JPH10140141A - 帯電防止処理材の製造方法 - Google Patents

帯電防止処理材の製造方法

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JPH10140141A
JPH10140141A JP8296825A JP29682596A JPH10140141A JP H10140141 A JPH10140141 A JP H10140141A JP 8296825 A JP8296825 A JP 8296825A JP 29682596 A JP29682596 A JP 29682596A JP H10140141 A JPH10140141 A JP H10140141A
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義弘 齊田
Yoshiaki Ikenoue
芳章 池ノ上
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  • Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 湿潤性(親水性)の高い表面を有し、常温放
置において安定性に優れた自己ドープ型導電性高分子も
しくはイソチアナフテン骨格をもった自己ドープ型ポリ
マーを含む帯電防止剤、それを利用した帯電防止処理方
法、それにより得られる帯電防止処理材の提供。 【解決手段】 下記一般式(1) 【化1】 で示される化学構造を有する自己ドープ型導電性高分子
を含む導電性ミクロゲル分散体からなる帯電防止剤、そ
れを利用した帯電防止処理方法、それにより帯電防止処
理された材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、常温で長期保存し
ても極めて安定な、自己ドープ型導電性高分子化合物を
含む導電性ミクロゲル分散体の利用およびその用途、物
品に関する。更に詳しくは、本発明は、電気、電子工業
の分野において、加工的要求度が高い電極、センサー、
エレクトロニクス表示素子、非線形光学素子、光電変換
素子、帯電防止剤ほか、各種導電材料あるいは光学材料
として用いるのに適した安定な自己ドープ型導電性高分
子化合物の用途に関するものである。
【0002】
【従来の技術】π電子共役系の発達した重合体は、導電
性のみならず金属/半導体転移における状態変化などの
特異な物性のために工業的に注目され、多くの研究がな
されてきた。特にポリアセチレンやポリチオフェン、ポ
リピロール、ポリパラフェニレン等の多くの導電性高分
子は、剛直な主鎖骨格のため不溶不融である(Skotheim
著、"Handbook of Conducting Polymers" 誌、Mercer D
ekker 社発行、1986年)が、その側鎖にアルキル基等の
置換基を導入した重合体は可溶性となり、その易加工性
のため工業的に注目されてきている。具体的な例として
は、ポリチオフェン環の側鎖に長鎖アルキル基を導入し
て有機溶媒に可溶とした重合体(K.Jen ら、Journal of
Chemical Society, Chemical Communication 誌、1346
頁、1986年)や、スルホアルキル基を導入した水溶性の
重合体(A.O.Patil ら、Journal of American Chemical
Society誌、109 巻、1858頁、1987年)などが知られて
いる。
【0003】後者の例は水溶性の自己ドープ型ポリマー
として知られ、一般にはブレンステッド酸基がπ電子共
役系ポリマーの主鎖に直接、またはスペーサーを介して
間接的に共有結合されており、外来ドーパントの寄与な
しに導電状態を示す点でも注目されてきた。このような
例の報告としては他にも、E.E.Havinga らのポリチオフ
ェン誘導体やポリピロール誘導体(Polymer Bulletin
誌、18巻、277 頁、1987年)、Aldissi のポリチオフェ
ン誘導体やポリピロール誘導体(米国特許4,880,508
号)、ポリアニリン芳香環に置換基としてカルボキシル
基を共有結合させた重合体(特表平1-500835号)、ピロ
ールのN位にスルホプロピル基が置換した重合体(Jour
nal of Chemical Society, Chemical Communication
誌、621 頁、1987年)、N位にスルホプロピル基が置換
したポリアニリン重合体(Journal of Chemical Societ
y, Chemical Communication 誌、180 頁、1990年、およ
び Synthetic Metal 誌、31巻、369 頁、1989年)、芳
香環に直接スルホン酸基が置換したポリアニリン誘導体
(Journal of American Chemical Society誌、112 巻、
2800頁、1990年)、スルホン酸基を置換したイソチアナ
フテン重合体(特開平6 −49183 号および特開平7-4843
6 号)などが製造法とともに開示されている。
【0004】前記、ブレンステッド酸基がπ電子共役系
ポリマーの主鎖に直接、またはスペーサーを介して間接
的に共有結合した自己ドープ型ポリマーは、水溶性であ
ること、外来ドーパントの寄与なしに安定な導電状態を
示すこと、容易に薄膜化できその導電性は長期間にわた
って安定であることなどから工業的に多くの利点があ
る。自己ドープ型導電性高分子の応用の一例として、荷
電粒子線の照射を含む工程における帯電現象を防止する
方法が開示されている特開平4−32848号が挙げら
れる。その他、自己ドープ型導電性高分子の主鎖構造が
ポリイソチアナフテン構造を有する特開平7−4175
6号やポリイミン構造を有する特開平4−349614
号等が開示されている。
【0005】上記自己ドープ型導電性高分子のうち、π
電子共役系のポリマー主鎖にイソチアナフテン骨格、ピ
ロール骨格もしくはアニリン骨格を有するポリマーは、
酸化電位が比較的低いため容易にp型ドープされ易くそ
のため固体状態(例えば膜の状態)では導電状態が安定
であるものの、水溶液状態で常温にて放置すると、溶液
のpHが変化したり、塗布等の方法で形成した膜の表面
抵抗の上昇(導電性の低下)が起こる。例えば荷電粒子
線を照射する工程において帯電現象を防止する目的で使
われる場合には極めてその影響が大きく、電子材料誌1
990年12月p.48−54によれば、こうした帯電
現象を防止するには表面抵抗が5×107 Ω/□以下で
あることが求められている。このため水溶液状態での保
管には保管温度等の制限があった。
【0006】一方、これまでに知られている水分散系の
ポリマー、例えば特開平2−258832号および特開
平2−258833号で開示されているポリイソチアナ
フテン系ポリマーは、本質的に水不溶性のポリマーと外
来ドーパントを含む水分散体であるため、ポリマー表面
の湿潤性(親水性)に問題があった。特に、荷電粒子線
の照射を含む工程における帯電現象を防止するために使
用された場合、使用後の塗膜の水洗除去過程の煩雑さ等
が問題となる。これらの問題点を解決するため、親水性
の高い導電性高分子、かつ、ドープ状態の安定な自己ド
ープ型導電性高分子が望まれていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、湿潤
性(親水性)の高い表面を有し、常温放置において安定
性に優れた自己ドープ型導電性高分子もしくはイソチア
ナフテン骨格をもった自己ドープ型ポリマーを含む帯電
防止剤、それを利用した帯電防止処理方法、及びそれに
より得られる帯電防止処理材を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意研究の
結果、下記一般式(1)
【化3】 で示される化学構造を有する自己ドープ型導電性高分子
が0.05μmから0.5μmのサイズのミクロゲルを
形成することを発見し、溶媒中でミクロゲルの分散状態
となることにより、自己ドープ特性を損なうことなく溶
媒中での安定性が著しく向上することを見いだし本発明
に至った。さらに、前記ミクロゲル分散系における自己
ドープ状態の安定性が分子内にドーパント能を持つブレ
ンステッド酸基を有する自己ドープ型導電性高分子の構
造体においても特有に存在できることを見い出し本発明
に至った。
