JPH09291192A - 帯電防止樹脂組成物およびその成形品 - Google Patents

帯電防止樹脂組成物およびその成形品

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JPH09291192A
JPH09291192A JP10803596A JP10803596A JPH09291192A JP H09291192 A JPH09291192 A JP H09291192A JP 10803596 A JP10803596 A JP 10803596A JP 10803596 A JP10803596 A JP 10803596A JP H09291192 A JPH09291192 A JP H09291192A
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JP
Japan
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copolymer
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antistatic
molecular weight
styrene
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Withdrawn
Application number
JP10803596A
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English (en)
Inventor
Shinji Inaba
真司 稲葉
Ikuro Yamaoka
育郎 山岡
Masahiko Takeuchi
正彦 竹内
Kiichi Yonetani
起一 米谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Nippon Steel Chemical and Materials Co Ltd
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Nippon Steel Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 樹脂本来の物性を低下させない持続性帯電防
止樹脂組成物を提供することを目的とする。 【解決手段】 熱可塑性樹脂に帯電防止剤を配合してな
る帯電防止樹脂組成物において、帯電防止剤が下記式
(1)で示される四級アンモニウム塩を有する単量体単
位20〜80%とこれと共重合可能なビニル系若しくは
ビニリデン系単量体単位80〜20%とを含有する共重
合体であり、しかも共重合体の重量平均分子量Mwが2
00,000〜1,000,000であり、重量平均分
子量Mwと数平均分子量Mnの比で表される分子量分布
が3〜10であることを特徴とする。 (但し、式中R1は重合可能な炭素−炭素2重結合を有
する1価の基、R2、R3及びR4は水素又は置換基を有
していてもよい炭素数1〜9のアルキル基、X-は一価
の無機若しくは有機の酸基又は無機酸若しくは有機酸の
相応する等価物を示す)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は良好で持続性のある
帯電防止性を有する熱可塑性樹脂組成物及び該組成物か
らなる成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、各種家電やOA機器の低価格化が
進行しており、これらに使用されるハウジング、カバー
等に於ても低コスト化の要求が強く、塗装、その他の二
次加工なしでも表面に新たな機能を有する樹脂が求めら
れている。一方、一般にこれらハウジング等に使用され
るプラスチックは電気抵抗値が大きく、摩擦、剥離等に
よって容易に帯電し、ゴミや埃を吸引して外観を損ねる
等のトラブルの原因となっている。また、その他の成形
品、フィルム、シート等の分野においても様々な障害と
なっており、特に、最近ではエレクトロニクス部品の運
搬用コンテナや包装材でICの誤動作や損傷を防止する
ため信頼性の高い帯電防止性材料が求められている。
【0003】このようなプラスチックへの帯電防止性の
付与について一般的には(1)樹脂自体を導電性の分子
構造とする、(2)帯電防止剤の表面塗布を行う、
(3)帯電防止剤を樹脂内部に練り込む、等の方法が行
われている。他にも導電性フィラーの導入、またはプラ
スチック表面構造の改質、すなわちプラズマ処理等の方
法が行われている。しかしながら、(1)の方法は用い
る導電性樹脂の機械的性質、製造コスト等の点で実用性
に乏しく、工業的には適さない。(2)の方法は非常に
良好な帯電防止性を示すが水洗、摩擦等によって帯電防
止性は簡単に失われてしまう。また、塗布工程によるコ
ストアップや表面特性の変化等の問題が伴うため用途が
制限される。さらに(3)の帯電防止剤を内部に練り込
む方法は、一般的に低分子の界面活性剤が用いられる
が、この方法では持続性のある帯電防止性を付与するこ
とが困難であり、表面に存在する帯電防止剤を水洗、摩
擦等の手段で除いてしまうと帯電防止性が失われてしま
うという問題があった。
【0004】そこで、このような問題点を解消するため
