処理量が多く、微粉砕装置の構造が簡易であるという利点がある。一方、ジェットミルを用いた方が、防黴性ガラスの再凝集の割合が少なく、比較的短時間で攪拌できるという利点がある。また、ジェットミルを用いることにより、外添粒子を添加することなく、例えば、図2に示すような再凝集の少ない防黴性ガラスを得ることができる。したがって、防黴性ガラスの用途等に応じて、微粉砕装置を使い分けることが好ましい。
その他、振動ボールミルやジェットミルを用いて微粉砕した後の防黴性ガラスは、中粉砕後の防黴性ガラスよりも多くの角を有する多面体であることが電子顕微鏡写真から確認されている。
【0058】
【実施例】
以下、本発明を実施例によってさらに詳細に説明する。ただし、以下の説明は本発明を例示的に示すものであり、本発明はこれらの記載に制限されるものではない。
【0059】
[実施例1]
1.防黴性ガラスの作成
▲1▼溶融工程
防黴性ガラスの全体量を100重量%としたときに、Ag2Oが1.6重量%、ZnOが40重量%、P2O5が50重量%、B2O3が2.5重量%、CaOが4重量%、Na2Oが1.4重量%、CeO2が0.5重量%となるように、それぞれのガラス原料を、万能混合機を用いて、回転数250rpm、30分の条件で、均一に混合するまで攪拌した。次いで、溶融炉を用いて、1280℃、3時間半の条件でガラス原料を加熱して、ガラス融液を作成した。
【0060】
▲2▼水砕工程
ガラス溶融炉から取り出したガラス融液を、25℃の静水中に流し込むことにより水砕し、平均粒子径が約10mmの粗粉砕ガラスとした。なお、この段階の粗粉砕ガラスを、光学顕微鏡で観察したところ、塊状であって、角や面が無いことを確認した。
【0061】
▲3▼中粉砕
次いで、アルミナ製の一対の回転ロール(東京アトマイザー(株)製、ロールクラッシャー)を用いて、ギャップ1mm、回転数150rpmの条件で、粗粉砕ガラスをホッパーから自重を利用して供給しながら、一次中粉砕(平均粒子径約1000μm)を実施した。さらに、アルミナ製の回転ウス(中央化工機商事(株)製、プレマックス)を用い、ギャップ400μm、回転数700rpmの条件で、一次中粉砕した防黴性ガラスを、二次中粉砕し、平均粒子径を約400μmとした。なお、二次中粉砕した後の粗粉砕ガラスを、電子顕微鏡で観察し、少なくとも50重量%以上が、角や面のある多面体であることを確認した。
【0062】
▲4▼微粉砕
次いで、内容積105リットルの振動ボールミル(中央化工機商事(株)製)内に、メディアとして、直径10mmのアルミナ球を210kgと、二次中粉砕した防黴性ガラスを20kgと、イソプロパノールを14kgとを収容した後、回転数1,000rpm、振動幅9mmの条件で、7時間微粉砕処理した。なお、この段階後の微粉砕ガラスを、電子顕微鏡で観察し、少なくとも70重量%以上が、角や面のある多面体であることを確認した。
【0063】
▲5▼固液分離および乾燥
微粉砕した防黴性ガラスと、イソプロパノールとを遠心分離機((株)コクサン製)を用いて、回転数3000rpm、3分の条件で、固液分離を行った。次いで、オーブンを用い、105℃、3時間の条件で防黴性ガラスを乾燥した。
【0064】
▲6▼解砕
乾燥して、一部塊化した防黴性ガラスを、ギア型の解砕機(中央化工機商事(株)製)を用いて解砕して、防黴性ガラス(多面体ガラス)とした。なお、この段階の防黴性ガラスを、電子顕微鏡で観察し、少なくとも90重量%以上が角や面のある多面体であって、平均粒径が10μmの防黴性ガラスであることを確認した。
【0065】
2.防黴性ガラスの評価
(1)透明性評価
得られた防黴性ガラスの透明性を、顕微鏡を使用して、以下の基準で判断した。結果を表1に示す。
◎:無色透明である。
〇:一部不透明感ある。
△:一部白色感がある。
×:完全に白色である。
【0066】
(2)再凝集性評価
得られた防黴性ガラス(多面体ガラス)の表面を、顕微鏡を使用して、以下の基準で判断した。結果を表1に示す。
◎:周囲に、微細な防黴性ガラスがほとんど付着していない。
〇:周囲に、微細な防黴性ガラスのわずかな付着が観察される。
