JPH09302172A - 帯電防止性スチレン系樹脂組成物 - Google Patents

帯電防止性スチレン系樹脂組成物

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JPH09302172A
JPH09302172A JP12427996A JP12427996A JPH09302172A JP H09302172 A JPH09302172 A JP H09302172A JP 12427996 A JP12427996 A JP 12427996A JP 12427996 A JP12427996 A JP 12427996A JP H09302172 A JPH09302172 A JP H09302172A
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resin
styrene
acid
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interfacial tension
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JP12427996A
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Ikuro Yamaoka
育郎 山岡
Shinji Inaba
真司 稲葉
Kiichi Yonetani
起一 米谷
Masahiko Takeuchi
正彦 竹内
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Nippon Steel Corp
Nippon Steel Chemical and Materials Co Ltd
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Nippon Steel Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 永久帯電防止性に優れ、かつ非常に強力な表
面クリーニング方法、例えば超音波を用いた表面洗浄
や、粘着テープの貼り付け、引き剥がしによる表面の付
着物除去、等の後でも表面外観を損なわない成形物の得
られるスチレン系樹脂組成物を提供すること。 【解決手段】 スチレン系樹脂(I)に対して、親水性
樹脂(II)を溶融混練して得られたスチレン系樹脂組成
物であって、該組成物中で(I)が 90〜99.5 重量%の
範囲でマトリックス相を形成し、(II)が 10〜0.5 重
量%の割合で粒子状の分散相を形成し、(I)と(II)
との界面の20℃における界面張力{単位;mN/m(ミリ
ニュートン/メートル)}が 2.0〜25 mN/m、該組成物中に分散
する(II)の重量平均粒子径(単位;μm)が 0.1 〜
4.0 μmであることを特徴とする。 【効果】 永久帯電防止性、耐洗浄性、耐層状剥離性が
ともに優れた成形品が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、帯電防止性に優
れ、且つ洗浄や払拭の条件に関わらず表面外観を損なわ
ない成形品が得られる帯電防止性スチレン系樹脂組成物
に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に樹脂成形品は電気絶縁性であるた
め、使用中に表面が帯電し、埃や汚れの付着により外表
面が汚れたり、紙やフィルムの貼り付き等の不都合が生
じる。また、電気・電子機器のハウジング等に用いた場
合にはICの誤作動や損傷を引き起こし易いという欠点
がある。そこで、これらの問題点を解決するために、以
下の方法が提案されている。(1) 樹脂自体を導電性の分
子構造とするか、または樹脂自体に多量の親水性基を導
入する。(2) 導電性フィラー、例えばカーボンブラック
や金属粉末を練り込む。(3) 界面活性剤や親水性樹脂等
の帯電防止剤を樹脂成形品の表面に塗布する。(4) 界面
活性剤や親水性樹脂等の帯電防止剤を帯電防止性を付与
したい樹脂に練り込む。
【0003】しかしながら(1)の方法は、用いる導電性
樹脂や親水性基導入樹脂の安定性、機械的性質、製造コ
スト等の点で実用性に乏しく、工業的に用いるには無理
がある。また(2)の方法は、工業的に用いられているが
導電性充填剤の配合により成形性、着色性、成形品外観
等が損なわれ用途が制限されて汎用性に欠ける。大型成
形品等には(3)の方法も試みられているが、塗布工程に
よるコストアップや表面不良等の問題を伴うため、工業
的用途は制限されているのが現状である。
【0004】これらに対し、(4)の方法は、上記のよう
な欠点が少なくユーザーのニーズに比較的よく応えるこ
とができるため、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、オ
レフィン系樹脂等の汎用樹脂、及びエンジニアリングプ
ラスチック等の帯電防止化を目的に工業的に広く用いら
れている。しかし、帯電防止剤として界面活性剤を用い
た場合は耐久性に問題があり、樹脂成形の表面に移行
した界面活性剤が、使用時の洗浄や払拭等で成形表面
から容易に除去されてしまうため、永久的な帯電防止性
が必要な用途には適さない。
【0005】特に最近では、OA機器、AV機器のハウジン
グ等を中心とする種々の樹脂成形品に対し、洗浄液によ
る洗浄や摩擦払拭等を想定した一般の使用条件下でも帯
電防止効果が喪失しない永久帯電防止性付与のニーズが
高まっており、このような用途には、マトリックス樹脂
に練り込むべき帯電防止剤として、親水性樹脂を用い
る。この場合、成形品の使用時における洗浄や払拭等で
容易に除去されないよう、樹脂に対する適度な親和性
(相溶性)と適度な分子量を有する親水性樹脂を使用する
のが一般的で、溶融混練により親水性樹脂をマトリック
ス樹脂中に分散させる手法を用いている。この結果、こ
れまでに上市された永久帯電防止性樹脂はいずれも、帯
電防止性を付与したい樹脂に特定の親水性樹脂を溶融混
練したものである(梅田憲章,末澤寛典,プラスチック
スエージ,4,104(1994))。
【0006】スチレン系樹脂に親水性樹脂を溶融混練す
ることにより永久帯電防止性を付与する具体例として、
例えば、ポリアミドエラストマー系の親水性樹脂を応用
した、ポリエーテルアミドエラストマーと変性ビニル系
重合体を用いる方法(特公平4−72855号公報)、ポリエ
ーテルアミドエラストマーとマレイミド系共重合体を用
いる方法(特開昭63−227648号公報)、ポリアミドイミ
ドエラストマーと変性スチレン系樹脂を用いる方法(特
開平2−255850号公報)等が知られており、また、ポリ
アルキレンオキサイド系の親水性樹脂を活用した、数平
均分子量 5万〜100 万のポリエチレンオキサイドとスル
ホン酸塩を用いる方法(特開平2−233743号公報)、分
子量 5000 以上のポリエチレングリコールとスチレンを
20 % 以上グラフトさせたポリエチレンワックスを用い
る方法(特開平4-23847号公報)等が知られている。
【0007】しかしながら、上記のポリアミドエラスト
マーやポリアルキレンオキサイド等を用いてスチレン系
樹脂に永久帯電防止性を付与するには、これらの親水性
樹脂を大量に配合する必要があり、得られる樹脂成形品
の特性の低下、特に、成形品表層部に露出した親水性樹
脂粒子の一部が洗浄や摩擦により離脱し、永久帯電防止
性や外観が損なわれたり、成形品表面が層状剥離する欠
点があった。これらを克服するためにマトリックス樹脂