スチレン系樹脂に親水性樹脂を練り込むことにより持続
性のある帯電防止性を付与する方法が近年行われてい
る。具体例として、例えば、ポリアミドエラストマーと
変性ビニル系共重合体を用いる方法(特公平4−728
55号公報)や、ポリエーテルアミドエラストマーと変
性ビニル系共重合体を用いる方法(特開昭63−227
648号公報)、ポリアミドイミドエラストマーと変性
スチレン系樹脂を用いる方法(特開平2−255850
号公報)、数平均分子量5万〜100万のポリエチレン
オキサイドとスルホン酸塩を用いる方法(特開平2−2
33743号公報)、分子量5000以上のポリエチレ
ングリコールとスチレンを20%以上グラフトさせたポ
リエチレンワックスを用いる方法(特開平4−2384
7号公報)等が知られている。
【0005】しかしながら、ポリアミドエラストマーや
ポリエチレンオキサイドを用いてスチレン系樹脂に持続
性のある帯電防止性を付与するためには、これらの樹脂
を大量に添加する必要があり、スチレン系樹脂の各種特
性に大きな低下を生ずると共に、材料価格が高くなって
しまうという問題がある。また、ポリアミドエラストマ
ーやポリエチレンオキサイドによる帯電防止発現機構
は、これらの樹脂の吸湿速度に支配されるため、成形直
後からの帯電防止効果が発現し難いという問題がある。
【0006】また、重合可能な炭素−炭素二重結合と四
級アンモニウム塩を有する単量体単位を含有する共重合
体型の帯電防止剤は、特開昭63−54467号、特公
昭46−97号、特公昭49−16033号公報や、こ
れらの公報に先行文献として記載されている特公昭43
−7236号、アメリカ特許2831781号、イギリ
ス特許835550号公報等で古くから知られている。
これは熱可塑性樹脂に練り込むなどして配合し、帯電防
止剤に熱可塑性樹脂との親和性のある樹脂を共重合させ
たり、熱可塑性樹脂と反応結合させ、持続的な帯電防止
効果を与えるものであるが、十分な帯電防止効果を得る
ためには多量の帯電防止剤を配合する必要があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、特別な工程
を必要とせず、少量の配合量で良好な帯電防止性を永久
的に持続させ、かつ熱可塑性樹脂本来の物性も低下させ
ない持続性帯電防止樹脂組成物及びその成形品を提供す
ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは検討の結
果、共重合体型の帯電防止剤の分子量分布と分子量が帯
電防止効果に大きく影響することを見いだすと共に、重
量平均分子量を20万以上、分子量分布を3以上とすれ
ば、帯電防止効果が著しく高まることを見いだし、本発
明に到達した。すなわち、本発明は、熱可塑性樹脂10
0重量部に対し、四級アンモニウム塩を有する単量体単
位を含有する共重合体型の帯電防止剤を0.5〜10重
量部配合してなる帯電防止樹脂組成物であって、共重合
体型の帯電防止剤が下記一般式(1)で示される四級ア
ンモニウム塩を有する単量体単位20〜80%とこれと
共重合可能なビニル系若しくはビニリデン系単量体単位
80〜20重量%とを含有する共重合体であり、しかも
共重合体の重量平均分子量Mwが200,000〜1,
000,000であり、重量平均分子量Mwと数平均分
子量Mnの比で表される分子量分布が3〜10であるこ
とを特徴とする帯電防止樹脂組成物である。但し、式
(1)中、R1は重合可能な炭素−炭素2重結合を有す
る1価の基、R2、R3及びR4は水素又は置換基を有し
ていてもよい炭素数1〜9のアルキル基、X-は一価の
無機若しくは有機の酸基又は無機酸若しくは有機酸の相
応する等価物を示す。
【0009】そして、式(1)においてR1は下記式
(2)で示されるものが好ましい。 (但し、式中R5は水素またはメチル基、nは1〜10
の整数、YはOあるいはNHを示す)
【0010】また本発明の熱可塑性樹脂はスチレン系樹
脂が好ましい。更に本発明は前記の帯電防止樹脂組成物
を成形してなる成形品であって、成形品表面から深さ2
0μmまでの成形品表層部分に、共重合体型の帯電防止
剤が筋状粒子となってマトリックスを形成する熱可塑性
樹脂中に分散しており、深さ方向の断面での筋状粒子の
重量平均長径が5〜500μm、長径/短径比の平均が
50〜500であることを特徴とする熱可塑性樹脂成形
品である。
【0011】本発明で使用する帯電防止剤は、上記式
(1)で示される単量体単位とこれと共重合可能なビニ
ル系若しくはビニリデン系単量体との共重合体である。
このような共重合体の製造方法は公知であり、本発明に
おいてもその方法を採用することができるが、上記式
(1)で示される単量体単位20〜80%(重量)とこ
れと共重合可能な単量体単位80〜20%とを含有する
ものである必要がある。式(1)において、R1は重合
可能な炭素−炭素2重結合を有する1価の基であるが、
好ましくは上記式(1)で示される基である。式(1)
において、Rは水素又はメチル基を示し、nは1〜1
0の整数、好ましくは2〜6の整数である。R、R3
及びR4は水素又は置換基を有していてもよい炭素数1
〜9のアルキル基で好ましくはメチル、エチル、プロピ
ル基である。
【0012】本発明における帯電防止性を付与し得る共
重合体の構成成分である四級アンモニウム塩基を有する
単量体単位は、上記式(1)で表されるものであり、こ
