JP2538181B2 - 発泡断熱体およびその製造方法 - Google Patents

発泡断熱体およびその製造方法

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JP2538181B2
JP2538181B2 JP20624393A JP20624393A JP2538181B2 JP 2538181 B2 JP2538181 B2 JP 2538181B2 JP 20624393 A JP20624393 A JP 20624393A JP 20624393 A JP20624393 A JP 20624393A JP 2538181 B2 JP2538181 B2 JP 2538181B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、冷蔵庫、冷凍室等に用
いられる発泡断熱体とその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、冷蔵庫等、冷凍室に用いられる断
熱体は、ウレタンフォーム、スチレンフォームなどによ
る樹脂発泡体がおもに用いられてきた。これらは、独立
気泡体を構成しているものが多く、気泡を形成する発泡
剤として発泡適性が良く熱伝導率の低いフロンガスが用
いられ、優れた断熱体が構成されてきた。
【0003】また、ウレタン樹脂は現場発泡成形ができ
るため、広く用いられているが、このウレタン樹脂の原
料であるイソシアネートは水と反応して二酸化炭素を発
生して尿素結合を形成することから、水発泡ポリウレタ
ン樹脂としても構成され、例えば特開平2−20558
2公報に開示されているように同様に断熱材として用い
られている。
【0004】さらに、断熱性能の優れた断熱体として、
真空断熱体がある。これは、容器中を真空あるいは減圧
にすることによって熱伝導率をさらに低下させたもので
あって、きわめて高い断熱性を有する。この真空断熱体
の構造および材料として、金属・プラスチックスラミネ
ートフィルムやプラスチック多層フィルムなどのガスバ
リヤー性の高い容器中に、パーライト、シリカ等の無機
系微粒状断熱粉体やウレタンフォーム、ハニカムなどを
吸着剤とともにコア材として入れ真空封止した多くの特
許が開示されている。その一例として、特開昭57−1
33870や特開平2−772293に開示されている
ような硬質フェノールウレタンフォームをコアとし、金
属・プラスチックスラミネートフィルムを容器とする真
空断熱体の構成がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、熱伝導率の低
いフロンを用いた発泡断熱体は、オゾン層破壊や地球温
暖化などの環境破壊問題によってその使用が規制されて
おり、代替フロン発泡剤の検討が進められている。
【0006】さらに、真空断熱体は断熱性は優れている
が定まった形状をしており、ウレタンの現場発泡断熱体
のように様々な形状の箱体中に任意に注入できるという
簡便なものではなく、真空断熱体を箱体に張り付けると
いう工程が必要であるという課題があった。
【0007】また、この真空断熱体と箱体との隙間を詰
めるため、ウレタン発泡を併用しなければならないとい
う問題点もあった。
【0008】また、ガスバリヤー性の容器が伸縮しない
ため、複雑な形状の真空断熱体がうまく成形できないと
いう問題点もあった。
【0009】そこで、本発明は、新規な構成の発泡断熱
体を提供することを第1の目的としている。さらに、第
2の目的は、この発泡断熱体の新規な製造方法を提供す
ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的を達成す
るために、本発明の発泡断熱体は、二酸化炭素を含む気
体によって気泡が形成されてなる発泡樹脂組成物であっ
て、のこ二酸化炭素をエポキシド化合物との反応によっ