と親水性樹脂の相溶性を高める工夫がなされている(堀
田寛史,プラスチックスエージ,11,134 (1993))が、
洗浄や払拭の条件によっては効果が不十分であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、永久
帯電防止性に優れ、且つ、非常に強力な表面クリーニン
グ方法、例えば超音波を用いた表面洗浄や、粘着テープ
の貼り付け、引き剥がしによる表面の付着物除去、等の
後でも表面外観を損なわない成形の得られるスチレン
系樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、スチレン
系樹脂に親水性樹脂を溶融混練した樹脂組成物におい
て、組成物中のスチレン系樹脂と親水性樹脂との界面に
おける界面張力の大きさと、組成物中に球状に分散する
親水性樹脂の粒子径を合わせ考慮することにより本課題
が解決可能であることを見出し、本発明に到達した。即
ち、本発明は、スチレン系樹脂(I)に対して、親水性
樹脂(II)を溶融混練して得られたスチレン系樹脂組成
物であって、(i)該組成物中で(I)が 90〜99.5 重
量%の範囲でマトリックス相を形成し、(II)が 10〜
0.5 重量%の割合で粒子状の分散相を形成し、(ii)
(I)と(II)との界面の 20 ℃における界面張力{単
位;mN/m(ミリニュートン/メートル)}が 2.0〜25 mN/m、
(iii)組成物中で球状に分散する(II)の重量平均粒
子径(単位;μm)が 0.1〜4.0 μmであることを特徴
とする帯電防止性スチレン系樹脂組成物である。
【0010】以下本発明を詳細に説明する。本発明にお
いて、スチレン系樹脂(I)と親水性樹脂(II)は、通
常の溶融混練と溶融成形が可能で、混練、成形後に樹脂
構造材や部品等として使用可能なだけの基本物性を有
し、スチレン系樹脂(I)と親水性樹脂(II)の界面張
力が上記の範囲内に入るものであれば、どのような種類
や分子構造のものでも用いることができる。本発明にお
けるスチレン系樹脂(I)とは、樹脂中にスチレン残基
または置換スチレン残基(以下、合わせてスチレン系残
基と称する)を必須構成成分として10重量%以上含有
するものであり、好ましくは50重量%以上含有するも
のである。該スチレン系残基を形成するスチレン系不飽
和単量体としては、スチレン、またはα−メチルスチレ
ン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、
3,4ージメチルスチレン等の置換スチレンが挙げら
れ、これらは1種のみならず、2種以上を併用すること
もできる。
【0011】また、該スチレン系樹脂は、スチレンまた
は置換スチレンと共重合可能な1種以上の他のビニル系
不飽和単量体と共重合されていてもよい。スチレン系不
飽和単量体と共重合可能なビニル系不飽和単量体として
は、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン
化ビニル単量体、アクリル酸またはメタクリル酸のアル
キルエステル(アルキル基としては、C1〜C18のメチ
ル、エチル、プロピル、n−ブチル、i−ブチル、ヘキシ
ル、2−エチルヘキシル、ドデシル、オクタデシル等)
及びエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタ
ンジオールなどとのエステル、酢酸、プロピオン酸等の
C1〜C6のカルボン酸のビニルエステル、アクリル酸、メ
タクリル酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸、無水マ
レイン酸等の不飽和ジカルボン酸無水物、アクリルアミ
ド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド
等の(メタ)アクリルアミド類、マレイミド、N−メチ
ルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−フェニルマレ
イミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のN置換マレイ
ミド、及びブタジエンなどの共役ジエンが好ましく挙げ
られ、なかでもアクリロニトリル、メタクリル酸メチ
ル、アクリル酸ブチル、N−フェニルマレイミド、無水
マレイン酸及びブタジエンが好ましい。これらの不飽和
単量体は1種のみならず、2種以上を併用してもよい。
【0012】該スチレン系樹脂の好ましい例としては、
ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、
スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン/ア
クリル酸ブチル共重合体、スチレン−ブタジエンブロッ
ク共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック
共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共
重合体等のスチレン−共役ジエンブロック共重合体及び
それらの水添物、ならびにこれらにゴム質重合体を含有
せしめたゴム含有スチレン系樹脂が挙げられる。これら
の樹脂は1種のみならず、2種以上組み合わせて使用し
てもよい。
【0013】ここで、ゴム質重合体とは、ガラス転移温
度が好ましくは 0 ℃以下、より好ましくは−20 ℃以下
のものであり、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン
共重合体、30 重量%までの(メタ)アクリル酸低級ア
ルキルエステルを含むスチレン/ブタジエン系共重合
体、ポリイソプレン、ポリクロロプレン等のジエン系ゴ
ムが好ましいものとして挙げられる。
【0014】他の適当なゴム質重合体の例としては、ア
クリル酸C1〜C8アルキル、特にアクリル酸エチル、ブチ
ル及びエチルヘキシルをベースとするアクリル酸アルキ
ルゴムが挙げられる。アクリル酸アルキルゴムは、30
重量%までの酢酸ビニル、メタクリル酸メチル、スチレ
ン、アクリロニトリル、ビニルエーテル等が共重合され
ていてもよく、さらに 5 重量%以下のアルキレンジオ
ール(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、シアヌ
ル酸トリアリルなどの架橋性不飽和単量体が共重合され
ていてもよい。アクリル酸アルキルゴムは、コアとして
1種または2種以上の架橋ジエンゴム、例えばポリブタ
ジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニト
リル−ブタジエン共重合体を含むコアーシェル型ゴムで
あってもよい。
【0015】その他の好ましいゴム質重合体としては、
エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン共重合
体等のエチレン−プロピレン−非共役ジエン系共重合
体、水添スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水添
スチレン−イソプレンブロック共重合体等が挙げられ
る。これらのゴムのうち、特に好ましいものとして、ポ
リブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリア
クリル酸ブチル系ゴム、及びエチレン−プロピレン−非
共役ジエン系共重合体が挙げられる。これらのゴムは、
必要に応じて2種類以上を併用してもよい。また、これ
らのゴムは、各種の不飽和単量体がグラフト(共)重合
