JP2008144054A - 粒子状蓄熱材及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】多孔質微粒子体と、多孔質微粒子体の細孔内に保持された潜熱蓄熱物質と、多孔質微粒子体を被覆する皮膜形成物質とからなり、潜熱蓄熱物質が漏出することがなく、安価で生産性や蓄熱効率に優れた粒子状蓄熱材の製造方法を提供する。
【解決手段】多孔質微粒子体(A)に、潜熱蓄熱物質と該潜熱蓄熱物質を溶解する溶媒とからなる含浸液(B)を用いて、多孔質微粒子体の細孔内に潜熱蓄熱物質を注入する工程1と、皮膜形成物質と極性溶媒とからなる皮膜形成溶液(C)を用いて、潜熱蓄熱物質が細孔内に注入された多孔質微粒子体を皮膜形成物質で被覆する工程2と、前記工程1で使用した含浸液(B)に含まれる溶媒および前記工程2で使用した皮膜形成溶液(C)に含まれる極性溶媒を除去する工程3とを有する粒子状蓄熱材の製造方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、液体−固体間での相変化に伴い潜熱の蓄熱・放熱を行うことが可能な潜熱蓄熱物質(相変化物質)を多孔質微粒子体に内包し、かつ、該多孔質微粒子体の表層を皮膜形成物質で被覆した粒子状蓄熱材に関するものであり、特に粒子状蓄熱材から潜熱蓄熱物質が漏出(ブリードアウト)することがなく、かつ、安価で生産性や蓄熱効率に優れた粒子状蓄熱材及び該粒子状蓄熱材の製造方法に関するものである。
住宅などにおいて、室温を安定した状態に保って室内空間を快適に保つとともに、省エネルギーにも繋がることから、建築物への保温保冷および室内と室外間の温度遮蔽などを目的として、建材に潜熱蓄熱物質を組み込むことが検討されている。また、夏場の冷涼感や冬季の保温機能などを衣料品へ付与することを目的として、繊維製品へ潜熱蓄熱物質を組み込むことも検討されている。
これまで、建材や繊維製品に蓄熱機能を付与するために、蓄熱機能を有する材料の提案が各種なされている。例えば、蓄熱放熱サイクルにおいて固体状態を維持するために、パラフィン系潜熱蓄熱材を、骨材(ポリエチレン、ゴム等)に吸収させた粒子を得、当該粒子の回りに熱可塑性樹脂皮膜を形成する技術が知られている(特許文献1)。また、パラフィン系潜熱蓄熱材料を、毛細管多孔組織を有する無機材料を含む保持材料に保持させた蓄熱体、及びそれをプラスチックシートで被覆した蓄熱体(特許文献2)や、多孔質担持体に潜熱蓄熱剤を封入し、潜熱蓄熱剤含浸多孔質担持体の外面に樹脂などの層を形成してなる潜熱蓄熱材及びその製造方法が知られている(特許文献3、特許文献4)。
特開昭62−149334号公報 特表2002−523719号公報 特開2004−75711号公報 特開2006−82427号公報
しかしながら、上記従来の技術においては、潜熱蓄熱物質や皮膜形成物質を希釈することなく多孔質微粒子体と接触させているため、潜熱蓄熱物質が多孔質微粒子体の組織内部に充分に充填されず、また、皮膜形成物質が多孔質微粒子体の表面を均一に覆わないため、蓄熱放熱サイクルにおいて潜熱蓄熱物質が漏出(ブリードアウト)してしまう等の問題があった。
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、多孔質微粒子体と、多孔質微粒子体の細孔内に保持された潜熱蓄熱物質と、多孔質微粒子体を被覆する皮膜形成物質とからなる粒子状蓄熱材において、粒子状蓄熱材から潜熱蓄熱物質が漏出(ブリードアウト)することがなく、かつ、安価で生産性や蓄熱効率に優れた粒子状蓄熱材及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、多孔質微粒子体に潜熱蓄熱物質を内包させる際に、潜熱蓄熱物質と溶媒からなる含浸液を用いて潜熱蓄熱物質を多孔質微粒子体の細孔内に注入し、その多孔質微粒子体の表面に皮膜を形成する際にも、皮膜形成物質と極性溶媒からなる皮膜形成溶液を用いることにより、潜熱蓄熱物質が漏出することがなくなり、蓄熱効率に優れた粒子状蓄熱材を高い生産性で且つ低コストで製造できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の粒子状蓄熱材の製造方法は、
多孔質微粒子体(A)に、潜熱蓄熱物質と該潜熱蓄熱物質を溶解する溶媒とからなる含浸液(B)を用いて、多孔質微粒子体の細孔内に潜熱蓄熱物質を注入する工程1と、
皮膜形成物質と極性溶媒とからなる皮膜形成溶液(C)を用いて、潜熱蓄熱物質が細孔内に注入された多孔質微粒子体を皮膜形成物質で被覆する工程2と、
前記工程1で使用した含浸液(B)に含まれる溶媒および前記工程2で使用した皮膜形成溶液(C)に含まれる極性溶媒を除去する工程3と
を有することを特徴とし、
多孔質微粒子体と、該多孔質微粒子体の細孔内に保持された潜熱蓄熱物質と、前記多孔質微粒子体を被覆する皮膜形成物質とからなる粒子状蓄熱材を製造することができる。
本発明の粒子状蓄熱材の製造方法の工程1において、前記含浸液(B)は前記潜熱蓄熱物質の濃度が20〜80重量%であることが好ましく、多孔質微粒子体(A)と含浸液(B)との重量比[(A)/(B)]は0.1〜0.8であることが好ましい。