【0009】すなわち本発明は以下のものを提供するも
のである。 [1] 分子内にドーパント能を持つブレンステッド酸
基を有する自己ドープ型導電性高分子を含む導電性ミク
ロゲル分散体を用いて帯電防止処理することを特徴とす
る帯電防止処理材の製造方法。 [2] 導電性ミクロゲル分散体が界面活性剤を含むこ
とを特徴とする前記[1]記載の帯電防止処理材の製造
方法。 [3] 導電性ミクロゲル分散体が第4級アンモニウム
イオンを含むことを特徴とする前記[1]または[2]
記載の帯電防止処理材の製造方法。 [4] 自己ドープ型導電性高分子がドーパント能をも
つブレンステッド酸基を有するモノマーユニットと該基
を有しないモノマーユニットからなる共重合体であり、
該基を有しないモノマーユニットのモル分率が0.01
以上0.5以下であることを特徴とする前記[1]〜
[3]のいずれかに記載の帯電防止処理材の製造方法。
【0010】[5] 自己ドープ型導電性高分子が、ポ
リ(イソチアナフテン−5−スルホン酸−co−イソチ
アナフテン)、ポリ(チオフェン−3−アルカンスルホ
ン酸−co−チオフェン)、ポリ(ピロール−3−アル
カンスルホン酸−co−ピロール)、ポリ(ピロール−
N−アルカンスルホン酸−co−ピロール)、ポリ(ア
ニリンスルホン酸−co−アニリン)、ポリ(アニリン
−N−アルカンスルホン酸−co−アニリン)、ポリ
(カルバゾール−N−アルカンスルホン酸−co−カル
バゾール)、ポリ(フェニレン−オキシアルキレンスル
ホン酸−co−フェニレン)、ポリ(チオフェン−3−
アルキルカルボン酸−co−チオフェン)、またはこれ
らの各種塩構造体および置換誘導体であることを特徴と
する前記[4]に記載の帯電防止処理材の製造方法。
【0011】[6] 自己ドープ型導電性高分子が下記
一般式(1)
【化4】 [式中、R1 、R2 、R3 およびR4 はそれぞれ独立に
H、炭素数1乃至20の直鎖状もしくは分岐状の飽和も
しくは不飽和のアルキル、アルコキシまたはアルキルエ
ステル基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、トリハロメ
チル基、フェニル基及び置換フェニル基からなる群から
選ばれる一価の置換基を表わす。R3 だけは上記の他に
SO3 -Mであってもよい。隣合うR1 とR2 もしくはR
3 とR4 は、互いにそれぞれの置換基内の任意の置換位
置で結合して、該置換基により置換されている炭素原子
を含む飽和または不飽和の環状構造を形成する二価基を
少なくとも1つ以上形成してもよい。R1 、R2 、R3
およびR4 のアルキル基、アルコキシ基またはアルキル
エステル基の鎖中には、カルボニル、エーテル、エステ
ル、アミド、スルフィド、スルフィニル、スルホニル、
イミノなどの結合を任意に含んでもよい。mは共重合体
中のモノマーユニットのモル分率を表す少数であり、
0.01≦m≦0. 5を満たす少数である。MはH+
NR5678 +で表わされる第4級アンモニウムの
カチオン、PR5678 +もしくはAsR56
78 +で表わされるVb族元素の第4級カチオン、ある
いはNa+、Li+ 、K+ 等のアルカリ金属イオンを表
わし、R5 、R6 、R7 、R8 はそれぞれ独立にH、ま
たは炭素数1乃至30の直鎖状もしくは分岐状の置換も
しくは非置換アルキル基、または置換もしくは非置換ア
リール基を表わし、アルコキシ基、ヒドロキシル基、オ
キシアルキレン基、チオアルキレン基、アゾ基、アゾベ
ンゼン基、p−ジフェニレンオキシ基のごとき炭素、水
素以外の元素を含む基を含むアルキル基またはアリール
基であってもよい]で示される化学構造を有する自己ド
ープ型導電性高分子であることを特徴とする前記[1]
〜[3]のいずれかに記載の帯電防止処理材の製造方
法。
【0012】[7] 一般式(1)におけるR2 および
4 がそれぞれ独立にHであることを特徴とする前記
[6]記載の帯電防止処理材の製造方法。 [8] ミクロゲルサイズが0.05μm〜0.5μm
であることを特徴とする前記[1]〜[7]のいずれか
に記載の帯電防止処理材の製造方法。 [9] 導電性ミクロゲル分散体が0.1μm〜0.2
μmのサイズのミクロゲルを0.1〜95%の存在率で
含むことを特徴とする前記[1]〜[8]のいずれかに
記載の帯電防止処理材の製造方法。 [10] 分子内にドーパント能を持つブレンステッド
酸基を有する自己ドープ型導電性高分子を含む導電性ミ
クロゲル分散体を用いることを特徴とする帯電防止処理
方法。 [11] 導電性ミクロゲル分散体が界面活性剤を含む
ことを特徴とする前記[10]記載の帯電防止処理方
法。 [12] 導電性ミクロゲル分散体が第4級アンモニウ
ムイオンを含むことを特徴とする前記[10]または
[11]記載の帯電防止処理方法。 [13] 自己ドープ型導電性高分子がドーパント能を
もつブレンステッド酸基を有するモノマーユニットと該
基を有しないモノマーユニットからなる共重合体であ
り、該基を有しないモノマーユニットのモル分率が0.
01以上0.5以下であることを特徴とする前記[1
0]〜[12]のいずれかに記載の帯電防止処理方法。
【0013】[14] 自己ドープ型導電性高分子が、
ポリ(イソチアナフテン−5−スルホン酸−co−イソ
チアナフテン)、ポリ(チオフェン−3−アルカンスル
ホン酸−co−チオフェン)、ポリ(ピロール−3−ア
ルカンスルホン酸−co−ピロール)、ポリ(ピロール
−N−アルカンスルホン酸−co−ピロール)、ポリ
(アニリンスルホン酸−co−アニリン)、ポリ(アニ
リン−N−アルカンスルホン酸−co−アニリン)、ポ
リ(カルバゾール−N−アルカンスルホン酸−co−カ
ルバゾール)、ポリ(フェニレン−オキシアルキレンス
ルホン酸−co−フェニレン)、ポリ(チオフェン−3
−アルキルカルボン酸−co−チオフェン)、またはこ
れらの各種塩構造体および置換誘導体であることを特徴
とする前記[13]に記載の帯電防止処理方法。
【0014】[15] 自己ドープ型導電性高分子が下
記一般式(1)
【化5】 [式中、R1 、R2 、R3 およびR4 はそれぞれ独立に
H、炭素数1乃至20の直鎖状もしくは分岐状の飽和も
しくは不飽和のアルキル、アルコキシまたはアルキルエ
ステル基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、トリハロメ
チル基、フェニル基及び置換フェニル基からなる群から
選ばれる一価の置換基を表わす。R3 だけは上記の他に
SO3 -Mであってもよい。隣合うR1 とR2 もしくはR
3 とR4 は、互いにそれぞれの置換基内の任意の置換位
置で結合して、該置換基により置換されている炭素原子
を含む飽和または不飽和の環状構造を形成する二価基を
少なくとも1つ以上形成してもよい。R1 、R2 、R3
およびR4 のアルキル基、アルコキシ基またはアルキル
エステル基の鎖中には、カルボニル、エーテル、エステ
ル、アミド、スルフィド、スルフィニル、スルホニル、
イミノなどの結合を任意に含んでもよい。mは共重合体
中のモノマーユニットのモル分率を表す少数であり、
0.01≦m≦0. 5を満たす少数である。MはH+
NR5678 +で表わされる第4級アンモニウムの
カチオン、PR5678 +もしくはAsR56
78 +で表わされるVb族元素の第4級カチオン、ある
いはNa+、Li+ 、K+ 等のアルカリ金属イオンを表
わし、R5 、R6 、R7 、R8 はそれぞれ独立にH、ま
たは炭素数1乃至30の直鎖状もしくは分岐状の置換も
しくは非置換アルキル基、または置換もしくは非置換ア
リール基を表わし、アルコキシ基、ヒドロキシル基、オ
キシアルキレン基、チオアルキレン基、アゾ基、アゾベ
ンゼン基、p−ジフェニレンオキシ基のごとき炭素、水
素以外の元素を含む基を含むアルキル基またはアリール
基であってもよい]で示される化学構造を有する自己ド
ープ型導電性高分子であることを特徴とする前記[1
0]〜[12]のいずれかに記載の帯電防止処理方法。
【0015】[16] 一般式(1)におけるR2 およ
びR4 がそれぞれ独立にHであることを特徴とする前記
[15]記載の帯電防止処理方法。 [17] ミクロゲルサイズが0.05μm〜0.5μ
mであることを特徴とする前記[10]〜[16]のい
ずれかに記載の帯電防止処理方法。 [18] 導電性ミクロゲル分散体が0.1μm〜0.
