JPH0974250A - 半導体光モジュール - Google Patents
半導体光モジュールInfo
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- JPH0974250A JPH0974250A JP7254568A JP25456895A JPH0974250A JP H0974250 A JPH0974250 A JP H0974250A JP 7254568 A JP7254568 A JP 7254568A JP 25456895 A JP25456895 A JP 25456895A JP H0974250 A JPH0974250 A JP H0974250A
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Abstract
より光導波路の屈折率を制御する半導体光モジュール,
特に,活性層を有する半導体光素子においては活性層以
外の受動的な光導波路の部分の温度の制御を効率的に行
う半導体光モジュールに関する。 【構成】本発明の半導体光モジュールは,光導波路2と
その光導波路の少なくとも一部分を加熱する加熱手段3
とを有する半導体光素子4と,この半導体光素子を載置
し,光導波路の一部分に対しては直接接触し,光導波路
の他の部分に対しては空間部を介在させて当接されたヒ
ートシンク5とで構成されている。
Description
の温度を制御することにより光導波路の屈折率を制御す
る半導体光モジュール,特に,活性層を有する半導体光
素子においては活性層以外の受動的な光導波路の部分の
温度の制御を効率的に行う半導体光モジュールに関す
る。
電流を流すとジュール熱によって温度が大きく上昇す
る。そして,半導体の特性は温度によって大きく変化す
るため,一般に半導体光素子の実装では,熱伝導率が大
きく熱膨張係数が半導体のそれに近い材質からなるヒー
トシンク上に素子をはんだ付けし,熱の放出がはかられ
ている。半導体レーザや半導体光増幅器などの半導体光
素子においても,活性層の温度上昇はエネルギーギャッ
プの減少を招いて利得の変動をひき起こすほか,素子の
動作寿命を著しく低下させることから,放熱を十分に考
慮した実装技術は不可欠である。例えば,レーザ素子に
100mAの電流を流したとき1.5Vの電圧が生じ,
光出力が20mWとすれば100mW以上は素子内部で
熱に変わっている。そこで,実際の構造では,CuやC
u−W化合物,SiCといった材質からなるヒートシン
ク上に半導体光素子をマウントし,さらにヒートシンク
を含めた半導体光素子の全体をペルチェ素子などのクー
ラ素子にマウントして温度制御することが多い。すなわ
ち,半導体光素子の特性を維持向上させるためには,半
導体光素子内部で発生する熱を極力外部へ放出すること
が必要である。
って大きく変化することを利用した半導体光素子の研究
がなされている。代表的なものとして,分布ブラッグ反
射型(Distributed Bragg Reflector :以下DBRと省
略する)レーザの活性層以外の部分,すなわち受動的な
光導波路の部分(以下,非発光領域という。)の近傍に
光導波路を加熱するためのヒータを形成し,この光導波
路の部分の温度制御を通じてレーザの発振波長の制御を
可能としたものがある。以下,非発光領域のみを加熱す
るレーザを受動導波路加熱型DBRレーザと称し,その
概略を図8に示す。
域構造のDBRレーザを基本構造として,波長制御領域
(以下,DBR領域Aという。)と位相制御領域Bとの
光導波路の直上部にガラス等の絶縁膜7を介して薄膜P
tストライプヒータを形成し,この両領域の光導波路2
の屈折率を温度の関数として独立に制御できるようにし
た。この受動導波路加熱型DBRレーザは,従来の3領
域構造のDBRレーザにおいて両領域の光導波路2への