されていてもよい。グラフト共重合される不飽和単量体
としては、前記したスチレン系樹脂を形成する不飽和単
量体が挙げられる。
【0016】本発明におけるゴム含有スチレン系樹脂の
好ましい例としては、ポリスチレンに、スチレン系不飽
和単量体がグラフトされていてもよいポリブタジエンゴ
ム、スチレン−ブタジエンランダム共重合体、スチレン
−ブタジエンブロック共重合体、水添スチレン−イソプ
レンブロック共重合体及びスチレン−イソプレンブロッ
ク共重合体から選ばれる少なくとも1種以上のゴム質重
合体を含有せしめてなる樹脂または樹脂組成物、及び、
スチレン- アクリロニトリル共重合体に、スチレン系不
飽和単量体及び共重合可能な他の不飽和単量体がグラフ
トされていてもよいポリブタジエンゴム、スチレン−ブ
タジエンランダム共重合体、ポリアクリル酸ブチル系ゴ
ム、エチレン−プロピレン−非共役ジエン系共重合体か
ら選ばれる少なくとも1種以上のゴム質重合体を含有せ
しめてなる樹脂または樹脂組成物が代表的である。
【0017】中でも、ポリスチレンとスチレンがグラフ
トされたポリブタジエンゴムからなる耐衝撃性ポリスチ
レン(HIPS)、及び、スチレン−アクリロニトリル共重
合体とスチレン−アクリロニトリルがグラフト共重合さ
れたポリブタジエンゴムよりなるアクリロニトリル- ブ
タジエン- スチレン共重合体(ABS)が、各種の物性バ
ランスの面から最も好ましい。本発明において、使用す
るゴム含有スチレン系樹脂中の好ましいゴムの含有量
は、1〜50重量%、さらには 3〜30 重量%であることが
より好ましい。
【0018】本発明のスチレン系樹脂(I)には、発明
の目的を妨げない範囲で、該スチレン系樹脂と相溶性の
比較的良い他の熱可塑性樹脂、例えばポリエチレン、ポ
リプロピレン等のオレフィン系樹脂、塩化ビニル樹脂、
アクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニ
レンエーテル、ポリアミド等のエンジニアリングプラス
チック等を配合し、マトリックス樹脂としての性能を改
良することができる。この場合、本発明ではこれらの樹
脂の混合物をスチレン系樹脂(I)とする。このような
混合物は、発明の目的を妨げなければ、組成物中で完全
相溶して1相系になっていても、部分相溶して2相系と
なっていてもよい。
【0019】次に、本発明における親水性樹脂(II)
は、水に溶解、あるいは水で膨潤する樹脂であり、エー
テル基、アミド基等の非イオン性の親水基を持っている
か、あるいは4級アンモニウム塩基、スルホン酸塩基の
ような解離基を持っている。このようなものとしては、
次の〔A〕〜〔G〕が挙げられる。 〔A〕下記〜等のポリエーテル類。 ポリアルキレンオキサイドおよびその誘導体。 ポリアルキレンオキサイドと他のポリマーとのブロッ
ク共重合体。(例えばポリエーテルアミド、ポリエーテ
ルエステル、ポリエーテルエステルアミド、ポリエーテ
ルアミドイミド等。) ポリアルキレンオキサイドをペンダント鎖とするグラ
フト共重合体。(例えばアルキレンオキサイド−エピハ
ロヒドリン共重合体、ポリアルキレングリコール−(メ
タ) アクリレート共重合体、ポリアルキレングリコール
をペンダント鎖として有するポリアルキレングリコール
−ポリエチレングラフト共重合体等。)
【0020】〔B〕上記した〔A〕のポリエーテル類と
アルカリ金属塩との複合体。 〔C〕4級アンモニウム塩基含有 (共)重合体類。(例
えば、4級アンモニウム塩基含有 (メタ) アクリレート
共重合体、4級アンモニウム塩基含有 (メタ) アクリル
アミド共重合体、4級アンモニウム塩基含有マレイミド
共重合体、4級アンモニウム塩基含有メタクリルイミド
共重合体等。)
【0021】〔D〕スルホン酸塩基含有 (共)重合体
類。(例えばポリスチレンスルホン酸塩等。) 〔E〕上記した〔A〕のポリエーテル類と〔C〕の4級
アンモニウム塩基含有 (共)重合体または〔D〕スルホ
ン酸塩基含有 (共)重合体との混合物。 〔F〕ベタイン含有 (共)重合体類。(例えばカルボベ
タイングラフト共重合体等。) 〔G〕高分子電荷移動型結合体等 が挙げられる。
【0022】上記〔A〕のポリエーテル類、〔C〕の4
級アンモニウム塩基含有 (共)重合体類、〔D〕のスル
ホン酸塩基含有 (共)重合体類、〔F〕のベタイン含有
(共)重合体類等は、同じ類に属する2種以上の樹脂を混
合して用いてもよい 。(例えばポリエーテル類の場合、
ポリアルキレンオキサイドとポリエーテルエステルアミ
ドの混合物。)
【0023】ポリエーテル類の中で、ポリアルキレン
オキサイドおよびその誘導体の例としては、ポリ(エチ
レンオキサイド)、ポリ(1, 2 −プロピレンオキサイ
ド)、ポリ(1, 3 −プロピレンオキサイド)、ポリ
(テトラメチレンオキサイド)、エチレンオキサイドと
プロピレンオキサイド、またはエチレンオキサイドとテ
トラメチレンオキサイドのブロックまたはランダム共重
合体、ビスフェノール類のエチレンオキサイド付加物、
ビスフェノール類の1, 2 −プロピレンオキサイド付加
物、及びそれらのジオール、ジアミン、ジカルボン酸、
エステル化物ならびに両末端または片末端のアルキルま
たはアリールエーテル化物が挙げられ、これらは2種以
上を混合して用いてもよい。特に好ましくは、ポリ(エ
チレンオキサイド)が帯電防止性が優れるため用いられ
る。
【0024】またポリアルキレンオキサイドと他のポ
リマーとのブロック共重合体の中で、ポリエーテルアミ
ドは、ポリアルキレンオキサイドジアミンとポリアミド
形成成分から、ポリエーテルエステルは、ポリアルキレ
ングリコールとポリエステル形成成分から、ポリエーテ
ルエステルアミドは、ポリアルキレングリコールやポリ
アミド形成成分およびジカルボン酸類から、ポリエーテ
ルアミドイミドは、ポリアルキレングリコールやポリア
ミド形成成分および3価または4価の芳香族カルボン酸
またはその酸無水物からそれぞれ好ましくは形成され
る。
【0025】ここで、該ブロック共重合体におけるポリ
アミド形成成分としては、ω−アミノカプロン酸、ω−
アミノエナント酸、ω−アミノカプリル酸、ω−アミノ
ペルゴン酸、ω−アミノカプリン酸及び11−アミノウン
デカン酸、12−アミノドデカン酸等のアミノカルボン
酸、あるいはカプロラクタム、エナントラクタム、カプ
リルラクタム及びラウロラクタム等のラクタム、及びヘ
キサメチレンジアミンーアジピン酸塩、ヘキサメチレン
ジアミン−セバシン酸塩及びヘキサメチレンジアミンー
イソフタル酸塩等のジアミンージカルボン酸の塩等、及
びそれらの混合物が挙げられる。特に好ましくは、カプ
ロラクタム、12−アミノドデカン酸、ヘキサメチレンジ
アミンーアジピン酸塩が用いられる。
【0026】またポリエステル形成成分としては、ジカ
ルボン酸として、イソフタル酸、テレフタル酸、フタル
酸、ナフタレン−2, 6ージカルボン酸、ナフタレン−2,
7−ジカルボン酸、ジフェニル− 4, 4'−ジカルボン
酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、3 ースルホイソ
フタル酸ナトリウム等の芳香族ジカルボン酸、1, 4−シ
クロヘキサンジカルボン酸、1, 2 −シクロヘキサンジ
カルボン酸、1, 3−シクロブタンジカルボン酸、1, 3−
シクロペンタンジカルボン酸、1, 3−ジカルボキシメチ
ルシクロヘキサン、1, 4−ジカルボキシメチルシクロヘ
キサン、及びジシクロヘキシル−4, 4'−ジカルボン酸
等の脂環式ジカルボン酸、及びコハク酸、シュウ酸、ア
ジピン酸、セパシン酸、デカンジカルボン酸等の脂肪族
