JP3990745B2 - 半導体光モジュール - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は,光を導波する光導波路の温度を制御することにより光導波路の屈折率を制御する半導体光モジュール,特に,活性層を有する半導体光素子においては活性層以外の受動的な光導波路の部分の温度の制御を効率的に行う半導体光モジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体は導体に比べて電気抵抗が高く,電流を流すとジュール熱によって温度が大きく上昇する。そして,半導体の特性は温度によって大きく変化するため,一般に半導体光素子の実装では,熱伝導率が大きく熱膨張係数が半導体のそれに近い材質からなるヒートシンク上に素子をはんだ付けし,熱の放出がはかられている。半導体レーザや半導体光増幅器などの半導体光素子においても,活性層の温度上昇はエネルギーギャップの減少を招いて利得の変動をひき起こすほか,素子の動作寿命を著しく低下させることから,放熱を十分に考慮した実装技術は不可欠である。例えば,レーザ素子に100mAの電流を流したとき1.5Vの電圧が生じ,光出力が20mWとすれば100mW以上は素子内部で熱に変わっている。そこで,実際の構造では,CuやCu−W化合物,SiCといった材質からなるヒートシンク上に半導体光素子をマウントし,さらにヒートシンクを含めた半導体光素子の全体をペルチェ素子などのクーラ素子にマウントして温度制御することが多い。すなわち,半導体光素子の特性を維持向上させるためには,半導体光素子内部で発生する熱を極力外部へ放出することが必要である。
【0003】
一方,半導体光導波路の屈折率が温度によって大きく変化することを利用した半導体光素子の研究がなされている。代表的なものとして,分布ブラッグ反射型(Distributed Bragg Reflector :以下DBRと省略する)レーザの活性層以外の部分,すなわち受動的な光導波路の部分(以下,非発光領域という。)の近傍に光導波路を加熱するためのヒータを形成し,この光導波路の部分の温度制御を通じてレーザの発振波長の制御を可能としたものがある。以下,非発光領域のみを加熱するレーザを受動導波路加熱型DBRレーザと称し,その概略を図に示す。
【0004】
この受動導波路加熱型DBRレーザは3領域構造のDBRレーザを基本構造として,波長制御領域(以下,DBR領域Aという。)と位相制御領域Bとの光導波路の直上部にガラス等の絶縁膜7を介して薄膜Ptストライプヒータを形成し,この両領域の光導波路2の屈折率を温度の関数として独立に制御できるようにした。この受動導波路加熱型DBRレーザは,従来の3領域構造のDBRレーザにおいて両領域の光導波路2への電流注入によってひきおこされるプラズマ効果に基づいて屈折率制御を行う方式に較べ,モードホッピングも含めたものであるが,波長可変幅を約3倍(10nm前後→30nm)に拡大することに成功した(特開平6−97601号公報)。
【0005】
この受動導波路加熱型レーザでは,活性領域1を含んでいる光を発する能動的な光導波路2の部分と,発光には寄与しない非発光領域20とは熱的に独立しており,活性領域1の温度を一定に保ったまま非発光領域20の温度を変化させることができる。特に,温度の変化により波長を変えているので,プラズマ効果を利用する電流注入方式とは異なり,キャリアのショットノイズによるスペクトル線幅の劣化や自由キャリア吸収による導波路損失の増大といった問題を回避できる等の優れた効果がある(信学技報OPE94−112)。
【0006】