れはアミンを有する重合性単量体が四級化剤によって四
級化されたものとみることもできる。アミンを有する重
合性単量体としては例えば、(メタ)アクリレート、
(メタ)アクリアミド、スチレン等にアミノ基が導入さ
れたもので、特に、アミンを有する(メタ)アクリレー
ト、(メタ)アクリアミドが好ましい。
【0013】アミンを有するアクリレートまたはメタク
リレートの具体例としてはジメチルアミノエチルアクリ
レート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジメチル
アミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメ
タクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリレー
ト、ジメチルアミノブチルメタクリレート、ジプロピル
アミノエチルメタクリレート、ジブチルアミノエチルメ
タクリレート、ジヒドロキシエチルアミノエチルメタク
リレート等が挙げられる。
【0014】また、アミンを有する(メタ)アクリルア
ミドの具体例としてはジメチルアミノエチルアクリルア
ミド、ジエチルアミノエチルアクリルアミド、ジメチル
アミノエチルメタクリルアミド、ジエチルアミノエチル
メタクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリル
アミド、ジメチルアミノブチルメタクリルアミド、ジプ
ロピルアミノエチルメタクリルアミド、ジブチルアミノ
エチルメタクリルアミド、ジヒドロキシエチルアミノエ
チルメタクリルアミド等が挙げられる。
【0015】四級化剤としてはジメチル硫酸、ジエチル
硫酸、ジプロピル硫酸等のアルキル硫酸類、p‐トルエ
ンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸メチル等のス
ルホン酸エステル類、ジメチル亜硫酸等のアルキル亜硫
酸類、トリメチルホスフェイト等のアルキルリン酸類、
アルキルベンジルクロリド、ベンジルクロリド、アルキ
ルクロリド、アルキルブロミド等の各種ハライド等が挙
げられ、なかでも、アルキル硫酸類およびスルホン酸エ
ステル類が耐熱安定性の点より好ましい。なお、ここ
で、ジメチル硫酸等は、CH3S04 -がX-で表される一
価の酸基となるが、更にその極く一部は解離してS04
2-となるが、これは前後の酸基の等価物とする。
【0016】本発明における帯電防止性を付与し得る共
重合体は四級アンモニウム塩基を有する単量体単位が2
0〜80%、好ましくは30〜70%、であり、他の単
量体単位はこれと共重合可能なビニル系単量体単位若し
くはビニリデン系単量体単位80〜20%、好ましくは
70〜30%からなるものである。四級アンモニウム塩
基を有する単量体単位が20%より少ない場合は帯電防
止性能が充分でなく、また、80%を超える場合は熱可
塑性樹脂との相溶性が悪化し、帯電防止性の持続性が低
下するため好ましくない。
【0017】共重合可能なビニル系単量体若しくはビニ
リデン系単量体としては、スチレン、α‐メチルスチレ
ン、p‐メチルスチレン、p‐tert‐ブチルスチレ
ン、3,4−ジメチルスチレン等の芳香族ビニル化合
物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン
化ビニル単量体、アクリル酸またはメタクリル酸のメチ
ル、エチル、プロピル、n‐ブチル、i‐ブチル、ヘキ
シル、2‐エチルヘキシル、ドデシル、オクタデシルな
どのC1〜C18のアルキルエステルおよびエチレング
リコール、プロピレングリコール、ブタンジオール等の
エステル、酢酸、プロピオン酸などのC1〜C6のカル
ボン酸のビニルエステル、アクリル酸、メタクリル酸、
マレイン酸等の不飽和カルボン酸、無水マレイン酸等の
不飽和ジカルボン酸無水物、アクリルアミド、メタクリ
ルアミド、N,N‐ジメチルアクリルアミド等の(メ
タ)アクリルアミド類、マレイミド、N‐メチルマレイ
ミド、N‐エチルマレイミド、N‐フェニルマレイミ
ド、N‐シクロヘキシルマレイミド等のN置換マレイミ
ド、アルキルビニルエーテル、アルキルビニルケトン、
塩化ビニル、塩化ビニリデン、イソブテン等が挙げら
れ、なかでもスチレン、アクリル酸ブチル、アクリロニ
トリル、メタクリル酸メチル、無水マレイン酸が好まし
い。これらの単量体は単独または2種以上組合せて用い
ることができる。
【0018】これら共重合可能な単量体のうちアクリロ
ニトリルのような極性の高い単量体またはスルホン酸
基、リン酸基、カルボン酸基等のようなイオン性置換基
を含む単量体を選択すると帯電防止性はさらに向上する
ので好ましい。また、熱可塑性樹脂を構成する単量体単
位と同一かまたは相溶性の良い樹脂と同一の単量体を用
いると帯電防止性の持続性及び熱可塑性樹脂の強度、透
明性等の物性を保つ上で特に有利である。
【0019】本発明における帯電防止性を付与し得る共
重合体の重量平均分子量は20万〜100万であること
が必要であり、特に30万〜60万の範囲が好ましい。
重量平均分子量が20万未満であれば成形品表層部にお
いて良好な筋状構造が形成されず、帯電防止性能を発現
させるために多量の添加が必要となり、コスト的に不利
になったり、機械的物性特に耐衝撃性を低下させてしま
