JP2007066831A - 燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】 アノード電極層側の窒素ガス濃度の増大を抑制し、始動特性および利便性を良好に確保した燃料電池を提供すること。
【解決手段】 燃料電池スタックはMEA10およびセパレータ20を備えた単セルから形成される。このスタックには、外部からガスを供給する水素ガス供給配管31と空気供給配管32が接続され、未反応のガスを排出する水素ガス排出配管35と空気排出配管36が接続される。また、配管31,32にはガス供給側バルブ33,34が組み付けられ、配管35,36にはガス排出側バルブ37,38が組み付けられる。これらバルブ33,37はアノード電極層を含むアノード電極層側空間を密閉する。また、バルブ34,38はカソード電極層を含むカソード電極層側空間を密閉する。これにより、新たに空気の導入が防止されてアノード電極層側空間内の窒素ガス濃度の増大を抑制できる。
【選択図】 図1
【解決手段】 燃料電池スタックはMEA10およびセパレータ20を備えた単セルから形成される。このスタックには、外部からガスを供給する水素ガス供給配管31と空気供給配管32が接続され、未反応のガスを排出する水素ガス排出配管35と空気排出配管36が接続される。また、配管31,32にはガス供給側バルブ33,34が組み付けられ、配管35,36にはガス排出側バルブ37,38が組み付けられる。これらバルブ33,37はアノード電極層を含むアノード電極層側空間を密閉する。また、バルブ34,38はカソード電極層を含むカソード電極層側空間を密閉する。これにより、新たに空気の導入が防止されてアノード電極層側空間内の窒素ガス濃度の増大を抑制できる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、燃料電池、特に、電極構造体に固体高分子膜を用いた固体高分子型燃料電池に関する。
固体高分子型燃料電池においては、一般的に、カチオン(詳しくは水素イオン)を選択的に透過するイオン交換膜からなる電解質膜と、この電解質膜の燃料ガス(例えば、水素ガス)が導入される面に配置された触媒層およびガス拡散層からなるアノード電極層と、酸化剤ガス(例えば、空気)が導入される面に配置される触媒層およびガス拡散層からなるカソード電極層とから構成される膜−電極接合体(MEA:Membrane-Electrode Assembly)を備えている。
そして、この種の固体高分子型燃料電池においては、MEAのアノード電極層側に水素ガスが供給されると、水素ガスを水素イオンと電子とに電離する反応が起こり、電離した水素イオン(すなわちカチオン)が電解質膜中をカソード電極層側に移動する。また、MEAのカソード電極層側に空気が供給されると、空気中の酸素、水素イオンおよび電子から水を生成する反応が起きる。これにより、固体高分子型燃料電池は、外部に発電した電気を供給するようになっている。
ところで、固体高分子型燃料電池が電気を発電している状態においては、供給される水素ガスおよび空気は、MEAにおける反応によって消費される。しかしながら、発電していない状態においては、MEAの周囲に存在する水素ガスと空気、より詳しくは、アノード電極層側に存在する水素ガスとカソード電極層側に存在する空気が、MEAを構成する電解質膜を介して相互に透過(所謂、クロスリーク)する現象が生じる場合がある。この現象は、アノード電極層側に存在する気体の分圧とカソード電極層側に存在する気体の分圧とが非平衡であるときに生じる可能性が高くなる。
このクロスリークが生じてアノード電極層側からカソード電極層側に水素ガスが透過する場合には、透過した水素ガスは空気中の酸素ガスと反応することにより水が生成されて消費される。また、カソード電極層側からアノード電極層側に空気中の酸素ガスが透過する場合にも、透過した酸素ガスは水素ガスと反応することにより水が生成されて消費される。ところが、カソード電極層側からアノード電極層側に空気中の窒素ガスが透過すると、窒素ガスは不活性ガスであるために消費されず、アノード電極層近傍に不純物として存在する。このように、窒素ガスがアノード電極層近傍に存在すると、再度固体高分子型燃料電池が発電を開始する場合に、反応に必要な水素ガスが十分に確保できず、燃料電池の始動特性が悪化する可能性がある。
この課題に対して、例えば、下記特許文献1には、アノード電極層側の不純物濃度が増大したときに、出力を制御する燃料電池システムが示されている。この燃料電池システムは、燃料電池の運転停止時のスタック温度と外気温との差、および起動時のスタック温度と外気温との差を求めるようになっている。そして、この温度差から温度比を求め、同温度比に基づき、カソード電極層側からアノード電極層側に電解質膜を透過した窒素の濃度を推定するようになっている。このように、推定した窒素の濃度に応じて燃料電池の出力値を制限し、これにより、アノード電極層側の不純物濃度が高い状態での過度の発電を抑制するようになっている。
特開2004−172026号公報
