JPH0966216A - 二酸化炭素固定化剤、それを用いた二酸化炭素固定化方法および断熱性樹脂発泡体の製造方法 - Google Patents

二酸化炭素固定化剤、それを用いた二酸化炭素固定化方法および断熱性樹脂発泡体の製造方法

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JPH0966216A
JPH0966216A JP7225489A JP22548995A JPH0966216A JP H0966216 A JPH0966216 A JP H0966216A JP 7225489 A JP7225489 A JP 7225489A JP 22548995 A JP22548995 A JP 22548995A JP H0966216 A JPH0966216 A JP H0966216A
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卓 橋田
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貴由 上野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エポキシドの副反応が抑制され、取扱いの容
易な二酸化炭素固定化剤を提供することを目的とする。 【解決手段】 エポキシドと二酸化炭素固定化触媒とを
含む固形粒子からなる二酸化炭素固定化剤。二酸化炭素
固定化触媒が求電子剤及び求核剤のうち少なくとも1種
からなるが好ましい。エポキシドと二酸化炭素固定化触
媒とから構成され、エポキシドと二酸化炭素固定化触媒
の少なくとも一方がマイクロカプセルに包含された固形
粒子からなる二酸化炭素固定化剤。この二酸化炭素固定
化剤を用いて樹脂発泡体の気泡内の二酸化炭素を固定化
し、断熱性の優れた発泡体を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、気体中の二酸化炭
素を固定化するための二酸化炭素固定化剤、同固定化剤
を用いた二酸化炭素固定化方法、および冷蔵庫、冷凍
庫、建材等の断熱材に用いることのできる断熱性樹脂発
泡体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】地球環境問題の1つとして、大気中の二
酸化炭素の増加による地球温暖化が重要な問題となって
いる。そのため、工業的に排出される二酸化炭素の削
減、電力使用による二酸化炭素の間接的放出を低減する
ための省エネルギー対策等が進められている。また、省
エネルギーの観点から高気密高断熱住宅、オフィ−ス等
での空質の調整などのため二酸化炭素の除去が必要とさ
れている。現在、二酸化炭素の除去技術として、ジエタ
ノ−ルアミンなどのアミンやゼオライトなどの吸着剤に
よる固定化技術、二酸化炭素の還元によるアルコ−ル生
成技術等の多くの方法が検討されている。
【0003】このような技術の1つとして、二酸化炭素
を有機反応の原料として使用する二酸化炭素固定化剤が
知られている(現代化学増刊25、「二酸化炭素」、井
上祥平、泉井桂、田中晃二編(東京同人、1994
年)、212頁から227頁やケミーベリヒテ、119
巻(1986年)、1090頁から1094頁)。すな
わち、エポキシドを触媒の存在下に二酸化炭素と反応さ
せる方法であり、エポキシドと二酸化炭素が交互共重合
したポリカーボネ−トや、付加反応した環状カーボネー
トを生成させることによって、二酸化炭素を有機カーボ
ネート化合物として固定化する方法である。また、地球
環境問題の1つとして、オゾン層破壊問題がある。従来
フロンが用いられていた発泡剤などでは、オゾン層を破
壊しないで、かつ地球温暖化にも影響しない代替フロン
の開発が進められている。その技術として、炭化水素化
合物や水を発泡剤として用いる発泡技術が開発されてい
る。しかし、これらの発泡剤を用いて作製した発泡樹脂
は、形成された気泡中に二酸化炭素が存在しており、二
酸化炭素の気体熱伝導率が大きいために、断熱材ヘの応
用では、従来フロンを用いたような断熱性能が得られて
いない。
【0004】断熱性能を向上する技術として、気泡中の
二酸化炭素を反応固定化して気泡内を減圧化する方法が
提案されている(特開平7ー53757公報や特開平7
ー173314公報)。すなわち、発泡樹脂中に混入し
たエポキシドを二酸化炭素固定化触媒存在下で、二酸化
炭素と反応させて蒸気圧のほとんどない有機カ−ボネ−
ト構造に固定化して、気泡内を減圧化する方法である。
発泡ウレタン樹脂の作製において、発泡剤として水を用
いた場合には、発泡ガスとして二酸化炭素が発生して気
泡内が二酸化炭素で満たされ、その気体が固定化される
ことによって気泡内が減圧真空化されて、高断熱性の真
空断熱材が形成される。この技術では、気泡中の二酸化
炭素を無くすために、二酸化炭素固定化剤となるエポキ
シドと二酸化炭素固定化触媒を樹脂原料に混合する方法
がとられる。この方法の難点は、エポキシドと樹脂原料
とが反応して二酸化炭素固定化を阻害することである。
その解決手段として、エポキシドのマイクロカプセル技
術が前述の先例に開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】二酸化炭素固定化剤
は、実際の使用時には取扱いやすいように固体状態であ
ることが適している。さらに、エポキシド自体は、活性
の高い官能基であるために、加工の際に他の材料と反応
しない、すなわち副反応が少ないことが望ましい。例え
ば、液体状態のエポキシドを樹脂などに含有させる際な
どには、樹脂中に水酸基やイソシアネート基、カルボキ
シル基、アミノ基などの官能基があると、エポキシド
は、これらの官能基と反応するため、二酸化炭素の固定
化性能が大きく低下してしまう。しかも、取扱いの面や
コストの面からは、汎用のエポキシドを利用できること
が好ましい。しかし、前述の二酸化炭素を有機反応の原
料として使用する二酸化炭素固定化剤は、液体のエポキ
シドを用いている。液体のエポキシドは、利用の際取扱
いにくいという欠点がある。
【0006】また、エポキシドと二酸化炭素固定化触媒
を用いた断熱性樹脂発泡体は、優れた断熱性能を有す
る。しかし、エポキシドと樹脂原料との反応も生じるた
めに、断熱体形成および二酸化炭素の固定化反応が開始
してから、最高の断熱性能に到達するのに長い時間を要
する。また、それを改善するために、二酸化炭素固定化
剤の添加量を多くすると、断熱体重量の増加やコストの
増加という課題が生じる。特に、汎用のエポキシドは、
液体であるために、樹脂原料とよく混合する工程で、樹
脂原料との副反応を生じやすい。さらに、ウレタン原料
の場合には、エポキシドと、ポリオールの水酸基やイソ
シアネートとの反応が活性であるために、発泡樹脂中に
残存して二酸化炭素の固定化に寄与するエポキシドの量
が減少してしまい、二酸化炭素の固定化速度が大きく低
下してしまう。さらに、樹脂にエポキシドの副反応生成
物を生じるために、熱伝導率が上昇し、断熱性能を大き
く向上することが難しかった。
【0007】エポキシドと樹脂原料との副反応を避ける
ためのマイクロカプセル技術が先例に開示されてはいる
が、その適用について具体的な構成や効果が前述の先例