うため好ましくない。また、100万を超えるものは、
重合が困難であると共に、粗大分散しやすいため、表面
抵抗率が悪いばかりでなく成形品の層状剥離が起こるた
め好ましくない。
【0020】また、分子量分布は3〜10好ましくは5
〜10の範囲である。分子量分布が3よりせまい場合は
相対的に低分子量成分を含まないために可塑化効果がな
くなり溶融粘度が増大し、帯電防止剤が成形品の表面に
移行し難くなるために好ましくない。また、10を超え
る場合、高分子量成分の影響によってハシリ等の外観不
良を生じ好ましくない。
【0021】なお、この共重合体を得るための重合方法
は特に限定されないが、通常はラジカル重合開始剤の存
在下での溶液重合、塊状重合等の手法を用いることがで
きる。また共重合をうまく進めるために滴下重合を行な
うのも好ましい。さらに、分子量が大きく分子量分布が
広い共重合体を製造しやすくするために架橋剤を併用す
ることもできる。架橋剤の種類としてはビニル系単量体
若しくはビニリデン系単量体と反応可能なジビニル化合
物が挙げられ、具体的には、p‐ジビニルベンゼン、o
‐ジビニルベンゼン、2,6‐ジビニルナフタレン、4
‐4,‐ジビニルビフェニル、エチレングリコールジメ
タクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エ
チレングリコールジメタクリルアミド、エチレングリコ
ールジアクリルアミド等が挙げられ、中でもエチレング
リコールジメタクリレート、p‐ジビニルベンゼンが好
ましい。
【0022】使用量としては全ビニル系単量体若しくは
ビニリデン系単量体に対して1重量部好ましくは0.5
重量部未満である。使用量が多い場合、重合体中に一部
ゲル化したものが混入し、成形品としたときの表面が荒
れたり、粗大分散を起こすため好ましくない。また、分
子量分布の調整法として開始剤の添加方法を調整するこ
とも有効である。
【0023】また、溶融混練時の有効剪断速度下におけ
る共重合体型の帯電防止剤の溶融粘度と熱可塑性樹脂の
同温度における溶融粘度の比が1.2〜0.5の範囲で
あることが好ましく、より具体的には、共重合体型の帯
電防止剤の溶融粘度が溶融混練時の有効剪断速度45
(sec-1)において200〜3000(Pa−se
c)の範囲であることが好ましい。さらに、共重合体型
の帯電防止剤と熱可塑性樹脂との溶解性パラメータ(S
P値)の比は1.02〜1.5の範囲が好ましく、層状
剥離を防止するために1.02〜1.1の範囲がさらに
好ましい。
【0024】上記帯電防止性を付与し得る共重合体の配
合量は熱可塑性樹脂100重量部に対し0.5〜10重
量部、好ましくは1〜7重量部である。配合量が0.5
重量部未満であると良好な帯電防止性を付与できず、ま
た10重量部を超えると熱可塑性樹脂の本来の物性を損
ねる傾向となり、また、コストの面から好ましくない。
本発明における熱可塑性樹脂とは、ポリスチレン、ポリ
エチレン、ポリプロピレン、ポリアクリル酸エステル、
ポリメタクリル酸エステル、ポリエステル、ポリアクリ
ロニトリル、ポリエステルエーテル、ポリアミド、ポリ
塩化ビニル、ポリカーボネート等すべての熱可塑性樹脂
が挙げられ、中でもスチレン系樹脂が好ましい。これら
の樹脂は1種のみならず、2種以上組み合わせて使用し
てもよい。
【0025】スチレン系樹脂とは、樹脂中にスチレン残
基または置換スチレン残基(以下、合わせてスチレン系
残基と称する)を必須構成成分として10重量%以上含
有するものであり、好ましくは50重量%以上含有する
ものである。該スチレン系残基を形成するスチレン系不
飽和単量体としては、スチレン、またはα−メチルスチ
レン、p−メチルスチレン、p‐ tert‐ブチルス
チレン、3,4−ジメチルスチレン等の置換スチレンが
挙げられ、これらは1種のみならず、2種以上を併用す
ることもできる。また、該スチレン系樹脂は、スチレン
または置換スチレンと共重合可能な1種以上の他のビニ
ル系不飽和単量体と共重合されていてもよい。
【0026】スチレン系不飽和単量体と共重合可能なビ
ニル系不飽和単量体としては、アクリロニトリル、メタ
クリロニトリル等のシアン化ビニル単量体、アクリル酸
またはメタクリル酸のアルキルエステル(アルキル基と
してはC1〜C18のメチル、エチル、プロピル、n−
ブチル、i−ブチル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、
ドデシル、オクタデシル等)及びエチレングリコール、
プロピレングリコール、ブタンジオールなどとのエステ
ル、酢酸、プロピオン酸等のC1〜C6のカルボン酸の
ビニルエステル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン
酸等の不飽和カルボン酸、無水マレイン酸等の不飽和ジ
カルボン酸無水物、アクリルアミド、メタクリルアミ
ド、N,N−ジメチルアクリルアミド等の(メタ)アク
リルアミド類、マレイミド、N−メチルマレイミド、N
−エチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シ
クロヘキシルマレイミド等のN置換マレイミド、及びブ
タジエンなどの共役ジエンが好ましく挙げられ、なかで
もアクリロニトリル、メタクリル酸メチル、アクリル酸
ブチル、N−フェニルマレイミド、無水マレイン酸及び
