JP3115201B2 - 発泡断熱体およびその製造方法 - Google Patents

発泡断熱体およびその製造方法

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JP3115201B2 JP07025155A JP2515595A JP3115201B2 JP 3115201 B2 JP3115201 B2 JP 3115201B2 JP 07025155 A JP07025155 A JP 07025155A JP 2515595 A JP2515595 A JP 2515595A JP 3115201 B2 JP3115201 B2 JP 3115201B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、冷蔵庫、冷凍室等に用
いられる発泡断熱体とその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、冷蔵庫、冷凍室等に用いられる断
熱体は、ウレタンフォーム、スチレンフォームなどによ
る樹脂発泡体が主であった。これらは、独立気泡体を構
成しているものが多く、気泡を形成する発泡剤として、
発泡適性が良く熱伝導率の低いフロンガスが用いられ、
優れた断熱体が構成されてきた。また、ウレタン樹脂は
現場発泡成形ができるため、広く用いられている。この
ウレタン樹脂の原料であるイソシアネートは、水と反応
して二酸化炭素を発生して尿素結合を形成することか
ら、水発泡ポリウレタン樹脂としても構成され、同様に
断熱材として用いられている(例えば特開平2−205
582号公報)。
【0003】さらに、断熱性能のよい断熱体として、真
空断熱体がある。これは、容器中を真空あるいは減圧に
することによって熱伝導率をさらに低下させたものであ
って、きわめて高い断熱性を有する。この真空断熱体の
構造および材料として、金属・プラスチックスラミネー
トフィルムや、プラスチック多層フィルムなどのガスバ
リヤー性の高い容器中にパーライト、シリカ等の無機系
微粒状断熱粉体や、ウレタンフォーム、ハニカム構造体
などを吸着剤とともにコア材として入れ真空封止した多
くの提案が開示されている。その一例として、硬質フェ
ノールウレタンフォームをコアとし、金属・プラスチッ
クスラミネートフィルムを容器とする真空断熱体の構成
がある(特開昭57−133870号公報や特開平2−
772293号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】真空断熱体は、断熱性
は優れているけれども定まった形状をしている。そのた
め、ウレタンの現場発泡による断熱体のように様々な形
状の箱体中に任意に注入できるという簡便なものではな
く、真空断熱体を箱体に張り付けるという工程が必要で
あった。また、この真空断熱体と箱体との隙間を詰める
ために、ウレタン発泡を併用しなければならないという
問題点もあった。さらに、ガスバリヤー性の容器が伸縮
しないため、複雑な形状の真空断熱体がうまく成形でき
ないという問題点もあった。
【0005】本発明は、以上に鑑み、自由な形状に形成
できる断熱性の高い独立気泡の発泡断熱体を提供するこ
とを目的としている。本発明はまた、従来のような減圧
真空化工程なしで、独立気泡の発泡体を真空断熱体とす
る製造方法を提供することを目的とする。さらに、本発
明は、独立気泡の真空度が低下せず、長期間高い断熱性
を維持できる断熱体を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の発泡断熱体は、
アミノ基を含有する樹脂組成物よりなる独立気泡発泡体
から構成され、その独立気泡壁面に、金属ハロゲン化物