また,今日においては,活性領域1とそれに連続する位相制御領域BとDBR領域Aを備えた半導体レーザにおいては,単一パラメータ制御による位相連続波長シフトを実現することも求められている。これは、レーザの構造を知らないシステム技術者でも手軽に使えるDBRレーザを実現するものであり,この課題を実現するためにいくつかの新構造が相次いで提案されている。例えば、DBR領域と位相制御領域とに同じ電流を注入しても各領域の等価屈折率が縦モードを保持する条件を満足するように、各領域の光導波路の層厚を変化させた,いわゆる階段型導波路構造DBRレーザ(1995年電子情報通信学会総合大会C−390)や、DBR領域上に設けられる電極を2つに分割し、その一方の電極を位相制御領域の電極と一体化させ,他方の電極をDBR領域用の電極として用い,その二つの電極がDBR領域上ではそれぞれ櫛形を成し,且つ各々の凸部と凹部とが導波路上で互いに嵌合するように組合さっている櫛形電極DBRレーザ(1995年秋季応用物理学会学術講演会27pZA−16)がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする第1の課題は以下の通りである。これを,従来の受動導波路加熱型レーザを使用した半導体光モジュールの例を用いて説明する。この半導体の温度変化を積極的に利用した半導体光素子の場合,半導体光素子を全領域にわたってヒートシンクの上に載置する等の放熱構造を採用すると,半導体光素子の非発光領域を加熱しその光導波路の屈折率を変化させようとした場合に,波長を変化させるために加えられた熱のかなりの部分がヒートシンクを経由して放出されてしまい,目的とする特性を得る場合の熱の利用が極めて非効率になるという問題点がある。すなわち,非発光領域に対しては,光導波路の屈折率を変化させるために熱を加え,その熱により十分な温度上昇を図れることが必要であるが,活性領域1に対しては,十分な放熱効果が得られることが望まれている。すなわち,本発明における第1の解決すべき課題は,非発光領域に対しては温度制御のために熱上昇のため熱効率を高められるようにしつつも,非発光領域以外の光導波路部分に対しては十分な放熱効果が得られるような半導体光モジュールを提供することである
【0008】
本発明が解決しようとする第2の課題は以下の通りである。半導体レーザでは上述のように,単一パラメータのみを制御することによる位相連続波長シフトを実現することも求められている。ここで,位相連続波長シフトとは,単一モード発振レーザが同一のモード次数を保ちながら波長を変化させることで,言い替えればモードホッピング(mode hopping:モードホップ、モードジャンプ等とも言う)を起こさない波長シフト動作のことである。モードホッピングとは,レーザ発振している縦モードが異なる次数の縦モードに移る現象をいうが,光の波長や位相が不連続に変化してしまうため、これを抑圧することはコヒーレント方式やヘテロダイン方式の光通信,光計測技術において極めて重要である。位相連続波長シフトを実現するために考え出された階段型導波路構造DBRレーザは有機金属気相成長法の応用技術である選択成長法を利用して作製されるが、この成長方法は成長装置ごとに特性がばらついてしまう上、素子構造の制約から活性領域長を大きくすることができず光出力が小さいという問題がある。また,選択できる縦モードも一本に限られてしまい,発振波長範囲は狭い。一方,櫛形電極DBRレーザではDBR領域の電極を2つの対置した櫛形に分割するためDBR領域長を長くする必要があって、やはり素子長の割に光出力が小さいという問題と、DBR領域の受動導波路内のキャリア分布が二つの電極を有するために周期的になり、波長シフト量を大きくしていくとこの周期に由来する超周期縦モードが発生して副モード抑圧比を劣化させるという問題がある。また,DBR領域のみに電流を注入する電極が支配する導波路は,DBR領域の一部に限られるため,やはり縦モードの選択範囲は狭まって,発振波長範囲を狭くしている。さらに,階段型導波路構造DBRレーザも櫛形電極DBRレーザも両者とも波長シフトのための電流注入にともなう導波路損失の増大によって、光出力が大きく低下することは避けられず、光出力を一定に保ちながら波長シフトを得るには結局,活性領域に注入する電流も変化させる必要が生じてしまい、単一パラメータ制御にはなり得ない。一方、受動導波路加熱型DBRレーザでは,光出力の変動は小さく、活性領域電流の制御の必要はなかったが,従来のモジュール技術ではやはり位相制御領域加熱用抵抗とDBR領域加熱用抵抗の両方の電力を一定の比で同時に制御して変化させる必要があった。従って,第2の解決すべき課題は,活性領域とそれに連続する位相制御領域とDBR領域とを備えた半導体レーザにおいて,位相が連続した波長シフトを単一パラメータの制御のみで実現することである。請求項に記載の発明はこの第2の解決すべき課題に対応したものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