電流注入によってひきおこされるプラズマ効果に基づい
て屈折率制御を行う方式に較べ,モードホッピングも含
めたものであるが,波長可変幅を約3倍(10nm前後
→30nm)に拡大することに成功した(特開平6−9
7601号公報)。
域1を含んでいる光を発する能動的な光導波路2の部分
と,発光には寄与しない非発光領域20とは熱的に独立
しており,活性領域1の温度を一定に保ったまま非発光
領域20の温度を変化させることができる。特に,温度
の変化により波長を変えているので,プラズマ効果を利
用する電流注入方式とは異なり,キャリアのショットノ
イズによるスペクトル線幅の劣化や自由キャリア吸収に
よる導波路損失の増大といった問題を回避できる等の優
れた効果がある(信学技報OPE94−112)。
に連続する位相制御領域BとDBR領域Aを備えた半導
体レーザにおいては,単一パラメータ制御による位相連
続波長シフトを実現することも求められている。これ
は、レーザの構造を知らないシステム技術者でも手軽に
使えるDBRレーザを実現するものであり,この課題を
実現するためにいくつかの新構造が相次いで提案されて
いる。例えば、DBR領域と位相制御領域とに同じ電流
を注入しても各領域の等価屈折率が縦モードを保持する
条件を満足するように、各領域の光導波路の層厚を変化
させた,いわゆる階段型導波路構造DBRレーザ(19
95年電子情報通信学会総合大会C−390)や、DB
R領域上に設けられる電極を2つに分割し、その一方の
電極を位相制御領域の電極と一体化させ,他方の電極を
DBR領域用の電極として用い,その二つの電極がDB
R領域上ではそれぞれ櫛形を成し,且つ各々の凸部と凹
部とが導波路上で互いに嵌合するように組合さっている
櫛形電極DBRレーザ(1995年秋季応用物理学会学
術講演会27pZA−16)がある。
する第1の課題は以下の通りである。これを,従来の受
動導波路加熱型レーザを使用した半導体光モジュールの
例を用いて説明する。この半導体の温度変化を積極的に
利用した半導体光素子の場合,半導体光素子を全領域に
わたってヒートシンクの上に載置する等の放熱構造を採
用すると,半導体光素子の非発光領域を加熱しその光導
波路の屈折率を変化させようとした場合に,波長を変化
させるために加えられた熱のかなりの部分がヒートシン
クを経由して放出されてしまい,目的とする特性を得る
場合の熱の利用が極めて非効率になるという問題点があ
る。すなわち,非発光領域に対しては,光導波路の屈折
率を変化させるために熱を加え,その熱により十分な温
度上昇を図れることが必要であるが,活性領域1に対し
ては,十分な放熱効果が得られることが望まれている。
すなわち,本発明における第1の解決すべき課題は,非
発光領域に対しては温度制御のために熱上昇のため熱効
率を高められるようにしつつも,非発光領域以外の光導
波路部分に対しては十分な放熱効果が得られるような半
導体光モジュールを提供することである。請求項1に記
載の発明はこの第1の課題を解決するものである。
下の通りである。半導体レーザでは上述のように,単一
パラメータのみを制御することによる位相連続波長シフ
トを実現することも求められている。ここで,位相連続
波長シフトとは,単一モード発振レーザが同一のモード
次数を保ちながら波長を変化させることで,言い替えれ
ばモードホッピング(mode hopping:モードホップ、モ
ードジャンプ等とも言う)を起こさない波長シフト動作
のことである。モードホッピングとは,レーザ発振して
いる縦モードが異なる次数の縦モードに移る現象をいう
が,光の波長や位相が不連続に変化してしまうため、こ
れを抑圧することはコヒーレント方式やヘテロダイン方
式の光通信,光計測技術において極めて重要である。位
相連続波長シフトを実現するために考え出された階段型
導波路構造DBRレーザは有機金属気相成長法の応用技
術である選択成長法を利用して作製されるが、この成長