に開示されておらず、優れた断熱性発泡体を得るのが難
しかった。さらに、ただマイクロカプセルにすれば副反
応を十分に避けられるわけではない。より効率的に効果
を発揮させるためには、二酸化炭素の固定化の反応制御
ができないなどの課題を解決する必要がある。
【0008】従って、本発明は、利用に際して取扱いや
すく、加工のしやすい二酸化炭素固定化剤を提供するこ
とを目的とする。また、本発明は、この二酸化炭素固定
化剤を用いた二酸化炭素固定化方法を提供することを目
的とする。さらに、本発明は、この二酸化炭素固定化剤
を用いて高性能な断熱性樹脂発泡体を製造する方法を提
供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の二酸化炭素固定
化剤は、エポキシドと二酸化炭素固定化触媒とを含む固
形粒子から構成される。この固形粒子としては、その平
均粒径が0.1μmから1mmの範囲であることが好ま
しい。特に、エポキシドと二酸化炭素固定化触媒とがあ
らかじめ混合されているのが二酸化炭素の固定化反応に
有効である。この二酸化炭素固定化剤は、エポキシドが
二酸化炭素固定化触媒存在下で二酸化炭素と反応して有
機カーボネートを形成するものである。
【0010】この二酸化炭素固定化触媒は、求電子剤及
び求核剤のうち少なくとも1種で構成されることで優れ
た反応性を示す。特に、求核剤としては、ハロゲンイオ
ンを有するオニウム塩が適している。また、求電子剤と
求核剤とを兼ねるものとして臭化リチウムなどのアルカ
リハライドがある。固形粒子は、融点または軟化点が5
0℃以上の固体のエポキシドと、二酸化炭素固定化触媒
との混合物から構成される。このような固体同士の混合
においては、有機溶剤などのバインダーを用いて混合す
ることもできる。また、固形粒子は、液体のエポキシド
に二酸化炭素固定化触媒を溶解または分散させ、これを
多孔性担体に担持して構成される。多孔性担体として
は、無機多孔質体であって、その細孔径が0.4nmか
ら10nmの範囲にあるものが好ましい。この無機多孔
質体としては、活性炭、ゼオライト、モレキュラーシー
ブス、シリカゲル、アルミナ、多孔質ガラスなどが適用
できる。また、有機高分子などの有機多孔質体でも効果
は得られる。
【0011】さらに、本発明の二酸化炭素固定化剤は、
エポキシドと二酸化炭素固定化触媒とから構成され、エ
ポキシドと二酸化炭素固定化触媒の少なくとも一方がマ
イクロカプセルに包含された固形粒子から構成される。
ここで、エポキシドと二酸化炭素固定化触媒とは、それ
ぞれ独立にまたは混合されてマイクロカプセルに包含さ
れた構成をとることができる。マイクロカプセルの心材
は、固体状態でも液体状態でもよい。マイクロカプセル
の心材として、液体のエポキシドに二酸化炭素固定化触
媒を溶解または分散させ、これを多孔性担体に担持させ
たものを用いることができる。エポキシドと二酸化炭素
固定化触媒がそれぞれ別個のカプセルに包含されるか、
一方のみがマイクロカプセルに包含される構成において
は、エポキシドと二酸化炭素固定化触媒とを分離するこ
とができ、二酸化炭素の固定化反応を制御するのに有効
である。
【0012】本発明の二酸化炭素固定化方法は、エポキ
シドと二酸化炭素固定化触媒とを含む固形粒子から構成
され、エポキシドと二酸化炭素固定化触媒の少なくとも
一方がマイクロカプセルに包含された二酸化炭素固定化
剤を用いて二酸化炭素を固定化する方法であって、機械
的圧力印加により前記マイクロカプセルの壁材を破壊し
て、エポキシドと二酸化炭素固定化触媒とを二酸化炭素
に接触させることにより、エポキシドを二酸化炭素と反
応させ、有機カーボネートとして固定化するものであ
る。また、本発明の二酸化炭素固定化方法は、エポキシ
ドと二酸化炭素固定化触媒とを含む固形粒子から構成さ
れ、エポキシドと二酸化炭素固定化触媒の少なくとも一
方が熱可塑性樹脂を壁材とするマイクロカプセルに包含
された二酸化炭素固定化剤を用いて二酸化炭素を固定化
する方法であって、熱エネルギー印加により前記マイク
ロカプセルの壁材を破壊して、エポキシドと二酸化炭素
固定化触媒とを二酸化炭素に接触させることにより、エ
ポキシドを二酸化炭素と反応させ、有機カーボネートと
して固定化するものである。
【0013】ここにおいて、マイクロカプセルの心材と
して揮発性発泡剤が含まれている場合には、熱エネルギ
ー印加によってカプセルが破壊されて二酸化炭素の固定
化が開始する。その揮発性発泡剤として、20℃〜80
℃の範囲にあるエポキシドを用いれば、他に特別な発泡
剤は必要ない。以上の固形粒子は、粉末状で用いられて
もよいが、樹脂組成物中に含有されて構成されると非常
に取扱いが容易で加工しやすくなる。特に、樹脂組成物
が水酸基やイソシアネート基、カルボキシル基、アミノ
基などの官能基を有している場合に、効果が得られる。
【0014】本発明の断熱性樹脂発泡体の製造方法は、
エポキシドと二酸化炭素固定化触媒とを含む固形粒子か
らなる二酸化炭素固定化剤、イソシアネ−ト組成物、少
なくとも2つの活性水素を有する組成物、整泡剤、樹脂
化反応触媒(最も普通にはウレタン反応触媒)、および
発泡剤を含む原料を混合して発泡成形することにより、
少なくとも二酸化炭素を含む独立気泡を有する樹脂発泡
体を形成する工程、および前記独立気泡中の二酸化炭素
が、前記二酸化炭素固定化剤のエポキシドと反応して有
機カ−ボネ−トを形成する工程を含むものである。ま
た、本発明の断熱性樹脂発泡体の製造方法は、エポキシ
ドと二酸化炭素固定化触媒とから構成され、エポキシド
と二酸化炭素固定化触媒の少なくとも一方がマイクロカ
プセルに包含された固形粒子からなる二酸化炭素固定化
剤、イソシアネ−ト組成物、少なくとも2つの活性水素
を有する組成物、整泡剤、樹脂化反応触媒、および発泡
剤を含む原料を混合して発泡成形することにより、少な
くとも二酸化炭素を含む独立気泡を有する樹脂発泡体を
形成する工程、および前記独立気泡中の二酸化炭素が、
前記二酸化炭素固定化剤のエポキシドと反応して有機カ
−ボネ−トを形成する工程を含むものである。
【0015】上記のようにエポキシドが二酸化炭素と反
応して有機カ−ボネ−トを形成することにより、発泡樹
脂組成物の気泡内が減圧化される。また、上記の製造方
法においては、樹脂原料としてポリオ−ルとイソシアネ
ートを含んでなり、発泡剤として水を含み、二酸化炭素
を含んだ気体で発泡された発泡ウレタン樹脂からなる断
熱性樹脂発泡体の製造が有効である。
【0016】本発明は上記のような構成よりなり、エポ
キシドと二酸化炭素固定化触媒によって二酸化炭素をエ
ポキシドとの反応によって固定化するものであって、こ
の二酸化炭素固定化剤を使用する際に、エポキシドに対
する活性基との副反応を避けて効率的な二酸化炭素の反
応を進行させると共に、良好な加工性を有するものであ
る。本発明の二酸化炭素固定化剤による反応は、エポキ
シドと二酸化炭素固定化触媒が共に存在している場合
に、二酸化炭素が反応し有機カ−ボネ−ト構造を生成し
て二酸化炭素を固定化するものである。この有機カ−ボ
ネ−ト構造の生成反応は、エポキシドのオキシラン構造
が反応して化1で示される共重合カ−ボネ−ト構造、ま