ジカルボン酸等、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0027】また、脂肪族ジオールとして、エチレング
リコール、1, 2−プロピレングリコール、1, 3−プロピ
レングリコール、1, 2−、1, 3−、2, 3−または1, 4−
ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1, 6−ヘキ
サンジオール等、及びそれらの混合物が挙げられる。特
に好ましくは、ジカルボン酸としてテレフタル酸、イソ
フタル酸、1, 4−シクロヘキサンジカルボン酸、セバシ
ン酸、また脂肪族ジオールとして、エチレングリコー
ル、1, 2−プロピレングリコール、1, 3−プロピレング
リコール、1, 4−ブタンジオールが用いられる。
【0028】ポリエーテルエステルアミド形成成分とし
てのジカルボン酸類は、上記のポリエステル形成成分と
して例示したものが用いられる。ポリエーテルアミドイ
ミド形成成分としての3価または4価の芳香族カルボン
酸、あるいはこれらカルボン酸の無水物としては、アミ
ノ基と反応して少なくとも1つのイミド環を形成しうる
ものであり、具体的には、3価のトリカルボン酸とし
て、1, 2, 4−トリメリット酸、1, 2, 5−ナフタレント
リカルボン酸、2, 6, 7−ナフタレントリカルボン酸、
3, 3', 4−ジフェニルトリカルボン酸、ベンゾフェノン
−3, 3', 4−トリカルボン酸、ジフェニルスルホン−3,
3', 4−トリカルボン酸、ジフェニルエーテル−3, 3',
4−トリカルボン酸等が挙げられる。またこのような4
価のカルボン酸としては、ピロメリット酸、ジフェニル
−2, 2', 3, 3'−テトラカルボン酸、ベンゾフェノン−
2, 2', 3, 3'−テトラカルボン酸、ジフェニルスルホン
−2,2', 3, 3'−テトラカルボン酸、ジフェニルエーテ
ル−2, 2', 3, 3'−テトラカルボン酸等が挙げられる。
【0029】〔C〕の4級アンモニウム塩基を含有する
(共)重合体を構成する4級アンモニウム塩基構造単位
の例としては、下記の一般式 (A) (式中の R1 は水素原子またはメチル基であり、R2〜R4
は水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1〜
9のアルキル基、 n は1〜10の数、X は酸素原子ま
たはイミノ基 ( =N-H 基)、Y- は一価の無機あるいは有
機の酸基、または無機酸あるいは有機酸の相応する等価
物を表わす。)で表されるものであり、これはアミンを
有する(メタ)アクリレートまたは(メタ)アクリルア
ミドが四級化剤によって四級化されたものである。
【0030】ここでアミンを有するアクリレートまたは
メタクリレートの具体例としてはジメチルアミノエチル
アクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジ
メチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエ
チルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリ
レート、ジメチルアミノブチルメタクリレート、ジプロ
ピルアミノエチルメタクリレート、ジブチルアミノエチ
ルメタクリレート、ジヒドロキシエチルアミノエチルメ
タクリレート等が挙げられる。
【0031】アミンを有するアクリルアミドまたはメタ
クリルアミドの具体例としてはジメチルアミノエチルア
クリルアミド、ジエチルアミノエチルアクリルアミド、
ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、ジエチルアミ
ノエチルメタクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメ
タクリルアミド、ジメチルアミノブチルメタクリルアミ
ド、ジプロピルアミノエチルメタクリルアミド、ジブチ
ルアミノエチルメタクリルアミド、ジヒドロキシエチル
アミノエチルメタクリルアミド等が挙げられる。
【0032】四級化剤としてはジメチル硫酸、ジエチル
硫酸、ジプロピル硫酸等のアルキル硫酸類、p-トルエン
スルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸メチル等のスル
ホン酸エステル類、ジメチル亜硫酸等のアルキル亜硫酸
類、トリメチルホスフェイト等のアルキルリン酸類、ア
ルキルベンジルクロリド、ベンジルクロリド、アルキル
クロリド、アルキルブロミド等の各種ハライド特に、ア
ルキル硫酸類およびスルホン酸エステル類が耐熱安定性
の点より好ましい。上記一般式中のnは1〜10である
が、nが2〜6が特に好ましい。
【0033】本発明における〔C〕の4級アンモニウム
塩基を含有する (共)重合体は、上記一般式 (A) で例示
されるような4級アンモニウム塩基構造単位のみから成
っていてもよいが、該4級アンモニウム塩基構造単位を
30重量%以上含有していれば、その他の構造単位を含
むことも差し支えない。このような構造単位としては、
スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p
−tert−ブチルスチレン、3, 4−ジメチルスチレン等の
芳香族ビニル化合物や、前記のスチレン系樹脂 (I) の
項において例示したスチレン系不飽和単量体と共重合可
能なビニル系不飽和単量体と同様の単量体から誘導され
る構造単位が挙げられる。
【0034】これらの構造単位のうち、スチレン、アク
リロニトリル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチ
ル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸エチル、メタクリ
ル酸ブチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタ
クリル酸ドデシル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、ア
クリルアミド、N, N−ジメチルアクリルアミド、β−ヒ
ドロキシエチルメタクリレート等が好ましいが、本発明
の樹脂組成物から得られる成形品の帯電防止性、耐洗浄
性、耐層状剥離性やその他の物性を保持あるいは高める
という目的等のため、その他の構造単位も好適に選ばれ
る。
【0035】例えば、アクリロニトリルのような極性の
高い構造単位またはスルホン酸基、リン酸基、カルボン
酸基等のようなイオン性置換基を含む構造単位を選択す
ると、帯電防止性が更に向上する。また、本発明のマト
リックス相を形成するスチレン系樹脂 (I)を構成す
る構造単位と同一か、または該樹脂(I)と適度な相溶
性を有する樹脂を構成する構造単位と同一のものを用い
ると、本発明の樹脂組成物から得られる成形品の帯電防
止性や、耐洗浄性、耐層状剥離性を永久的に保つ上で特
に有利である。
【0036】スチレン系樹脂(I)の重量平均分子量は
10 万から 75 万の範囲に入るのが好ましい。(I)と
(II)を溶融混練、成形して得られる帯電防止樹脂成形
品の強度や剛性、耐衝撃性、耐熱性等の基本物性は、構
成樹脂(I)と(II)の基本物性や配合比に左右される
が、マトリックス相となる(I)の基本物性の影響が大
きい。(I)の重量平均分子量が10万未満の場合、
(I)の基本物性レベルが低く通常の使用に耐える帯電
防止樹脂成形物が得られない。また、(I)の重量平均
分子量が 75 万を越える場合、溶融粘度が高く溶融混練