2μmのサイズのミクロゲルを0.1〜95%の存在率
で含むことを特徴とする前記[10]〜[17]のいず
れかに記載の帯電防止処理方法。 [19] 前記[1]〜[18]のいずれかに記載の方
法を使用することにより得られる帯電防止処理材。 [20] 半導体製造にかかわることを特徴とする前記
[19]に記載の帯電防止処理材。
【0016】以下本発明について詳細に説明する。分子
内にドーパント能を持つブレンステッド酸基を有する自
己ドープ型導電性高分子を含む分散体は、保存安定性に
優れた特徴を有するミクロゲル分散体を形成する。具体
的なポリマーとしては、ポリ(イソチアナフテン−5−
スルホン酸−co−イソチアナフテン)、ポリ(ピロー
ル−3−アルカンスルホン酸−co−ピロール)、ポリ
(ピロール−N−アルカンスルホン酸−co−ピロー
ル)、ポリ(アニリンスルホン酸−co−アニリン)、
ポリ(アニリン−N−アルカンスルホン酸−co−アニ
リン)およびこれら高分子体の各種塩構造体および置換
誘導体が挙げられる。更に、ポリ(チオフェン−3−ア
ルカンスルホン酸−co−チオフェン)、ポリ(カルバ
ゾール−N−アルカンスルホン酸−co−カルバゾー
ル)、ポリ(フェニレン−オキシアルキレンスルホン酸
−co−フェニレン)、ポリ(チオフェン−3−アルキ
ルカルボン酸−co−チオフェン)およびこれらの高分
子体の各種塩構造体および置換誘導体においても、ミク
ロゲル分散体を形成し物品の製造あるいは使用において
帯電防止のために用いることができる。但し、該ポリマ
ーはブレンステッド酸基を有するπ電子共役系導電性高
分子であれば良く、化学構造の一次構造には特に制限さ
れない。該ポリマーの一例として前記一般式(1)で示
される化学構造を有する導電性高分子があげられる。
【0017】一般式(1)のR1 、R2 、R3 およびR
4 はそれぞれ独立にH、炭素数1乃至20の直鎖状もし
くは分岐状の飽和もしくは不飽和のアルキル、アルコキ
シまたはアルキルエステル基、ハロゲン、ニトロ基、シ
アノ基、クロロメチル等のトリハロメチル基、フェニル
基及び置換フェニル基からなる群の一価の置換基から選
ばれる。なお、R3 は更にSO3 -Mであってもよい。
【0018】ここで、R1 、R2 、R3 およびR4 とし
て特に有用な例としては、H(水素)、アルキル基、ア
ルコキシ基、アルキルエステル基、フェニルおよび置換
フェニル基、スルホン酸基が挙げられる。これらの置換
基を更に詳しく例示すれば、アルキル基としてはメチ
ル、エチル、プロピル、アリル、イソプロピル、ブチ
ル、1ーブテニル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オ
クチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、テト
ラデシル、ヘキサデシル、エトキシエチル、メトキシエ
チル、メトキシエトキシエチル、アセトニル、フェナシ
ル等、アルコキシ基としてはメトキシ、エトキシ、プロ
ポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、
ヘキシルオキシ、オクチルオキシ、ドデシルオキシ、メ
トキシエトキシ、メトキシエトキシエトキシ等、アルキ
ルエステル基としては、メトキシカルボニル、エトキシ
カルボニル、ブトキシカルボニル等のアルコキシカルボ
ニル基、アセトキシ、ブチロイルオキシ等のアシルオキ
シ基、置換フェニル基としてはフロロフェニル基、クロ
ロフェニル基、ブロモフェニル基、メチルフェニル基、
メトキシフェニル基等が挙げられる。
【0019】なお、上記のR1 、R2 、R3 およびR4
のアルキル基、アルコキシ基またはアルキルエステル基
の鎖中には、カルボニル、エーテル、エステル、アミ
ド、スルフィド、スルフィニル、スルホニル、イミノ結
合を任意に含有してもよい。一般式(1)におけるR
1 、R2 、R3 およびR4 として望ましいのは、H、炭
素数1乃至20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基ま
たはアルコキシ基であり、また、Hまたは炭素数1乃至
20の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシ基が特に望ま
しい。隣合うR1 とR2 もしくはR3 とR4 は互いに任
意の置換位置で結合して、該置換基により置換されてい
る原子を含む飽和または不飽和の環状構造(例えば炭化
水素)または複素環を形成する二価基を形成してもよ
く、かかる二価基の例としてはブチレン、ペンチレン、
ヘキシレン、ブタジエニレン、置換ブタジエニレン、メ
チレンジオキシ、エチレンジオキシなどが挙げられる。
【0020】一般式(1)において、MはH+ 、NR5
678 +で表わされる第4級アンモニウムのカチオ
ン、PR5678 +もしくはAsR5678 +
で表わされるVb族元素の第4級カチオン、あるいはN
+ 、Li+ 、K+ 等のアルカリ金属イオンを表わし、
5 、R6 、R7 、R8 はそれぞれ独立にH、炭素数1
乃至30の直鎖状もしくは分岐状の置換もしくは非置換
アルキル基、または置換もしくは非置換アリール基を表
わし、アルコキシ基、ヒドロキシル基、オキシアルキレ
ン基、チオアルキレン基、アゾ基、アゾベンゼン基、p
−ジフェニレンオキシ基のごとき炭素、水素以外の元素
を含む基を含むアルキルまたはアリール基であってもよ
い。
【0021】かかるNR5678 +で表わされる第
4級アンモニウムのカチオンとしては、例えばNH4 +
NH(CH33 +、NH(C653 +、N(CH3
2 (CH2 OH)(CH2 −Z)+ 等の非置換またはア
ルキル置換もしくはアリール置換型カチオンが用いられ
る(但し、Zは化学式量が600以下の任意の置換基を
表し、例えば、フェノキシ基、p−ジフェニレンオキシ
基、p−アルコキシジフェニレンオキシ基、p−アルコ
キシフェニルアゾフェノキシ基等の置換基である。)。
またPR5678 +、AsR5678 +で表わ
されるVb族元素の第4級カチオンとしては例えばPH
4 +、PH(CH33 +、PH(C653 +、As
4 +、AsH(CH33 +、AsH(C653 +等の
非置換またはアルキル置換もしくはアリール置換型カチ
オンが用いられる。特定カチオンに変換するために、通
常のイオン交換樹脂を用いてもよい。
【0022】また、かかるR5 、R6 、R7 、R8 から
選ばれる複数の置換基は、互いに任意の置換位置で結合
して、該置換基により置換されている原子を含む飽和ま
たは不飽和の複素環を形成する二価基を少なくとも1つ
以上形成してもよい。R5 、R6 、R7 およびR8 のア
ルキル基の鎖中には、カルボニル、エーテル、エステ
ル、アミド、スルフィド、スルフィニル、スルホニル、
イミノなどの結合を任意に含んでもよい。前記二価基の
例としてはブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ブタジ
エニレン、置換ブタジエニレン、メチレンジオキシ、エ
チレンジオキシなどが挙げられる。一般式(1)におい
て、望ましいMの例としては、H+ 、NR567
8 +で表わされる第4級アンモニウムのカチオン、Na
+ 、Li+ またはK+ 等のアルカリ金属イオンが挙げら
れ、NR5678 +が特に望ましい。また一般式
(1)における、R5 、R6 、R7 、R8 としては、そ
れぞれ独立にHまたは炭素数1乃至30の直鎖状もしく
は分岐状のアルキル基が望ましい。
【0023】本発明にかかわる、前記一般式(1)で示
される化学構造を有する自己ドープ型導電性高分子を含
む導電性ミクロゲル分散体は、下記一般式(2)
【化6】 [式中、R1 とR2 はそれぞれ独立にH、炭素数1乃至
20の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和アル
キル、アルコキシまたはアルキルエステル基、ハロゲ
ン、ニトロ基、シアノ基、トリハロメチル基、フェニル
基及び置換フェニル基からなる群から選ばれる一価の置
換基を表わす。隣合うR1 とR2 は、互いに任意の置換
位置で結合して、該置換基により置換されている炭素原
子を含む飽和または不飽和の環状構造を形成する二価基
を少なくとも1つ以上形成してもよい。R1 とR2 のア
ルキル基、アルコキシ基またはアルキルエステル基の鎖
中には、カルボニル、エーテル、エステル、アミド、ス