たは化2で示される環状カ−ボネ−ト構造などを生成す
る。なお、反応収率や反応速度の点からは、環状カ−ボ
ネ−ト形成の方が比較的利用しやすい。
【0017】
【化1】
【0018】
【化2】
【0019】(化1、化2の式中、R1、R2、R3、お
よびR4は水素原子または置換基である。) 上の式では、エポキシドは三員環エーテルで記している
が、四員環以上でも同様な反応が進行する。
【0020】本発明の二酸化炭素固定化剤は、(1)取
扱いの容易さ、(2)副反応の抑制、および(3)固定
化反応の制御性の点で優れている。すなわち、二酸化炭
素固定化剤をエポキシドと二酸化炭素固定化触媒とを含
んだ固形粒子として構成することによって、気体エポキ
シドや液体エポキシドを利用するのと異なり、粉末充填
剤、樹脂担持体、塗料などのさまざまな形態での利用が
可能になる。しかも、エポキシドと二酸化炭素固定化触
媒が高濃度で存在するために、反応活性が高く優れた性
能が得られる。このように、非常に取扱いが容易にな
り、利便性が向上する。
【0021】また、固形粒子で構成することによって、
加工、および使用の際に、二酸化炭素固定化剤を構成す
るエポキシドの副反応を低減することができる。マトリ
クス材に担持する際などに、水酸基やイソシアネート
基、カルボキシル基、アミノ基などの官能基があると、
エポキシドは活性が高いために、これらの官能基と反応
する。しかし、エポキシドが固形粒子に含まれる場合に
は、その表面層で反応が行われ、内部のエポキシドの大
部分が残存するために、液体状エポキシドの場合のよう
な大きな反応性の低下は見られない。本発明において
は、固体のエポキシドに限らず、液体のエポキシドであ
っても、二酸化炭素固定化触媒と混合し、固体の多孔性
担体に担持させることで、上記と同様な効果を発現する
ことができる。この場合には、液体状のエポキシドが固
体状のエポキシドより比較的二酸化炭素の固定化が活性
であり、それが多孔性担体に担持されても維持されるた
めに、優れた性能を得やすい。
【0022】さらに、本発明では、エポキシドと二酸化
炭素固定化触媒の少なくとも一方がマイクロカプセルに
包含された固形粒子として構成される。この場合には、
取扱いの容易さ、および副反応の抑制に加えて、二酸化
炭素固定化反応の制御が可能となる。すなわち、エポキ
シドと二酸化炭素固定化触媒が、それぞれ別個のあるい
は同じマイクロカプセルに包含されていると、カプセル
壁によって二酸化炭素と接触しない状態に保持されてい
る。そして、マイクロカプセルの壁材をある時点で破壊
すると、エポキシドおよび二酸化炭素固定化触媒が二酸
化炭素と接触し、エポキシドと二酸化炭素との反応を開
始させることができる。例えば、機械的圧力印加によっ
てマイクロカプセルの壁材を破壊することで、反応を開
始することができる。また、マイクロカプセルの壁材を
熱可塑性樹脂にすると、熱エネルギー印加によって壁材
を破壊することで、エポキシドと二酸化炭素との反応を
開始することができる。さらには、マイクロカプセルの
心材として揮発性発泡剤を含ませた場合には、熱エネル
ギー印加によってカプセルが破壊されて二酸化炭素の固
定化を開始することができる。
【0023】本発明の二酸化炭素固定化剤を利用すれ
ば、樹脂中に含有させる際に、水酸基やイソシアネート
基、カルボキシル基、アミノ基などの官能基との副反応
を抑えて、二酸化炭素の固定化性能を大きく減ずること
なく使用することができる。特に、現場発泡で作られる
発泡樹脂組成物において、その気泡中に存在する二酸化
炭素を除くのに適しており、発泡体の断熱性能を高める
効果を発揮できる。例えば、イソシアネ−ト組成物と、
ポリオールなどの少なくとも2つの活性水素を有する組
成物とを原料として用いる発泡ウレタン樹脂では、各原
料の有する官能基や、樹脂化反応触媒のアミンなどと、
二酸化炭素固定化剤のエポキシドとは反応しやすい。そ
のため、樹脂の製造段階で、通常の液体エポキシドと二
酸化炭素固定化触媒を添加すると、添加量の数割が副反
応してしまい、二酸化炭素を固定する速度が遅くなる。
二酸化炭素を速い速度で固体化するためには、添加量が
増えてしまい、コストや重量の点で問題となると共に、
発泡体が収縮してしまうなど、良好な物性の発泡体を得
るのが困難になる傾向にある。
【0024】しかし、本発明の固形粒子からなる二酸化
炭素固定化剤を用いると、ウレタンの発泡形成過程にお
けるエポキシドの原料との反応を防ぐことができる。従
って、気泡中に存在する、ウレタン反応中に発生した二
酸化炭素を固定化して、気泡内の気体熱伝導率を低くす
ることができる。特に、マイクロカプセルを含む二酸化
炭素固定化剤を利用すれば、二酸化炭素固定化剤は、発
泡体の形成と同時に二酸化炭素との反応を開始するか
ら、樹脂がまだ完全に形成される前に二酸化炭素を固定
化してしまう場合に生じる発泡樹脂組成物の収縮がな
い。すなわち、発泡反応の後に樹脂中に蓄えられる熱に
よってカプセルが破壊されるので、二酸化炭素の固定化
反応の開始を遅らせることができる。従って、十分な強
度の樹脂が形成されてから、二酸化炭素の固定化反応に
より気泡内が減圧化するため、発泡樹脂組成物の収縮を
生じることがない。
【0025】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を説明
する。本発明の二酸化炭素固定化剤の代表的な構成例を
図1〜図6に模式的に示す。図1は、固体エポキシド2
に二酸化炭素固定化触媒3を分散して固形粒子1として
作製した二酸化炭素固定化剤である。この二酸化炭素固
定化剤は、固体状態で二酸化炭素を十分に固定化する能
力を有している。固形粒子のままでの使用が可能である
が、樹脂組成物に担持させるなど様々な形態で使用する
ことができる。図2は、繊維状の樹脂組成物4に、図1
の固形粒子1を担持させたものである。樹脂組成物に担
持させる際に、活性な官能基であるエポキシドが、二酸
化炭素との反応を行わせる以前に、樹脂中の官能基と副
反応する。1aは、この副反応した表面層を表してい
る。固形粒子の場合には、液状のエポキシドとは異な
り、この副反応を固形粒子の表面層のみと最小限に抑え
ることができる。そのため、二酸化炭素の固定化能力を
十分に保持することができる。
【0026】図3に示す二酸化炭素固定化剤5は、多孔
質担体6の細孔部7に液状エポキシドとそれに溶解した
二酸化炭素固定化触媒を吸着させたものである。この構
成によれば、二酸化炭素の固定化能力が固体エポキシド
より優れる液状のエポキシドでも、二酸化炭素固定化触
媒とともに固形粒子として扱うことができる。図4は、
図3の場合と同じ目的で取扱いを容易にするとともに、
副反応による二酸化炭素固定化能力の低下を防ぐため
に、マイクロカプセルとしたものである。すなわち、こ
の二酸化炭素固定化剤8は、液状エポキシドとそれに溶
解または分散した二酸化炭素固定化触媒からなるカプセ
ル心材10を熱可塑性または熱硬化性樹脂のカプセル壁
9内に包含させたものである。図5に示す二酸化炭素固
定化剤11は、液状エポキシドと二酸化炭素固定化触媒
を吸着した多孔質担体をカプセル心材13とし、これを
熱硬化性樹脂のカプセル壁12内に包含させたものであ
る。図4および図5に示す構成によると、二酸化炭素の