本発明の粒子状蓄熱材の製造方法の工程2において、前記皮膜形成溶液(C)は前記皮膜形成物質の濃度が10〜50重量%であることが好ましく、多孔質微粒子体(A)と皮膜形成溶液(C)の重量比[(A)/(C)]は0.4〜1.4であることが好ましい。
本発明の粒子状蓄熱材の製造方法は、前記工程2において、前記潜熱蓄熱物質の融点以上の温度で皮膜形成を行うことが好ましい。
また、本発明の粒子状蓄熱材は、上記の方法によって製造された粒子状蓄熱材であって、潜熱蓄熱物質を20〜90重量%含有し、潜熱量が30J/g以上であることを特徴とする。
本発明の粒子状蓄熱材の製造方法により、多孔質微粒子体の細孔内に潜熱蓄熱物質を十分に内包させることが可能となり、当該粒子状蓄熱材は、内包する潜熱蓄熱物質が液体状態になったときにも、多孔質微粒子体から漏出(ブリードアウト)することがなく、さらに多孔質微粒子体の殻構造によって十分な機械的強度を有する。また、本発明の粒子状蓄熱材の製造方法によれば、優れた蓄熱効率を有する粒子状蓄熱材を安価で生産することができる。更に、本発明の方法で製造された粒子状蓄熱材は、建築物での保温保冷および室内と室外間の温度遮蔽などの機能付加を目的とした建材へ応用することができ、また、衣料品等における夏場の冷涼感や冬季の保温機能などの付与を目的とした繊維へも応用することができる。
以下に、本発明を詳細に説明する。本発明の粒子状蓄熱材は、多孔質微粒子体と、多孔質微粒子体の細孔内に保持された潜熱蓄熱物質と、多孔質微粒子体を被覆する皮膜形成物質とからなる。
本発明の粒子状蓄熱材における多孔質微粒子体の割合は、5〜70重量%の範囲が好ましく、15〜60重量%の範囲が更に好ましい。多孔質微粒子体の割合が5重量%未満であると、粒子状蓄熱材が粒子形状を維持できなくなり、機械的強度が低くなるため好ましくない。また、多孔質微粒子体の割合が70重量%を超えると、保持する潜熱蓄熱物質の量が減少し、粒子状蓄熱材の蓄熱量が低下するため好ましくない。
上記多孔質微粒子体は、無機質または有機質の粒子骨格から構成される。多孔質微粒子体が無機質からなる場合には、炭酸カルシウム、炭酸バリウムなどの炭酸塩、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸マグネシウムなどのケイ酸塩、リン酸カルシウム、リン酸バリウム、リン酸マグネシウム、リン酸ジルコニウム、アパタイトなどのリン酸塩、二酸化ケイ素、アルミナなどの金属酸化物を例示することができる。また、無機質は、その表面が疎水性改質された多孔質微粒子体として使用することもできる。多孔質微粒子体が有機質からなる場合には、ポリエチレン、ポリウレタン、セルロース、ポリビニルホルマール、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂および尿素樹脂などを例示することができる。しかしながら、粒子状蓄熱材の物理的・機械的強度を十分に確保するためには、多孔質微粒子体は高強度を有することが望ましく、強度の観点から、本発明に使用する多孔質微粒子体は無機質からなることが好ましく、無機質の中でも、二酸化ケイ素及びケイ酸カルシウムがより好ましい。
上記多孔質微粒子体としては、潜熱蓄熱物質を最適に保持できる空間を有していれば構わないが、JIS R1626の気体吸着BET法による比表面積が100m2/g以上、JIS K5101−13−1の精製あまに油法による吸油量若しくはJIS K5101−13−2の煮あまに油法による吸油量が200mL/100g以上のものが好ましい。比表面積が100m2/g以下または吸油量が200mL/100g以下の多孔質微粒子体を用いた場合、潜熱蓄熱物質に対する保持力が弱いため、内包する潜熱蓄熱物質が漏出する恐れがあるため好ましくない。
上記多孔質微粒子体の粒子径は特に限定されないが、後述する多孔質微粒子体への皮膜形成の工程を考慮すると、1〜500μmの範囲が好ましい。多孔質微粒子体の粒子径が1μm未満では、多孔質微粒子体表層の比表面積が増加するため、被覆用の皮膜形成物質を多く必要とするため好ましくない。また、多孔質微粒子体の粒子径が500μmを超えると、高度の機械負荷によって皮膜が破壊されやすくなり、多孔質微粒子体の細孔内の潜熱蓄熱物質が漏出(ブリードアウト)する恐れがあるため好ましくない。
なお、粒子状蓄熱材の用途等により、500μmを超える大きさの粒子を必要とするときには、1〜500μmの粒子状蓄熱材を造粒することより、二次凝集粒子を作ることが好ましい。二次凝集により造粒した粒子または顆粒は、二次凝集粒子が破壊されても、一次粒子が安定に存在しており、漏出(ブリードアウト)の恐れはない。
本発明の粒子状蓄熱材に用いる潜熱蓄熱物質は、液体−固体間での相変化に伴い潜熱の蓄熱・放熱を行える相変化物質である。本発明の粒子状蓄熱材における潜熱蓄熱物質の割合は、20〜90重量%の範囲が好ましく、35〜75重量%の範囲が更に好ましい。潜熱蓄熱物質の割合が20重量%未満であると、潜熱蓄熱物質に蓄熱される潜熱量が十分でなく、蓄熱材料としての機能を十分に発揮できないので好ましくない。また、潜熱蓄熱物質の割合が90重量%を超えると、潜熱蓄熱物質が固体から液体に相変化した際の体積膨張により、多孔質微粒子体内の容積を超える場合があり、多孔質微粒子体の細孔外へ潜熱蓄熱物質が漏出(ブリードアウト)する原因となるため好ましくない。