て固定化した有機カーボネートを含む構成である。この
有機カーボネートが、エポキシド化合物と二酸化炭素の
交互共重合成分であるのが適している。
【0011】その発泡樹脂組成物は、尿素結合含有の発
泡ウレタン樹脂組成物から構成されるのが好ましい。
【0012】また、発泡樹脂組成物が、二酸化炭素固定
化触媒を含むことで有機カーボネートの生成反応が促進
され、その触媒が、亜鉛、コバルト、アルミニウム、あ
るいは錫のいずれかの金属化合物であるのが適してい
る。
【0013】さらに、二酸化炭素固定化触媒が亜鉛化合
物よりなり、有機亜鉛化合物と2価以上の活性水素を有
する化合物との混合物、金属酸化物に担持した有機亜鉛
化合物、亜鉛酢酸塩、水酸化亜鉛と脂肪族ジカルボン酸
の反応混合物、および金属酸化物に担持した亜鉛ハロゲ
ン化物の群より選ばれた1種よりなる重合触媒であるこ
とが好ましく、有機亜鉛化合物はジアルキル亜鉛が優れ
た触媒効果を示す。
【0014】また、エポキシド化合物としては、エポキ
シ基を1個もしくは2個含む化合物、あるいはオキセタ
ン誘導体の何れかが好ましい。
【0015】また、第2の目的を達成するために、ポリ
オールと、水と、エポキシド化合物と、二酸化炭素固定
触媒と、イソシアネートを混合する混合工程と、発泡
反応させて発泡ウレタン樹脂組成物を形成させる発泡工
程とを含み、この発泡工程で発生した二酸化炭素とエポ
キシド化合物とが二酸化炭素固定化触媒によって有機
ーボネート成分を形成して、気泡を減圧真空化する製造
方法である。
【0016】エポキシド化合物は、二酸化炭素固定化
媒と予め混合しておくことで二酸化炭素との反応が良好
に進む。
【0017】また、この発泡ウレタン樹脂組成物は、
泡工程の発泡の一部が、沸点60℃以下のエポキシド化
合物の気化によっても容易に形成される。
【0018】
【作用】本発明は上記のような構成よりなり、発泡樹脂
組成物において、二酸化炭素をエポキシド化合物との交
互共重合反応によって樹脂化することに特徴的な作用が
ある。この重合反応は、二酸化炭素とエポキシド化合物
とが(化1)式に示すような交互共重合をしてポリカー
ボネートを生成するものであり、金属化合物からなる触
媒の存在下で室温で容易に反応する。
【0019】
【化1】
【0020】但し、R1、R 2、R3、R4は置換基であ
り、(化1)式ではエポキシド化合物は3員環エーテル
で記しているが、4員環以上でも同様な反応が進行す
る。
【0021】この反応によって、発泡樹脂組成物中にお
いて気泡中の二酸化炭素が交互共重合してポリカーボネ
ート樹脂となり、固体化する。
【0022】ポリオールとイソシアネートとを原料とす
るウレタン樹脂では、水を発泡剤として用いた際に、水
が(化2)式のように原料であるイソシアネートと反応
し、尿素結合を有するウレタン樹脂を形成し、同時に二
酸化炭素を生成して発泡に寄与する。
【0023】
【化2】
【0024】(化2)に示したこの二酸化炭素は、上記
(化1)のようにエポキシド化合物と反応して交互共重
合組成物を形成する。
【0025】このようにして、発泡樹脂組成物中の二酸
化炭素が反応するため、気泡中の二酸化炭素がなくなり
減圧真空化される。
【0026】エポキシド化合物は発泡樹脂組成物の形成
の際に、重合触媒と共に原料に混合しておくことができ
る。特に、沸点が60℃程度以下の化合物の場合には、
ポリオールとイソシアネートとの反応熱によって常圧で
気化するため、発泡剤としての働きを示し、続いて二酸
化炭素と反応するために気泡中から減少して気泡が減圧
真空化される。
【0027】
【実施例】本発明の断熱体は、図1に示すように容器1
中に、発泡樹脂組成物2と、二酸化炭素とエポキシド化
合物とが交互共重合した組成物3とによって構成されて
おり、重合触媒も含まれてなる。
【0028】容器1内は、発泡成形時には二酸化炭素ガ
スが発泡体を形成し、その気泡中は二酸化炭素ガスで満
たされているが、その後原料に含まれていたエポキシド