固定化反応を制御することができる。
【0027】図6の二酸化炭素固定化剤は、液状エポキ
シド17を熱可塑性樹脂のカプセル壁16内に包含した
マイクロカプセル14と、二酸化炭素固定化触媒19を
熱可塑性樹脂のカプセル壁18内に包含したマイクロカ
プセル15を混合したものである。熱印加したり、機械
的圧力を加えることによって、カプセル壁を破壊するこ
とにより、二酸化炭素の固定化反応を開始することがで
きる。
【0028】二酸化炭素固定化剤を構成するエポキシド
としては、一般的なエポキシ基を有する化合物が適用で
きる。単官能エポキシ化合物としては、アルキレンオキ
シド型、グリシジルエーテル型、グリシジルエステル
型、シクロアルケンオキシド型など多くの化合物が適用
できる。例えば、沸点が200℃以下のものとしては、
エチレンオキシド(11℃)、プロピレンオキシド(3
4℃)、1,2−エポキシブタン(63℃)、シス2,
3−エポキシブタン(60℃)、トランス2,3−エポ
キシブタン(54℃)、ブタジエンモノオキサイド(6
5℃)、イソブチレンオキシド(52℃)、エポキシヘ
キサン(118℃)、スチレンオキシド(194℃)、
エピクロルヒドリン(115℃)、グリシドール(16
0℃)、メチルグリシジルエーテル(110℃)、nー
ブチルグリシジルエーテル(164℃)、ターシャルブ
チルグリシジルエーテル(165℃)、グリシジルイソ
プロピルエーテル(131℃)、メタクリル酸グリシジ
ル(189℃)などがある。ただし、()内は化合物の
沸点の報告値である。これらの化合物は、熱可塑性樹脂
からなるカプセル壁材内に包含されたマイクロカプセル
に構成されたとき、沸点以上に加熱されると気化してカ
プセル壁を破壊し、二酸化炭素の固定化を開始する。
【0029】その他の単官能エポキシドとしては、例え
ば、エポキシオクタン、エポキシデカン、エポキシドデ
カン、エポキシヘキサデカン、エポキシオクタデカンな
どのアルキレンオキシドや、エポキシヘキセン、エポキ
シオクテンなどのエポキシ基と二重結合不飽和基を有す
る化合物や、グリシジルイソプロピルエーテル、グリシ
ジルアクリレート、フェニルグリシジルエーテル、3ー
グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランなどのグ
リシジル基を有する化合物、エポキシプロピルベンゼ
ン、スチレンオキシドなどの芳香族エポキシド、シクロ
ヘキセンオキシド、シクロペンテンオキシドなどのシク
ロアルケンオキシドをなども利用することができる。
【0030】また、2つ以上のエポキシ基を有する多官
能エポキシドとしては、汎用のエポキシ樹脂を用いるこ
とができる。例えば、ビスフェノールA型、フェノール
ノボラック型、ポリフェノール型、ポリグリシジルエー
テル型、ポリグリシジルアミン型エポキシ樹脂などがあ
る。これら一種類あるいはブレンドして用いることがで
きる。エポキシ当量としては、100〜500程度のも
のが多く用いられる。具体的には、ビスフェノールAジ
グリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエ
ーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、レゾ
ルシノールジグリシジルエーテル、ヘキサヒドロビスフ
ェノールAジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリ
コールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコール
ジグリシジルエーテル、フタル酸ジグリシジルエステ
ル、ダイマー酸ジグリシジルエーテル、トリグリシジル
イソシアヌレート、トリグリシジルトリス(2−ヒドロ
キシエチル)イソシアヌレート、テトラグリシジルジア
ミノジフェニルメタン、テトラグリシジルメタキシレン
ジアミン、クレゾールノボラックポリグリシジルエーテ
ル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリ
スリトールポリグリシジルエーテル、ソルビトールテト
ラグリシジルエーテル、ポリグリセロールトリグリシジ
ルエーテルなどが代表例として挙げられるが、これらに
限るものではない。また、上記エポキシドが臭素化され
た化合物は、発泡樹脂組成物に難燃性を付与することが
できる。
【0031】融点または軟化点が50℃以上の固体状の
エポキシドとしては、グリシジルー4ーメトキシフェニ
ルエーテル、N−(2,3−エポキシプロピル)フタル
イミド、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、ビスフ
ェノールSジグリシジルエーテル、テレフタル酸ジグリ
シジルエステルなどが用いられるが、これらに限らず上
記のエポキシドの誘導体など汎用のエポキシ樹脂で用い
られている固体状、半固体状のエポキシドも用いること
ができる。これらのエポキシドを用いて構成される二酸
化炭素固定化剤の二酸化炭素固定化能は、次のような傾
向にあることが確認された。すなわち、エポキシドが末
端にエポキシ基を有している化合物である二酸化炭素固
定化剤は、分子内部にエポキシ基を有する化合物を用い
たものより活性が高い。また、エポキシドが分子量の小
さい液状のエポキシドである二酸化炭素固定化剤は、分
子量が高く粘度の高いエポキシドを用いたものより活性
が高い。この結果から、高融点あるいは高軟化温度を有
するエポキシドを用いると、活性が非常に低くなると予
想されたが、実際には比較的高い活性を有することがわ
かった。
【0032】二酸化炭素固定化剤を構成する二酸化炭素
固定化触媒は、求電子剤及び求核剤のうち少なくとも1
種で構成されることで優れた反応性を示す。特に、ハロ
ゲン化オニウム塩化合物を求核剤として用いると、有機
カーボネートの形成に重要な効果を示す。他に有機金属
化合物、金属化合物などの触媒系も適している。二酸化
炭素固定化触媒のうち環状カーボネートを形成する付加
反応の触媒としては、ホスホニウム塩、アンモニウム
塩、スルホニウム塩、オキソニウム塩、アルソニウム
塩、スチボニウム塩、セレノニウム塩、ヨードニウム
塩、スタンノニウム塩などのオニウム塩化合物を含む組
成物が用いられる。特に、ハロゲン化第四級オニウム塩
と有機金属ハロゲン化物、あるいはハロゲン化第四級オ
ニウム塩と金属ハロゲン化物の混合触媒を用いると、高
い反応収率が得られる。求電子剤は有機金属化合物、金
属化合物はハロゲン化物に限らず、アセチルアセテー
ト、ジチオカルバミン酸、安息香酸、酢酸などもこれら
に近い効果が得られる。オニウム塩としては、ハロゲン
化テトラアルキルホスホニウム、ハロゲン化テトラアル
キルアンモニウムなどが適しており、よう化テトラブチ
ルホスホニウム、臭化テトラブチルホスホニウム、よう
化テトラブチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモ
ニウム、臭化トリブチルエチルアンモニウムは高い触媒
作用が得られる。また、有機金属ハロゲン化物としては
錫化合物が適しており、よう化トリブチル錫、臭化トリ
ブチル錫、塩化トリブチル錫、よう化トリメチル錫、よ