そこで,本発明の第1の請求項では,第の解決すべき課題,すなわち,位相が連続した波長シフトを簡易にしかも効率よく実現するために以下の手段を採用した。すなわち,非発光領域20の少なくとも一部を加熱することによって与えられた熱が,非発光領域20中の第1の受動領域(位相制御領域)Bと第2の受動領域(DBR領域)Aとへ所定の割合で伝わるようにすれば,位相が連続した波長シフトを実現できる。このため,以下の構成を採用した。活性領域1と,それに連続する第1の受動領域(位相制御領域)Bと第2の受動領域(DBR領域)Aとからなる非発光領域20とを備えて成る光導波路2と位相制御領域を加熱する位相制御領域加熱手段31とDBR領域を加熱するDBR領域加熱手段32とを有する半導体光素子4と,この半導体光素子4を載置し,活性領域1と非発光領域20の一部とに対しては直接接触し,非発光領域20の残部に対しては空間部6を介在させて当接されたヒートシンク5と,位相制御領域加熱手段へ注入する電力を制御する制御部34とでなり,DBR領域加熱手段には一定の電力が注入されており,位相制御領域加熱手段31とDBR領域加熱手段32からの熱が,第1の受動領域(位相制御領域)Bと第2の受動領域(DBR領域)Aとへ所定の割合で伝わるように,制御部34が活性領域1から出射された光の特性に基づき位相制御領域加熱手段31に注入する電力を制御する半導体光モジュールを発明した。なお,ここで直接接触とは,光導波路2とヒートシンク5との間に熱の伝導経路が途切れないことを意味し,中間に基板10が介在してもよい。すなわち,直接接触とは,空間部6を介在させて接触するのに対する概念である。
【0011】
【作用】
以下,本発明の具体的な作用,特に空間部6の機能,作成方法について述べる。半導体光素子4において発生した熱は,空中へ放出されるわずかな量を除けばそのほとんどが半導体光素子4から,接合面を経由してヒートシンク5へ伝導される。ここで,半導体光素子4はヒートシンク5の上にはんだ材によって載置されるが,半導体光素子4とヒートシンク5との接合面が平坦な場合,はんだを高熱で溶かした時に表面張力によって接合面の隅々まで行きわたり,この接合面上ではんだ材による接合面積を正確に制御することは困難である。
【0012】
ヒートシンク5の表面のめっき面積を制限することでもある程度のはんだ拡散の抑制は期待できるが,全面にめっき付けされた半導体光素子4の底面をつたって拡散が生じるので制御は難しい。半導体光素子4の底面のめっき面積を制限することは半導体光素子4の製造工程の複雑化とフォトレジスト等の使用による有機物汚染の確率を高め,好ましくない。
【0013】
ヒートシンク5上に溝を形成すれば,ヒートシンク5上のはんだ材の流れ出しが抑えられ,はんだ付けがされる部分とはんだ付けがされない部分とが生じ,接合面の一部に空間部6が生じる。その結果,接合面内の熱伝導率に分布が生じる。半導体光素子4の内部では,はんだ付けされた部分の直上部では熱抵抗が小さいために温度変化は抑えられるが,はんだ付けされない部分の直上部では熱抵抗が大きいために熱伝導が悪くなり,熱が蓄積される。さらに,ヒートシンク5の上の溝の幅を広くして熱抵抗を大きくしたい面積全体にわたるようにすれば半導体光素子4とヒートシンク5との間に空間が生じ,熱抵抗が著しく増大する。
【0014】
また,ヒートシンク5の上に溝を設けなくても,ヒートシンク5上にメッキを施した部分とそうでない部分とを設けることにより,所望の位置にのみはんだ付けを行うこともできる。その結果,はんだが施された部分と施されない部分とが生じ,はんだが施されない部分の半導体光素子4とヒートシンク5との接合面に空間部6が生じる。なお,ここで,使用している空間部という概念は,半導体光素子4とヒートシンク5との間で全く接触がない形状である必要は必ずしもない。例えば,厳密な直方体の空間を意味するものではない。従って,例えば,溝を形成したヒートシンク5と半導体光素子4とが空間部6において,全く非接触でなく,何点かで接触していているものも含む。このような空間部6であっても,熱の伝導を妨げるので,熱抵抗は増大し,上に述べたものと同様の効果が得られる。