や溶融成形が困難となる。
【0037】親水性樹脂(II)の数平均分子量は 2000
から 200 万の範囲に入るのが好ましい。(I)と(I
I)を溶融混練、成形して得られる帯電防止樹脂成形品
中で(II)は分散相となるため、(II)が成形物の基本
物性に及ぼす影響は(I)の場合ほど大きくない。特に
(II)の配合比が5重量%以下の場合はその影響が小さ
いため、基本物性レベルが甚だ不十分な数平均分子量 2
000 から 7000 程度のものでも使用できる。ただし、数
平均分子量が 2000 未満の場合は、成形品表層部に分散
する(II)が洗浄や払拭等により失われ易く、永久帯電
防止性を保持できない。また、(II)の数平均分子量が
200 万を越える場合、溶融粘度が高く溶融混練や溶融
成形が困難となる。
【0038】本発明の組成物のマトリックス相を形成す
るスチレン系樹脂(I)の配合割合は 90〜99.5 重量
%、好ましくは 94〜99.5 重量%であり、一方分散相を
形成する親水性樹脂(II)は 10〜0.5 重量%、好まし
くは 6〜 0.5 重量%であることが必要である。(II)
の配合割合が 10 重量%を越えると、洗浄や払拭により
成形物の表面外観が損なわれるばかりか、基本物性が著
しく低下し通常の使用に耐えられなくなる。また(II)
の配合割合が 0.5 重量%未満の場合は、十分な帯電防
止効果が得られない。
【0039】本発明者らは、理論的アプローチと実験的
検証の両面から鋭意検討を重ねた結果、本発明の樹脂組
成物から得られる成形品が十分な帯電防止効果を永久的
に持続し、且つ洗浄や払拭の条件に関わらず良好な表面
外観を維持できるか否かを決める重要な因子が、驚くべ
きことに、樹脂(I)と樹脂(II)間の界面張力である
ことを見出した。両樹脂間の界面張力を厳密に評価する
ためには、溶融混練時の温度下で、混練により生じる剪
断流動場(動的平衡状態)における動的界面張力を直接
測定するのが最も望ましいが、以下の (a)〜(c) で説明
する理由により、 20 ℃で測定した固体状態(静的平衡
状態)における界面張力を指標として差し支えない。
【0040】(a) 20 ℃における界面張力を用いる妥当
性、 樹脂−樹脂間の界面張力γの温度依存性(−(∂γ/∂
T)、Tは温度変数)は、両樹脂の密度(ρ1、ρ2)の温
度依存性の差(∂(ρ1−ρ2)/∂T)の関数で、例え
ば、スチレン系樹脂が関わる系での界面張力の温度依存
性は、相手樹脂に関わらず 0.005〜0.01 mN / m・K 程
度である。(S. Wu,J. Macromol. Sci.−Revs. Macrom
ol. Chem.,C10(1),1 (1974))。従って、スチレン系
樹脂が関わる系では、20 ℃における界面張力は、溶融
混練温度(スチレン系樹脂が関わる系では通常 180 ℃
〜280 ℃)における界面張力に比べ一律に 1〜 2 mN
/m程度大きく、これは相手樹脂の種類に概ね無関係で
ある。そのため、相手樹脂を種々取り替えた場合の界面
張力の変化は、20 ℃における場合と溶融混練温度にお
ける場合とで同様であり、20 ℃における界面張力は、
溶融混練温度における界面張力レベルをよく反映する。
【0041】(b) 静的平衡状態における界面張力を用い
る妥当性 同一温度下では、樹脂の組み合わせに関わらず、静的平
衡状態における界面張力と溶融混練時の動的平衡状態に
おける界面張力とは1 mN/m 程度の差しかない(H.
Vanoene,J. Coll. Interf. Sci.,40(3),448(197
2))。そのため、樹脂の組み合わせを種々替えた場合の
界面張力の変化は、静的平衡状態における場合と動的平
衡状態における場合とで同様であり、静的平衡状態にお
ける界面張力は、動的平衡状態における界面張力レベル
を十分に反映する。
【0042】(c) 高温の溶融状態での界面張力測定の困
難性 高温の溶融樹脂間の界面張力測定には、Drop Profile
法(一方の溶融樹脂中に他方の溶融樹脂の液滴を作り、
両者の界面が平衡状態に達するのを待って液滴の輪郭
(プロファイル)を解析することにより界面張力を求める
方法。PendentDrop 法、Sessile Bubble 法、Rotating
Bubble 法等がある。) が一般に用いられるが、樹脂の
高粘弾性のため、樹脂界面が平衡状態に達するのに数時
間から場合により 10 時間以上を要し測定が非効率的な
だけでなく、樹脂を長時間高温状態に保持するため熱劣
化を引き起こしかねない(S. Wu,J. Macromol. Sci.−
Revs. Macromol. Chem.,C10(1),1 (1974))。
【0043】本発明者らは、市販の親水性樹脂を用いて
溶融状態でのスチレン系樹脂(I)−親水性樹脂(II)
の界面張力測定に Pendent Drop 法を適用できるかどう
か予備検討を行なった結果、これらを長時間高温溶融状
態に保持した時、吸着した水分等で親水性樹脂に変性や
劣化が生じ、測定雰囲気の管理を厳密に行なっても上記
手法による高温の溶融状態での界面張力測定が困難、と
の結論を得た。20 ℃で固体状樹脂間の界面張力を評価
するためには、拡張Fowkes 法(畑敏雄,高分子,17(19
6),594(1968);北崎寧昭,畑敏雄,日本接着協会誌,
8,131(1972);畑敏雄,日本接着学会誌,30,567(199
4))を用いれば、本発明に関わる親水性樹脂(II)を含
む系においても精度のよい界面張力評価が可能なことを
確認した。
【0044】拡張Fowkes 法とは、物質の表面張力を構
成する3つの分子間力成分(分子の分散力が関わる非
極性成分、)分子双極子の配向及び誘起効果に基づく
極性成分、分子間の水素結合成分)の値が全て既知の
3種類の液体状標準物質を用い、これらが固体状被験樹
脂の清浄平滑面に対して作る接触角のデータから被験樹
脂の表面張力を構成する3つの分子間力成分を全て求
め、これらをもとに、被験樹脂どうしの界面張力を算出
する方法である。被験樹脂を溶融状態にまで加熱する必
要がないだけでなく、樹脂表面に滴下された低粘度の標
準物質が短時間で平衡状態に達するため、迅速な測定が
できる。そこで、本発明におけるスチレン系樹脂(I)
−親水性樹脂(II)界面の界面張力測定には、この拡張
Fowkes 法を用いた。
【0045】樹脂(I)と樹脂(II)の界面の 20 ℃に
おける界面張力(単位;mN/m)は 2.0〜25 mN/
m、好ましくは 3.0〜20 mN/mであることが必要で
ある。このような場合、両樹脂の溶融混練により樹脂
(I)相内で樹脂(II)が適度な大きさの粒子状に分散
し、更に、このような組成物から得られる成形品の表層
部に分散する樹脂 (II)の粒子が洗浄や払拭により失
われない。なお界面張力は、樹脂(I)と樹脂(II)の
組み合わせが決まれば必然的に決まるので、本発明では
両者の選定が重要となる。該界面張力が 2.0 未満の場
合、樹脂(I)と樹脂(II)の混和性が良いため樹脂
(II)相内に樹脂(I)が多量に溶け込み、分散粒子中
の樹脂(II)濃度が相当量低下し十分な帯電防止効果が
得られない。また、界面張力が 25 を越える場合、樹脂
(I)と樹脂(II)の相溶性が非常に悪いため両相間の
界面接着力が弱く、成形物表層部に分散する樹脂(II)
の粒子が洗浄や払拭により簡単に失われ、永久的な帯電
防止性が得られないだけでなく、成形物の表面外観が著
しく損なわれる。
【0046】本発明樹脂組成物中で(の中心部及びその
近傍に)球状に分散する樹脂(II)の重量平均粒子径
(単位 μm)は 0.1〜 4.0 μm、好ましくは 0.15〜