本発明に使用する潜熱蓄熱物質としては、腐食性が低く、蓄熱放熱サイクルの繰り返しに伴う変性、劣化といった安定性に関する欠点を持たず、炭素数もしくは混合物として炭素数の組成を選択することによって用途に合わせた作動温度領域に融点を制御することが可能なパラフィン系炭化水素化合物(以下、パラフィン化合物という)が好ましい。具体的なパラフィン化合物としては、ノルマルパラフィンが挙げられる。本発明に利用できるノルマルパラフィンとしては、保温や保冷用途に適した温度領域において十分な潜熱量を持つ炭素数8〜40のノルマルパラフィンが好ましく、炭素数12〜22のノルマルパラフィンが更に好ましい。これらノルマルパラフィンは、単独で用いても、炭素数の異なるものを2種以上組み合わせて使用してもよい。
上記潜熱蓄熱物質の潜熱量は、粒子状蓄熱材として十分な機能を発揮させるために、100J/g以上であることが好ましく、150〜250J/gであることが特に好ましい。
さらに、本発明に使用する潜熱蓄熱物質には、本発明の目的を損なわない範囲において、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の通常用いられる添加剤、過冷却防止剤、比重調整剤、顔料や染料などの着色剤、芳香剤等の添加剤を添加してもよい。
本発明の粒子状蓄熱材における皮膜形成物質の割合は、1〜25重量%の範囲が好ましく、2〜20重量%の範囲が更に好ましく、3〜20重量%の範囲がより一層好ましい。上述の潜熱蓄熱物質は、蓄熱放熱の際に液体−固体間で相変化を伴うので、多孔質微粒子体に保持された潜熱蓄熱物質のしみ出しを防止するために、本発明では皮膜形成物質を使用する。ここで、皮膜形成物質の割合が1重量%未満であると、多孔質微粒子体の表層を完全に被覆することが困難となり、潜熱蓄熱物質の漏出(ブリードアウト)防止効果が低くなるため好ましくない。また、皮膜形成物質の割合が25重量%を超えると、粒子状蓄熱材の潜熱量が低下し、また、伝熱効率が低下するため好ましくない。
前記皮膜形成物質は、実質的に潜熱蓄熱物質の漏出(ブリードアウト)を防止できればよいが、液体化した潜熱蓄熱物質の溶剤作用に対する耐久性を有し、潜熱蓄熱物質を保持する多孔質微粒子体の表面を潜熱蓄熱物質にはじかれることなく粒子全体を濡れる様に覆いながら皮膜を形成できる点で、皮膜の素材としてはエポキシ樹脂が好ましい。ここで、皮膜形成物質とは、皮膜を形成するための樹脂及びその硬化剤等を総称する。
上記エポキシ樹脂は、エポキシ化合物と硬化剤の反応、または、硬化触媒によるエポキシ化合物の重合によって生成するものであり、潜熱蓄熱物質を保持する多孔質微粒子体の表層で皮膜を構成する。この時、エポキシ化合物と硬化剤との反応、又は、硬化触媒によるエポキシ化合物の重合が、潜熱蓄熱物質によって阻害されず、また、生成物が潜熱蓄熱物質と相互に相溶しないため、皮膜の素材としてはエポキシ樹脂が好ましい。
皮膜を構成するエポキシ樹脂は、硬化温度が20℃〜200℃であることが好ましく、30℃〜150℃であることが更に好ましく、Tg(ガラス転移温度)が40℃〜200℃であることが好ましく、70℃〜150℃であることが更に好ましい。本発明ではエポキシ樹脂の硬化を潜熱蓄熱物質の融点以上で行うことが好ましいため、硬化温度が20℃以上のエポキシ樹脂を使用することが好ましい。一方、硬化温度が200℃を超える場合、加熱により潜熱蓄熱物質の揮発や劣化が起こるため好ましくない。また、エポキシ樹脂のTgが40℃未満の場合、使用環境下において皮膜が軟化してしまい潜熱蓄熱物質が漏出してしまうため好ましくない。一方、Tgが200℃を超える場合、使用条件化において皮膜に亀裂が生じやすく、潜熱蓄熱物質の漏出の要因となるため好ましくない。
上記エポキシ樹脂を構成するエポキシ化合物としては、1分子中に少なくとも2つ以上のエポキシ基を持つものが好ましく、その構造は、下記に示すものの中から任意に選択することができる。また、該エポキシ化合物は、2つ以上の化合物を任意に組み合わせて使用することもできる。エポキシ化合物の具体例としては、グリシジル系エポキシ樹脂、例えばビスフェノールAとエピクロルヒドリンとをアルカリの存在下に反応させて得られたビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAとホルマリンとを縮合反応させて得られた樹脂のエポキシ化物、これらの樹脂において、ビスフェノールAの代わりにブロム化ビスフェノールAを用いたもの、ノボラック樹脂にエピクロルヒドリンを反応させてグリシジルエーテル化したノボラック型エポキシ樹脂(フェノールノボラック型、o−クレゾールノボラック型、p−tert−ブチルフェノールノボラック型など)、ビスフェノールFやビスフェノールSにエピクロルヒドリンを反応させて得られたビスフェノールF型やビスフェノールS型エポキシ樹脂などが挙げられ、さらにシクロヘキセンオキシド基、トリシクロデカンオキシド基、シクロペンテンオキシド基などを有する環式脂肪族エポキシ樹脂、フタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ジグリシジル−p−ヒドロキシ安息香酸、ダイマー酸グリシジルエステルなどのグリシジルエステル樹脂、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジル−p−アミノフェノールなどのグリシジルアミン系樹脂、トリアジン環を有するトリグリシジルイソシアヌレートなどが挙げられる。