および燐酸金属塩よりなる群から選択される一種と前記
独立気泡中の二酸化炭素を吸収して固体化した炭酸金属
塩とを含むものである。ここで、アミノ基は、リシン残
基であることが最も好ましい。また、アミノ基を含有す
る樹脂組成物は、尿素結合を含有する水発泡硬質ウレタ
ン樹脂組成物が最も好ましい。さらに、炭酸金属塩は、
熱安定性金属塩であり、この熱安定性金属塩は、カルシ
ウム塩であることが好ましい。
【0007】本発明の発泡断熱体の製造方法は、金属酸
化物および金属水酸化物よりなる群から選択される金属
化合物と、水と、アンモニウムハライドまたは燐酸アン
モニウム構造成分を有するポリオール組成物と、ポリイ
ソシアネートとの混合物を容器中において発泡反応させ
てアンモニウムハライド分岐構造を有する尿素結合含有
の水発泡硬質ウレタン樹脂組成物を生成させるととも
に、前記アンモニウムハライド分岐を前記金属化合物と
反応させて金属ハロゲン化物または燐酸金属塩とアミノ
基とを生成させ、前記ウレタン樹脂組成物の生成によっ
て発生した独立気泡中の二酸化炭素を前記アミノ基に反
応吸着させ、前記金属化合物の金属イオンと反応させて
炭酸金属塩を生成させ、前記二酸化炭素を固体化させる
ものである。ここで、ポリオール組成物は、アンモニウ
ムハライド構造の分岐を有する、ジオールあるいはジア
ミンを含有するものが好ましい。
【0008】また、本発明の断熱発泡体の製造方法は、
金属酸化物および金属水酸化物よりなる群から選択され
る金属化合物と、水と、水酸化第四アンモニウム構造成
分を有するポリオール組成物と、ポリイソシアネートと
の混合物を容器中において発泡反応させて水酸化第四ア
ンモニウム分岐構造を有する尿素結合含有の水発泡硬質
ウレタン樹脂組成物を生成させるとともに、前記水酸化
第四アンモニウム分岐を前記発泡反応時に熱分解反応さ
せてアミノ基と水を生成させ、前記ウレタン樹脂組成物
の生成によって発生した独立気泡中の二酸化炭素を、前
記水の存在下で前記アミノ基に反応吸着させ、前記金属
化合物の金属イオンと反応させて炭酸金属塩を生成さ
せ、前記二酸化炭素を固体化させるものである。上記の
いずれの方法においても、金属化合物は、親水性の修飾
表面を有する微粒子としてポリオール組成物中にコロイ
ド分散させて用いるのが望ましい。親水性の修飾表面を
有する微粒子としては、アミノ基、アンモニウムハライ
ド基および燐酸アンモニウム基よりなる群から選択され
た基を含む微粒子であることが好ましい。また、本発明
の方法は、アミノ基を有する尿素結合含有の水発泡硬質
ウレタン樹脂組成物を、金属製外箱と硬質樹脂製内箱を
組み合わせて構成された注入口を有する密閉性の冷蔵庫
用箱体中に充填するのに好適である。
【0009】
【作用】本発明は上記のような構成よりなり、二酸化炭
素を固体化する作用を有するアミノ基含有樹脂組成物に
特徴的な作用がある。二酸化炭素を固体化する作用と
は、二酸化炭素を吸収して固体化合物に化学変化させる
作用をいう。その代表的な例は、金属イオンと二酸化炭
素による金属炭酸塩形成反応であるが、これに適する金
属塩としては、熱安定性の高い金属化合物であるのが好
ましく、アルカリ土類金属を含む塩が適している。中で
も、カルシウム塩、バリウム塩あるいはマグネシウム塩
が適している。これらは反応して炭酸金属塩や炭酸水素
金属塩を形成する。金属イオンの中で最も適したカルシ
ウムイオンを用いてその反応を式(1)〜(4)に示
す。
【0010】
【化1】
【0011】本発明は、アミノ基含有樹脂組成物の独立
気泡発泡体を用いることによって、二酸化炭素を吸収・
固体化する作用を高めたところに特徴がある。即ち、ア
ミノ基を有する媒質中で、独立気泡中の二酸化炭素を吸
収・固体化させることにより、式(1)〜(4)のよう
