JP2000109593A - 断熱壁と断熱壁の製造方法 - Google Patents

断熱壁と断熱壁の製造方法

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JP2000109593A
JP2000109593A JP28367298A JP28367298A JP2000109593A JP 2000109593 A JP2000109593 A JP 2000109593A JP 28367298 A JP28367298 A JP 28367298A JP 28367298 A JP28367298 A JP 28367298A JP 2000109593 A JP2000109593 A JP 2000109593A
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carbon dioxide
heat insulating
hydroxide
water
wall
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JP28367298A
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English (en)
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Akiko Yuasa
明子 湯淺
Hideo Nakamoto
英夫 中元
Yoshiyuki Tsuda
善之 津田
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Refrigeration Co
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、アルカリ金属の水酸化物またはア
ルカリ土金属の水酸化物と、有機または無機化合物の少
なくとも一種からなる吸水性物質を、ウレタン反応系に
悪影響を及ぼさない様に、壁部材の内壁に貼付し、ウレ
タンフォーム中の炭酸ガス、及び、さらに炭酸ガスの吸
着反応の副反応により発生する水を除去したものであ
り、かつ効果が迅速に発現するようウレタンフォームの
一部を連続気泡化し、優れた断熱性能を有する断壁材、
及びその製造方法を提供することを目的とする。 【解決手段】 発泡断熱材6は、独立気泡7と、連続気
泡8と気泡壁9で構成され、独立気泡7と連続気泡8の
内部に揮発性発泡剤が充填され、壁部材の内壁にはアル
カリ金属またはアルカリ土金属の水酸化物と炭酸ガスが
反応して生成したアルカリ金属またはアルカリ土金属の
炭酸塩10と、水分を含有した吸水性物質11がそれぞ
れ貼付されていることを特徴とするものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷蔵庫,冷凍庫な
どに用いる断熱壁の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、省エネルギーの観点より発泡断熱
材の熱伝導率を低減し、断熱性を向上させるというニー
ズがあると同時に、クロロフルオロカーボン(以下CF
Cと称する)、更にはハイドロクロロフルオロカーボン
(以下HCFCと称する)によるオゾン層破壊、及び、
地球温暖化等の環境問題が注目されており、これらを解
決することが極めて重要なテーマとなっている。
【0003】このため、代表的な発泡断熱材である硬質
ウレタンフォームの製造にあたっては、CFC、及び、
HCFCの使用量削減を目的として、オゾン層破壊に対
する影響が全く無く、ハイドロフルオロカーボン(以下
HFC)、更に地球温暖化に対しても影響の少ないハイ
ドロカーボン(以下HCと称する)による発泡につい
て、種々取り組みが検討されている。
【0004】基本的に、硬質ウレタンフォームの断熱性
能を向上するには、フォーム気泡内ガス成分の気体熱伝
導率を低減することが重要であり、独立気泡内部のガス
成分の中から気体熱伝導率の大きい炭酸ガスを取り除
き、揮発性発泡剤で満たすことが効果的手段とされてき
た。
【0005】一方においては、揮発性発泡剤の使用量低
減、発泡剤と原料成分との相溶性の問題、及び、フォー
ム諸物性の改善等を目的に、水などの反応性発泡剤と有
機ポリイソシアネートとの反応により発生する炭酸ガス
を発泡剤成分として用いることが必要不可欠であった。
【0006】しかし、このような構成においては、気体
熱伝導率の大きい炭酸ガスが発泡断熱材の気泡内に残存
するため、発泡断熱材の断熱性能は悪いものとなる。こ
うした課題解決のアプローチとして例えば、特開平6−
322166号公報および特開平1−121675公報
で示されているように炭酸ガス吸着剤で炭酸ガス成分を
除去する方法が提案されている。
【0007】すなわち、炭酸ガス吸着性能に優れたアル
カリ金属の水酸化物等から成る吸着剤を原料中にあらか
じめ添加混合し、生成した炭酸ガスを吸着剤にて吸着除
去し、気泡内を発泡剤ガスで満たすことにより断熱性能
を向上させることが特徴となっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
6−322166号公報において用いられている構成で
は、アルカリ金属の水酸化物等から成る吸着剤は、炭酸
ガスを吸着する反応過程において次式に示すように水を
副反応物として生成する。
【0009】
【化1】
【0010】すなわち、発泡断熱材の独立気泡内部の炭
酸ガスは、アルカリ金属の水酸化物等から成る吸着剤に
よって吸着除去され、実質的に独立気泡内部は、熱伝導
率の低い揮発性発泡剤の比率を増加させることが可能と
なるが、同時に副反応物として生成した水が、一定の蒸