上記エポキシ樹脂を構成する硬化剤としては、芳香族アミン、脂肪族アミン、酸無水物、フェノール化合物が好ましく、これらの中から任意に選択することができる。芳香族アミンとしては、メタキシレンジアミン、イソホロンジアミン、アニリン、ベンジルアミン、ジベンジルアミン、フェネチルアミン、ピロール、ピリジンなどが挙げられる。脂肪族アミンとしては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ブチルアミン、エチルアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、ビスアミノプロピルエーテル、ヒドロキシエチルアミノプロパンなどが挙げられる。酸無水物としては、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、クエン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、3−メチルテトラヒドロフタル酸、4−メチルテトラヒドロフタル酸、3−エチルテトラヒドロフタル酸、4−エチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、3−メチルヘキサヒドロフタル酸、4−メチルヘキサヒドロフタル酸、3−エチルヘキサヒドロフタル酸、4−エチルヘキサヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸及びジグリコール酸等の無水物が挙げられる。フェノール化合物としては、ビスフェノール樹脂、フェノールノボラック樹脂が挙げられる。
上記エポキシ化合物の硬化触媒としては、イミダゾール化合物、グアニジン化合物、ルイス酸化合物が好ましく、これらの中から任意に選択することができる。イミダゾール化合物としては、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2,4−ジフェニルイミダゾール、2−(2−アミノフェニル)イミダゾール、2−(4−ジメチルアミノフェニル)イミダゾール、2−(4−ジエチルアミノフェニル)−4,5−ジメチルイミダゾール、2−(2−エチルアミノ−4−プロピルフェニル)−4−メチルイミダゾール、2−(4−ジメチルアミノフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール、2−(2−メチル−4−ジエチルアミノフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール、2−(4−アミノフェニル)−4,5−ビス(4−メトキシフェニル)イミダゾール、2−(3−ジプロピルアミノフェニル)−4−フェニルイミダゾール、2−(4−ジメチルアミノフェニル)−4−ベンジルイミダゾール、2−メチル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−エチル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−イソプロピル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−ウンデシル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−ヘプタデシル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾールなどが挙げられる。グアニジン化合物としては、ジシアンジアミド、フェニルジシアンジアミド、ビグアニドなどが挙げられる。ルイス酸化合物としては、3フッ化ホウ素、塩化チタン、塩化アルミニウムなどが挙げられる。
本発明の粒子状蓄熱材は、潜熱量が30J/g以上、好ましくは60J/g以上である。内包する潜熱蓄熱物質や多孔質微粒子体内の容積にも拠るが、潜熱量が30J/g未満であると、蓄熱量が十分でなく、蓄熱材料としての機能を十分に発揮できないので好ましくない。
本発明の粒子状蓄熱材の製造方法は、多孔質微粒子体(A)に、潜熱蓄熱物質と該潜熱蓄熱物質を溶解する溶媒とからなる含浸液(B)を用いて、多孔質微粒子体の細孔内に潜熱蓄熱物質を注入する工程1と、皮膜形成物質と極性溶媒とからなる皮膜形成溶液(C)を用いて、潜熱蓄熱物質が細孔内に注入された多孔質微粒子体を皮膜形成物質で被覆する工程2と、前記工程1で使用した含浸液(B)に含まれる溶媒および前記工程2で使用した皮膜形成溶液(C)に含まれる極性溶媒を除去する工程3とを有する。