ブタジエンが好ましい。これらの不飽和単量体は1種の
みならず、2種以上を併用してもよい。
【0027】該スチレン系樹脂の好ましい例としては、
ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、
スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン/ア
クリル酸ブチル共重合体、スチレン−ブタジエンブロッ
ク共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック
共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共
重合体等のスチレン−共役ジエンブロック共重合体及び
それらの水添物、ならびにこれらにゴム質重合体を含有
せしめたゴム含有スチレン系樹脂が挙げられる。これら
の樹脂は1種のみならず、2種以上組み合わせて使用し
てもよい。
【0028】ここで、ゴム質重合体とは、ガラス転移温
度が好ましくは0℃以下、より好ましくは−20℃以下
のものであり、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン
共重合体、30重量%までの(メタ)アクリル酸低級ア
ルキルエステルを含むスチレン/ブタジエン系共重合
体、ポリイソプレン、ポリクロロプレン等のジエン系ゴ
ムが好ましいものとして挙げられる。その他の適当なゴ
ム質重合体の例としては、アクリル酸C1〜C8アルキ
ル、特にアクリル酸エチル、ブチル及びエチルヘキシル
をベースとするアクリル酸アルキルゴムが挙げられる。
【0029】アクリル酸アルキルゴムは、30重量%ま
での酢酸ビニル、メタクリル酸メチル、スチレン、アク
リロニトリル、ビニルエーテル等が共重合されていても
よく、さらに5重量%以下のアルキレンジオール(メ
タ)アクリレート、ジビニルベンゼン、シアヌル酸トリ
アリルなどの架橋性不飽和単量体が共重合されていても
よい。アクリル酸アルキルゴムはコアとして1種または
2種以上の架橋ジエンゴム、例えばポリブタジエン、ス
チレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタ
ジエン共重合体を含むコアーシェル型ゴムであってもよ
い。
【0030】その他の好ましいゴム質重合体としては、
エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン共重合
体等のエチレン−プロピレン−非共役ジエン系共重合
体、水添スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水添
スチレン−イソプレンブロック共重合体等が挙げられ
る。これらのゴムのうち、特に好ましいものとして、ポ
リブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリア
クリル酸ブチル系ゴム、及びエチレン−プロピレン−非
共役ジエン系共重合体が挙げられる。これらのゴムは、
必要に応じて2種類以上を併用してもよい。また、これ
らのゴムは、各種の不飽和単量体がグラフト(共)重合
されていてもよい。グラフト共重合される不飽和単量体
としては、スチレン系樹脂を形成する不飽和単量体が挙
げられる。
【0031】本発明におけるゴム含有スチレン系樹脂の
好ましい例としては、ポリスチレンに、スチレン系不飽
和単量体がグラフトされていてもよいポリブタジエンゴ
ム、スチレン−ブタジエンランダム共重合体、スチレン
‐ブタジエンブロック共重合体、水添スチレン‐イソプ
レンブロック共重合体及びスチレン‐イソプレンブロッ
ク共重合体から選ばれる少なくとも1種以上のゴム質重
合体を含有せしめてなる樹脂または樹脂組成物、及び、
スチレン‐アクリロニトリル共重合体に、スチレン系不
飽和単量体及び共重合可能な他の不飽和単量体がグラフ
トされていてもよいポリブタジエンゴム、スチレン‐ブ
タジエンランダム共重合体、ポリアクリル酸ブチル系ゴ
ム、エチレン‐プロピレン‐非共役ジエン系共重合体か
ら選ばれる少なくとも1種以上のゴム質重合体を含有せ
しめてなる樹脂または樹脂組成物が代表的である。
【0032】中でも、ポリスチレンとスチレンがグラフ
トされたポリブタジエンゴムからなる耐衝撃性ポリスチ
レン (HIPS)、及び、スチレン‐アクリロニトリ
ル共重合体とスチレン‐アクリロニトリルがグラフト共
重合されたポリブタジエンゴムよりなるアクリロニトリ
ル‐ブタジエン‐スチレン共重合体(ABS)が、各種
の物性バランスの面から最も好ましい。本発明におい
て、使用するゴム含有スチレン系樹脂中の好ましいゴム
の含有量は、1〜50重量%、さらには3〜30重量%
であることがより好ましい。
【0033】本発明の熱可塑性樹脂には、他の帯電防止
剤を併用して帯電防止性能を一層向上させることも可能
である。併用する帯電防止剤は通常使用されているもの
が利用できるが、親水性基と疎水性基とを有する界面活
性剤型の帯電防止剤が好ましく、例えば、アルキルサル
フェート、アルキルアリルサルフェート、アルキルアシ
ッドホスフェート、アルキルホスフェート等のアニオン
型帯電防止剤、アミン中和塩、四級アンモニウム塩、錯
イオン性塩等のカチオン型帯電防止剤、ベタイン、スル