に、二酸化炭素を吸収して炭酸金属塩や炭酸水素金属塩
に固体化させる反応を効率的に行わせることができる。
このアミノ基は親水性の官能基であり、水を吸着すると
第四アンモニウムイオンにもなり、二酸化炭素の吸収効
率が高まり固定化反応の反応速度を高める作用がある。
この作用は、丁度生体系で貝類が自らの貝殻等の鉱物質
を合成しているバイオミネラリゼーション機構に類似し
ている。生体系では、アミノ基であるタンパク質のリシ
ン残基を高濃度に有する(生体膜)媒質中で、海水から
取り込んだ二酸化炭素をまず式(5)のように炭酸アン
モニムとして吸収し、これを式(6)のようにカルシウ
ムイオンによって炭酸カルシウムに変え固体化してい
る。このバイオミネラリゼーションの機構は、有機質で
構成された媒質空間中でカルシウムイオンや炭酸イオン
を効率的に濃縮して炭酸カルシウム鉱物質を形成してい
くもので、本発明は、これと同様の作用によって二酸化
炭素の固体化を効率的に行うものである。
【0012】
【化2】
【0013】また、アミノ基は、ウレタン生成反応時に
イソシアネートと反応するため、原料中のアミノ基は式
(7)のようにアンモニウムハライドまたは燐酸アンモ
ニウムにして活性を低下させるのが好ましい。こうした
構造のポリオール組成物を原料に用いることにより、ア
ンモニウムハライド分岐構造を有する尿素結合含有の水
発泡ウレタン樹脂組成物を作ることができる。この後、
二酸化炭素の固体化と同様にこのハロゲンアニオンは金
属イオン、例えば水酸化カルシウムのCa2+と反応して
式(8)のように金属ハライド、例えば塩化カルシウム
とアミノ基を生成する。ハロゲンの代りに燐酸イオンを
用いて金属燐酸塩としても同様の作用が得られる。式
(7)、(8)中Xは、ハロゲン原子を表す。
【0014】
【化3】
【0015】一方、上記の第二の製造方法の水酸化第四
アンモニウム分岐構造を有する尿素結合含有の水発泡硬
質ウレタン樹脂組成物では、水酸化第四アンモニウム構
造成分を有しているが、これ自身はウレタン反応に大き
く寄与をする官能基ではない。水酸化第四アンモニウム
分岐は、発泡反応時に熱分解反応してアミノ基と水が生
成する。発生した独立気泡中の二酸化炭素を、前記水の
存在下で前記アミノ基に反応吸着させ、前記金属化合物
の金属イオンと反応させて炭酸金属塩を生成させ、前記
二酸化炭素を固体化させる作用をする。この水酸化第四
アンモニウム構造は、125℃以上に加熱されるとホフ
マン脱離反応によって第三級アミンとアルケンと水とに
分解される。第三級アミンはウレタン反応触媒としての
作用があり、生成した水は二酸化炭素の固定化反応を促
進させる作用をする。
【0016】金属酸化物は、式(2)のように、水分に
よって金属水酸化物に変わりやすく、金属水酸化物は、
式(3)のように二酸化炭素と反応して炭酸金属塩を形
成し水を生成する。こうして式(3)、(6)、(8)
のように発生した水は、二酸化炭素の固定化反応を促進
させるとともに、次の式(9)のようにウレタン樹脂の
原料であるイソシアネートと反応して尿素結合を有する
ウレタン樹脂を形成し、同時に二酸化炭素を生成して発
泡に寄与する。この二酸化炭素は、上記のように金属酸
化物あるいは金属水酸化物と反応して固体化して炭酸金
属塩や炭酸水素金属塩を形成する。このようにして、樹
脂発泡体中の二酸化炭素は固体化され、独立気泡中の二
酸化炭素がなくなるため減圧真空化される。
【0017】
【化4】
【0018】用いる金属化合物を、親水性の修飾表面を
有する微粒子としてポリオール組成物中にコロイド分散
してなる構成は、ポリオール組成物中の金属化合物を安
定して分散させ、原料の保存や製造時の安定性が高いう
えに、優れたポリウレタンフォームを形成するポリオー
ル組成物が得られる。また、微粒子は表面積が大きいう