上記工程1では、多孔質微粒子体(A)に、無極性の潜熱蓄熱物質を均一に保持させるために、潜熱蓄熱物質を溶解する溶媒を使用して調製した含浸液(B)を使用する。含浸液(B)は、潜熱蓄熱物質と潜熱蓄熱物質を溶解する溶媒とからなり、潜熱蓄熱物質の濃度が20〜80重量%であることが好ましく、30〜70重量%であることが更に好ましい。含浸液(B)中の潜熱蓄熱物質の濃度が20重量%未満であると、除去する溶媒量の増加に伴い、溶媒除去のエネルギー、時間、コストが増加するため好ましくなく、また、80重量%を超えると、含浸液(B)の粘度が増加するため、細孔内への含浸速度が低下し、所望する含浸率が得られなくなるため好ましくない。なお、含浸液(B)中の潜熱蓄熱物質の濃度が30〜70重量%であれば、溶媒除去に要するエネルギー、時間、コストが低く、また、細孔内への含浸速度が高く、所望の含浸率を十分に達成することができる。
上記含浸液(B)に用いる溶媒は、多孔質微粒子体(A)に潜熱蓄熱物質を保持させた後に蒸発により除去されるため、潜熱蓄熱物質より蒸気圧が高く、沸点が低いことが好ましい。含浸液(B)に使用する溶媒としては、ケトン類、エステル類、アルコール類、グリコールエーテル類、炭化水素類などが挙げられる。ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコール、イソホロン、シクロヘキサノン、ジイソブチルケトンなどが例示できる。エステル類としては、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸ノルマルプロピル、酢酸イソプロピル、酢酸メトキシブチル、酢酸セロソルブ、酢酸アミルなどが例示できる。アルコール類としては、メタノール、エタノール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブタノール、シクロヘキサノールなどが例示できる。グリコールエーテル類としては、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどが例示できる。炭化水素類としては、ノルマルヘキサン、トルエン、キシレンなどが例示できる。これらの中でも、含浸液(B)に使用する溶媒としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンが好ましい。
多孔質微粒子体(A)と含浸液(B)との重量比[(A)/(B)]は、0.1〜0.8の範囲が好ましく、0.2〜0.7の範囲が更に好ましい。重量比[(A)/(B)]が0.1未満であると、単位バッチ当たりの溶媒使用量が増加し、また、単位バッチ当たりの粒子状蓄熱材生産量が減少して生産効率が低下するため好ましくなく、一方、0.8を超えると、含浸効率が低下し、所望する含浸率が得られなくなるため好ましくない。
上記工程2おける皮膜形成溶液(C)は、皮膜形成物質と極性溶媒からなり、皮膜形成物質の濃度が10〜50重量%であることが好ましく、15〜45重量%であることが更に好ましい。皮膜形成溶液(C)中の皮膜形成物質の濃度が10重量%未満であると、溶媒除去のエネルギー、時間、コストが増加するためのため好ましくなく、また、50重量%を超えると、皮膜形成溶液(C)の粘度が増加し、均一な皮膜を形成できなくなるため好ましくない。
多孔質微粒子体(A)と皮膜形成溶液(C)の重量比[(A)/(C)]は、0.2〜2.0の範囲が好ましく、0.3〜1.5の範囲が更に好ましく、0.4〜1.4の範囲が特に好ましい。重量比[(A)/(C)]が0.2未満であると、単位バッチ当たりの溶媒使用量が増加し、単位バッチ当たりの粒子状蓄熱材生産量が減少するため好ましくなく、一方、2.0を超えると、均一な皮膜形成ができなくなるため好ましくない。なお、重量比[(A)/(C)]が0.4〜1.4であれば、単位バッチ当たりの粒子状蓄熱材生産量が十分に増加し、また、均一な皮膜を形成することができる。
多孔質微粒子体(A)に潜熱蓄熱物質と皮膜形成物質を保持させた後、蒸発により溶媒を除去した後に、皮膜形成物質が粒子状蓄熱材の最外層を均一に被覆するためには、上記皮膜形成溶液(C)に使用する極性溶媒は、皮膜形成物質を溶解できることに加え、適正な極性を有することが好ましい。また、皮膜形成溶液(C)に使用する極性溶媒としては、低い温度で蒸発除去できるものが好ましい。該極性溶媒としては、ケトン類、エステル類、アルコール類、グリコールエーテル類などが挙げられる。ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコール、イソホロン、シクロヘキサノン、ジイソブチルケトンなどが例示できる。エステル類としては、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸ノルマルプロピル、酢酸イソプロピル、酢酸メトキシブチル、酢酸セロソルブ、酢酸アミルなどが例示できる。アルコール類としては、メタノール、エタノール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブタノール、シクロヘキサノールなどが例示できる。グリコールエーテル類としては、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどが例示できる。これらの中でも、皮膜形成溶液(C)に使用する極性溶媒としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンが好適である。