方法は成長装置ごとに特性がばらついてしまう上、素子
構造の制約から活性領域長を大きくすることができず光
出力が小さいという問題がある。また,選択できる縦モ
ードも一本に限られてしまい,発振波長範囲は狭い。一
方,櫛形電極DBRレーザではDBR領域の電極を2つ
の対置した櫛形に分割するためDBR領域長を長くする
必要があって、やはり素子長の割に光出力が小さいとい
う問題と、DBR領域の受動導波路内のキャリア分布が
二つの電極を有するために周期的になり、波長シフト量
を大きくしていくとこの周期に由来する超周期縦モード
が発生して副モード抑圧比を劣化させるという問題があ
る。また,DBR領域のみに電流を注入する電極が支配
する導波路は,DBR領域の一部に限られるため,やは
り縦モードの選択範囲は狭まって,発振波長範囲を狭く
している。さらに,階段型導波路構造DBRレーザも櫛
形電極DBRレーザも両者とも波長シフトのための電流
注入にともなう導波路損失の増大によって、光出力が大
きく低下することは避けられず、光出力を一定に保ちな
がら波長シフトを得るには結局,活性領域に注入する電
流も変化させる必要が生じてしまい、単一パラメータ制
御にはなり得ない。一方、受動導波路加熱型DBRレー
ザでは,光出力の変動は小さく、活性領域電流の制御の
必要はなかったが,従来のモジュール技術ではやはり位
相制御領域加熱用抵抗とDBR領域加熱用抵抗の両方の
電力を一定の比で同時に制御して変化させる必要があっ
た。従って,第2の解決すべき課題は,活性領域とそれ
に連続する位相制御領域とDBR領域とを備えた半導体
レーザにおいて,位相が連続した波長シフトを単一パラ
メータの制御のみで実現することである。請求項2に記
載の発明はこの第2の解決すべき課題に対応したもので
ある。
請求項では,第1の解決すべき課題,すなわち,非発光
領域20は,十分な温度上昇が図れるとともに,活性領
域1に対しては逆に十分な放熱効果が得られるという相
反する課題を解決する手段を提供すべく,以下の構成を
採用した。すなわち,光導波路2とその光導波路2の少
なくとも一部分を加熱する加熱手段3とを有する半導体
光素子4と,この半導体光素子4を載置し,光導波路2
の一部分に対しては直接接触し,光導波路2の他の部分
に対しては空間部6を介在させて当接されたヒートシン
ク5とでなる半導体光モジュールを発明した。なお,こ
こで直接接触とは,光導波路2とヒートシンク5との間
に熱の伝導経路が途切れないことを意味し,中間に基板
10が介在してもよい。すなわち,直接接触とは,空間
部6を介在させて接触するのに対する概念である。
解決すべき課題,すなわち,位相が連続した波長シフト
を簡易にしかも効率よく実現するために以下の手段を採
用した。すなわち,非発光領域20の少なくとも一部を
加熱することによって与えられた熱が,非発光領域20
中の第1の受動領域Bと第2の受動領域Aとへ所定の割
合で伝わるようにすれば,位相が連続した波長シフトを
実現できる。このため,以下の構成を採用した。活性領
域1と,それに連続する第1の受動領域Bと第2の受動
領域Aとからなる非発光領域20とを備えて成る光導波
路2とこの非発光領域20の少なくとも一部を加熱する
加熱手段3とを有する半導体光素子4と,この半導体光
素子4を載置し,活性領域1と非発光領域20の一部と
に対しては直接接触し,非発光領域20の残部に対して
は空間部6を介在させて当接されたヒートシンク5とで
なり,加熱手段3からの熱は,第1の受動領域Bと第2
の受動領域Aとへ所定の割合で伝わるように半導体光素
子4,ヒートシンク5及び空間部6が構成されている半
導体光モジュールを発明した。
機能,作成方法について述べる。半導体光素子4におい
て発生した熱は,空中へ放出されるわずかな量を除けば
そのほとんどが半導体光素子4から,接合面を経由して