3.5 μmであることが必要である。 0.1 μm未満の場
合、成形後の成形物表層部で隣り合う樹脂(II)粒子間
の隔たりが大きくなり、十分な帯電防止効果が得られな
い。また 4.0 μmを越える場合、洗浄や払拭により表
層部の粒子が失われ易く、成形物の表面外観が損なわれ
る。この平均粒子径を上記の範囲内に収めるには、先
ず、配合割合と界面張力の両方を本発明の範囲内に収め
ることが必要である。その上で、主として樹脂(I)と
樹脂(II)の溶融混練時の粘度比で調整する。一般的に
分散粒径に対する各因子の影響力は、スクリュ付押出機
を使用して混練した場合、下記のようにスクリュ回転数
よりも配合割合/又は界面張力のほうがはるかに大き
い。 配合割合/又は界面張力>溶融粘度比>>スクリュ回転
数。
【0047】本発明の樹脂組成物には、得られる成形物
中に分散する親水性樹脂(II)の分散性や永久帯電防止
効果を損なわない範囲で、帯電防止剤を添加して帯電防
止性を一層向上させることも可能である。添加する帯電
防止剤は通常使用されているものが利用できるが、親水
性基と疎水性基とを有する界面活性剤型の帯電防止剤が
好ましく、例えば、アルキルサルフェート、アルキルア
リルサルフェート、アルキルアシッドホスフェート、ア
ルキルホスフェート等のアニオン型帯電防止剤、アミン
中和塩、4級アンモニウム塩、錯イオン性塩等のカチオ
ン型帯電防止剤、ベタイン、スルフォベタイン、重金属
塩等の両性イオン型帯電防止剤、アルキルアミン脂肪酸
中和物等のアニオン/カチオン中和型帯電防止剤、ソル
ビタン脂肪酸エステル、モノグリセリド、数平均分子量
が 2000 未満のポリアルキレンオキサイド系 (共)重合
オリゴマーあるいはポリアルキレングリコール系 (共)
重合オリゴマー、トリアルキルホスフェート等の非イオ
ン型帯電防止剤、アミンオキサイド、ビスグリセリルボ
レートモノアルキレート等の半極性型帯電防止剤が挙げ
られる。
【0048】帯電防止剤以外にも、得られる成形物中に
分散する親水性樹脂(II)の分散性や永久帯電防止効果
を損なわない範囲で、顔料、染料、可塑剤、離型剤、酸
化防止剤、安定剤、難燃剤等の各種添加剤やガラス繊
維、炭素繊維、マイカ、タルク、炭酸カルシウム、硫酸
バリウム等の強化フィラー、あるいは数平均分子量が 2
000未満の各種オリゴマー等を添加することができる。
【0049】本発明において、溶融混練に用いる混練機
は、各種のロール、バンバリミキサー等の2ローター付
インターナルミキサー、スクリュ式押出機、その他の混
練機のいずれでもよいが、親水性樹脂(II)を効率良く
分散させることができるスクリュ式押出機が最も一般的
に用いられる。また、溶融成形には、成形品の用途や形
状に応じ、射出成形機、押出成形機、ブロー成形機、圧
縮成形機等が用いられる。
【0050】押出成形機は、スクリュ式押出機にシート
やフィルム、丸棒、中空柱材等の成形品を賦形する各種
のダイを取り付けたものである。成形中に樹脂(II)の
分散粒子が会合し著しく肥大したり、分散粒子がさらに
分割され著しく細分化される(本発明の範囲外になる)
と、溶融混練で得た樹脂(II)の分散粒径が成形品表層
部の粒子分散形態に反映されなくなるため、成形中に溶
融樹脂を長く滞留させたり、過度な剪断を加えないよう
にする必要がある。
【0051】本発明において、溶融混練時のマトリック
ス樹脂(I)−親水性樹脂(II)間の界面張力γと、組
成物中心部及びその近傍で球状に分散する樹脂(II)の
粒子径dの両方を特定することにより、永久的な帯電防
止性を発現し、且つ洗浄や払拭の条件に関わらず良好な
表面外観を維持できる成形物が得られる理由を説明す
る。本発明において樹脂(I)と樹脂(II)間の界面張
力は、前項で述べたように、両樹脂の混和性を決める重
要な因子である。界面張力が小さすぎると混和性が良す
ぎるため、表面抵抗率の低下に直接寄与する樹脂(II)
の分散粒子内に樹脂(I)が多量に拡散し、該分散粒子
中の樹脂(II)濃度が相当量低下する。そのため、たと
え成形物表層部に該分散粒子が密集していても、十分な
帯電防止効果が得られない。
【0052】また、界面張力が大きすぎると両樹脂間の
相溶性が非常に悪くなるため、両相間の界面が薄く脆弱
で、成形品表層部に分散する樹脂(II)の粒子が洗浄や
払拭により簡単に失われる。そのため永久的な帯電防止
性が得られないだけでなく、成形品の表面外観が著しく
損なわれる。このように、樹脂(I)−樹脂(II)間の
界面張力は、分散相内の親水性樹脂(II)濃度や樹脂
(I)−樹脂(II)間の界面接着力という樹脂の分子挙
動に関わる熱力学的因子を左右し、帯電防止性、帯電防
止機能の永久的持続性、表面外観に大きな影響を及ぼす
が、分子よりはるかに大きな分散粒子の形状(成形品表
層部での筋状変形度等)を直接的に左右する因子でない
ため、成形後の成形品表層部で隣り合う樹脂(II)粒子
間の隔たりに大きな影響を及ぼさない。
【0053】一方、組成物中で球状に分散する樹脂(I
I)の粒子径は、成形後の表層部で隣り合う樹脂(II)
粒子間の隔たりを直接的に大きく左右する因子の一つで
あり、組成物内部の粒子径の大小は、成形後の成形品表
層部における隣接粒子間の隔たりの大小によく反映され
ることが判明した。そこで、界面張力に加え、粒子径の
範囲をも特定することにより、得られる成形の帯電防
止性とその永久的持続性、耐洗浄性、耐層状剥離性の同
時発現という目的が達成できる。
【0054】本発明は以上のような考え方に基づきなさ
れたもので、スチレン系樹脂(I)と親水性樹脂(II)
の特定量からなる組成物に対し、さらに界面張力γと粒
子径dを特定すれば、得られる成形表層部で隣り合う
樹脂(II)粒子間の隔たりが十分に小さくなり帯電防止
性に優れるだけでなく、望ましい帯電防止機能を永久的
に持続し、さらに洗浄や払拭の条件に関わらず表面外観
を損なわない成形品が得られる。
【0055】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を、具体
的な実施例により説明する。なお、実施例における評価
は以下の方法によった。 (1) 組成物中のスチレン系樹脂(I)−親水性樹脂(I
I)間の界面張力:組成物中の樹脂(I)−樹脂(II)
界面の界面張力を直接測定することは不可能なため、以
下のような方法で界面張力を算出した。スチレン系樹脂
(I)、親水性樹脂(II)のそれぞれについて、樹脂の
清浄平滑面に滴下した3種の液体状標準物質が作る接触
角を 20 ℃の乾燥雰囲気下で測定し、既に述べた拡張 F
owkes の理論に従い、両樹脂間の 20 ℃における界面張
力を算出した。スチレン系樹脂(I)の接触角測定に
は、表面が平滑な射出成形平板(100mm×100mm×3.0mm
厚)を被験試料に用いた。また、親水性樹脂(II)は通
常の雰囲気中では吸湿性が強く射出成形できないため、
表面が平滑な圧縮成形平板(110mm×110mm×2.0mm厚)を
被験試料とした。
【0056】(2) 樹脂組成物中における親水性樹脂 (I
I) の重量平均粒子径:樹脂組成物中心付近から平滑面
を切り出し、極性溶媒により親水性樹脂(II)を除去し
た後、粒子が除かれた後の凹みの残る処理面の走査型電
子顕微鏡写真を画像解析することにより得た。
【0057】(3) 成形品の表面抵抗率:100mm×100mm×
3.0mm厚の射出成形板を十分に真空乾燥後、23℃、湿度
50%RH 雰囲気下に 24 時間静置して調湿したものを用
い、電圧印加後1分後の値(1分値)を測定した。
【0058】(4) 成形品の耐洗浄性:100mm×100mm×3.