ルフィド、スルフィニル、スルホニル、イミノなどの結
合を任意に含んでもよい。]で表される化合物及び下記
一般式(3)
【化7】 [式中、R3 とR4 はそれぞれ独立にH、炭素数1乃至
20の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和アル
キル、アルコキシまたはアルキルエステル基、ハロゲ
ン、ニトロ基、シアノ基、トリハロメチル基、フェニル
基及び置換フェニル基からなる群から選ばれる一価の置
換基を表わす。隣合うR3 とR4 は、互いに任意の置換
位置で結合して、該置換基により置換されている炭素原
子を含む飽和または不飽和の環状構造を形成する二価基
を少なくとも1つ以上形成してもよい。R3 とR4 のア
ルキル基、アルコキシ基またはアルキルエステル基の鎖
中には、カルボニル、エーテル、エステル、アミド、ス
ルフィド、スルフィニル、スルホニル、イミノなどの結
合を任意に含んでもよい。MはH+ 、NR567
8 +で表わされる第4級アンモニウムのカチオン、PR5
678 +もしくはAsR5678 +で表わされ
るVb族元素の第4級カチオン、あるいはNa+、Li+
、K+ 等のアルカリ金属イオンを表わし、R5 、R
6 、R7 、R8 はそれぞれ独立にH、または炭素数1乃
至30の直鎖状もしくは分岐状の置換もしくは非置換ア
ルキル基、または置換もしくは非置換アリール基を表わ
し、アルコキシ基、ヒドロキシル基、オキシアルキレン
基、チオアルキレン基、アゾ基、アゾベンゼン基、p−
ジフェニレンオキシ基のごとき炭素、水素以外の元素を
含む基を含むアルキル基またはアリール基であってもよ
い]で表される化合物、および酸化剤とを混合すること
によって製造できる。
【0024】一般式(2)で表される化合物と一般式
(3)で表される化合物の混合比は、所望の0.05〜
0.5μmのミクロゲルの存在率によって異なるために
一概に規定できないが、一般式(2)で表される化合物
のモル百分率において1モル%から50モル%の範囲内
にあれば良い。更に望ましくは5モル%〜30モル%が
好ましい。本発明に係わる自己ドープ型導電性高分子を
含む分散体の安定性は、0.1〜0.2μmサイズのミ
クロゲル存在率が増加することによって、ミクロゲルの
凝集状態における安定性およびπ電子共役構造の空気酸
化に対する安定性が向上する。さらには、一般式(2)
により表される化合物の仕込モル百分率を増加させるこ
とによっても向上するが、一般式(2)により表される
化合物の仕込モル百分率が50モル%を越えるとミクロ
ゲルの水分散性または溶解性が著しく低下し、もはや分
散媒体に溶解しなくなるために好ましくない。
【0025】本発明にかかわる一般式(2)の化合物の
具体例を示せば、1,3ージヒドロイソチアナフテン,
5−メチル−1,3−ジヒドロイソチアナフテン、5−
エチル−1,3−ジヒドロイソチアナフテン、5−プロ
ピル−1,3−ジヒドロイソチアナフテン、5−イソプ
ロピル−1,3−ジヒドロイソチアナフテン、5−イソ
プロピレン−1,3−ジヒドロイソチアナフテン、5−
ヘキシル−1,3−ジヒドロイソチアナフテン、5−デ
シル−1,3−ジヒドロイソチアナフテン、5−フェニ
ル−1,3−ジヒドロイソチアナフテン、5−トリフル
オロメチル−1,3−ジヒドロイソチアナフテン、5−
クロロ−1,3−ジヒドロイソチアナフテン、5−フル
オロ−1,3−ジヒドロイソチアナフテン、5−シアノ
−1,3−ジヒドロイソチアナフテン,5−アミノカル
ボニル−1,3−ジヒドロイソチアナフテン、5−メト
キシ−1,3−ジヒドロイソチアナフテン、5−エトキ
シ−1,3−ジヒドロイソチアナフテン、5−デシルオ
キシ−1,3−ジヒドロイソチアナフテン、4,5−メ
チレンジオキシ−1,3−ジヒドロイソチアナフテン、
4,5−エチレンジオキシ−1,3−ジヒドロイソチア
ナフテン等が挙げられる。
【0026】一方、本発明にかかわる一般式(3)の化
合物の具体例を示せば、特開平8ー3156号に記載の
1,3−ジヒドロイソチアナフテン−5−スルホン酸、
6−メチル−1,3−ジヒドロイソチアナフテン−5−
スルホン酸、4,7−ジメトキシ−1,3−ジヒドロイ
ソチアナフテン−5−スルホン酸、6−メトキシカルボ
ニル−1,3−ジヒドロイソチアナフテン−5−スルホ
ン酸等およびそのナトリウム塩や4級アンモニウム塩を
挙げることができる。
【0027】本発明にかかわる酸化剤は、酸化性を有す
る遷移金属ハロゲン化物が好ましく、異なる遷移金属ハ
ロゲン化物を併用してもよい。あるいは、遷移金属ハロ
ゲン化物以外の酸化剤を単独に使用するか、もしくは遷
移金属ハロゲン化物と併用することもできる。遷移金属
ハロゲン化物としてより具体的には、塩化第二鉄、塩化
モリブデンおよび塩化ルテニウム、塩化第二銅、硫酸第
二鉄、硫酸第二銅等が挙げられる。遷移金属ハロゲン化
物以外の酸化剤としてより具体的には、硫酸、三酸化硫
黄、クロルスルホン酸等が挙げられる。
【0028】本発明の帯電防止剤である導電性ミクロゲ
ル分散体に用いられる高分子の製造に用いられる溶媒
は、モノマーを溶解する溶媒であれば特に限定されるも
のではなく、各々のモノマーを溶解する異なる溶媒の混
合溶媒を用いても良い。例えばより具体的には、水、
1,4−ジオキサンやテトラヒドロフラン等のエーテル
類、アセトニトリルやベンゾニトリル等のニトリル類、
メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノ
ールなどのアルコール類、N、N−ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリド
ンなどの非プロトン性極性溶媒、硫酸等の鉱酸、酢酸な
どの有機酸等が挙げられ、更にそれらの混合溶媒を用い
ることもできる。本発明の帯電防止剤である導電性ミク
ロゲル分散体に用いられる高分子の製造法に係わる反応
温度は、一般式(2)および一般式(3)により表され
る化合物などのモノマーの化学構造等によって異なるた
め一概に規定できないが、一般には−80℃から250
℃の温度範囲で行われることが望ましく、特に−30℃
から150℃の温度範囲で行われることがさらに望まし
い。反応時間は、反応方法および反応温度、反応圧力あ
るいは一般式(2)および一般式(3)により表される
化合物などのモノマーの化学構造等によって異なるので
一概には規定できないが、通常は0.01時間から24
0時間が望ましい。反応圧力は常圧で行われることが好
ましいが、10ー5気圧以上100気圧以下で行うことが
できる。反応にかかわる化合物および酸化剤の濃度は、
溶媒にそれぞれが溶解していればよく、0.01グラム
/リットルから100グラム/リットルの範囲で行われ
ることが望ましく、特に1グラム/リットルから10グ
ラム/リットルがより望ましい。
【0029】本発明で使用する導電性ミクロゲルを分散
させる媒体としては、自己ドープ型導電性高分子を分散
させ得る溶媒であれば特に限定されるものではないが、
より具体的には水、1,4−ジオキサンやテトラヒドロ
フラン等のエーテル類、アセトニトリルやベンゾニトリ
ル等のニトリル類、ジメチルカーボネート、ジエチルカ
ーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボ
ネート等のカーボネート類、メタノール、エタノール、
プロパノール、イソプロパノールなどのアルコール類、
N、N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシ
ド、N−メチル−2−ピロリドンなどの非プロトン性極
性溶媒、硫酸等の鉱酸、酢酸などの有機酸等が挙げられ
る。
【0030】本発明の帯電防止剤である導電性ミクロゲ
ル分散体は、前記自己ドープ型導電性高分子化合物の
他、少なくとも一種の界面活性剤を含んでもよい。これ
らは本発明の自己ドープ型導電性高分子化合物を含む水
溶液に制限を与えるものではない。界面活性剤として
は、例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性
剤、非イオン界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フ
ッ素系界面活性剤等が挙げられる。かかる界面活性剤を
用いる場合には、該自己ドープ型導電性高分子化合物に
対して重量比で0.001〜95倍量、望ましくは0.
