JPH09510822A - 高温燃料セルの金属製の双極板およびこの板の製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 酸化クロムを形成する合金から成る、高温燃料セル用の金属双極板はガス案内面にアルミニウムを多く含む表面層を有し、この層の厚さは好ましくは 20 〜 200μm で、特に 50 〜 100μm である。酸化クロムを形成する合金としては、Cr合金、Cr-Ni合金、あるいは Cr-Fe合金が好ましく、特に Cr-5Fe-1Y₂O₃のようなクロムベース合金、あるいは 20 〜35重量％の Cr を有する鋼鉄のような鉄ベース合金である。双極板の表面輪郭には、特に Al 電極接触部を有するウェブ（２）により互いに分離された通路（４）があり、これ等の通路のガス案内表面（３）は Al を多量に含む層を有する。このような双極板を作製するため、予め作製された板の表面をアルミニウムを被覆してアルミニウムを所望の深さまで添加し、その後、アルミニウムを多量に含む層が電極接触面から、特に研磨により再び除去される。

Description

【発明の詳細な説明】 高温燃料セルの金属製の双極板およびこの板の製造方法 この発明は、高温燃料セルの金属製の双極板に関する。 高温燃料セル（固体酸化燃料セル - Solid Oxie Feul Cell- SOFC）は化学エ ネルギを電気エネルギに直接変換できく可能性を提供する。つまり、燃料（H_2,C H_4,CO_.等）を酸化剤（O_2,空気）により酸素を通す固体電解質（Ｙ安定化 ZrO₂） から分離される。セルの動作温度（〜 950℃）では、酸素は陰極側から電解質を 通して案内され、この電解質は陽極で燃料と反応する。電荷のバランスにより電 子の流れは同じ方向に流れる。 こうして、前記反応が十分高い効率で推移するように、電解質が多孔質で触媒 作用のある電極材料を被覆する必要がある。一般に、陽極（燃料側）は Ni/zrO₂ サーメット、陰極（酸素側）は LaMn ペロブスカイトで構成されている。 個々のセルで取り出せる電圧は、大変低い（＜１V）。それ故 SOFC を電流発 生のために利用できるには、多くのセルを一緒に接続する必要がある。従って、 他のセル部品がまだ必要である。つまり、双極板（あるいは内部コネクタ）であ る。電解質や大きさが 100μm の厚さになる電極とは逆に、双極板は目下議論さ れている SOFC の構想で数ミリメートルの厚さであり、大抵の構想では、ただ個 々のセル間でガスを案内する接続部材を形成するのでなく、セルの支持部材も形 成する（例えば、欧州特許第 0 338 823 A1 号明細書）。 案内されている動作温度（Ｔ〜 950℃）では、それ故、双極板は以下の特性を 有する。つまり、 １．十分な機械的強度、 ２．ガス気密性、 ３．簡単な（コストのかからない）製造性、 ４．セラミックス電極材料のような熱膨張、 ５．良好な導電性、 ６．酸化ガス（空気）や燃料（H₂O/H₂）中での耐食性、 ７．電極材料との共立性、 を有する。 目下のところ、双極板材料として二つの材料群が議論されている。つまり、La CrO₃ベースのセラミックスおよび金属製の高温材料である。後者はより良い強靱 性、より良好な導電性および簡単な加工性により最近推奨されている。必要な高 温ガス耐食性のため、Cr₂O₃ あるいは Al₂O₃を形成する高温材料のみが問題にな っている。その場合、NiCrあるいは NiCrAl ベースの合金が電解質や電極の熱膨 張係数 10・10^-6k^-1に比べて高すぎる（≒ 20・10^-6k^-1）ため今日の認識により 一般的に付着する。 現在の SOFC の構想として、特に二つのタイプの潜在的に適した合金が議論さ れている。即ち、 1） FeCrAl（ODS）合金（重量％での典型的な組成：Fe ベース、20 Cr，5 A l，0.5 Y₂O₃），この合金は高温で使用すると保護 Al₂O₃被覆層を形成す る。 