上記従来の燃料電池システムによれば、例えば、長期間運転を停止した状態から再度運転を開始した場合には、アノード電極層側の不純物濃度(すなわち窒素ガス濃度)が増大しているため、出力を制限して過度の発電が抑制される。これにより、燃料電池に対する負担を軽減することができて燃料電池の寿命低下を抑制することができる。また、出力を制限することにより、発電開始直後に発生する可能性の高い不安定な出力状態を極力抑制することもできる。
しかしながら、この従来の燃料電池システムにおいては、特に燃料電池が運転停止中において、アノード電極層側の不純物濃度すなわち窒素ガス濃度が増大することを前提としている。すなわち、カソード電極層側からアノード電極層側に透過する窒素ガスを積極的に抑制する、言い換えれば、アノード電極層側における窒素ガス濃度の増大を積極的に抑制することに関しては考慮されていない。このように、アノード電極層側の窒素ガス濃度が増大することを前提として出力制限することは、燃料電池の始動特性を犠牲とするものであり、このことは、燃料電池の利便性を損なうことにも繋がる。したがって、始動特性に優れるとともに利便性の良好な燃料電池の開発が熱望されている。
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、アノード電極層側の不純物濃度の増大を抑制し、始動特性および利便性を良好に確保した燃料電池を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、イオン交換膜からなる電解質膜の一面側に形成したアノード電極層と、前記電解質膜の他面側に形成したカソード電極層とから構成される膜−電極接合体と、この膜−電極接合体に対して、燃料ガスと酸化剤ガスとを導入するためのガス流路を形成するセパレータと、前記膜−電極接合体と前記セパレータとを少なくとも含んで形成される単セルを複数積層することにより構成される燃料電池スタックに対して外部から燃料ガスと酸化剤ガスとを供給するとともに、前記燃料電池スタックから未反応の燃料ガスと酸化剤ガスとをそれぞれ排出するためのガス給排部材と、前記膜−電極接合体、前記セパレータのガス流路および前記ガス給排部材とから形成される空間であって、前記アノード電極層を含むアノード電極層側空間と前記カソード電極層を含むカソード電極層側空間とをそれぞれ密閉するための密閉部材とを備えたことにある。
これによれば、例えば、燃料電池の発電停止状態においては、燃料ガス(例えば、水素ガス)で満たされるアノード電極層側空間と酸化剤ガス(例えば、空気)で満たされるカソード電極層側空間とを、密閉部材によって密閉することができる。これにより、特に、カソード電極層側空間内においては、新たな酸化剤ガスの導入を防止することができ、カソード電極層側空間内に存在する酸化剤ガス中の窒素ガス量を制限することができる。したがって、カソード電極層側空間とアノード電極層側空間とでクロスリークが発生しても、カソード電極層側空間からアノード電極層側空間へ透過し得る窒素ガス量が制限されるため、アノード電極層側空間内の窒素ガス濃度の増大を効果的に抑制することができる。これにより、燃料電池の運転開始直後において、アノード電極層に燃料ガスを十分に供給することができ、燃料電池の良好な始動特性を得ることができるとともに良好な利便性を確保することができる。
また、本発明の他の特徴は、前記密閉部材を、前記燃料電池スタックと前記ガス給排部材との接続位置近傍に配置することにもある。これによれば、燃料電池スタック内に形成し得るアノード電極層側空間内の容積とカソード電極層側空間内の容積を小さくすることができる。特に、カソード電極層側空間内の容積を小さくすることによって、アノード電極層側空間へ透過し得る窒素ガス量をより少なくすることができるため、アノード電極層側空間内の窒素ガス濃度の増大をより効果的に抑制することができる。したがって、燃料電池の良好な始動特性を得ることができるとともに良好な利便性を確保することができる。
また、本発明の他の特徴は、前記密閉部材により密閉される前記アノード電極層側空間内の容積が前記密閉部材により密閉される前記カソード電極層側空間内の容積よりも大きいことにもある。これによれば、クロスリークの発生により、カソード電極層側空間からアノード電極層側空間に窒素ガスが透過しても、アノード電極層側を満たす燃料ガス(水素ガス)濃度に対する窒素ガス濃度を相対的に小さくすることができる。したがって、この場合も、燃料電池の良好な始動特性得ることができるとともに良好な利便性を確保することができる。
さらに、本発明の他の特徴は、前記セパレータは、前記ガス流路を形成するために、複数の筋状凹部と筋状凸部とが成形されるものであって、前記アノード電極層側空間を形成するセパレータの筋状凹部または筋状凸部の成形寸法が前記カソード電極層側空間を形成するセパレータの筋状凹部または筋状凸部の成形寸法よりも大きいことにもある。
これによれば、アノード電極層側空間を形成するセパレータの筋状凹部または筋状凸部の成形寸法を大きくすることにより、アノード電極層側空間内の容積をカソード電極層側空間の容積よりも大きくすることができる。これにより、クロスリークの発生により、カソード電極層側空間からアノード電極層側空間に窒素ガスが透過しても、アノード電極層側を満たす燃料ガス(水素ガス)濃度に対する窒素ガス濃度を相対的に小さくすることができる。したがって、この場合も、燃料電池の良好な始動特性を得ることができるとともに良好な利便性を確保することができる。