う化トリフェニル錫などを用いることができる。さら
に、金属ハロゲン化物は亜鉛化合物が適しており、塩化
亜鉛、臭化亜鉛などを用いることができる。混合触媒の
混合比率は、オニウム化合物に対して有機金属ハロゲン
化物あるいは金属ハロゲン化物が等量以下の範囲内で優
れた効果が得られる。
【0033】また、求電子剤と求核剤を兼ねる化合物と
して、塩化リチウム、臭化リチウム、沃化リチウム、塩
化ナトリウム、臭化ナトリウム、沃化ナトリウムなどの
ハロゲン化アルカリを用いることができる。これらの二
酸化炭素固定化触媒の量は、エポキシドに対して1/5
0から1/2で十分な活性を得ることができる。また、
二酸化炭素固定化触媒のうち共重合カーボネートを形成
する触媒としては、亜鉛、コバルト、アルミニウム、あ
るいは錫などの金属化合物が適している。特に、亜鉛化
合物よりなり、有機亜鉛化合物と2価以上の活性水素を
有する化合物との混合物、金属酸化物担持の有機亜鉛化
合物、亜鉛酢酸塩、水酸化亜鉛と脂肪族ジカルボン酸の
反応混合物、または金属酸化物を担持した亜鉛ハロゲン
化物などが共重合触媒として適している。有機亜鉛化合
物としては、ジエチル亜鉛などのジアルキル亜鉛、2価
以上の活性水素を有する化合物としては水や、第1級ア
ミン、2価アルコール、芳香族ジカルボン酸、芳香族ヒ
ドロキシカルボン酸などが適している。亜鉛化合物を担
持する金属酸化物として、酸化シリコン、酸化アルミニ
ウム、酸化チタンなどが用いられ、さらに酸化マグネシ
ウムなどの金属水酸化物も用いることができる。
【0034】エポキシドと二酸化炭素固定化触媒とを含
んで構成される固形粒子からなる二酸化炭素固定化剤を
作製する方法としては、主に固体状エポキシドを用いる
方法、固体の多孔性担体に担持する方法、およびマイク
ロカプセル法の3つの方法がある。この固形粒子は、実
用的には平均粒径1mm以下で、形状はいかなる形状を
していてもよいが、粉末状のものが取扱いやすい。さら
に、二酸化炭素固定化剤の副反応による活性の低下を防
ぐためには、その平均粒径が0.1μmから1mmの範
囲であることが好ましい。固体状エポキシドを用いる方
法は、融点または軟化点が50℃以上の固体状エポキシ
ドと二酸化炭素固定化触媒とを混合する方法であり、エ
ポキシドに二酸化炭素固定化触媒が分散した状態、また
は二酸化炭素固定化触媒がエポキシドに配位した状態の
固形粒子を形成する。固形粒子にする方法としては、固
体状エポキシドと固体である二酸化炭素固定化触媒を粉
末状態で混合しても効果が得られるが、ボールミルなど
で粉砕しながら混合してもよい。この際に有機溶剤など
のバインダーを用いて混合することもできる。また、熱
をかけて溶融させて混合することもできる。さらに、有
機溶媒に両者を溶解した後に、溶媒を留去してエポキシ
ドに二酸化炭素固定化触媒が分散された状態としてもよ
いし、スプレードライヤー等で乾燥粉末を作ってもよ
い。
【0035】次に、液体のエポキシドや粘稠なエポキシ
樹脂などを多孔性担体に担持させることにより、固形粒
子からなる二酸化炭素固定化剤を作る方法がある。この
方法は、エポキシドに二酸化炭素固定化触媒を溶解ある
いは均質に分散させた状態で、多孔性担体に吸収あるい
は吸着させることで担持させ、固体粒子を形成する。多
孔性担体としては、有機高分子などの有機多孔質体や、
無機多孔質体を利用できる。無機多孔質体は、その細孔
径が約1μm以下のもので良好な二酸化炭素の固定化が
観察された。周辺に活性な官能基がある場合の副反応を
低減するためには、多孔質担体の細孔径は、約0.4n
mから10nmの範囲にあるものが効果が高かった。無
機多孔質体としては、活性炭、ゼオライト、モレキュラ
ーシーブス、シリカゲル、アルミナ、多孔質ガラスなど
が適用できる。
【0036】次に、マイクロカプセル法は、カプセル心
材の選択や、カプセル壁の材料の組合わせなどで反応の
制御などを行うことができる。そのため、エポキシドと
二酸化炭素固定化触媒の少なくとも一方をマイクロカプ
セルに包含させた固形粒子として二酸化炭素固定化剤を
構成する。マイクロカプセルを利用する効果としては、
主に3つある。その1つは、固体状態で取扱いやすくい
ことである。他の1つは、副反応による二酸化炭素固定
化性能の低減を防ぐことができることである。もう1つ
は、カプセル壁を破壊することにより固定化反応の制御
を行えることである。マイクロカプセルのカプセル心材
としては、エポキシドと二酸化炭素固定化触媒を混合し
て構成されたもの、少なくともエポキシドと二酸化炭素
固定化触媒のいずれか、あるいは両者それぞれがカプセ
ル化されたものである。この心材は固体状態でも、液体
状態でも、溶液状態でもよい。二酸化炭素固定化触媒を
固体状エポキシドに分散した固形粒子や、エポキシドと
二酸化炭素固定化触媒とを混合して吸着してなる多孔質
体などをカプセル壁で覆って形成することができる。エ
ポキシドと二酸化炭素固定化触媒のそれぞれがマイクロ
カプセルであり、それらを組み合わせて使用する場合に
は、エポキシドと二酸化炭素固定化触媒とを分離するこ
とができ、マイクロカプセルを破壊する刺激によって二
酸化炭素の固定化反応を制御するのに有効である。
【0037】マイクロカプセルのカプセル壁材は、有機
化合物、無機化合物などで構成することができるが、作
製の容易さや、利用の際の樹脂などへの担持の容易さな
どの点から有機化合物が好ましい。カプセル壁材は、相
分離を利用したコアセルベーション法、液中乾燥法、融
解分散冷却法、スプレーコーティング法、パンコーティ
ング法、ウルスター法、界面重合法、その場重合法など
の一般的なマイクロカプセル化技術で形成することがで
きる。具体的には、メラミンーホルマリン縮合系樹脂、
尿素ーホルマリン架橋樹脂、ゼラチン、セルロース系、
ナイロンなどのポリアミド樹脂、ポリフェニルエステル
樹脂、ポリウレア/ポリウレタン系樹脂、硬化エポキシ
樹脂、ポリスチレン系樹脂、塩化ビニリデン共重合樹
脂、ポリオレフィン系樹脂などでカプセル化することが
可能である。ただし、エポキシドを心材とするときは、
水酸基やイソシアネート基、カルボキシル基、アミノ基
などの官能基を有する場合や、硬化剤を用いる場合に、
心材のエポキシド表面がこれらの官能基と反応すること
になるが、エポキシドの内含率は60%以上のものを作
製することができ、十分に利用できる。
【0038】マイクロカプセルを用いる場合の重要な特
徴として、二酸化炭素固定化の反応を制御できることが
ある。まず、機械的な圧力を加えることによりカプセル
壁を破壊することによって、二酸化炭素固定化触媒を介
したエポキシドと二酸化炭素との反応を開始させること
ができる。また、マイクロカプセルの壁材が熱可塑性樹
脂である場合には、熱エネルギー印加によってカプセル
壁を破壊または軟化させることができ、これによって二
酸化炭素の固定化反応を開始することができる。この熱
可塑性樹脂は、ガラス転移温度または軟化温度が約60
℃から約150℃位の樹脂が用いやすい。さらにこのと
きに、マイクロカプセルの心材として揮発性発泡剤が含
まれている場合には、熱エネルギー印加によって、発泡
剤が気化し、カプセル壁を破壊することができる。その
揮発性発泡剤として、沸点20℃〜80℃の範囲にある