化合物との反応によって交互共重合樹脂組成物3を形成
し、気泡内は減圧真空化される。
【0029】そのため、ここで用いる発泡樹脂組成物2
は、減圧真空化によって大きく変形しない硬質の発泡材
料である必要がある。このような発泡樹脂組成物として
は、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン
などが好ましいが、水を発泡剤として二酸化炭素を発生
する尿素結合を有する発泡ウレタン樹脂が最も適してい
る。
【0030】また、容器1中に発泡樹脂組成物2と共
に、その硬化剤を含有させる構成もある。このような硬
化剤は、発泡樹脂組成物2を架橋し、硬度や熱変形性を
高める作用をする。用いる硬化剤としては、アルデヒ
ド、エポキシ、イソシアネート、またはクロルシランな
どの架橋官能基を有する化合物がある。これらは架橋反
応してメチレン結合、エポキシ結合、ウレタン結合、尿
素結合、アロファネート結合、ビュレット結合、酸アミ
ド結合などを形成するが、反応時に反応生成ガスを発生
する場合は化学吸着剤を加えて反応生成ガスを吸着し真
空度を低下させないことが必要である。
【0031】本発明は適切な形状の密封可能な金属層含
有剛体容器中で直接、加熱発泡成形して真空断熱体を形
成することができる。それ故、本発明の発泡断熱体は電
気冷蔵庫用の断熱箱体に用いるのが適しており、金属性
外箱と硬質樹脂性内箱を組み合せて構成された注入口を
有する密閉性の冷蔵庫用箱体中に充填すれば、きわめて
優れた断熱性の電気冷蔵庫を構成できる。
【0032】本発明の発泡断熱体は、次のような製造方
法で作製することができる。すなわち、ポリオールと、
水と、エポキシド化合物と、重合触媒と、イソシアネー
トを混合して、発泡反応させて発泡ウレタン樹脂組成物
を形成する。
【0033】この反応で発生した二酸化炭素とエポキシ
ド化合物とが、重合触媒によって交互共重合樹脂組成物
を形成することで、二酸化炭素を樹脂化し、気泡中を減
圧真空化する製造方法である。
【0034】発泡剤として水、または水とエポキシド化
合物が適しているが、他の発泡剤と混合して構成されて
もよい。この他の発泡剤としては、トリクロロフルオロ
メタン(フロン11)、1,1−ジクロロ−1−フルオ
ロエタン(フロン141b)、1,1,1,2−テトラ
フルオロエタン(フロン134a)などのフロン化合
物、ペンタン、ブタンなどの炭化水素化合物等が適して
いる。
【0035】本発明のエポキシド化合物としては、エポ
キシ基を1個、もしくは2個含む化合物、あるいはオキ
セタン誘導体であることが好ましい。
【0036】エポキシ基を1個有するエポキシド化合物
のうち、沸点が約60℃以下の場合は、発泡剤としての
働きもする。このような化合物としては、例えばエチレ
ンオキシド(11℃)、プロピレンオキシド(34
℃)、1,2-エポキシブタン(63℃)、シス2,3-エポキ
シブタン(60℃)、トランス2,3-エポキシブタン(5
4℃)、ブタジエンモノオキサイド(65℃)などがあ
る。ただし、()内は化合物の沸点である。
【0037】その他のエポキシ基を1個有するエポキシ
ド化合物としては、例えばエポキシヘキサン、エポキシ
オクタン、エポキシデカン、エポキシドデカン、エポキ
シヘキサデカン、エポキシオクタデカンなどのアルキレ
ンオキシド化合物が適している。
【0038】さらに、エポキシヘキセン、エポキシオク
テンなどのエポキシ基と2重結合不飽和基を有する化合
物や、グリシジルメチルエーテル、グリシジルイソプロ
ピルエーテル、グリシジルアクリレート、フェニルグリ
シジルエーテルなどのグリシジル基を有する化合物、エ
ポキシプロピルベンゼン、スチレンオキシドなどの芳香
族エポキシド化合物なども利用することができる。
【0039】また、エポキシ基を2個有するジエポキシ
ブタン、ジエポキシオクタンなどの化合物や、各種エポ