え、その表面のアミノ基、アンモニウムハライド基およ
び燐酸アンモニウム基よりなる群から選択された基が効
果的に二酸化炭素を取り込むため、この微粒子は優れた
二酸化炭素固定能を発揮する。また、微粒子は発泡剤中
に均一にかつ安定に分散しているため、気泡の孔径がよ
り均一にかつ微細化されたポリウレタン発泡体を形成
し、固体中の熱伝導も抑えられた優れた断熱発泡体が得
られる。
【0019】
【実施例】次に、本発明の実施例をさらに詳しく説明す
る。本発明の断熱体は、アミノ基を含有する樹脂組成物
よりなる独立気泡発泡体から構成され、その独立気泡壁
面に、金属ハロゲン化物または燐酸金属塩と前記独立気
泡中の二酸化炭素を吸収して固体化した炭酸金属塩とを
含むものである。発泡成形時には、二酸化炭素ガスが発
泡体を形成し、その独立気泡は二酸化炭素ガスで満たさ
れているが、そののち上記の式(1)〜(6)に示す反
応によって固体炭酸金属塩を形成し、独立気泡内は減
圧、真空化される。アミノ基を有する化合物としては、
種々のアミノ化合物があり、何れも用いることができる
が、ポリペプチドのリシン残基構造(ー(CH2)3CH2
NH2)は本発明に適した構造である。本発明に用いる
アミノ基含有樹脂組成物は、減圧、真空化によって大き
く変形しない硬質の発泡材料であることが望ましい。こ
のような樹脂組成物としては、ポリウレタン、ポリスチ
レン、ポリ塩化ビニリデンなどが好ましいが、上記で説
明したように、尿素結合を有する水発泡硬質ウレタン樹
脂が最も適している。また、前記アミノ基含有樹脂組成
物とともに、それの硬化剤を含有させる構成もある。こ
の硬化剤は、発泡樹脂組成物を架橋し、硬度や熱変形性
を高める作用をする。用いる硬化剤としては、アルデヒ
ド、エポキシ、イソシアネート、およびクロルシランな
どの架橋官能基を有する化合物がある。これらは架橋反
応してメチレン結合、エポキシ結合、ウレタン結合、尿
素結合、アロファネート結合、ビュレット結合、酸アミ
ド結合などを形成する。反応時に反応生成ガスを発生す
る場合は、化学吸着剤を加えて反応生成ガスを吸着し、
真空度を低下させないことが好ましい。本発明は、適切
な形状の密封可能な金属層含有剛体容器中で直接、加熱
発泡成形して真空断熱体を形成することができる。それ
故、本発明の発泡断熱体は、電気冷蔵庫用の断熱箱体に
用いるのが適しており、金属製外箱と硬質樹脂製内箱を
組み合わせて構成された注入口を有する密閉性の冷蔵庫
用箱体中に充填すれば、きわめて優れた断熱性の電気冷
蔵庫を構成できる。
【0020】本発明の断熱体を製造するには、次のよう
な二つの方法がある。第一は、金属酸化物および金属水
酸化物よりなる群から選択される一種と、水と、アンモ
ニウムハライド構造成分を有するポリオール組成物およ
び燐酸アンモニウム構造成分を有するポリオール組成物
よりなる群から選択されるポリオール組成物と、ポリイ
ソシアネートとを混合して、容器中に注入し発泡反応さ
せてアンモニウムハライド分岐構造を有する尿素結合含
有の水発泡硬質ウレタン樹脂組成物を生成させるととも
に、前記アンモニウムハライド分岐を前記金属酸化物あ
るいは金属水酸化物と反応させて金属ハロゲン化物また
は燐酸金属塩とアミノ基を生成させ、上記ウレタン樹脂
組成物の生成によって発生した独立気泡中の二酸化炭素
を前記アミノ基に反応吸着させ、前記金属酸化物あるい
は前記金属水酸化物の金属イオンと反応させて炭酸金属
塩を生成させ、前記二酸化炭素を固体化させる発泡断熱
体の製造方法である。アンモニウムハライドまたは燐酸
アンモニウム構造成分を有するポリオール組成物とは、
アンモニウムハライドまたは燐酸アンモニウムの分岐構
造を有するポリオールや、有機アンモニウムハライドま