エポキシドを用いれば、他に特別な発泡剤は必要ない。
さらに、以上の固形粒子は、粉末状であり、カラム充填
剤のような使用ができる。また、樹脂組成物などに担持
して使用する場合には、不織布、織物、シートなどの形
状で様々な使用形態をとることができる。このように、
従来の液状のエポキシドからなる二酸化炭素固定化剤と
比較すると、非常に取扱いが容易で、加工しやすくな
る。特に、樹脂組成物が水酸基やイソシアネート基、カ
ルボキシル基、アミノ基などの官能基を有している場合
には、その樹脂組成物が固形粒子からなる二酸化炭素固
定化剤の最外側の表面と化学反応によって結合して、丈
夫で柔軟性のある二酸化炭素固定化樹脂組成物を形成す
るので、好ましい。
【0039】本発明の二酸化炭素固定化剤を用いて作製
した断熱性樹脂発泡体を模式的に図7に示す。内外容器
壁20、21からなる容器中に、気泡23を有する発泡
樹脂組成物22が形成されている。発泡樹脂組成物22
中には、固形粒子からなる二酸化炭素固定化剤24が含
まれている。発泡中に発生して気泡23中に存在する二
酸化炭素ガスは、二酸化炭素固定化剤24によって反応
固定化されて有機カーボネートとなるため、気泡23内
は二酸化炭素が無くなって減圧化される。したがって、
二酸化炭素ガスだけで発泡された際には、断熱性樹脂発
泡体は真空断熱材となる。また、他の断熱性の優れた発
泡ガスを主に用いた場合には、断熱性を悪くする二酸化
炭素が無くなるため、断熱性を向上することができる。
【0040】本発明の断熱性樹脂発泡体は、次のような
製造方法で作製することができる。すなわち、固形粒子
からなる二酸化炭素固定化剤と、イソシアネ−ト組成
物、ポリオールのような少なくとも2つの活性水素を有
する組成物、整泡剤、触媒、および発泡剤を含む原料を
混合して容器に注入する。そして、イソシアネ−ト組成
物と少なくとも2つの活性水素を有する組成物との重合
反応をきっかけとして発泡剤がガス化して発泡し、発泡
樹脂組成物を形成する。この発泡工程の際に、発泡ガス
として、または樹脂反応の一部として生成した二酸化炭
素が、気泡中において二酸化炭素固定化剤と反応して固
体化し有機カ−ボネ−トを形成するとともに、気泡内が
減圧化される。こうして断熱性に優れた断熱性樹脂発泡
体が得られる。
【0041】本発明の製造方法においては、二酸化炭素
を発泡ガスとして用いると、適切な形状の密封可能な金
属層含有剛体容器中で直接、加熱発泡成形して真空断熱
体を形成することができる。それ故、本発明の断熱性樹
脂発泡体は、電気冷蔵庫用の断熱箱体に用いるのに適し
ており、金属製外箱と硬質樹脂製内箱を組み合せて構成
された注入口を有する密閉性の冷蔵庫用箱体中に充填す
れば、きわめて優れた断熱性の電気冷蔵庫を構成でき
る。発泡に二酸化炭素を用いる方法として、一般に水を
発泡剤として用いる方法が知られている。この方法にお
いては、水が化3のように樹脂原料であるイソシアネー
トと反応し、尿素結合を有するウレタン樹脂を形成し、
同時に二酸化炭素を生成して発泡に寄与する。この反応
を利用し、他の揮発性発泡剤と水とを併用する方法がよ
く用いられる。
【0042】
【化3】
【0043】また、水を使わない方法として、化4のよ
うに樹脂原料であるイソシアネートの二量化反応である
カルボジイミド形成反応の際に発生する二酸化炭素を発
泡に利用する方法がある。
【0044】
【化4】
【0045】このカルボジイミド反応は、通常はカルボ
ジイミド反応を強く生じさせる触媒が必要であるが、イ
ソシアネートを原料として用いる重合反応では、触媒が
なくても多少二酸化炭素を生成するため、気泡中には二
酸化炭素を含むことになる。また、これらの反応以外
に、イソシアネートとカルボン酸や無水カルボン酸など
との反応なども二酸化炭素の発生に用いられる。本発明
に用いる二酸化炭素は、上記のような反応によって生成
されるものに限られず、一般の発泡成形用発泡剤として
二酸化炭素を用いてもよい。その二酸化炭素としては、
液化二酸化炭素や超臨界流体状態の二酸化炭素を用いて
も同様に発泡成形、そして二酸化炭素の固定化が達成で
きる。
【0046】発泡剤としては、水や、一般的な揮発性発
泡剤が好ましく用いられるが、発泡性や樹脂の成型性を
向上する目的で、揮発性発泡剤と水、または化学反応に
よる二酸化炭素発生とを混合・併用できる。揮発性発泡
剤としては、例えば1,1−ジクロロ−1−フルオロエ
タン(フロン141b)、1,1,1,2−テトラフル
オロエタン(フロン134a)、アイオドペンタフルオ
ロプロパン、アイオドトリフルオロメタンなどのフロン
化合物、ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、ブ
タン、ヘキサン、ネオヘキサン、シクロヘキサンなどの
炭化水素化合物、フラン、ジオキソランなどの環状エー
テル化合物等が適している。揮発性発泡剤を併用した場
合には、発泡直後に気泡内に充填されている揮発性発泡
剤の気体と二酸化炭素のうち二酸化炭素のみが固定化さ
れるため、気泡内は部分的に減圧され、揮発性発泡剤の
気体のみになる。これらは二酸化炭素よりも熱伝導率が
低いため、二酸化炭素と混合されていることで熱伝導率
が高くなっていたが、二酸化炭素の固定化と共に熱伝導
率が低下して断熱性が向上する。
【0047】発泡樹脂原料のうち、少なくとも2つの活
性水素を有する組成物の代表的なものとして、ポリオー
ル組成物が用いられる。水酸基価100から600mg
KOH/gのポリエーテルポリオールやポリエステルポ
リオールが好ましく用いられる。また、活性水素を有す
るアミンを有するポリアミン組成物も用いられる。イソ
シアネート組成物としては、少なくとも2つのイソシア
ネ−ト基を有する多官能イソシアネ−トが用いられる。
トリレンジイソシアネ−ト、粗製ジフェニルメタンジイ
ソシアネート、または、これらをベースにしたイソシア
ネート混合物や有機ポリイソシアネ−ト樹脂等でイソシ
アネート当量100から300のものが一般に用いられ
る。
【0048】二酸化炭素を発泡ガスとして用いる場合に
は、前述のように水を発泡剤として用いるほかに、イソ
シアネートの二量化によるカルボジイミド反応を利用す
る方法がある。カルボジイミド反応の触媒としては、代
表的なものとしてフォスフォレンオキシドがある。具体
的には、1ーメチルフォスフォレンオキシド、3ーメチ
ルー1ーフェニルフォスフォレンオキシド、3ーメチル
ー1ーベンジルフォスフォレンオキシド、3ーメチルー
1ーエチルフォスフォレンオキシド、3ーメチルー1ー
エチルフェニルフォスフォレンオキシド、1ーフェニル
ー3ー(4ーメチルー3ーペンテニル)フォスフォレン
オキシドなどが用いられる。また、発泡工程では、適当
な添加剤も加えられる。整泡剤としては、有機シリコ−
ン系界面活性剤、脂肪酸金属塩、脂肪族スルホン酸金属
塩、パラフィン油等がある。なかでも有機シリコーン系
界面活性剤が好ましく用いられる。また、樹脂化反応触
媒としては、有機錫系化合物、有機鉛系化合物、高塩基
性アミン系触媒等がある。なかでもアミン系触媒が好ま
しく用いられる。必要に応じて、酸化防止剤、難燃化
剤、充填剤、架橋剤なども用いられる。
【0049】[実施例1]分子量203の固体状エポキ