フォベタイン、重金属塩等の両性イオン型帯電防止剤、
アルキルアミン脂肪酸中和物等のアニオン/カチオン中
和型帯電防止剤、ソルビタン脂肪酸エステル、モノグリ
セリド、ポリアルキレンオエキサイド系(共)重合体、
トリアルキルホスフェート等の非イオン型帯電防止剤、
アミンオキサイド、ビスグリセリルボレートモノアルキ
レート等の半極性型帯電防止剤が挙げられ、特にアルキ
ルサルフェート、アルキルアリルサルフェートが好まし
い。
【0034】さらに、発明の目的を妨げない範囲で、ガ
ラス繊維、炭素繊維、セラミックファイバー、マイカ、
タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機充填剤
を添加することができる。使用する無機充填剤の種類に
は特に制限は無いが、上記無機充填剤の中でも硫酸バリ
ウムや炭酸カルシウムがよく使用される。本発明におい
てはこの外に、各種の目的で、可塑剤、離型剤、耐候
剤、酸化防止剤、難燃剤、着色剤、安定剤およびその他
の添加剤を配合しても差し支えない。
【0035】本発明の帯電防止樹脂組成物は共重合体型
の帯電防止剤と熱可塑性樹脂を混合して製造されるが、
混合方法としては特に制限はないく、各種のロール、バ
ンバリミキサー等の2ローター付インターナルミキサ
ー、スクリュー式の単軸押出機や2軸押出機等で溶融混
練しペレット化した後、成形物の用途や形状に応じて射
出成形機、押出成形機、ブロー成形機等を用いて成形す
ることができる。本発明の樹脂組成物は、持続性帯電防
止性能に優れるが、該組成物を成形して、成形品とした
とき、成形品表面から深さ20μmまでの成形品表層部
分に、帯電防止剤が筋状粒子となって分散しており、深
さ方向の断面での該粒子の重量平均長径が5〜500μ
m、長径/短径比の平均が50〜500の範囲で分散し
ていると、より帯電防止性能が優れる。
【0036】本発明の樹脂組成物は、使用する帯電防止
剤に特徴があるため、該組成物を成形したとき、筋状粒
子となって分散しやすいという特徴がある。筋状粒子と
なって分散するような形状をより効果的に生じさせるに
は、剪断力を与えること、高速で変形させることなどが
あげられる。そのため、例えば、高速押出、射出、イン
フレなどの成形方法が特に好ましい。なお、成形品中の
帯電防止剤粒子の分散状態は、樹脂成形品を四酸化オス
ミウム染色法で染色し、超薄切片透過型電子顕微鏡写真
を撮影することにより、肉眼で判定できる。
【0037】本発明の帯電防止樹脂組成物を用いた最終
製品形態は、各種の成形品例えば、ラジオやテレビ、O
A機器のハウジング、カバー等のケース部品、照明器具
部品、プラスチック容器、リボン、テープ、フィルム、
シートなど帯電防止を必要とするすべてのものが挙げら
れる。本発明の帯電防止樹脂組成物が優れた帯電防止性
を発現するのは、本発明において用いる四級アンモニウ
ム塩基を有する共重合体の分子量を高分子量化すること
により、射出成形や押出成形等の成形時に共重合体粒子
の筋状構造が形成され、電荷の移動が容易になることに
よるものであると考えられる。
【0038】また本四級アンモニウム塩基含有重合体は
高分子量体であり、さらに細長く分散されているため、
組成物からの成形品を洗浄しても容易に脱落せず、永久
的な帯電防止性を付与できる。また、粗大な分散を含ま
ないため、樹脂本来の様々な物性を低下させることなく
帯電防止性を発現させることができる等優れた効果を有
する。さらに、表面付近に共重合体が集中して存在する
ことで表面硬度といった表面性質の改善が可能である。
【0039】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが本発明はこれらの実施例のみに限定されるものでは
ない。なお、実施例および比較例中の処理条件および物
性評価条件は下記の方法により行った。 ・分子量測定 標準試料にポリエチレンオキシドを使用し、アセトニト
リル/水系を溶離液としたGPC測定により行った。 ・混練 (株)池貝社製30mmφの二軸押出機によりシリンダ
温度210℃、回転数100r.p.m.で行い、ペレ
ット化した。 ・成形 JSW社製100t射出成形機によりシリンダ温度21
0℃、金型温度40℃で行った。
【0040】・表面抵抗率 70℃設定の真空乾燥機にて24時間乾燥後、25℃、
湿度60%で1日調湿したサンプルを用いて行ない。東
亜電波工業(株)製の極超絶縁計SM−8210を用い
て印加電圧1000V、10秒間帯電後の1分値を採用
した。 ・水洗処理 測定用試片を蒸留水で充分洗浄してから表面の水分を取
り除いた後、23℃、湿度50%で1日調湿し、測定し
た。 ・(A)成分の分散性 成形品を切り出し四酸化オスミウム染色法による超薄切
片透過型電子顕微鏡写真で判定した。
【0041】・アイゾット衝撃値 ASTM D256‐56Aに準じてアイゾット衝撃値
の測定を行なった。 ・耐層状剥離性 JIS K5400に従い、成形品表面に1mm間隔で
ゴバン目状にキズを入れスコッチメンディングテープ
(住友スリーエム(株)社製)を密着させ、勢いよく剥
がした後の表面観察により、以下のように3段階で評価
した。 ◎:層状剥離なし、○:碁盤目100の内、剥離が1割
以内、×:碁盤目100の内剥離が1割以上ある。 ・表面硬度 JIS K5400に従い、鉛筆ひっかき試験を行っ
た。
