JP3293968B2 - 半導体レーザ装置 - Google Patents

半導体レーザ装置

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JP3293968B2
JP3293968B2 JP20958993A JP20958993A JP3293968B2 JP 3293968 B2 JP3293968 B2 JP 3293968B2 JP 20958993 A JP20958993 A JP 20958993A JP 20958993 A JP20958993 A JP 20958993A JP 3293968 B2 JP3293968 B2 JP 3293968B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体レーザ装置に係
り、特に発振波長を可変できる半導体レーザ装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より光通信技術の研究や開発が盛ん
に行なわれている。これは光信号伝送が電気信号伝送よ
り伝送速度や信号間の干渉等の点で優れているからであ
る。このような状況の中、近年、光周波数分割多重化シ
ステム(光FDM)が注目されている。これは光FDM
が大容量光通信システム、光インターコネクション、光
交換、光演算など様々な分野に応用できるからである。
【0003】ところで、光FDM向けのコヒーレント光
源として、コンパクトで信頼性があり、電気的に波長可
変可能な半導体レーザ装置の開発が進められている。大
容量の光FDMを実現するためには、波長可変範囲の広
い半導体レーザ装置の開発が必要である。
【0004】また、所定の波長範囲の中で高密度に多数
の周波数チャンネルを多重化するためには、各チャンネ
ルの占有する周波数範囲を狭くすること、すなわち、発
振波長スペクトル幅を狭くすることが必要である。特
に、光FDMで有望なコヒーレント光伝送方式において
は、信号光と局部発振光との干渉により受信信号を得る
ために、極狭線幅の光源が必要になる。
【0005】現在研究されている波長可変半導体レーザ
装置は、 (1)多電極分布ブラッグ反射型(DBR)半導体レー
ザ装置 (2)ツインガイド型半導体レーザ装置 (3)超周期構造型ないしモード干渉型半導体レーザ装
置 (4)温度制御型半導体レーザ装置 (5)多電極分布帰還型(DFB)半導体レーザ装置 の5つに分類される。
【0006】(1)の多電極DBR半導体レーザ装置
は、ブラッグ反射領域にキャリアを注入してブラッグ波
長を大きく変えるものである。しかし、波長可変範囲は
広いが、パッシブなブラッグ導波路にキャリアを注入す
るため、内部のキャリア密度揺らぎに起因して発振線幅
は10MHz以上に増大してしまい、コヒーレント光伝
送への適用は困難である。また、波長も多数のモードを
ジャンプしながら変化するため、連続的に可変できる波
長範囲も小さい。更にまた、複数のモードを利用してい
るため、任意の波長に切り替えるには、単純なフィード
バックループの基準値制御ではなく、各電極に流す電流
をあらかじめメモリーに記憶されている設定値に合わせ
る等の手法を取る必要があった。したがって、その処理
速度により波長切り替え速度が制限される。その上、発
振波長と記憶している設定値との関係が少しでもずれる
と動作不能となるため、従来と比べて厳しい電流対波長
の安定性および信頼性が要求される。
【0007】(2)のツインガイド型半導体レーザ装置
は、近接して積層されている活性層と光導波層とに流す
電流を独立に制御するものである。多電極DBR半導体
レーザ装置で領域を軸方向に分割する代わりに層方向に
分割したものと考えることができ、多電極DBR半導体
レーザ装置と類似の動作モードとなる。しかし、この場
合も、発振スペクトル線幅の制限からツインガイド型レ
ーザ装置をコヒーレント光伝送に適用するのは困難であ
る。
【0008】(3)の超周期構造型ないしモード干渉型
半導体レーザ装置としては、例えば、sampled grating
型、super structure garting (SSG)型、vertical
coupled grating (VCF)型などがあるが、この種
の半導体レーザ装置も波長同調動作時の発振スペクトル