たは燐酸アンモニウムとポリオールとの組成物をいう。
特に、これらアンモニウム塩分岐構造を有するポリオー
ルを、骨格に第三級トリアルキルアミン構造をもつジオ
ールとし、そのアルキル基の二つに水酸基が置換し、残
りの一つにリシン残基のようにアンモニウムハライド構
造が置換したジオキシアルキル第三級アミンは、反応触
媒作用も有し効率的な樹脂形成が可能になる。このよう
な補助添加剤は、架橋剤、連鎖伸長剤としても作用す
る。具体的な原料液の調製方法として、熱溶融性被膜で
被覆された金属酸化物を、あらかじめ水、アンモニウム
ハライドまたは燐酸アンモニウム構造成分を有するポリ
オール組成物、あるいは水・アンモニウムハライド構造
成分を有するポリオール混合液のいずれかに分散した分
散液を用いたりするのが好ましい。これに添加剤とし
て、整泡剤、酸化防止剤、難燃化剤、ウレタン反応触媒
などを加えることができるが、発泡成形後に減圧下で揮
発しないように選択して用いる必要がある。また、上記
のように水発泡樹脂の場合には、二酸化炭素ガスは水に
良く溶解するため高圧炭酸水として用意し、発泡剤とし
て用いることも可能である。
【0021】また、第二の製造方法は、金属酸化物およ
び金属水酸化物よりなる群から選択される金属化合物
と、水と、水酸化第四アンモニウム構造成分を有するポ
リオール組成物と、ポリイソシアネートとの混合物を容
器中において発泡反応させて水酸化第四アンモニウム分
岐構造を有する尿素結合含有の水発泡硬質ウレタン樹脂
組成物を生成させるとともに、前記水酸化第四アンモニ
ウム分岐を前記発泡反応時に熱分解反応させてアミノ基
と水を生成させ、前記ウレタン樹脂組成物の生成によっ
て発生した独立気泡中の二酸化炭素を、前記水の存在下
で前記アミノ基に反応吸着させ、前記金属化合物の金属
イオンと反応させて炭酸金属塩を生成させ、前記二酸化
炭素を固体化させる方法である。これに用いる水酸化第
四アンモニウム構造成分としては、ポリマ分岐の末端を
第四アンモニウムヒドロキシドとした構造が一般的で、
塩であるためイオン性を有する。具体的には、第四級テ
トラアルキルアンモニウム塩で、例えばベンジルNージ
メチルプロピルアンモニウムヒドロキシドなどが適して
いる。用いる上記金属化合物を、親水性の修飾表面を有
する微粒子としてポリオール組成物中にコロイド分散し
てなる構成では、微粒子は平均粒径が0.1μm以下の
微粒子であれば、分散が安定であるうえ単位重量当たり
の粒子数が多くなるので、発泡核としても作用し、より
気泡の微細化が促進されるという効果が生じる。
【0022】本発明は、従来の真空断熱体のようにコア
を詰めた後に脱気して真空化するものではなく、コア材
自身が容器内で発泡構造体を形成した後真空化作用を有
するものであるため、真空断熱体の形状として種々の形
状の真空断熱体が容易に得られる。この特徴を利用する
と、容器を適切な形状の金型中にセットし、加熱によっ
て発泡成形して発泡構造体を形成し真空断熱体にするが
できる。また、本発明の原料に熱伝導率の低い、すなわ
ち断熱性の高い汎用の揮発性発泡剤、例えばフロン、炭
化水素などを併用することによって、ウレタンフォオー
ムの気泡中に断熱性を低下させる二酸化炭素を含まない
優れた断熱発泡体を作ることもできる。本発明に用いる
二酸化炭素は、上記のようなウレタン原料のイソシアネ
ートの水発泡反応によって生成されるものに限られな
い。種々のカルボン酸とイソシアネートの反応によって
もアミド結合を形成して二酸化炭素を放出するので、そ
のような二酸化炭素を用いてもよい。また、一般の発泡
成形用発泡剤として二酸化炭素を用いてもよい。その二
酸化炭素としては、液化二酸化炭素や超臨界流体状態の
二酸化炭素を用いても同様に発泡成形することが可能で
ある。
【0023】[実施例1]水酸化カルシウムを水中に分