2） Crベース（ODS）合金（典型的な組成：Cr ベース、5 Fe，1Y₂O₃），この 合金は高温で使用すると Cr₂O₃層を形成する。 これ等の内の（1）は、層が非常にゆっくりと成長する形成された Al₂O₃被覆 層の腐食防止特性のため、顕著な腐食安定性を示すが、この層形成により双極板 と電極の間の接触個所での接触抵抗が上昇すると言う問題が生じる。 合金（2）は熱膨張係数が小さいという大きな利点があるが、比較的急激に形 成された厚い Cr₂O₃層が剥離する傾向があるので、長時間使用するとガス通路中 のガス流に悪影響を与える。 その外、固体酸化燃料セル用の「バインダ材料」としてドイツ特許第 42 42 5 70 A1 号明細書には CrNi 合金と（混合物に対して）50 〜 85 重量％の酸化セ ラミックスから成る混合物が提示されている。この酸化セラミックスは、特にシ リコン酸化物あるいはアルミニウム酸化物から成り、熱膨張係数を調節するため に使用され、特別な構成の詳細および双極板としてのその可能な特性は読み取れ ない。 それ故、発明の目的は、顕著な腐食安定性と合わせた熱膨張にも係わらず、電 極の接触に関する問題も、ガスの流れに関する問題も示さない高温燃料セルの双 極板である。 この目的のために開発されたこの発明による双極板は、ガス案内面の領域にア ルミニウムの多い表面層を有する酸化クロムを形成する合金で構成されている。 この発明の他の特異性は、請求の範囲の従属請求項に提示されている。 双極板の材料の研究に基づき、高温燃料セルの通常の動作温度で、クロム合金 の上に酸化クロム層が形成され、これ等の層が高温（〜 950℃）で十分な導電性 を有し、その結果、双極板と電極の間の領域で電流の流れ案内に問題が生じない ことが確認されている。 双極板用の酸化クロム形成合金を使用して、それ故、材料の熱膨張が少ないた め特に良好な機械的な特性、および電極との問題のない接触が達成される。ガス 案内面の表面（特にガス通路の内面）にこの発明によりアルミニウムを多くする と、この領域で選択的にゆっくり成長した Al₂O₃層の腐食を緩和する良好な特性 をもたらす。 双極板材料としては、クロム合金、NiCr合金，FeCr合金あるいはクロム・ニッ ケル合金が考えられる。しかし、特に好ましくはクロム鉄合金が考えられる。ア ルミニウムの多い層は 20 〜 200μm，特に 50 〜 100μm の厚さを有する。 添付図面を参照し、一つの実施例の以下の説明に基づき、この発明をもっと詳 しく説明する。ここに示すのは、 第１図、陽極と陰極の間に配置された双極板の断面図、 第２図、第１図に示す製造時の双極板の一部、 第３図、中間にある電極と固体電解質を伴う双極板の積層列、 を模式的に示す。 第３図に示す図面は、面セル積層体（説明のため互いに話した形状にして示す ）の周知の実施タイプの燃料セルに相当する。 第１図は Cr ベース合金（例えば Cr-5Fe-1Y₂O₃;重量％の組成で））あるいは （t ≦ 900℃に対して）高クロム含有 Fe ベース合金（例えば 20 〜35重量％の 鋼鉄）で構成されている双極板を示す。典型的な形状（ガス通路を有する数ミリ メートルの厚さの板）は通常のタイプでは板材を切削加工して作製れているか、 あるいは粉末冶金法（MIM，WPP）による最終輪郭近似仕上げ（near-net-shape 法）を用いて作製れている。ガス通路４の側壁３を形成する板上のウェブ２は、 最初最終仕上げ形状で望ましいものより幾分大きめに仕上げてあり、ウェブの電 極接触面（端面）上の Al の多い層を最後に剥がすことを考えに入れている。 このように予備仕上げした双極板は、通常のアルミニウム被覆工程にかける。 