【0015】
次に,請求項に記載の発明の作用について述べる。以下,位相が連続した波長シフトの原理,すなわち,モードホッピングを起こすことなく波長をシフトさせるための原理を説明する。活性領域1と第1の受動領域Bである位相制御領域Bの領域長さをそれぞれLA ,LP とし加熱手段3によって熱が加えられたときの位相制御領域B,第2の受動領域AであるDBR領域Aの等価屈折率の変化分をそれぞれΔnP ,ΔnD としてΔnD = LP /(LA +LP )×ΔnPで表される条件を満足させればよい。ただし, 加熱手段3が発熱していないときの各領域の等価屈折率はお互いに等しいと仮定した。等価屈折率の熱に対する変化は図2からも明らかなように十分な線形性を有しているので,加熱手段3が発する熱量Wが位相制御領域BにWP,DBR領域AにWD と分配される(WP +WD =W)とするとΔnD /ΔnP =WD /WP =LP /(LA +LP )を満たせばよいわけである。このWD /W,WP /Wは空間部6の大きさを適当に設定してやることで制御される。
【0016】
【実施例】
半導体光素子4として,受動導波路加熱型DBRレーザを用いた例にとって,本発明の参考実施例を説明する。図1は,半導体光素子4である受動導波路加熱型DBRレーザをヒートシンク5に実装した場合の半導体光モジュールの上面図およびX−Yによる断面図である。ヒートシンク5の大きさは長さ1.6mm,幅1.0mm,厚さ0.2mmである。また,はんだは図示されていないが幅0.4mmとする。
【0017】
以下,参考実施例の半導体光素子の作製方法について述べる。p型InPの基板10上にエネルギーギャップ1.55μmの組成のInGaAsP層を厚さ150nmで成長した後,光導波路2となる部分にSiO2を堆積し,活性領域1となる以外の部分のInGaAsP層はこのSiO2をエッチングマスクとしたエッチングにより除去する。除去した部分の一部にInP層をピッチ240nmで周期的にエッチングしてコラゲーション状の回折格子9を形成する。活性領域1以外の部分であって,回折格子9を形成した部分がDBR領域Aになり,残りの部分が位相制御領域Bとなる。その後,活性領域1の周辺部に、波長1.55μmの光に対しては受動的になるエネルギーギャップ1.3μm組成のInGaAsPガイド層(このガイド層部分が非発光領域20となる。)を厚さ250nm成長してからSiO2を除去し,全面にInPクラッド層11を1.5μm成長する。続いてSiO2を幅1.5μmのストライプ状に形成してこれをエッチングマスクとし,クラッド層11,活性領域1及び非発光領域20であるガイド層をストライプメサ状にエッチングする。この後,このストライプメサを埋め込むn型InPとp型InPとからなる埋め込み層を成長して電流経路を狭窄化し,光導波路2の横方向の閉じ込める構造を形成する。なお,ここで述べている光導波路2とは,1.55μm組成の活性領域1と1.33μm組成のガイド層からなる非発光領域20とを合わせたものである。
【0018】
SiO2を除去した後,活性領域1の上面にはクラッド層11を介してAu,Ge等の蒸着によりn型電極8を,基板10の底面にはAu,Zn等の蒸着によりp型電極(図示せず。)を形成して電流注入が可能な構造とする。
【0019】
一方,DBR領域Aおよび位相制御領域Bの上面には厚さ200nmのSiO2を堆積して絶縁膜7とし,さらに光導波路2の真上にあたる位置に幅15μm,厚さ120nmのPtストライプを形成して加熱手段3とする。Ptストライプにはワイヤをボンディングするためのパッドを両端と,DBR領域Aと位相制御領域Bとの境界部の合計3箇所にAu蒸着などの方法で形成し,DBR領域Aと位相制御領域Bとを独立に加熱できるようにする。ここで,加熱手段3は,DBR領域Aのみを加熱するものであっても,空間部6との相互作用により効率的な波長シフトを行うことができる(図1参照)。
【0020】