散した石灰乳と、整泡剤、酸化防止剤、難燃化剤、触媒
とを混合した塩化アンモニウム分岐構造成分を有するポ
リオール組成物と、ポリイソシアネートとを、容器中に
混合・注入し、発泡反応させて独立気泡の塩化アンモニ
ウム分岐構造を有する尿素結合含有の水発泡硬質ウレタ
ン樹脂組成物を得た。水酸化カルシウムは、次第に塩化
アンモニウム構造と式(8)のように反応して塩化カル
シウム固体とアミノ基を生成した。また、発生した独立
気泡中の二酸化炭素は、アミノ基の存在下で高効率に式
(6)のように水酸化カルシウムと反応して炭酸カルシ
ウムを生成した。こうして、独立気泡は次第に減圧真空
化され、優れた難燃性発泡断熱体が得られた。容器を密
閉後、得られた断熱体の断熱特性を測定したところ、水
酸化カルシウムを用いない水発泡硬質ウレタン樹脂に比
べて、約2.3倍の優れた断熱性を示した。また、その
断熱性の変化を1カ月にわたって測定したところ、その
断熱性は時間とともに減衰せず、むしろ向上する傾向を
示した。
【0024】[実施例2]接着性ポリエステルでマイク
ロカプセル化した酸化カルシウム粒子をあらかじめ塩化
アンモニウム構造成分を有するポリオール組成物、整泡
剤、酸化防止剤、触媒と混合して混合液を調製した。次
に、この混合液とポリイソシアネートとを容器中に混合
・注入し、発泡反応させて独立気泡の尿素結合含有の水
発泡硬質ウレタン樹脂組成物を得た。この時発生した独
立気泡中の二酸化炭素は、アミノ基の存在下で高効率に
酸化カルシウムと反応して炭酸カルシウムおよび炭酸水
素カルシウムを生成し、独立気泡は次第に減圧真空化さ
れ優れた発泡断熱体が得られた。容器を密閉後、得られ
た断熱体の断熱特性を測定したところ、フロンR11を
発泡剤としてものに比べて、約2.1倍の優れた断熱性
を示した。
【0025】[実施例3]水と熱溶融性樹脂でマイクロ
カプセル化した水酸化マグネシウム粒子、臭化アンモニ
ウム構造成分を有するポリオール組成物、整泡剤、酸化
防止剤、難燃化剤、およびアミン系触媒を分散・溶解し
て混合液を調製した。次に、この混合液と反応等量以上
のポリイソシアネートとを容器中に混合・注入し、発泡
反応させて独立気泡の尿素結合含有の難燃性水発泡硬質
ウレタン樹脂組成物を得た。この時発生した独立気泡中
の二酸化炭素は、上記水酸化マグネシウムと上記臭化ア
ンモニウム構造成分との反応で生成したアミノ基の存在
下で、高効率に水酸化マグネシウムと反応して炭酸マグ
ネシウムを生成し、独立気泡は次第に減圧真空化され優
れた難燃性発泡断熱体が得られた。容器を密閉後、得ら
れた断熱体の断熱特性を測定したところ、フロンR11
を発泡剤としてものに比べて、約1.9倍の優れた断熱
性を示した。また、その断熱性の変化を1カ月にわたっ
て測定したところ、その断熱性は時間とともに減衰せ
ず、むしろ向上する傾向を示した。
【0026】[実施例4]水酸化カルシウムを水中に分
散した石灰乳と、整泡剤、酸化防止剤、難燃化剤、触媒
とを混合した水酸化第四アンモニウム分岐構造成分を有
するポリオール組成物と、ポリイソシアネートとを、容
器中に混合・注入し、発泡反応させて独立気泡の水酸化
第四アンモニウム分岐構造を有する尿素結合含有の水発
泡硬質ウレタン樹脂組成物を得た。水酸化第四アンモニ
ウム構造は、ウレタン発泡反応時に次第に熱分解してア
ミノ基と水を生成した。また、発生した独立気泡中の二
酸化炭素は、アミノ基と水の存在下で高効率に水酸化カ
ルシウムと反応して炭酸カルシウムを生成した。こうし
て、独立気泡は次第に減圧真空化され、優れた難燃性発
泡断熱体が得られた。容器を密閉後、得られた断熱体の
断熱特性を測定したところ、水酸化カルシウムを用いな
い水発泡硬質ウレタン樹脂に比べて、約2.5倍の優れ