気圧に達するまで独立気泡内部に拡散する。これによっ
て、発泡断熱材の独立気泡内部のガス成分は、気体成分
として存在する水の気体熱伝導率が極めて大きいため、
十分な気体熱伝導率の低減効果が発揮できない場合が考
えられる。
【0011】さらに、特開平1−121675号公報に
おいて用いられている構成では、独立気泡部位での炭酸
ガスの拡散が非常に遅く、炭酸ガスが炭酸ガス吸着剤と
反応し、断熱性能の向上が効果を発現するまでにかなり
の時間がかかることが予想される。
【0012】従って、アルカリ金属の水酸化物などの炭
酸ガス吸着剤によって発泡断熱材の気泡内の炭酸ガスを
吸着除去すると共に、副反応として発生する水による熱
伝導率への影響がなく、炭酸ガスの吸着効果が迅速に現
れる優れた断熱性能を有する発泡断熱材を得ることが課
題であった。
【0013】本発明は、蒸気課題を鑑み、発泡断熱材の
気泡内の炭酸ガスを速やかに吸着除去し、さらに副反応
により発生した水を水分吸着剤によって吸着除去した優
れた断熱性能を有する断熱壁、及び、その製造方法を提
供することを目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の断熱壁は、第一
の壁部材と、第二の壁部材と、前記第一の壁部材、及
び、前記第二の壁部材によって形成される空間部に、一
部が連通気泡化した発泡ポリウレタン樹脂組成物が充填
され、第一または第二の壁部材の内壁にアルカリ金属ま
たはアルカリ土金属の炭酸塩と、水分を含有した有機ま
たは無機化合物の少なくとも一種からなる吸水性物質が
貼付されることを特徴とするものである。
【0015】また、アルカリ金属、または、アルカリ土
金属の少なくとも一種以上の炭酸塩が、炭酸リチウム、
炭酸バリウムの少なくとも一種以上からなることを特徴
とするものである。
【0016】また、吸水性物質が、アルカリ金属水酸化
物であることを特徴とするものである。
【0017】また、本発明の断熱壁は、第一の壁部材
と、第二の壁部材と、前記第一の壁部材、及び、前記第
二の壁部材によって形成される空間部に、一部が連通気
泡化した発泡ポリウレタン樹脂組成物が充填され、第一
または第二の壁部材の内壁にアルカリ金属の炭酸塩が貼
付されることを特徴とするものである。
【0018】また、アルカリ金属炭酸塩が、炭酸ナトリ
ウム,炭酸カリウム、及び、石灰ソーダ炭酸塩の少なく
とも一種以上からなることを特徴とするものである。
【0019】また、発泡ポリウレタン樹脂組成物の連通
率が40%以上であることを特徴とするものである。
【0020】本発明の断熱壁の製造方法は、ポリオー
ル,整泡剤,触媒,反応性発泡剤,揮発性発泡剤,気泡
連通化剤、及び、ポリイソシアネートを混合して、第一
または第二の壁部材の内壁にアルカリ金属、または、ア
ルカリ土金属の少なくとも一種以上の水酸化物と、有機
または無機化合物の少なくとも一種以上の吸水性物質と
を貼付した空間へ注入、発泡させ、気泡内部に水とポリ
イソシアネートとの反応により発生した炭酸ガス、及
び、揮発性発泡剤を含む独立気泡の一部が連通気泡化し
た発泡ポリウレタン樹脂組成物を形成する樹脂形成ステ
ップと、前記水酸化物が発泡ポリウレタン樹脂組成物の
気泡内の炭酸ガスを吸着して炭酸塩を形成し、前記気泡
内を実質的に揮発性発泡剤で満たす炭酸ガス除去ステッ
プと、前記水酸化物が発泡ポリウレタン樹脂組成物の独
立気泡内の炭酸ガスを吸着する時に発生する水分が、前
記吸水性物質に吸水される水分除去ステップとを有する
ものである。
【0021】また、アルカリ金属、または、アルカリ土
金属の少なくとも一種以上の水酸化物が、水酸化リチウ
ム,水酸化バリウムの少なくとも一種以上からなること
を特徴とするものである。
【0022】また、吸水性物質が、アルカリ金属水酸化
物であることを特徴とするものである。
【0023】本発明の断熱壁の製造方法は、ポリオー
ル,整泡剤,触媒,反応性発泡剤,揮発性発泡剤,気泡
連通化剤、及び、ポリイソシアネートを混合して、面材
の片面にアルカリ金属の少なくとも一種以上の水酸化物
を貼付した空間へ注入,発泡させ、気泡内部に水とポリ
イソシアネートとの反応により発生した炭酸ガス、及
び、揮発性発泡剤を含む独立気泡の一部が連通気泡化し
た発泡ポリウレタン樹脂組成物を形成する樹脂形成ステ
ップと、前記水酸化物が発泡ポリウレタン樹脂組成物の
気泡内の炭酸ガスを吸着して炭酸塩を形成し、前記気泡
内を実質的に揮発性発泡剤で満たす炭酸ガス除去ステッ
プと、前記水酸化物が発泡ポリウレタン樹脂組成物の独
立気泡内の炭酸ガスを吸着する時に発生する水分が、前
記水酸化物に吸水される水分除去ステップとを有するも
のである。
【0024】また、アルカリ金属水酸化物が、水酸化ナ
トリウム,水酸化カリウム、及び、石灰ソーダの少なく
とも一種以上からなることを特徴とするものである。
【0025】また、気泡連通化剤が融点150℃以下の
熱可塑性樹脂粉末であることを特徴とするものである。
【0026】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の断熱壁
は、第一の壁部材と、第二の壁部材と、前記第一の壁部
材、及び、前記第二の壁部材によって形成される空間部
に、一部が連通気泡化した発泡ポリウレタン樹脂組成物
が充填され、第一または第二の壁部材の内壁にアルカリ
金属またはアルカリ土金属の炭酸塩と、水分を含有した
有機または無機化合物の少なくとも一種からなる吸水性
物質が貼付されることを特徴とするものであり、断熱壁
の気泡内の炭酸ガスが吸着除去され、また炭酸ガス吸着
反応時に発生した水分が断熱性能に悪影響を及ぼさな
い、かつ一部が連通気泡であるため炭酸ガスの固定化に