線幅の制限からコヒーレント光伝送に適用するのは困難
である。
【0009】(4)の温度制御型半導体レーザ装置は、
活性領域近傍に加熱手段を設けて活性層の温度を上げら
れるようにしたものである。一般に、活性層の温度を上
昇させることにより、発振波長を長い方にシフト(レッ
ドシフト)させ、狭線幅を保ったまま発振波長を大きく
変化させることができる。しかし、発振波長を大きく変
化させると、発振波長が安定するまでの時間が数ミリ秒
と長くなるため、光LANなど光FDMのチャンネルを
高速で切り替える用途に使用するのは困難である。
【0010】(5)の多電極DFB半導体レーザ装置
は、DFB半導体レーザ装置を共振器方向に複数の領域
に分割して、キャリア密度分布と温度分布とを変え、発
振波長を変化させるものである。
【0011】図6に、多電極DFB半導体レーザ装置の
一例として、3電極DFB半導体レーザ装置の概略構成
を示す。図中、51はn型InP基板を示しており、こ
のn型InP基板51上にはn型InPクラッド層53
が形成されている。このn型InPクラッド層53の細
くなった部分の上には幅が約1μmのストライプ状の歪
量子井戸活性/光導波層54が形成されている。また、
n型InPクラッド層53の細くなった部分は、p型I
nP層57とn型InP層58とによって埋め込まれて
いる。
【0012】歪量子井戸活性/光導波層54上にはp型
InPクラッド層55,p型InGaAsPオーミック
コンタクト層56が順次形成されている。p型InPク
ラッド層56にはp側オーミック電極59が設けられ、
n型InP基板51にはn側オーミック電極60が設け
られている。
【0013】また、図示されていないが、p型InGa
AsPオーミックコンタクト層56とp側オーミック電
極59とは、中央部と両端部との3つの領域に分離され
ており、それぞれの領域に独立に電流を流せるようにな
っている。更に、歪量子井戸活性/光導波層54の上に
形成された一次の回折格子(不図示)により単一モード
のDFB発振が実現されるようになっている。
【0014】このように構成された3電極DFB半導体
レーザ装置によれば、上記3つの領域に流す電流を単一
モード発振状態を保つようにバランスさせながら電流を
増加させれば、電流が増加するにつれて歪量子井戸活性
/光導波層54の近傍の温度が上昇するため、数nmの
レッドシフトを生じさせることができる。しかも、全体
がアクティブな領域なので、電流注入時のキャリア密度
の揺らぎが小さく、狭線幅を実現できる。
【0015】しかしながら、このままでは、熱効果の応
答速度が遅いため、多数の波長チャンネルを高速に切り
替えて使う光FDMシステムにこの半導体レーザ装置を
使うと、波長切り替えに伴う時間が長いため、非常に効
率の悪いシステムになってしまうという問題がある。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】上述の如く、従来より
種々の波長可変可能な半導体レーザ装置が考えられ、そ
れなりの性能も認められているが、その欠点も顕著にな
り、光FDM向けのコヒーレント光源として本命視され
るものはまだ無い。
【0017】本発明は、上記事情を考慮してなされたも
ので、その解決する課題は、発振波長を高速、且つ大き
く変化させることができ、光FDM向けのコヒーレント
光源として使用可能な半導体レーザ装置を提供すること
にある。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の半導体レーザ装置(請求項1)は、基板
上に設けられ、この基板よりも熱伝導率が小さく、凸形
状の第1のクラッド層と、この第1のクラッド層の凸部
上に設けられ、発光層および光導波層として働く活性層
と、この活性層上に設けられ、前記第1のクラッド層と
ともに前記活性層を挾持する第2のクラッド層と、前記
活性層で発生したレーザ光の導波路に設けられ、分布帰
還共振器として働く回折格子とを備えたことを特徴とす
る。
【0019】ここで、上記基板の熱伝導率をΚs [w/
(m・K)]、上記第1のクラッド層の熱伝導率をΚ1
[w/(m・K)],その厚さをd1 [m]、上記第2
のクラッド層の幅をW[m]、第1のクラッド層から上
の部分の高さをh[m]とするとき、 1.5×1011・h<Κ1 /d1 <Κs /(2W)…(I) を満たすことが好ましい。