005〜20倍量、更に望ましくは0.01〜5倍量用
いる。界面活性剤の量が0.001倍量未満であると、
界面活性剤添加の効果がなくなる場合がある。95倍量
より多いと良好な電子伝導性が確保できない場合があ
る。
【0031】本発明の帯電防止剤である導電性ミクロゲ
ル分散体は、前記一般式(1)で示される化学構造のM
を変化させることにより、酸性〜アルカリ性の間の任意
のpHの値をとることが可能であり、単一のミクロゲル
分散体中において二種以上のMを混在させることも可能
である。より具体的には、Mがプロトンとアルカリ金属
イオンやプロトンと第4級アンモニウムイオン等が挙げ
られる。また、前記自己ドープ型導電性高分子化合物を
含むミクロゲル分散体は、さらに酸やアルカリを添加し
て所望のpHに変化させることも可能である。
【0032】本発明の帯電防止剤である導電性ミクロゲ
ル分散体は、塗布等の従来の方法により導電性被膜とし
て使用することもできる。膜を形成する塗布等の方法と
は、具体的には、本発明の自己ドープ型導電性高分子化
合物を含むミクロゲル分散体を物品に塗布する、または
物品に吹きつける、あるいは物品を該ミクロゲル分散体
にディッピングする(浸漬する)等、物品や仕様目的に
応じて様々な方法が挙げられる。例えば物品上に塗布す
る際、塗布性等の被膜形成を改善するために、前記のよ
うに少なくとも一種の界面活性剤を含む本発明の帯電防
止剤であるミクロゲル分散体を用いることができる。
【0033】本発明の帯電防止処理材を製造するため、
導電性ミクロゲル分散体により帯電を防止される物品と
しては、帯電防止が要求される物品であれば特に制限さ
れないが、具体的には繊維、不繊布、ダンボール紙や上
質紙および再生紙等の紙類、ポリエチレン、ポリプロピ
レン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリメチ
ルメタクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリレ
ート、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、
ポリアセタール類、ポリスルホン類、ポリエーテルスル
ホン類、ポリエーテルエーテルケトン類、ポリカーボネ
ート類、ポリエーテル類、ポリイミド類、ポリアミドイ
ミド類、ポリウレタン系プラスチック、ジエン系プラス
チック、天然ゴム系プラスチック、セルロース系プラス
チック、ポリ四フッ化エチレン、フッ化ビニル、フッ化
ビニリデン、パーフルオロアルコキシ・フッ素樹脂等の
フッ素樹脂等のフィルムや成形加工品および前記プラス
チック類の表面改質処理により親水化したフィルムや成
形加工品、アクリル酸・ビニルアルコール共重合体、ア
クリル酸・アクリルアミド共重合体等の吸水性高分子お
よびそのフィルムや成形加工品、シリコーン樹脂、液晶
および液晶ポリマー、半導体製造に用いられるフォトマ
スク、ペリクル、位相シフター材料、表面にレジスト層
を有するシリコンウエハー、シリコン酸化膜、酸化マグ
ネシウム等の金属酸化物、LiNbO3 等の酸化物単結
晶、AsGaやInP等の化合物半導体、石英ガラスお
よび軟質ガラス、CRT基板等が挙げられる。これらの
物品に使用された自己ドープ型導電性高分子化合物を含
むミクロゲル分散体は必要に応じて水洗等の方法により
除去して使用することも可能である。
【0034】
【実施例】以下、本発明を実施例および比較例を用いて
詳細に説明するが、以下の実施例は本発明の範囲を制限
するものではない。実施例、比較例における各種測定は
以下のように行った。水溶液のpHは、ガラス電極式水
素イオン濃度計pH METER F−13((株)堀
場製作所製)にて測定した。また塗布膜の表面抵抗は、
スピンナー1H−III(協栄セミコンダクター(株)
製)を用いて、水溶液をガラス基板に1500rpmで
回転塗布し、膜厚0.02μmの導電性被膜を作製し、
この塗布膜の表面抵抗を表面抵抗測定器メガレスタMO
DEL HT−301(シシド静電気(株)製)にて測
定した値である。
【0035】[実施例1]前記、一般式(1)における
1 、R2 、R3 、およびR4 がそれぞれ独立にHであ
り、m=0.35、MがH+ で表される自己ドープ型導
電性高分子化合物を含む導電性ミクロゲル分散体の製造
方法。特開平8−3156号に開示されている方法に従
い製造した、1,3−ジヒドロ−5−イソチアナフテン
スルホン酸ナトリウム1.4gと塩化第二鉄8.0gと
の混合物中に、水1. 0g、1,4−ジオキサン2.0
gおよび1,3−ジヒドロイソチアナフテン0. 34g
の混合物を激しく振盪して加え撹拌した。30分後に得
られた黒色の反応混合物を、水200ml、およびアセ
トン40mlでよく洗い、乾燥して1.7gの黒色粉末
を得た。この黒色粉末を100mlの0.1N NaO
Hに良く撹拌しながら溶解し、沈殿物を除去した後、酸
型のイオン交換樹脂でイオン交換することによって目的
とする導電性高分子を含むミクロゲルが水に分散した導
電性ミクロゲル分散体(pH=1.9)を得た。このミ
クロゲル分散体の導電性高分子水溶液を蒸発乾固し、得
られたポリマー固体を分取、そして中和滴定により共重
合体の一般式(1)中のスルホン酸置換した構造単位の
モル分率を求めた。その結果、0.65(65モル%)
であった。さらに、他の物性として重量平均分子量は7
700、電気伝導度は2S/cmであった。ミクロゲル
分散体を0.1μmと0.2μmの孔径を有するメンブ
ランフィルターで各々濾過することで、0.1〜0.2
μmのミクロゲルの存在割合を求めたところ、その存在
率は73%であった。
【0036】[実施例2]実施例1と同様の方法で製造
した導電性ミクロゲル分散体3mlをガラス基板にスピ
ン塗布して、乾燥することによってガラス表面に自己ド
ープ型導電性高分子薄膜を作製した。上記導電性ミクロ
ゲル分散体を常温下に放置し、経時的にサンプリングし