要する時間が短縮された断熱性能に優れた断熱壁が得ら
れる。
【0027】上記構成によって、断熱壁が形成された後
の気泡内部に残存する炭酸ガスは、内壁に貼付されたア
ルカリ金属またはアルカリ土金属の水酸化物と迅速に反
応し、アルカリ金属またはアルカリ土金属の炭酸塩を形
成する。これによって、独立気泡内部に残存するガス成
分を実質的に揮発性発泡剤で満たすことが可能となる。
【0028】更に、水分吸着剤は、アルカリ金属または
アルカリ土金属の水酸化物と炭酸ガスの反応により、副
反応物として発生する水を吸着する。これによって、気
泡内部に残存するガス成分中の揮発性発泡剤比率を更に
増加させ、断熱壁の独立気泡内部の気体熱伝導率の改善
を可能とするものである。
【0029】また、気泡連通化のための気泡穴が微小で
あるため、連通化による断熱性能の悪化もない。
【0030】本発明の請求項2に記載の断熱壁は、炭酸
塩が、炭酸リチウム、炭酸化バリウムの少なくとも一種
以上の炭酸塩であることを特徴とするものであり、断熱
壁の気泡内の炭酸ガスが吸着除去され、また炭酸ガス吸
着反応時に発生した水分が断熱性能に悪影響を及ぼさな
い、かつ一部が連通気泡であるため炭酸ガスの固定化に
要する時間が短縮された断熱性能に優れた断熱壁が得ら
れる。
【0031】本発明の請求項3記載の断熱壁は、吸水性
物質が、アルカリ金属水酸化物であることを特徴とする
ものであり、断熱壁の気泡内の炭酸ガスが吸着除去さ
れ、また炭酸ガス吸着反応時に発生した水分が断熱性能
に悪影響を及ぼさない、かつ一部が連通気泡であるため
炭酸ガスの固定化に要する時間が短縮された断熱性能に
優れた断熱壁が得られる。
【0032】上記構成により、炭酸ガス吸着能力を有す
るアルカリ金属水酸化物が、炭酸ガス、及び、炭酸ガス
と水酸化物との反応の副生成物として発生する断熱性能
低下の因子である水分をも迅速に吸着除去するため、固
体物質の添加量の低減が可能となり、さらなる熱伝導率
の低減効果が得られる。
【0033】本発明の請求項4に記載の断熱壁は、第一
の壁部材と、第二の壁部材と、前記第一の壁部材、及
び、前記第二の壁部材によって形成される空間部に、一
部が連通気泡化した発泡ポリウレタン樹脂組成物が充填
され、第一または第二の壁部材の内壁にアルカリ金属の
炭酸塩が貼付されることを特徴とするものであり、断熱
壁の気泡内の炭酸ガスが吸着除去され、また炭酸ガス吸
着反応時に発生した水分が断熱性能に悪影響を及ぼさな
い、かつ一部が連通気泡であるため炭酸ガスの固定化に
要する時間が短縮された断熱性能に優れた断熱壁が得ら
れる。
【0034】上記構成によって、断熱壁が形成された後
の気泡内部に残存する炭酸ガスは、内壁に貼付されたア
ルカリ金属水酸化物と迅速に反応し、アルカリ金属炭酸
塩を形成する。これによって、独立気泡内部に残存する
ガス成分を実質的に揮発性発泡剤で満たすことが可能と
なる。
【0035】更に、アルカリ金属水酸化物は、アルカリ
金属水酸化物と炭酸ガスの反応により、副反応物として
発生する水を吸着する。これによって、気泡内部に残存
するガス成分中の揮発性発泡剤比率を更に増加させ、断
熱壁の独立気泡内部の気体熱伝導率の改善を可能とする
ものである。
【0036】本発明の請求項5に記載の断熱壁は、アル
カリ金属炭酸塩が、炭酸ナトリウム,炭酸カリウム、及
び、石灰ソーダ炭酸塩の少なくとも一種以上からなるこ
とを特徴とするものであり、断熱壁の気泡内の炭酸ガス
が吸着除去され、また炭酸ガス吸着反応時に発生した水
分が断熱性能に悪影響を及ぼさない、かつ一部が連通気
泡であるため炭酸ガスの固定化に要する時間が短縮され
た断熱性能に優れた断熱壁が得られる。
【0037】上記構成によって、水分吸着性の高い炭酸
ナトリウム,炭酸カリウム、及び、石灰ソーダ炭酸塩
は、自身と炭酸ガスとの副反応物として生成した水分を
迅速に吸着するため、樹脂熱伝導率の悪化が抑えられ、
かつ生成した水の独立気泡内部への拡散を防ぎ、断熱性
能に悪影響を及ぼさない。
【0038】本発明の請求項6に記載の断熱壁は、ポリ
ウレタン樹脂組成物の連通率が40%以上であることを
特徴とするものであり、断熱壁の気泡内の炭酸ガスが吸
着除去され、また炭酸ガス吸着反応時に発生した水分が
断熱性能に悪影響を及ぼさない、かつ一部が連通気泡で
あるため炭酸ガスの固定化に要する時間が短縮された断
熱性能に優れた断熱壁が得られる。
【0039】上記構成により、炭酸ガスのフォーム内拡
散がより速くなるため、断熱壁気泡内の炭酸ガスが迅速
に吸着除去され、また炭酸ガス吸着反応時に発生した水
分が断熱性能に悪影響を及ぼさない断熱性能に優れた断
熱壁が得られる。
【0040】本発明の請求項7に記載の断熱壁の製造方
法は、ポリオール,整泡剤,触媒,反応性発泡剤,揮発
性発泡剤,気泡連通化剤、及び、ポリイソシアネートを
混合して、第一または第二の壁部材の内壁にアルカリ金
属、または、アルカリ土金属の少なくとも一種以上の水
酸化物と、有機または無機化合物の少なくとも一種以上
の吸水性物質とを貼付した空間へ注入,発泡させ、気泡
内部に水とポリイソシアネートとの反応により発生した
炭酸ガス、及び、揮発性発泡剤を含む独立気泡の一部が
連通気泡化した発泡ポリウレタン樹脂組成物を形成する
樹脂形成ステップと、前記水酸化物が発泡ポリウレタン
樹脂組成物の気泡内の炭酸ガスを吸着して炭酸塩を形成
し、前記気泡内を実質的に揮発性発泡剤で満たす炭酸ガ
ス除去ステップと、前記水酸化物が発泡ポリウレタン樹
脂組成物の独立気泡内の炭酸ガスを吸着する時に発生す
る水分が、前記吸水性物質に吸水される水分除去ステッ
プとを有するものであり、断熱壁の気泡内の炭酸ガスが
迅速に吸着除去され、かつ炭酸ガス吸着反応時に発生し
た水分が断熱性能に悪影響を及ぼさない、かつ一部が連