【0020】また、上記の目的を達成するために、次の
ような他の発明の半導体レーザ装置を用いても良い。す
なわち、基板上に設けられ、この基板よりも熱伝導率が
小さい熱流遅延層と、この熱流遅延層上に設けられ、前
記熱流遅延層よりも熱伝導率が大きく、前記熱流遅延層
よりも幅の小さい第1のクラッド層と、この第1のクラ
ッド層上に設けられ、発光層および光導波層として働く
活性層と、この活性層上に設けられ、前記第1のクラッ
ド層とともに前記活性層を挾持する第2のクラッド層
と、前記活性層で発生したレーザ光の導波路に設けら
れ、分布帰還共振器として働く回折格子とを備えた半導
体レーザ装置を用いても良い。
【0021】ここで、上記基板の熱伝導率をΚs [w/
(m・K)]、熱流遅延層の熱伝導率をΚ0 [w/(m
・K)],その厚さをd0 [m],第1のクラッド層の
幅をW[m],熱流遅延層から上の部分の高さをh
[m]とするとき、 1.5×1011・h<Κ0 /d0 <Κs /(2W)…(II) を満たすことが好ましい。
【0022】
【作用】本発明(請求項1)によれば、第1のクラッド
層の熱伝導率が基板のそれよりも小さいので、活性層に
電流が注入され、活性層が発熱すると、活性層から基板
への熱の流れは、第1のクラッド層により妨げれる。こ
のため、第1のクラッド層とその上部に溜まった熱によ
って、活性層の温度は上昇する。しかも、活性層と第2
のクラッド層は幅が狭いので、その熱容量は小さい。し
たがって、短い時間で活性層の温度を大きく変えられ、
短い時間で発振波長を大きく変化させることができる。
【0023】また、他の本発明によれば、熱流遅延層の
熱伝導率が基板および第1のクラッド層のそれよりも小
さいので、活性層に電流が注入され、活性層が発熱する
と、活性層から基板への熱の流れは、熱流遅延層により
妨げれる。このため、熱流遅延層に溜まった熱によっ
て、活性層の温度は上昇する。しかも、第1のクラッド
層より上部の幅は基板のそれよりも小さいので、その熱
容量は小さいものとなる。したがって、短い時間で活性
層の温度を大きく変えられ、短い時間で発振波長を大き
く変化させることができる。
【0024】なお、式(I),(II)の左の不等号は、
時定数が十分小さくなる(<<10μs)条件を、右の
不等号は、熱伝導率の小さい第1のクラッド層ないし熱
流遅延層の温度差が基板の温度差と比べて十分大きくな
る条件をおおまかに表している。
【0025】
【実施例】以下、図面を参照しながら実施例を説明す
る。図1,図2は、本発明の第1の実施例に係る3電極
DFB半導体レーザ装置の概略構成を示す断面図であ
り、図1は、活性層のストライプ方向に垂直な断面図を
示し、図2は、活性層のストライプ方向に平行な断面図
を示している。
【0026】図中、1はn型InP基板を示しており、
このn型InP基板1上には、図1に示すように、n型
InGaAsPクラッド層2,p型InP層7,n型I
nP層8,p型InPクラッド層5およびp型InGa
AsPオーミックコンタクト層6からなり、幅が約7μ
mのメサ部12が形成されている。
【0027】n型InGaAsPクラッド層2は、その
上部が細く加工されている。具体的には、厚さは3.5
μmであり、そのうち上部の0.5μmが活性層4と同
じ1μmの幅に加工されている。また、InGaAsP
の組成比は、禁制帯幅が波長1.05μmに相当するも
のになっている。
【0028】n型InGaAsPクラッド層2の細くな
った部分の上には、幅が1μmのストライプ状の歪量子
井戸活性/光導波層4が形成されている。また、n型I
nGaAsPクラッド層2の細くなった部分は、p型I
nP層7とn型InP層8とによって埋め込まれてい
る。
【0029】ここで、活性層に歪み量子井戸構造を導入
したのは、これにより、発振しきい値を低くし、温度特
性を改善することで、通常動作時の活性層温度の上昇に
よる悪影響を減らすためである。なお、歪み量子井戸構
造の代わりに、単なる量子井戸構造を用いても良い。
【0030】歪量子井戸活性/光導波層4上には厚さ1
μmのp型InPクラッド層5,厚さ0.5μmのp型
InGaAsPオーミックコンタクト層6が順次形成さ
れている。p型InGaAsPオーミックコンタクト層
6にはp側オーミック電極9が設けられ、n型InP基