0mm厚の射出成形板を 50 ℃の水中で 90 分間超音波洗
浄し、表面観察により、以下のように3段階に評価し
た。 ◎:極めて良好、○:良好、×:表面粗度の悪化や層状
剥離が見られる。
【0059】(5) 成形品の耐層状剥離性:100mm×100mm
×3.0mm厚の射出成形板表面に粘着剤の付いた市販のガ
ムテープを密着させ、勢いよく剥がした後の表面観察に
より、以下のように3段階に評価した。 ◎:層状剥離なし、○:層状剥離が少し見られる、×:
著しい層状剥離が見られる。
【0060】
【実施例】
実施例1〜3 マトリックス樹脂(I)としてポリスチレン A1(重量
平均分子量 45.6 万)、スチレン−メタクリル酸メチル
ランダム共重合体 B1及び B2(但し B1;スチレン含有
量 68 重量%、重量平均分子量 21.0 万、B2;スチレン
含有量 38 重量%、重量平均分子量 15.2 万)、親水性
樹脂(II)としてポリエーテル誘導体(ポリエチレング
リコールをペンダント鎖として持つポリエチレングリコ
ール−ポリエチレングラフト共重合体;ポリエチレング
リコール含有量 66 重量%、数平均分子量約 4000)を
選び、それぞれのマトリックス樹脂について、マトリッ
クス樹脂−ポリエーテル誘導体間の界面張力を測定し
た。
【0061】次いで、A1、B1、B2 のそれぞれについ
て、マトリックス樹脂 97 重量%とポリエーテル誘導体
3 重量%を混合した。ポリエーテル誘導体の帯電防止
効果を促進する目的でこの混合物 100重量部に対しアニ
オン型界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリ
ウム)を1重量部添加し、二軸スクリュ式押出機(スク
リュ直径 30mm)を用いてシリンダ温度 210 ℃、スクリ
ュ回転数 100 rpm で溶融混練した。得られた組成物を
シリンダ温度 210 ℃、金型温度 40 ℃で成形板(100mm
×100mm×3.0mm厚)に射出成形し、成形物中心付近のポ
リエーテル誘導体の平均分散粒子径、表面抵抗率、耐洗
浄性、耐層状剥離性を評価した。測定結果を表1に示
す。
【0062】
【表1】
【0063】実施例4〜6 マトリックス樹脂(I)として実施例1〜3で用いたポ
リスチレン A1、スチレン−メタクリル酸メチルランダ
ム共重合体 B1、B2、また親水性樹脂(II)として4級
アンモニウム塩基含有共重合体(スチレン−メチルメタ
クリレート−ジメチルアミノエチルメタクリレート・ジ
エチル硫酸塩のランダム共重合体;数平均分子量約 24
万、組成(重量%):スチレン/メチルメタクリレート/
ジメチルアミノエチルメタクリレート・ジエチル硫酸塩
=9/7/84)を選び、それぞれのマトリックス樹脂
について、マトリックス樹脂−4級アンモニウム塩基含
有共重合体間の界面張力を測定した。
【0064】次いで、A1、B1、B2 のそれぞれについ
て、マトリックス樹脂 93 重量%と4級アンモニウム塩
基含有共重合体7重量%を二軸スクリュ式押出機(スク
リュ直径 30mm)を用いてシリンダ温度 210 ℃、スクリ
ュ回転数 100 rpmで溶融混練した。得られた組成物をシ
リンダ温度 210 ℃、金型温度 40 ℃で成形板(100mm×1
00mm×3.0mm厚)に射出成形し、成形物中心付近の4級ア
ンモニウム塩基含有共重合体の平均分散粒子径、表面抵
抗率、耐洗浄性、耐層状剥離性を評価した。測定結果を
表2に示す。
【0065】
【表2】
【0066】実施例7 マトリックス樹脂(I)として実施例3のスチレン−メ
タクリル酸メチルランダム共重合体 B2、また親水性樹
脂 (II)として市販のポリエーテルエステルアミド(A
TOCHEM製 PEBAX,4011MA 001)を選び、B2−ポリエーテ
ルエステルアミド間の界面張力を測定した。次いで、B2
を 91 重量%とポリエーテルエステルアミドを 9重量
%とを二軸スクリュ式押出機(スクリュ直径 30mm)を
用いてシリンダ温度 210 ℃、スクリュ回転数 100 rpm
で溶融混練した。得られた組成物をシリンダ温度 210
℃、金型温度 40 ℃で成形板(100mm×100mm×3.0mm厚)
に射出成形し、成形物中心付近のポリエーテルエステル
アミドの平均分散粒子径、表面抵抗率、耐洗浄性、耐層
状剥離性を評価した。測定結果を表3に示す。
【0067】
【表3】
【0068】比較例1〜3 マトリックス樹脂(I)として実施例1〜3で用いた A
1、B1、B2、親水性樹脂(II)として実施例4〜6で用
いた4級アンモニウム塩基含有共重合体を選び、A1、B
1、B2のそれぞれについて、マトリックス樹脂 80 重量
%と4級アンモニウム塩基含有共重合体 20 重量%を二
軸スクリュ式押出機(スクリュ直径 30mm)を用いてシ
リンダ温度 210 ℃、スクリュ回転数 100 rpmで溶融混
練した。得られた組成物をシリンダ温度 210 ℃、金型
温度 40 ℃で成形板(100mm×100mm×3.0mm厚)に射出成
形し、成形物中心付近の4級アンモニウム塩基含有共重
合体の平均分散粒子径、表面抵抗率、耐洗浄性、耐層状
剥離性を評価した。測定結果を表4に示す。
【0069】
【表4】
【0070】比較例4〜6 マトリックス樹脂(I)として実施例1〜3で用いた A
1、B1、B2、親水性樹脂(II)として実施例4〜6で用
いた4級アンモニウム塩基含有共重合体を選び、A1、B
1、B2のそれぞれについて、マトリックス樹脂 99.7 重
量%と4級アンモニウム塩基含有共重合体 0.3 重量%
を二軸スクリュ式押出機(スクリュ直径 30mm)を用い
てシリンダ温度 210 ℃、スクリュ回転数 100 rpmで溶
融混した。得られた組成物をシリンダ温度 210 ℃、金
型温度 40 ℃で成形板(100mm×100mm×3.0mm厚)に射出
成形し、成形物中心付近の4級アンモニウム塩基含有共
重合体の平均分散粒子径、表面抵抗率、耐洗浄性、耐層
状剥離性を評価した。測定結果を表5に示す。
【0071】
【表5】
【0072】比較例7 マトリックス樹脂(I)としてスチレン−メタクリル酸メ
チルランダム共重合体B3(スチレン含有量 12 重量%、