通気泡であるため炭酸ガスの固定化に要する時間が短縮
された断熱性能に優れた断熱壁が得られる。
【0041】上記構成によって、アルカリ金属、また
は、アルカリ土金属の水酸化物および吸水性物質は、ウ
レタン原料とは隔離されているため、ウレタン原料中の
水を吸着することはなく、発泡効率を低下させることも
ない。また、ウレタン反応系への水酸化物の溶出による
pH上昇もないため、ゲルタイムを早期化するといった
弊害もなく、断熱壁の形成後、アルカリ金属水酸化物
は、断熱壁の気泡内の炭酸ガスを吸着除去することが可
能でなる。
【0042】本発明の請求項8に記載の断熱壁の製造方
法は、アルカリ金属、または、アルカリ土金属の少なく
とも一種以上の水酸化物が、水酸化リチウム、水酸化バ
リウムの少なくとも一種以上からなることを特徴とする
ものであり、断熱壁の気泡内の炭酸ガスが迅速に吸着除
去され、また炭酸ガス吸着反応時に発生した水分が断熱
性能に悪影響を及ぼさない、かつ一部が連通気泡である
ため炭酸ガスの固定化に要する時間が短縮された断熱性
能に優れた断熱壁が得られる。
【0043】本発明の請求項9に記載の断熱壁の製造方
法は、吸水性物質が、アルカリ金属水酸化物であること
を特徴とするものであり、断熱壁の気泡内の炭酸ガスが
迅速に吸着除去され、また炭酸ガス吸着反応時に発生し
た水分が断熱性能に悪影響を及ぼさない、かつ一部が連
通気泡であるため炭酸ガスの固定化に要する時間が短縮
された断熱性能に優れた断熱壁が得られる。
【0044】上記構成により、炭酸ガス吸着能力を有す
るアルカリ金属水酸化物が、炭酸ガス、及び、炭酸ガス
と水酸化物との反応の副生成物として発生する断熱性能
低下の因子である水分をも迅速に吸着除去するため、固
定物質の添加量の低減が可能となり、さらなる熱伝導率
の低減効果が得られる。
【0045】本発明の請求項10に記載の断熱壁の製造
方法は、ポリオール、整泡剤,触媒,反応性発泡剤,揮
発性発泡剤,気泡連通化剤、及び、ポリイソシアネート
を混合して、面材の片面にアルカリ金属の少なくとも一
種以上の水酸化物を貼付した空間へ注入,発泡させ、気
泡内部に水とポリイソシアネートとの反応により発生し
た炭酸ガス、及び、揮発性発泡剤を含む独立気泡の一部
が連通気泡化した発泡ポリウレタン樹脂組成物を形成す
る樹脂形成ステップと、前記水酸化物が発泡ポリウレタ
ン樹脂組成物の気泡内の炭酸ガスを吸着して炭酸塩を形
成し、前記気泡内を実質的に揮発性発泡剤で満たす炭酸
ガス除去ステップと、前記水酸化物が発泡ポリウレタン
樹脂組成物の独立気泡内の炭酸ガスを吸着する時に発生
する水分が、前記水酸化物に吸水される水分除去ステッ
プとを有するものであり、断熱壁の気泡内の炭酸ガスが
迅速に吸着除去され、かつ炭酸ガス吸着反応時に発生し
た水分が断熱性能に悪影響を及ぼさない、かつ一部が連
通気泡であるため炭酸ガスの固定化に要する時間が短縮
された断熱性能に優れた断熱壁が得られる。
【0046】上記構成によって、アルカリ金属水酸化物
は、ウレタン原料とは隔離されているため、ウレタン原
料中の水を吸着することはなく、発泡効率を低下させる
こともない。また、ウレタン反応系への水酸化物の溶出
によるpH上昇もないため、ゲルタイムを早期化スルト
いった弊害もなく、断熱壁の形成後、アルカリ金属水酸
化物は、断熱壁の気泡内の炭酸ガスを吸着除去すること
が可能となる。
【0047】本発明の請求項11に記載の断熱壁の製造
方法は、アルカリ金属水酸化物が、水酸化ナトリウム,
水酸化カリウム、及び、石灰ソーダの少なくとも一種以
上からなることを特徴とするものであり、断熱壁の気泡
内の炭酸ガスが迅速に吸着除去され、また炭酸ガス吸着
反応時に発生した水分が断熱性能に悪影響を及ぼさな
い、かつ一部が連通気泡であるため炭酸ガスの固定化に
要する時間が短縮された断熱性能に優れた断熱壁が得ら
れる。
【0048】上記構成によって、断熱壁の形成後、水酸
化ナトリウム,水酸化カリウム、及び、石灰ソーダは、
水酸化物と炭酸ガスとの副反応物として発生し、気泡中
に水蒸気として存在する水分を迅速に吸着除去するた
め、吸水性物質を添加する必要がなく、固体成分添加に
よる熱伝導率の悪化が抑えられ、かつ生成した水の独立
気泡内部への拡散を防ぎ、断熱性能に優れた断熱壁が得
られる。
【0049】本発明の請求項12に記載の断熱壁の製造
方法は、気泡連通化剤が融点150℃以下の熱可塑性樹
脂粉末であることを特徴とするものであり、断熱壁の気
泡内の炭酸ガスが迅速に吸着除去され、また炭酸ガス吸
着反応時に発生した水分が断熱性能に悪影響を及ぼさな
い、かつ一部が連通気泡であるため炭酸ガスの固定化に
要する時間が短縮された断熱性能に優れた断熱壁が得ら
れる。
【0050】上記構成により、気泡熱を利用した有効な
気泡連通化が可能となるため、断熱壁気泡内の炭酸ガス
が迅速に吸着除去され、また炭酸ガス吸着反応時に発生
した水分が断熱性能に悪影響を及ぼさない断熱性能に優
れた断熱壁が得られる。
【0051】また、気泡連通化のための気泡穴が微小で
あるため、連通化による断熱性能の悪化もない。
【0052】なお、本発明の炭酸塩としてはアルカリ金
属の炭酸塩と、アルカリ土金属の炭酸塩と、アルカリ金
属またはアルカリ土金属の炭酸塩の混合物のすべてを含
む。
【0053】以下実施の形態について図1から図3を用
いて説明する。図1は本発明の一実施例における断熱箱
体の断面図であり、図において、1は断熱箱体を示し、
ABS樹脂組成物の真空成形体である第一の壁部材2
と、鋼板を成形加工し、その表面に炭酸ガス吸着剤3お
よび水分吸着剤4が貼付された第二の壁部材5によって
形成される空間部に、一部が連通気泡化したポリウレタ
ン樹脂組成物からなる発泡断熱材6が充填埋設されてい