て、上記と同様にガラス塗膜を作成し表面抵抗値を調べ
たところ、初期値で5.0×105 Ω/□、1カ月後
6.5×105 Ω/□、3カ月後では9.1×105 Ω
/□であった。また、ガラス塗膜とした後の表面抵抗値
の経時変化を調べたところ、初期値で5.0×105 Ω
/□、1カ月後5.3×105 Ω/□、3カ月後6.1
×105 Ω/□であった。
【0037】[実施例3]前記、一般式(1)のR1
2 、R3 およびR4 がそれぞれ独立にHであり、m=
0.35、MがNH4 +で表される自己ドープ型導電性高
分子化合物を含む導電性ミクロゲル分散体の製造方法。
実施例1の方法で製造した導電性ミクロゲル分散体に1
N NH4 OH水溶液を加え、pHを5.0に調製し
た。この操作によりスルホン酸基のH+ の一部はNH4 +
に容易に交換される。これにより一般式(1)で示され
るMの構造単位の一部はNH4 +で示される構造を有する
導電性ミクロゲル分散体(pH=5.0)が得られた。
本法により製造した導電性ミクロゲル分散体水溶液を常
温下に放置し、経時的にサンプリングして、実施例2と
同様にガラス塗膜を作成し表面抵抗値を調べたところ、
初期値で5.0×105 Ω/□、1カ月後2.8×10
6 Ω/□、3カ月後では4.8×106 Ω/□であっ
た。
【0038】[実施例4]前記、一般式(1)のR1
2 、R3 、およびR4 がそれぞれ独立にHであり、m
=0.22、MがH+ で表される自己ドープ型導電性高
分子化合物を含む導電性ミクロゲル分散体の製造方法。
1,3−ジヒドロイソチアナフテン−5−スルホン酸ナ
トリウム9.0gと塩化第二鉄40.0gとの混合物中
に、水5. 0g、1,4−ジオキサン10.0gおよび
1,3−ジヒドロイソチアナフテン0. 57gの混合物
を激しく振盪して加え撹拌した。30分後に得られた黒
色の反応混合物を、水1000mlで良く洗い不溶物を
500mlの0.1N NaOHに良く撹拌しながら溶
解した。続いて沈殿物を除去した後、酸型のイオン交換
樹脂でイオン交換することによって目的とする導電性高
分子を含むミクロゲルが水に分散した導電性ミクロゲル
分散体(pH=1.9)を得た。実施例1と同様の方法
で測定した共重合体の一般式(Ia)で示されるスルホ
ン酸置換構造単位のモル分率は0.78(78モル%)
であった。その他の物性として、重量平均分子量は74
00、電気伝導度は2S/cm(4端子測定法)であっ
た。実施例1と同様の方法で0.1〜0.2μmのミク
ロゲルの存在割合を求めたところその存在率は41%で
あった。本法により製造した導電性ミクロゲル分散体を
常温下に放置し、経時的にサンプリングして、実施例2
と同様にガラス塗膜を作成し表面抵抗値を調べたとこ
ろ、初期値で4.5×105 Ω/□、1カ月後は7.6
×105 Ω/□、3カ月後では1.3×106 Ω/□で
あった。また、ガラス塗膜とした後の表面抵抗値の経時
変化を調べたところ、初期値で4.5×105 Ω/□、
1カ月後5.4×105 Ω/□、3カ月後6.7×10
5 Ω/□であった。
【0039】[実施例5]前記、一般式(1)のR1
2 、R3 およびR4 がそれぞれ独立にHであり、m=
0.22、MがNH4 +で表される自己ドープ型導電性高
分子化合物を含む導電性ミクロゲル分散体の製造方法。
実施例4と同様の方法で製造した導電性ミクロゲル分散
体を実施例3と同様の方法で一般式(1)のMの構造の
一部がNH4 +で示される構造を有する導電性ミクロゲル
分散体(pH=5.0)が得られた。本法により製造し
た導電性ミクロゲル分散体を常温に放置し、経時的にサ
ンプリングして、実施例2と同様にガラス塗膜を作成し
表面抵抗値を調べたところ、初期値で4.8×105 Ω
/□、1カ月後は3.8×106 Ω/□、3カ月後では
6.7×106 Ω/□であった。
【0040】[実施例6]前記、一般式(1)のR1
メトキシ基であり、R2 、R3 、R4 およびMがそれぞ
れ独立にHであり、m=0.21で表される自己ドープ
型導電性高分子化合物を含む導電性ミクロゲル分散体の
製造方法。1,3−ジヒドロイソチアナフテン−5−ス
ルホン酸ナトリウム9.0gと塩化第二鉄40.0gと
の混合物中に、水5. 0g、1,4−ジオキサン10.
0gおよび5−メトキシ−1,3−ジヒドロイソチアナ
フテン0. 70gの混合物を激しく振盪して加え撹拌し
た。30分後に得られた黒色の反応混合物を、水100
0mlで良く洗い不溶物を500mlの0.1N Na
OHに良く撹拌しながら溶解した。続いて沈殿物を除去
した後、酸型のイオン交換樹脂でイオン交換することに
よって目的とする導電性高分子を含むミクロゲルが水に
分散した導電性ミクロゲル分散体(pH=1.9)を得
た。実施例1と同様の方法で測定した共重合体の一般式
(1)で示されるスルホン酸置換構造単位のモル分率は
0.79(79モル%)であった。その他の物性とし
て、重量平均分子量は7600、電気伝導度は1. 8S
/cmであった。実施例1と同様の方法で0.1〜0.
2μmのミクロゲルの存在割合を求めたところその存在
率は48%であった。本法により製造した導電性ミクロ
ゲル分散体を常温下に放置し、経時的にサンプリングし
て、実施例2と同様にガラス塗膜を作成し表面抵抗値を
調べたところ、初期値で5.2×105 Ω/□、1カ月
後は7.9×105 Ω/□、3カ月後では1.5×10
6 Ω/□であった。また、ガラス塗膜とした後の表面抵
抗値の経時変化を調べたところ、初期値で5.2×10
5 Ω/□、1カ月後は5.9×105 Ω/□、3カ月後
は7.0×105 Ω/□であった。
【0041】[実施例7]ポリ(チオフェン−3−プロ
パンスルホン酸−co−チオフェン)を含む導電性ミク
ロゲル分散体の製造方法。チオフェン−3−プロパンス
ルホン酸ナトリウム8.0gと塩化第二鉄40.0gと
の混合物中に、水5. 0g、1,4−ジオキサン10.