これには、板を不活性材料（例えば Al₂O₃，90％），塩化物／フッ化物の活性剤 （例えば NaCl あるいは NH₄Cl，5 ％）およびアルミウム粉末（５％）から成る 粉末混合物にして高温（600 〜 1300 ℃）の保護雰囲気ガス（例えばアルゴン） の下に置く。典型的なアルミニムウム被覆条件は 1000 ℃で 3時間である。 この場合、板の表面（ガス通路のウェブおよび内面または壁の端面）にはアル ミニウムの多い領域が生じる。Cr ベース合金が存在すると、例えば Cr₅Al8 あ るいは Cr₄Al₉のタイプの金属間化合物の相が形成される。 表面に Al を多くするには、方法技術上の理由から望ましい場合、種々のアル ミニウム被覆技術あるいは他の方法も利用できる。例えば、ＣＶＤあるいはＰＶ Ｄである。 広い面積を機械的に簡単に加工する（例えば切削する）ことにより、この Al を多く含む層をウェブの端面ら離し、この層の最初の過剰な寸法（Ａ＋Ｂ）は切 削すべき材料の厚さ（Ｂ）に合わしてあり、この厚さはアルミニウムの多い領域 のアルミニウムの侵入深さより大きくすべきである。 こうして、双極板が最終輪郭のウェブの端面５で基本材料の組成（例えば Cr ベースあるいは FeCr ベースの合金）を有するが、ガス通路の「壁」３にアルミ ニウムの多い層があることになる。動作条件（空気と O₂ あるいは H₂/H₂O ある いは他の燃料混合物中で〜 950℃）の場合、このように形成された双極板はウェ ブの表面（即ち、電極との接触個所で）Cr₂O₃ベースの望ましい層を形成するが 、ガス通路の壁には Al₂O₃が生じる。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 バウマンス・フェルディナンド ドイツ連邦共和国、デー−52477 アルス ドルフ、タンネンストラーセ、６ (72)発明者 ニッケル・フーベルトウス ドイツ連邦共和国、デー−52428 ユーリ ッヒ、アム・ヴァルデック、５

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．双極板の材料がガス案内面（３）の領域でアルミニウムを多く含む表面層を 有するクロム酸化物を形成する合金で構成されていることを特徴とする高温燃料 セル用の金属双極板（１）。 ２．アルミニウムを多く含む表面層の肉厚は 20 〜 200μm であることを特徴と する請求の範囲第１項に記載の双極板。 ３．アルミニウムを多く含む表面層の肉厚は 50 〜 100μm であることを特徴と する請求の範囲第２項に記載の双極板。 ４．表面の輪郭はウェブ（２）で互いに分離された通路の内面（３）有する通路 （４）と電極の接触するウェブ表面（５）から成り、通路の内面（３）のみがア ルミニウムを多く含む層を有することを特徴とする請求の範囲第１〜３項の何れ か１項に記載の双極板。 ５．酸化クロムを形成する合金は、クロム合金、クロム・ニッケル合金あるいは クロク鉄合金であることを特徴とする請求の範囲第１〜４項の何れか１項に記載 の双極板。 ６．双極板の材料は、酸化クロムを形成する合金として、クロムベース合金、特 に Cr-5Fe-1Y₂O₃（重量％の組成表示で）あるいは鉄ベース合金、特に 20 〜 35 重量％を含む鋼鉄で構成されていることを特徴とする請求の範囲第５項に記載 の双極板。 ７．請求の範囲第１〜６項の何れか１項による双極板を製造する方法において、 ほぼ予備仕上げされた双極板の表面に所望の深さまでアルミニウムを添加し、そ の後、アルミニウムの多い双を電極の接触面から再び離すことを特徴とする方法 。 ８．表面をアルミニウムで被覆してアルミニウムを多くしていることを特徴とす る請求の範囲第７項に記載の方法。 ９．Al で被覆するため、Al 侵入層ほど厚くした電極接触面を有する予備仕上げ した双極板を使用し、次いで、この双極板を研磨してこの層を除去することを特 徴とする請求の範囲第７項または第８項に記載の方法。