△:周囲に、微細な防黴性ガラスの付着が少々観察される。
×:周囲に、微細な防黴性ガラスの付着が顕著に観察される。
【0067】
(3)Agイオン溶出性評価
得られた防黴性ガラス100gを、500mlの蒸留水(20℃)中に浸漬し、振とう機を用いて1時間振とうした。遠心分離器を用いてAgイオン溶出液を分離後、さらにろ紙(5C)を用いてろ過し、測定試料とした。そして、測定試料中のAgイオンを、ICP発光分光分析法により測定し、Agイオン溶出量(mg/kg換算)を算出した。
【0068】
(4)黄変性評価1
得られた防黴性ガラスに対して、紫外線照射装置(スガ試験機(株)製、サンシャインウエザオメータ)を用いて連続的に紫外線(ブラックパネル温度:63℃、照度:波長300〜700nmの光において、255W/m2)を照射し、防黴性ガラスの黄変性を以下の基準で判断した。なお、防黴性ガラスの黄変性は、顕微鏡を使用して測定した。結果を表1に示す。
◎:100時間経過後に無色透明である。
〇:50時間経過後に無色透明である。
△:10時間経過後に無色透明である。
×:10時間経過後に黄変している。
【0069】
(5)黄変性評価2
得られた防黴性ガラスを、ポリプロピレン樹脂中に、0.2重量%となるように混入させ、防黴樹脂組成物を調製した後、成形機を用いて、厚さ2mm、縦5cm、横5cmの試験片を得た。次いで、キセノンランプ(60W/m2)を照射し、以下の基準にしたがい、試験片の黄変性を評価した。得られた結果を表1に示す。
◎:100時間経過後に無色透明である。
〇:50時間経過後に無色透明である。
△:10時間経過後に無色透明である。
×:10時間経過後に黄変している。
【0070】
(6)防黴性評価および抗菌性評価
得られた防黴性ガラスを、ポリプロピレン樹脂中に、0.2重量%となるように混入させ、防黴樹脂組成物を調製した後、成形機を用いて、厚さ2mm、縦5cm、横5cmの試験片を得た。
一方、試験菌を、Trypticase Soy Agar(BBL)の寒天平板培地で、35℃、24時間培養し、発育集落を1/500濃度の普通ブイヨン培地(栄研化学(株)製)に懸濁させて、約1×106CFU/mlになるように調整した。
次いで、試験片に、黒麹黴の懸濁液0.5mlおよび黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus IFO#12732)の懸濁液0.5mlをそれぞれ均一に接触させ、さらに、ポリエチレン製フィルム(減菌)を載せて、それぞれフィルムカバー法の測定サンプルとした。
次いで、測定サンプルを、湿度95%、温度35℃、24時間の条件で、恒温槽に載置し、試験前の菌数(発育集落)と試験後の菌数(発育集落)とをそれぞれ測定し、以下の基準で、防黴性および抗菌性を評価した。
なお、試験前の菌数(発育集落)は、黒麹黴および黄色ブドウ球菌とも、それぞれ2.6×105(個/試験片)であった。それぞれの結果を表1に示す。
◎:試験後の菌数が、試験前の菌数の1/10000未満である。
〇:試験後の菌数が、試験前の菌数の1/10000以上〜1/1000未満である。
△:試験後の菌数が、試験前の菌数の1/1000以上〜1/100未満である。
×:試験後の菌数が、試験前の菌数の1/100以上である。
【0071】
(7)MICおよびMBC評価
日本化学療法学会法(寒天平板希釈法)に準拠し、寒天平板培地において2倍間隔で接種された黒麹黴の培養が抑制される防黴性ガラスから放出されるAgイオンの最小濃度(ppm)を最小発育阻止濃度(MIC)として、測定した。
また、同様に、日本化学療法学会法(寒天平板希釈法)に準拠し、寒天平板培地において2倍間隔で接種された黒麹黴が殺菌されるAgイオンの最小濃度(ppm)を最小殺菌濃度(MBC)として、測定した。
【0072】
[実施例2〜5]
表1に示すようにガラス組成を変えた以外は、実施例1と同様に、それぞれ形状が多面体であって、平均粒径が10μmの防黴性ガラスを作成し、評価した。得られた結果を、表1に示す。
【0073】
[実施例6〜9]