板1にはn側オーミック電極10が設けられている。な
お、図には示されていないが、メサ部12の両脇には溝
を隔てて台地が形成されており、この台地の上部に絶縁
膜を介して形成されたボンディングパッドとp側オーミ
ック電極9はブリッジ配線で結ばれている。ここで、メ
サ部12の高さは5.2μmである。
【0031】また、図2に示すように、p型InGaA
sPオーミックコンタクト層6とp側オーミック電極9
は、半絶縁性InP層16により、中央部の第1の電流
注入領域17と両端部の第2の電流注入領域18および
第3の電流注入領域19との3つの領域に分離されてい
る。
【0032】歪み量子井戸活性/光導波層4の上には、
一次の回折格子13が形成されている。この回折格子1
3のブラッグ波長は、レーザの利得ピーク波長付近に設
定されている。また、回折格子13の共振器の中央部に
は、位相(四分の一波長)シフト領域14が形成されて
いる。
【0033】また、劈開により形成された両端面には、
SiNx からなる反射率1%以下の低反射膜15がコー
ティングされている。このため、ファブリ・ペロ・モー
ドの発振は抑圧され、広い電流設定範囲でスペクトル線
幅2MHz以下の安定な単一モード発振が実現される。
この半導体レーザ・チップの寸法は、長さ約1mm、幅
300μm、厚さ80μmである。中央部の電流注入領
域17の長さは約400μm、両端部の電流注入領域1
7,18の長さはともに約300μmである。
【0034】半導体レーザ・チップはAuSnはんだに
より接地電極となる金属ヒートシンク11の上に固定さ
れている。この金属ヒートシンク11は、例えば、温度
センサとペルチエ素子とからなる温度制御手段によっ
て、一定温度に保たれるように制御されている。また、
各電極パッドは、セラミック基板上に形成された給電線
とボンディングにより接続されており、中央部と両端部
の電流を独立に制御できるようになっている。これら
は、レンズ系、光アイソレータ、ビームスプリッタ、周
波数弁別用エタロン、モニタ・フォトダイオード、駆動
制御用IC、ピグテールなどとともにモジュール内に実
装されている。
【0035】図3は、 III-V族半導体混晶の熱伝導率を
示す図である。一般に、三元以上の半導体混晶は二元の
それと比べて熱伝導率が大きく低下する。例えば、In
Pの熱伝導率は室温にて約70W/(m・K)であるの
に対して、In0.53Ga0.47Asでは約4W/(m・
K)と一桁以上小さい。一方、これらの半導体の比熱の
組成の違いによる差異は小さく、いずれも約1.5×1
6 J/(m3 ・K)である。
【0036】本実施例の場合、n型InGaAsPクラ
ッド層2は四元半導体混晶からなり、その熱伝導率はn
型InP基板1よりも小さく約10W/(m・K)以下
という小さい値である。
【0037】このため、歪み量子井戸活性/光導波層4
に電流が注入され、歪み量子井戸活性/光導波層4が発
熱すると、歪み量子井戸活性/光導波層4からn型In
P基板1への熱の流れは、n型InGaAsPクラッド
層2により妨げれる。この結果、n型InGaAsPク
ラッド層2とその上部のメサ部12に溜まった熱によっ
て、歪み量子井戸活性/光導波層4を含むメサ部12の
温度は上昇する。しかも、メサ部12の幅は約7μmと
狭く、高さは5.2μmと低いので、その熱容量は小さ
い。すなわち、Κs =70,Κ1 =10,d1 =3.5
×10-6,W=7×10-6,h=5.2×10-6であ
り、式(I)を満たしている。
【0038】したがって、短い時間で歪み量子井戸活性
/光導波層4の温度を大きく変えられ、短い時間で発振
波長を大きく変化させることができる。以下、本実施例
の3電極DFB半導体レーザ装置について、図6の従来
のそれの動作と比較しながらより詳細に説明する。
【0039】図4は、歪み量子井戸活性/光導波層(以
下、単に活性層という)4,54に流す電流を階段状に
増やした場合の、活性層の温度の時間変化の様子を示す
図である。
【0040】レーザはメサ状に加工されているので、寄
生CR制限による電流立上がり時間は1ナノ秒程度であ
る。電流の増加は、光導波領域の温度上昇による屈折率
増大を介して波長のレッドシフトを引き起こす。ここで
は主な発熱源は活性層4,54であると仮定する。温度
上昇による屈折率変化は、温度の変化の速度と比べて瞬