ここで、アノード電極層側空間内の容積をカソード電極層側空間の容積よりも大きくした場合、言い換えれば、カソード電極層側空間の容積をアノード電極層側空間の容積に比して小さくした場合においては、燃料電池の発電に伴ってカソード電極層側で発生した生成水の排水性が損なわれる場合がある。これにより、運転再開時における良好な始動特性が確保できない可能性がある。
したがって、この場合には、前記膜−電極接合体を、水酸化物イオンを選択的に透過する電解質膜と、前記電解質膜の一面側に形成されて、外部から導入される燃料ガスに含まれる分子状の水素を原子状の水素と電子とに電離するとともに、同電離した原子状の水素を固相拡散させるアノード電極層と、前記電解質膜の他面側に形成されて、外部から導入される酸化剤ガスに含まれる分子状の酸素と前記アノード電極層によって電離された電子とを用いて水酸化物イオンを生成するカソード電極層とから構成するとよい。この場合、前記アノード電極層は、例えば、原子状の水素を吸収および放出する水素吸蔵合金を主成分として形成したものであるとよい。
これらによれば、アノード電極層を、例えば、水素吸蔵合金を主成分として形成することができる。このため、アノード電極層は、外部から供給された分子状の水素(より具体的には、水素ガス)を原子状の水素(より具体的には、水素イオン)と電子とに電離することができる。そして、アノード電極層は、電離された原子状の水素を固相拡散により電解質膜に向けて移動させることができる。また、カソード電極層は、水酸化物イオンを生成し同水酸化物イオン(すなわちアニオン)を電解質膜に供給することができる。これにより、燃料電池の発電に伴って、アノード電極層側で生成水を発生させることができる。このように、生成水を容積の大きなアノード電極層側空間内で発生させることによって、発生した生成水を効率よく排水することができる。
また、アノード電極層を水素吸蔵合金を主成分として形成することにより、電離した一部の水素イオンを吸収(吸蔵)して放出することができる。これにより、例えば、アノード電極層側空間内の窒素ガス濃度が増大する状況であっても、アノード電極層は、燃料電池に運転開始直後において吸収(吸蔵)した水素イオンを放出することができる。これにより、反応に必要な水素イオンを供給することができ、燃料電池の良好な始動特性を確保することもできる。
以下、本発明の実施形態を、図面を用いて、詳細に説明する。図1は、本発明に係る燃料電池(より詳しくは、固体高分子型燃料電池)を構成する単セルの主要部を概略的に示している。そして、単セルは、複数積層されることにより、燃料電池スタックを形成する。この単セルは、燃料電池スタックの外部から燃料ガスおよび酸化剤ガスが供給されると、電極反応によって電気を発電するMEA10を備えている。
MEA10は、イオン交換膜からなる電解質膜11を備えている。電解質膜11は、カチオン(より具体的には、水素イオン(H+))を選択的に透過するイオン交換膜(例えば、デュポン社製ナフィオン(登録商標)など)から形成されるものである。そして、電解質膜11の燃料ガス(例えば、水素ガス)が導入される面すなわちアノード電極層側には触媒層12およびガス拡散層13が形成され、酸化剤ガス(例えば、空気)が導入される面すなわちカソード電極層側にも触媒層14およびガス拡散層15が形成される。
アノード電極層を構成する触媒層12およびカソード電極層を構成する触媒層14は、貴金属触媒(例えば、白金など)を担持したカーボン(以下、このカーボンを担持カーボンという)を主成分として形成される。具体的に説明すると、担持カーボンを水に分散させ、この分散液に対して、イソプロピルアルコールやポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの撥水材およびカチオン交換樹脂(例えば、ナフィオン(登録商標)溶液)からなる結着材を加えて混練する。そして、この混練した固形物をガス拡散層13,15に塗布することによって、触媒層12,14は形成される。
また、アノード電極層を構成するガス拡散層13およびカソード電極層を構成するガス拡散層15は、通気性を有しており、後述するセパレータ20により導入された水素ガスおよび空気を均一に拡散して触媒層12および触媒層14に供給するものである。このガス拡散層13,15は、それぞれ、撥水層と基材とから形成される。撥水層は、例えば、カーボン粒子を樹脂(例えば、PTFEなど)で結合することにより形成される。基材は、例えば、カーボン繊維から形成される。そして、ガス拡散層13,15は、撥水層に対して上述した触媒層12,14が塗布された状態で、例えば、ホットプレスなどによって電解質膜11に一体的に接合される。