実施例1と同様のガラス組成において、多面体であって、平均粒径が10μmの防黴性ガラスを作成した。次いで、微粉砕工程において、γ−アミノプロピルトリメトキシシランを、防黴性ガラス100重量%に対して、それぞれ0.5重量%(実施例6)、1重量%(実施例7)、3重量%(実施例8)および5重量%(実施例9)となるように添加して、評価した。得られた結果を表2に示す。
【0074】
[実施例10〜11]
実施例1と同様のガラス組成において、多面体であって、平均粒径が10μmの防黴性ガラスを作成した。次いで、微粉砕工程において、平均粒径が0.3μmのZnOを、それぞれ8重量%(実施例10)および2.7重量%(実施例11)添加し、外添粒子を含む防黴性ガラスを作成して、評価した。得られた結果を表2に示す。
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】
【0077】
[実施例12および比較例1〜4]
1.防黴性ガラスの作成
実施例12では、実施例1における微粉砕を行わず、粗粉砕および中粉砕のみで防黴性ガラスの形状を部分的に多面体とするとともに、24メッシュのふるいを用いて、平均粒径を700μmに調整した。
また、比較例1では、実施例12における多面体の防黴性ガラスを加熱し、球状化して、平均粒径を500μmに調整した。
また、比較例2では、実施例1における中粉砕および微粉砕を行わず、抗菌性ガラスの形状を粒状または塊状のまま、多面体としないとともに、48メッシュのふるいを用いて、平均粒径を300μmに調整した。
さらにまた、比較例3および4では、それぞれ表3に示すガラス組成に変えたほかは実施例1と同様の形態の防黴性ガラスを作成した。
【0078】
2.防黴性ガラスの評価
実施例1と同様の評価条件で、実施例12および比較例1〜4において得られた防黴性ガラスについて、それぞれ透明性等を評価した。得られた結果を表3に示す。ただし、再凝集性については、比較例2の防黴性ガラスは粒状であって、細かな防黴性ガラスの細片が生じていないために、評価できなかった。
結果から明らかなように、実施例12では、防黴性ガラスの平均粒径が大きいためと思われるが、得られた防黴性ガラスは、白濁して一部透明性に欠けていた。また、紫外線照射による黄変が一部観察された。さらに、樹脂中への分散混合が比較的困難であることも別途確認された。
また、比較例1および2では、防黴性ガラスの形状が多面体でないためと思われるが、得られた防黴性ガラスは、白濁して透明性に欠けるとともに、紫外線照射による黄変が一部観察され、樹脂中への分散混合についても困難であることが確認された。
さらに、比較例3および4では、防黴性ガラスの組成が適当でないためと思われるが、得られた防黴性ガラスは、白濁して透明性に欠けるとともに、紫外線照射による黄変が一部観察され、樹脂中への分散混合についても困難であることが確認された。
【0079】
【0080】
[比較例4]
防黴性ガラスの全体量を100重量%としたときに、Ag2Oが1.6重量%、ZnOが60重量%、P2O5が30重量%、B2O3が2.5重量%、CaOが4重量%、Na2Oが1.4重量%、CeO2が0.5重量%となるように、それぞれのガラス原料を、万能混合機を用いて、回転数250rpm、30分の条件で、均一に混合するまで攪拌した。次いで、溶融炉を用いて、1280℃、3時間半の条件でガラス原料を加熱した後、ガラス粒子を形成しようとしたが、ZnO量が多すぎるためと思われるが、ガラス形成が不可能であったため、その後の評価を中止した。
【0081】
[比較例5]
1.防黴性ガラスの作成
従来のホウ酸系ガラスからなる防黴性ガラスを作成した。すなわち、防黴性ガラスの全体量を100重量%としたときに、Ag2Oが1.6重量%、ZnOが10重量%、B2O3が60重量%、Na2Oが10重量%、SiO2が18.4重量%となるように、それぞれのガラス原料を、万能混合機を用いて、回転数250rpm、30分の条件で、均一に混合するまで攪拌した。次いで、溶融炉を用いて、1280℃、3時間半の条件でガラス原料を加熱し、ガラス融液を得た。得られたガラス融液から、平均粒径が20μm、形状が粒状であるガラス粒子を作成した。