る。
【0054】(実施の形態1)実施の形態1における発
泡断熱材6を図2を用いて説明すると、独立気泡7と、
連通気泡8と気泡壁9で構成され、独立気泡7と連通気
泡8の内部に揮発性発泡剤が充填されている。また、壁
部材の内壁にはアルカリ金属またはアルカリ土金属の水
酸化物と炭酸ガスが反応して生成したアルカリ金属また
はアルカリ土金属の炭酸塩10と、水分を含有した吸水
性物質11がそれぞれ貼付されているものである。
【0055】(実施の形態2)実施の形態2における発
泡断熱材6を図3を用いて説明すると、独立気泡7と、
連通気泡8と気泡壁9で構成され、独立気泡7と連通気
泡8の内部に揮発性発泡剤が充填されている。また、壁
部材の内壁には、アルカリ金属水酸化物と炭酸ガスが反
応して生成したアルカリ金属炭酸塩12がそれぞれ貼付
されているものである。
【0056】本発明のアルカリ金属またはアルカリ土金
属の水酸化物としては、水酸化リチウム,水酸化カルシ
ウム,水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,水酸化バリ
ウム等、炭酸ガスを吸着し炭酸塩を生成するアルカリ金
属またはアルカリ土金属の水酸化物が利用できる。ま
た、水酸化ナトリウムなど潮解性を有するアルカリ金属
又はアルカリ土金属の水酸化物は、あらかじめ、樹脂被
膜にて被覆することが好ましい。
【0057】本発明の吸水性物質としては、シリカゲ
ル,ゼオライト,活性炭,活性アルミナ,塩化カルシウ
ム等のように水分を吸着除去し得る化合物であれば、同
様の効果が得られる。
【0058】本発明のアルカリ金属水酸化物としては、
水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,石灰ソーダ等、炭
酸ガスを吸着し炭酸塩を生成し、さらに、水分吸着能力
のあるものが利用できる。
【0059】本発明の反応性発泡剤としては、水,低級
カルボン酸などイソシアネートと反応して炭酸ガスを発
生する化合物であることが望ましい。
【0060】本発明の揮発性発泡剤は、樹脂組成物の主
要発泡剤として作用させるものであり、ポリオール組成
物との相溶性が良好な化合物で、かつ気体熱伝導率が小
さい化合物が望ましい。具体例としては、シクロペンタ
ン,n−ペンタン,イソペンタン、ネオペンタン,ブタ
ン,イソブタンなど炭化水素系化合物が地球環境保護の
観点から適しており、それらの中でも、気体熱伝導率の
低いシクロペンタンを適用する事がより望ましい。ま
た、同様にハイドロフルオロカーボン系の発泡剤である
HFC−356mmf、HFC−245faなどが適用
できる。
【0061】また、揮発性発泡剤を2種類以上混合して
適用しても何ら問題ない。次に、本発明の具体例を説明
する。
【0062】(実施例1)ポリオールは芳香族アミン系
ポリエーテルポリオールとエチレンジアミン系ポリエー
テルポリオールの混合物でトータル水酸基価460mg
KOH/g、整泡剤は信越化学(株)社製F−335、
触媒は花王(株)製カオライザーNo.1、反応性発泡
剤は純水、気泡連通化剤は融点105℃である住友精化
(株)製フローセンUF20、揮発性発泡剤はシクロペ
ンタンを使用し、各原料を所定の配合部数で混合し、プ
レミックス成分として構成した。
【0063】一方、イソシアネート成分は、アミン当量
135のポリメックMDIから成る有機ポリイソシアネ
ートである。
【0064】また、アルカリまたはアルカリ土類金属の
水酸化物には平均粒径300μmの東洋ケミカルズ製水
酸化リチウム(1水和物)試薬を、水分吸着剤には平均
粒子径200μmの富士シリシア化学製シリカゲルA型
を使用し、各成分の所定部数を貼付吸着剤とした。
【0065】上記プレミックス成分とイソシアネート成
分を高圧発泡機にて混合攪拌し、内壁に吸着剤を貼付し
た壁部材間へ注入、断熱壁を成型した。なお、キュアは
45℃にて5分とした。
【0066】(実施例2)アルカリ金属水酸化物には平
均粒径50μmの関東電化工業(株)製水酸化ナトリウ
ム試薬を、水分吸着剤には平均粒子径200μmの富士
シリシア化学製シリカゲルA型を使用し、各成分の所定
部数を貼付吸着剤とした。
【0067】プレミックス成分、及び、イソシアネート
成分は実施例1と同様のものを使用した。
【0068】上記プレミンクス成分とイソシアネート成
分を高圧発泡機にて混合攪拌し、内壁に吸着剤を貼付し
た壁部材間へ注入,断熱壁を成型した。なお、キュアは
45℃にて5分とした。
【0069】(実施例3)アルカリ金属水酸化物には平
均粒径300μmの東洋ケミカルズ製水酸化リチウム
(1水和物)試薬を、水分吸着剤には平均粒径50μm
の関東電化工業(株)製水酸化ナトリウム試薬を使用
し、各成分の所定部数を貼付吸着剤とした。
【0070】プレミックス成分、及び、イソシアネート
成分は実施例1と同様のものを使用した。
【0071】上記プレミックス成分とイソシアネート成
分を高圧発泡機にて混合攪拌し、内壁に吸着剤を貼付し
た壁部材間へ注入、断熱壁を成型した。なお、キュアは
45℃にて5分とした。
【0072】(実施例4)アルカリ金属水酸化物および
水分吸着剤として平均粒径50μmの関東電化工業
(株)製水酸化ナトリウム試薬を使用し、所定部数を貼
付吸着剤とした。
【0073】プレミックス成分、及び、イソシアネート
成分は実施例1と同様のものを使用した。
【0074】上記プレミックス成分とイソシアネート成
分を高圧発泡機にて混合攪拌し、内壁に吸着剤を貼付し
た壁部材間へ注入、断熱壁を成型した。なお、キュアは
45℃にて5分とした。
【0075】(実施例5)アルカリ金属水酸化物および
水分吸着剤として平均粒径50μmの関東電化工業