キシ基を両末端に有するオリゴマーなど、さらにオキセ
タン(沸点50℃)やその誘導体の利用もできる。
【0040】これらエポキシド化合物は、一部ポリオー
ルと反応することがあるため発泡樹脂組成物と結合して
構成されることもある。
【0041】二酸化炭素とエポキシド化合物との交互重
合を行う共重合触媒としては、亜鉛、コバルト、アルミ
ニウム、あるいは錫などの金属化合物が適している。
【0042】特に、亜鉛化合物よりなり、有機亜鉛化合
物と2価以上の活性水素を有する化合物との混合物、金
属酸化物担持の有機亜鉛化合物、亜鉛酢酸塩、水酸化亜
鉛と脂肪族ジカルボン酸の反応混合物、または金属酸化
物担持した亜鉛ハロゲン化物などが重合触媒として適し
ている。
【0043】有機亜鉛化合物としては、ジエチル亜鉛な
どのジアルキル亜鉛、2価以上の活性水素を有する化合
物としては水や、第1級アミン、2価アルコール、芳香
族ジカルボン酸、芳香族ヒドロキシカルボン酸などが適
している。
【0044】亜鉛化合物を担持する金属酸化物として、
酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化チタンなどが用
いられ、さらに酸化マグネシウムなどの金属水酸化物も
用いることができる。
【0045】二酸化炭素とエポキシド化合物との共重合
反応は、原料を全て混合して発泡樹脂化しても生じる
が、具体的にはエポキシド化合物と共重合触媒とを予め
混合しておくことによって触媒活性が高くなり、高い収
率で共重合が進行するので好ましい。
【0046】また、発泡樹脂を形成した後に、ポリカー
ボネート形成反応が起こる方が好ましいため、エポキシ
ド化合物をマイクロカプセルに入れ、それを反応熱で熱
膨張・破裂させてポリカーボネートを遅れて形成させる
ことも可能である。
【0047】さらに、発泡樹脂組成物の形成時には添加
剤として、整泡剤、酸化防止剤、難燃化剤、ウレタン反
応触媒などを加えることができるが、発泡成形後に減圧
下で揮発しないように選択して用いる必要がある。
【0048】本発明の発泡断熱体は、従来の真空断熱体
のようにコアを詰めた後に脱気して真空化するものでは
なく、コア材自身が容器内で発泡構造体を形成した後真
空化作用を有するものであるため、断熱体形状として種
々の真空断熱体が容易に得られる。この特徴を利用する
と、容器を適切な形状の金型中にセットし、加熱によっ
て発泡成形して発泡構造体を形成し、真空断熱体にする
ことができる。
【0049】本発明に用いる二酸化炭素は、上記のよう
なウレタン原料のイソシアネートの水発泡反応によって
生成されるものに限られず、一般の発泡成形用発泡剤と
して二酸化炭素を用いてもよい。その二酸化炭素として
は、液化二酸化炭素や超臨界流体状態の二酸化炭素を本
発明に用いても同様に発泡成形することができる。
【0050】(実施例1) OH価500mgKOH/gのポリエーテルポリオール
100部、シリコーン系整泡剤3部、アミン系触媒3部
の混合液に、発泡剤として水15部、さらにエポキシ
ド化合物のプロピレンオキシド20部と、重合触媒のジ
エチル亜鉛/水(1/0.9)0.8部との混合調製液
を混合した。
【0051】次にこの混合液に、アミン当量170のポ
リイソシアネート180部を混合した後、容器中に注入
し、発泡反応させて独立気泡の尿素結合含有の発泡ウレ
タン樹脂組成物を得た。
【0052】この発泡反応では、水とポリイソシアネー
トとが反応して尿素結合を形成する際の二酸化炭素ガス
の発生と、ポリオールとポリイソシアネートとのウレタ
ン結合形成時の反応熱によってプロピレンオキシドが気
化することとによって発泡が生じ、独立気泡のウレタン
樹脂組成物が形成される。
【0053】発生した気泡中の二酸化炭素は、重合触媒
によってプロピレンオキシドと反応して交互共重合ポリ
カーボネート成分を生成し、気泡中が次第に減圧真空化
された発泡断熱体を得られた。
【0054】容器を密閉後、得られた断熱体の断熱特性