このように構成されたMEA10のアノード電極層側およびカソード電極層側には、燃料電池の外部から導入される水素ガスおよび空気をそれぞれ供給する機能と、MEA10における反応によって発電された電気を集電するセパレータ20が設けられる。セパレータ20は、例えば、ステンレス薄板から形成されていて、同薄板に対して、図1に示すように、ガス流路としての多数の筋状凹部21および筋状凸部22が形成されて構成される。そして、セパレータ20は、図1に示すように、MEA10の電解質膜11と密着するように設けられる。なお、セパレータ20は、ステンレス薄板に代えて、例えば、金めっきなどの防食処理を施した鋼板などから形成することも可能である。また、セパレータ20は、金属に代えて、例えば、カーボンなど導電性を有する非金属材料から形成することも可能である。
また、単セルが複数積層されて構成される燃料電池スタックには、外部から同スタックに対して燃料ガスおよび酸化剤ガス(以下、これらをまとめてガスともいう)をそれぞれ供給するとともに、未反応のそれぞれのガスを燃料電池スタックの外部に排出するガス給排路30が組み付けられている。ガス給排路30は、図1に示すように、図示しない加湿装置により加湿された水素ガス(以下、この加湿された水素ガスを加湿水素ガスという)を燃料電池スタック(より詳しくは、各単セルのアノード電極層側)に導通する水素ガス供給配管31と、図示しない加湿装置により加湿された空気(以下、この加湿された空気を加湿空気という)を燃料電池スタック(より詳しくは、各単セルのカソード電極層側)に導通する空気供給配管32とを備えている。
そして、水素ガス供給配管31と空気供給配管32とには、それぞれ、加湿水素ガスおよび加湿空気の導入または遮断を行うガス供給側バルブ33,34が組み付けられている。これらのガス供給側バルブ33,34は、例えば、複数のポート位置を有していて、ガスの導入を許可するポート位置とガスの導入を禁止するポート位置とが電気的に制御されて切替えられる電磁バルブである。そして、これらガス供給側バルブ33,34は、燃料電池スタック内にガスを導入するための、言い換えれば、燃料電池スタックと水素ガス供給配管31と空気供給配管32との接続位置としての図示しない導入口近傍に組み付けられている。
また、ガス給排路30は、各単セルのアノード電極層側を導通した未反応の加湿水素ガスを外部に排出する水素ガス排出配管35と、カソード電極層側を導通した未反応の加湿空気を外部に排出する空気排出配管36とを備えている。これらの水素ガス排出配管35と空気排出配管36とには、それぞれ、未反応の加湿水素ガスおよび加湿空気の排出または遮断を行うガス排出側バルブ37,38が組み付けられている。これらのガス排出側バルブ37,38も、上記ガス供給側バルブ33,34と同様に構成された電磁バルブである。そして、これらガス排出側バルブ37,38は、燃料電池スタック内からガスを排出するための、言い換えれば、燃料電池スタックと水素ガス排出配管35と空気排出配管36との接続位置としての図示しない導出口近傍に組み付けられている。なお、水素ガス排出配管35は、未反応の水素ガスを導通する。このため、未反応の水素ガスを再利用するために、例えば、水素ガス排出配管35は、水素ガス供給配管31に接続されるようになっている。
このように構成された燃料電池スタックに対して、外部から水素ガスと空気が供給されると、MEA10のアノード電極層とカソード電極層にて化学反応(以下、電極反応という)が起きることによって、燃料電池は発電して外部に電気を供給する。以下、この電極反応について簡単に説明しておく。なお、燃料電池が発電する状態(以下、運転状態という)においては、ガス供給側バルブ33,34およびガス排出側バルブ37,38の各ポートは、ガスの導入を許可するポート位置に切り替えられるものとする。
まず、アノード電極層においては、燃料電池の外部から水素ガス供給配管31およびガス供給側バルブ33を介して供給された水素ガスは、セパレータ20の筋状凹部21内を導通することにより、ガス拡散層13に供給される。ガス拡散層13に供給された水素ガスは、一様に拡散して触媒層12に向けて供給される。触媒層12は、供給された水素ガスを水素イオンと電子とに電離する。そして、電離した水素イオン(すなわち、カチオン)は、電解質膜11中をカソード電極層側に移動する。また、電離した電子は、図示しない外部回路を介して、カソード電極層側に供給される。このように、電子が外部回路を流れることにより、燃料電池の外部に電気を供給することができる。
一方、カソード電極層においては、燃料電池の外部から空気供給配管32およびガス供給側バルブ34を介して供給された空気は、セパレータ20の筋状凸部22内を導通することにより、ガス拡散層15に供給される。ガス拡散層15に供給された空気は、一様に拡散して触媒層14に向けて供給される。触媒層14は、供給された空気に含まれる酸素ガス、水素イオンおよび電子から水を生成する。そして、これらの電極反応は、下記化学式1,2で示すことができる。
アノード電極層側:H2→2H++2e− …化学反応式1
カソード電極層側:2H++2e−+(1/2)O2→H2O …化学反応式2
アノード電極層側:H2→2H++2e− …化学反応式1
カソード電極層側:2H++2e−+(1/2)O2→H2O …化学反応式2
この運転状態にある燃料電池に対してガスの供給を停止すると、前記化学反応式1,2のよって示される電極反応が止まり、燃料電池は、運転の停止した状態(以下、この状態を停止状態)となる。そして、停止状態にある燃料電池においては、ガス供給側バルブ33,34およびガス排出側バルブ37,38の各ポートが、ガスの導入を禁止するポートに切り替えられる。