シドであるNー(2,3ーエポキシプロピル)フタルイ
ミド20重量部、二酸化炭素固定化触媒として塩化亜鉛
0.27重量部および臭化テトラブチルアンモニウム
2.6重量部をアセトンに溶解したのちに乾燥して粉末
状とした。これをさらにボールミルにて粉砕して平均粒
径30μmの固形粒子からなる二酸化炭素固定化剤を作
製した。二酸化炭素固定化剤の性能は、二酸化炭素固定
化剤と1.2リットルの二酸化炭素ガスとを容器に封入
し、二酸化炭素ガスの量が半減する時間(半減時間)で
評価した。
【0050】本実施例の二酸化炭素固定化剤は、半減時
間約250分であった。一方、比較例として、固体状エ
ポキシドの代わりに、一般的なエポキシドである分子量
150の液状エポキシドのフェニルグリシジルエーテル
を同じモル量用い、二酸化炭素固定化触媒と混合した場
合は、半減時間約150分であり、本実施例と同程度で
あった。同じく液状エポキシドのイソブチレンオキシド
を用いた場合は、半減時間約2500分であり、本実施
例の方が優れていた。さらに、本実施例の二酸化炭素固
定化剤を、接着剤をコーティングしたガラス板上に散布
したものは、単位二酸化炭素容積、単位重量当たり同じ
二酸化炭素の固定化性能であり、担持されても同じ能力
を維持していた。また、水酸基を有するポリエステル繊
維に担持した場合には、エポキシドはその約5%程度が
水酸基との副反応を生じていたが、二酸化炭素固定化能
力はほぼ同程度であることが確認された。
【0051】[実施例2]分子量150の液状エポキシ
ドであるフェニルグリシジルエーテル12重量部に、二
酸化炭素固定化触媒として塩化亜鉛0.27重量部およ
び臭化テトラブチルアンモニウム2.6重量部を溶解し
た。得られた溶液を、粒径1mm、平均細孔径1nmの
モレキュラーシーブス25重量部と混合すると、溶液が
すべてモレキュラーシーブスに吸着され、固形粒子の二
酸化炭素固定化剤を作製することができた。この二酸化
炭素固定化剤を実施例1と同様の条件で評価したとこ
ろ、二酸化炭素の半減時間は約130分であり、吸着前
の溶液状態における固定化性能とほぼ同じであった。次
に、この二酸化炭素固定化剤をガラス管に充填した。そ
して、このガラス管に窒素80%と二酸化炭素20%の
混合ガスを流したところ、二酸化炭素の割合が5%にま
で低減するのが確認された。
【0052】[実施例3]平均エポキシ当量189、平
均分子量380の粘性のあるビスフェノールA型エポキ
シ樹脂に、二酸化炭素固定化触媒として臭化リチウムを
分散した混合物をカプセル心材として、界面重合法によ
って硬化剤を用いてエポキシ硬化樹脂のカプセル壁とし
たマイクロカプセルからなる二酸化炭素固定化剤を得
た。この二酸化炭素固定化剤は、平均粒径が約300μ
mであり、活性なエポキシドの重量での内含率は約80
%であった。この二酸化炭素固定化剤は、この状態で極
僅かではあるが二酸化炭素の固定化を行う。二酸化炭素
の半減時間は約5000分であった。この二酸化炭素固
定化剤を機械的に圧力でつぶしてやると、直後から二酸
化炭素の固定化が速くなり、半減時間が約1000分ま
で短縮した。このように本実施例の二酸化炭素固定化剤
は、固定化反応を制御できることがわかった。なお、大
気中または不活性ガス中で保存した際、2カ月以上にわ
たって二酸化炭素の固定化性能はほとんど失われなかっ
た。
【0053】[実施例4]揮発性発泡剤のヘキサンと分
子量130、沸点164℃のブチルグリシジルエーテル
をカプセル心材とし、塩化ビニリデン共重合樹脂をカプ
セル壁材とするマイクロカプセルを作製した。また、塩
化第一鉄水和物と塩化テトラフェニルフォスフォニウム
を混合した固形粒子からなる二酸化炭素固定化触媒を作
製した。これらのマイクロカプセルと固形粒子を混合し
て二酸化炭素固定化剤を得た。この二酸化炭素固定化剤
は、このままでは全く二酸化炭素を固定化しないが、1
00℃以上の熱を加えると、マイクロカプセルが破壊し
てエポキシドが溶出して二酸化炭素固定化触媒と混ざり
あって二酸化炭素の固定化反応を開始した。
【0054】[実施例5]実施例1と同様に、エポキシ
当量112、融点86℃のハイドロキノンジグリシジル
エーテルと、二酸化炭素固定化触媒を混合した固形粒子
からなる二酸化炭素固定化剤を得た。水酸基価449m
gKOH/gのポリエーテルポリオール100重量部、
有機シリコーン系整泡剤3重量部、アミン系ウレタン反
応触媒2重量部、発泡剤としてシクロペンタン16重量
部および水1重量部からなるプレミックス液を調製し
た。このプレミックス液と、上記の二酸化炭素固定化剤
20重量部、およびイソシアネート当量134の粗製ジ
フェニルメタンジイソシアネート系イソシアネート12
5重量部を撹拌速度4500rpmで5秒間混合した
後、容器中に注入し、発泡反応させて、独立気泡体の発
泡ウレタン樹脂からなる断熱性樹脂発泡体を得た。
【0055】この断熱性樹脂発泡体は、容器ごと45℃
でキュアしたのち、物性評価のため約20cm×20c
m×2cmの形状に切りだした。この試料について熱伝
導率を測定したところ、平均温度24℃で0.0178
kcal/mh℃であり、経時的に熱伝導率が低下し断
熱性が向上した。気泡中のガスを分析したところ、二酸
化炭素分圧0.05以下であった。また、赤外分光分析
の結果、波数約1800cm-1にカーボネートの吸収が
観察された。比較例として、二酸化炭素固定化剤を入れ
ずに作製した断熱性樹脂発泡体では、熱伝導率が0.0
195kcal/mh℃と高く、気泡中の二酸化炭素分
圧は約0.23と水の添加量から考慮される値とほぼ一
致した。さらに、赤外分光分析ではカーボネートの吸収
がみられなかった。このように、本実施例の固形粒子か
らなる二酸化炭素固定化剤を添加することで、約10%
の優れた断熱性の向上が得られた。
【0056】[実施例6]分子量72の1,2ーブチレ
ンオキシド100重量部と二酸化炭素固定化触媒として
塩化亜鉛5重量部および臭化テトラブチルアンモニウム
20重量部との混合物をカプセル心材とし、ポリウレア
/ウレタンをカプセル壁材としたマイクロカプセルから
なる二酸化炭素固定化剤を得た。この二酸化炭素固定化
剤を用いて実施例5と同様に作製した断熱性樹脂発泡体
の熱伝導率は0.0170kcal/mh℃であり、気
泡内の二酸化炭素はほとんど測定されなかった。
【0057】比較例として、二酸化炭素固定化剤をマイ
クロカプセルとしない場合には、熱伝導率が0.018
5kcal/mh℃であった。このように、二酸化炭素
固定化剤をマイクロカプセルからなる固形粒子とするこ
とで性能が向上した。この原因は、カプセル壁によって
エポキシドが保護され、エポキシドとウレタン原料との
副反応が抑えられたためである。また、発泡ウレタン樹
脂形成の反応がほぼ完了した後に、断熱体中での温度上
昇によってカプセル壁が軟化あるいは一部破壊され、二
酸化炭素の固定化が開始されたために、樹脂原料との副
反応が低減されたことによるものである。また、比較例
においては、実施例と同じ性能の熱伝導率を得るために
は、二酸化炭素固定化剤の添加量を2倍以上入れる必要
があった。そうして得られた発泡体は、二酸化炭素固定
化剤の充填量が多くなりすぎたためか収縮を生じ、良好
なものではなかった。
【0058】