として平均温度24℃の熱伝導率を測定したところ、
0.010W/(m・K)の優れた断熱性能を示し、そ
の断熱性能の変化を一ヶ月にわたって測定したところ、
その断熱性能は時間とともに減衰せず、むしろ向上する
傾向を示した。
【0055】比較のために、同じポリオール、整泡剤、
触媒、ポリイソシアネートを用い、発泡剤としてフロン
11を用いて作製した発泡ウレタン断熱体では、平均2
4℃の熱伝導率が0.014W/(m・K)であり、本
発明の発泡断熱体の方が約1.4倍の断熱性能を有して
いた。
【0056】(実施例2) 実施例1と同じポリエーテルポリオール100部、シリ
コーン系整泡剤3部、アミン系触媒3部、発泡剤の水
5部のポリオール混合液を調製した。さらに、エポ
キシド化合物のドデカンオキシド30部と、重合触媒と
してジエチル亜鉛を多孔質シリカに担持した固体触媒1
部との混合化合物を、ポリオール混合液に混合した。
【0057】次にこの混合液に、実施例1と同じポリイ
ソシアネート180部を混合した後、ガスバリア性ラミ
ネートフィルムからなる容器中に注入し、発泡反応させ
て独立気泡の尿素結合含有の発泡ウレタン樹脂組成物を
得た。
【0058】この発泡反応では、水とイソシアネートと
の反応によって発生する二酸化炭素ガスで発泡を生じ、
独立気泡のウレタン樹脂組成物が形成される。
【0059】発生した気泡中の二酸化炭素は、重合触媒
によってドデカンオキシドと反応して交互共重合ポリカ
ーボネート成分を生成し、気泡中が次第に減圧真空化さ
れた発泡断熱体を得られる。
【0060】容器を密閉後、得られた断熱体の断熱特性
として平均温度24℃の熱伝導率を測定したところ、
0.009W/(m・K)の優れた断熱性能を示した。
【0061】(実施例3)エポキシド化合物としてオキ
セタンと、共重合触媒としてトリブチル錫系触媒とのペ
ンタン溶液を用いた他は、実施例1と同様に独立気泡の
ウレタン樹脂組成物を得た。
【0062】発生した気泡中の二酸化炭素はポリカーボ
ネート成分を生成し、気泡中が次第に減圧されたペンタ
ンが残った発泡断熱体が得られた。
【0063】容器を密閉後、得られた断熱体の断熱特性
として平均温度24℃の熱伝導率を測定したところ、
0.018W/(m・K)の優れた断熱性能を示した。
この断熱性能の変化は一ヶ月にわたって測定したとこ
ろ、時間とともに減衰せず、むしろ向上した。
【0064】(実施例4)実施例1と同様のウレタン原
料を、金属性外箱と硬質樹脂性内箱を組み合せて構成さ
れた注入口を有する密閉性の冷蔵庫用箱体中に混合・注
入して、独立気泡の尿素結合含有の発泡ウレタン樹脂組
成物を断熱材とする電気冷蔵庫用真空断熱箱体を得た。
【0065】得られた真空断熱箱体の断熱特性を測定し
たところ、フロンR11を発泡剤としてものに比べて、
約1.3倍の優れた断熱性能を示した。
【0066】(実施例5)液状ポリオール、整泡剤、酸
化防止剤、難燃化剤、アミン系触媒とを混合して混合液
を調製した。次にこの混合液にエポキシド化合物として
ジエポキシオクタン、重合触媒としては塩化アルミニウ
ムを酸化アルミニウムに担持したものを混合した。
【0067】続いて、ポリイソシアネートと共に容器中
に混合・注入し、発泡反応させて微細な独立気泡を有す
る発泡ウレタン樹脂組成物を得た。
【0068】この時発生した気泡中の二酸化炭素は、ジ
エポキシオクタンと反応して脂肪族ポリカーボネートを
生成し、気泡は次第に減圧真空化され優れた発泡断熱体
が得られた。
【0069】この発泡断熱体は、エポキシド化合物が硬
化剤の働きを示し、発泡ウレタン樹脂を架橋して優れた
機械強度を持つ断熱体を形成した。断熱体の断熱性能と
しては、エポキシド化合物を混合しない水発泡ウレタン
樹脂に比べて、約3倍の優れた断熱性能を示した。
【0070】
【発明の効果】以上のように本発明の発泡断熱体は、発
泡樹脂組成物が二酸化炭素とエポキシド化合物とが交互