0gおよびチオフェン0. 74gの混合物を激しく振盪
して加え撹拌した。30分後に得られた黒色の反応混合
物を、水1000mlで良く洗い不溶物を500mlの
0.1N−NaOHに良く撹拌しながら溶解した。続い
て沈殿物を除去した後、酸型のイオン交換樹脂でイオン
交換することによって目的とする導電性高分子を含むミ
クロゲルを水に分散した導電性ミクロゲル分散体(pH
=1.9)を得た。実施例1と同様の方法で測定した共
重合体のスルホン酸置換構造単位のモル分率は0.75
(75モル%)であった。その他の物性として、重量平
均分子量は9200、電気伝導度は1.5S/cmであ
った。実施例1と同様の膜濾過分別による方法で0.1
〜0.2μmのミクロゲルの存在割合を求めたところそ
の存在率は32%であった。
【0042】[実施例8]実施例1で製造した導電性ミ
クロゲル分散体3mlをノボラックおよびジアゾナフト
キノンから成るポジ型電子線レジスト上に1500rp
mで回転塗布し、膜厚0.02μmの導電性被膜を作製
した。Journal of Vacuum Scie
nce Technology誌B7巻1989年15
19頁に記載の方法で、電子線を照射し、現像後位置ず
れを測定したところ、位置ずれ量は0.05μm以下で
あり帯電による影響は全く観測されなかった。導電性被
膜を用いなかった場合、帯電による位置ずれ量は2μm
以上であった。なお導電性被膜は現像と同時に剥離除去
できた。
【0043】[実施例9]実施例3で製造した導電性ミ
クロゲル分散体3mlをレジストとしてノボラック、感
光剤およびブロモメチル基を有する酸発生剤から成るネ
ガ型の化学増幅系電子線レジスト(シプレイ社製商品名
SAL601)を用いた他は実施例8と全く同様にレジ
スト上に回転塗布し位置ずれを測定した。位置ずれ量は
0.05μm以下であり、帯電防止効果は実施例8と同
様であった。なお、導電性被膜を形成したレジストに電
子線を照射した後のベークは導電性被膜を剥離除去する
前に行われ、導電性被膜は水洗により完全に剥離除去す
ることや、現像時に現像液により剥離除去することが可
能であった。
【0044】[実施例10]実施例3と同様の方法で製
造した導電性ミクロゲル分散体0.5mlにベンコット
1枚(旭化成製ガーゼ、サイズ150mm×150m
m)を1分間浸せきした後、水洗乾燥して青色の繊維表
面に導電性高分子のミクロゲルが担持され帯電防止処理
された材料が得られた。この材料の表面抵抗値は8.4
×107 Ω/□であった。
【0045】[実施例11]実施例3と同様の方法で製
造した導電性ミクロゲル分散体8mlを市販の紙製ダン
ボール箱(サイズ60cm×40cm×40cm)の表
面にスプレー塗布して乾燥して得られた帯電が防止され
た材料の表面抵抗値は2.4×107 Ω/□であった。
【0046】[実施例12]実施例1と同様の方法で製
造した導電性ミクロゲル分散体1mlを表面が親水化処
理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(サイ
ズ:10cm×10cm×100μm)にバーコート塗
布した。そして、乾燥して得られた帯電が防止された材
料の表面抵抗値は1.5×105 Ω/□であった。な
お、バーコート塗布とは、基板上に塗布液を垂らし、バ
ーコーター(ネジの様な溝のついた棒)を基板表面に沿
って滑らしたり、転がしたりする事によって、溝に溜ま
った塗布液分を均一に基板に塗布する方法であり、本実
施例においてはバーコーターとしてS.ETO & C
O.製の8番を用いた。以下の実施例においても同様で
ある。
【0047】[実施例13]実施例1と同様の方法で製
造した導電性ミクロゲル分散体1mlを表面が親水化処
理されたポリ塩化ビニルフィルム(サイズ:10cm×
10cm×100μm)にバーコート塗布した。そし
て、乾燥して得られた帯電が防止された材料の表面抵抗
値は1.6×105 Ω/□であった。
【0048】[実施例14]実施例1と同様の方法で製
造した導電性ミクロゲル分散体1mlを表面が親水化処
理されたポリアクリレート板(サイズ:10cm×10
cm×5mm)にバーコート塗布した。そして、乾燥し
て得られた帯電が防止された材料の表面抵抗値は1.4
×105 Ω/□であった。
【0049】[比較例1]前記、一般式(1)のR1
2 、R3 、およびR4 がそれぞれ独立にHであり、m
=0.2、MがH+ で表される水溶性導電性高分子化合
物を含む水溶液は、特開平6−49183号に開示され
ている方法に従い製造した。実施例1と同様の方法でミ
クロゲルの存在率を測定したが、ミクロゲルの存在は認
められなかった。本法により製造した導電性高分子の水
溶液を常温下に放置し、経時的にサンプリングして、実
施例2と同様にガラス塗膜を作成し表面抵抗値を調べた
ところ、初期値で1.0×106 Ω/□、1カ月後は
3.8×106 Ω/□、3カ月後では5.5×107 Ω
/□であった。
【0050】[比較例2]前記、一般式(1)のR1
2 、R3 およびR4 がそれぞれ独立にHであり、m=
0、MがNH4 +で表される導電性高分子化合物を含む水
溶液は、実施例2と同様の方法で製造した。実施例1と
同様の膜濾過分別による方法でミクロゲルの存在率を測
定したが、ミクロゲルは認められず、ポリマーは完全に
溶解していた。本法により製造した導電性高分子の水溶
液を常温下に放置し、経時的にサンプリングして、実施
例2と同様にガラス塗膜を作成し表面抵抗値を調べたと
ころ、初期値で1.0×106 Ω/□、1カ月後は4.
7×107 Ω/□、3カ月後では5.0×108 Ω/□
であった。比較例1で得られたpH=2.0の水溶液及
び比較例2で得られたpH=5.0の水溶液のいずれも
が、常温で水溶液状態で放置するとガラス塗膜の表面抵
抗値が上昇した。電子材料誌1990年12月p.48
−54によれば、荷電粒子線を照射する工程における帯
電現象を防止するには表面抵抗が5×107 Ω/□以下
であることが求められているので、pH=5.0の水溶
液は1ヵ月常温放置後にはその効果がなくなることがわ
かる。pH=2.0のものも2カ月常温放置後には、上
限に近づいている。
【0051】
【発明の効果】イソチアナフテン骨格を含む自己ドープ
型ポリマーなどのブレンステッド酸基を有する自己ドー
プ型導電性高分子は、ミクロゲルでない均一な水溶液で
大気中常温下で長期間保存しておくと水溶液のpHが低
下し、塗布後膜の表面抵抗値が上昇するという問題があ
った。しかしながら、自己ドープ型導電性高分子化合物
から成るミクロゲル分散体とする構造体を用いることに
よって、大気中常温下で保存してから塗膜形成に用いて
も、保存前の場合に比べて塗膜の表面抵抗値が高くなる
等の物性変化を防止できることを見いだした。また、得
られた塗膜自体の安定性も良好であり、本発明のミクロ
ゲル分散体を用いて帯電防止処理した材料の安定性も良
好である。すなわち本発明によれば、水溶性自己ドープ
型導電性高分子であっても、水溶液中の状態を均一溶解
状態からミクロゲル状構造体にすることでπ−電子共役
系鎖の酸化的劣化およびスルホン酸置換基の脱離を抑制
することができ、その結果保存安定性の優れた均一ミク
ロゲルが水に分散した導電性ミクロゲル分散体を得るこ
とができ、この分散体は、塗布等の方法で高い導電性あ
る重合体として加工あるいは薄膜化することができ、そ
のため精密な加工の要求される電極、センサー、エレク
トロニクス表示素子、非線形光学素子、帯電防止材など
各種導電材料あるいは光学材料として幅広く利用でき
る。

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子内にドーパント能を持つブレンステ
    ッド酸基を有する自己ドープ型導電性高分子を含む導電
    性ミクロゲル分散体を用いて帯電防止処理することを特
    徴とする帯電防止処理材の製造方法。
  2. 【請求項2】 導電性ミクロゲル分散体が界面活性剤を
    含むことを特徴とする請求項1記載の帯電防止処理材の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 導電性ミクロゲル分散体が第4級アンモ
    ニウムイオンを含むことを特徴とする請求項1または2
    記載の帯電防止処理材の製造方法。
  4. 【請求項4】 自己ドープ型導電性高分子がドーパント
    能をもつブレンステッド酸基を有するモノマーユニット
    と該基を有しないモノマーユニットからなる共重合体で
    あり、該基を有しないモノマーユニットのモル分率が
    0.01以上0.5以下であることを特徴とする請求項
    1〜3のいずれかに記載の帯電防止処理材の製造方法。
  5. 【請求項5】 自己ドープ型導電性高分子が、ポリ(イ
    ソチアナフテン−5−スルホン酸−co−イソチアナフ
    テン)、ポリ(チオフェン−3−アルカンスルホン酸−
    co−チオフェン)、ポリ(ピロール−3−アルカンス