(株)製水酸化ナトリウム試薬を使用し、所定部数を貼
付吸着剤とした。
【0076】プレミックス成分、及び、イソシアネート
成分は実施例1と同様のものを使用した。
【0077】上記プレミックス成分とイソシアネート成
分を高圧発泡機にて混合攪拌し、内壁に吸着剤を貼付し
た壁部材間へ注入、断熱壁を成型した。なお、キュアは
45℃にて5分とした。
【0078】(比較例1)アルカリ金属水酸化物には平
均粒径300μmの東洋ケミカルズ製水酸化リチウム
(1水和物)試薬を使用し、所定部数を貼付吸着剤とし
た。なお、水分吸着剤は貼付しなかった。
【0079】プレミックス成分、及び、イソシアネート
成分は実施例1と同様のものを使用した。なお、気泡連
通化剤は添加しなかった。
【0080】上記プレミックス成分とイソシアネート成
分を高圧発泡機にて混合攪拌し、内壁に吸着剤を貼付し
た壁部材間へ注入、断熱壁を成型した。なお、キュアは
45℃にて5分とした。
【0081】(比較例2)アルカリ金属水酸化物には平
均粒径300μmの東洋ケミカルズ製水酸化リチウム
(1水和物)試薬を、水分吸着剤には平均粒子径200
μmの富士シリシア化学製シリカゲルA型を使用し、各
成分の所定部数を貼付吸着剤とした。プレミックス成
分、及び、イソシアネート成分は実施例1と同様のもの
を使用した。なお、気泡連通化剤は添加しなかった。
【0082】上記プレミックス成分とイソシアネート成
分を高圧発泡機にて混合攪拌し、内壁に吸着剤を貼付し
た壁部材間へ注入、断熱壁を成型した。なお、キュアは
45℃にて5分とした。
【0083】(比較例3)アルカリ金属水酸化物には平
均粒径300μmの東洋ケミカルズ製水酸化リチウム
(1水和物)試薬を使用し、所定部数を貼付吸着剤とし
た。なお、水分吸着剤は貼付しなかった。
【0084】プレミックス成分、及び、イソシアネート
成分は実施例1と同様のものを使用した。
【0085】上記プレミックス成分とイソシアネート成
分を高圧発泡機にて混合攪拌し、内壁に吸着剤を貼付し
た壁部材間へ注入、断熱壁を成型した。なお、キュアは
45℃にて5分とした。
【0086】(比較例4)アルカリ金属水酸化物および
水分吸着剤には平均粒径50μmの関東電化工業(株)
製水酸化ナトリウム試薬を使用し、所定部数を貼付吸着
剤とした。
【0087】プレミックス成分、及び、イソシアネート
成分は実施例1と同様のものを使用した。
【0088】上記プレミックス成分とイソシアネート成
分を高圧発泡機にて混合攪拌し、内壁に吸着剤を貼付し
た壁部材間へ注入、断熱壁を成型した。なお、キュアは
45℃にて5分とした。
【0089】(比較例5)アルカリ金属水酸化物および
水分吸着剤には平均粒径50μmの関東電化工業(株)
製水酸化ナトリウム試薬を使用し、所定部数を貼付吸着
剤とした。
【0090】プレミックス成分中の気泡連通化剤は、融
点176℃のポリプロピレン粉末を用い、その他のプレ
ミックス成分、及び、イソシアネート成分は実施例1と
同様のものを使用した。
【0091】上記プレミックス成分とイソシアネート成
分を高圧発泡機にて混合攪拌し、内壁に吸着剤を貼付し
た壁部材間へ注入、断熱壁を成型した。なお、キュアは
45℃にて5分とした。
【0092】以上の実施例1から実施例5,比較例1か
ら比較例5の断熱壁を解体し、フォームサンプルの初期
密度と、発泡1日後、及び、7日後,14日後のフォー
ム熱伝導率、及び、気泡内ガス組成と、フォーム膨れ量
を測定した。
【0093】なお、熱伝導率は、断熱壁から20×20
×2.5cmサイズのフォームを切り出し、英弘精機
(株)社製AUTO−Λにて測定した。また、気泡内ガ
ス組成は、(株)島津製作所社製ガスクロマトグラフィ
ーにて測定した。
【0094】(表1)に実施例1、及び、実施例2,実
施例3,実施例4,実施例5について配合部数と評価結
果について示す。
【0095】(表2)に比較例1、及び、比較例2,比
較例3,比較例4,比較例5について配合部数と評価結
果について示す。
【0096】
【表1】
【0097】
【表2】
【0098】このように本発明における実施例1では、
炭酸ガスと反応する水酸化物として水酸化リチウムを、
水酸化リチウムと炭酸ガスとの反応の副生成物として生
成する水分を吸着する水分吸着剤としてシリカゲルを用
い、壁部材の内壁に貼付することにより、水酸化リチウ
ムとシリカゲルは、ウレタン原料とは隔離された状態を
維持することができ、ウレタン原料中の水を吸着するこ
とはなく、発泡効率を低下させることもない。
【0099】また、断熱壁の形成後には、水酸化リチウ
ムは炭酸ガスを、シリカゲルは水酸化リチウムと炭酸ガ
スとの副反応物として発生した水蒸気を、それぞれ吸着
除去するため、断熱性能に優れた断熱壁の製造が可能で
あることが判った。
【0100】また、気泡連通化剤の添加により70%が
連通気泡化されているため、断熱壁の形成後、水酸化リ
チウムは気泡内の炭酸ガスを、シリカゲルは水分を迅速
に吸着除去することが可能となる。
【0101】このように本発明における実施例2では、
炭酸ガスと反応する水酸化物として水酸化ナトリウムを
用いたために、貼付吸着剤の必要量が低減した。
【0102】また、水酸化ナトリウムとシリカゲルは、
壁部材の内壁に貼付することにより、ウレタン原料とは
隔離された状態を維持することができ、ウレタン原料中
の水を吸着することはなく、発泡効率を低下させること
もない。
【0103】また、断熱壁の形成後には、水酸化ナトリ
ウムは炭酸ガスを、シリカゲルは水酸化ナトリウムと炭
酸ガスとの副反応物として発生した水蒸気を、それぞれ
吸着除去するため、断熱性能に優れた断熱壁の製造が可
能であることが判った。
【0104】また、気泡連通化剤の添加により70%が