た断熱性を示した。また、その断熱性の変化を1カ月に
わたって測定したところ、その断熱性は時間とともに減
衰せず、むしろ向上する傾向を示した。
【0027】[実施例5]ポリアリルアミン塩酸塩によ
り表面修飾された水酸化カルシウム微粒子1重量部(以
下、単に部という。)を水10部中に分散することで、
ポリアリルアミン塩酸塩により表面修飾された微粒子に
より表面修飾された微粒子のコロイド水溶液を調製し
た。このコロイド水溶液11.5部と、芳香族系アミン
系ポリエーテルポリオール(水酸基価500mgKOH
/g)100部、整泡剤3部および触媒3部を混合した
ところ、発泡剤の水はポリオール中に溶解し、微粒子が
コロイド状に分散したポリオール組成物が得られた。こ
のポリオール組成物117.5部とイソシアネート13
8部とを混合して実施例1と同様に発泡を行わせポリウ
レタン発泡体を得た。この発泡体の断面を走査型電子顕
微鏡により観察し、平均気泡径を評価した結果、実施例
1のものに比べて気泡径がより微細で均一な気泡が形成
されていた。発泡体の熱伝導率を測定した結果、コロイ
ド微粒子でない製造方法により得たもの比べて熱伝導率
の低減が確認され、ポリウレタン発泡体の断熱性能の向
上が確認された。また、ガスクロマトグラフによりポリ
ウレタン発泡体の気泡内のガス分析を行ったところ、い
ずれも二酸化炭素はほとんど検出されなかった。
【0028】[実施例6]実施例1と同様のウレタン原
料を、金属製外箱と硬質樹脂製内箱を組み合わせて構成
された注入口を有する密閉性の冷蔵庫用箱体中に混合・
注入して、独立気泡の尿素結合含有の水発泡硬質ウレタ
ン樹脂組成物を断熱材とする電気冷蔵庫用真空断熱箱体
を得た。得られた真空断熱箱体の断熱特性を測定したと
ころ、フロンR11を発泡剤として得たものに比べて、
約1.5倍の優れた断熱性を示した。
【0029】
【発明の効果】本発明は、以上に説明したように構成さ
れているので、次のような効果が得られる。発泡剤であ
る二酸化炭素を固体化するため、独立気泡内が減圧さ
れ、真空化できる。従って、従来のような減圧真空化工
程なしで真空断熱体を形成できるため、従来のようにコ
ア材を必ずしも連通フォームにする必要はなく、独立気
泡の断熱性の高い発泡体を真空断熱体とすることができ
る。また、任意の形状の容器中で直接発泡成形すること
ができるから、自由な形状の真空断熱体を、従来のウレ
タンの現場発泡とほぼ同様に形成できる。さらに、二酸
化炭素の固体化作用が常に高効率に作用するため、長期
間ゲッターのように働き、真空度が低下しない。また、
独立気泡の硬質ウレタン樹脂発泡体では、たとえ容器に
ピンホールが開いても、独立気泡中の真空度低下の影響
は少なく、高い断熱性を維持できる。さらに、金属ハラ
イドや金属炭酸塩を含むため、難燃性発泡体にすること
ができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08G 101:00) C08L 75:04 (72)発明者 稲垣 文拓 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 上野 貴由 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平7−173314(JP,A) 特開 平7−53769(JP,A) 特開 昭57−49628(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F25D 23/08 C08G 18/09 C08J 9/02 CFF F16L 59/06

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アミノ基を含有する樹脂組成物よりなる