このように、各バルブ33,34,37,38のポートが切り替えられると、燃料電池スタック内部は密閉状態となる。具体的に説明すると、各単セルにおいては、MEA10のアノード電極層側の電解質膜11、セパレータ20の筋状凹部21、水素ガス供給配管31および水素ガス排出配管37によって形成される空間(以下、アノード電極層側空間という)がガス供給側バルブ33とガス排出側バルブ37により密閉される。また、MEA10のカソード電極層側の電解質膜11、セパレータ20の筋状凸部22、空気供給配管32および空気排出配管36によって形成される空間(以下、カソード電極層側空間という)がガス供給側バルブ34とガス排出側バルブ38により密閉される。
このように、アノード電極層側空間とカソード電極層側空間がそれぞれ密閉されることにより、アノード電極層側空間内に充満する水素ガスとカソード電極層側空間内に充満する空気に含まれる窒素ガスとが電解質膜11を介して互いに透過しても、すなわち、クロスリークが発生しても、アノード電極層側空間内の窒素ガスの濃度増大を抑制することができる。このことを、以下に具体的に説明する。
今、アノード電極層側空間内の窒素ガス濃度の増大抑制について理解を容易とするために、図2に示すように、カソード電極層側空間が密閉されない単セル構造を比較構造として考える。この比較構造においては、アノード電極層空間がガス供給側バルブ33およびガス排出側バルブ37によって密閉状態とされるのに対して、カソード電極層側空間が空気供給配管32および空気排出配管36を介して外部と常に導通可能な構造とされている。このため、燃料電池の停止状態においても、カソード電極層側に空気(加湿空気)が導入される。
この比較構造を採用した燃料電池について、停止状態におけるアノード電極層側空間内の窒素ガス濃度の変化を考察する。燃料電池が停止状態とされた直後においては、アノード電極層側空間内は、純粋な水素ガスで満たされている。言い換えれば、カソード電極層側に存在する空気を構成する酸素ガスおよび窒素ガスが存在しない状態である。このため、MEA10の電解質膜11を介して、アノード電極層側空間内とカソード電極層側とでは、酸素ガス濃度および窒素ガス濃度すなわち酸素ガス分圧および窒素ガス分圧が異なる。
このように、ガス分圧が異なる状態においては、アノード電極層側空間内とカソード電極層側の各ガス分圧が等しくなるように(すなわち、平衡状態となるように)、酸素ガスと窒素ガスが電解質膜11をカソード電極層側からアノード電極層側空間に透過する。ここで、酸素ガスについては、アノード電極層側空間内に透過すると、触媒層12により、水素ガスと水を生成する反応を起こして消費される。したがって、酸素ガスは、アノード電極層側空間内で不純物として存在しない。
一方、窒素ガスは、不活性ガスであるため、アノード電極層側空間内で安定して存在する。このため、窒素ガスは、アノード電極層側空間内で不純物として存在する。この窒素ガスの透過について、図3を用いて具体的に説明する。上述したように、比較構造においては、燃料電池を停止状態とした直後においては、図3(a)に示すように、カソード電極層側では、外部と導通可能状態であるため、窒素ガスの分圧は大気中の分圧と等しい0.08MPaとなる。一方、アノード電極層側空間内では、純粋な水素ガスで満たされているため、窒素ガスの分圧は、0MPaとなる。
この状態から時間が経過すると、窒素ガスは、分圧差によってカソード電極層側からアノード電極層側空間内へ電解質膜11を透過する。このとき、窒素ガスは、外部から常に供給可能であるため、図3(b)に示すように、アノード電極層側空間内の窒素ガスの分圧は0.08MPaまで増大する。言い換えれば、0,08MPaの分圧となるように、アノード電極層側空間内の窒素ガス濃度が増大する。このため、燃料電池を再度運転状態とした場合には、アノード電極層側空間内に存在する不純物としての窒素ガスにより、前記化学反応式1の進行が妨げられて、燃料電池の発電効率が低下する。
なお、アノード電極層側とカソード電極層側とでは、水素ガス分圧が異なる。このため、水素ガスは、MEA10の電解質膜11をアノード電極層側からカソード電極層側に透過する。しかしながら、カソード電極層側は、密閉されていないため、透過した水素ガスは、空気とともに外部に排出される。このため、水素ガスの停止状態における透過は、燃料電池の発電効率に影響を及ぼさない。
一方、アノード電極層側空間とカソード電極層側空間とが密閉される本実施形態の構造においても、上述した比較構造と同様に、アノード電極層側空間内とカソード電極層側空間内との間で窒素ガスの分圧が異なる。すなわち、燃料電池が停止状態とされると、ガス供給側バルブ33,34およびガス排出側バルブ37,38により、アノード電極層側空間とカソード電極層側空間とは密閉される。このため、アノード電極層側空間内は水素ガスにより満たされ、カソード電極層側空間は空気により満たされる。