さらに言えば、潜熱蓄熱物質および皮膜形成物質をともに溶解する溶媒を使用すると効率が良い。
潜熱蓄熱物質を注入する工程1、皮膜形成物質で被覆する工程2、工程1および工程2で使用した溶媒を除去する工程3を有する本発明の方法を実施する場合、以下に示す態様により粒子状蓄熱材を製造することができる。なお、本発明において製造に使用する装置は、加熱、撹拌混合機能を有する装置であればよく、下記記載のものに限定されるものではない。
[態様1]
工程順序:工程1→工程3(溶媒全量除去)→工程2→工程3(溶媒全量除去)→エージング
(1)2軸攪拌型チャンバーに多孔質微粒子体(A)を投入する。
(2)予め潜熱蓄熱物質を溶媒に溶解した含浸液(B)を投入し、全体が均一な状態になるまで撹拌混合を行う。この際に多孔質微粒子体(A)の細孔内に含浸液(B)が浸透することにより、潜熱蓄熱物質が細孔内に注入される。(工程1)
(3)工程1で使用された含浸液(B)の溶媒を全て蒸発除去する。この時にチャンバー内を減圧し、溶媒の除去速度を速めてもよい。(工程3)
(4)予め皮膜形成物質を極性溶媒に溶解した皮膜形成溶液(C)を投入し、全体が均一な状態になるまで撹拌混合を行う。この際に、潜熱蓄熱物質が細孔内に注入された多孔質微粒子体が皮膜形成物質で被覆される。(工程2)
(5)工程2で使用された皮膜形成溶液(C)の極性溶媒を全て蒸発除去する。この時、チャンバー内の温度は、潜熱蓄熱物質の融点以上の温度であることが好ましい。チャンバー内を減圧し、極性溶媒の除去速度を速めてもよい。これにより多孔質微粒子体の細孔内に潜熱蓄熱物質内包され、皮膜形成物質が細孔を被覆する。(工程3)
(6)皮膜形成物質を硬化させるためのエージングを行う。エージングの温度は、皮膜形成物質の種類に応じて適正に設定することが好ましく、潜熱蓄熱物質の融点以上の温度であることが好ましい。
[態様2]
工程順序:工程1→工程3(溶媒一部除去)→工程2→工程3(溶媒全部除去)→エージング
(1)2軸攪拌型チャンバーに多孔質微粒子体(A)を投入する。
(2)予め潜熱蓄熱物質を溶媒に溶解した含浸液(B)を投入し、全体が均一な状態になるまで撹拌混合を行う。(工程1)
(3)工程1で使用された含浸液(B)の溶媒の一部を蒸発除去する。この時にチャンバー内を減圧し、溶媒の除去速度を速めてもよい。(工程3)
(4)予め皮膜形成物質を極性溶媒に溶解した皮膜形成溶液(C)を投入し、全体が均一な状態になるまで撹拌混合を行う。(工程2)
(5)工程1で使用された含浸液(B)の除去されていない残りの溶媒および工程2で使用された皮膜形成溶液(C)の極性溶媒を全て蒸発除去する。この時、チャンバー内の温度は、潜熱蓄熱物質の融点以上の温度であることが好ましい。チャンバー内を減圧し、溶媒および極性溶媒の除去速度を速めてもよい。(工程3)
(6)皮膜形成物質を硬化させるためのエージングを行う。エージングの温度は、皮膜形成物質の種類に応じて適正に設定することが好ましく、潜熱蓄熱物質の融点以上の温度であることが好ましい。
[態様3]
工程順序:工程1→工程2→工程3(全溶媒除去)→エージング
(1)2軸攪拌型チャンバーに多孔質微粒子体(A)を投入する。
(2)予め潜熱蓄熱物質を溶媒に溶解した含浸液(B)を投入し、全体が均一な状態になるまで撹拌混合を行う。(工程1)
(3)予め皮膜形成物質を極性溶媒に溶解した皮膜形成溶液(C)を投入し、全体が均一な状態になるまで撹拌混合を行う。(工程2)
(4)工程1で使用された含浸液(B)の溶媒および工程2で使用された皮膜形成溶液(C)の極性溶媒を全て蒸発除去する。この時、チャンバー内の温度は、潜熱蓄熱物質の融点以上の温度であることが好ましい。チャンバー内を減圧し、溶媒および極性溶媒の除去速度を速めてもよい。(工程3)
(5)皮膜形成物質を硬化させるためのエージングを行う。エージングの温度は、皮膜形成物質の種類に応じて適正に設定することが好ましく、潜熱蓄熱物質の融点以上の温度であることが好ましい。
以下に、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの例により何ら制限されるものではない。
(実施例1)
メチルエチルケトン(MEK)30重量部にノルマルノナデカン(融点32℃)55重量部を加え、40℃で攪拌溶解して均一な含浸液(B1)を調製した。また、MEK20重量部にビスフェノールA(エポキシ当量180〜190グラム当量)5.9重量部とポリアミドアミン系硬化剤(アミン価360mgKOH/g)4.1重量部を加え、均一に溶解した皮膜形成溶液(C1)を調製した。
次に、含浸液(B1)85重量部と多孔質シリカ微粒子(A1)(比表面積450m2/g、吸油量300mL/100g、平均粒径50μm)35重量部を、2軸攪拌型チャンバー内にて、40℃で30分間攪拌した。攪拌終了後、チャンバー内を0.2MPa以下に減圧し、攪拌しながらMEKを留去した。MEK20重量部を除去した段階で、一旦チャンバー内を大気圧に戻し、先に調製した皮膜形成溶液(C1)30重量部を投入した。