ヒートシンク5へ伝導される。ここで,半導体光素子4
はヒートシンク5の上にはんだ材によって載置される
が,半導体光素子4とヒートシンク5との接合面が平坦
な場合,はんだを高熱で溶かした時に表面張力によって
接合面の隅々まで行きわたり,この接合面上ではんだ材
による接合面積を正確に制御することは困難である。
することでもある程度のはんだ拡散の抑制は期待できる
が,全面にめっき付けされた半導体光素子4の底面をつ
たって拡散が生じるので制御は難しい。半導体光素子4
の底面のめっき面積を制限することは半導体光素子4の
製造工程の複雑化とフォトレジスト等の使用による有機
物汚染の確率を高め,好ましくない。
トシンク5上のはんだ材の流れ出しが抑えられ,はんだ
付けがされる部分とはんだ付けがされない部分とが生
じ,接合面の一部に空間部6が生じる。その結果,接合
面内の熱伝導率に分布が生じる。半導体光素子4の内部
では,はんだ付けされた部分の直上部では熱抵抗が小さ
いために温度変化は抑えられるが,はんだ付けされない
部分の直上部では熱抵抗が大きいために熱伝導が悪くな
り,熱が蓄積される。さらに,ヒートシンク5の上の溝
の幅を広くして熱抵抗を大きくしたい面積全体にわたる
ようにすれば半導体光素子4とヒートシンク5との間に
空間が生じ,熱抵抗が著しく増大する。
ても,ヒートシンク5上にメッキを施した部分とそうで
ない部分とを設けることにより,所望の位置にのみはん
だ付けを行うこともできる。その結果,はんだが施され
た部分と施されない部分とが生じ,はんだが施されない
部分の半導体光素子4とヒートシンク5との接合面に空
間部6が生じる。なお,ここで,使用している空間部と
いう概念は,半導体光素子4とヒートシンク5との間で
全く接触がない形状である必要は必ずしもない。例え
ば,厳密な直方体の空間を意味するものではない。従っ
て,例えば,溝を形成したヒートシンク5と半導体光素
子4とが空間部6において,全く非接触でなく,何点か
で接触していているものも含む。このような空間部6で
あっても,熱の伝導を妨げるので,熱抵抗は増大し,上
に述べたものと同様の効果が得られる。
て述べる。以下,位相が連続した波長シフトの原理,す
なわち,モードホッピングを起こすことなく波長をシフ
トさせるための原理を説明する。活性領域1と第1の受
動領域Bである位相制御領域Bの領域長さをそれぞれL
A ,LP とし加熱手段3によって熱が加えられたときの
位相制御領域B,第2の受動領域AであるDBR領域A
の等価屈折率の変化分をそれぞれΔnP ,ΔnD として
ΔnD = LP /(LA +LP )×ΔnPで表される条
件を満足させればよい。ただし, 加熱手段3が発熱して
いないときの各領域の等価屈折率はお互いに等しいと仮
定した。等価屈折率の熱に対する変化は図2からも明ら
かなように十分な線形性を有しているので,加熱手段3
が発する熱量Wが位相制御領域BにWP,DBR領域A
にWD と分配される(WP +WD =W)とするとΔnD
/ΔnP =WD /WP =LP /(LA +LP )を満たせ
ばよいわけである。このWD /W,WP /Wは空間部6
の大きさを適当に設定してやることで制御される。
BRレーザを用いた例にとって,本発明の基本的な実施
例を説明する。図1は,半導体光素子4である受動導波
路加熱型DBRレーザをヒートシンク5に実装した場合
の半導体光モジュールの上面図およびX−Yによる断面
図である。ヒートシンク5の大きさは長さ1.6mm,
幅1.0mm,厚さ0.2mmである。また,はんだは
図示されていないが幅0.4mmとする。
ついて述べる。p型InPの基板10上にエネルギーギ
ャップ1.55μmの組成のInGaAsP層を厚さ1
50nmで成長した後,光導波路2となる部分にSiO
2を堆積し,活性領域1となる以外の部分のInGaA
sP層はこのSiO2をエッチングマスクとしたエッチ