したがって、アノード電極層側空間内とカソード電極層側空間内の窒素ガスの分圧が異なる。すなわち、燃料電池を停止状態とした直後においては、図4(a)に示すように、カソード電極層側空間内の窒素ガスの分圧が大気中の分圧と等しい0.08MPaであるのに対して、アノード電極層側空間内の窒素ガスの分圧は0MPaである。これにより、上述した比較構造と同様に、窒素ガスの分圧が平衡となるように、MEA10の電解質膜11を介してカソード電極層側空間からアノード電極層側空間に窒素ガスが透過する。
ところで、アノード電極層側空間およびカソード電極層側空間は、燃料電池スタックのガスを導入するための導入口近傍に組み付けられたガス供給側バルブ33,34と燃料電池スタックの未反応ガスを導出するための導出口近傍に組み付けられたガス排出側バルブ37,38によって密閉される。このため、アノード電極層側空間とカソード電極層側空間は、燃料電池スタックを形成したときに最小の容積となる。特に、カソード電極層側空間の容積を最小とすることによって、密閉される空気の量も最小となる。
したがって、アノード電極層側空間に透過し得る窒素ガスの量は制限される。このため、燃料電池が停止状態とされてから時間が経過すると、図4(b)に示すように、カソード電極層側空間内とアノード電極層側空間内の窒素ガスの分圧がともに0.04MPaとなる。言い換えれば、窒素ガスの分圧が0.04MPaとなるように、アノード電極層側空間内の窒素ガス濃度が増大する。
このように、カソード電極層側空間を密閉することにより、より具体的には、窒素ガスの供給を遮断することにより、アノード電極層側空間内の窒素ガス濃度増大を効果的に抑制することができる。すなわち、比較構造では、燃料電池の停止状態において、アノード電極層側空間内の窒素ガスの分圧(言い換えれば、窒素ガス濃度)が大気中の分圧と等しくなるまで増大するのに対して、本実施形態の構造では、アノード電極層空間内の窒素ガスの分圧(言い換えれば、窒素ガス濃度)の上昇が低く抑制される。したがって燃料電池を再度運転状態とした場合であっても、アノード電極層側空間内に存在する不純物としての窒素ガスの濃度が小さいため、前記化学反応式1の反応が良好に進行し、燃料電池の発電効率の低下が抑制される。
以上の説明からも理解できるように、本発明の燃料電池によれば、特に、カソード電極層側空間を密閉することにより、新たな空気の導入および導出を無くし、アノード電極層側空間内における窒素ガス濃度の増大を確実に低減することができる。これにより、停止状態にある燃料電池のアノード電極層側空間に存在する不純物を大幅に低減することができ、燃料電池を再度運転状態としたときには、MEA10における電極反応を速やかにかつスムーズに進行させることができる。したがって、燃料電池の始動特性を向上させることができ、燃料電池の利便性を良好に確保することができる。
上記実施形態においては、ガス供給側バルブ33,34およびガス排出側バルブ37,38によって、燃料電池スタックのアノード電極層側空間内の容積とカソード電極層側空間内の容積が等しくなるように、より詳しくは、各空間の容積が最小となるように、密封して実施した。特に、カソード電極層側空間内の容積を最小とすることにより、同空間内の空気に含まれる窒素ガスの量を最小とすることができ、この結果、アノード電極層側空間内の窒素ガス濃度の増大を抑制することができる。したがって、燃料電池を再度運転状態としたときには、速やかに前記化学反応式1の反応が進行し、燃料電池の発電効率を良好とすることができる。
このことに加えて、アノード電極層側空間内の水素ガス濃度に対する窒素ガス濃度を相対的に小さくすることによって、より速やかにかつスムーズに前記化学反応式1の反応を開始させることができる。以下、上記実施形態の第1変形例について説明する。なお、この第1変形例を説明するにあたり、上記実施形態と同一部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
この第1変形例においては、図5に示すように、アノード電極層側空間を密閉するガス供給側バルブ33とガス排出側バルブ37が、燃料電池スタックの導入口と導出口から離れた位置にて、水素ガス供給配管31と水素ガス排出配管35に組み付けられている。このように、ガス供給側バルブ33とガス排出側バルブ37を組み付けることにより、アノード電極層側空間内の容積をカソード電極層側空間内の容積に比して大きくすることができる。
そして、この第1変形例においても、燃料電池が停止状態とされると、上記実施形態と同様に、ガス供給側バルブ33,34とガス排出側バルブ37,38の各ポートは、ガスの導入を禁止するポート位置に切り替えられる。これにより、アノード電極層側空間とカソード電極層側空間が密閉されるため、上記実施形態と同様に、MEA10の電解質膜11を介して、カソード電極層側空間からアノード電極層側空間に窒素ガスが透過しても、アノード電極層側空間内の窒素ガス濃度の増大が抑制される。
さらに、この第1変形例によれば、アノード電極層側空間内の容積がカソード電極層側空間内の容積よりも大きい。このため、電解質膜11を介してカソード電極層側空間から窒素ガスが透過しても、アノード電極層側空間内の水素ガス濃度に対する窒素ガスの相対的な濃度上昇を低く抑制することができる。これにより、アノード電極層の触媒層12の周辺に存在する水素ガス濃度が相対的に高くなり、燃料電池が再び運転状態とされた場合には、前記化学反応式1で示される反応が速やかに開始される。したがって、燃料電池は、速やかにかつスムーズに発電を開始することができるとともに、発電効率を良好に確保することができる。