再び、チャンバー内を0.2MPa以下に減圧し、加熱、攪拌しながらMEKを完全留去した。溶剤を留去した後、チャンバー内を大気圧に戻し、さらに40℃で一晩静置してエポキシ樹脂を硬化させ、粒子状蓄熱材(S1)を得た。
(実施例2)
メチルイソブチルケトン(MIBK)100重量部にパラフィンワックス混合物(融点90℃)55重量部を加え、100℃で攪拌、溶解して均一なパラフィンワックス含浸液(B2)を調製した。また、MIBK50重量部にクレゾールノボラック型エポキシ化合物(日本化薬製、製品名EOCN−1020−55)6.9重量部とフェノール系硬化剤(住友ベークライト製、製品名HF−1M)3.1重量部を加え、均一に溶解した皮膜形成溶液(C2)を調製した。
次に、含浸液(B2)155重量部と、実施例1で使用した多孔質シリカ微粒子(A1)35重量部を2軸攪拌型チャンバー内で、100℃、30分間攪拌した。攪拌終了後、チャンバー内を120℃まで加熱し、攪拌しながらMIBKを蒸発除去した。MIBK50重量部を除去した段階で、先に調製した皮膜形成溶液(C2)60重量部を投入した。
再び、チャンバー内を120℃まで加熱し、攪拌しながらMIBKを完全蒸発除去した。溶剤を留去した後、150℃で1時間静置してエポキシ樹脂を硬化させ、粒子状蓄熱材(S2)を得た。
(実施例3)
MEK40重量部にパラフィンワックス混合物(融点44℃)55重量部を加え、50℃で攪拌溶解して均一なパラフィンワックス含浸液(B3)を調製した。また、MEK20重量部にビスフェノールF(エポキシ当量160〜175グラム当量)6.7重量部と変成脂肪酸ポリアミン系硬化剤(アミン価330mgKOH/g)3.3重量部を加え、均一に溶解した皮膜形成溶液(C3)を調製した。
次に、含浸液(B3)95重量部と、実施例1で使用した多孔質シリカ微粒子(A1)35重量部を2軸攪拌型チャンバー内で、50℃で30分間攪拌した。攪拌終了後、チャンバー内を0.2MPa以下まで減圧し攪拌しながらMEKを蒸発除去し、MEK40重量部を除去した段階で、一旦チャンバー内を大気圧に戻し、先に調製した皮膜形成溶液(C3)30重量部を投入した。
再び、チャンバー内を0.2MPa以下に減圧して加熱攪拌しながらMEKを完全蒸発除去した。溶剤を留去した後、チャンバー内を大気圧に戻し、50℃で一晩静置してエポキシ樹脂を硬化させ、粒子状蓄熱材(S3)を得た。
(実施例4)
MEK50重量部にノルマルノナデカン70重量部を加え、40℃で攪拌溶解して均一なノルマルノナデカン含浸液(B4)を調製した。また、MEK20重量部にビスフェノールF(エポキシ当量160〜175グラム当量)3.3重量部と変成脂肪酸ポリアミン系硬化剤(アミン価330mgKOH/g)1.7重量部を加え、均一に溶解した皮膜形成溶液(C4)を調製した。
次に、含浸液(B4)120重量部と多孔質ケイ酸カルシウム(A2)(比表面積120m2/g、吸油量450mL/100g、平均粒径30μm)25重量部を2軸攪拌型チャンバー内にて、40℃で30分間攪拌した。攪拌終了後、チャンバー内を0.2MPa以下まで減圧し攪拌しながらMEKを蒸発除去し、MEK50重量部を除去した段階で、一旦チャンバー内を大気圧に戻し、先に調製した皮膜形成溶液(C4)25重量部を投入した。
再び、チャンバー内を0.2MPa以下に減圧して加熱攪拌しながらMEKを完全蒸発除去した後、チャンバー内を大気圧に戻し、さらに40℃で一晩静置して、エポキシ樹脂を硬化させ、粒子状蓄熱材(S4)を得た。
(実施例5)
MEK30重量部にノルマルノナデカン50重量部を加え、40℃で攪拌溶解して均一なノルマルノナデカン含浸液(B5)を調製した。また、MEK20重量部にビスフェノールF6.7重量部と変成脂肪酸ポリアミン系硬化剤3.3重量部を加え、均一に溶解した皮膜形成溶液(C5)を調製した。
次に、含浸液(B5)80重量部と、多孔質シリカ微粒子(A3)(比表面積360m2/g、吸油量300mL/100g、平均粒径6μm)40重量部を2軸攪拌型チャンバー内にて、40℃で30分間攪拌した。攪拌終了後、チャンバー内を0.2MPa以下まで減圧し攪拌しながらMEKを蒸発除去し、MEK20重量部を除去した段階で、一旦チャンバー内を大気圧に戻し、先に調製した皮膜形成溶液(C5)30重量部を投入した。
再び、チャンバー内を0.2MPa以下に減圧して加熱攪拌しながらMEKを完全蒸発除去した後、チャンバー内を大気圧に戻し、さらに40℃で一晩静置して、エポキシ樹脂を硬化させ、粒子状蓄熱材(S5)を得た。
(実施例6)
実施例5において多孔質シリカ微粒子(A3)を多孔質シリカ微粒子(A4)(比表面積175m/g、吸油量250mL/100g、平均粒径3μm)にした以外は実施例5と同様の方法にて操作を行い、粒子状蓄熱材(S6)を得た。
(実施例7)
MEK30重量部にノルマルノナデカン40重量部を加え、40℃で攪拌溶解して均一なノルマルノナデカン溶解MEK溶液(B6)を調製した。また、MEK20重量部にビスフェノールF10.0重量部と変成脂肪酸ポリアミン系硬化剤5.0重量部を加え、均一に溶解した皮膜形成溶液(C6)を調製した。