【0042】参考例1 共重合体の重合 A−1 撹拌翼付きの反応器に三級アミンを有する単量体として
ジエチルアミノエチルメタクリレート100重量部、メ
タノール120重量部、重合禁止剤としてハイドロキノ
ンモノメチルエーテル1重量部を入れ、ジエチルアミノ
エチルメタクリレートが四級化時に単独重合しないよう
20℃以下に保ちながら撹拌し、ジエチル硫酸99重量
部、メタノール10重量部の混合物を1時間かけて滴下
した。滴下終了後完全に四級化を進行させるためにさら
に30分撹拌し四級アンモニウム塩を有する単量体溶液
を得た。この溶液にアゾビスイソブチロニトリル1重量
部、スチレン100重量部、N,N−ジメチルホルムア
ミド300重量部を加え、反応温度65℃、窒素雰囲気
下で6時間重合した。重合終了後、反応溶液を90℃、
0.5mmHgの条件で真空乾燥し、帯電防止性付与共
重合体を得た。この共重合体の重量平均分子量(Mw)
は507,000、分子量分布(Mw/Mn)は5.7
であった。
【0043】A−2〜14 開始剤量、架橋剤(エチレングリコールジメタクリレー
ト)量、四級化剤の種類、共重合体単量体の種類、共重
合量を表1に示す値にした以外はA−1と同様の条件で
四級化および重合を行い帯電防止性付与共重合体を得
た。この共重合体の重量平均分子量(Mw)及び分子量
分布(Mw/Mn)をあわせて表1に示す。
【0044】A−15 三級アミンを有する単量体としてN−(3−ジメチルア
ミノプロピル)メタクリルアミド100重量部を使用し
た以外はA−1と同様の条件で四級化および重合を行い
帯電防止性付与共重合体を得た。この共重合体の重量平
均分子量(Mw)は514,000、分子量分布(Mw
/Mn)は5.5であった。
【0045】参考例2 B−1 特開昭63−54467号公報の実施例1に示された条
件と同様の条件として、3lの撹拌羽根付きの反応器に
ジエチルアミノエチルメタクリレート374重量部、ハ
イドロキノンモノメチルエーテル4重量部、メタノール
80重量部を入れ激しく撹拌しながら、ジメチル硫酸2
52重量部、メタノール80重量部の混合物を滴下し
た。滴下終了後30分撹拌し四級アンモニウム塩を有す
る単量体溶液を得た。この溶液にアゾビスイソブチロニ
トリル6重量部、n−オクチルメルカプタン4重量部、
スチレン150重量部、N,N−ジメチルホルムアミド
480重量部を加え、反応温度60℃、窒素雰囲気下で
4時間重合した。重合終了後、真空乾燥し、帯電防止性
付与共重合体を得た。この共重合体の重量平均分子量
(Mw)は86,000、分子量分布(Mw/Mn)は
2.6であった。
【0046】
【表1】
【0047】実施例1〜10 得られた帯電防止付与共重合体(A−1〜10 )3重
量部を耐衝撃性ポリスチレン樹脂(新日鐵化学製H−6
5)100重量部に混合し、溶融押出機によりペレット
化した。得られたペレットを射出成形機により100m
m×100mm×3mmの板にしてから調湿後帯電防止
性を評価した。また、得られた板に水洗処理を行ない、
直ちに帯電防止性を評価した。さらに各種物性測定試験
を行った結果を合わせて表2に示す。なお、成形に使用
した耐衝撃性ポリスチレン樹脂の耐衝撃強度は7.2k
gf・cm/cm、鉛筆硬度は2Bであった。
【0048】実施例11〜13 帯電防止性付与共重合体A−2を実施例1で使用したの
と同じ耐衝撃性ポリスチレン樹脂100重量部に対し表
2に示す各種の配合量で配合し、溶融押出機によりペレ
ット化した。得られた各ペレットを用い実施例1〜10
と同じ方法により種々の物性を評価した結果を合わせて
表2に示す。
【0049】実施例14 帯電防止性付与共重合体(A−15)3重量部を実施例
1で使用したのと同じ耐衝撃性ポリスチレン樹脂100
重量部に配合し、溶融押出機によりペレット化した。得
られた各ペレットを用い実施例1〜10と同じ方法によ
り種々の物性を評価した結果を合わせて表2に示す。
【0050】比較例1〜4 得られた帯電防止付与共重合体(A−11〜14)3重
量部を実施例1で使用したのと同じ耐衝撃性ポリスチレ
ン樹脂100重量部に混合し、溶融押出機によりペレッ
ト化した。これらのペレットを用い実施例1と同じ方法
により種々の物性を評価した結果を表2にあわせて示
す。
【0051】比較例5,6 帯電防止性付与共重合体A−2を実施例1で使用したの
と同じ耐衝撃性ポリスチレン樹脂100重量部に対し表
2に示す各種の配合量で配合し、溶融押出機によりペレ
ット化した。得られた各ペレットを用い実施例1と同じ
方法により種々の物性を評価した結果を表2にあわせて
示す。
【0052】比較例7 帯電防止性付与共重合体B−1を3重量部を実施例1で
使用したのと同じ耐衝撃性ポリスチレン樹脂100重量
部に混合し、溶融押出機によりペレット化した。得られ
たペレットを用い実施例1と同じ方法により種々の物性
を評価した結果を表2にあわせて示す。
【0053】比較例8 親水性樹脂を用いた練込型帯電防止剤としてペバックス
(アトケム社製4011MA01)20重量部をポリス
チレン樹脂100重量部に対して混合し、溶融押出機に
より、ペレット化した。得られた各ペレットを用い実施
例1と同じ方法により種々の物性を評価した結果を表2
にあわせて示す。さらに、表面抵抗率の測定法として成
形品の乾燥後1時間以内に表面抵抗率を測定したところ