間的とみなすことができる。光導波領域の温度上昇によ
る波長変化の割合は、0.1nm/℃程度である。
【0041】図中、特性曲線aは図6の従来の3電極D
FB半導体レーザ装置を示しており、温度が一定になる
までに200μ秒を要し、温度が90%変化するまでの
時間も20μ秒と長いことが分かる。このため、自動周
波数制御(AFC)をかけても、数十μ秒オーダーの制
御しかできず、数十μ秒ごとに異なる周波数チャンネル
にアクセスする光FDMシステムにおいては、半分程度
が波長同調に要するデッドタイムとなってしまう。
【0042】また、特性曲線bは本実施例の3電極DF
B半導体レーザ装置を示しており、温度が一定値になる
までの時間は従来例と変わらないが、100n秒から1
0μ秒の範囲で温度が大きく変化していることが分か
る。
【0043】すなわち、基板全体の温度分布が変化する
時間(数100μ秒)はあまり変わらないが、熱容量が
小さく、n型InGaAsPクラッド層2によりn型I
nP基板1と熱的に隔てられたメサ部12のみの温度分
布がほぼ平衡に達するのには十μ秒程度しかかからな
い。また、温度が90%変化するまでの時間も8μ秒と
短く、数μ秒オーダーのAFCが可能となる。しかも、
所定の波長変化を得るための電流変化も小さく、電流注
入により逆方向の波長変化を引き起こすキャリア密度変
化を小さく抑えることができる。
【0044】したがって、本実施例によれば、数十μ秒
ごとに異なる周波数チャンネルにアクセスする光FDM
システムにおいて、デッドタイムを1/10以下にする
ことができる。
【0045】また、特性曲線cは、本実施例と同じ形
状、寸法の半導体レーザ装置で、n型InGaAsPク
ラッド層2の代わりに、n型InPクラッド層を用いた
場合を示している。この場合、数μ秒オーダーの温度変
化が現れるが、その大きさは本実施例と比べて遥かに小
さく、効果が期待できないことが分かる。この場合、Κ
1 =70であり、式(I)の右の不等号を満していな
い。
【0046】また、特性曲線dは、図6の従来例の3電
極DFB半導体レーザ装置のn型InPクラッド層53
の代わりに、本実施例と同じn型InGaAsPクラッ
ド層を用いた場合を示している。この場合、熱抵抗の増
加に起因して全体の温度上昇は大きくなるが、熱容量の
小さなメサ部が無いため、数μ秒オーダーの時定数を持
つ温度変化成分が現れてないことが分かる。
【0047】また、特性曲線eは、n型InGaAsP
クラッド層2の厚さを3.5μmから1.5μmに減ら
した場合(d=1.5×10-6)を示している。この場
合、数μ秒オーダーの時定数成分はあるが、それほど大
きな効果は得られないことが分かる。すなわち、効果を
得るためには、歪み量子井戸活性/光導波層4からn型
InP基板1に流れる熱流を遅延させる働きも有するn
型InGaAsPクラッド層2を式(I)を満す程度に
厚くすることが必要である。
【0048】また、特性曲線fは、本実施例においてメ
サ部12の幅を4μmまで狭くした場合を示している。
この場合、メサ部12の熱容量が減るため、本発明の効
果はさらにエンハンスされ、活性層の温度が90%変化
するまでの時間は6μ秒となっている。このように、メ
サ部12の幅を狭くすれば、式(I)に従ってn型In
GaAsPクラッド層2の厚さをより薄くすることがで
きる。しかし、メサ部12を高くすると、メサ部12の
温度変化に要する時間が長くなる。
【0049】図5は、本発明の第2の実施例に係る3電
極DFB半導体レーザ装置の概略構成を示す断面図であ
る。これは図1に対応したもので、活性層のストライプ
方向に垂直な断面図を示している。なお、3電極DFB
半導体レーザ装置図1と対応する部分には図1と同一符
号を付してあり、詳細な説明は省略する。
【0050】第1の実施例では、n型InGaAsPク
ラッド層2は、クラッド層と熱流遅延層との両方の役割
を持っていたが、本実施例では、これらの役割をそれぞ
れ別個の半導体層に持たせてある。
【0051】すなわち、本実施例では、n型InGaA
sPクラッド層2に対応するものが、厚さ1.5μmの
n型InGaAs混晶半導体層3a(熱流遅延層)と、
厚さ1.5μmのn型InPクラッド層3bとで構成さ
れている。また、n型InGaAs混晶半導体層3aは
メサ部12内には無く、n型InP基板1の表面に形成