【0082】
2.防黴性ガラスの評価
得られた防黴性ガラスを、実施例1と同様に評価した。結果を表3に示す。かかる従来の防黴性ガラスは、銀の溶出量自体は比較的多かったものの、防黴性に乏しく、しかも黄変性評価についても劣った結果であることが確認された。
【0083】
【発明の効果】
本発明の防黴性ガラスおよび防黴性樹脂組成物によれば、形状やガラス組成を制限することにより、黒麹黴等に対する防黴性に優れるとともに、透明性や黄変防止性等にも優れた防黴性ガラスおよび防黴性樹脂組成物が得られるようになった。
また、本発明の防黴性ガラスの製造方法によれば、黒麹黴等に対する防黴性に優れるとともに、透明性や黄変防止性等にも優れた防黴性ガラスが効率的に得られるようになった。
【0084】
【図面の簡単な説明】
【図1】 防黴性ガラスの形状を模式的に示す図(写真)である。
【図2】 外添粒子を含む防黴性ガラスの形状を模式的に示す図(写真)である。
【図3】 防黴性樹脂組成物からなる積層体を模式的に示す図である。
【0085】
【符号の説明】
10:防黴性ガラス
12:樹脂
14:防黴性樹脂組成物
16:コンクリート
18:接着剤
Claims (10)
- Agイオンを溶出しうる防黴性ガラスにおいて、当該防黴性ガラスの形状を多面体とするとともに、全体量に対して、Ag2Oを0.2〜5重量%、P 2 O 5 を50〜55重量%、ZnOを40〜50重量%、およびB2O3を0.1〜15重量%の範囲で含むことを特徴とする防黴性ガラス。
- 全体量に対して、CaOを0.1〜15重量%の範囲でさらに含むとともに、前記ZnOに対するCaOの重量比率(ZnO/CaO)を1.1〜15の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1に記載の防黴性ガラス。
- 前記防黴性ガラスが、全体量に対して、Al2O3を0.1〜15重量%の範囲でさらに含むことを特徴とする請求項1または2に記載の防黴性ガラス。
- 前記防黴性ガラスが、全体量に対して、CeO2を0.1〜3重量%の範囲で含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の防黴性ガラス。
- 前記防黴性ガラスの平均粒径を0.1〜300μmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の防黴性ガラス。
- 黒麹黴に対する最小発育阻止濃度(MIC)が700ppm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の防黴性ガラス。
- カップリング剤処理が、表面に施してあることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の防黴性ガラス。
- Agイオンを溶出しうる防黴性ガラスと、樹脂とを含む防黴性樹脂組成物において、当該防黴性ガラスの形状を多面体とするとともに、前記防黴性ガラスが、全体量に対して、Ag2Oを0.2〜5重量%、P 2 O 5 を50〜55重量%、ZnOを40〜50重量%、およびB2O3を0.1〜15重量%の範囲で含むことを特徴とする防黴性樹脂組成物。
- 下記工程(A)〜(C)を含むことを特徴とするAgイオンを溶出しうる多面体の防黴性ガラスの製造方法。
(A)全体量に対して、Ag2Oを0.2〜5重量%、P 2 O 5 を50〜55重量%、ZnOを40〜50重量%、およびB2O3を0.1〜15重量%の範囲で含むガラス原料を溶融し、ガラス融液とする工程
(B)ガラス融液を、平均粒径が300μmを超える粗粉砕ガラスとする第1の粉砕工程
(C)粗粉砕ガラスを、平均粒径が0.1〜300μmの範囲内の値であって、形状を多面体とする第2の粉砕工程 - 前記第2の粉砕工程において、回転ウス、回転ロール、振動ミル、ボールミル、サンドミル、あるいはジェットミルを用いることを特徴とする請求項9に記載の防黴性ガラスの製造方法。
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