次に,このように作製された半導体光素子4をヒートシンク5に載置する手順についてのべる。ヒートシンク5は材料をシリコンカーバイド(SiC)として説明する。SiCは熱膨張係数がInPに近く,熱伝導率が大きい(2.7W/cm・deg)ため,よく用いられる材料である。
【0021】
SiCは厚さ200μmの板状のものとして上面と底面に厚さ1μm程度のAu合金のメタライズを行ったあと,半導体光素子4との接合部となる部分にAuSnはんだを付着させる。この時,はんだは半導体光素子4の寸法にあわせた面積に付着させるようにする。これは,半導体光素子4をはんだ付けする際の位置合わせを容易にすると共に,ヒートシンク5にワイヤボンディンクする時に余計なはんだが付着していることによって作業が難しくなることを避けるためである。
【0022】
次に,空間部6を形成したい部分に溝をダイサー等の切削装置によって形成する。本参考実施例では空間部6をDBR領域Aの直下にのみ設けた(図1参照)。SiCがバー状に一体化している状態であれば,一度の切削で大量の加工が可能な上,メタライズやはんだを完全に除去できるので,最も簡便な手法にして最大の効果を得ることが可能である。この作業の後で1個ずつ切り離しをすればよい。もちろん最初から適当な位置に適当な大きさで穴状に切削を行ってもよいことは言うまでもない。このように加工成型したヒートシンク5に半導体光素子4をマウントして熱をかけてはんだ付けし,これをペルチェ素子等のクーラ素子やサーミスタ素子(図示せず。)とともにモジュールパッケージ内に配置し,固定する。用途によっては光アイソレータやレンズを内蔵させてファイバアウト出力を図る。
【0023】
次に,参考実施例の動作について説明する。参考実施例の半導体光素子4である受動導波路加熱型DBRレーザは,通常のDBRレーザの非発光領域20の直上にSiO2 絶縁膜7を介して加熱手段3として薄膜Ptストライプヒータを形成したものである。電極8の直下には活性領域1があり,電極8とヒートシンク5との間に電流を流すと活性領域1から光が放出され,光導波路2内で共振してレーザ発振を起こす。薄膜Ptストライプヒータの直下の非発光領域20には波長を単一にするための回折格子9が形成されており,この回折格子9のピッチと光導波路2の等価屈折率とによって発振波長が決定される。この時,薄膜Ptストライプヒータの両端に付属したパッドにワイヤをボンディングし電流を流して薄膜Ptストライプヒータを発熱させると,直下の非発光領域20の屈折率が非発光領域20の温度の上昇にともなって増大し,半導体光素子4の発振波長は長波長側へシフトする。
【0024】
参考実施例の半導体光モジュールと,従来のものである,半導体光素子4が空間部6のない平坦なヒートシンク5に接合されているものとの特性の比較を以下に示す。加熱手段3である薄膜Ptストライプヒータの発熱量と波長シフト量との関係を図2に示す。縦軸は波長シフト量(単位nm)を,横軸は薄膜Ptストライプヒータの消費電力(単位W)を示す。白丸は従来のもの,黒丸は参考実施例の半導体光モジュールである。図2から発光効率が2倍以上,改善されたことがわかる。したがって,少ない消費電力で大きな波長シフトを得るという効果があり,ひいてはクーラ素子の負担を軽減してモジュール全体として消費電力も少なくて済む。これは電源と一体化した光源装置とする場合にも重要な利点である。
【0025】
次に,図3を用いて,有限要素法シミュレーションによるDBR領域の中央部の最高到達温度をのべる。縦軸は,温度(単位℃),横軸は,パワー(単位W)を示す。図3中,白丸は従来の形状,すなわち,半導体光素子4とヒートシンク5との間に空間部6を有しないものである。図3中,菱形は空間部6をDBR領域Aと位相制御領域Bとの双方に連続して境界なく空間部6を設けた構造である(以下,タイプ1という。)。本実施例では,非発光領域20のなかのDBR領域Aと位相制御領域Bのそれぞれの領域の下方に別個に空間部6を設けた例(以下,タイプ2という。)でもシミュレーションを行ってみた。図3中,三角形は,空間部6をDBR領域Aと位相制御領域Bとのそれぞれに分けて複数設けた構造である(タイプ2という。)。なお,すべての例とも,クラッド層11の厚さは2μm,絶縁膜7の厚さは300nmである。