ングにより除去する。除去した部分の一部にInP層を
ピッチ240nmで周期的にエッチングしてコラゲーシ
ョン状の回折格子9を形成する。活性領域1以外の部分
であって,回折格子9を形成した部分がDBR領域Aに
なり,残りの部分が位相制御領域Bとなる。その後,活
性領域1の周辺部に、波長1.55μmの光に対しては
受動的になるエネルギーギャップ1.3μm組成のIn
GaAsPガイド層(このガイド層部分が非発光領域2
0となる。)を厚さ250nm成長してからSiO2を
除去し,全面にInPクラッド層11を1.5μm成長
する。続いてSiO2を幅1.5μmのストライプ状に
形成してこれをエッチングマスクとし,クラッド層1
1,活性領域1及び非発光領域20であるガイド層をス
トライプメサ状にエッチングする。この後,このストラ
イプメサを埋め込むn型InPとp型InPとからなる
埋め込み層を成長して電流経路を狭窄化し,光導波路2
の横方向の閉じ込める構造を形成する。なお,ここで述
べている光導波路2とは,1.55μm組成の活性領域
1と1.33μm組成のガイド層からなる非発光領域2
0とを合わせたものである。
にはクラッド層11を介してAu,Ge等の蒸着により
n型電極8を,基板10の底面にはAu,Zn等の蒸着
によりp型電極(図示せず。)を形成して電流注入が可
能な構造とする。
の上面には厚さ200nmのSiO2を堆積して絶縁膜
7とし,さらに光導波路2の真上にあたる位置に幅15
μm,厚さ120nmのPtストライプを形成して加熱
手段3とする。Ptストライプにはワイヤをボンディン
グするためのパッドを両端と,DBR領域Aと位相制御
領域Bとの境界部の合計3箇所にAu蒸着などの方法で
形成し,DBR領域Aと位相制御領域Bとを独立に加熱
できるようにする。ここで,加熱手段3は,DBR領域
Aのみを加熱するものであっても,空間部6との相互作
用により効率的な波長シフトを行うことができる(図1
参照)。
4をヒートシンク5に載置する手順についてのべる。ヒ
ートシンク5は材料をシリコンカーバイド(SiC)と
して説明する。SiCは熱膨張係数がInPに近く,熱
伝導率が大きい(2.7W/cm・deg)ため,よく
用いられる材料である。
て上面と底面に厚さ1μm程度のAu合金のメタライズ
を行ったあと,半導体光素子4との接合部となる部分に
AuSnはんだを付着させる。この時,はんだは半導体
光素子4の寸法にあわせた面積に付着させるようにす
る。これは,半導体光素子4をはんだ付けする際の位置
合わせを容易にすると共に,ヒートシンク5にワイヤボ
ンディンクする時に余計なはんだが付着していることに
よって作業が難しくなることを避けるためである。
イサー等の切削装置によって形成する。本実施例では空
間部6をDBR領域Aの直下にのみ設けた(図1参
照)。SiCがバー状に一体化している状態であれば,
一度の切削で大量の加工が可能な上,メタライズやはん
だを完全に除去できるので,最も簡便な手法にして最大
の効果を得ることが可能である。この作業の後で1個ず
つ切り離しをすればよい。もちろん最初から適当な位置
に適当な大きさで穴状に切削を行ってもよいことは言う
までもない。このように加工成型したヒートシンク5に
半導体光素子4をマウントして熱をかけてはんだ付け
し,これをペルチェ素子等のクーラ素子やサーミスタ素
子(図示せず。)とともにモジュールパッケージ内に配
置し,固定する。用途によっては光アイソレータやレン
ズを内蔵させてファイバアウト出力を図る。
発明の半導体光素子4である受動導波路加熱型DBRレ
ーザは,通常のDBRレーザの非発光領域20の直上に
SiO2 絶縁膜7を介して加熱手段3として薄膜Ptス
トライプヒータを形成したものである。電極8の直下に
は活性領域1があり,電極8とヒートシンク5との間に
電流を流すと活性領域1から光が放出され,光導波路2
内で共振してレーザ発振を起こす。薄膜Ptストライプ