【発明の効果】以上のように本発明の二酸化炭素固定化
剤は、次のような特徴を有する。 (1)取扱いが容易であり、加工性が向上する。固形粒
子であり、粉末状であるために、従来の液状のエポキシ
ドからなる二酸化炭素固定化剤と異なり、様々な形態で
使用できる。例えば、樹脂織物やガラス板などに担持さ
せたり、管に充填するなどである。 (2)利用の際の副反応を低減できる。固形粒子である
ので、副反応物質があっても粒子の表面層のみで反応す
るために、二酸化炭素固定化剤の大部分は副反応するこ
となく、二酸化炭素固定化性能を維持することができ
る。 (3)二酸化炭素の固定化反応を制御できる。マイクロ
カプセルからなる固形粒子として構成することで、カプ
セル壁を軟化あるいは破壊することによってカプセル心
材としたエポキシドあるいは二酸化炭素固定化触媒を、
二酸化炭素と接触させ、あるいは反応活性を付与するな
どの制御が可能である。また、本発明によれば、高性能
な断熱性樹脂発泡体を得ることができる。すなわち、二
酸化炭素固定化剤は、活性な樹脂原料との副反応を抑え
られるために、効率的に気泡中の二酸化炭素を固定化
し、断熱性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における二酸化炭素固定化剤の
構成を示す模式図である。
【図2】本発明の実施例における繊維状樹脂組成物に担
持した二酸化炭素固定化剤の構成を示す模式図である。
【図3】本発明の他の実施例における二酸化炭素固定化
剤の構成を示す模式図である。
【図4】本発明の他の実施例における二酸化炭素固定化
剤の構成を示す模式図である。
【図5】本発明の他の実施例における二酸化炭素固定化
剤の構成を示す模式図である。
【図6】本発明の他の実施例における二酸化炭素固定化
剤の構成を示す模式図である。
【図7】本発明の実施例における断熱性樹脂発泡体の構
成を示す模式図である。
【符号の説明】
1、5、8、11、14、15 固形粒子 1a 表面層 2 エポキシド 3 二酸化炭素固定化触媒 4 繊維状樹脂組成物 6 多孔質担体 7 細孔部 9、12、16、18 カプセル壁 10、13 カプセル心材 17 液状エポキシド 18 二酸化炭素固定化触媒 20、21 容器壁 22 発泡樹脂組成物 23 気泡 24 二酸化炭素固定化剤
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08J 9/02 CFF C08J 9/14 CFF 9/14 CFF C08G 59/40 NHX // C08G 59/40 NHX B01J 13/02 Z C08L 75:04 (72)発明者 上野 貴由 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 稲垣 文拓 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エポキシドと二酸化炭素固定化触媒とを
    含む固形粒子からなることを特徴とする二酸化炭素固定
    化剤。
  2. 【請求項2】 二酸化炭素固定化触媒が求電子剤及び求
    核剤のうち少なくとも1種からなる請求項1記載の二酸
    化炭素固定化剤。
  3. 【請求項3】 前記固形粒子が、融点または軟化点が5
    0℃以上のエポキシドと、二酸化炭素固定化触媒との混
    合物からなる請求項1記載の二酸化炭素固定化剤。
  4. 【請求項4】 前記固形粒子が、液状エポキシドとこれ
    に溶解または分散した二酸化炭素固定化触媒とを担持し
    た多孔性担体からなる請求項1記載の二酸化炭素固定化
    剤。
  5. 【請求項5】 前記多孔性担体が無機多孔質体であっ
    て、その細孔径が0.4nmから10nmの範囲にある
    請求項4記載の二酸化炭素固定化剤。
  6. 【請求項6】 エポキシドと二酸化炭素固定化触媒とか
    ら構成され、エポキシドと二酸化炭素固定化触媒の少な
    くとも一方がマイクロカプセルに包含された固形粒子か
    らなることを特徴とする二酸化炭素固定化剤。
  7. 【請求項7】 エポキシドと二酸化炭素固定化触媒とが
    それぞれ独立にまたは混合されてマイクロカプセルに包
    含されている請求項6記載の二酸化炭素固定化剤。
  8. 【請求項8】 エポキシドと二酸化炭素固定化触媒とを
    含む固形粒子から構成され、エポキシドと二酸化炭素固
    定化触媒の少なくとも一方がマイクロカプセルに包含さ
    れた二酸化炭素固定化剤を用いて二酸化炭素を固定化す
    る方法であって、機械的圧力印加により前記マイクロカ
    プセルの壁材を破壊して、エポキシドと二酸化炭素固定
    化触媒とを二酸化炭素に接触させることにより、エポキ
    シドを二酸化炭素と反応させ、有機カーボネートとして
    固定化することを特徴とする二酸化炭素固定化方法。
  9. 【請求項9】 エポキシドと二酸化炭素固定化触媒とを
    含む固形粒子から構成され、エポキシドと二酸化炭素固
    定化触媒の少なくとも一方が熱可塑性樹脂を壁材とする
    マイクロカプセルに包含された二酸化炭素固定化剤を用
    いて二酸化炭素を固定化する方法であって、熱エネルギ
    ー印加により前記マイクロカプセルの壁材を破壊して、
    エポキシドと二酸化炭素固定化触媒とを二酸化炭素に接
    触させることにより、エポキシドを二酸化炭素と反応さ
    せ、有機カーボネートとして固定化することを特徴とす
    る二酸化炭素固定化方法。
  10. 【請求項10】 エポキシドと二酸化炭素固定化触媒と
    を含む固形粒子からなる二酸化炭素固定化剤、イソシア
    ネ−ト組成物、少なくとも2つの活性水素を有する組成
    物、整泡剤、樹脂化反応触媒、および発泡剤を含む原料
    を混合して発泡成形することにより、少なくとも二酸化
    炭素を含む独立気泡を有する樹脂発泡体を形成する工
    程、および前記独立気泡中の二酸化炭素が、前記二酸化
    炭素固定化剤のエポキシドと反応して有機カ−ボネ−ト
    を形成する工程を含むことを特徴とする断熱性樹脂発泡
    体の製造方法。
  11. 【請求項11】 エポキシドと二酸化炭素固定化触媒と
    から構成され、エポキシドと二酸化炭素固定化触媒の少
    なくとも一方がマイクロカプセルに包含された固形粒子
    からなる二酸化炭素固定化剤、イソシアネ−ト組成物、
    少なくとも2つの活性水素を有する組成物、整泡剤、樹
    脂化反応触媒、および発泡剤を含む原料を混合して発泡
    成形することにより、少なくとも二酸化炭素を含む独立
    気泡を有する樹脂発泡体を形成する工程、および前記独
    立気泡中の二酸化炭素が、前記二酸化炭素固定化剤のエ
    ポキシドと反応して有機カ−ボネ−トを形成する工程を
    含むことを特徴とする断熱性樹脂発泡体の製造方法。
  12. 【請求項12】 発泡剤として水を含む請求項10また
    は11記載の断熱性樹脂発泡体の製造方法。
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