重量平均分子量 13.2 万)、親水性樹脂(II)として実
施例1〜3で用いたポリエーテル誘導体を選び、B3とポ
リエーテル誘導体間の界面張力を測定した。次いで、B3
を 97 重量%とポリエーテル誘導体を3 重量%それぞれ
混合した。ポリエーテル誘導体の効果を高める目的で、
この混合物 100 重量部に対し低分子量界面活性剤(ド
デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)を1重量部添加
し、二軸スクリュ式押出機(スクリュ直径 30mm)を用
いてシリンダ温度 210 ℃、スクリュ回転数 100 rpmで
溶融混練した。得られた組成物をシリンダ温度 210
℃、金型温度 40 ℃で成形板(100mm×100mm×3.0mm厚)
に射出成形し、成形物中心付近のポリエーテル誘導体の
平均分散粒子径、表面抵抗率、耐洗浄性、耐層状剥離性
を評価した。測定結果を表6に示す。
【0073】
【表6】
【0074】比較例8〜9 マトリックス樹脂(I)としてポリスチレン A2、A3
(重量平均分子量はそれぞれ 11.0 万、70.8 万)、親
水性樹脂(II)として実施例4〜6で用いた4級アンモ
ニウム塩基含有共重合体を選び、それぞれのマトリック
ス樹脂について、マトリックス樹脂−4級アンモニウム
塩基含有共重合体間の界面張力を測定した。次いで、A
2、A3 のそれぞれについて、ポリスチレン 93 重量%と
4級アンモニウム塩基含有共重合体 7 重量%を二軸ス
クリュ式押出機(スクリュ直径 30mm)を用いてシリン
ダ温度 210 ℃、スクリュ回転数 100 rpmで溶融混練し
た。得られた組成物をシリンダ温度 210 ℃、金型温度
40 ℃で成形板(100mm×100mm×3.0mm厚)に射出成形し、
成形物中心付近の4級アンモニウム塩基含有共重合体の
平均分散粒子径、表面抵抗率、耐洗浄性、耐層状剥離性
を評価した。測定結果を表7に示す。
【0075】
【表7】
【0076】比較例10〜11 マトリックス樹脂(I)としてスチレン−メタクリル酸
メチルランダム共重合体 B1及び B3、また親水性樹脂
(II)として実施例7〜8で用いた市販のポリエーテル
エステルアミドを選び、それぞれのマトリックス樹脂に
ついて、マトリックス樹脂−ポリエーテルエステルアミ
ド間の界面張力を測定した。次いで、B1、B3 のそれぞ
れについて、マトリックス樹脂 91 重量%とポリエーテ
ルエステルアミド 9重量%を二軸スクリュ式押出機(ス
クリュ直径 30mm)を用いてシリンダ温度 210 ℃、スク
リュ回転数 100 rpmで溶融混練した。得られた組成物を
シリンダ温度 210 ℃、金型温度 40 ℃で成形板(100mm
×100mm×3.0mm厚)に射出成形し、成形物中心付近のポ
リエーテルエステルアミドの平均分散粒子径、表面抵抗
率、耐洗浄性、耐層状剥離性を評価した。測定結果を表
8に示す。
【0077】
【表8】
【0078】表1〜3から明らかなように、本発明の樹
脂組成物(実施例1〜7)に関して以下のことが明白で
ある。マトリックス樹脂(I)と親水性樹脂(II)の配
合割合、両樹脂間の界面張力、組成物中心部及びその近
傍において球状に分散する樹脂(II)の粒子径を本特許
記載の範囲内に特定することにより、得られる成形物の
表面抵抗率が 1013Ω/□ 以下となり優れた帯電防止性
を発現するだけでなく、耐洗浄性、耐層状剥離性をも兼
備する成形物が得られる。一方、親水性樹脂(II)の配
合割合が 10 重量%を越える場合(比較例1〜3)は耐
洗浄性と耐層状剥離性が劣り、親水性樹脂(II) の配合
割合が 0.5 重量%未満の場合(比較例4〜6)は帯電
防止性が不十分である。粒子径が 0.1 μm未満の場合
は帯電防止性が不十分であり(比較例7)、粒子径が
4.0 μm を越える場合は、帯電防止性が不十分(比較
例8)か、または耐洗浄性と耐層状剥離性が劣る(比較
例9)。界面張力が 2.0 mN/m 未満の場合(比較例1
0)、及び 25 mN/mを越える場合(比較例11)は、い
ずれも帯電防止性が不十分である。
【0079】
【発明の効果】本発明により、永久帯電防止性、耐洗浄
性、耐層状剥離性がともに優れた成形品を得ることがで
きる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 米谷 起一 神奈川県横浜市青葉区柿の木台19−15 (72)発明者 竹内 正彦 神奈川県川崎市多摩区栗谷1−5−1

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スチレン系樹脂(I)に対して、親水性
    樹脂(II)を溶融混練して得られたスチレン系樹脂組成
    物であって、(i)該組成物中で(I)が 90〜99.5 重
    量%の範囲でマトリックス相を形成し、(II)が 10〜
    0.5 重量%の割合で粒子状の分散相を形成し、(ii)
    (I)と(II)との界面の 20 ℃における界面張力{単
    位;mN/m(ミリニュートン/メートル)}が 2.0〜25 mN/m、
    (iii)組成物中で球状に分散する(II)の重量平均粒
    子径(単位;μm)が 0.1 〜 4.0 μmであることを特
    徴とする帯電防止性スチレン系樹脂組成物。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003068861A1 (fr) * 2002-01-31 2003-08-21 Atofina Compositions de polymeres styreniques antistatiques
JP2004217929A (ja) * 2002-12-27 2004-08-05 Sanyo Chem Ind Ltd 帯電防止性樹脂組成物及びその成形体
JP2009191146A (ja) * 2008-02-14 2009-08-27 Kao Corp 熱可塑性樹脂組成物

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