共重合した成分を含むため、二酸化炭素ガスの樹脂化に
よって、気泡中が減圧真空化されてなる真空発泡断熱体
を構成する。
【0071】本発明の発泡断熱体の製造方法としては、
エポキシド化合物と、重合触媒とを混合して形成するこ
とによって、発泡時に発生した二酸化炭素ガスを重合化
させて、気泡内が減圧真空化された発泡断熱体を得るこ
とができる。
【0072】本発明の発泡断熱体は、二酸化炭素の共重
合反応によって気泡内が減圧されやがて真空化でき、従
来のような減圧真空化工程なしで真空断熱体を形成でき
るため、従来のようにコア材を必ずしも連通フォームに
する必要はなく、独立気泡の断熱性の高い発泡体を真空
断熱体とすることができる効果がある。
【0073】さらに、任意の形状の容器中で直接発泡成
形するため、自由な形状の真空断熱体を、従来のウレタ
ンの現場発泡とほぼ同様に形成できるなどの特長があ
り、本発明は工業的価値の大なるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の発泡断熱体の構成の一例を示す図
【符号の説明】
1 容器 2 発泡樹脂組成物 3 二酸化炭素とエポキシド化合物の交互共重合成分

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】二酸化炭素を含む気体によって気泡が形成
    されてなる発泡樹脂組成物であって、前記二酸化炭素を
    エポキシド化合物との反応によって固定化した有機カー
    ボネートを含むことを特徴とする発泡断熱体。
  2. 【請求項2】有機カーボネートが、エポキシド化合物と
    二酸化炭素との交互共重合成分である請求項1記載の発
    泡断熱体。
  3. 【請求項3】発泡樹脂組成物が、尿素結合含有の発泡ウ
    レタン樹脂組成物である請求項1記載の発泡断熱体。
  4. 【請求項4】発泡樹脂組成物が、二酸化炭素固定化触媒
    を含む請求項1記載の発泡断熱体。
  5. 【請求項5】二酸化炭素固定化触媒が、亜鉛、コバル
    ト、アルミニウム、あるいは錫のいずれかの金属化合物
    である請求項4記載の発泡断熱体。
  6. 【請求項6】二酸化炭素固定化触媒が、亜鉛化合物より
    なり、有機亜鉛化合物と2価以上の活性水素を有する化
    合物との混合物、金属酸物に担持した有機亜鉛化合
    物、亜鉛酢酸塩、水酸化亜鉛と脂肪族ジカルボン酸の反
    応混合物、および金属酸化物に担持した亜鉛ハロゲン化
    物の群より選ばれた1種よりなる重合触媒である、請求
    項5記載の発泡断熱体。
  7. 【請求項7】有機亜鉛化合物が、ジアルキル亜鉛である
    請求項6記載の発泡断熱体。
  8. 【請求項8】エポキシド化合物が、エポキシ基を1個も
    しくは2個有する化合物、あるいはオキセタン誘導体の
    何れかである請求項1記載の発泡断熱体。
  9. 【請求項9】ポリオールと、水と、エポキシド化合物
    と、二酸化炭素固定化触媒と、イソシアネートを混合す
    る混合工程と、発泡反応させて発泡ウレタン樹脂組成物
    を形成させる発泡工程とを含み、前記発泡工程によって
    発生した二酸化炭素と前記エポキシド化合物とが、前記
    二酸化炭素固定化触媒によって有機カーボネート成分を
    形成して、気泡を減圧真空化させることを特徴とする
    泡断熱体の製造方法。
  10. 【請求項10】エポキシド化合物と二酸化炭素固定化触
    媒とを、予め混合しておくことを特徴とする請求項9
    載の発泡断熱の製造方法。
  11. 【請求項11】発泡工程の発泡の一部が、沸点60℃以
    下のエポキシド化合物の気化によることを特徴とする請
    求項9記載の発泡断熱体の製造方法。
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