されている。勿論、n型InGaAs混晶半導体層3a
をメサ部12内に設けても同様の効果が得られる。メサ
部12の幅は4μm、高さは3.2μmである。
【0052】本実施例の3電極DFB半導体レーザ装置
によれば、n型InP基板1およびn型Inクラッド層
3bよりも熱伝導率が小さいn型InGaAs混晶半導
体層3aが、n型InP基板1とn型InPクラッド層
3bとの間に設けられているので、歪み量子井戸活性/
光導波層4に電流が注入され、歪み量子井戸活性/光導
波層4が発熱すると、歪み量子井戸活性/光導波層4か
らn型InP基板1への熱の流れは、n型InGaAs
混晶半導体層3aにより妨げれる。
【0053】このため、n型InGaAsP混晶半導体
層3aとその上部のメサ部12に溜まった熱によって、
歪み量子井戸活性/光導波層4を含むメサ部12の温度
は上昇する。しかも、メサ部12はn型InP基板1よ
りも幅が狭く小型なので、メサ部12の熱容量は小さい
ものとなる。したがって、短い時間で歪み量子井戸活性
/光導波層4の温度を大きく変えられ、短い時間で発振
波長を大きく変化させることができる。
【0054】本実施例の3電極DFB半導体レーザ装置
の温度応答を図4の特性曲線gに示す。n型InGaA
s混晶半導体層3aの熱伝導率は約4W/(m・K)と
低いため、厚さ1.5μmでも、特性曲線fの場合(メ
サ部12の幅を狭くしたもの)と類似の温度応答が得ら
れる。本実施例は式(II)を満している。
【0055】本実施例では、熱流遅延層として、n型I
nGaAs混晶半導体層3aを用いたが、金属など他の
材料からなるものを用いても良い。熱流遅延層として金
属層を用いる場合には、例えば、エピタキシャルリフト
オフを利用する。
【0056】すなわち、最終的にレーザを保持する基板
とは別の半導体基板上にメサ部をエピタキシャル成長さ
せ、これをリフトオフにより剥がし、表面に熱伝導率の
低い金属層が形成された熱伝導率の高い基板(例えば、
Si、ダイヤモンド,AlN,BN,Cuなど)上に接
着、一体化して、本発明の特徴構造を形成する。もちろ
ん、熱流遅延層を半導体混晶層でメサ内に形成して、こ
れらをエピタキシャルリフトオフにより、熱伝導率の高
い金属基板上ないし金属層をコートした基板上に接着、
一体化しても良い。基板そのものをヒートシンクとする
ことで、時定数の大きい温度変化を抑制できる。
【0057】なお、本発明は上述した実施例に限定され
るものではない。例えば、上記実施例では、多重電極D
FB半導体レーザ装置として、3電極DFB半導体レー
ザ装置の場合について説明したが、本発明は2電極また
は4電極以上の多重電極DFB半導体レーザ装置或いは
通常のDFB半導体レーザ装置にも適用できる。
【0058】また、上記実施例のようにメサ部をレーザ
全体に形成する代わりに、主として利得領域として働く
部分は熱特性の良いプレーナ構造にしておき、主として
波長可変領域として働く部分のみにメサ部を形成しても
良い。
【0059】更に、共振器方向に位相制御など他の機能
を持った領域を有する構造、共振器に対して非対称な構
造、領域ごとに活性層、回折格子、断面構造などを変え
た構造、位相シフト構造がない構造、位相シフト領域を
分散させた構造、端面に活性層のない窓領域を設けた構
造、出射面を活性層ストライプと垂直でなくした傾斜端
面構造など、様々なバリエーションに対しても、同様の
効果が得られる。
【0060】更にまた、埋込み構造も上記構造に限定さ
れるものではないし、また、他の素子と集積化されたい
わゆるフォトニックICや、レーザアレイにも応用でき
る。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々変
形して実施できる。
【0061】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、活
性層から半導体基板に逃げる熱を活性層の加熱に利用で
き、短い時間で活性層の温度を大きく変えられ、短い時
間で発振波長を大きく変化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係る3電極DFB半導
体レーザ装置のストライプ方向に垂直な断面図。
【図2】本発明の第1の実施例に係る3電極DFB半導
体レーザ装置のストライプ方向に平行な断面図。