ヒータの直下の非発光領域20には波長を単一にするた
めの回折格子9が形成されており,この回折格子9のピ
ッチと光導波路2の等価屈折率とによって発振波長が決
定される。この時,薄膜Ptストライプヒータの両端に
付属したパッドにワイヤをボンディングし電流を流して
薄膜Ptストライプヒータを発熱させると,直下の非発
光領域20の屈折率が非発光領域20の温度の上昇にと
もなって増大し,半導体光素子4の発振波長は長波長側
へシフトする。
のである,半導体光素子4が空間部6のない平坦なヒー
トシンク5に接合されているものとの特性の比較を以下
に示す。加熱手段3である薄膜Ptストライプヒータの
発熱量と波長シフト量との関係を図2に示す。縦軸は波
長シフト量(単位nm)を,横軸は薄膜Ptストライプ
ヒータの消費電力(単位W)を示す。白丸は従来のも
の,黒丸は本発明の半導体光モジュールである。図2か
ら発光効率が2倍以上,改善されたことがわかる。した
がって,少ない消費電力で大きな波長シフトを得るとい
う効果があり,ひいてはクーラ素子の負担を軽減してモ
ジュール全体として消費電力も少なくて済む。これは電
源と一体化した光源装置とする場合にも重要な利点であ
る。
ーションによるDBR領域の中央部の最高到達温度をの
べる。縦軸は,温度(単位℃),横軸は,パワー(単位
W)を示す。図3中,白丸は従来の形状,すなわち,半
導体光素子4とヒートシンク5との間に空間部6を有し
ないものである。図3中,菱形は空間部6をDBR領域
Aと位相制御領域Bとの双方に連続して境界なく空間部
6を設けた構造である(以下,タイプ1という。)。本
実施例では,非発光領域20のなかのDBR領域Aと位
相制御領域Bのそれぞれの領域の下方に別個に空間部6
を設けた例(以下,タイプ2という。)でもシミュレー
ションを行ってみた。図3中,三角形は,空間部6をD
BR領域Aと位相制御領域Bとのそれぞれに分けて複数
設けた構造である(タイプ2という。)。なお,すべて
の例とも,クラッド層11の厚さは2μm,絶縁膜7の
厚さは300nmである。
度が常に25℃一定であるとし,空中への熱の放出は無
視した。シミュレーションの結果,非発光領域20の下
方に空間部6を一つ設けたものが温度対パワーの効率が
優れていた。これは,最も溝の面積を大きく取ったもの
であり,ヒータで生じた熱がヒートシンク底面から放出
されるのに通過する経路が最も長く,また途中の熱の経
路の断面積も小さく熱抵抗が高いために非発光領域20
の温度も高温になったものである。次に,パワーの効率
が優れているのは,空間部6をDBR領域Aと位相制御
領域Bとに分けて設けたタイプ2のものであった。
ジュールの光導波路2内部の温度分布を説明する。図4
(a)は従来型の半導体光モジュール,図4(b)は上
述のタイプ1のもの、図4(c)は同じくタイプ2のも
のである。なお,すべての例とも,クラッド層11の厚
さは2μm,絶縁膜7の厚さは300nmである。ま
た,各図に共通して,縦軸は光導波路2の内部の温度
(単位℃)を示し,横軸は左から活性領域1,非発光領
域20を示す。横軸の0の点は活性領域1の出射端面で
あり,光導波路2の内からこの端面へ向かう向きを前
方,DBR領域A側の端面に向かう向きを後方と呼ぶこ
とにする。ここでは,DBR領域A(1000μmから
1500μm)についてのみ加熱を行った。
空間部を有しないヒートシンクを使用して動作させた受
動導波路加熱型DBRレーザでは,100℃以上の温度
上昇を得るには2〜3W程度のヒータパワーを必要とし
ていた。これに対して,図4(b)からわかるように,
本発明のタイプ1の形状を有するヒートシンクを使用す
れば1W程度のヒータパワーで同等な温度上昇が得られ
る。さらに,図4(c)からわかるように,タイプ2の
形状を有するヒートシンクを使用すればDBR領域Aの
温度上昇は従来型とタイプ1の中間程度の効果である