次に、含浸液(B6)70重量部と多孔質シリカ微粒子(A1)45重量部を2軸攪拌型チャンバー内にて、40℃で30分間攪拌した。攪拌終了後、チャンバー内を0.2MPa以下まで減圧し攪拌しながらMEKを蒸発除去し、MEK20重量部を除去した段階で、一旦チャンバー内を大気圧に戻し、先に調製した皮膜形成溶液(C6)30重量部を投入した。
再び、チャンバー内を0.2MPa以下に減圧して加熱攪拌しながらMEKを完全蒸発除去した後、チャンバー内を大気圧に戻し、さらに40℃で一晩静置して、エポキシ樹脂を硬化させ、粒子状蓄熱材(S7)を得た。
(比較例1)
ノルマルヘキサン30重量部にノルマルノナデカン55重量部を加え、40℃で攪拌溶解して均一な含浸液(B7)を調製した。また、ノルマルヘキサン20重量部にビスフェノールF6.7重量部と変性脂肪族ポリアミン系硬化剤3.3重量部を加え、均一に溶解した皮膜形成溶液(C7)を調製した。
次に、含浸液(B7)85重量部と多孔質シリカ微粒子(A1)35重量部を、2軸攪拌型チャンバー内にて、40℃で30分間攪拌した。攪拌終了後、チャンバー内を0.2MPa以下に減圧し、攪拌しながらノルマルヘキサンを留去した。ノルマルヘキサン20重量部を除去した段階で、一旦チャンバー内を大気圧に戻し、先に調製した皮膜形成溶液(C7)30重量部を投入した。
再び、チャンバー内を0.2MPa以下に減圧し、加熱、攪拌しながらノルマルヘキサンを完全留去した。溶剤を留去した後、チャンバー内を大気圧に戻し、さらに40℃で一晩静置してエポキシ樹脂を硬化させ、エポキシ樹脂で被覆したノルマルノナデカン55重量%を内包した粒子状蓄熱材(S8)を得た。
(比較例2)
実施例7において溶媒を用いないこと以外は、同じ工程で製造しエポキシ樹脂で被覆したノルマルノナデカン40重量%を内包した粒子状蓄熱材(S9)を得た。
前述の方法により潜熱蓄熱物質を内包した粒子状蓄熱材の多孔質微粒子体、潜熱蓄熱物質および皮膜形成物質とその組成比を表1に示す。また、下記の方法で、得られた粒子状蓄熱材の熱特性を測定し、更にブリードアウト評価を行った。
<熱特性>
融点Tmおよび潜熱量Qmは、セイコーインスツルメンツ社製DSC220CU型示差走査熱量計を用いて測定した。示差走査熱量計により得られる温度−熱流束のモデル図を図1に示す。昇温速度10℃/分の速度で加熱した際に得られた温度−熱流速図のピークの最大傾斜の接線がベースラインと交わる点の温度を融点とし、表1に示した。
<ブリードアウト評価>
ガラス製シャーレの中に、予め60℃で2時間乾燥させた吸油紙(50mm×50mm)を入れ、前述の方法により作製した粒子状蓄熱材5gを前記の吸油紙の上に薄く均一になるように敷き、潜熱蓄熱物質の融点より30℃高い温度に設定した恒温槽内に入れ、30分毎に潜熱蓄熱物質内包多孔質微粒子体を混ぜながら2時間後に取り出して、吸油紙の重量増加分を測定し、これをブリードアウト量とした。粒子状蓄熱材に対するブリードアウト量の重量比(wt%)を算出し、ブリードアウト率を算出した。ブリードアウト率が0.5wt%未満の場合を○、0.5wt%以上の場合を×として評価した。結果を表1に示す。
Figure 2008144054
表1の結果から、本発明に従う方法で製造した実施例の粒子状蓄熱材は、潜熱蓄熱物質のブリードアウトが防止されていることが分かる。一方、溶媒としてノルマルへキサンを用いた比較例1及び溶媒を使用しながった比較例2の粒子状蓄熱材は、潜熱蓄熱物質がブリードアウトしてしまうことが分かる。
示差走査熱量計により得られる温度−熱流束のモデル図である。

Claims (5)

  1. 多孔質微粒子体と、該多孔質微粒子体の細孔内に保持された潜熱蓄熱物質と、前記多孔質微粒子体を被覆する皮膜形成物質とからなる粒子状蓄熱材の製造方法であって、
    多孔質微粒子体(A)に、潜熱蓄熱物質と該潜熱蓄熱物質を溶解する溶媒とからなる含浸液(B)を用いて、多孔質微粒子体の細孔内に潜熱蓄熱物質を注入する工程1と、
    皮膜形成物質と極性溶媒とからなる皮膜形成溶液(C)を用いて、潜熱蓄熱物質が細孔内に注入された多孔質微粒子体を皮膜形成物質で被覆する工程2と、
    前記工程1で使用した含浸液(B)に含まれる溶媒および前記工程2で使用した皮膜形成溶液(C)に含まれる極性溶媒を除去する工程3と
    を有することを特徴とする粒子状蓄熱材の製造方法。
  2. 前記工程1において、前記含浸液(B)は前記潜熱蓄熱物質の濃度が20〜80重量%であり、多孔質微粒子体(A)と含浸液(B)との重量比[(A)/(B)]が0.1〜0.8である請求項1に記載の粒子状蓄熱材の製造方法。
  3. 前記工程2において、前記皮膜形成溶液(C)は前記皮膜形成物質の濃度が10〜50重量%であり、多孔質微粒子体(A)と皮膜形成溶液(C)の重量比[(A)/(C)]が0.4〜1.4である請求項1又は2に記載の粒子状蓄熱材の製造方法。
  4. 前記工程2において、前記潜熱蓄熱物質の融点以上の温度で皮膜形成を行う請求項1〜3のいずれかに記載の粒子状蓄熱材の製造方法。
  5. 請求項1〜4いずれかに記載の製造方法によって製造された粒子状蓄熱材であって、
    潜熱蓄熱物質を20〜90重量%含有し、潜熱量が30J/g以上であることを特徴とする粒子状蓄熱材。
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