また、上記第1変形例においては、アノード電極層側空間を密閉するガス供給側バルブ33とガス排出側バルブ37の組み付け位置を、アノード電極層側空間内の容積を大きくするように変更して実施した。言い換えれば、アノード電極層側空間を構成する水素ガス供給配管31と水素ガス排出配管35の容積を大きくすることによって、アノード電極層側空間内の容積を大きくして実施した。
これに代えて、アノード電極層側空間を形成するセパレータ20の形状とカソード電極層側空間を形成するセパレータ20の形状を異ならせて実施することも可能である。以下、この第2変形例について説明するが、上記実施形態と同一部分に同一の符号を付し、その説明を省略する。
この第2変形例においては、上記実施形態で採用したセパレータ20の筋状凹部21および筋状凸部22の成形高さ寸法に比して、アノード電極層側空間を形成するセパレータ20は、図6に示すように、成形高さ寸法の大きな筋状凹部23および筋状凸部24が成形されている。一方、カソード電極層側空間を形成するセパレータ20は、筋状凹部21および筋状凸部22の成形高さ寸法に比して小さな筋状凹部25および筋状凸部26が成形されている。
このように、筋状凹部23および筋状凸部24を成形したセパレータ20を用いてアノード電極層側空間を形成するとともに、筋状凹部25および筋状凸部26を成形したセパレータ20を用いてカソード電極層側空間を形成することにより、これら空間内の容積を互いに異ならすことができる。より詳しくは、アノード電極層側空間内の容積をカソード電極層側空間内の容積よりも大きくすることができる。したがって、この第2変形例においても、上記実施形態および上記第1変形例と同様の効果が期待できる。
ここで、この第2変形例のように、カソード電極層側空間内の容積を小さくした場合には、上記化学反応式2に示す反応により生成した水の排水性が悪化する場合がある。これに対して、アノード電極層側空間内の容積は大きくなるため、電極反応に伴って生成する水を、アノード電極層側で生成させれば、生成水を効率よく排水することが可能となる。この場合には、MEA10の電解質膜11をアニオン(より具体的には、水酸化物イオン(OH+))を選択的に透過するイオン交換膜(例えば、トクヤマ社製ネオセプタ(登録商標)など)から形成するとよい。これにより、MEA10による電極反応は、下記の化学反応式3,4で示すようになり、アノード電極層側で生成水が発生するようになる。
アノード電極層側:H2+2OH−→2H2O+2e− …化学反応式3
カソード電極層側:(1/2)O2+H2O+2e−→2OH− …化学反応式4
アノード電極層側:H2+2OH−→2H2O+2e− …化学反応式3
カソード電極層側:(1/2)O2+H2O+2e−→2OH− …化学反応式4
ところで、上記のようにアノード電極層側で生成水が発生する場合には、発生した生成水により水素ガスの供給が阻害されるフラッディング状態が生じる場合があり、これにより、燃料電池の発電効率が低下する可能性がある。この場合には、上記した実施形態にて説明したように触媒層12およびガス拡散層13からアノード電極層を形成することに代えて、水素吸蔵合金を用いて触媒層のみを形成することにより、フラッディング状態の発生に伴う燃料電池の発電効率の低下を抑制することができる。
すなわち、水素吸蔵合金は、分子状の水素すなわち水素ガスを、原子状の水素(水素イオン(H+))と電子とに電離するとともに、電離した原子状の水素を吸収および放出することができる。なお、水素吸蔵合金としては、例えば、LaNi5で代表されるAB5型水素吸蔵合金、ZnMn2またはその置換体で代表されるAB2型(ラーベス相型)水素吸蔵合金、Mg2Niまたはその置換体で代表されるA2B型水素吸蔵合金、固溶体型V基水素吸蔵合金などから適宜選択するとよい。このような水素吸蔵合金を用いてアノード電極層側の触媒層を形成すれば、供給された水素ガスから電離した水素イオンは、触媒層中を固相拡散することによって、電解質膜11まで移動することができる。言い換えれば、水素吸蔵合金を用いて触媒層を形成することによって、供給された水素ガスは触媒層の粒界を気相拡散する必要がない。このため、アノード電極層側でフラッディング状態が発生しても、電極反応に必要な水素イオンを確実に電解質膜11方向に移動させることができる。したがって、燃料電池の発電効率の低下を抑制することができる。
また、触媒層に水素イオンを吸収(吸蔵)することができる。このため、例えば、燃料電池を停止状態から運転状態とした場合には、吸収(吸蔵)した水素イオンを放出させることにより、電極反応を進行させることができる。これにより、アノード電極層側空間内の窒素ガス濃度が増大している状況であっても、電極反応に必要な水素イオンを良好に供給することができるため、速やかにかつスムーズに電気を発電することができる。
本発明に実施にあたっては、上記実施形態および変形例に限定されることなく、本発明の目的を逸脱しない限り、種々の変形が可能である。