が,500μmから1000μmの温度上昇がタイプ1
の場合よりも抑えられ,位相制御領域Bへの熱の流入が
タイプ1よりも少なく両者の熱的なアイソレーションに
優れていることがわかる。このことは,発振波長を精細
に制御する場合には重要な効果である。タイプ1もタイ
プ2も,温度の上昇が起こっているのは,500μmよ
り後方の位置からであり,活性領域1に対する影響はな
い。
5を用いて説明する。この半導体光モジュールにおいて
も,半導体光素子4の作製方法は前述の方法と同様であ
る。すなわち,基板10上に光導波路2を有し,その光
導波路2を加熱する加熱手段3がクラッド層11および
絶縁膜7を介して設けられている。加熱手段3は位相制
御領域加熱用抵抗31とDBR領域加熱用抵抗32とか
らなる。また,本実施例では,請求項2において第1の
受動領域Bとされていたのは,位相制御領域Bであり,
第2の受動領域AとされているのはDBR領域Aを意味
する。加熱手段3は,非発光領域20の少なくとも一部
を加熱するものであればよく,本実施例では,位相制御
領域BとDBR領域Aとの双方を別々に加熱するもので
あるが,位相制御領域Bのみを加熱するものであっても
よい。すなわち,位相制御領域BとDBR領域Aとに一
定の割合で熱が加えられればよい。そして,本実施例で
は,光導波路2の一部である活性領域1から出射された
光(図中矢印で示す。)を測定する測定手段33と,そ
の測定手段33で測定された光の特性に応じて,位相制
御領域Bに対する加熱を制御する制御手段34とを備え
ている。本実施例では位相制御領域加熱用抵抗31に対
する制御のみを行い,DBR領域加熱用抵抗32に対し
ては,制御することなく,一定の電力を注入しておく。
ュールを説明する。基板10の厚さを100μmとし,
光導波路2を厚さ0.2μm,クラッド層厚を2μmと
した。光導波路の長さは全体で1500μmであり,活
性領域1の長さは500μm,位相制御領域B及び長さ
はDBR領域Aの長さも各500μmとした。請求項2
記載の発明で特徴的な点は,作用で述べたようにヒート
シンク5に形成された空間部6の位置と大きさである。
厚さ200μmのヒートシンク5上に設けられた空間部
6は,非発光領域20の直下の一部にあればよいが,本
実施例では,位相制御領域Bの一部とDBR領域Aのほ
ぼ全体の直下に設けることにした。具体的には,空間部
6は,光の出射端面から850μmの位置から設けら
れ,長さは500μmで,光の出射端面の反対側の端面
から150μmの位置まで設けられた。また,空間部6
の深さは50μmとした。
する。図6は,ヒートシンク5の上に空間部6が前述の
位置に設けられた半導体光モジュールと,従来技術で作
製したレーザモジュールの同特性の比較である。図6の
横軸は受動導波路加熱型DBRレーザの位相制御領域加
熱用抵抗31(以下,HPCと呼ぶ。)の消費電力を示
し,左側の縦軸はその時の位相連続の波長シフト量を,
右側の縦軸はモードを一定に保つために調整したDBR
領域加熱用抵抗32(以下,HDBRと呼ぶ。)の消費電
力を示している。波長シフト量は白抜きシンボルで,H
DBRの消費電力は黒塗りシンボルで示し,丸が本発明の
半導体光モジュールで測定した値を,三角形が従来技術
の構造のモジュールにより得られた値を示している。
を比較すれば波長シフト量は同等の特性であるが,黒丸
と黒三角の比較を見れば,HDBRの消費電力の変化が大
きく異なっているのがわかる。すなわち,従来技術では
モードホップを避けるためにHDBRの消費電力を常に調
整する必要があったが,これに対し本発明の半導体光モ
ジュールでは,HPCの発する熱がDBR領域Aにも蓄え
られ,HPCの消費電力の制御のみでDBR領域Aと位相
制御領域Bとからなる非発光領域20の温度を制御で
き,位相連続波長シフトを非常に容易に可能にしてい
る。