    独立気泡発泡体から構成され、その独立気泡壁面に、金
    属ハロゲン化物および燐酸金属塩よりなる群から選択さ
    れる一種と前記独立気泡中の二酸化炭素を吸収して固体
    化した炭酸金属塩とを含むことを特徴とする発泡断熱
    体。
  2. 【請求項2】 アミノ基が、リシン残基である請求項1
    記載の発泡断熱体。
  3. 【請求項3】 アミノ基を含有する樹脂組成物が、尿素
    結合を含有する水発泡硬質ウレタン樹脂組成物である請
    求項1記載の発泡断熱体。
  4. 【請求項4】 炭酸金属塩が、カルシウム塩である請求
    項1記載の発泡断熱体。
  5. 【請求項5】 金属酸化物および金属水酸化物よりなる
    群から選択される金属化合物と、水と、アンモニウムハ
    ライド構造成分を有するポリオール組成物および燐酸ア
    ンモニウム構造成分を有するポリオール組成物よりなる
    群から選択されるポリオール組成物と、ポリイソシアネ
    ートとの混合物を容器中において発泡反応させてアンモ
    ニウムハライド分岐構造を有する尿素結合含有の水発泡
    硬質ウレタン樹脂組成物を生成させるとともに、前記ア
    ンモニウムハライド分岐を前記金属化合物と反応させて
    金属ハロゲン化物または燐酸金属塩とアミノ基を生成さ
    せ、前記ウレタン樹脂組成物の生成によって発生した独
    立気泡中の二酸化炭素を前記アミノ基に反応吸着させ、
    前記金属化合物の金属イオンと反応させて炭酸金属塩を
    生成させ、前記二酸化炭素を固体化させることを特徴と
    する発泡断熱体の製造方法。
  6. 【請求項6】 ポリオール組成物が、アンモニウムハラ
    イド構造の分岐を有する、ジオールあるいはジアミンを
    含有してなる請求項5記載の発泡断熱体の製造方法。
  7. 【請求項7】 金属酸化物および金属水酸化物よりなる
    群から選択される金属化合物と、水と、水酸化第四アン
    モニウム構造成分を有するポリオール組成物と、ポリイ
    ソシアネートとの混合物を容器中において発泡反応させ
    て水酸化第四アンモニウム分岐構造を有する尿素結合含
    有の水発泡硬質ウレタン樹脂組成物を生成させるととも
    に、前記水酸化第四アンモニウム分岐を前記発泡反応時
    に熱分解反応させてアミノ基と水を生成させ、前記ウレ
    タン樹脂組成物の生成によって発生した独立気泡中の二
    酸化炭素を、前記水の存在下で前記アミノ基に反応吸着
    させ、前記金属化合物の金属イオンと反応させて炭酸金
    属塩を生成させ、前記二酸化炭素を固体化させることを
    特徴とする発泡断熱体の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記金属化合物が、親水性の修飾表面を
    有する微粒子として前記ポリオール組成物中にコロイド
    分散している請求項5または7に記載の発泡断熱体の製
    造方法。
  9. 【請求項9】 親水性の修飾表面を有する微粒子が、ア
    ミノ基、アンモニウムハライド基および燐酸アンモニウ
    ム基よりなる群から選択された基を含む微粒子である請
    求項8に記載の発泡断熱体の製造方法。
  10. 【請求項10】 アミノ基を有する尿素結合含有の水発
    泡硬質ウレタン樹脂組成物が、金属製外箱と硬質樹脂製
    内箱を組み合わせて構成された注入口を有する密閉性の
    冷蔵庫用箱体中に充填される請求項5または7に記載の
    発泡断熱体の製造方法。
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