例えば、上記第2変形例においては、セパレータ20の筋状凹部および筋状凸部の成形高さ寸法を変更することにより、アノード電極層側空間内の容積がカソード電極層側空間内の容積よりも大きくなるように実施した。しかしながら、セパレータの筋状凹部または筋状凸部の成形幅寸法を変更することによっても、アノード電極層側空間内の容積をカソード電極層側空間内の容積より大きくすることができる。具体的には、アノード電極層側空間を形成するセパレータの筋状凹部の成形幅寸法を、カソード電極層側空間を形成するセパレータの筋状凸部の成形幅寸法よりも大きくすることにより実現することができる。
また、上記実施形態および各変形例においては、セパレータ20のガス流路としての筋状凹部21,23,25または筋状凸部22,24,26を矩形状に形成するように実施した。しかし、ガス流路の形状として他の形状を採用可能であることはいうまでもない。他の形状を採用した場合であっても、上記実施形態および各変形例と同様の効果が期待できる。
また、上記実施形態および各変形例においては、空気供給配管32と空気排出配管36に組み付けられる密閉手段を、電気的に制御可能なガス供給側バルブ34とガス排出側バルブ38とで構成した。しかし、例えば、燃料電池スタックが空気を直接導入する場合には、すなわち、空気供給配管32および空気排出配管36を設けない場合には、燃料電池スタックに形成された導入口および導出口を塞ぐことが可能な蓋状体を設けて実施することも可能である。この場合、カソード電極層側空間を密閉する程度が若干劣るものの、新たな空気の導入および導出を抑制することができるため、上記実施形態および各変形例と同様の効果が期待できる。
さらに、上記実施形態および各変形例においては、セパレータ20をステンレス薄板から成形して実施した。これに代えて、より効率よく燃料ガスおよび酸化剤ガスを供給するために、セパレータを、ガスの混流を防止するための平板状のセパレータ本体と、多数の貫通孔が形成された素材(例えば、多数の網目状の貫通孔が形成されたエキスパンドメタルまたは多数の貫通孔が形成されたパンチングメタルなど)に対して、多数の筋状凹部および筋状凸部を成形したガス流路形成部材とから構成して実施することも可能である。
10…MEA、11…電解質膜、12,14…触媒層、13,15…ガス拡散層、20…セパレータ、21,23,25…筋状凹部、22,24,26…筋状凸部、31…水素ガス供給配管、32…空気供給配管、33,34…ガス供給側バルブ、35…水素ガス排出配管、36…空気排出配管、37,38…ガス排出側バルブ
Claims (6)
- イオン交換膜からなる電解質膜の一面側に形成したアノード電極層と、前記電解質膜の他面側に形成したカソード電極層とから構成される膜−電極接合体と、
この膜−電極接合体に対して、燃料ガスと酸化剤ガスとを導入するためのガス流路を形成するセパレータと、
前記膜−電極接合体と前記セパレータとを少なくとも含んで形成される単セルを複数積層することにより構成される燃料電池スタックに対して外部から燃料ガスと酸化剤ガスとを供給するとともに、前記燃料電池スタックから未反応の燃料ガスと酸化剤ガスとをそれぞれ排出するためのガス給排部材と、
前記膜−電極接合体、前記セパレータのガス流路および前記ガス給排部材とから形成される空間であって、前記アノード電極層を含むアノード電極層側空間と前記カソード電極層を含むカソード電極層側空間とをそれぞれ密閉するための密閉部材とを備えたことを特徴とする燃料電池。 - 請求項1に記載した燃料電池において、
前記密閉部材を、前記燃料電池スタックと前記ガス給排部材との接続位置近傍に配置したことを特徴とする燃料電池。 - 請求項1に記載した燃料電池において、
前記密閉部材により密閉される前記アノード電極層側空間内の容積が前記密閉部材により密閉される前記カソード電極層側空間内の容積よりも大きいことを特徴とする燃料電池。 - 請求項1に記載した燃料電池において、
前記セパレータは、前記ガス流路を形成するために、複数の筋状凹部と筋状凸部とが成形されたものであって、
前記アノード電極層側空間を形成するセパレータの筋状凹部または筋状凸部の成形寸法が前記カソード電極層側空間を形成するセパレータの筋状凹部または筋状凸部の成形寸法よりも大きいことを特徴とする燃料電池。 - 請求項4に記載した燃料電池において、
前記膜−電極接合体を、
水酸化物イオンを選択的に透過する電解質膜と、
前記電解質膜の一面側に形成されて、外部から導入される燃料ガスに含まれる分子状の水素を原子状の水素と電子とに電離するとともに、同電離した原子状の水素を固相拡散させるアノード電極層と、
前記電解質膜の他面側に形成されて、外部から導入される酸化剤ガスに含まれる分子状の酸素と前記アノード電極層によって電離された電子とを用いて水酸化物イオンを生成するカソード電極層とから構成したことを特徴とする燃料電池。 - 前記アノード電極層は、原子状の水素を吸収および放出する水素吸蔵合金を主成分として形成したものである請求項5に記載した燃料電池。
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Legal Events
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