    ルホン酸−co−ピロール)、ポリ(ピロール−N−ア
    ルカンスルホン酸−co−ピロール)、ポリ(アニリン
    スルホン酸−co−アニリン)、ポリ(アニリン−N−
    アルカンスルホン酸−co−アニリン)、ポリ(カルバ
    ゾール−N−アルカンスルホン酸−co−カルバゾー
    ル)、ポリ(フェニレン−オキシアルキレンスルホン酸
    −co−フェニレン)、ポリ(チオフェン−3−アルキ
    ルカルボン酸−co−チオフェン)、またはこれらの各
    種塩構造体および置換誘導体であることを特徴とする請
    求項4に記載の帯電防止処理材の製造方法。
  6. 【請求項6】 自己ドープ型導電性高分子が下記一般式
    (1) 【化1】 [式中、R1 、R2 、R3 およびR4 はそれぞれ独立に
    H、炭素数1乃至20の直鎖状もしくは分岐状の飽和も
    しくは不飽和のアルキル、アルコキシまたはアルキルエ
    ステル基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、トリハロメ
    チル基、フェニル基及び置換フェニル基からなる群から
    選ばれる一価の置換基を表わす。R3 だけは上記の他に
    SO3 -Mであってもよい。隣合うR1 とR2 もしくはR
    3 とR4 は、互いにそれぞれの置換基内の任意の置換位
    置で結合して、該置換基により置換されている炭素原子
    を含む飽和または不飽和の環状構造を形成する二価基を
    少なくとも1つ以上形成してもよい。R1 、R2 、R3
    およびR4 のアルキル基、アルコキシ基またはアルキル
    エステル基の鎖中には、カルボニル、エーテル、エステ
    ル、アミド、スルフィド、スルフィニル、スルホニル、
    イミノなどの結合を任意に含んでもよい。mは共重合体
    中のモノマーユニットのモル分率を表す少数であり、
    0.01≦m≦0. 5を満たす少数である。MはH+
    NR5678 +で表わされる第4級アンモニウムの
    カチオン、PR5678 +もしくはAsR56
    78 +で表わされるVb族元素の第4級カチオン、ある
    いはNa+、Li+ 、K+ 等のアルカリ金属イオンを表
    わし、R5 、R6 、R7 、R8 はそれぞれ独立にH、ま
    たは炭素数1乃至30の直鎖状もしくは分岐状の置換も
    しくは非置換アルキル基、または置換もしくは非置換ア
    リール基を表わし、アルコキシ基、ヒドロキシル基、オ
    キシアルキレン基、チオアルキレン基、アゾ基、アゾベ
    ンゼン基、p−ジフェニレンオキシ基のごとき炭素、水
    素以外の元素を含む基を含むアルキル基またはアリール
    基であってもよい]で示される化学構造を有する自己ド
    ープ型導電性高分子であることを特徴とする請求項1〜
    3のいずれかに記載の帯電防止処理材の製造方法。
  7. 【請求項7】 一般式(1)におけるR2 およびR4
    それぞれ独立にHであることを特徴とする請求項6記載
    の帯電防止処理材の製造方法。
  8. 【請求項8】 ミクロゲルサイズが0.05μm〜0.
    5μmであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか
    に記載の帯電防止処理材の製造方法。
  9. 【請求項9】 導電性ミクロゲル分散体が0.1μm〜
    0.2μmのサイズのミクロゲルを0.1〜95%の存
    在率で含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに
    記載の帯電防止処理材の製造方法。
  10. 【請求項10】 分子内にドーパント能を持つブレンス
    テッド酸基を有する自己ドープ型導電性高分子を含む導
    電性ミクロゲル分散体を用いることを特徴とする帯電防
    止処理方法。
  11. 【請求項11】 導電性ミクロゲル分散体が界面活性剤
    を含むことを特徴とする請求項10記載の帯電防止処理
    方法。
  12. 【請求項12】 導電性ミクロゲル分散体が第4級アン
    モニウムイオンを含むことを特徴とする請求項10また
    は11記載の帯電防止処理方法。
  13. 【請求項13】 自己ドープ型導電性高分子がドーパン
    ト能をもつブレンステッド酸基を有するモノマーユニッ
    トと該基を有しないモノマーユニットからなる共重合体
    であり、該基を有しないモノマーユニットのモル分率が
    0.01以上0.5以下であることを特徴とする請求項
    10〜12のいずれかに記載の帯電防止処理方法。
  14. 【請求項14】 自己ドープ型導電性高分子が、ポリ
    (イソチアナフテン−5−スルホン酸−co−イソチア
    ナフテン)、ポリ(チオフェン−3−アルカンスルホン
    酸−co−チオフェン)、ポリ(ピロール−3−アルカ
    ンスルホン酸−co−ピロール)、ポリ(ピロール−N
    −アルカンスルホン酸−co−ピロール)、ポリ(アニ
    リンスルホン酸−co−アニリン)、ポリ(アニリン−
    N−アルカンスルホン酸−co−アニリン)、ポリ(カ
    ルバゾール−N−アルカンスルホン酸−co−カルバゾ
    ール)、ポリ(フェニレン−オキシアルキレンスルホン
    酸−co−フェニレン)、ポリ(チオフェン−3−アル
    キルカルボン酸−co−チオフェン)、またはこれらの
    各種塩構造体および置換誘導体であることを特徴とする
    請求項13に記載の帯電防止処理方法。
  15. 【請求項15】 自己ドープ型導電性高分子が下記一般
    式(1) 【化2】 [式中、R1 、R2 、R3 およびR4 はそれぞれ独立に
    H、炭素数1乃至20の直鎖状もしくは分岐状の飽和も
    しくは不飽和のアルキル、アルコキシまたはアルキルエ
    ステル基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、トリハロメ
    チル基、フェニル基及び置換フェニル基からなる群から
    選ばれる一価の置換基を表わす。R3 だけは上記の他に
    SO3 -Mであってもよい。隣合うR1 とR2 もしくはR
    3 とR4 は、互いにそれぞれの置換基内の任意の置換位
    置で結合して、該置換基により置換されている炭素原子
    を含む飽和または不飽和の環状構造を形成する二価基を
    少なくとも1つ以上形成してもよい。R1 、R2 、R3
    およびR4 のアルキル基、アルコキシ基またはアルキル
    エステル基の鎖中には、カルボニル、エーテル、エステ
    ル、アミド、スルフィド、スルフィニル、スルホニル、
    イミノなどの結合を任意に含んでもよい。mは共重合体
    中のモノマーユニットのモル分率を表す少数であり、
    0.01≦m≦0. 5を満たす少数である。MはH+
    NR5678 +で表わされる第4級アンモニウムの
    カチオン、PR5678 +もしくはAsR56
    78 +で表わされるVb族元素の第4級カチオン、ある
    いはNa+、Li+ 、K+ 等のアルカリ金属イオンを表
    わし、R5 、R6 、R7 、R8 はそれぞれ独立にH、ま
    たは炭素数1乃至30の直鎖状もしくは分岐状の置換も
    しくは非置換アルキル基、または置換もしくは非置換ア
    リール基を表わし、アルコキシ基、ヒドロキシル基、オ
    キシアルキレン基、チオアルキレン基、アゾ基、アゾベ
    ンゼン基、p−ジフェニレンオキシ基のごとき炭素、水
    素以外の元素を含む基を含むアルキル基またはアリール
    基であってもよい]で示される化学構造を有する自己ド
    ープ型導電性高分子であることを特徴とする請求項10
    〜12のいずれかに記載の帯電防止処理方法。
  16. 【請求項16】 一般式(1)におけるR2 およびR4
    がそれぞれ独立にHであることを特徴とする請求項15
    記載の帯電防止処理方法。
  17. 【請求項17】 ミクロゲルサイズが0.05μm〜
    0.5μmであることを特徴とする請求項10〜16の
    いずれかに記載の帯電防止処理方法。
  18. 【請求項18】 導電性ミクロゲル分散体が0.1μm
    〜0.2μmのサイズのミクロゲルを0.1〜95%の
    存在率で含むことを特徴とする請求項10〜17のいず
    れかに記載の帯電防止処理方法。
  19. 【請求項19】 請求項1〜18のいずれかに記載の方
    法を使用することにより得られる帯電防止処理材。
  20. 【請求項20】 半導体製造にかかわることを特徴とす
    る請求項19に記載の帯電防止処理材。
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