受動導波路加熱型DBRレーザを例で説明したが,その
他,半導体の温度特性を素子内部で部分的に活用する素
子であれば,本発明の適用が可能である。例えば,活性
領域1を有しない光フィルタ等に応用ができる。光フィ
ルタでは,例えば,図7に斜視図を示すように,複数の
光導波路2部分を相互に平行に有するものがある。この
光フィルタは,それぞれの光導波路2の屈折率を加熱手
段3により温度の関数として制御するようにしている。
かかる場合,温度の制御効率を高めるため,光フィルタ
である半導体光素子4とその半導体光素子4が載置され
たヒートシンク5との接合面であって,加熱手段3の下
方の位置に空間部6を設けておけばよい。この空間部6
は,加熱手段3に対応させて複数個有してもよいし,所
望の加熱手段3の下にのみ有する構造であってもよい。
図7には3本の光導波路2と2個の空間部6とを備えた
例を示した。このようにした光フィルタは,反射面を平
行に対向させてファブリペローエタロン構造としたり,
光導波路2にコラゲーション構造を形成してブラッグ反
射器として動作させたりすることができる。どちらの場
合も反射(あるいは透過)波長が温度によって制御さ
れ,光導波路2と加熱手段3との距離がμmオーダーで
あればミリ秒程度の反応速度を得ることが可能である。
一般に,数mないし数十m規模の光インタコネクション
では数チャンネルのレーザアレーとファイバアレーとが
使用され、パラレルな光のやりとりが行われるが、図7
に示すようなフィルタアレーは光スイッチ等として、フ
ァイバで結合した場合でも半導体レーザと同一基板上の
集積した集積化素子とした場合でも利用可能であり応用
範囲が広い。
ュールでは,光導波路2の少なくとも一部を加熱する加
熱手段3を有する半導体光素子において,ヒートシンク
5と半導体光素子4との接合面の一部であって,加熱手
段3の下方の位置に空間部6を有している。したがっ
て,以下の効果が導き出される。すなわち,発振波長を
温度で制御する半導体光素子4の場合,加熱手段3であ
るヒータのヒータ発熱量対波長シフト量の効率を従来の
ものに比較して2倍以上に改善することができた。特
に,受動導波路加熱型DBRレーザにおいては,キャリ
アのショットノイズによるスペクトル線幅の劣化や自由
キャリア吸収による導波路損失の増大といった欠点を有
しない本レーザの特徴を効率よく引き出すことが可能と
なった。
ールでは,第1の受動領域Bと第2の受動領域Aとへ所
定の割合で伝わる構成を採用しているので,位相が連続
した波長シフト動作を単一パラメータを制御することで
可能となった。
示す図である。
高到達温度を示す図である。
布を説明した図である。
位相連続波長シフトを実現した例を説明した図である。
示す図である。
Claims (2)
- 【請求項1】光導波路(2)と該光導波路の少なくとも
一部分を加熱する加熱手段(3)とを有する半導体光素
子〔4〕と,該半導体光素子を載置し,前記光導波路の
一部分に対しては直接接触し,前記光導波路の他の部分
に対しては空間部を介在させて当接されたヒートシンク
〔5〕とでなる半導体光モジュール。 - 【請求項2】活性領域(1)と,それに連続する第1の
受動領域(B)と第2の受動領域(A)とからなる非発
光領域(20)とを備えて成る光導波路〔2〕と前記非
発光領域の少なくとも一部を加熱する加熱手段〔3〕と
を有する半導体光素子〔4〕と,該半導体光素子を載置
し,前記活性領域と前記非発光領域の一部とに対しては
直接接触し,該非発光領域の残部に対しては空間部を介
在させて当接されたヒートシンク〔5〕とでなり,前記
加熱手段からの熱は,第1の受動領域と第2の受動領域
とへ所定の割合で伝わるように半導体光素子,ヒートシ
ンク及び空間部が構成されている半導体光モジュール。
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