連通気泡化されているため、断熱壁の形成後、水酸化ナ
トリウムは気泡内の炭酸ガスを、シリカゲルは水分を迅
速に吸着除去することが可能となる。
【0105】このように本発明における実施例3では、
炭酸ガスと反応する水酸化物として水酸化リチウムを、
水酸化リチウムと炭酸ガスとの反応の副生成物として生
成する水分を吸着する水分吸着剤として水酸化ナトリウ
ムを用いたために、さらに貼付吸着剤の必要量が低減し
た。
【0106】また、水酸化リチウムと水酸化ナトリウム
は、壁部材の内壁に貼付することにより、ウレタン原料
とは隔離された状態を維持することができ、ウレタン原
料中の水を吸着することはなく、発泡効率を低下させる
こともない。
【0107】また、断熱壁の形成後には、水酸化リチウ
ムは炭酸ガスを、水酸化ナトリウムは、炭酸ガスおよび
水酸化リチウムと炭酸ガスとの副反応物として発生した
水蒸気を、それぞれ吸着除去するため、断熱性能に優れ
た断熱壁の製造が可能であることが判った。
【0108】また、気泡連通化剤の添加により70%が
連通気泡化されているため、断熱壁の形成後、水酸化リ
チウムは気泡内の炭酸ガスを、水酸化ナトリウムは炭酸
ガスおよび水分を迅速に吸着除去することが可能とな
る。
【0109】このように本発明における実施例4では、
炭酸ガスと反応する水酸化物および水酸化ナトリウムと
炭酸ガスとの反応の副生成物として生成する水分を吸着
する水分吸着剤として水酸化ナトリウムを用いたため、
さらに貼付吸着剤の必要量が低減した。
【0110】また、水酸化ナトリウムは、壁部材の内壁
に貼付することにより、ウレタン原料とは隔離された状
態を維持することができ、ウレタン原料中の水を吸着す
ることはなく、発泡効率を低下させることもない。
【0111】また、断熱壁の形成後には、水酸化ナトリ
ウムは、炭酸ガスおよび水酸化ナトリウムと炭酸ガスと
の副反応物として発生した水蒸気を、それぞれ吸着除去
するため、断熱性能に優れた断熱壁の製造が可能である
ことが判った。
【0112】また、気泡連通化剤の添加により70%が
連通気泡化されているため、断熱壁の形成後、水酸化ナ
トリウムは炭酸ガスおよび水分を迅速に吸着除去するこ
とが可能となる。
【0113】このように本発明における実施例5では、
気泡連通化剤の添加により50%が連通気泡化されてい
るため、断熱壁の形成後、水酸化ナトリウムは炭酸ガス
および水分を迅速に吸着除去することが可能となり、1
4日経過後では連通率70%と同等の熱伝導率となって
いる。
【0114】また、炭酸ガスと反応する水酸化物および
水酸化ナトリウムと炭酸ガスとの反応の副生成物として
生成する水分を吸着する水分吸着剤として水酸化ナトリ
ウムを用いたために、貼付吸着剤の必要量が実施例4と
同等となっている。
【0115】また、水酸化ナトリウムは、壁部材の内壁
に貼付することにより、ウレタン原料とは隔離された状
態を維持することができ、ウレタン原料中の水を吸着す
ることはなく、発泡効率を低下させることもない。
【0116】また、断熱壁の形成後には、水酸化ナトリ
ウムは、炭酸ガスおよび水酸化ナトリウムと炭酸ガスと
の副反応物として発生した水蒸気を、それぞれ吸着除去
するため、断熱性能に優れた断熱壁の製造が可能である
ことが判った。
【0117】比較例1では、炭酸ガスの低減および熱伝
導率の低減効果が得られなかった。これは、気泡連通化
剤を添加しなかったために連通率が低く、気泡内の炭酸
ガスが吸着を行う水酸化リチウムまで一部しか到達して
いないためであると考えられる。
【0118】また、水分吸着剤を貼付していないため
に、炭酸ガスの吸着効果が炭酸ガスと水酸化リチウムと
の反応によって生じる水分が気泡内に拡散したことによ
る悪化に打ち消されているためである。
【0119】比較例2では、炭酸ガスの低減および熱伝
導率の低減効果が得られなかった。これは、気泡連通化
剤を添加しなかったために連通率が低く、気泡内の炭酸
ガスが吸着を行う水酸化リチウムまで一部しか到達して
いないためであると考えられる。
【0120】比較例3では、炭酸ガスが吸着除去されて
いるにも関わらず、熱伝導率の低減効果が得られなかっ
た。これは、水分吸着剤を貼付していないために、炭酸
ガスの吸着効果が炭酸ガスと水酸化リチウムとの反応に
よって生じる水分が気泡内に拡散したことによる悪化に
打ち消されているためである。
【0121】比較例4では、炭酸ガスの低減および熱伝
導率の低減効果が得られなかった。これは、連通率が4
0%に満たないためである。
【0122】比較例5では、炭酸ガスの低減および熱伝
導率の低減効果が得られなかった。これは、融点が15
0℃以上の熱可塑性樹脂粉末を気泡連通化剤として用い
たことにより、連通率が40%に満たないためである。
【0123】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、断熱壁の
気泡内の炭酸ガスが吸着除去され、かつ炭酸ガスの吸着
反応により発生する水分が断熱性能に悪影響を及ぼさな
い、断熱性能に優れた断熱壁とその製造方法、及び、断
熱箱体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例における断熱箱体の一部切り
欠いた挿し図
【図2】本発明の実施形態1による断熱壁の模式図
【図3】本発明の実施形態2による断熱壁の模式図
【符号の説明】
1 断熱箱体 2 第一の壁部材 3 炭酸ガス吸着剤 4 水分吸着剤 5 第二の壁部材 6 発泡断熱材 7 独立気泡 8 連通気泡 9 気泡壁 10 アルカリ金属またはアルカリ土金属の炭酸塩 11 吸水性物質 12 アルカリ金属炭酸塩