【図3】III-V族半導体混晶の熱伝導率を示す図。
【図4】発熱による活性層の温度変化を説明するための
図。
【図5】本発明の第2の実施例に係る3電極DFB半導
体レーザ装置のストライプ方向に垂直な断面図。
【図6】従来の3電極DFB半導体レーザ装置のストラ
イプ方向に垂直な断面図。
【符号の説明】
1…n型InP基板 2…n型InGaAsPクラッド層(第1のクラッド
層) 3a…n型InGaAs混晶半導体層(熱流遅延層) 3b…n型InPクラッド層(第1のクラッド層) 4…歪み量子井戸活性/光導波層(活性層) 5…p型InPクラッド層(第2のクラッド層) 6…p型InGaAsPオーミックコンタクト層 7…p型InP層 8…n型InP層 9…p側電極 10…n側電極 11…ヒートシンク 12…メサ部 13…回折格子 14…位相シフト領域 15…低反射膜 16…半絶縁性InP層 17…第1の電流注入領域 18…第2の電流注入領域 19…第3の電流注入領域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−188981(JP,A) 特開 平3−266489(JP,A) 特開 平3−291617(JP,A) 特開 平3−283689(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01S 5/00 - 5/50 JICSTファイル(JOIS)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板と、 この基板上に設けられ、該基板よりも熱伝導率が小さ
    く、凸形状の第1のクラッド層と、 この第1のクラッド層の凸部上に設けられ、発光層およ
    び光導波層として働く活性層と、 この活性層に電流を注入する手段と、 前記活性層上に設けられ、前記第1のクラッド層ととも
    に前記活性層を挟持する第2のクラッド層と、 前記活性層で発生したレーザ光の導波路に設けられ、分
    布帰還共振器として働く回折格子とを具備してなり、 前記基板の熱伝導率をKs [w/(m・K)]、前記第
    1のクラッド層の熱伝導率をK1 [w/(m・K)]、
    その厚さをd1 [m]、前記第2のクラッド層の幅をW
    [m]、前記第1のクラッド層から上の部分の高さをh
    [m]とした場合、1.5×1011・h<K1 /d1
    s /(2W)の不等式を満足することを特徴とする半
    導体レーザ装置。
  2. 【請求項2】前記基板は2元の半導体混晶からなり、前
    記第1のクラッド層は3元以上の半導体混晶からなり、
    前記第2のクラッド層は2元の半導体混晶からなること
    を特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ装置。
  3. 【請求項3】基板と、 この基板よりも熱伝導率が小さい熱流遅延層と、 この熱流遅延層上に設けられ、前記熱流遅延層よりも熱
    伝導率が大きく、前記熱流遅延層よりも幅の小さい第1
    のクラッド層と、 この第1のクラッド層上に設けられ、発光層および光導
    波層として働く活性層と、 前記第1のクラッド層上に設けられ、前記第1のクラッ
    ド層とともに前記活性層を挟持する第2のクラッド層
    と、 前記活性層で発生したレーザ光の導波路に設けられ、分
    布帰還共振器として働く回折格子とを具備してなること
    を特徴とする半導体レーザ装置。
  4. 【請求項4】前記基板と前記第1のクラッド層は2元の
    半導体混晶からなり、前記熱流遅延層は3元以上の半導
    体混晶からなることを特徴とする請求項3に記載の半導
    体レーザ装置。
  5. 【請求項5】前記基板の熱伝導率をKs [w/(m・
    K)]、前記第1のクラッド層の熱伝導率をK1 [w/
    (m・K)]、その厚さをd1 [m]、前記第2のクラ
    ッド層の幅をW[m]、前記第1のクラッド層から上の
    部分の高さをh[m]とした場合、1.5×1011・h
    <K1 /d1 <Ks /(2W)の不等式を満足すること
    を特徴とする請求項3に記載の半導体レーザ装置。
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