【0026】
境界条件は,SiCヒートシンクの底面温度が常に25℃一定であるとし,空中への熱の放出は無視した。シミュレーションの結果,非発光領域20の下方に空間部6を一つ設けたものが温度対パワーの効率が優れていた。これは,最も溝の面積を大きく取ったものであり,ヒータで生じた熱がヒートシンク底面から放出されるのに通過する経路が最も長く,また途中の熱の経路の断面積も小さく熱抵抗が高いために非発光領域20の温度も高温になったものである。次に,パワーの効率が優れているのは,空間部6をDBR領域Aと位相制御領域Bとに分けて設けたタイプ2のものであった。
【0027】
次に,図4を用いて,参考実施例の半導体光モジュールの光導波路2内部の温度分布を説明する。図4(a)は従来型の半導体光モジュール,図4(b)は上述のタイプ1のもの、図4(c)は同じくタイプ2のものである。なお,すべての例とも,クラッド層11の厚さは2μm,絶縁膜7の厚さは300nmである。また,各図に共通して,縦軸は光導波路2の内部の温度(単位℃)を示し,横軸は左から活性領域1,非発光領域20を示す。横軸の0の点は活性領域1の出射端面であり,光導波路2の内からこの端面へ向かう向きを前方,DBR領域A側の端面に向かう向きを後方と呼ぶことにする。ここでは,DBR領域A(1000μmから1500μm)についてのみ加熱を行った。
【0028】
図4(a)からわかるように,従来形状の空間部を有しないヒートシンクを使用して動作させた受動導波路加熱型DBRレーザでは,100℃以上の温度上昇を得るには2〜3W程度のヒータパワーを必要としていた。これに対して,図4(b)からわかるように,タイプ1の形状を有するヒートシンクを使用すれば1W程度のヒータパワーで同等な温度上昇が得られる。さらに,図4(c)からわかるように,タイプ2の形状を有するヒートシンクを使用すればDBR領域Aの温度上昇は従来型とタイプ1の中間程度の効果であるが,500μmから1000μmの温度上昇がタイプ1の場合よりも抑えられ,位相制御領域Bへの熱の流入がタイプ1よりも少なく両者の熱的なアイソレーションに優れていることがわかる。このことは,発振波長を精細に制御する場合には重要な効果である。タイプ1もタイプ2も,温度の上昇が起こっているのは,500μmより後方の位置からであり,活性領域1に対する影響はない。
【0029】
次に,請求項に記載の発明の実施例を図5を用いて説明する。この半導体光モジュールにおいても,半導体光素子4の作製方法は前述の方法と同様である。すなわち,基板10上に光導波路2を有し,その光導波路2を加熱する加熱手段3がクラッド層11および絶縁膜7を介して設けられている。加熱手段3は位相制御領域加熱用抵抗31とDBR領域加熱用抵抗32とからなる。また,本実施例では,請求項において第1の受動領域Bとされていたのは,位相制御領域Bであり,第2の受動領域AとされているのはDBR領域Aを意味する。加熱手段3は,非発光領域20の少なくとも一部を加熱するものであればよく,本実施例では,位相制御領域BとDBR領域Aとの双方を別々に加熱するものであるが,位相制御領域Bのみを加熱するものであってもよい。すなわち,位相制御領域BとDBR領域Aとに一定の割合で熱が加えられればよい。そして,本実施例では,光導波路2の一部である活性領域1から出射された光(図中矢印で示す。)を測定する測定手段33と,その測定手段33で測定された光の特性に応じて,位相制御領域Bに対する加熱を制御する制御手段34とを備えている。本実施例では位相制御領域加熱用抵抗31に対する制御のみを行い,DBR領域加熱用抵抗32に対しては,制御することなく,一定の電力を注入しておく。
【0030】
以下,具体的な数値をもって半導体光モジュールを説明する。基板10の厚さを100μmとし,光導波路2を厚さ0.2μm,クラッド層厚を2μmとした。光導波路の長さは全体で1500μmであり,活性領域1の長さは500μm,位相制御領域B及び長さはDBR領域Aの長さも各500μmとした。請求項記載の発明で特徴的な点は,作用で述べたようにヒートシンク5に形成された空間部6の位置と大きさである。厚さ200μmのヒートシンク5上に設けられた空間部6は,非発光領域20の直下の一部にあればよいが,本実施例では,位相制御領域Bの一部とDBR領域Aのほぼ全体の直下に設けることにした。具体的には,空間部6は,光の出射端面から850μmの位置から設けられ,長さは500μmで,光の出射端面の反対側の端面から150μmの位置まで設けられた。また,空間部6の深さは50μmとした。