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) //(C08G 18/00 101:00) (72)発明者 津田 善之 大阪府東大阪市高井田本通4丁目2番5号 松下冷機株式会社内 Fターム(参考) 3E067 BA01A BB17A CA18 GA01 GA14 3L102 JA01 MA01 MB07 MB12 MB15 MB17 4F074 AA80 AA97 AA98 AB03 AG20 BA08 BA20 BA37 BA38 BA39 BA53 BA95 BC01 CA12 CC22Y CE02 CE73 CE98 DA12 DA13 DA32 4J002 AA012 CK041 FD202 GL00 4J034 BA01 BA03 DA01 DA03 DB03 DB08 DC06 DG22 DG23 HA06 HA11 HC11 HC12 HC63 HC67 MA03 MA04 NA01 NA03 NA05 NA06 QA03 QB13 QC01 QD03 RA14 SA06

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第一の壁部材と、第二の壁部材と、前記
    第一の壁部材、及び、前記第二の壁部材によって形成さ
    れる空間部に、一部が連通気泡化した発泡ポリウレタン
    樹脂組成物が充填され、第一または第二の壁部材の内壁
    にアルカリ金属またはアルカリ土金属の炭酸塩と、水分
    を含有した有機または無機化合物の少なくとも一種から
    なる吸水性物質が貼付されることを特徴とする断熱壁。
  2. 【請求項2】 アルカリ金属、または、アルカリ土金属
    の少なくとも一種以上の炭酸塩が、炭酸リチウム、炭酸
    バリウムの少なくとも一種以上からなることを特徴とす
    る請求項1記載の断熱壁。
  3. 【請求項3】 水性物質が、アルカリ金属水酸化物であ
    る請求項1から請求項2のいずれか一項記載の断熱壁。
  4. 【請求項4】 第一の壁部材と、第二の壁部材と、前記
    第一の壁部材、及び、前記第二の壁部材によって形成さ
    れる空間部に、一部が連通気泡化した発泡ポリウレタン
    樹脂組成物が充填され、第一または第二の壁部材の内壁
    にアルカリ金属の炭酸塩が貼付されることを特徴とする
    断熱壁。
  5. 【請求項5】 アルカリ金属炭酸塩が、炭酸ナトリウ
    ム,炭酸カリウム、及び、石灰ソーダ炭酸塩の少なくと
    も一種以上からなることを特徴とする請求項4記載の断
    熱壁。
  6. 【請求項6】 発泡ポリウレタン樹脂組成物の連通率が
    40%以上であることを特徴とする請求項1から請求項
    5のいずれか一項記載の断熱壁。
  7. 【請求項7】 ポリオール,整泡剤,触媒,反応性発泡
    剤,揮発性発泡剤,気泡連通化剤,及び、ポリイソシア
    ネートを混合して、第一または第二の壁部材の内壁にア
    ルカリ金属、または、アルカリ土金属の少なくとも一種
    以上の水酸化物と、有機または無機化合物の少なくとも
    一種以上の吸水性物質とを貼付した空間へ注入、発泡さ
    せ、気泡内部に水とポリイソシアネートとの反応により
    発生した炭酸ガス、及び、揮発性発泡剤を含む独立気泡
    の一部が連通気泡化した発泡ポリウレタン樹脂組成物を
    形成する樹脂形成ステップと、前記水酸化物が発泡ポリ
    ウレタン樹脂組成物の気泡内の炭酸ガスを吸着して炭酸
    塩を形成し、前記気泡内を実質的に揮発性発泡剤で満た
    す炭酸ガス除去ステップと、前記水酸化物が発泡ポリウ
    レタン樹脂組成物の独立気泡内の炭酸ガスを吸着する時
    に発生する水分が、前記吸水性物質に吸水される水分除
    去ステップとを有する断熱壁の製造方法。
  8. 【請求項8】 アルカリ金属、または、アルカリ土金属
    の少なくとも一種以上の水酸化物が、水酸化リチウム,
    水酸化バリウムの少なくとも一種以上からなることを特
    徴とする請求項7記載の断熱壁の製造方法。
  9. 【請求項9】 吸水性物質がアルカリ金属水酸化物であ
    る請求項7または請求項8のいずれか一項記載の断熱壁
    の製造方法。
  10. 【請求項10】 ポリオール,整泡剤,触媒,反応性発
    泡剤,揮発性発泡剤,気泡連通化剤,及び、ポリイソシ
    アネートを混合して、面材の片面にアルカリ金属の少な
    くとも一種以上の水酸化物を貼付した空間へ注入、発泡
    させ、気泡内部に水とポリイソシアネートとの反応によ
    り発生した炭酸ガス、及び、揮発性発泡剤を含む独立気
    泡の一部が連通気泡化した発泡ポリウレタン樹脂組成物
    を形成する樹脂形成ステップと、前記水酸化物が発泡ポ
    リウレタン樹脂組成物の気泡内の炭酸ガスを吸着して炭
    酸塩を形成し、前記気泡内を実質的に揮発性発泡剤で満
    たす炭酸ガス除去ステップと、前記水酸化物が発泡ポリ
    ウレタン樹脂組成物の独立気泡内の炭酸ガスを吸着する
    時に発生する水分が、前記水酸化物に吸水される水分除
    去ステップとを有する断熱壁の製造方法。
  11. 【請求項11】 アルカリ金属水酸化物が、水酸化ナト
    リウム、水酸化カリウム、及び、石灰ソーダの少なくと
    も一種以上からなることを特徴とする請求項10記載の
    断熱壁の製造方法。
  12. 【請求項12】 気泡連通化剤が融点150℃以下の熱
    可塑性樹脂粉末であることを特徴とする請求項7から請
    求項11のいずれか一項記載の断熱壁の製造方法。
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