7.3×1015Ω/□であった。また、実施例1の成
形品は同様の測定法で2.8×1013Ω/□であっ
た。また、写真1に実施例1、写真2に比較例1で得ら
れた成形品表層部の透過型電子顕微鏡写真を示す。写真
においてサラミ状に見えるものはゴム成分で細長い筋状
あるいは葉巻状に見えるものが共重合体であり、その重
量平均長径及び長径/短径比をもとめ、表2にあわせて
示した。
【0054】
【表2】
【0055】表2の結果から次のことが明らかである。
本発明の樹脂組成物(実施例1〜14)は共重合体の重
量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)を
一定の範囲内に規定することにより、いずれも成形品表
層部分で非常に細長い筋状分散を形成し、その持続性を
含めた帯電防止性及び衝撃強度に代表される機械的性質
並びに耐層状剥離性が均衡して優れると共に、表面硬度
が向上するという特徴を有している。一方、成分共重合
体の重量平均分子量が20万を下回る場合(比較例1、
写真2)は、分散粒子の平均長径が短くなり帯電防止性
が劣るため好ましくない。また、共重合体が高度に重合
した場合(比較例2)は、粗大分散が起こり、帯電防止
性能が劣るばかりでなく、耐層状剥離性が悪くなるため
好ましくない。
【0056】共重合体中の四級アンモニウム塩構造単位
が80%を上回る場合(比較例3)においても耐層状剥
離性が悪くなるため好ましくない。また、四級アンモニ
ウム塩構造単位が20%を下回る場合(比較例4)は帯
電防止性が劣るため好ましくない。成分共重合体の配合
量が0.5重量%未満の場合(比較例5)は帯電防止性
が劣り、10重量%以上のとき(比較例6)は耐衝撃性
に劣るため好ましくない。また、特開昭63−5446
7号公報の実施例1(比較例7)では持続性及び耐層状
剥離性に劣るため好ましくない。親水性樹脂を使用した
場合(比較例8)では、成形直後の帯電防止性能が劣る
と共に性能を発現させるために多量の親水性樹脂を必要
とする。
【0057】
【発明の効果】本発明の樹脂組成物は良好かつ持続性の
ある帯電防止性を有し、しかもベースとなる熱可塑性樹
脂本来の強度、外観等の物性を低下させないばかりか表
面硬度等の性質を改善できるものであるため、射出、ブ
ロー等の成形品やフィルム、シート等の分野で起こるゴ
ミや埃を吸引して外観を損ねる等の様々な帯電トラブル
がなく、かつエレクトロニクス関連等の高信頼性を必要
とする分野にも使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた成形品表層部の組織の電子
顕微鏡写真である。
【図2】比較例1で得られた成形品表層部の組織の電子
顕微鏡写真である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年5月7日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【図2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹内 正彦 神奈川県川崎市多摩区栗谷1−5−1 (72)発明者 米谷 起一 神奈川県横浜市青葉区柿の木台19−15

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂100重量部に対し、四級
    アンモニウム塩を有する単量体単位を含有する共重合体
    型の帯電防止剤を0.5〜10重量部配合してなる帯電
    防止樹脂組成物であって、共重合体型の帯電防止剤が下
    記式(1)で示される四級アンモニウム塩を有する単量
    体単位20〜80%とこれと共重合可能なビニル系若し
    くはビニリデン系単量体単位80〜20%とを含有する
    共重合体であり、しかも共重合体の重量平均分子量Mw
    が200,000〜1,000,000であり、重量平
    均分子量Mwと数平均分子量Mnの比で表される分子量
    分布が3〜10であることを特徴とする帯電防止樹脂組
    成物。 (但し、式中R1は重合可能な炭素−炭素2重結合を有
    する1価の基、R2、R3及びR4は水素又は置換基を有
    していてもよい炭素数1〜9のアルキル基、X-は一価
    の無機若しくは有機の酸基又は無機酸若しくは有機酸の
    相応する等価物を示す)
  2. 【請求項2】 式(1)においてR1が下記式(2)で
    示されるものである請求項1記載の帯電防止樹脂組成
    物。 (但し、式中R5は水素またはメチル基、nは1〜10
    の整数、YはOあるいはNHを示す)
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2のいずれかに記載
    の帯電防止樹脂組成物を成形してなる成形品であって、
    成形品表面から深さ20μmまでの成形品表層部分に、
    共重合体型の帯電防止剤が筋状粒子となってマトリック
    スを形成する熱可塑性樹脂中に分散しており、深さ方向
    の断面での筋状粒子の重量平均長径が5〜500μm、
    長径/短径比の平均が50〜500であることを特徴と
    する熱可塑性樹脂成形品。
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