【0031】
次に,本実施例の動作を図6を用いて説明する。図6は,ヒートシンク5の上に空間部6が前述の位置に設けられた半導体光モジュールと,従来技術で作製したレーザモジュールの同特性の比較である。図6の横軸は受動導波路加熱型DBRレーザの位相制御領域加熱用抵抗31(以下,HPCと呼ぶ。)の消費電力を示し,左側の縦軸はその時の位相連続の波長シフト量を,右側の縦軸はモードを一定に保つために調整したDBR領域加熱用抵抗32(以下,HDBRと呼ぶ。)の消費電力を示している。波長シフト量は白抜きシンボルで,HDBRの消費電力は黒塗りシンボルで示し,丸が本発明の半導体光モジュールで測定した値を,三角形が従来技術の構造のモジュールにより得られた値を示している。
【0032】
図6から明らかなように,白丸と白三角とを比較すれば波長シフト量は同等の特性であるが,黒丸と黒三角の比較を見れば,HDBRの消費電力の変化が大きく異なっているのがわかる。すなわち,従来技術ではモードホップを避けるためにHDBRの消費電力を常に調整する必要があったが,これに対し本発明の半導体光モジュールでは,HPCの発する熱がDBR領域Aにも蓄えられ,HPCの消費電力の制御のみでDBR領域Aと位相制御領域Bとからなる非発光領域20の温度を制御でき,位相連続波長シフトを非常に容易に可能にしている。
【0034】
【発明の効果】
請求項1に記載の本発明の半導体光モジュールでは,第1の受動領域(位相制御領域)Bと第2の受動領域(DBR領域)Aとへ所定の割合で伝わる構成を採用しているので,位相が連続した波長シフト動作を単一パラメータを制御することで可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の参考実施例の構成を示す図である。
【図2】薄膜ヒータの発熱量と波長シフト量との関係を示す図である。
【図3】有限要素法を用いたシミュレーションによる最高到達温度を示す図である。
【図4】半導体光モジュールの光導波路2内部の温度分布を説明した図である。
【図5】本発明の実施例の構成を示す図である。
【図6】位相制御領域に加える電流をのみを制御して,位相連続波長シフトを実現した例を説明した図である。
【図7】従来の受動導波路加熱型半導体レーザの構成を示す図である。
【符号の説明】
1 活性領域。
2 光導波路。
3 加熱手段。
4 半導体光素子。
5 ヒートシンク。
6 空間部。
7 絶縁膜。
8 電極。
9 回折格子。
10 基板。
11 クラッド層。
20 非発光領域。
31 位相制御領域加熱用抵抗。
32 DBR領域加熱用抵抗。
33 測定手段。
34 制御手段。
A DBR領域。
B 位相制御領域。

Claims (1)

  1. 活性領域(1)と,それに連続する位相制御領域(B)とDBR領域(A)とからなる非発光領域(20)とを備えて成る光導波路(2)と前記位相制御領域を加熱する位相制御領域加熱手段(31)と前記DBR領域を加熱するDBR領域加熱手段(32)とを有する半導体光素子(4)と,該半導体光素子を載置し,前記活性領域と前記非発光領域の一部とに対しては直接接触し,該非発光領域の残部に対しては空間部(6)を介在させて当接されたヒートシンク(5)と,前記位相制御領域加熱手段へ注入する電力を制御する制御部(34)とでなり,
    前記DBR領域加熱手段には一定の電力が注入されており,
    前記位相制御領域加熱手段とDBR領域加熱手段からの熱が,前記位相制御領域と前記DBR領域とへ所定の割合で伝わるように,前記制御部が前記活性領域から出射された光の特性に基づき前記位相制御領域加熱手段に注入する電力を制御する半導体光モジュール。
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